東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2011年02月 アーカイブ

2011年02月04日

罪と罰~ふりかえり~

[5年生]

裁判を通して『正しい判断』について追究しました。

最初は、裁判を知るために傍聴へ出かけました。
大小様々な法廷があること、
被告人と裁判官に加え、検察官、弁護人の
存在を目にすることになりました。
冒頭陳述に始まり判決で終わる
という裁判の流れも把握しました。

弁護士さんも訪ねました。
判断基準としての法律についてなどの
話をうかがいました。
また、いくつかの課題をいただき
判断を下す練習を行い、
解説もしてもらいました。

「思いつきとかでは判決を
下せないとは思ってたけど、
やっぱり基準があるんだ。」
と一人の子がコメントを。
子供たちは、徐々に
法律や条件を基にして判断する
必要性を理解していきました。

外出の合間に教室で
警察と検察の違いや裁判員制度など、
何となく知っていたことを調べ、
確かめることもしました。

裁判所へ出かけての模擬裁判は、
日頃実際に使われている
正真正銘の法廷で行いました。
臨場感あふれる舞台に立ち
子供たちの表情には緊張と興奮の色が。

教室でも模擬裁判を行い、
裁判官、検察官、弁護人
それぞれの立場、役割を
冷静に考えてもみました。

発表では、各自作成した判決文を読んで、
質疑応答を自ら行いました。
ふりかえりシートでは、
「量刑の根拠の説明が弱い。」
「多面的に考えられていない。」
などの意見をいただきました。
それらの点を気にして、
落ち込む子もいました。
『正しく判断すること』の難しさを
あらためて感じました。

人生は判断の連続。
正しい判断をするという意識を
持ち続けることが大事になります。



TY※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「動」くことで人の役に立ったと実感
「働かざるもの食うべからず」~ふりかえり~

[1・2年生]


『誰かの求めに応じて動いてみると、感謝される。』


この達成目標を胸に、まず「動」いてみた6週間でした。


まず、『誰かの求めに応じる』というところでは、
ただ動けば人の役に立てるのではなく、相手がしてほしいことをするんだという意識を全員が持って臨めたと思います。


「今は、これをする時間だからがんばろう!」
「ぼくがこっち持つから、〇〇はそっち持ってくれる?」
など、自ら気付いて動けるようになっていました。


そして、『動いてみると感謝される』ことが子どもたちの励みになったようで、
「ありがとう」・「ごくろうさま」など、感謝の気持ちをいただく度に「7ポイントだ!」など言って喜ぶ姿が見られました。


「動」くことで誰かの役に立つことができるという実感に繋がったことでしょう。
それらのことが、発表会でも伝えられていたと思います。


テーマ内だけでなく、テーマ外での子どもたちの「動」きにも最近変化を感じています。
当たり前のことかもしれないけれど、
提出物を守る、忘れ物をしない、手帳を書くという自己管理や、
他の子の面倒を見合ったり、荷物運びなどのお手伝いをするといった、相手がどう思うかを判断して動く場面がだんだん見られるようになったのです。
やはり、6週間という間にアクションし続け、そしてふりかえりを行うことで、
自己の動きの改善ができるようになったのではないでしょうか。
ここで止まらぬよう、今後の「動」きも注目し続けたいと思います。


と言っても、まだ「我」が出てきてしまうことがある……。
道では「ぼくが拾ったんだ」とごみの取り合い、
畑では「次はぼくの番だ」とリアカーの取り合い。
ふりかえりの時も、「自分の動きをふりかえる」と伝えているにも関わらず、
「〇〇が、遊んでた。」
「□□が、トングを上に向けて危なかった。」
「△△の発表の声が小さい。」
と他の人の指摘が目立ちました。


今後は、「良くするためにやるんだ」というふりかえりの意義を確認しながら、
悪いところのあら探しをして終わるのではなく、
自分の「動」きの質を高めるために、みんなで良いところを探したり、どうしたらもっと良くなるかと話し合う雰囲気にしていきたいです。


行伝シートを何枚も作った経験は、自分達の活動をふりかえる力を高めたと思います。
この経験は今後、どのテーマでも活かせることでしょう。


EN


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情けは人のためならず~ふりかえり~

[3・4年生]

みんなが書いてくれた振り返りシートをそれぞれ見直しました。
「いい経験したね」など多くありましたが、

「発表では何かもっと笑顔が見たかった。残念だった。」
という意見も・・・。

確かに今回の発表はそこを意識していなかったように感じました。

今回、自分たちの内面で変わったことはないかと見つめ、そのことを暗唱で発表しました。
緊張をしていたので余裕のない表情をしていたようです。

今回のテーマで思い入れがなかったかというとそうでもなく、否定されます。

「いろいろと楽しいこと多かったよ」
とみんな一致しており、そこのことが、今後も続けていきたいという行動に現れていると思います。


「何かこの先、みんなが言っていたように嫌だなと思うことがあるかもしれないけど、その時にはやっぱりやらない?とりあえずやっている?」と質問しました。

すると、・・・
「嫌だなと思うことでもやってみる。だってやってみないと分からないでしょ!」
「そうだよ!」「そうだ。そうだ。」
みんなこのことに関しては、意見が一致。

今回のことで、学んだこととして最も大きかったのは、
何か分からないことに関して嫌だと安易に思うのではなく
「とりあえずやってみないと分からない」ということを意識できたことなのではないかと思います。

何でも、「何かな?やってみよう」という気持ちが生まれてくるようになるとよいと感じました。


今回テーマでは、ひたすらに動いてみたという経験は、何よりかけがえのないものになりました。

初めは嫌だなと思ったけれども、やっているうちに嫌じゃなくなること、楽しくなっていくことって、いっぱいあるのではないか?とチャレンジ精神とつながっていけばと思います。

その他にも
「自分も楽しっていうのも大切じゃない?その中で楽しんでもらうのがいいんじゃないかな?」
「自分が楽しくないと思っていたら、それを感じた人は嫌になってしまうよ」
と、自分の考え方が少し変わったことがあることを振り返りました。

