東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2011年01月 アーカイブ

2011年01月14日

有罪?それとも無罪?

[5年生]

5年生のテーマ「罪と罰」は、年明けから
積極的に動きました!
まず『弁護士さんを訪ねる』の第二段を、
それから模擬裁判のために裁判所へ。

今回弁護士さんから与えられていた事例は、
Aさんに対する放火の嫌疑というものです。
子供たちにとっての最重要課題は、
【Aさんは火をつけたのか?】
の判断をすることである。

RIMG0059.jpg
RIMG0060.jpg

順番に判決を発表してもらったが、
子供たちは全員、Aさんを有罪と判断。
最初に発表した子は
Aさんに有利となるBさんの証言について
 ・夜で暗かったかもしれない
 ・見たのが100mも離れた所から
 ・背後からしか見ていない
などの点に着目、
「他の人と見間違えた可能性がある。」
とし、Aさんのアリバイを立証できないと主張。
ほとんどの子が同様の見解。

また、女の子の一人は
 ・Aさんの外出時に奥さんが家の鍵を全部しめた
 ・出火時に家の鍵は全部しまっていた
という2点から、外部の人間の犯行は考えにくいこと。
さらに、発見時のAさんについて、
 ・着替えて外出したのに、パジャマ姿だった
 ・家の鍵をもっていた
という2点から、家に戻り着替えたはずだと指摘し、
出火時にAさんが現場にいたと考えることも可能と説明。
この説明にはみんな納得のようす。
それぞれ、肝心な点をいくつか押さえていた。

RIMG0064.jpg


そんな中、前述の女の子は、
「Aさんの吸ったタバコの火種が残り、それが出火原因かも。」
「まれかもしれないが、ライターの自然発火からの出火もありえる。」
と別の可能性にも言及。
弁護士さんはこの視点を評価し、その上で
【放火】と【失火】の違い、ひいては
【故意】と【過失】の違いについて、そして、
その違いが大きな隔たりとなることまでを
解説してくれました。

子供たちは、少しずつ判断材料をふやし、
より質の高い判決に向けて前進しているようです。

模擬裁判のために案内されたのは404法廷。
普段は、本物の裁判に使われている舞台。
子供たちは、少し緊張しながら、あるいは、
演じることに照れながら、貴重な体験ができました

傍聴席から見つめていただけの裁判を、
本物の舞台でそれぞれの役に扮することで、
まだ興味本位を脱しなかった彼らの気持ちに
真剣味が徐々に増してくるように感じました。


模擬裁判の最後に、解説と指導をしてくれた職員の方から
「人を裁くというのは、一人の人間の人生に大きく関わること。
だから、判決を下すためには、明確な理由・根拠が必要となるのです。」
といった内容の言葉をいただきました。
奇しくも、同様のことを弁護士さんの口からも
聞いていました。
このことを子供たちは、どれだけ意識できるのだろうか?
今後のポイントとなりそうです。




TY


TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「自」の「動」きを高める

[1・2年生]


新年一発目から、早速「動」きました!
TCSから中野区役所までの道でごみ拾いです。


「自」の「動」きを高める_01   「自」の「動」きを高める_02
「習うより慣れよ」の通り、
体験を重ねるに連れ、ごみ拾いに慣れてそしてこだわりが見られるようになりました。


「自」の「動」きを高める_03道脇にある排水溝の鉄格子のすき間にトングを差し込んで、
その下にあるごみをとろうと、必死に格闘する姿。
駐車場の中や自動販売機の裏などでも目を届かせ、数メートル先のごみまでも見つけてしまう姿。


歩けば30分の道のりなのに90分近くかかるほどの集中ぶりでした。


ごみ拾いを重ねて、街中を見ていると不思議な光景に出会います。


「自」の「動」きを高める_04    「自」の「動」きを高める_05
まず、たばこが異様に多い。
拾ったごみを分別してみると、230本ほどのたばこを拾っていたことが分かりました。
これには子どもたちもびっくり。


また、ごみ集積所には
裸のまま捨ててあるグラスや、まとめられていない細かなごみが落ちていること。
「これって、拾ったほうがいいのかな?それともここに置いたままがいいのかな?」
と悩むこともありました。


この日も、「恩」をたくさんいただきました!
通りがかりの人からの声。
「えらいね。」
「ごくろうさん。」
子どもたちからは「『恩』もらったよ!」と嬉しそう。


「自」の「動」きを高める_06そして、なんと、道中にある八百屋さんからは焼き芋をいただいたのです!
これこそ、「働かざるもの食うべからず」。
スクールに戻った後、みんなでいただきました。
働いた後の報酬の味は、格別です★


ふりかえりでは、ごみ拾い前に各自で決めた気をつけることを元にしました。
「できていたと思うけど……どうだったかなぁ?」
その時に活躍するのが、ビデオ映像!


