東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2014年03月 アーカイブ

2014年03月03日

テーマ学習発表会3/21

今年度最後!3/21(金)
TCSテーマ学習発表会のご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動が行われていきます。
(発表までの6週間、子どもたちが学んできた様子の詳細は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。)

テーマ学習の成果を発表するテーマ発表会では、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。
(ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。
今年度最後の発表会です。
ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。


               記

【日時】 2014年3月21日(金) 9:30~12:00
      9:30      テーマ発表会スタート
      9:30~ 9:35  イントロダクション
      9:35~10:05  「表裏一体」(1・2年生)
     10:05~10:30 「To Be or Not To Be」(3・4年生)
     10:30〜10:40 休憩
     10:40~11:00 「ロストエナジー」(5年生)
     11:00~11:45 エキシビション&合格発表(6年生)
     11:45~11:50 総評

※会場は体育館ですので上履きと寒さ対策もして来て頂けると良いかと思います。

【場所】 杉並区立高南中学校
     (東京メトロ丸の内線「東高円寺」駅 徒歩3分)
     ( 東京都杉並区和田3丁目40−10)
     地図は、こちら

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール
 E-mail:school#tokyocs.org
 TEL:03-3313-8717
 ※迷惑メール防止のため、「@」を「#」にしております。お手数ですが、「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、
   件名に、「テーマ学習発表会参加希望」とし、
   本文に、以下の事項をお知らせください。
     1.参加者氏名(すべて記入ください)
     2.お子さんの現学年(保護者の方)
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)

2014年03月07日

作文から学ぶ

[1・2年生]

今週は、週末にホームワークをしてきた作文をもとに
自分たちが学んできたことを振り返り、
どう伝えていけばいいかをkey conceptsで考え、
作文の書き方についても確認していきました。
以下、子どもたちの書いてきた文章を
漢字変換と句読点を加えて一部抜粋します。


火山はマグマが噴火する。
最後には街がぜんぶ埋まって、人も全員死ぬ。
けれど、火山にもいいこともある。
火山でしか飲めないお茶を飲める。
温泉たまごもできる。
温泉も火山でできたから、
火山はありがた迷惑とちょっと似ていると思う。


みなさんは津波をこわいと思っていますか。
でも、いいところもあります。
津波警報が出れば高いところに逃げればいいのです。
津波が起きるのは、海の下で振動が起きるのです。
津波の速さは、約800キロです。
まさに、飛行機の速さですね。


①雪で楽しめること
冬といえば、スキー、スノーボード、雪合戦、雪だるまなど
いろいろなことが楽しめます。
②雪の悪いところ
雪は楽しめますが、被害をもたらす危険なものです。
屋根に雪が積もって、それが落ちてくると家から出られない
ことだってあります。
もし、家を出るとき、ちょうど真上から落ちてきたら、
息ができなくて、死んじゃうこともあります。
これこそまさに自然災害です。
雪は最初、雨が降って、そのあと雹が降って、
最後に雪が積もると本に書いてありました。


雪のせいで死んじゃう人がいた。
なんでかというと、車の中に食料がないから 死んじゃう人がいる。
だけど、逆にいえば、雪で楽しいって思う人がいる。
雪合戦とかソリとかスキーとかスノーボードとか雪だるまを作るとか。


私たちが今回着目していきたいkey conceptsは、
causation / connection / perspectiveです。
「津波は振動で起きるって覚えてるところがすごい。」
これはkey conceptsでいうと?
「causation!」
雪の作文は、perspectiveで書けてるねというと、
「嫌なことと、いいことを書いているのがいい。」と
視点別にgood & betterを考えていきました。

火山や雪の文には、確かに、嫌なことと楽しめることあるいはいいことが
両方書けています。ただ、ここでもう一度
自分たちにとって「禍」とは何か、「福」とは何かを
問うことにしました。

「禍」は災い。嫌なこと、命を落とすこと。とすぐに言葉が出てきます。
「福」は?
「マグロを食べているときかな。」それってどういうこと?
「うれしいこと」というように全員が「福」なときを
イメージしてみると、それは、
いいことであり、
うれしいことであり、
楽しいことであり、
ラッキーって、得することであり、
幸せなことであることがわかりました。

同じ意見もありましたが、これだけの言葉の違いが出てきました。
作文の中には、楽しいことが強調されがちだったので、
楽しいだけが「福」ではない見方ができると、
視野が広がっていくことでしょう。
そして、恩恵の意味へとつなげていきたいところです。

学んできたことを作文にまとめるという作業は
なかなか難しいことです。
どれをどう書いていいか迷ってしまったり、
わかってはいても、抜け落ちてしまう事柄があったり。
調べてきたことがちょっと違って解釈していたことも
わかりました。
今回の「たたき台」をもとに、作文のイメージがなんとなく
できてきて、次はもっといいものが書けそうと思ってきたところで、
本番の作文に向かいます。

雪災害の話をしていたときに、
「雪国に住んでいる人は、アリとキリギリスのアリみたいに、
食料をためておくから外に行けなくなっても大丈夫。」との発言から
保存食の話題があがりました。
この時期になると、TCSでは、ここ数年、味噌作りをしています。
味噌という保存食は、恩恵ととれる産物です。
ちょっとこじつけかもしれませんが、
このメンバーで今年の味噌作りをすることにしました。

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  茹でた大豆をつぶします。    麹の登場です。

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麹に塩を加えて、
混ぜ合わせます。




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  つぶした大豆を加えます。    ひたすら混ぜます。

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瓶に入れて、
麹に働いてもらいます。

一年後、蓋を開けるのが楽しみです。
  

AN

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

responsibility を考える

[6年生]

「セントラルアイデア」が固まり、「キーコンセプト」で分解してゆくことで本質に迫る問いが生まれ、あとは淡々とリサーチを進めてゆくだけ。

「神と神は共存できないが、人と人とは共存できる」という「セントラルアイデア」を立てた子は、その解決策として「神道の神様の大らかさ」がカギを握ると考えました。「キーコンセプト」にしたがって考えを進めてゆくと、causation ……つまり、どうして神道の大らかさが人と人との共存に有効なのかという問いが立ちました。

