東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2014年06月 アーカイブ

2014年06月06日

「I am Special,YOU are Special.」~概要~

タイトル:I am Special,YOU are Special.
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。

[1年生]

自分のことって、どのくらい知ってる?
食べ物、色、遊びなどの好みは、すぐに出てきても、
性格や特徴となると、意外に気付いていないことって多いかも?!
このテーマ学習では、自分のことだけど、知らなかった自分を発見したり、
伝えたい自分を言葉や動作、あるいは絵で表現したりしていきます。
それも、一人ではなく、仲間と一緒に。

自分を様々な視点から観察する。
同じ視点でお互いを観察し合う。
そうした観察を記録に取り、思ったことを共有していく中で、
新たな発見をし、 好きな自分も嫌いな自分も、
両方とも「今の自分」であることを認め、
その考えを軸として、それぞれの違いを持つ他者を受け入れていくことを目指していきます。

入学してから2ヶ月が過ぎ、初めての宿泊行事を終え、
TCSの中で、自分という存在、同じ1年生の存在が、それぞれの目に見えてきたところです。
そこで、自分そして他者の存在を掘り起こしていくことが今回の学びとなります。
探究領域自主自律の初回として、私たちが自由に生きるための責任と価値を
追究していく第一歩を踏み出します。


AN

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「いい仕事してますね」〜概要〜

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:質の高いものづくりが喜びを生み出す。

[3・4年生]

  今、世の中にはモノが溢れかえっています。ある程度の品質を保ったモノを、いろんな種類の中から選択し、以前よりもずっと安い価格で購入できるようになりました。

いい仕事とはなんだろう?いい仕事をするためには、何が必要だろう?

ものづくりを通して、徹底的に良いものを作り込んでいく大変さとその先にある楽しさを実感してもらいたい…。

定番だった内容を一新した今回のテーマにはそんな思いが込められています。

「仕事」のお客様は自分たちのスクール。創意と工夫を凝らして、TCSフェスティバルにて来場者の方々に楽しんで使ってもらえるような楽しい木のおもちゃを作っていきます。

HY

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「目からうろこ」〜概要〜

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

私たちの目は不思議です。きれいな富士山をばっちりカメラで撮ったつもりだったのに、撮影した画像を見てみると、見えた大きさとは比べものにならないほど小さく、色も鮮やかさも全然違ってガッカリします。また、同じ場所に同じ時間にいてほぼ同じ方向を見ていても、人によって見えたものが違います。にもかかわらず、私たちはこの事実に「無自覚」で、自分の見方は絶対で、他者もまた自分と同じように見ていると思いこんでいます。このように、ヒトは自分の見たいように見てしまう宿命から逃れられず、同じものを見たとしても、そのとらえ方がまったく違ってしまうということが起こり得るのです。

そんな「視覚」をヒトは五感の中でもいちばん頼りにしているのですからトラブルは絶えないわけですね。ということで、見れども見えなかったり、木を見て森を見なかったり、見ないものが見えてしまったり、なんとも不思議でかつ私たちの生き方に大きな影響を与えるヒトのものの見方のメカニズムについて、今回のテーマ学習では追究してゆきます。

そのために、まず、視覚のメカニズムについて実験もしながら科学的なアプローチで理解を深めます。続いて、私たちの現実認識にものの見え方がどう影響しているのか明らかにしてゆきます。いったい私たちがどんな「色眼鏡」で見ているのか探ります。そして自分のつけている「色眼鏡」を意識し、別の「色眼鏡」をかけたらどう見え方が変わるか考えてゆきます。最終的には、有名なデボノの6色ハットのごとく「6つの Attitude Lens」というものの見方を自由自在に使いこなして、見えている状況を豊かなことばで表現できるようになることを目指します。



RI

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「明日天気になーれ!」〜ふりかえり〜

[5・6年生]

「明日の天気はどうだろう?」
「今日は晴れるかな?」
「雲ってどうしてできるんだろう?」

私たちが毎日気にして、影響を受けている気象現象。
この身近な“天気”がどうして起きて、なぜ変化していくのかという疑問から探究が始まりました。

気象現象のメカニズム、そしてそれらの関係性の中から因果関係や相関関係についても考えながら、“天気予測”にチャレンジしていきました。

変化し続けるものごとを予測することは難しい。
しかし私たちが生きているこの社会には変化し続けることや未知なることがたくさんあります。

“予測”するためには沢山のデータを統合し、複合的な視点を持つことが必要となります。

子どもたちは“天気予測”を通して“予測”することの目的や価値にも思いを馳せながら自分たちなりの考えを広げていきました。

これからまさに未知なる世界でさまざまなことを“予測”し、たくましく生きていくであろう彼ら。
その彼らにとってこのテーマ学習は“予測”と“直感力”を存分に使って未来を切り開いていく第一歩となったのではないでしょうか。
これからがますます楽しみです。



YI

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2014年06月07日

予測するってどういうことなんだろう?

[5・6年生]

  今週は今までプレゼンテーションに向けて気象現象のメカニズムやそれらがどう関わり合って“天気”が変化するのかについてKeyNoteにまとめてきたことをプレゼン練習を行いながらブラッシュアップしていきました。

「この説明で伝えたいことが分かり易く伝わるだろうか?説明が長くてイマイチ分かりづらいよね。図や絵を使ってポイントをしぼって説明しよう!」

「低気圧について特徴を話すから高気圧についてはその対比していることをKeyNoteに書いてあるから同じような説明はいらないと思うよ。」

と実際にやってみることで必要なことと必要ないことが少しずつ見えてきます。
またプレゼンテーションでは実際に2日後の運動会の天気予測を行うので、予測の精度を高めるべく様々な天気図を広げ、毎日予測し実際の天気と比較していきました。

このテーマを通して私たちが普段手にする天気予報ができあがるまでには、本当に様々な人たちが関わり合って地上のみならず上空や海上さらには宇宙からもデータを取ってそれらを複合的に解析してできていることを知るに至った子どもたち。 
そしてその天気予報の価値や目的は私たち個人だけでなく農業や漁業、他にも様々な産業で役立てられていることを知りました。
またもちろん災害から身を守るための備えとして重要なことも改めて理解することができたようです。 

そこでこのテーマにおいて重要な概念である“予測”することはどういうことなのか?ということについて考えていきました。

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「私は地震があると必ず机の下に入るけど、それだけじゃ次にどうしたらいいか分からない。だからこの次にどうしたらいいか考えて予測を“行動”につなげることが大事だと思う。きっと天気予報も“行動”につなげてほしくて気象庁は色々な予測をしてみんなに伝えているんじゃないかな。」

「天気や災害の予測も100%じゃないでしょ?だから予測を聞く側もそれを全部信じるんじゃなくて予測を知ってさらに自分でも考えるってことがとても大事だと思う。韓国の船が沈没した時も思ったけど自分で色々と考えて動けないと自分の身を守れない。」

「次はどうなるかな?って予測することは大事だと思う。人って実は色んなことを毎日予測してるよね。いつ頃梅雨入りするのかとか今年は水着が沢山売れるかなとか、今日お客さんはどれくらいくるかとか。」

「予測と勘ってなにが違う のかな?」

「予測は過去のデータを見てこういう時はこうなっていたからこうなるだろうって考えていくから勘とは違うよ。」

「ぼくはホームワークをいつやるかとか今日はこれをしようとかさ、よく考えてみると自分がやることを予測しているけどうまく予測できていないことがある。予測が甘いことがある。だからもっとしっかり予測して自分が困らないようにしたい。」

それぞれに“予測”することの意味や価値について考え、思いを広げながらプレゼンに向けて準備を進めていきました。
運動会の天気予測も気になるところです。
さてどのようなプレゼンテーションになるでしょうか?本番が楽しみです。



YI

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2014年06月13日

Specialって何?