今後も楽しいと思うことと人にも楽しんでもらえることするという視点を
自分たちの社会寄与に活かしていければと思います。



TK


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2011年02月10日

「人の心を動かすストーリー」〜概要〜

[6年生]


タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意志表現

6年生に課せられるミッションは「人の心を動かす映画を作る」。
今まで、サイン・カラダ(パントマイムなど)・詩等々、いろいろな表現方法を身につけてきた彼ら。
その集大成として、音楽・言語・映像を効果的に組み合わせたオリジナル映画を制作します。
映画によって、メッセージを伝えることに挑戦です。


どんなメッセージを伝えるか、
どんなストーリーにするか、
どう撮影するか、
どう音楽・言語・映像の効果を組み合わせていくか、
どうしたら自分の伝えたいメッセージをより伝えることができるか。


常に作品をふりかえり、推敲・工夫を重ね、締切までに納得のいく映画を完成させることが求められます。
そして、どれだけ多くの人にメッセージを伝える作品にできるかがカギとなるでしょう。


TCS生活の最後となるテーマ。
6年生がどんな作品を生み出すのか、楽しみです。


EN


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「Dear Editor」~概要~

[5年生]

タイトル:Dear Editor
探究領域:意志表現


これからの世の中で必要とされる「学力」を測るPISAテストで重視されているのが
「リテラシー」能力です。「リテラシー」は、「読字能力」「読み書き能力」と訳されて
きましたが、PISAの求める「リテラシー」は、情報を選び、選んだ情報を解釈し、
それを自分なりに表現することをすべてひっくるめています。

今回のテーマでは、「リテラシー」力を高めるために、自ら「編集者」になります。
情報は、編集されて人に伝わり、また、人は情報を編集して認識せざるを得ない
存在です。したがって、自ら編集作業に携わり、いかに情報を選び、解釈するか
実感してみないと「リテラシー」力を磨くことはできません。

発信する意義のある情報を、責任を持って発信し、相手の心に伝わるように伝える
ために編集する作業をひたすら重ねてゆきます。

編集の達人を目指していざ学びをスタート!

RI

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To Be or Not To Be ~概要~

[4年生]

タイトル:To Be or Not To Be
探究領域:自主自律


今回4年生は、
「To Be or Not To Be」
という重厚なテーマに挑みます。


生きて行くというのは、ものごとを
選択し、判断するということの連続。
そのような中で我々は、
惰性や思いつきによって
何かを決定しがちではないだろうか。
そこから抜け出し、納得できる生き方をするためには、
どのように意思決定を行えるようになればよいのか
を探究して行くことになります。
判断基準、あるいはその基となる価値観の
必要性に気づくことから始まり、そして、
自分の長所、短所にじっくりと焦点を当て
活かせるもの、克服するものを検討し、
大きな責任を伴う決断を迫られる場合にも、
質の高い意思決定ができようになることを目指します。




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築きに気づく ~概要~

[1・2・3年生]

タイトル:築きに気づく
探究領域:万象究理

今回の1・2・3年生が挑むミッションは『“丈夫”なもの』を作ること。
彼らは、橋、タワーを作る建築家になります。

ただ建築といってもどのように作っていけばよいのでしょうか?
丈夫なものを作るためには、どのような工夫がなされているのでしょう?

橋やタワーを実際にどのように作られているのかを見にいったり、本より学びます。

さらに、
「どう考えて作ったのか?」
「どれくらい頑丈にできたのか?」
「どの点がよかったのか?悪かったのか?」
「よりよくするためにはどうしていけばよいか?
どのように工夫して、作ればよいのか?」
ということを考えて、自分たちで模型を作り、
そこで試行錯誤を繰り返し、より丈夫なものを作るために探究していきます。

果たして、しっかりとした構造のものを作ることができるでしょうか?

今回のテーマを通し、モノというものは、『材料を生かし、構造を工夫することで目的にあったものが作れている」ということを学びます。



TK


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2011年02月11日

どんなメッセージを伝えるのか?

[6年生]


6年生最後のテーマが始まりました!
子どもたちは先輩たちを見てきているので、
「次は映画を作るテーマでしょ?」と何をするのか分かっていて、
どんな映画を作りたいかも少し考えていたようでした。


テーマ名は、「人の心を動かすストーリー」。
そもそも、「人の心を動かす」とはどういうことなのか、
そのためにどうしたらいいのだろうか。


そのことについて語り合うところから今回のテーマ学習が始まりました。
「映画で伝えるメッセージが必要。」
「演出を凝ってもメッセージがないとつまらない。」
「車を使った映画を作ったとしたら、車に興味が無い人は興味持たないかなぁ。」
「興味持つ人が多くなるように、興味の無いことでもおもしろいと思えるようなストーリーにしないと。」
「先が想像できないストーリーのほうが引きつけると思う。」
「人の記憶に残るような映画を作りたい。」


子どもたちの中では既に、ただ映画を作ればいいってものではないという思いがありました。
だから、映画を作ることが簡単だと思っていないし、
映画を通して何を伝えるかというメッセージを決めることから映画作りが始まると考えていました。


じゃあ、早速映画作りに入ろう!


まず、子どもたちの意見にあるように、メッセージを考えることから始めました。
子どもたちからは、
「夢はあきらめない。」
「人生は何が起こるかわからない。」
「スクールで大切にしている3つの約束を伝えたい。」
などなど、アイデアが出てきました。


中には、
「みんなが良いアイデア出すから、困っちゃうよ〜。」
と、悩む子も。
そこで、「これでいいかな……」という気持ちでアイデアを出すと、
仲間にばれてしまう。
「本当に思っている?他に思っていることあるなら言ってみてよ。」
「その意見は、映画の内容だよ。まずは何を伝えたいか。メッセージはどうする?」
と、子どもたち同士で仲間のことを理解しつつ話し合う姿が見られました。


映画をつくる上での条件は、
●1人一作品
●上映時間は3〜5分
●アナログ(順撮り、あるものを使って制作)
●音楽・言語・映像などの効果を活かす


そこで、子どもたちの中で議題に挙がったのは、
「みんなが同じメッセージで映画を作るのか、
それとも、みんなが違うメッセージで映画を作るのか」
ということ。


話し合いの末、「各々が一番伝えたいメッセージで作ってみよう!」ということになりました。
メッセージが大体固まってきて、
次のステップはどうやってメッセージを伝えるか、ストーリーの企画立てをしていきます。



EN


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「編集」ってなんだ?