見てみると、
「あっ、歌ってしまってた……」
「トングが上に向いているよ……」


大人でもそうですが、「自」の「動」きってなかなか客観的に見れないもの。
実際に、外側から自分を見ることをすることで、気付けることがあります。


そうして、誰かのために「動」くことはできるようになってきた子どもたち。
ごみ拾いで見つけた鍵を交番に届けに行く途中も、自らの提案でごみ拾いをするなど、
自発的に動こうとする姿勢も見えてきました。


さぁここから、テーマを通してのミッション「人の役にたつために動く」を達成するために、
相手の求めに応じて仕事をすることが重要になってきます。


そこで、手始めとしてTCSの整理整頓に挑戦しました。
紙切れを大中小の大きさに分けたり、
ペンをインクが切れているかどうかを調べたり。


「自」の「動」きを高める_07「これをボックスに入れて。」
「オッケー!」


「自」の「動」きを高める_08「このケースに、使えないペンを入れていいからね。」
「うん、分かった。」


相手の願いに応えようという姿勢だけでなく、
その際に協力し合う姿も見られました。


でも時々「我」が出てくることが……。
「これは、僕がやる!」
「なんで、私が持ってたんだから。」


「これをお願いしたい」という話もきちんと聞かないまま動きだすこともありました。
相手を話を聞く姿勢、一緒に働くメンバーを尊重し合う姿勢も必要ではないでしょうか。


さて、来週は最後のミッション。
相手の役にたちたいという気持ちを持って、動くことはできるのでしょうか?


EN


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このままでよいのか?何かできないか?

[3・4年生]

この日もふれあいの家にお邪魔しました。
「よく来てくれたね。いらっしゃい」
皆さんが優しく迎えてくれました。

近くにある同じ経営母体の施設の方々が来て、対抗戦を行い交流を深めるということでした。

その方たちと一緒にレクリエーションを楽しむプログラム。
今回は、風船バレーという競技のお手伝いとして、得点係と、玉拾いをさせていただきました。

玉拾いは、コートの外から出たボールをコートにつく前にそっと選手に返してあげるのです。

子どもたちは、打ちやすいように軽く打って返していました。
裏方に徹底をしている姿を見て、

「ちゃんと打ちやすいように丁寧に返してくれて、優しいねぇ」
と感心する言葉が聞こえてきました。

ゲームは白熱していき、応援にも熱が入っていきました。
ある子どもは飛び跳ねながら応援していて、
ポイントが応援しているチームに入ると、
「やった!」ととても楽しそうにしていました。
思いがこもっていき、そんな心が嬉しく感じたようでした。
とても雰囲気がよく盛り上がっていました。

ボランティアを終わり、帰ろうとすると、
対抗戦に出てきているチームからも子どもたちの様子を見て、
「うちにもぜひ来てよ!」
という声が聞こえました。

「行ってみようよ」
「行きたいな」
そんな嬉しい声に子どもたちも、敏感に反応していました。

視野も広くなっているのか、慣れてきたのか、
自分から、これは手伝えるのではないかと
考えて動いていました。

その姿を見てということや、やはり子どもの声を聞いていると元気がもらえるということもあり、
「絶対くれなきゃダメだよ」と嬉しい声を聞くことができました。

水曜日には、病院にて綿布切りをしました。
手馴れたもので、作業は確実に上達をしています。
坦々と作業をしていきました。

しかし、確実に心の緩みは見え、
作業の手が止まってしまうなど、
効率も悪くなってしまっている場面も見られました。

単純作業の方が、人と触れ合うことよりも精神力が問われるといったところでしょうか?