一神教どうしはぶつかり合いが起きるのに、そもそも多神教である神道は、いろいろな神が両立するのが当たり前。ひとつの神を絶対視しないという特徴が明らかになります。

「教祖も教義もないところがいいのかな……」

causation という「キーコンセプト」から発した問いが、自ずと change という「キーコンセプト」での問いへと発展してゆきます。確かに、キリストやムハンマドのような絶対的存在は出てきませんし、聖書やクルアーンのような「バイブル」もありません。オオクニヌシやアマテラスは、一神教の中に出てくる殉教者としてのシリアスなイメージや予言者として崇めたてまつる関係とはあまり結びつきません。神聖でないとは言いませんが、なんとなく温かみがあり、主従関係として契約するという感じにはならないのです。

「自然と神々とが密接につながってるんだと思うんだよね」

なぜ神道は大らかなのか?という causation に思いをはせると、神対人ではなく、人を取り巻く自然を象徴する神という関係が見えてきました。人間味あふれるさまざまな神が、自然環境に恵みをもたらす存在として出てきます。その種類の多さはまるでキャラクターのよう。ポケモンやクマモンなど、世界に知れ渡るキャラクターを生み出した日本人のソフトパワーの源泉は、もしかしたら「多神教」を受け入れる国民性にあったのではないかというところまで「妄想」は広がってゆきます。翻って一神教の生まれた場所の自然環境を考えてみると、砂漠の広がる厳しいものです。生き物を焼き殺さんばかりに厳しく照りつける太陽に、アマテラスのような慈愛の女神のイメージを重ねることは難しいでしょう。「キーコンセプト」 connection = 自然環境と神のイメージとの関係は?という問いが見えてきました。

まずは「キーコンセプト」を仲立ちに「妄想」を抱くこと。そうすると、「妄想」の信憑性を裏づけるために「リサーチ」しよう!となります。ただやみくもに「調べる」のではなく、自分なりの考えに基づいて「調べる」。同じ「調べる」行為でも、前者と後者とは雲泥の差です。はじめに「仮説」ありきという状態で「調べる」のが探究の第一歩です。

さあ、こうしたリサーチによって「探究」は動き出したものの、やはり「調べる」だけでは深まってゆきません。一神教の神と多神教の神の違いや、なぜこのような違いが生まれたかは「調べる」ことで明らかになりますが、では、こういった違いを乗り越えて、宗教争いを脱却するために、多神教の大らかさをどう活用するか。これは、まさにオリジナルな考えゆえに、調べて答えが出てくるものではありません。多神教の発想をどう一神教を信じる人々どうしの共存のために活かすか。そのために多神教の下で育った私たちはどう行動すべきか。「キーコンセプト」 responsibility に基づいて考えなければなりません。

「難しいなあ……」

ここまで順調に「調べ学習」を続けて来ましたが、大きな壁にぶつかりました。絶対的なものの見方をする人たちに、相対的に見ればいいじゃんと伝えるだけで考えを変えてくれるなら苦労はしません。それぞれの神の素晴らしさを尊重することと人と人との交流とを別のものとして考えられるよういかに導くか……なんとも難しい問いです。この問いに正解があるなら、とっくにパレスチナ問題は解決していますものね。政治家や学者のように考えるのではなく、素人ゆえの面白い発想がきっとあるはず。そんなふうに頭をぐるぐるさせるのが「探究」です。最後の最後まであきらめずに考え抜くことができるか。エキシビションの正念場です。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

なぜこのミッションに取り組むの?

タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生

[5年生]

今年度最後のテーマ学習もいよいよ折り返し地点を迎えます。

「ロストエナジー」で扱うエネルギー問題は、その影響が多岐に及
び、日常生活のほとんどに関わると言っても過言ではありません。
ただ、その中でも多くを占める電気エネルギーは直接目に見えるも
のではないため、意識しにくい面もあります。

「共存共生」のテーマ学習において、特に重要となるのは、テーマ
で取り扱う問題を我が事として認識できるかということ。
これがないと、結局は口先だけのきれいごとを言って終わりになっ
てしまうのです。

先週時点の子ども達の反応を見て、気になる部分があったので、今
一度、今回のミッションに立ち返ることにしました。

「なぜ、僕たちはこのミッションに取り組むの?」
「そう改めて聞かれると、うーーん・・・」

案の定、言葉が出てきません。
今回のテーマで知り得たことを通じて、価値観を少しは揺さぶられ
たかもしれませんが、まだその域を出ていないため、自分の言葉で
説明できなかったのです。

ある程度、予想していた反応とはいえ、この状態のままでいては、
いつまでたっても自分のミッションにはなり得ません。

「企業努力で今よりずっと省エネ効率の良い製品が普及
して、結果的に電気使用量が半減したら、この問題は解決と言える
のかな?」

切り口を変えた問いかけに、子ども達が反応します。

「それは違う気がする。」
「誰かが解決してくれると思って、待ってるだけだもん。」
「そうそう、やっぱり自分がやらないと何も変わらないよ。」
「『食わせ物』のテーマ発表でT君も言ってたけど、スタートはきれ
いごとで良いけど、何もしなかったらきれいごとにすらなんない。」
「多くの人たちが水についてもエネルギーについても、それをどう
使うかは自分の都合で決めるものと思ってるように感じる。」

少しずつ頭がグルグルしだしました。

「じゃあさ、結局のところ、エネルギー問題の根本原因は何なんだ
ろう?」

とさらに問いかけると、

「やっぱり便利さと快適さを求めてきた結果だと思うな。」
「そういう生活を追い求めたから、ますますエネルギーが必要にな
ったんだもんね。」
「他の家の暮らしと比べてしまう気持ちも関係してるんじゃないかな?」
「求め続けても、正直きりがないよね。」
「そもそも他と比べる必要ってあるのかな・・・」

皆がこのような気持ちを持っている限り、この問題は終わらないし、
変わらない。藤村さんのおっしゃっていた「マインドセット」そのものが
変わらないといけないのでは。そんな思いがじわじわとこみ上げてきます。