[5年生]

今年度最後のテーマ学習の探究領域は「意思表現」。多様な相手と理解し合う
ためにいかに自分の思いを表現したらよいかの探究です。

昨年は、似たような内容について、“メディアdeリテラシー”というタイトルで学び
を進めました。今回、“Dear Editor”と変えたのは、身につけたい力は「リテラ
シー」であり、どんな「メディア」を通じて送られたかがポイントではないと気づいた
からです。

「リテラシー」とは、字の読み書き能力を基盤として、情報を収集・選択・解釈し、
的確に言語表現できる総合的な力を言います。したがって、「リテラシー」を高め
るには、自分たちがいかに情報を「編集」して認識してしまう存在であるかを実感
し、無意識に情報を受け取ってよしとするのではなく、意識して「編集」できるよう
になる必要があります。自ら「編集者」となり、自分たちの伝えたいメッセージを
相手に伝わるように「編集」すること。そして、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ブログ
などさまざまなメディアによって情報を編集し、発信しているプロの「編集者」にも
訴えかけてゆくこと。そんな学びを想定して“Dear Editor”というタイトルとした
のです。

学びは、いつも通り、子どもたちの既有知識を探ることからスタートします。

「よくすること!」

今回の学びのキーワードである「編集」について知っていること、イメージしている
ことをみんなで出し合い、イメージマップを作ってゆく際に、真っ先に出てきた意見
でした。

「文のおかしいところを直す」
「字の間違いを見つける」

どうやら子どもたちは、「編集」とは、誤字脱字や文法的なミスを直す「校正」と
同じものとしてとらえていることが明らかになりました。

「じゃあ、よくするっていうのは、間違いをなくすっていうことだけかな?」

と突っ込む問いを返すと、当然ながら「それだけじゃない!」という声が上がり
ました。

「うまく伝わるように内容を変える」
「不要な部分を切りとる」

これらの意見は、テレビで出演者が「ここ編集してカットして!」と言っているのを
聞いたことがあるからというのがその根拠でした。

イメージマップが出来上がり、子どもたちの既有知識をつかんだところで、いよいよ
今回のミッション発表です。

こんにちは、みなさん。私はTCS編集室の編集長、市川力である。
今回、みなさんに追究してもらうのは、「編集者」になるということだ。
何のために編集者になるかって?
それは、みなさんにTCSの学びの魅力を世の中にアピールしてほしいからだ。
そのために「編集者」となって、素晴らしい“小冊子”を作ってもらいたい。
TCSには数々魅力があるが、なんといっても特徴は「テーマ学習」にある。
「テーマ学習」の素晴らしさを学習者の視点で訴えてほしい。
題材は今年度行った5つのテーマ学習からとること。
小冊子ができあがったら、テレビ、新聞、雑誌社、出版社などの「編集者」に送り、
日本の子どもたちの学びを変えるものだ!と強く訴えてゆきたいと考えている。
TCSのますますの発展のためにぜひみなさんの力を貸してほしい。
よろしくお願いします!

「おもしろそう」
「かっこいいの作んないとね」

例によって、ノリのよい子どもたちは、ミッションの趣旨を即座に理解してくれた
ようです。

ミッションが明らかになったら、次は、このミッションを完遂するために何をすべき
か、意義のある「問い」を立てるプロセスに入ります。子どもたちがまず思いついた
のは2つ。1つは、「よい編集、うまい編集とはどういうことか?」という「問い」、
そしてもう1つは、「どんな小冊子が魅力的か?」という「問い」でした。

編集の技術をいかに高めてゆくか、そして、小冊子というメディアの特徴を知り、
その特徴を活かして“いいもの”をどう作ってゆくか……追究の目標が明確になり
ました。

「来週から、修業だね」
「鬼デスクの登場かな……」

恐い編集長が、こんな記事じゃあダメだ!と怒鳴ってビリビリに原稿を破くという
場面を子ども達はマンガやテレビドラマで見たことがあるらしく、勝手に「編集部」
のイメージを作り出し、その気になっていきます。

次週からは、子どもたちの期待(?)に応えるべく、鬼デスクによる修業開始です。

RI

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人生は判断の連続

[4年生]

今年度最後のテーマです。4年生は
『To Be or Not To Be』に取り組みます。


今回子供たちと共に目指すのは、
選択肢を意識すること、
自分の納得のいく意思決定をできるようになること、
そして、それを今後につながるようにすることです。


4年生とテーマを行うのは初めて。
緊張しながら最初の授業に臨むと、
彼らは、どんなことをやるのか気がかり
といった表情。


今までに彼らのやってきたテーマについて
いろいろと話を聞いていると、
去年の4年生が行ったこのテーマの
発表の様子を覚えている子から
「今年も、宣言を考えて発表するんでしょ。」
といった声があがる。
最終的に何をやるのかは、
うすうす判っていたようです。

「今から、サッカーをやらない?」
こちらからの唐突な提案に
「何でサッカーなの?」
と当然のように聞き返される。
「やってからあれこれ考えてみるのはどう?」
男の子たちはサッカーが好きなので、
予想通りすぐにノッテきて、
「何で?」と問いかけてきた女の子も、
教室にいるより外で体を動かす方がいい
ということで、早速近くの公園へ。

3,40分ほどミニゲームを楽しんだ後、
「あの時はなんでパスしたの?」
「一人で行くとボールをとられると思ったから。」
といった会話を交わしながら教室へ。


彼らに気づいてほしかったのは、
サッカーのゲームも、日々の生活と同じく
判断の連続であるということ。
今回のテーマでは、
『選択肢、判断、意思決定』といった言葉が
中心的な役割を果たします。
スポーツでも、やはり、これらの言葉が意味を持ちます。
サッカーはまさにその好例なのです。
そこで、『判断する』ことへのアプローチとして
サッカーを使ってみることにしました。

実際にボールを蹴ったり、
ビデオで一流プレーヤーたちのプレーを観たりして、
少しずつ『判断すること』の核心に迫ろうと思います。





TY


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建築家になろう!!