[1年生]

「次のテーマもう分かっちゃった。」
「知ってるー!」
先日までは、次のテーマ何やるの?と、聞きたがっていた1年生たちでしたが、
上級生に教えてもらったようで、テーマ初回から、満面の笑みを浮かべています。
「I am Special,YOU are Specialでしょ!」
元気よく言ったものの、
次の質問をした瞬間、時間が止まったかのように、全員がキョトンとしてしまいました。

「Specialって何?」

自分の頭に浮かぶ「Special」のイメージについて
話し合っていきました。
「スペシャル番組ってテレビで見たことがある。」
「いつもは30分なのに、スペシャルだと1時間になる。」
「算数でおまけプリントやるときは、スペシャルって感じがする。」
「スペシャルって楽しそう。」
「ドキドキ、ワクワクする。」
「恥ずかしい。」
「ゴールデンウィークはスペシャル。いつもと違う。」

–いつもと違う–
今までに出てきた話の中で、どれにも当てはまる言葉が出てきました。
すると、今まで黙っていた子が、「あっ!」と叫び、
「入学式は、スペシャルだよ。服がいつもと違う。」
スペシャルがいつもと違うというイメージになったところで、
タイトルに戻ってみました。

「I am Special,YOU are Specialってどういう意味だろう?」

「自分もスペシャルで、あなたもスペシャル?」
「うーん。」と悩んでいる様子。
いつもと違うという話とはつながってきません。

では、自分たちはこのテーマで何を学ぶのか。どんなことをこの6週間でしていくのか。
第1週では、それを自分たちなりに理解していきます。
「テーマ学習では、私たちが目指すことがあるんだけど・・・」と言いかけると、
「頭のアンテナ!」
「ピコーンってこと?」
言葉は違っても、全員が頭を指さしてピコピコ指を動かしています。
前回のテーマ「蚕糸の森見っけ隊」のときのセントラルアイディアを
表現していることがわかり、「セントラルアイディア」という言葉まで
覚えている子もいました。

「私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。」

笑顔もつかの間、
今回のセントラルアイディアを聞いて、ますますモヤモヤしてしまいました。

「世界に一人しかいないって、そんなことわからないよ。」
「どっかに自分と同じ人がいるかもしれない。」
「名前が同じ人はいるよ。」

自分とほかの人がどういう人なのか、自分と同じ人がいるなら、
自分ってどんな人なのかがわかっていないと比べられません。
テーマタイトルとセントラルアイディア、どちらもモヤモヤは残りつつも、
自分のスペシャル、そして友達のスペシャルを知っていくテーマであることが
浮かんできました。
早速、自分のことをどれだけ知っているかを探っていきます。

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「自分のスペシャルって何だろう?」と尋ねると、
「この声はオレしかいない。」
「みんな言葉の書き方が違う。」
「爪を噛んじゃう。」
「ご飯のこと気にしちゃう。」
「好きな人がいるよ。言えないけど。」
思ったことを記録していきました。
また、わからないことも記録に残し、
自分のことでも知らないことがあることに
気づいていきました。
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知らない自分を見つけるために、
まずは、目に見える自分を観察していきました。
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「こんなところに、ほくろがある。」
「毛がある。」
「黒目の周りが青い!」
自分の顔をじっくり観察することで、見えなかったものがじわじわと見えてきます。
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AN

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いい仕事って何だろう?

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

ホースキャンプの興奮も冷めやらぬまま、いよいよ今年度の第2タームのテーマ学習が始まります。
3年生とは1年ぶり、4年生とは初めてのテーマということで、私も新鮮な気持ちで初日を迎えました。

ある男の子は前回までの内容(椅子作り)に変更がありそうだという噂を耳にしたらしく、授業前に何度も私のところへやってきては、いったい何を作るのか、しきりに質問してきます。
今回のミッションは、秋に開催されるTCSフェスティバルで来場者に遊んでもらうための木製・手作りのおもちゃを製作すること。
それもクラスメイトとの合作は無しで、一人一作品仕上げるというもの。

ミッションを伝えると、早速、子ども達から、
「それなら、俺、もうアイデアあるよ!」
「ねえ、こういうのはありかな?」
「早く設計図を描きてーー。」
と次々に質問や感想が出てきます。

何かつくりたいという気持ちがうずうずしてきて、待ちきれない様子が伝わってきます。

まずは「いい仕事って何だろう?」という問いかけでスタートし、子ども達のprior knowledgeを探ることに。

「手抜きのない、目標を意識したつくりのことじゃないかな。」

おいおいおい、初発からそんな意見が出てくるとは。
「技術」と「態度」の両面が押さえられているじゃないですか。

この発言をきっかけに、それぞれの頭の中にあるイメージが次々と模造紙に埋まっていきます。

「作っている人がお客さんとかみんなのことを思ってるって感じ。」
「おばあちゃん家にある着物の模様がすごく綺麗なんだよ。手作りで、何年もかかったんじゃないかな。」
「そういや、うちのひいおじいちゃんが子どもの頃から使っているものがあって、今でも全然使えるの。新しくても、すぐ壊れちゃうものもあるのにね。」
「マインクラフトもいい仕事してるよ。ゲームの自由度がむっちゃ高いし。」

やがて「いい仕事」にはほど遠い事例も挙がってきだして・・・

「すぐ壊れちゃうものはやっぱりいい仕事とは言えないよね。例えば、コンビニで買った傘とか。風が強いと、すぐ裏返っちゃうんだよ。」

この意見には、私も含めて、「そうそう」と全員が納得。
みんな一度は経験したことがあるエピソードのようです。

テレビの発明はみんなが楽しめるという点では良いかもしれないが、一方でテレビの見過ぎが視力の低下につながることもあり、必ずしもいい仕事と言えないかも、なんて意見も飛び出しました。

「じゃあ、結局、仕事の質って何で決まるんだろうね?」

視点を変えた問いかけでメタメタする中、正しい道具の使い方という観点が浮かび上がってきます。
それを受けて、週の後半は基本的な大工道具の使い方の練習にあてることにしました。