自分自身で振り返りました。


前回、別の施設に誘われたことに関して、実際に訪問させてもらえるように交渉することになりました。
ただし、自分たちでアポイントをとらなければなりません。

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相談の電話をしてみようということで、
まずは電話をかけたときの対応の練習をしました。
目的と自分達たちがどうして行きたいかを簡潔に分かりやすく説明しました。

自ら考えて動いてみることはとても大切なこととです。
「検討します」という返事をもらえたので、訪れることができる可能性が出てきました。
子どもたちは、求められたことが嬉しかったようでとても気持ちが高ぶっていました。

今回の自分たちが何回も訪問をして、喜んでくれている姿を感じ、とてもやりがいを感じています。

「最終週はテーマ発表の準備をするので、来週でで訪問するのは終わってしまいます。
そこで終わりです。ふれあいの家の人はどんな気持ちになっちゃうかな?」
という問いかけをしてみました。

「自分たちは楽しかったけど・・・」
「さびしがっちゃうかな?」
「ずっと続けていけるといいのにな」

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ふれあいの家にずっと続けていったり、何か恩返しのようにできることはないのかを話し合い考えました。

①自分たちのフリーの時間を利用していけるようにする。
②出し物を見て楽しんでもらう


この二つのことを具体的に進めて行くことになりました。
果たして、この思いは通じるのでしょうか?



TK


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2011年01月17日

2011年度教員スタッフ募集

東京コミュニティスクールでは、2011年度スタッフを募集しています。

興味のある方は、下記ページをご参照の上、お気軽にご連絡ください。

教員スタッフ募集に関する詳細は、こちら
ボランティアスタッフに関する詳細は、こちらをご覧ください。

【募集に関するお問合せ・ご相談は、下記までお気軽にどうぞ。】
   東京コミュニティスクール
   〒166-0012 東京都杉並区和田3-37-5 第5鴨下ビル
   TEL:03-3313-8717
   FAX:03-3313-8790
   E-mail:school@tokyocs.org
   ※迷惑メール防止のため、「@」を全角にしております。お手数ですが、半角に変更してから送信してください。

2011年01月21日

本格的な判決文を!

[5年生]

今週からは、スクール内にて集中的に授業。
「裁判官として本格的な判決文を書く!」
子供たちに今テーマでの使命を
確認のためにもう一度伝えました。

「人を裁くなんていう大変な仕事はやりたくない。」
「こんなこと、報酬が多くなきゃできないよ。」
などの意見が飛び交う。
『決して生半可な気持ちでは
裁判で判決を下すなんてできない。』
と理解している発言に聞こえました。


提示した事件は二つ。
『業務上横領』と『殺人』。
まず、両方の資料にみんなで目を通すことに。
どちらも、量刑を判断する事例だと、
みんな理解できたようです。


どちらを選ぶかを各自検討し始める。
一人、二人と取り上げる事件が決まる。
決まったものの、書式が分からず困った様子。
そこで、書き出しとなる『主文』とそれに続く『理由』
の書き方の基本的なことをこちらから指導。
弁護士さんに依頼してある、『判決書』の見本が
届き次第、配布すると約束してこの日は終了。


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翌日はまず、量刑を考えるポイントを出し合い、
ホワイトボードにまとめてみることに。
「横領の額が多額なのは被告人に不利。」
「隠蔽工作がないのは被告人に有利。」
などといくつかのポイントが挙がる。
どうも、子供たちはみんな
検察官と弁護人の主張が、どんな意味を持つのかを
すっかりつかんでしまっているようだ。

各自が自分の作業に集中している時に、
一人の男の子が、『殺人』事件について
「これは殺人で起訴されてるんだよね?
もし殺人と判断されなければ無罪になるの?」
との疑問を投げかけてきた。
「いい質問だ。どう思う?」
と問い返す。
「起訴された罪に当たらなければ無罪も考えられるかな?」
の返事。
これを聞いていた隣の女の子が、
「人が死んでるのだから、無罪はおかしいと思う。」
とすかさず発言し、しばし議論が続く。
最終的に
「そうか、一段軽い罪に問われるんだな。
だったら、傷害致死ということか。」
で一件落着。

何人かの子供たちは、中々手が進まないようです。
一人の人間の人生を左右する重大な事柄だけに、
慎重にならざるを得ないかもしれません。
さて、子供たちは、残された時間で、
どれだけ正しい判断に迫れるのか、
問われることになります。



TY


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相手のために「動」く

[1・2年生]