「この問題は重要なので、みんなで取り組みましょうというかけ声を
かければ皆の考えは変わるかな?」

「それだと選挙と一緒で誰かがやってくれると思うから、やらないで
しょ。」と男の子が即答。

「じゃあ、どうやってみんなを巻き込んで行くの?言ってることが正し
ければよいの?」

いよいよ今回のミッションの核心に迫ります。

「言ってることが正しくても、一方的な感じだとやりたくないってなっ
ちゃう。面白そうと思ってもらえるかが重要なんじゃないかな。」

以前のテーマでスクール改革に向けた提案に取り組み、今もその活動を
進める中で、いろんな問題にぶつかっているからこその実感のこもった
言葉です。

(ようやくミッションを進める端緒にたどりついたかな。)

では、どうすれば人のマインドセットに働きかけるインパクトのある提
案ができるだろう。
泣いても笑っても、残されたのはたった2週間。
子ども達と一緒に考え抜きます。

HY

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2014年03月12日

自分だったらどうするだろう?

[3・4年生]

今週も引き続き「半パンデイズ」を読み込み、登場人物たちの価値観や判断基準を分析していきます。

読み進めていったのは第八章。主人公のヒロシが6年生になり、最上級生としての”責任”や”立場”に悩みながらも前に向かっていく心の葛藤が絶妙に表されています。
3・4年生たちが読んでも色んな場面を今の自分に照らし合わせて入り込んでいくことができます。

6年生になったヒロシは班長になりましたが、班には性格がきつく周りの子を泣かせてばかりの年下の女の子がいます。ヒロシは他の子たちからも注意するように頼まれていますが、なかなかその子を叱ることが出来ません。

「ぼくだったら思いきり叱ると思うけど、ヒロシは根性無しなのかもしれないね。」
「でもヒロシはその子のお母さんに告げ口しないことにしたじゃん。だから根性無しではないと思うな。根性無しならすぐ言いつけるでしょ。」
「ぼくもそう思うな。お母さんに告げ口すると怒ると思うんだよね。でも怒らないで優しく分からせた方がいいとヒロシは思ってるんじゃないの?責任を感じてるから人を頼ったり、人任せにしないんだと思うよ。」
「じゃあ自分がもしヒロシの立場だったらこの問題についてどういう行動をする?」
「ぼくも親には言いつけないな。それは反則でしょ!?でも校長先生には言ってもいいんじゃない?学校での問題だから。」
「うん。賛成。けどまずは自分で美奈子と話してみるな。自分のやっていることを考えさせる!それでもどうしようもなかったら親には言わないけど校長先生には言っていいんじゃないかと思う。」

「ヒロシは6年生で、班長で、男だからやらなくてはいけない!っていう思いを強く持っているけれど、この気持ちを想像することは出来る?」
「そうだね。うん大体できるかな。リーダーの立場をキャンプやアウトドアデイで経験したことあるから。」
「リーダーだからやらなくてはいけないって判断基準ぼくも分かるよ。リーダーだったら仕切らなきゃいけないじゃん。」
「なんでリーダーだと仕切らなきゃいけないの?」
「うーーん。。。やっぱり、”責任”でしょ。リーダーだったらそのチームの中で起きたことは自分の”責任”だもん。」
「でも”男”だからっていう判断基準はよく分かんない。だって女の方が強いじゃん!(笑)」
「えっ、笑ってるけど本当だよ!しかもさ、それってなんか女の人を弱いって差別してるような判断基準でもある気がするなー。」
「あ、わかるわかる!男にも差別かもよ。」
「でも家のパパはいつでも”男の生き方”っていう判断基準は持ってると思うよ。」
「じゃあ君たちは全く”男”だから、っていうことを意識していないっていうことかな?」
「うーーーん。いや、ちょっとはしてるな。そう言われると。親に”男なんだからちゃんとしなさい”って言われると微妙だけど、コケて泣いたらかっこ悪いから我慢しようとか思う。」
「おれもちょっとは男だから勇気を出さなきゃいけないって思うことはあるよ。でも基本的には男も女も自分のことは自分でやるっていうのがおれの考え。」
「そうだね。おれも。」
と納得の他の子どもたち。
「6年生だから下級生の面倒を見なきゃ、とかリーダーだから責任あるっていうのは分かるな。でも大変そう。」
「ぼくはリーダーだったらやってみたいけどな。」
「けど実際にヒロシみたいにそこまで意識して、決心してさ、そして動いたっていうのはすごいよね。」
「うん。そこまでの決心はしたことないなぁ。」

主人公のヒロシが抱えている責任とそして彼を突き動かす”6年生”、”班長”、”男”という判断基準の重みについてじっくりとイメージを膨らませ、その大変さを自分だったらどうするのだろう?と語り合ったライオンクラス。

そしていよいよ来週は自分自身について思いを馳せ、自分の強味と弱味を分析していきます。
今までのケーススタディや議論で見えてきた自己の判断基準や課題図書「半パンデイズ」の登場人物たちの気持ちに感情移入し、分析して見えてきた判断基準と自分自身をつなげて考えていきます。そこからどのような”なりたい自分像”があぶり出されてくるのでしょうか?