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まずは、それぞれペアを組んで、4グループに分かれ、道具の使い方の基本要素である「切る」「たたく」「穴を開ける」「測る」「磨く」に取り組みます。
木工に少し自信がある子もいれば、これまで「きり」なんて触ったこともないなんて子もいたり、現時点での技術レベルはまちまち。
ただ、道具を握り、木材に向かう子ども達の表情は真剣そのもの。

「練習だけで汗をかいてきちゃったよ。」

あっという間に、授業の90分間が過ぎていきます。

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翌日は、算数教材として使用するジオボードを作るという課題をあたえ、さらに練習を重ねることに。
実際に使う人を想定した課題とあって、道具を持つ手にも一層力が入ります。

線引きしたけど、釘を打つ位置の間隔が違ってるぞ。なんでだろう。
のこぎりの刃が斜めになって、線よりも内側に入ってきてしまった。どうやって復旧しよう。
のこぎりの切断面がでこぼこしてる。これは大変だぞ。

設計図通りに仕上げることの難しさを痛感しながら、作業に没入する8人。

はたして、無事、授業で使えるレベルの製作物はできあがるでしょうか?

HY

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みな同じように見えている?

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

自主自律という探究領域は、探究するマインドの根幹を育てます。自分という存在のユニークさに気づき、どこまでいっても不可解な自分をなんとかコントロールするすべを知り、そして、志を抱いて未来に立ち向かってゆく。自主自律はそんな流れで探究し続けてゆきます。

1年生のときに探究した I am Special You are Special は、自分がかけがえのない存在だということに気づき、自分がかけがえがないのなら、友達もまたかけがえのないものなんだとお互いを認め合う意識をつくりだす学びでした。

自信を持って My discovery を語れるようになっているのは自己効力感が育っている証です。人の顔色をうかがい、正解探しに汲々としているようでは探究などできません。「自分の見方」への自信が育っているのは、「そんなのおかしいよ」「あるわけないじゃん」というネガティヴな発言がない中で、安心して自分の考えを発表できる環境で学んでいるからです。しかし、それはまだ入口に過ぎません。自信は寛容な心へと拡張してゆくはず。My discovery とともに Your discovery 〜他者の見方〜を素直に受容できるようになってこそ本物です。そこで今回の自主自律の探究は、私たちは同じ物事であっても人によって違った見方をしていること。そして自分の見方にはクセがあること。さらには自分の見方を多面的にしてゆくことへの挑戦がテーマです。

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「正直、よくわからない……」

私たちが見ている世界に違いがあると言われても子ども達はぴんと来ませんでした。そりゃあそうです。これまで自分がどんな見方をしているか、さらには相手がどんな見方をしているかなんてことを考えることなんかなかったわけですから当然です。

「じゃあさあぼくの持っている『筆箱』を見て」

頭がもやもやでいっぱいの子どもたちに問いかけます。

「『筆箱』って言われて見たものはみんな同じかな?」

続けてたずねると……

「ぼくは筆箱についている鉛筆削りのところ見てた」
「私は筆箱の横のところ」
「私も横のところだけど○○ちゃんとは反対の方」

なるほど、おっちゃんから向かって左側に座っている○○ちゃんと、右側に座っている自分とでは、当然、側面と言っても見える部分が確かに違ってしまう。相手の見ている側面は陰になって見えないことに気づきます。

(こりゃあ面倒なことになったぞ……)

子どもたちの沈黙と顔つきが訴えているように私には見えました(もちろんこれも私の「主観」ですが……)。

同じ物を見ているなら、誰でも同じ見え方をしているはずだという考えが一気に崩れ去りました。と同時に、共通に「筆箱」と認識していて、だからみんなが同じ「筆箱」を見ていると思いこんでしまう。だからまあいいのかなあ?……でもなんか腑に落ちない……いきなり「わけわからん」世界に突入。Welcome to 探究 world です。

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最初からあまり飛ばし過ぎると疲れてしまうので、気分転換。私たちの見え方に影響を与える、私たちの「外」の存在に注目します。その代表は、子どもたちもよ〜く知っている鏡です。鏡はそのままを反射して返してくれる。だからそこに映っている像は、現実の像?……とはならないで、左右逆になっています。それは子ども達も、わかっていました。

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1枚の鏡に映った「像」は左右逆。でももう一枚の鏡に映せば「逆の逆」だから元の像に戻る。さらに2枚の鏡でも、開く角度をせばめてゆけば、鏡の中に鏡が映り、その鏡の中の鏡がさらに映り、「像」が増殖してゆきます。1個の将棋の駒しか置いていないのに、鏡の中には何枚もの同じ駒が映っています。

「こうやってトリックできるんだね」

そう、鏡をうまく使えば人の見え方を欺くことができます。

自分は外界にある事物そのものを見ている……と安易に考えることはできなくなってきました。私たちはだまされないようにしっかり見なくてはならない。しかし、私たちは「意識」さえすればちゃんと見ることができるのでしょうか?追究は続きます。

RI

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”死”について考える

[5・6年生]

  「今ちゃん6週間後に死ぬんでしょ?」

テーマ学習の初日に子どもたちが聞いてきました。

TCSのテーマ学習の中でも、ある意味最も子どもたちの印象に残っているテーマなだけあって今まで先輩たちがどのような学びをしてきたのかみんなよく知っています。

「プレゼンは葬式劇なんでしょ?でも劇の前はどんなことするの?なんか今ちゃんだと”死”って言われても軽いんだよな〜。」

初回から子どもたちに言われてしまいました。
たしかに私自身まだまだ”死”には遠いと思っていて、実際に自分の”死”についてじっくりと向き合ってみたことなどこのテーマの担当が決まるまでほとんどありませんでした。

そしてそのことを正直に子どもたちに伝えました。
しかし、私にもそして子どもたちにも必ず死ぬ時はやってきます。
このことだけはどうやら確実です。
誰にでもいつか必ず訪れる”死”。
それはいったいどんなものなのか?と追究しいくことできっと”死”と”生”のつながりやもっと言えば自分が生きている意味や目的について深く考えたりすることができるんじゃないかな? と実際自分自身身が身がひきしまる思いでこのテーマに臨んでいることも合わせて話しました。

「じゃあ君たちは”死”っていう言葉からどんなことを連想する?どんなイメージが浮かぶかな?知っていることでもひらめいたことでもいいから聞かせてくれるかな?」

この問いかけから子どもたちの”今”の死に対する認識を探る旅が始まりました。
すると思いがけない話がどんどん飛び出してきました。

やはり多かったのは死んだらどうなるのか、パソコンでいうシャットダウンのように終わってしまうのか、それともまた別の人生が始まるのか?という議論です。

「ぼくは天国も地獄もないと思う。でも別のところから生まれてくるんじゃないかなと思ってるよ。」

「好きなマンガに書いてあった言葉が気に入ってるんだけど、天国も地獄も生きている内に味わうもんだ、っておれもそんな気がする。」

こういった話の他にも今の自分の悩み(?)に近い話や、揺れ動く彼らの思いがたくさんメタメタマップに書き出されていきました。
きっとこれから探究していく過程でこの初回に掘り出された今の認識や知識が変化したり深まっていくことでしょう。