このテーマでは、人のために動いて感謝されることを目標に、
ごみ拾い・TCSの整理整頓など、いろいろなことをして動いてきました。


今週は、最後の活「動」。
今までの成果を表すべく、杉並区内の農家、倉本さんの元を訪れ、
二日間に渡ってお手伝いをさせていただきました。


仕事は主に、たき火と畑の片付けです。
キャベツやブロッコリー、人参などを収穫した後の畑で、残っている葉っぱや茎を集めます。


相手のために「動」く_01   相手のために「動」く_02

相手のために「動」く_03   相手のために「動」く_04


倉本さんのお話を聞いて、求められた通りに動くことができていました。
だらだらではなく、キビキビと動く姿。
2日分の仕事も、1日目にほぼ終えてしまうほどのスピードでした。


仕事にはスピードに加え、丁寧さも求められます。
最初は、運ぶ手のすき間から作物が落ちたり、
土の下に埋もれている葉っぱに気付かなかったりということがありました。


しかし、作業を続けるに連れて、
「この辺りもやらなきゃ。」
「箱を(作物の近くに)持っていったほうがいいかな。」
「今は遊ぶ時間じゃない……がんばろう」
とその場で、子ども自身で気付くシーンが多々見られました。
動きながら、視点を変えたり、ふりかえったりできるようになってきていることを感じさせられます。


相手のために「動」く_07そして働いた後には、倉本さんから「役にたったよ!」と言ってもらえたのでした。
また、大根や人参・キャベツも頂き、
今回もまさに「働かざるもの食うべからず」を実現!


今回の経験は、畑の土に触れる機会が少ない子どもたちにとっては楽しかったようで、
とても生き生きしているように見えました。


相手のために「動」く_05何より、倉本さんに会えたことが、彼らの心に残ったよう。
帰る時に、
「また来たいなぁ」
と子どもの声。


相手のために「動」く_06お手伝いの後に書いた絵日記にも、
「くら本さんはやさしい顔をしていた。」
「大こんをぬいたことが、きもちよかった。」
心に残っていることを感じたままに記録していました。
「恩」を送るだけでなく、子ども自身も「恩」を受ける経験となったのではないでしょうか。


相手のために「動」く_08ふりかえりでは、
今までと比べて、「良」(こうしてよかった)・「改」(こうすればよかった)の内容が充実したように思います。


「協力してはこを持った」
「重い荷物をがんばって持った」
「最初は、葉っぱとかさわるの苦手だと思ったけど、平気になった。」


「霜を集めたりして、遊んでしまった。」
「リアカーの取り合いになった。」
「ボーッとしないようにする。」


さて、来週はこの5週間をふりかえり、テーマ発表会へと繋げます。


EN


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ずっとボランティアを重ねてきて・・・

[3・4年生]

かつ時間割でもいけるようにという意見が出ました。


ある日出かけるので、外にいると、
施設の人が通りすがりに
「こんにちは」
と声をかけてくれました。
そのように人とつながりが作れたことが、何よりの今回の学びなのかもしれません。


来週の火曜日の訪問する時に、時間をいただけることになりました。

それに向けて、話し合いが行われました。
そこでの議論は、いかにみんなに楽しんでもらうか?
意見として出たのは、自分達がやってきたマジックをすること、得意なヨーヨーをすること、さらに、
みんなで歌を歌うことが出てきました。


歌を歌うことに関して、曲はどういう曲がいいのかが話し合われました。
「上を向いて歩こうとか歌っていたよ」
「ふるさとなんかいいんじゃない」
「リズムがとりりやすいのがいいよ」
「でも、リズムとれない人もいるよ」
「そういう時には、横にいって一緒に歌ってあげればいいんじゃない?」

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今までテーマでやってきたことで、施設で働いている方がそっと寄り添って何かをしている場面も見てきたので、そうような考えも浮かんできたようです。
考える視野が広がっていることを感じました。
来週の火曜日に向けて、各自で練習を重ねていくことになりました。


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千羽鶴を折っておくる計画も子どもたち自らたてて、空き時間を利用して折る姿も見られました。
他の学年の子どもたちも協力をしてくれて、進んでいます。

木曜日には、先日、訪問させていただいているところに違う施設から交流しにきていた方から、
「うちにも来ておくれよ」
といってくださったので、お邪魔させていただきました。