[1・2・3年生]

今年度最後のテーマのミッションは『“丈夫”なもの』を作ること。
1・2・3年で建築家になり、その構造がどのようなときに丈夫になっていくのかを見ていくのです。
今回のテーマを通し、モノというものは、『材料を生かし、構造を工夫することで目的にあったものが作れている」ということを学びます。


今回は体験生がいたので、
「これから話し合いを進めていく上でなにが大切だろうか?」
と質問すると・・・


「手を上げて当てられるまで待つ」
「言いたいことはどんどん言う」
「人の意見を聞く」
「人のしゃべっているときにしゃべらない」
「人が言ったことについて考える」

いろいろとたくさんの意見が出てきました。
さすがにテーマ学習という
そのことができるかはまた別ですが、しっかりと頭に焼きついていることが
確認できました。

この話し合い一つとっても、成長を感じます。

なかなか難しい問題で、大人でもできないこともあること。
改めて習慣づくように働きかけていきたいと感じました。


いよいよ今回のミッションの発表。
「今回は建築家になってもらいます」
「まずは丈夫な橋を作ってもらいます」

と伝えると
「おもしろそう!」
「早く作りたいよ」
とせかす声が聞こえてきました。


「そのことには、まず何をすればよいのだろうか?」
と問いかけると、
「設計図を描かないといけない」
という意見が出て、
早速、自分が考えたものを絵にしてみることにしました。


自分が丈夫に作るにはと考えたポイントを伝え合いました。
「何かバッテンにすると丈夫だと思った」
「柱をいっぱいにすると強いと思う」


次の日には、実際に作ってみました。

とりあえずどのようなものが丈夫なのかということを自分たちで考えました。


今回は、材料としてパスタを使ってブリッジを作っていきます。
構造を見やすいということと作りやすいということです。


「ここはバッテンにした方が丈夫じゃない?」
「いっぱい重なっていた方が強いと思うのだけれども?」
こうした方がよいかなと考え、二人で話し合いながら作っていました。


P2094576.jpgP2094575.jpg

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実際に作るにしても、材料が限られていることや、くっつけることに時間がかかるなど
なかなか難しい面も多かったようでした。

子どもたちの中には「どうしたらよいのか?」
「どういうつくりが強いのか?」という思いが出てきました。

というわけで
来週は、実際に橋を見て、『どのようなつくりをしているのか?』と考えていきます。



TK


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2011年02月18日

どんなストーリーにするのか?

[6年生]


映画作りにおいて大切な、映画を通して伝えたいメッセージを考えた子どもたち。
第二週は、そのメッセージを伝えるためにどんなストーリーにするかを考える時間となりました。


あるメッセージのもと、いじめられている女の子の話を考えた子。
絵と音楽に表現を絞り、言葉に頼らないでメッセージを伝えようとしていました。
けれども、どんな音楽にするのか、言葉を使わないことで歌の中にある歌詞(言葉)の影響はどうなのか、絵の大きさはどのくらいにするかなど、悩むことが多くあるようです。


また、あるメッセージを決めた子は、
数年前に楽書きで作った絵本のストーリーを元に映画を作ることにしました。


どんなストーリーにするのか?_01ただ、絵本の内容をそのままシナリオにするのは難しいよう。
内容を絞ったり変更したりしないと、上映時間が長くなりすぎてしまったり、よりメッセージを伝えられるものにならないためです。
絵本のストーリーを活かしてどんな内容にするか、悩んでいるようでした。


なかなか、メッセージが決まらない子もいました。
普段、楽書きで作文を書いているので文章を作ることに抵抗感は持っていないはず。
やりたいストーリーを映画にすればいいのではなくメッセージありきのストーリーでなければいけないと考え、縛られてしまっているようでした。
そこで、「もしかしたら、話を作っている中でメッセージが見えてくるかも……?」ということで、書きたいまま書いてみることに。
どんなストーリーにするのか?_02原稿用紙を渡すと、すごい集中力でどんどん書き進め、なんと1時間ほどで10枚の原稿用紙を書き終えてしまいました。
本人は楽しく書けたし、内容にも満足しているようだけれど、本当にこれでいいのか悩んでいる様子。
それを基に、自分が納得のいくメッセージとシナリオが作れるといいね!


第三週は、シナリオを完成させることが目標です。
各自悩みながら、時にはお互いに相談し合いながら、推敲し続ける時間にしたいと思います。
シナリオを見て、きちんとメッセージを伝えられるストーリーになっているか、
言語・音楽・絵などの効果を活かした演出が考えられているかがカギとなるでしょう。


EN


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編集修業開始!