YI

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2014年03月14日

作文を磨く

[1・2年生]

今日は、3月11日。
3年前というと、1・2年生はまだ入学前。
大地震のときの経験が語られていきます。

あのときは、保育園の庭で遊んでいた。
「あれ?揺れてる?」って誰かがいったから地震だってわかった。
テーブルの下に隠れた。
家に帰ったら、すごいぐちゃぐちゃになってた。

本棚の近くにいた子がいて、逃げてきたんだけど、
そのあと本棚が倒れたから危ないところだった。

幼稚園でお迎えが遅くなって、早く帰りたかった。
でも、家に帰れなくて、おじいちゃんちに行って泊まった。

家の中が停電になって、ろうそくを使ってご飯を食べた。

家に帰ったら誰もいなくて、兄弟2人で近くの公園に行ったら、
家族に会えた。
そのとき、家の近くの非難場所がここだって知った。

お母さんが「じしーん!」って大きな声で叫んだ。
お父さんのCDが倒れてきて、ぐちゃぐちゃになった。

そんな地震はどうして起きるのか。
テーマ1週目では、地震はナマズが暴れているから起きるとか、
太陽が地球を吸い込んで、地球がいやだーって戻ろうとして、
その振動で地震が起きるなどのprior knowledge が出てきました。
実際はどうなのでしょう。
地震のメカニズムについて、調べてみると、
どうやら、ナマズが暴れていると考えたのは、江戸時代の人たちだったことが
わかりました。

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「ナマズが地下で暴れるから、地面が揺れると思ったのかな。」
でも、揺れのもとは、地球が動いていたから。
「地球が生きているから、動くんだね。」
「地下は、熱くて、ナマズは入れないよ。」
「マグマが動いていて熱いよ。」
1週目以降、知識が更新され続けているため、
出てくる言葉が違っています。

「地震のおかげで、大陸、大気ができたって、ビデオで言ってた。」
「大気って?」「空気のこと。」
「地震のおかげで、息ができるんだ。」
「動いているから、山とかできるんだ。」
「地震がなければ、月みたいに、地面に何にもなくなっちゃう。」
「地震のおかけで、ご飯が食べられるってことか。」

さて、今週からは、いよいよ発表会で読み上げる作文を書いていきます。
資料は、前回書いた作文とのgood & betterに、key concepts、
そして、今まで話し合ってきたことが書かれているメタメタマップ。
これらを参考にしながら、自分の言葉で、伝えたいと思ったことを綴っていきます。

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何人か書けたと言ってきたところで、全員でシェアしていきます。
「前にも言ったけど、同じ言葉は何回も使わない方がいいよ。」
「私もよく「そして」ばっかり使っちゃう。」
それぞれによく使う助詞があることがわかってきました。
気にすることで、違う言葉を使ってみようとし、語彙が増えていきます。

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マグニチュードは震度の長さのことをいいます。 「あれ?長さのことだっけ?」
「ビデオで言ってたと思う。」
もう一度、見てみると、地震のエネルギーの強さだとわかり、
マグニチュードが1大きいと揺れる広さが大きくなることが確認できました。


時間をかけて、ひとつのテーマに絞った作文を何度も書き換えていく。
「大変だー」「あ。書き忘れ見つけた。」「字が読みにくいな。」
各所から一人言が聞こえてきますが、ネガティブな発言や態度は見られません。
子どもたちの「もっとよくしたい」という思いが伝わってきます。
バーションアップを重ね、清書まで、あと一歩のところまで来ています。


AN

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自分について考える

[3・4年生]

テーマ学習も5週目に入り、翌週末に控えたテーマ発表会に向けてアウトプットについて考えていきます。今回のアウトプットは”なりたい自分宣言”です。
自分の強味と弱味など自己分析し、その上でこれから自分がどうなっていきたいのか、弱味を克服したり、強味を活かしながらどのような自分になっていきたいのか真剣にイメージしてみます。
まずは自分の強みと弱みを自己分析してみました。ところが、自分の弱みはたくさん思い浮かぶのに、自分はどんなよいところがあり、どんな強みがあるのかなかなか思いつきません。
これでは、自分の強みを活かして自分の弱みを克服することはできません。

いい所が沢山あるにも関わらず、「あーあ、強味なんて全然ないや。考えても出てこないなぁ。」というつぶやきが聞こえてきます。

そこで私から子どもたちに言いました。
「みんな自分を分析するのに苦戦しているみたいだね。じゃあ一生懸命考えている君たちにとっておきのサプライズギフトをあげよう!」

「えー!なになに!!」と期待に胸を膨らませた様子の子どもたち。

私がおもむろにファイルから手紙の束を取り出すと「あー!ひょっとして!」と何かを連想しているようです。

「君たちへのとっておきのヒントが書かれた手紙だよ」

「あー、お父さんからの手紙だ!」
「えー!ママからだー!いつの間に頼んだのー!すっげー!」
「いつ書いたんだろう」
教室は嬉しそうな声で大騒ぎになりました。

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そして食い入るように真剣に手紙を読み始める子どもたち。一番身近で、誰よりも頼りにしている人で、でもなかなか面と向かって素晴らしさを指摘してもらったことの ない両親からの思いがけない激励の手紙。
そこには自分では意識していなかった自分の強味や弱味が暖かいメッセージと共にずらりと書かれています。

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「時間がかかってもいいので自分でやり遂げる達成感をもっと味わってください。いつも応援しているのでのびのびと毎日を過ごしてください。」
「短所は減らすに越したことは無いが、現状、短所を理解してくれる仲間に囲まれている。理解してくれる仲間が作れるのもまたお前の長所だ。」
一文字ずつじっくりと嬉しそうに手紙を熟読し、驚いたような感動したようななんともいい表情を浮かべる子どもたち。

さあ何よりのヒントはもらいました。ここからはいよいよ”なりたい自分宣言”を作り込んでいきます。

自分自身にとって勇気を与えてくれるような、いざという時に自分を支える言葉となる宣言をまとめることができるでしょうか !
残すはもう1週間。行くぞライオンクラス◎

YI

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意味のある停滞

[6年生]

セントラルアイデアが固まり、キーコンセプトで本質に迫る問いを立ててリサーチ&シンキングを進めてゆく流れはできたとしても、淡々とプロジェクトは進みません。調べれば調べるほど、考えれば考えるほど、どんどんもやもやが増えてくる。それが「探究」です。

「どうして小さなコミュニティがいいのか……」

まちづくりが生き方と働き方を変えるというセントラルアイデアで、自然と一体化したまちづくりを提案しようとしている子が悩んでいます。自然の中で循環する小さなコミュニティ……全然悪いことを言っていない。むしろこれから求められる理想のまちの形態のように聞こえます。しかし、だからこそキレイゴトを述べているだけで、なぜそれがいいのか、どう具体的に実現するのか、自分なりの提案が伴わないと説得力が出てきません。どこかに書いてあったこと、誰かが言っていたことをそのまま写しただけになってしまうのです。それがわかっているからこそ悩んでいました。