そこでも、利用者の方とお話したり、リクリエーションをしたりと、2時間ボランティアさせていただきました。


まずは自己紹介。
普段は初めてのところで自己紹介をしてしまう子も
緊張はしていたものの、大きな声ではっきりと自己紹介をすることができるようになりました。


普段のスケジュールの中で、どこまで自分たちが自ら動き手伝えるのかが試されました。


子どもたちもお伺いするにあたって、楽しんでもらうためにと考えていた
マジックを披露しました。
そこには笑顔が溢れていました。


ある子どもは、リハビリ体操を一緒に行っているところで、自然と隣の方に
「こうやるんですよ」
と教えていました。
そこからは優しさを感じました。


また、話が得意な子どもは、いつものように自然とあいさつをして、輪の中に入っていって、
自己紹介から始まり、話をしていました。


お茶を配るときなど、誰に言われるもなく率先して、お手伝いをすることができました。
何かやることはないか、お手伝いすることはないだろうかと常に考えてきたことで、
培われたこと。


さらに、何をしてよいのか分からないとずっと立っていた子が自ら役割を探し、
その仕事に徹底することができました。
今までのスクールでの様子でもなかったことを考えると、やはり経験してきたことで
視野が広がったということが大きいようです。


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今回、初めて訪れた施設では、とても感心していただけたようで、
帰りにはとても褒めてくださいました。
そして、手作りの御礼もいただきました。
帰り道には自分たちの中でも何か充実感を得たようでした。


さて、来週はテーマ発表があります。
自分たちが続けて行ってきたことにより、何を感じ、何を得てきて、
何が変わってきたのか?
振り返り、発表に繋げていきます。
どこまで自分たちの思いを会場の人達に伝えられるでしょうか?



TK


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2011年01月28日

正しい判断を求めて

[5年生]

今テーマも、最終週を迎えました。
発表会で読み上げる判決文を
じっくりと仕上げることに。

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取り組む事例は二つ。
『業務上横領』と『殺人』。
どちらを選ぶかの作業は意外とすんなり。
血なまぐさいと感じたのか
女の子たちが『殺人』を回避。
そのおかげか、『横領』に三人『殺人』に二人と
もめることもなく決まりました。

『業務上横領』での大きなポイントとなるのが
執行猶予を付けるか否か。
通常は付けられることが多い事例。

これに取り組んだ女の子の一人が、
執行猶予を付けていないので、
「なぜ執行猶予はつかないの?」
と聞いてみる。
「妻の病気や娘の手術費用が必要だったという
動機には同情するけれど、だからといって、
いきなり犯罪に走るのはどうかと思う。
いい大人なんだから、もっといい判断を
できなければいけない。
そのことを肝に銘じてほしいから。」
といった趣旨の説明が返ってきた。
彼女なりの理由が考えられていた。


『殺人』のポイントは殺意の有無。
きっかけは被害者が作ったわけだが、
被告は包丁を持ち出し刺してしまう。
包丁を持ち出したことに殺意は認められるか?
あるいは、刺した回数、刺した箇所で
殺意の有無を判断するのか?
子供たちとの議論の中ではなかなか、
これといった決め手も見つからず。
決断が先へと延びてしまう。

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発表では、『業務上横領』事件と
『殺人』事件の席を別々に用意し、
それぞれ順に裁判長さながら、
【主文】、【判決の理由】、【量刑の根拠】
と読み上げ、その後に各自で
質問を受けるという流れ。


以前このテーマをやった6年生からの
質問に苦戦する子も。
特に、『殺人』を担当した子は、
殺意有りと判断した根拠の甘さを
追及され、長考するはめに。
一旦決断し、公表したけれど、
さらに熟考を加え、より良いものに
しようとする姿勢が見られた。


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このテーマ学習の終盤、一人の子が
「自分の納得できる判断が、いつもできないとだめだよな。」
といった言葉をもらしました。
日頃から、正しい判断を心がけなければ
という意識は芽生えたようです。
判決文作りに、まだ試行錯誤できたはずだ
という気もしますが、
大事なことは、今後も各自が
『正しい判断』への意識を
ずっと持ち続けること。
今回のテーマの終わりが
子供たちにとってスタートに
なればと思います。




TY


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「動」いて「恩」を受ける

[1・2年生]