[5年生]

今回は、103という他の教室とは離れた小部屋で学びを進めています。
このスペースがなんとなく編集工房の雰囲気を醸し出していて、子どもたちの
「本気度」を高めるのに有効に作用しています。1つのテーブルを囲み、早速、
先週出された「問い」に基づいて「編集修業」を始めます。

【その1】わかりやすく、面白く、伝えたいことをまとめる。

テーマ学習「ボーダレスワールド」で集まった切手を用いたオリジナルワールド
マップを5・6年生の有志で完成させました。それをデジカメで撮影し、ポスター
化して、切手を送って下さった方々に送ろうと決めました。そこに「手紙」を
同封したいのですが、感謝の念と地図に込めた思いとが伝わるような手紙の内容
をどう「編集」するかが最初の修業課題です。

「ありがとうって書くのは当然だからな……」
「切手が送られてきたとき、みんなうれしくて盛り上がったってことも書いた方
がいいよね」

まず、みんなで意見を出し合って、書くべき内容を箇条書きにまとめました。
次に、そのうちのどれを書くか、どんな順序で書いたらよいかそれぞれ考えて、
アウトラインを作りました。さあ、ここまでくれば、アウトライン通りに文を
まとめていくだけ!となるはずなのですが……

「なんか気持ちが伝わってこないな……」

切手を送ってくれてありがとうございました。おかげでワールドマップができ
ました。あなたの国以外にも5カ国ぐらいの国から来ました。もし会えたらいい
ですね……と当たり障りのない文をまとめたものの、なんかインパクトにかけます。

「あなたの切手で世界征服!ってどう?」

なかなかショッキングな表現で、面白さは確かにあるものの、誤解を招く懸念
があります。

ただ説明するだけではダメ、だからといってウケを狙った書き方も読み手の気分
を害する可能性あり。長くてもダラダラした文は読む気にさせないし、短すぎて
何の工夫も感じない無味乾燥な文もダメ。相手の心に訴えかける文を「編集」する
難しさに直面しました。

sRIMG0080.jpg  sRIMG0088.jpg

【その2】「小冊子」の効果的なレイアウトを考える

文だけで説明するだけでも大変なのに、読者を引きつける表現をしなくてはならない。
それも、ただキャッチーな言葉であればいいだけでなく、自分たちの「思い」が
的確に伝わるものでなければならない。確かに、「編集」とは、「よくすること」
なのですが、編集する目的を知るにつれて、到達すべき質の高さを子どもたちは
意識し始めました。

「こりゃあ大変かも……」

子どもたちに、よい意味での緊張感がみなぎってきたところで、視点を変えます。

「編集するのは文だけかな?」

子どもたちには、駅などにおいてあるフリーペーパーやカタログなどを集めてくる
ように言ってありました。鉄ちゃんの男の子2人組は、鉄道の旅を誘うフリーペーパー
やチラシをごっそり持ってきていました。

「写真をうまく使ってるね」
「字の大きさや色を変えてる」

男の子たちの持ってきた冊子を見て、女の子たちが鋭い指摘を始めます。
読んでみたいなという仕掛けをすることも「編集」の大事な要素だと気づきます。

「世界直結!っていうメッセージをワールドマップポスターにのせたらどうかな?」

自分の持ってきた冊子を眺めているうちにある男の子がひらめきました。この子は、
すぐに面倒がって、長い文章をなかなか書こうとしない子でした。そこで……

「それは、面白い。短い言葉で伝わるようにという視点はすごく大事!
よし、君、コピーライターになってくれたまえ」

少ない言葉で的確に伝えるセンスをまず磨くという特命を下しました。

字ばっかりじゃダメ。写真やイラストを効果的に使う。写真と言葉の見やすい配置
を考える。目を引く色づかい。あっと思わせることば……

文だけでなく、レイアウトを考えることも、優れた「編集者」になるために不可欠
だと理解しました。

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最後に、私が、センスいい「編集」をしているなと感じた雑誌を見せました。

「写真と字のバランスがいい思う」
「説明の文章と人の会話とをうまく混ぜている」

一つの記事のまとまりが何字ぐらいか数えてみると、500~600字にまとめて
います。見出しの言葉にも気を使っているし、写真の脇にも的確に説明が……
人に読ませるために文章もレイアウトもとことん気を配っていることがわかりました。

さあ、感心ばかりしていられません。この技を盗みつつ、子どもらしい、そして
自分たちの個性を活かした斬新かつ魅力的な冊子を作らなければなりません。

「修業と並行してやらなきゃ……」

誰かがぼそっと素晴らしいつぶやきをします。次週からは、「編集修業」とともに、
小冊子作りのための「編集会議」を始めます。

RI

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一流プレーヤーに意識を学ぶ!

[4年生]

今週は、木曜日からスキー合宿があるため
テーマの授業は二日間だけ。
先週同様、サッカーに終始しました。

PT350313.jpg

「ジーコって知ってる?」
「知らない。」
「聞いたことない。」
かつてプレヤーとして世界にその名を轟かせ、
日本の代表監督を務めたこともある人物を
今や子供たちは知らない。
「2、30年前に活躍した、サッカーの超一流プレーヤーで・・・。」
とざっと略歴を紹介。


「今日はそのジーコを参考にしようと思う。」
と子供たちに伝えながら、用意したサッカー雑誌のコピーを配る。
20年ほど前に連載された解説記事の一部である。

PT350317.jpg

「攻撃の中心ですごいプレーヤーなら、敵にとって要注意人物で、
当然いつも厳しくマークされるよね?」
「そうだね。」
「ところが、一番警戒されるはずのジーコみたいなプレーヤーが
意外とフリーでプレーしていることが多いんだ。」
「どうして?」
「その秘密を探ってみよう。」


早速20年ほど前の解説記事に目を通してみる。
ゾーンディフェンスという守備システムをとる敵との対戦で
良いポジション取りをするための、基本的な考えが示され、
1981年のトヨタカップでのジーコのプレーを例に解説されている。

子供たちにゾーンについて簡単な説明をしてから、
「ゾーンで守るディフェンダー2人にマークされにくいポジションは、
その2人のちょうど真ん中なのは分かる?」
ときいてみると、
「わかる、わかる。」の返事。


「それでは、相手が4人だったら?」
と問いかけながら、ホワイトボードに×印を四つ
正方形の頂点となるように書いてみる。
「その四角形のど真ん中。」
と、すかさず一人の子が答える。
「そうだね、そこがいい。」
と別の男の子が同調する。

余計な知識を持っていない子供たちの素直な反応。
ゾーンディフェンスに対する攻撃側の
ポジショニングの基本的な考え方はつかめたようで
「そうだね。ここだと一瞬だけでもマークされずにプレーできそうだね。」
と返す。
日頃からサッカーに興味がないと言っている女の子も、
この点は納得できた様子。