「小さいと困ることってある?」

一つの方向に固まって煮詰まっているときは、逆の方向に考えてみて、発想を広げてみます。大きい方がいいこと……そこだけでなんでも手に入る、多くの人に助けてもらえる……という発想が頭に浮かんできます。そこですかさず

「じゃあ、大きい方がいいってことね」

と挑発してみます。すると

「いやあ、そうとも限らないよ。だってもし大きい方、多い方がいいなら、大都市の人はみんな幸せなはずなのに、ラッシュでぎゅうぎゅうづめで疲れている感じだし、人と人とのつながりもないよ」

なるほど、なるほど、本当にそうだ。どこに言っても人ばかり。狭いスペースに住み、のびのびとする場もない。じゃあさらに挑発するけど、それでもどうしてみんなは大都市にこだわるんだ?

「う〜ん……便利だから。それにお金が稼げないからかも……」

おお、だんだん核心に近づいてきた感じ。頭がぐるぐるしていて探究しているねえ。じゃあ、お金の問題がなんとかなって、便利に効率的にやらない方がなんか豊か!っていうイメージをつくればいいってことかな。ではそれと君が提案したい「小さい」っていうこととどうつながるんだろう?……

「地域通貨っていうのを聞いたことがあるんだけど……」

ここまでいろいろリサーチしてきたバラバラな知識がつながり始める瞬間です。地域通貨なんて調べてたんだ。教師もよくわからない知識を子どもが持ってきます。そういうときは子どもに巻き込まれて一緒に学べばよろしい。一緒に資料を読みこんでみると、地域通貨というのは、たとえば、犬の散歩とか買い物の代行とか、作りすぎてしまったジャムとか、そのレベルでの労働や品物を、お互いにやりとりし、あげた方は相手からポイントをもらい、もらった方はマイナスのポイントがつくというものです。これだとお互いの顔がわからないとうまく回りません。

「だからコミュニティが小さくないとうまくいかないんだよ」

おおっ、やっと「小さい」ことのメリットが自分なりに見えてきましたね。「地域通貨」によってリアルな「現金」を補えば、お給料が減った分を埋め合わせできる。お給料が減ってもいい働き方なら、別に大都市にある会社に勤めることにこだわることはない。そうすれば、通勤時間がない、職住一致も可能。そのうえ労働時間も短縮できれば、使える時間がたくさん増える。朝はゆっくり農作業。自分の服は、糸をつくり、色を草木で染めて、自分で織ってつくる余裕も生まれる。もしそれがなかなかのもので、人気が出れば、自分で着られるだけでなく、誰かに売って「現金」を得ることもできる。

一気に、いろいろな考えがつながってきました。いやあなかなか魅力的な「小さいコミュニティ」じゃないですか。私も君のまちに住みたくなってきましたよ。

このようにまとめて書いてしまうと、スムーズにいったように見えてしまいますが、何も考えが出なくて止まってしまう瞬間の連続でした。「沈黙は金」と言いますが、TCSの真骨頂は「金の沈黙」。何も考えていないから黙ってるんじゃない。考えているからこそ黙るのだ。質の高いアウトプットへとつながる、まさに意味のある沈黙、意味のある停滞なのです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

イノベーションを生み出すぞ!

タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生

[5年生]

今回のミッションに立ち返り、「豊かさとは何か?」について考え
続けてきた子ども達。
いよいよ「消費電力量50%減で豊かに暮らす社会」を実現するた
めの具体的なアイデアを検討していくことにしました。

まずはそれぞれが考えてきたアイデアをシェアから始めます。

「前にテレビで紹介されてたんだけど、水に濡らして使ううちわっ
て使えないかな?」
「電気を使用する分だけ先に購入し、その範囲で使うようにすれば
いいんじゃない。」
「Yシャツやジャケットの中にファンがついていれば、外でも涼し
いはず。」
「節約アプリをもっとみんなが活用するとか。」
「カイロは結構実用的かも。電気を使わないで済むし、再利用でき
るものもあるよ!」
「通学に自転車を使ってるけど、乗っていて愉しいし、健康にも良
いんで、値下げしてもっと普及させたいなあ。」

たくさんのアイデアが模造紙を埋めます。
しかし、どのアイデアも個別具体的で、節電や省エネにつながるか
もしれませんが、ミッションを実現するほどのインパクトが感じら
れません。

「これらのアイデアを実行したら、電気に依存する人の考え方を変
えられるかな?」

私からの質問に言葉に窮する二人。

(そう簡単にイノベーションが創出できるようであれば、誰も苦労
しないよな・・・)

メタメタマップの写真をプリントアウトし、ホームワークとして、
それを見ながらもう一度考え直すことにしました。

翌日の授業では、真っ先に私のアイデアを提案してみることに。

「消費電力量を半分にするためには、今、普段の生活で行っている
ことを半分にしてみたらどうだろう。例えば、仕事も学校も通う日
数を半分にしてみるとか。」

「もしかして、お風呂に入る回数とかも?」

「もちろん!」

これまでのアイデアとは違う視点に子ども達も驚きます。
ただ、そこで先生の意見に賛成で終わらないのが、うちのスクールの
子ども達も面白いところ。

「結局は電気を使えなくても、それを楽しめたら良い訳だよねー。」
「停電を面白くする企画なんてどう?例えば、一日東京サバイバル
体験とか。」

「なるほど。具体的には何ができそうだろう?」と尋ねると・・・

「暗闇の新宿を歩き回るのは面白そう!」
「みんなでバーベキューもやってみたい。」
「家に眠っている防災グッズを実際に使う機会としても良いんじゃな
い?」

多くの人を巻き込むためには「やらされる」ではなく「やってみたい」
が重要。
これまで議論してきたことが次々につながっていきます。

「良い名前を思い付いた。『東京暗闇計画』にしようよ!」

昨日までの停滞が嘘のように、一気に議論が活性化しました。
そして、実現可能性を高めるために、考慮すべき点を洗い出し、一つず
つ検討していきます。
当然出てくるであろう反対意見にも備えないと、ただの面白いアイデア
の域を出ないことを本人達も十分に理解しているのです。