子どもたちにこのテーマのセントラルアイディアが「私たちは私たちのために生きている。」であることをシェアし、どんなイメージか聞いてみると、ある子は即座に「おれはおれのために生きたい〜!」と言い出しました。
すると別の子が「それって自分だけよければいい、ってこと?」と質問します。
それに対して「いや、ていうわけじゃないんだけど自由に生きたい!ってことかな。」

そして私が「じゃあ”私は私たちのために生きている”っていうセントラルアイディアだとしたら印象違うかな?」と問いかけると、また即座に「え〜、それはやだよー!だって自分の人生だもん!」
「なんか他人のために生きます!って言っているような感じだよ。」
「じゃあ”私たちは私たちのために生きている。”がしっくりくるのかな?」と問うと無言の子どもたち。

「”私たちは私たちのために生きている”ってどういう意味で、どんな生き方なんだろうね?」と問いかけてみましたが、子どもたちは考えてみても言葉にはできない様子。
たしかにこういう生き方だ、と定義することはかなり難しい問いなのかもしれません。
しかしだからこそこのセントラルアイディアに向かって探究していく甲斐があります。

二日目は、死に直面して生きているという意味で、ある意味では右に出る方はそういないであろう職業、エンバーマー(遺体修復師)の第一人者である橋爪謙一郎さんについて著書を読み合わせて仕事内容やその思いについて学んでいきました。

そして翌週には、これまでもずっと『個の尊厳』のテーマ学習の際にお世話になって いるその橋爪さんのオフィスを訪問し、インタビューするチャンスを頂いたことを子どもたちに告げると子どもたちの目が変わりました。
実際に他者の「死」に寄り添う仕事をしている方 にインタビューする機会に恵まれることはそうありません。
橋爪さんは、事故などで傷ついたご遺体 を修復する「エンバーマー」の資格を日本で初めて取得し、その普 及と後進の育成に当たっている方です。
子どもたちは橋爪さんの仕事について書かれいている本を読み解きながら、そこには書かれていない疑問や自分の悩みと重なり合った質問をいくつも話し合い、インタビューに備えていきました。
さあ来週はどのようなインタビューになるでしょうか?




YI

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2014年06月20日

バランスよく描く

[1年生]

先週に引き続き、目に見える自分を観察していきます。
鏡で見る自分を描いているはずなのに、
できあがった絵は、似ていません。
「どうして似てないのかな?」
絵を見ると、眉毛が線で濃く塗りつぶされていたり、
まつげを描いていなかったり、あごの形が違っていたり、
見ているようで、見ていないことに気がつきます。

細部まで観察すると、簡単には描けなくなってきました。
「鼻が難しいよぅ。」
何度も消しては、鏡を覗き、そのうち、i-Padを持ち出して自分撮り。
画面上で鼻を拡大して形を観察しています。

しっかり見ることで、特徴を捉え、似た顔になっていきました。
自画像が描けたら、
あとは、ARTの時間に色をつくり、塗っていきます。
IMGP3908.jpg   IMGP3913.jpg気がついたことのメモの中に、
「いーってして そのときに ぬけたはのあいだから べろがでてくる。」という
コメントがありました。鏡の前で色々な顔をしているのが伝わってきます。


次は、友達の顔を描いていきました。
自分との違い、その子にしかない特徴を見つけていきます。
「○○くんは、イケメンだな。」
「どうしてそう思うの?」
「唇の形がいいと思う。」

「なぜかママの顔に似てる。」
「○○ちゃんの髪型はママの髪型に似てるからかな。」
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1年生単学年でのテーマ学習は、ときに刺激がないこともあります。
でも、朝の会やアセンブリの時間などの上級生との会話の中から
テーマの話題につながることもしばしばあります。
今週は朝の会で、Open-mindedな行動をとった3年生が
プロブレムオーナーシップ賞を もらっていました。
また、アセンブリでは、「自分のことよりも人のことがみえる」
「聴くという漢字にあるメッセージ」が話題になりました。
全体の中では、まだまだ意見を出すことが難しい1年生たちでも
頭の中ではぐるぐるしている様子です。
それぞれが考えたことを今回のラーナープロファイルに当てはめてみました。
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Communicators

「しゃべっていることをどんどんきいて、
心で!(発見)を大きくして、
それでやっとしゃべれる。」


IMGP3924.jpg
Open-minded

「まねして考える。自分で面白いものをつくる。」
「知らないことをどんどんきいて、ピカーンってなる。」




IMGP3923.jpg
Balanced

「心が大きくなるとバランスがとれない。」
「耳とか目とか心とかちょうどいいサイズにする。」



自分の思いばかりが強くて見たつもりになる。
そうした自分は見えなくても、人のことはよく見える。
アンバランスな状態であることを知った1週間でした。

AN

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つくりたいおもちゃのイメージを広げる

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

先週に引き続き、ジオボードの製作に取り組みました。

どのチームも木材から盤の部分を切り出すことができたので、いよいよ釘打ち作業に。
ジオボードは、盤から飛び出した釘の部分に輪ゴムを引っ掛けて、いろいろな図形をつくって学ぶ教材です。
設計図の通り、正確に盤に釘を打ち付けるため、子ども達はかなづちを片手に真剣な表情で作業を進めます。

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ある男の子はまっすぐに釘を打つため、事前にきりで下穴をあける方法と直接釘を打つ2パターンを試します。
実際にきりで下穴をあけてみると、今回使用する釘に対して、少し穴が大きくなってしまうことに気づきました。

「うーん、これは木工ボンドで隙間を埋めるしかないなあ。」
「板が分厚いから、事前にきりを使わなくてもいいかも。」

道具の使い方をいろいろ試すことで、本やネットから得た情報以外の新たな発見があります。

他には、釘が正確に打てているかの確認作業は行っているものの、釘の向きを修正する時のかなづちの扱い方が雑なため、板の表面を傷つけてしまうケースが見られました。
なぜ当て板が必要なのか、身をもって体感します。

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作業は丁寧なのですが、やや慎重すぎて、進捗が遅れ気味のチームも。
釘を打つ時の姿勢と力の入れ具合のコツがまだまだつかめておらず、釘が打ち込めていない様子です。

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写真は、2つのジオボードを連結させて、何か一つの作品ができないかというアイデアがでてきて、いろいろ模索中な様子を切り取ったひとこま。

そうこうしている間に、ジオボードの製作が完了したチームがひとつ、またひとつと出てきます。


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ハイ・チーズ!
最終的に4つのジオボードを連結して、見事に「弓矢」という作品を完成させました。
今年度が始まった当初は、学年ごとに集まりがちで、その間に壁が感じられた3・4年生クラス。
団結して一つのことに取り組む様子を見ていると、その表情からは前回テーマ「詩人の旅」を通じて生まれた一体感がひしひしと伝わってきます。

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今週は、ジオボード製作以外の活動として、作りたいおもちゃのイメージを広げるため、四谷三丁目にある東京おもちゃ美術館も観覧しました。
廃校になった校舎をリノベーションし、木のおもちゃを中心に展示した素敵な空間です。

グッド・トイに認定されたおもちゃが集まる部屋で学芸員さんからのお話を伺い、それぞれの部屋を回ります。

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ここは靴を脱いでおもちゃの世界に没頭できる木のおもちゃの部屋。
総ヒノキ貼りの床、センターハウスなど、楽しい演出が待っていました。

その中でも木の砂場は一番のお気に入りの様子。
木の玉に埋もれて、砂風呂気分を味わいます。

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落ち着いた雰囲気のゲーム専用の空間では、ボードゲームなどを楽しみました。
世間がW杯に盛り上がる中、子ども達もサッカーゲームに熱狂します。

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利休の茶室を彷彿とさせる二畳の空間で精神統一!