そこで、探しておいたまさにこのシーンの動画を観ることに。
「あっ!ほんとだ。敵に囲まれてはいるけど、だれにも邪魔されていない。」
とジーコの実際のプレーを確認できました。
「余裕を持ってプレーするために、良いポジションを判断できるように、
いつもジーコは意識しているんだよ。」
と伝えこの日の授業を終えました。


翌日は、ボールを持って公園へ。
ボールを扱う技術でも意識は大事であること、
そして、先々『選択肢』や『判断基準』について考える時の
伏線になるように、前日とはまた別のポジション取りの
基本があることを説明しながら、練習を行いました。

教室にもどって、朝の会でも話題にのぼった『意識』について
意見を出し合っていると、『無意識・本能』へと話が及ぶ。
すると、一人の子が
「本能?・・・、持って生まれたもの、のほうがいいんじゃない。」
とうまい表現をつぶやき、それを採用させてもらうことに。


子供たちは、『行動と意識がつながる』という点に
近づいてきたようです。
次週、さらに『意識』について探っていきます。




TY


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橋のつくりって??

[1・2・3年生]

実際に橋をつくってみないとわからないということで、やってみたものの
まだまだ分からないことが多いということが分かりました。
ということで、実際に橋をたくさん見てみることにしました。


水上バスに乗って、
『ぶらり 隅田川の橋めぐりの旅』をしました。

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残念ながら船上にあがり、風を受けながら見る事はできませんでしたが、
水上バスの後ろの部分から、過ぎ行く橋をじっくり見ることができました。


「下の部分はこうなっているんだ」
「ほら、やっぱりバッテンになっているよ」
「あっちは違う形になっている」

「見て!なんか上が丸くなっている」
「下に三角形があるよ」
「この形にすると丈夫になるのかな?」
「これは何か頑丈そうだよ」


船が通った橋だけではなく、横にある支流の橋にも気づき、真剣に観察をしていました。


スカイツリーも見えて、そのつくりにも注目していました。
「何か三角形がある」
「バッテンにも見えるな」

レインボーブリッジを見ながら、そちらの方へ移動していると、

小さい橋でしたが、トラックなど大きい車が通るときには、
揺れを感じることができ、みんなびっくり。
「トラックが来た!ゆれるぞ!!」と
しばらくその場所で盛り上がっていました。

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その後は、レインボーブリッジを実際にわたり、内部はどうなっているかを観察しながら、
渡ると、そこでも、車が通るたびに揺れを感じることができます。

「こんな大きいものなのに、揺れるなんて・・・」
という疑問が出てきました。


「ねじがいっぱいついているよ」
「さっきの橋のしたと同じような形」
「柱は太いな」

昨日見てきた、隅田川の橋のことについて振り返りをしました。


「なんか上が丸い形が多かった」
「そうそう一番多かったと思う」
「でもいろいろな形のものがあるよ」

「どの形が丈夫なのかな?」
「柱を立てた方が丈夫になるんじゃない?」

「ひもみたいなのもいっぱいあったよ」
「あった!あった!」

いろいろと見てきて覚えていることを話し合いました。
子どもたちは、名前は分からないものの、
言葉でどんな形だったのかを詳しく説明していました。
実際に見たことなのでよく覚えていました。


「この形のが一番丈夫そうだよ。」

「なんで?」と尋ねると
「だってレンボーブリッジが一番大きくて、重いのにこの形をしているから丈夫だと思う」
と予想をしていました。


話は自然と似たようなものに分類していく方向になり、
自分たちの「なぜ一緒に分類をするか」という話をしながら、
議論をして仲間分けをしました。


「上が丸くなっているから一緒だと思う」

「レンボーブリッジと同じようにひものようなものがあるよ」
「これもそうだから、同じじゃない?」

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その後、資料から代表的な橋のつくりを学びました。

さて、来週は、今回学んだしくみを使って、実際に橋のもけいをつくってみます。
果たして、頑丈な橋をつくることができるでしょうか?



TK


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2011年02月25日

メッセージが伝わるストーリーとは?

[6年生]


メッセージが伝わるストーリーとは?_01テーマ「心を動かすストーリー」第三週。
残された時間を考えると、折り返し地点となる来週には撮影を開始したいところ。
そのことを子どもたちも分かっていて、少々焦りモード。
けれども、シナリオをしっかり作らないといけないことも分かっているから、
「このストーリーで、メッセージが伝わるのかなぁ」と悩む一週間となりました。


絵と音に表現を絞ってメッセージを伝えようとしていた子は、絵コンテを描いている際にどう表現するか悩むことに。
いじめがテーマとなるストーリーにおいて、登場人物の複雑な思いを絵だけで表すことができるのか、反対に絵だけに絞る必要があるのだろうかと思ったからです。
そこから、言葉ばかりに頼りたくはないけれど、細かな絵と言葉を使うことで更に相手に伝わる内容ができるのではないかと考えたようで、主人公目線のナレーションを入れることにしました。
こんな風に、多様な効果の組み合わせを試みることで、創造性ある映画に繋げていって欲しいと思います。


自分が以前作った絵本を原作にシナリオをつくり出した子は、
メッセージを表現するためにストーリーの中でどうメッセージに関係するエピソードを盛り込むかが課題となりました。
原作には、主人公が少しとぼけたことをしてしまうというシーンがあるのですが、
「これって、逆にメッセージと逆のことをしている……!?」
などの考えが浮かんできて……。
原作のコミカルであたたかい雰囲気を壊さずに、ストーリーを考え直すことに少し苦戦しているようでした。