どうにか発表内容をまとめ、早速プレゼン資料の作成にかかります。
ただ、来週金曜の発表会まで残された期間はわずか。
はたして間に合うのか。どきどきの1週間を過ごすことになりそうです。

HY

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2014年03月21日

聞いてもらうために読む

[1・2年生]

今週の金曜日には発表会があります。
でも、発表する作文がまだできあがっていません。
なんとか仕上げたいところ。でも、今よりもっとよくしていきたい。
いいと思って書いても、直したいところは出てきます。
どこかで区切りをつけて「これでいこう!」と決めなければなりません。

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「これで清書できるかな?」
ここだけ直せばいいから、矢印つけて書き加えれば?というと、
「それじゃあ、新しい紙ちょうだい。」
こんなに字を書く1・2年生は、そうはいないでしょう。
清書にたどり着くまでに、4回〜6回のバージョンアップを重ねたことになりました。

このテーマ学習に入る前、アウトプットをどうするか決めるとき、
作文にチャレンジすることは、ハードルが高いと思っていました。
思い切ってやってみることにした結果、これだけ書くとは。
ほんとに、子どもをなめてはいけません。

ひとつの自然災害について、原因・被害の大きさ・被害から逃げる方法・恩恵の視点で
自分の思いや体験を交えて、自分の言葉で作文を書き上げました。
できあがってみれば、
1年生で360字〜600字、2年生で800字〜900字の作文になりました。

あとは、読む練習です。
自分の書いた文章なので、たどたどしくなることはありません。
読むことばかりに集中すると、逆に早口になってしまい、
何をいっているのかが、伝わりにくくなってしまいます。

そこで、
ゆっくり、滑舌よく読むために、
朝の会で恒例の音読練習を作文でやることにしました。
一音ずつ、口をめいいっぱい開いて、お腹から声を出し切ります。
「たー」「いー」「ふー」「うー」「はー」
「いー」「しゅー」「かー」「んー」「でー」
「やー」「てー」「くー」「るー」

「台風は1週間でやってくる。」を一音ずつ読むと、 20秒以上かかります。
全文をこのようにして読むと、かなり疲れます。
子どもたちは、句点ごとに交代しながら、読み合っていきます。
目的がわかっているため、一生懸命やっています。

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音読練習をしたあと、普通に読んでみると、練習前よりも聞きやすくなっています。
原稿で顔を隠さないことや、時々顔を上げることも練習、練習。

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前回のテーマ発表会の振り返りシートに、
「一人ひとりの発表でも、全体のつながりが見えるともっといい。」と
コメントしてくださる方がいました。
それを覚えていた子どもたちは、前の人の発表とのつながりを一言いってから、
作文を読むということを試みました。
発表順番も、コメントがいいやすいように考えて決めました。

さぁ、いよいよ本番です。
写真も資料も掲示しないで、作文だけで言いたいことを伝えます。
しかも、今回はいつもよりも広い体育館の舞台からの発表です。
一層、緊張してしまいます。
そのような状況で、子どもたちの、ゆっくり焦らず読んでいく姿は、
堂々としていて立派でした。
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AN

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「表裏一体」~ふりかえり~

[1・2年生]

 今回のアウトプットは、作文でした。
1・2年生が、自分たちの伝えたいことを文章にしていったわけですが、
一般的な作文の「型」を教えることはしませんでした。
その代わり、作文の中に入れるべきコンセプトを何度も確認していきました。
causation / connection / perspective 
作文を書く上で、これらが入っているかいないかが判断基準になったわけです。

でも、これだけで作文が書けるようになったとは思えません。
相手に伝えるためにはどのような工夫をしたらいいのか、
それは、この一年間で彼らが日々学んできたことだったと思います。
朝の会での3分間スピーチ「語るべえ」。
数をこなすごとに上達していったのは、それだけ多くの「語るべえ」を
聞いていることも大きく影響しています。
また、テーマ発表会では、上級生のプレゼンを目の当たりにしています。
日々学んでいることが土台となり、
自分なりの表現方法を「考え」ながら、テーマ学習で「知り得たこと」を書いた結果、
みんなが同じ型でない作文が生み出されたのでしょう。

 目指してきたラーナープロファイルは、Knowledgeable,Thinkers,Balanced。
そして、セントラルアイデアは「禍福は糾える縄の如し」でした。
子どもたちは、禍は邪魔すること、嫌なこと、悪いことであり、
福はいいこと、嬉しいこと、楽しいこと、幸せなこと、ラッキーなことであると
捉えてきました。

自然災害は、災いであり、自分たちを邪魔する嫌なものではありますが、
それがあるからこそ、私たちは福を持って生きていけることを知りました。
この学びを通して、今後、どんなことにも、禍福が糾っているという
「バランスのとれた」受けとめ方・見方ができるようになってほしいと
願っています。

AN

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最後のつくりこみ

[6年生]

エキシビション発表まで残り1週間を切り、いよいよ探究した成果をまとめるポスターづくりに取り組み始めました。模造紙2枚分のスペースに自分が探究した内容をコンパクトにまとめます。

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キーボードで打ちこめば、きれいなフォントで、簡単にレイアウトでき、カラフルにプリントアウトできる時代だからこそ大事にしたい手描きの力。これまでのテーマ学習で培ってきた力を exhibit する絶好の機会です。

床に紙を広げ、これまで調べてきたこと、考えてきたことの中から、どんなことを選んだら面白いか。選んだ項目をどんな配置で描いたらいいか。項目毎にどんな見出しをつける……そんなことを意識しつつエンピツで下書きをしてゆきます。

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黙々と集中して取り組み、職人の工房さながら。やらされ感がまるでありません。模造紙をきれいにまとめるというのは、TCSの探究でもっとも鍛えられたことのひとつですが、卒業を目前にしてそれがしっかり身についていることを実証しています。なんと素晴らしいことでしょう!