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棒を使って木からひっつき虫を取り出します。
その秘密は磁石の力。

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2時間ほどの滞在でしたが、思う存分、おもちゃの世界を満喫しました。
自身の作品のヒントは見つかったかな?

そして、いよいよ作りたいおもちゃのイメージを図に落とし込むフェーズに入ります。
どんな楽しいおもちゃが生まれるか、乞うご期待!

HY

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ヒトの目のしくみは?

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

東京だとお台場と高尾にトリックアートミュージアムがあります。そこに行ったことがある子もいるし、そうでなくても、どこかで「目の錯覚」というものがあるということも聞きかじったことがあるようでした。

「トリック」の一例として、明らかに上り坂に見えるすべり台なのに玉が上に向かって転がっていく動画を見せます。

「スゲ〜」

みんな身を乗り出して動画に見入ります。

「これね、本当は違うんだよな……」

みんなとっても面白い映像だということは認めてもなんらかのトリックがあると気づきます。種明かし映像を見て(うまくできてるなあ……)と感心しきり。

へっこんでいる穴が、写真を逆さまにしたらふくらんで見えたり、動いているわけがないのに、ぐるぐる回転して見えたり、黒と白だけなのに他の色が見えてきたり、不思議な図形は和知れずです。

GEDC1094.JPG  GEDC1099.JPG

実際にはないものを私たちの目は見てしまうようにできている。これは改めて考え直すと衝撃的でした。そりゃそうですよね。自分が見ているものがそうじゃない可能性があるっていうのでは、何を信じていいのかわからなくなってしまいます。

「いったい目のしくみってどうなってるんだろう?」

子どもの疑問ももっともです。そこで目の構造について調べてみました。

GEDC1092.JPG  GEDC1100.JPG

「目ん玉」「眼球」と呼ばれるように、目はボール状です。黒目のところがレンズ。そして「眼球」の内側には「網膜」という光を感じる細胞が敷き詰められている部分があります。ここが光を感じ、その情報が「視神経」によって集められ、脳へと送られるということがわかりました。

ヒトの「目」の「レンズ」も「虫眼鏡」の「レンズ」と構造は同じ。「レンズ」は光を集め別の部分に像を映し出す働きがあります。網膜に映し出された像が脳へというわけで……とここまで理解してくるとある男の子が突然、

「だから目は落ちないんだよな」

とつぶやく。彼の頭の中には脳に「神経」というヒモでつながっていて、どんなに揺れても眼窩から飛び出ない目のイメージが浮かんだのだろう。

「目が見てるんじゃなくて脳が見てるんじゃない」
「そうだよ、だから同じ大きさに見えないんだ」

見たままの像ではなく、脳が何らかの処理を加えて見え方が決まるのだという考えが浮かび上がってきました。

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子どもたちが脳の働きに注目するようになるきっかけは、上の左図の錯視でした。みなさんにも上の玉の方が下のよりも大きく見えるでしょう。でも定規できちんと測ってみると同じなんです。

「脳がわざとそう見ようとしているんだよね」

ものの見え方を知るには、目の構造を調べるだけでは不十分で、脳の働きを知る必要があることを子どもたちは主張し始めました。

IMG_4089.JPG  GEDC1098.JPG

「脳に関係あるっていうことはさあ記憶も関係しているってことだよ」

おいおい、なんていうことを言い出すのだ。これはもはや認知科学の授業ではないか。とても小2のクラスとは思えなくなってきました。こうなってくるとただ自分の関心だけで「なんでそう思ったの?」と問いかけてしまいます。すると

「いやあだってさあ、何かが見えるっていうのは、その見たものの名前を知っているからでしょ。その名前を知らなければ、例えば『筆箱』っていう名前を記憶してなければ、答えられないじゃん」

現実を言葉で分節することをやめ、その実存的姿だけが浮かび上がってきたとき、嘔吐するような戸惑いを覚えたとサルトルが言ったことを彷彿させるような哲学的会話……と一人興奮してしまうおっちゃん。子どもとともに知識を掘り出しつつ構成してゆくことの醍醐味を味わうのでした。

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外界の像ですら、私たちはどうも素直に受け取っていないらしい。では、私たちは「自分が見た」ってことに基づいて「判断」しているんだろうか。もし「見た」と思ったことが事実でなかったら、その「判断」はとんでもないものになるのではないか。さらに「脳」の自動的な働きが私たちの「見え方」に影響を及ぼしているとするなら、それを意識的にコントロールしないと誤った「判断」をしてしまう。いや、もっと心配なのは、意識的にコントロールできなかったら大変だ!……

そんな「疑問」というより「不安」が子どもたちの中に次々わきおこってきました。

私たちの見え方が判断にどんな影響を与えているのか?という「本質に迫る問い」の追究開始です。

RI

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他者の”死”に寄り添う方から学ぶ

[5・6年生]

今週はこれまでもずっと『個の尊厳』のテーマ学習の際にお世話になって いる橋爪さんのオフィスを訪問し、インタビューをさせて頂きました。

橋爪さんは、事故などで傷ついたご遺体 を修復する「エンバーマー」の資格を日本で初めて取得し、その普 及と後進の育成に当たっている方です。
実際に他者の「死」に寄り添う仕事をしている方 にインタビューする機会に恵まれることはそうありません。
子どもたちが他者の「死」がもたらす「現実」について、別の perspective から考えるきっかけとしてこのインタビューを申し入れ、ご協力頂けることになりました。

子どもたちは先週橋爪さんの仕事について書かれいている本を読み解きながら、そこには書かれていない疑問や自分の悩みと重なり合った質問をいくつも話し合い、インタビューに備えていきました。

そして当日、最初橋爪さんの仕事の内容やイメージからやや緊張した様子でしたが橋爪さんの笑顔と話しやすく明るいお人柄と絶妙なユーモアですぐに緊張もほどけ、いつもの彼らでインタビューが始まりました。

エンバーマーとして第一人者とのことですが、橋爪さんの他にも弟子はいるんですか?
自分が死ぬとしたら死化粧を依頼しますか?
友人や家族の死化粧をしたことはありますか?
真剣に考えた上で直接ご本人に聞いてみたかったことを質問していきます。


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「おばあちゃんの死化粧を依頼されたことがあるけど、そりゃあ断ったよ。いやだったんだ。その”死”を受け入れられない時は断るよ。」

との言葉に子どもたちは、プロの方であってもやはり自分の肉親との別れはたった一度の特別なものなのだ、とその思いにハッとさせられたことを話していました。

エンバーミングの仕事をやめたいと思ったことはありますか?