メッセージ作りで悩んでいた子は、子どもたち・スタッフと話していく中で少しずつイメージが湧いてきたよう。
そして、スタッフが言った「ドキュメンタリーという方法もあるよ?」との言葉からインスピレーションを受けたみたいで、
「自分のことを忘れないでいて欲しい。自分が卒業して何年経っても、自分のことを知ってもらいたい。本を作ってTCSに残すことで、会ったことない人にも『あの本を作った人だ』って分かってもらいたい。だから、本を作っているところをドキュメンタリーにして映画にするのはどうかな?」
とのアイデアがその子から出てきました。
これには、他の子どもたちも大賛成!
ただ、
「ドキュメンタリーってどう作るんだろう?」
と次の瞬間、また悩みだしてしまい……。
メッセージが伝わるストーリーとは?_02そこで、参考にあるドキュメンタリー動画を一緒に見てみることに。
何百日とカメラを回して数十分足らずの作品になることに驚き、容易にできるものではないことを実感しました。
それに、今回の映画作りでは「編集無し、順撮り」という条件があるので、通常のドキュメンタリーの作り方を真似するだけではつくれません。
大まかな内容の柱は決めたものの、
何を伝えたいのか、そのためにどんな撮影が必要なのかを考え、
また、どの場面をどう撮って繋げて作品とするかなどをしっかりと計画することが作品の完成度を左右するとプレシャーを感じていたようでした。


未だ完成とは言えないけれど、時間を重ねるごとに練られたシナリオになってきました。
さぁ来週には、必要な道具も揃えてクランクインを迎えられるでしょうか?



EN


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こちら「編集部」!いざ発進!

[5年生]

「TCSの魅力」を伝える小冊子を作るために、まずは、優れた雑誌の「技」を
「盗む」ところから始めます。人をひきつける雑誌の紙面づくりについて「分析」
してみると……

男性誌と女性誌を1冊ずつ。どちらも装丁、レイアウトのセンスがあり、内容も
面白い!と定評のある雑誌です。

「女性誌は、会話が多い」
「誰かのアドバイスって感じだよね」
「やっぱり女の人って聞きたがりで話したがりなのかな?」
「毎日の生活に役立つという記事だから、読者に近い感じを出すためにインタ
ビューという形にしたんじゃない?」

ポンポンと鋭い分析が出てきます。写真を効果的に配置し、柔らかい感じを
出し、1つのトピックについて600字を越える文章にしない。会話文と説明文の
比率は3:2で、会話の方が多いということがわかりました。

一方、「専門店に行こう!」という内容の男性誌は……

「説明だけで会話がない!」

調べてみると会話文と説明文の比は1:22。

「これって鉄道模型だけ売っている店でしょ。マニアック!」

ある女の子がつぶやきます。こだわりの店特集ですから、その店の「売り」に
ついて編集部が熱く解説している感じの記事内容。女性誌と比べてレイアウト
は極めてシンプルです。

対象読者、記事内容によって文体や写真の配置、文字色なども変えている
ことが、雑誌の比較によって明らかになりました。

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「“専門店に行こう”を“学校に行こう”と変えればそのままスクールの宣伝に
なるよ!」

ある子が、男性誌の見出しとリード部分をうまい具合にパクって、TCSの魅力
を伝える小冊子の冒頭部分を書き始めました。

「本当だ、専門店のこだわりっていうのは、TCSのこだわりってすればいいし」
「個性的な商品との出会いは個性的な子どもたちとの出会いだよね」

次々に子どもたちは呼応し、みな「換骨奪胎」を始めました。

書き上げたものを発表してもらうと、確かにうまく言葉を置き換えてあるし、
とても子どもが書いたとは思えない「プロっぽさ」があります。しかし、なんか
しっくりこない……

「とってもよく書けているんだけど、なんかHくんらしさがないなあ」

ある子から鋭いコメントが出ました。

「そうだよね、これだと読んでいる人にただ真似しただけだなと思われちゃう
だろうな……」

元の文に使われている「言葉」を置き換えていくだけでは、限界があることに
子どもたちは気づきました。

すると、ある女の子が、自信なさそうに、

「私はいろいろ削っちゃって短くなっちゃったんだけど」

と自分の作品を評しました。「とりあえず読んでみて」と励まし、促し、読んで
もらうと……真似した文の「コンセプト」を活かしつつ、魅力あるTCSという学校に
ぜひ足を運んでほしいという思いのこもった、その子らしさのあふれたメッセージ
になっていました。
(※注・これから作ろうとしている小冊子の1ページ目を飾る可能性があるため、
残念ながらここで文章をお見せすることはできません。完成までしばしお待ち
ください!)

「編集」とは、「コンセプト」をしっかりつかんで的確に「まとめる」作業です。
したがって、まず多少「冗長」に表現してみて、その後、的確に刈り込んでゆく
ことが肝心!「編集」する上でのポイントを子どもたちは実感しました。

この後、子どもたちは活発に編集会議を繰り広げました。
その結果、2ページ目、3ページ目のラフイメージが固まりました。2ページ目は、
TCSの学びを通じて子どもたちがどう成長してゆくかを「植物」が成長する
イメージで図式化し、3ページ目では、TCSの子どもたちの「個性」について
徹底検証する……魅力的な紙面になってきました。

s-RIMG0102.jpg  s-RIMG0139.jpg

さあ、快調な流れで小冊子の「形」が固まってきました。しかし、このまま
子どもたちの「思い」に安易に流されてはいけません。こういう時こそ、
探究教師が子どもたちの追究の質をより高いレベルに引き上げるために「介入」
すべきタイミングです。子どもたちの「やる気」を尊重しつつ、「何か見落としは
ない?」と視野を広げる働きかけをします。

形は整ってきたから、次は中味!つまり「文章表現」です。改めて、「編集方針」
に立ち返って考え直します。

なんでTCSの学びを宣伝するんだろう?……TCSの魅力を多くの人々に
知ってもらうため!……どうして知ってもらう必要があるんだろう?……
豊かな学びの環境を作るために「お金」がほしいから……お金と小冊子が
どうして結びつくのだろう?……小冊子を売って儲けるため?……でも、
そんなの高が知れてる……

「ただ宣伝して入学者が増えても、今のままでは校舎も狭いし、結局、大きく
発展しないと思う。かえって不満が増えるんじゃないかなあ」

こういう意見を子どもは出してくるから侮れないのです。そう、まさにその通り!