下書きができたら、いよいよカラーマーカーを駆使して、どうしたら美しく、インパクトのあるポスターになるか考えながら仕上げてゆきます。この段階まで来ると、もうすぐ完成!という気持ちと、あれ?もっとこうしたらいいかも?と、完成度を高めたい気持ちとがせめぎ合い始めます。ここでもういいか……となるか、納得ゆくまで工夫したい……と思えるかで、探究の深さは左右されます。彼らの学びの姿を見守るのが エキシビションの趣旨ですから、挑発することなく、黙って作業を見つめています。

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「どうおっちゃん?」

出来ばえが気になり、つい頼ろうとする子どもに対して、私は黙っているしかないのですが、それが自ずと子どもへのサインになってしまい、

「自分で考えろってことね……」

と勝手に解釈し、あきらめて再び動き出します。挑発慣れしている子どもたちだから、結局、私の存在自体が、アウトプットの質を高めるためにふりかえれ!という意味を子どもに与えてしまうようになっています。そのうえ、これでいいや!としてしまうのはなんとなく気持ち悪いという習性が身についているのですから、つくりこみに没頭できるわけです。

「できたよ!おっちゃん!」

おお、なかなかよくできているじゃないか。自分が精魂こめてつくってきた成果物をよく頑張ったなあという眼差しで見つめている子どもの姿には充実感が満ちあふれています。

さあ、あとはプレゼンの準備のみ。卒業式でのお披露目が楽しみになってきました。

RI

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プレゼンの達人

タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生

[5年生]

今回、5年生は過去の先輩達もやったことがないある課題に挑むこ
とになりました。
それは発表ツールも自分たちで選ぶという挑戦です。
4月からいよいよ最上級生になる二人。
来年度のエキシビションを見据えてのスクール側の判断です。

作文、詩、スピーチ、歌、紙芝居、講談・・・
過去の発表をふりかえると、これまで自分達がいかに様々な発表方
法を使ってきたか実感します。
そんな中、子ども達は、プレゼンをKeynoteで実施し、あとこのテ
ーマを通じて抱いた葛藤感をコラージュで表すことにしました。

そこで、スティーブ・ジョブスが初代iPodを発表した際の動画を見
ることに。

「ゆったり、堂々とした話し方は説得力がある。」
「所々、笑いをちりばめていて、聞いていて、全然飽きないよ。」
「iPodの特徴を数字ではっきり示していて、わかりやすいなあ。」
「スライドも写真が豊富で、見やすいね。字ばっかりだと、眠くなっ
ちゃうもん。」
「実際の製品をポケットから取り出すところなんて、気が利いてるね。」

生前プレゼンの名手と呼ばれたジョブスの凄さは子ども達にもひし
ひしと伝わったようで、すっかり虜の様子。
動画を見た後のふりかえりでは、次から次に気づいたことが挙げら
れていきます。
自分たちのプレゼンにも使えそうな技がたくさん見つかりました。

「よしっ、早速プレゼンのストーリーを考えてみるよ!」

プレゼンの主担当をRくんに任せ、それと並行してMちゃんがコラ
ージュの製作にかかります。

コラージュの素材は十分すぎるほど集まったのですが、いざ模造紙
を前にするとどうすればよいかわからず固まってしまいました。
どうやらまだ頭の中のイメージが広がっていないようです。

そこで、放課後の時間も使いながら、今の自分の心境や頭の中のイ
メージをゆっくり言語化していく時間にあてました。

最初は言葉すくなだった彼女も少しずつ口を開きます。

「テレビでエネルギー問題に関連する話題を取り上げられていても、
正直自分にできることはあまりないんじゃないかなって思っちゃう
んだよね・・・」

「それはどうして?」と私。

「うーーん、今回のテーマをやってみて、エネルギー問題がいろん
な社会問題につながっていることを知って、あまりに問題が大きす
ぎて、考えられなくなるからかな。」

「じゃあ、この問題は国や政府に任せるしかないかな?」

「ううん、それも違うと思う。誰かに任せていても何も解決しない
ということにも気付いたんだ。小さなことでも自分で行動を起こさ
ないと。」

「そっか。まさにそれが君の葛藤なんじゃない。今の正直な気持ち
や思いをコラージュに表したらいいんじゃないかな。」

アウトプットに苦戦している子ども達に対して、いくら具体的なテ
クニックを伝えても、あまり意味がありません。
なぜなら、イメージの広がりや深まりが不十分だからこそ、具体的
な形に表せず、困っている場合が多いからです。

なんとか、こちらも作業が前に進み出し、工房と化した教室で週末
の発表会に向け、ラストスパートをかけます。

教室中を埋め尽くしたメタメタマップを見返すと、彼らがエネルギ
ー問題について考え抜いたことが改めて伝わってきました。

後は発表を残すのみです。

HY

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2014年03月22日

「ロストエナジー」~ふりかえり~

[5年生]

『消費電力50%減で豊かに暮らす社会』を実現するためのイノベ
ーションを考え続けてきた5年生。

強制的な計画停電をベースにしながらも、それをみんなが面白がっ
て、取り組みたくなるようなアイデアが必要だと考え、「東京暗闇
計画」を提案しました。
大人顔負けの堂々としたプレゼンテーションは観客を魅了しました。

またコラージュでは、エネルギー問題と対峙した時に抱く自身の葛
藤感を表現しました。
エネルギー問題が実は多くの社会問題につながっていることに気付
き、自分一人の力ではどうしようもないという思いと、それでも他
人任せにしていては何も解決しないと思いが交錯した様子が素直に
表されていました。

今回のテーマを通じて、エネルギー問題の根本原因は人間の止めど
ない欲求にあり、電気なしでは生きていけないという固定化した価
値観を突き崩さない限り、何も解決しないことに気づいたは彼らに
とって大きな一歩だと思います。