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「ぼくはね、世界征服したいって思ってるような子どもだったんだ(笑)」
「あっ(笑)それぼくたちもこの前話してたところ!」
「先生にはあまりよく思われない子どもだっただろうなぁ。
”この授業の内容全部知ってるから図書室で好きな本読ませて下さい。”って言っちゃうような子どもだったよ(笑)だって好きな本読んでいた方が良かったからね(笑)
でね、自分を必要としてくれる人がいたり、必要としてくれる場所があればさ、それって世界征服に近いと思わない?(笑)今の仕事でぼくを必要としてくれる人がいるから辞めようとは思わないんだ。人を助けたいという気持ちはずっとあってね。遺族の方に感謝してもらえると嬉しいし、”にこっ”としている表情を見るのが嬉しいんだ。」


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子どもたちは、
「みんなが一緒に同じ世界を見ているワケじゃないでしょ。一人一人見ている世界があるから、その人の世界を良い世界に変えることができたら世界征服とも言えるってことを橋爪さんは言ってたんだと思う。」と理解したことを語ってくれました。

仕事でよく”死”に触れていると”死”に慣れてきますか?
「”死”に慣れたことは一度もないなぁ。もし慣れたとしたらきっとこの仕事を辞めるだろうな。」 との返答に子どもたちも驚きとともに納得した様子。
子どもたちは、”環境に慣れると色んなことが簡単になってくるけど死に慣れるとひょっとしたら軽い気持ちになるのかな?と思って質問したけど橋爪さんの答えを聞いてやっぱり”死”は一人一人違うものだし、毎回が初めてだから仕事でよく直面するとはいえ、慣れていくようなものではないんだ。”と話していました。

気付くと橋爪さんの話に引き込まれ、あっと言う間にインタビュー時間は過ぎてしまいました。

大切な人の死に直面し、悲嘆にくれる人に寄り添い、なんとか折り合いをつけて生きてゆけるようにサポートすることを使命として広範に活動なさっている橋爪さんとのインタビューを通 じて、「貴重なお話を聞けた」というだけでなく、「他者の死」と「自分の死」とのつながりや、「生」ということに対してさらに深く実感することができました。

また、一つの分野を第一人者として切り開いてきた魅力的な大人との出会いから子どもたちは年を重ねていく楽しさや喜びを感じ取り、少し自分の未来への考え方が変わったと話していました。
そういう意味においても正にこれから子どもたちが自分の40年後の未来について試行錯誤を重ねながら考えていく上で大変貴重な学びの機会を与えて頂くことができました。

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橋爪さん、そして(株)GSIの皆さま、このように貴重なお時間を賜り本当にどうもありがとうございました。



YI

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2014年06月27日

目に見えるSpecial、見えないSpecial

[1年生]

先週は、自分の顔、友達の顔をじっくり観察していきました。
でも、まだ、目に見える自分でわからないこともたくさん残っています。
「背の高さはわからない。」
「足のサイズがわからない。測ってみればわかる。」という記録も
あったことから、次は、自分の知りたい体のサイズを測っていきました。


IMGP3940.jpg足の長さは?
IMGP3943.jpg頭の周りは?


IMGP3956.jpg長さがわかったものを記録していきます。
「首の周り59センチ。」

首の周りが59センチ?!
切り取った紙テープで輪を作り、太さを確認してみると・・・
「こんなに太くないよ!」と大笑いしています。
もう一度、測り直してみると、29センチだったことがわかりました。

「ちゃんと測らないと嘘になっちゃう。」
正確に測ろうと、紙テープを伸ばしたり、先を合わせたりしていきます。
IMGP3951.jpg身長は2人がかり。

IMGP3965.jpg3人がかりのときも。

IMGP3955.jpg 目の横の長さ、
 耳の高さ、へその長さなど
 気になったところを測って記録。
 違う部分でも同じ長さがあったり、
 左右の長さが違っていたり、
 発見したこともメモしていきました。

先日、Out Door Day(ODD)があり、そのリフレクション作文の中に、
You are Specialを書いていた子がいました。

さかないっぱいいた。
○○がみつけた。
すごいね。
○○ってあたまがいいね。
(誤字脱字を修正。一部抜粋。)

「ぼく、頭よくないよ。」と名前が出てきた子が言います。
「なら、どうして魚を見つけられたの?」
「魚が動く音、水の音がしたから。」
「それなら、耳がいいんだね。」
「わたしは、お母さんから目がいいねって言われたことあるよ。」
自分の体の中でいいねと思うことを探していきました。

「体が柔らかいよ。」といって開脚する子がいると、
同じことをしようとして、「痛くてできないよ。」との声。
その発言を受けて、「腕を伸ばすと痛くなるのはスペシャルかな?」と言い出し、
「どうやるの?」といって、まねをして痛がっています。
  IMGP3967.jpg
そうしたやりとりの中から「えんぴつ噛むの大好き。これも書けるかな。」と質問が出てきました。
「どんなときそうするの?」「うれしいとき」
「じゃあ、かなしいとき、ついしちゃうことある?」「えんぴつ噛んじゃう。」
「困ったときは?」
「手を触っちゃう。」
「上を向くことが多いなぁ。」と、
それぞれに自分がついしてしまうこともスペシャルとして記録していきました。
ひとつの作文をきっかけに、自分の体についていくつもの発見が出てきました。

体の動きは、内面の表れといえることもあります。
1週目から「スペシャルって何?」とモヤモヤ状態の子どもたちでありますが、
その後、「スペシャルって特別って意味だって。」と
自分のお姉さんから教えてもらったことを発言した子がいました。
「ホースキャンプのとき、コーチから特別ですよって褒められた。」
「いいことを特別っていうの?」と尋ねると、子どもたちは首を振ります。
「それなら嫌な特別、嫌なスペシャルもある?」
「穴の滑り台、ちょっとがんばったけど、やれなかった。」

1年生みんなで公園に遊びに行ったとき、2本のポールで滑り降りる遊具があり、チャレンジしようとしたけれど、結局できなかったことを思い出したようです。1ヶ月以上も前の話で、ほかの子は忘れていたのですが、本人にとっては、がんばったのにできなかったことが心残りだったのでしょう。そんな自分が嫌だったと。 好きな自分がいれば、嫌いな自分もいる。 自分の行動から、内面を探っていきました。
性格を表すことばにはどんなものがあるのかをいくつか知った上で、 自分の性格を10こ書き出しました。