テーマ最終週。
テーマ発表会に向けて動き出しました。

記録(行伝シート)や記憶を元に、テーマ全体をふりかえりながら発表会で何を伝えるか決めていきました。


改めてテーマ名「働かざるもの食うべからず」の意味を考えてみることに。
調べてみると、
「人は誰にも負担をかけず、日夜、努力して働き続けなければならない。
働こうとしない怠惰な者は、食べることもしてはならない」というような意味があるそう。
子どもたちは彼らなりにその意味を考え、そこから自分達はどう行動するかを話し合いました。


A:「働かないとごはんは食べられない。」
B:「大人の社会。」
C:「働かないとお金がもらえないから、ごはんも買えない。」
D:「働かないと、お金をもらえないし、食べ物ももらえないし、人の役にたてない。
  だから働いて、お金をかせいで、日本一えらい人になろう。」
B:「でもこのテーマは、えらい人になるのではなく人の役に立つためにやっているんだよね?」
C:「あと、お金をかせいだりもしていない。」
D:「うん、ぼくたちのテーマは、お金じゃなくて、食べ物をもらった。」
B:「あと『ありがとう』もね。」
A:「(蚕糸の森公園のごみ拾いの時にもらった)ノートに、(農家さんでもらった)大根やキャベツとかね。」
E:「会社は人の役にたっているのかな?」
B:「役に立っていると思う。」
A:「働いて、役に立ったり人の笑顔をもらっているよ。そしてそれがお金になっている。」


子どもたち同士でやりとりする中で、子どもたちが自然とミッションを意識できていることを実感。


発表の要となる、「このテーマで心に残ったこと」については各自で考えました。
みんなから出てきた意見は意図せず全て農家の倉本さんのことだったのは、びっくり!


「倉本さん家で飲んだお茶がおいしかった。お茶を飲んだらゆっくりした気持ちになれた。」
「大根を抜くのが楽しかったし、抜けた時は気持ちよかった。」


しかし、自分のことばで伝えるというのは、難しかったよう。
子どもたちの頭の中にある思いを、
「どうして、おいしく感じたんだろう?」
「倉本さんは、みんなの動きをどう思っているんだろう?役に立ったと思ってくれたのかな?」
と問いを重ねていくと、
「働かなくてもおいしく感じるお茶なんだけど、働いた後に飲んだほうが倍おいしいと思う。」
「倉本さんにありがとうって言われたほど、もっとがんばろうと思った。」
子どもたちの中にある思いがどんどん出て来ます。


行伝シートを見比べると、
最初は、「動」(何をしたか)、「恩」(どんなありがとうをもらったか)が比較的多かったのが、
テーマ終盤にさしかかるに連れて、
「良」(何がよかったか)、「改」(改善点は何か)が増えていることに
子どもたちは気付きました。


事実ばかりをふりかえる傾向から、その行動は良かったのか、どうすればよかったのかと、自分の行動を多面的に見てふりかえられるようになった変化を感じさせました。


それに、「改」が出たことを、
「よくないことをするのはいけないけれど、
それを元に自分の今後の動きを改善することができる。」
と「改」をただいけないとするのではなく、その重要性に気付いて、
ふりかえりから、次の「動」きに繋げようとしている姿勢が見られたのです。


さぁ、ではこれらの内容をしっかり伝えられる発表にしよう!
大きく・ハキハキ・ゆっくりと読むことや姿勢をよくすることは当たり前。
それに加えて、自分のことばで伝えられることを目指しました。


練習の様子をビデオに撮って、見てみることで、
「ここで、『ぼくたちの動いた成果を見てください』とかの方がいいんじゃない?」
「ここで礼したほうがいいかな?」
など、どうしたらもっと良い発表になるか考えていました。
何度も、「動く」→「ふりかえり」を繰り返してきたからか、ビデオを見てふりかえることに慣れてきているようです。


「動」いて「恩」を受ける_01   「動」いて「恩」を受ける_02
練習を重ねて、本番当日。
どんな思いでこのテーマをやってきたか、
そして、どんなことが心に残ったかなど、自分が伝えたいことを発表することができたと思います。


「動」いて「恩」を受ける_03   「動」いて「恩」を受ける_04
そして、発表会には、なんと、農家の倉本さんも来てくださったのです!
自分の「動」きを自分だけでふりかえるだけでなく、
役に立とうとした「相」手からの、心からの感謝の気持ちをお話いただきました。
また、倉本さん家の畑でとれたカブト虫の幼虫もプレゼントしていただいたのです!!