もし、私たちの学びが素晴らしいのなら、それを社会に訴える!

探究する学びの価値を知らしめて、それならば協力しようじゃないか、寄付
しようじゃないかというムーヴメントを起こすきっかけを作るための「小冊子」
なのです。それが「お金につながる」ということの真意です。

子どもたちは壮大な目標に向かって、さらに盛り上がってきました。同時に、
小冊子の求められるレベルのハードルがかなり高いことにも気づき、
(自分たちにできるかなあ……)
という不安も出てきました。おそらく、次週は、意味のある停滞期、いわゆる
「産みの苦しみ」に直面する1週間となるでしょう。これを乗り越えるのが
「探究」です。子どもたちの成長を促すファシリテーターとして、次週は、
いよいよ鬼編集長の出番です。

RI

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直感・勘と意識

[4年生]<\p>


「何でジーコはいいポジションを意識するんだろう?」
と今週もサッカーの話題からスタート。

「いいプレーがしたいから。」
「いいプレーができるとどうなるのかな?」
「チームが勝つ。」
「そして、ギャラが上がる。」
などの反応がすぐさま返ってくる。
ジーコのプレーが参考となり、
『意識することがよい結果へとつながる。』ことが
子供たちの中に浸透しつつあります。

「いいポジションを判断するために、何か他に意識することはあるかな?」
と、さらに突っ込んだ質問をすると、
しばらく答らしきものは返ってこず、
何となく重い雰囲気に。
その理由の一つは、この質問が子供たちには
かなり漠然としたものだったからと思われるが、
それに加え、まだ意識のことが続くのかと、
うんざりした気持ちになったからとも言えそうです。
『意識すること自体もどちらかと言えば面倒くさいこと。』
と彼らは感じて初めているようです。


そこで、気分を変える目的もあり、
『やりたい事』と『やりたくない事、やれてない事』を
各自できるだけ書き出してみるようにと方向転換。
これは、日頃の行動や行為などを洗い出しておいて、
先々次のようなことを探るためでもある。

 1 日々の生活は意識・無意識どちらが支配的か?
 2 意識を伴うものはどのようなことか?

子供たちがあげた『やりたくない事』の中に、
当然のように宿題が入っていた。
その宿題について話をしている中で、女の子から『直感』
という言葉が出てきた。
「それでは、直感とはどんなもの?」
と取り上げてみることに。


「まだ起きていない事を予想する。」
と一人の子から悪くない説明が出てくる。
みんな何となく雰囲気をつかんでいるが、
ピタッと来るものが出てこない。
それならばと、辞書で調べてみることに。


「物事についてくわしく考えなくても、すぐに本当の
すがたを感じとる心のはたらき。かん。」
と一人の子が読んでもらう。
「そうか、かん(勘)も同じ意味なんだ。これも調べてみよう。」
と検索すると、今度は第六感が同じような言葉として出てきた。


そんな中、一人の子から
「勘と運は同じ意味じゃないかな。」
との発言。
ほかの子に意見を求めると、
「似てるけど、何か少し違う気がする。」
と言ってからしばらく考えて
「勘は頭の中のことで、運は外のこと、かな?」
さらに、勘の『予想する、頭で考える』に対し、
運は『予想しない、生まれ持ったもの』などの説明があがる。
そして、「勘は、『多分』で、運は『偶然』」
とこの日のベストと思われるものが出て、
みんな一様に納得といった表情に。


その後、授業の様子を見にきていた理事長から
『勘』についての知識を補足していただき授業を終えました。

直感や勘による判断・行動というものもありますが、
次週からは、選択肢、判断基準などを念頭に置き、
目標を達成するための意思決定のされ方に迫り、
決意宣言の作成j準備へと向かいます。



TY


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から

どうすれば丈夫になるのかな?

[1・2・3年生]

前回までは、パスタを使って橋を作ってみたのですが、
なかなか、パスタをくっつけることに時間がかかり、また二人での作業は一人が持て余してしまうという反省から
今回は新聞紙で一人一人が試行錯誤して作ることにしました。

どんな“つくり”が丈夫になるのかをみるために、ルールを決めました。
そのルールの中で試行錯誤をし、どのような“つくり”であると丈夫になるのかを考えて、学んでいきます。

ルールは、
①1枚で棒を1本作り、使える棒は10本まで
②幅30cmのところに橋を架ける
③切ったり、貼ったりして橋を作る


『人から盗んでいいのは、技だけ!!』
よいことはどんどんまねをして高めようを合言葉にチャレンジしていきました。

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みんなの前で工夫したポイントを発表し、
そのことについて話し合いました。
「もっと小さくした方が丈夫じゃない?」
「その橋にもっと柱をつけると丈夫になると思うよ」
「いっぱいあったら、もっともっと丈夫なるのかな?」
こうした方がいいという意見も飛び交いました。

さて、どのくらいの重さがのるのかというと・・・
以外にも3キログラム耐えることができました。


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その最高記録を作った子どもの橋は、中でも一番橋らしく見え、
やはり橋の構造を良く見てまねをしたものになりました。


自分のどこが悪かったか?人のどこがよかったかを振り返り、さらにもう一つ橋を作りました。、

再度計測すると・・・

前回の記録は軽く声、用意していたおもりが全部ぎりぎりで、のせることができました。
新記録を作った子どもた嬉しそうにしていました。

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最後に、今回の橋づくりを通して、
丈夫にするコツを意見を出し合いながらわかったことをまとめていきました。

今までに試行錯誤をしてみたことから、

「柱(けた)を作る」
「アーチ部材があるとよい」
「ものがいっぱいのるところを強くする」
「しっかりとくっつけることが重要」
「上からひっぱるようにすると丈夫になる」

ということが見えてきました。


ここまで工夫を凝らして丈夫な橋を作るというミッションに挑んできた“チビッコ建築家たち”。
来週からのミッションは、大きなタワーを作るということ。
試行錯誤をしていくことによって、何が見えてくるでしょうか?




TK


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