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「自分の性格ってなんて言えばいいのかな?」と考えてしまうとなかなか出てきません。
でも、 「あのとき、こうしたのはなんで?」とか「よく〇〇っていうよね。」など、みんなで日々何気なくしていることを話しながら、それぞれ自分がなぜそのような言動をとったのかを考えていきました。ゆっくり頭の中で「!」(発見)が生まれていくようで、 思い思いにシートに記録をしていっていました。

AN

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おもちゃのイメージを図に落とし込む

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

今週はいよいよ自分の作りたいおもちゃのイメージを図に落とし込
む作業に取りかかりました。

おもちゃのデザインや機能を具体化し、その内容を設計図に反映す
るために避けては通れない重要な作業です。

ある男の子は対戦型のおもちゃを作ろうと思案中。
ただ、具体的な内容となると、手が止まってしまい困っている様子
でした。

20140709.001.jpg

「対戦型」というキーワードを手がかりにイメージを膨らませると、
まずスクールに置いてあるカロム(ビリヤードに似たゲーム)やボ
ーリングなどが頭に浮かんだようです。

「盤を磨き上げて、コマを滑らす感じが面白そうかも。」

そこからヒントを得て、さらにアイデアを磨きます。

「見て楽しむ」をコンセプトにしたおもちゃを考えついた女の子。
自分のイメージしたおもちゃのデザインや機能がはたして実現可能
か、段ボールを用いて、プロトタイプを作ることにしました。

20140709.002.jpg

「真ん中の棒と円盤の部分をひもで結んで回転させるって言ってた
けど、この仕組みだと動かないんじゃない?」
「うーん、たしかに。。」

イメージを具体的な形にしてみることで、設計の不備が見えてきま
した。


オリジナルのボードゲームを開発中の女の子もいます。
写真は、工作用紙を実寸大に切り、盤の大きさが適当か確かめてい
るところ。

20140709.003.jpg

ルールの詳細は既に決めているようで、早くクラスメイトと一緒に
遊びたいとウズウズ。


今回、子ども達にはおもちゃ製作にあたって、もう一つ大事な作業
がありました。
それはおもちゃの材料となる木材集め!

注文書には、制約条件として、
『材料は木の廃材・端材を集めて、有効利用すること』
とうたわれています。

これはホームセンターで必要な木材を購入するという安直な選択肢は
とれないということ。
廃材や端材からでも、こんなに良いものが作れるんだという創意や工
夫が求められます。

家の近所では廃材や端材をもらえそうな場所を見つけられなかった
ので、ネットでスクール周辺の情報を調べてみると、何件か工務店
や材木店があることが判明しました。

「そうだ、PEで和田北公園に行く途中に工務店があったよ。今、思
い出した!」
「よしっ、一軒一軒まわってみよう!」

早速2チームに分かれ、木材を調達しに、スクールを飛び出しました。
しかし・・・

「うちでは木材を扱っていないんだよ。ごめんね。」

「君たち、来るのが一足遅かったなあ。今朝、ゴミで捨てちゃったよ。」

「小さい角材だったらあるけど。これ持っていく?」

どこも親切に対応してくださるのですが、なかなか自分たちが欲しい
木材には出会えません。

また次の工務店をたずねようと歩いていると、ふと家の建築現場が目
に飛び込んできました。

(さすがにアレをくれる訳はないかな・・・)

大量の木材が建築中の家の前に置かれていたので、非常に気になり、
ダメもとで聞いてみることに。

すると、「これ全部持っていっていいよ」と意外な返答が。

「やったーーーー!!!」

これには、子ども達も大喜び。
廃棄予定の大量の木材の中から、自分たちのおもちゃに使えそうな
もの選びます。

スクールまでの帰り道。
大きな合板や角材を協力しながら運ぶ子ども達の表情は充実感でい
っぱい。

20140709.004.jpg

これでようやく実作業に入れそうです。

HY

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6色シンキングメガネ

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

「デボノ博士の6色シンキングハット」について聞いたことがある、知っている、あるいは使ったことがあるという人も多いでしょう。人の思考スタイルを6分類し、それぞれのスタイルに色を割り当てたもので、企業研修で、また学校の授業で、思考トレーニングのために用いられます。まるで「帽子」をかぶりかえるように思考スタイルをチェンジできるようにというアイデアです。

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「事実」を見つめる「白の帽子」、「感情的」に考える「赤の帽子」、むしろ「感情」を抑えて「コントロール」する「青の帽子」、「創造性」を働かせる「緑の帽子」、物事を「楽観的」にとらえる「黄の帽子」、そして「批判的」に見つめる「黒の帽子」

うまい具合に思考スタイルを分類しています。

先週、錯視の実験で明らかになったように、私たちの「見え方」に脳の「判断」が大きく影響を与えているのは明らかです。とするならば、この6色で表現された思考スタイルが私たちの「見え方」に関わっているはず。

いったい「見え方」がどんなふうに変わるのか考えるためにちょっと遊び!(いつも遊び!ですが……)

スポーツドリンクに「探究」というラベルを貼って、これを「探究ドリンク」と名づけて飲んでいるおっちゃんがいた。さあこのおっちゃんを白い帽子で眺めると……

「それは探究ドリンクではなくて、どこでも売っているスポーツドリンクです。それを飲むことと探究するようになるかは別ですっていうのが白!」

さっそく的確な答えが返ってきました。

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「でも、赤だったら、わあ、なんか面白い!こういうのっていいよね!って盛り上がるんじゃない」
「黄色も似てるよ。探究ドリンクだと思うと気分がいいよね。なんか効くような気がするとか言いそう」
「黒は、本当はそうじゃないものをそう見せるっていうのは人をだますことにつながるんじゃないかなってなるのかも」
「緑だったら、もしみんながこれを探究ドリンクだと思って元気になるなら、飲み物だけでなく食べ物でもそうできるかなって考えるかもね」

子どもたちとワイワイ騒ぎながら遊んでいるうちに、なんとなく6色シンキングハットの意味が見えてきたようです。

そこで、課題を提示。帽子じゃ面白くないからこれをメガネに作りかえよう。題して「6色シンキングメガネ」。物の見え方を変えてしまう「変なメガネ」を作ってみようと促すと、ノリノリで作業にとりかかりました。

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面白いことに、ちょうど今日みんなが着ているシャツの色がこの日のためにわざと着てきたように6色バラバラ。自分の着ているシャツの色のメガネをつくることにしました。

工作用紙に設計図を書きます。つるの長さを決めるために目と耳との距離を定規で測ってみます。一心不乱に作業に没入。みなそれぞれ形がことなる個性的なメガネができあがります。

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さあ、メガネができ上がったら早速かけてみます。なかなかシュールで、スタイリッシュ。ただ、工作用紙だとうまく耳にかけられなくて不安定なのが玉にきず。でもまずはプロトタイプをつくってしまうことが大事。どこを直せばいいか見えてきます。