「動」いて「恩」を受ける_05子どもたちはとてもうれしそうでした。
そして、感謝の気持ちを込めて用意していたお手紙を倉本さんへ渡しました。
倉本さんの役に立ちたくて動いたのですが、
結果、子どもたちが「恩」を受けるかたちになったのではないでしょうか。


自分が「動」いて、人の役に立とうとする。
そして相手から「ありがとう」をもらう。
でも、それは実は自分が相手から「恩」恵を受けたことになっていることもある。
そういうことを重ねて、社会寄与が起こる社会になっていくのではと感じました。


EN


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思いのこもった『ありがとう』を伝えること

[3・4年生]


今週はいよいよテーマ発表。


ずっとボランティアで通い続けてきたデイサービスの施設で
自分たちで「何かできないか」と考えた出し物と歌をさせていただきました。


いつものようにお手伝いをして、最後の15分を時間をいただき、まずは、
利用者さんの前で、自分たちで練習してきた「ヨーヨー」と「マジック」をしました。


「すごいねぇ」「上手!」
と歓声があがり、その何かしたいという思いが伝わったからなのか笑顔も見られました。


最後に一人一人今までお邪魔させていただいたお礼をひと言ずつ伝えました。


みんな言い終わると、ある利用者さんが「ちょっとひとこと言わせてください」と立ちだして、
「みんな来てくれてありがとう!・・・今後ともよろしく・・・」
とお礼の言葉を言ってくださいました。


それは、施設のスタッフの方も予想をしなかった言葉でした。


子どもたちも、とても嬉しかったようで、
「本当に嬉しい!」「絶対にまた行きたい!」
と興奮していました。


さて、いよいよ金曜日に迫ったテーマ発表会。
今回のテーマで学んだことをまとめていきました。
今までに働いてきた姿の一部を流すことにして、見てもらうことにしました。


1・2年生の発表も社会寄与に関してのテーマで、
その発表と比べられることは意識せざるを得ないことです。
自分たちは、3・4年生。
自分たちがやってきたことに関して、自分が変わったと思うことを中心に発表をすることにしました。


自分の意識の中で変わったと思うこと、自分自身の内面を見つめていくことは、今までに
やったことがないという話で、一度思ったことを書いてみることにしました。


しかし、中々思い浮かばずに、まとまりません。


さらに、自分自身が思ったことを他人に分かるように
話すことを意識していくと、まだまだという思いが出てきて、
読んで聞いてもらい、直していきました。
「思いつかない」「分からない」
という言葉も聞こえ、苦しんでいました。
今まで自分自身で行伝シートを使い、振り返りの練習をしてきましたが、
子どもたちは、自分自身のことについて振り返ることの難しさを感じていたようでした。


家に帰っても、もっと分かりやすく、コンパクトにまとめようと
新たに考えてきたりとやりぬくことができました。


発表は、今回はスピーチの練習をかねて、暗唱で行うことにしました。
何回も何回も練習を重ね、いよいよ本番。

まずは、学んできた流れを伝え、自分たちの仕事ぶりをビデオで見てもらい、さらに振り返りとご協力を見てもらいました。

いよいよ、自分たちの学んできた思いを伝える場面。

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「今回、達成感が正直ありません。何かやりきっていない気がします・・・」
「自分楽しめることが大切だと感じました。そこでみんなが楽しめるとよいと思う・・・」
「最初は嫌だと思ったんだけど、やっていることでとても楽しくできた・・・」

緊張した面持ちでしたが、自分たちの思いを伝えきれたようでした。


質問を受けるところでは
「社交辞令じゃないってどんなとき思いました?」
と言う質問に、
自分たちがやってきたことを思い出し、しっかりと答えていました。


普段はなかなか緊張して自分の考えを言えない子も、自分の考えをすぐに堂々と話すことができました。
今回のテーマを通して、継続して同じところでボランティアを重ねていったことにより、その活動に思いを込もっていったことが印象的でした。


その後も「社交辞令はよいと思いますか?悪いと思いますか?」
という意見も出て、会場にいるみんなも考えさせる場面もありました。


子どもたちは、緊張していた様子で終わった後は、やりきってほっとしたような表情をしていました。




TK


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