今まで不快・不便・ロースピードだと思い込んでたものがはたして
本当にそうなのか我々も立ち止まって考える必要があるのではない
でしょうか。

イノベーションとは技術革新のみを指すのではなく、パラダイム転
換そのものである。そこに意識が及んだことが今回の学びの成果だ
と思います。

「共存共生」で取り扱うテーマはどれも地球上で生きていく上で避
けることができないものばかりです。
問題の大きさを知り、それを目の前にした時に、ただ思考停止する
のではなく、そんな中でも自分にできることがないか考え、行動す
る。
まさに「終わりが始まり」をこれまで以上に強く実感したテーマ学
習となりました。

HY

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2014年03月24日

粘って磨く

[3・4年生]


自分に向けた宣言を何度も眺めては消し、そして書いては消してまた練り直すという作業をずっと続けた6週目。

自分の弱味を克服し、また強味をさらに伸ばしていけるような”なりたい自分”になるための宣言。
自分ではこだわり抜いた”言葉”のつもりがまだどこかに自分への甘さがうかがえます。そしてそのことに一番気付いているのはきっと本人なのでしょう。

「ぼくは人任せにしない人になります!って宣言しようと思う。」
「それはなぜかな?」
「ぼくはよきう弟に自分の出したゴミを捨てさせちゃったりするんだ。だから自分の事は自分でやらないといけないし、それを目標にいしようかなって。」
「ふうん。いいと思うけど、なぜ人任せにしてはいけないと思うの?」
「・・・・人ばかり頼りにしていると自分が頼られないからかな。それに信用もなくなりそう。」
「なるほどね。では弟にゴミを捨てさせないようにするのが君にとってはみんなの前で自分に対して宣言したいほど努力が必要な、それでいてその目標をイメージするだけで力が湧いてくるようなことなんだね?」
「うーーーーん。。。そう言われるとどうかなぁ。。。ちょっと違うかもしれない。。。」

こんなやり取りがひたすら続いた6週目。
私の役割は子どもたちのアウトプットに対して鏡のように質問を返し、彼らに客観的に自分の宣言を見直す手がかりを与え続ける事です。
そのためにはたとえ時間的に余裕が無くても粘り強く、子どもたちと一緒になって様々な観点で宣言を見返し、自分とつなげていくことが大切です。
私も子どもたちと一緒に自分の宣言を作ったので、まさに気持ちは同じ。
聞こえのいい、きれいごとの言葉ではなく、自分が奮い立つような核心に迫る宣言を探究していきます。

そして最終日のギリギリまで粘り続け、子どもたちはなんとか宣言を仕上げきる事が出来ました。
A-3の紙にレイアウトを考え、丁寧に仕上げた宣言をラミネート加工して出来上がり。

発表練習の時間はほとんど取れませんでしたが、ずっと自分で考え続けてきた自分へ向けての宣言ですから頭には入っているはず。
あとは家で本番をイメージして、気持ちを込めて思いきり宣言できるように練習するのみです!


YI

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2014年03月25日

『エキシビション』〜ふりかえり〜

[6年生]

[6年生]

卒業式を午後に控える午前中。「エキシビション」のプレゼンテーションが行われるのがTCSの流儀です。

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卒業生3名が、まず、ステージ上で探究してきたことをスピーチします。スピーチの後は、作成したポスターの前で、オーディエンスからの質問に応えながらさらに詳しく自分のやってきたことを語ります。

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「大手スーパーのことを調べていたら、だんだんとそのスーパーが目指すのとは異なる自分なりのまちの姿が見えてきてしまったのです!」

「本来、神は人との争いを許さないはずだし、もし教えに本当に従うなら宗教戦争は起きないはずです。」

「ぼくの学んだ6年間の歩みをぜひ見てください!」

限られた時間の中で、言いたいことをストレートにぶつけます。

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よくつくりこまれたポスターにみんな見入ります。やりたいことを考え抜いた末のことですから、どんな質問にも自分の思いが素直に出てきます。

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すべてのプレゼンが終わると、オーディエンスの拍手の大きさで、卒業できるだけの学び続ける力を身につけたかどうかを評価します。もちろん全員、大きな拍手を浴びて、みんなに温か祝われながら卒業が決まりました。

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とはいえ、探究の合い言葉は「終わりが始まり」。探究の道はいままさに始まったばかり。まだまだ better はいっぱいあります。それをしっかり reflection して、さらにたくましく、しなやかな探究者として歩んでいってほしい。そんな思いで彼らを見守るおっちゃんでありました。

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RI

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2014年03月26日

『To Be Or Not To Be』〜ふりかえり〜

[3・4年生]

このテーマではセントラルアイディアである『意思決定とは行動を約束する事である』というゴールに向かって探究してきました。
3・4年生は日々行なっている意思決定について初めて意識し、自分の意思決定を客観的に振り返る事で自分たちの判断基準の傾向に気がつきました。

また自分自身の強味や弱味を自己分析し、また友人や両親からもアドバイスをもらって”自分”についてこれまで以上に深く結びつく事ができたのではないでしょうか。
そしてなりたい自分を思い描き、今のありのままの自分が弱味と強味を抱えながら、”なりたい自分”を高らかに宣言し、これからそれを意識して歩んでいく。
まさにこの”自主自律”という探究領域で中学年が探究するのにふさわしいテーマと言えるでしょう。


発表会では堂々と自分の宣言を聴衆の前で読み上げました。
そして発表会に集まったオーディエンス一同で彼らの勇気とこれからに対する心からのセレブレーションとして大きな拍手を送りました。
この宣言はまさにここから始まっていくという宣言です。
様々な困難に出くわした時や何かを見失っている時、この宣言を見て大事な事を再確認できるように、そして宣言から力をもらうことができるように。
まさに探究の学びは終わりが始まり。ここからまた新たなスタートです。

『ぼくはいつでもレジリエンスを発揮できる人になります。』

『むずかしい事があってもごまかさずにやり続ける人になります。』

『ぼくは、自分が言おうとしている事や、やろうとしている事を判断基準を通してReflectiveできる人になります。』

『失敗を恐れない人になります。』

『やるべき事を面倒臭がらず、人に言われる前からきちんとやって、自信を持てる人になります。』

『どんな事に関しても良いと悪いを見極める。』


YI

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