「このメガネさあ、形は面白いけれど、こわれやすいね」

「わあ、それ白いメガネじゃん」

だれかの思いがけない発言を、メガネの色とすかさずつなげてしまうなんてスゴイ。「事実」を発言したんだから、それは「白いメガネ」で見たもののとらえ方だというわけです。すると別の子が

「悪い部分を言ったんだから黒いメガネだと思う」

なるほど、事実の指摘ではあるけれど、ネガティヴな側面を指摘したんだから黒いメガネと言う方がいいんじゃないかという反論ですな。いやあメガネ完成早々、鋭いやりとりが始まりました。

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そこで、もっと議論を面白くするために、どちらも「事実」を言っていることは間違いないのだから、黒と白の2色がなくてもどちらか1色でいいのではないかと投げかけてみました。すると、みんなそれは違うと言います。

「白はね、本当のこと。でも黒はそうじゃないことなんだよ」

「えっ?それどういうこと?」とさらに突っ込むと……

「白はね、実際にそうなっちゃってるの。当たり前ってこと。でもね、黒はもしかしたらっていう悪い予想なんだよ」

いやあ、まいった。面白いこというね。こうして語り合いながら彼らとしての「意味」を構築してゆく。教わったことを覚えるのとは正反対の知識をつくりあげるプロセスです。

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白はあたりまえの事実をいう「あたりまえメガネ」。これに対して黒は、「でもさあ……もしかしたらこうかもよ」っていう言い方をして使うことが多いから「でもさあメガネ」と名づければいいというアイデアまで出てきました。こうして自分たちのものの見方に大きく影響を与える思考スタイルについての理解が深まります。いよいよ次の週は、自分がどんなメガネでものを見てしまいがちか、さらに、意識的にメガネの色を変えてものを見ることができるかに挑戦してゆきます。

RI

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新校舎 内覧会のご案内

TCS新校舎 内覧会のお知らせ

開校10周年を迎える東京コミュニティスクールは、9月より東京都中野区の新校舎で新たな学びをスタートすることになります。

現在は、契約も無事完了し、内装工事の設計、什器備品の調査等を進めると同時に、移転に伴う寄付金の募集を行っています。

保護者の方々や寄付をしようかどうか検討されている方の中には、新校舎はいったいどのような物件なのかとご心配の方もいらっしゃるかと思います。そこで、まだ校舎の内部は内装工事前の状態ではありますが、周辺の環境も合わせて、下記要領にてご案内する機会を設けることと致しました。

内覧会には、TCSを応援してくれる方なら誰でも参加できます。ご希望の方は、事前にご連絡ください(当日のご連絡でもOKです!)。

            記

1.日時
  第1回内覧会 6月28日(土) 13時〜14時
  第2回内覧会 7月 2日(水) 13時〜14時
  第3回内覧会 7月12日(土) 10時〜11時

1.場所
  東京都中野区中野1丁目62番10号 YDCビル
  (JR中野駅南口から徒歩9分) https://goo.gl/maps/9Y2Yv

1.スケジュール
  20分ほど校舎内のご案内をした後、近隣の公園・図書館等、希望者には学びで活用する場所をご案内します。
 ※20分以上遅れた場合は、近隣の案内はできませんのでご了承ください。

1.お申込方法
  メールにて、nairan@tokyocs.org 宛にお申込みください。
                                 以上

2014年06月30日

”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”を創る

[5・6年生]

三週目となる今週からはいよいよ自分のこれまでの人生を振り返り、そしてこれからの人生を想像して描く”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”の製作が始まりました。

先週グリーフサポートを行なっている是枝さんからお話を伺い、また今週始めに「さよならエルマおばあさん」などの良書を通して死者の人生、さらには生前ともに生きた時間を思ってそれを鏡として自らの”生”を考える人たちの姿から”死”と”生”について考えを巡らせてきました。
そしてそれをわがごととして捉え、自分の生き方へフォーカスしていくさらなる仕掛けが”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”を書くことです。

約40年後、師の「死」に直面するというリアリティの高い状況を設定し、それまで自分はどういう人生を歩んでいるのか。
「通夜」に集まったとき、同級生たちとどんな話をするのか想像するには、その時点まで自分がどんな人生を歩んでいるかイメージできていることが鍵となります。
大人ですら何十年後の自分を思い描くことは難しいし、そんなこと意識せずに生きている場合が多いでしょう。

子どもたちは過去の先輩たちが学んでいた姿を思い出しながらどのようなことを描くのかそれぞれにイメージを持っていましたが、実際に誰かの年表を見たことはありません。

そこでまずは私が作った”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”を子どもたちにシェアすることになりました。
まずは見本を見せて私自身をさらけ出さないことには子どもたちも動いてくれないでしょう。(内容はここではお見せできないような恥ずかしいことも数多く書かれているので省略させて頂きます。)

自分の恥ずかしい部分や弱い部分また挫折を克服した経験、これからの生き方などを見せることで子どもたちも人生の楽(ポジティブ)な部分だけではなく、必ず今までにもありこれからも起きるであろう苦(ネガティブ)な部分についても思いを馳せてそれらを受け止めた上で前向きに人生を捉えて年表を書いてくれるであろうという考えがありました。

書き進めていくと子どもたちから
「この年表作りメチャメチャ面白いね!」
「ねえ、おれペンが止まらないんだけど。」
と自分年表を書く楽しさに早速ハマっている様子。

「幼稚園のとき女子トイレをのぞいてる友達をからかってたこと思い出した!(笑)」
「1年生で富士山登頂したことは忘れられないね!」
「保育園でかってたザリガニに小指はさまれて血が出たんだよなー。」
など今まであまり思い出す機会が無かった出来事をどんどん思い出しては嬉しそうに話しています。

「この年表1枚じゃ絶対足りないから、2枚分の枠に作り直してくれない?みんなそうじゃない?」
「うん。絶対足りない!作って。」
と言われたのでフォーマットをすぐに作り直しました。

しばらくすると「楽の部分はたくさん思い浮かぶんだけど苦がぜんぜん出てこないなぁ。特に未来の苦なんてなかなか想像できないよ。」
とみんな口を揃えていいます。人生の楽しかったことは思い出せるし、これからの人生でのポジティブな出来事は想像できても辛いことや乗り越えるべき壁についてはなかなかアイディアが思い浮かばない様子の子どもたち。
実際に作ってみると確かにそこに苦労します。しかし、誰しも順風満帆にいくだけの人生というのはありません。
”苦”や弱さを乗り越えていく過程で様々な学びを獲得していくということも言えるでしょう。
また年表を作りながら山田麟太郎さん著の「なきすぎてはいけない」などの良書を読み聞かせ、色々なパースペクティブから”生きる”ことと”死ぬ”ことについてさらに思いを広げていきました。
そうした中で少しずつ自分たちの年表にも幅が出てき始めました。
来週も引き続き年表を作りながら自身とじっくり向き合っていきます。



YI

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