東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2013年02月 アーカイブ

2013年02月08日

『One for All, All for One』〜概要〜

[1・2年生]


タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与


探究領域「社会寄与」において、一年生では『ありがとうにありがとう』を行います。
このテーマは、いつもそばにいる家族や仲間の有難さに気付き、感謝の気持ちを伝えることに挑戦しました。


本テーマでは、「他者への尊敬を持ってコミュニティに寄与すること」を目指します。
1・2年生の子どもたちには、他者から求められたり、役に立つことは少ないかもしれません。
しかし、彼らもコミュニティの一員であり、一人一人がそのコミュニティに“寄与”することができる存在のはずなのです。


そのために、「私たちがコミュニティで何ができるのか」を探るべく、まず動くことから始めます。
そして、「私たちがコミュニティで果たすべき“義務”とは何か」ということを、動きながら考えていきます。
“義務”とは何なのか?
何が“正しい”行いなのか?
コミュニティの一員としてやるべきこととは何か?
子どもたちと共に追究していきたいと思います。


EN


TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「No Water No Life」 〜概要〜

タイトル:No Water No Life 

探究領域:共存共生

私たち人間の体の約70%は水分でできています。
全ての生命にとって欠かすことができない水。
水は生命の源泉であり、限りある資源です。

21世紀は”水危機”の時代であるとも言われています。
私たち日本人は比較的水資源にまだ恵まれた環境にいるためなかなか”水危機”について実感することはありませんが同じ時代を生きている人間として関係のない話ではありません。

この地球の水環境はどのようになっているのでしょうか?
そこに私たち日本人はどのように関係しているのでしょうか?

そしていったい私たちにはどのようなを協力することができるのでしょうか?



YI

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「Dear Editor」~概要~

[5年生]

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現



情報は、編集されて人に伝わり、また、人は情報を編集して認識せざるを得ない
存在です。しかし、普段、私たちはこのことを意識できず、いい加減な情報をう
のみにしてしまったり、適当な情報を自ら流してしまったりする「主体」となっ
ていることに無自覚です。そこで、発信する意義のある情報を、責任持って発信
し、相手の心を動かすように伝えるために編集する作業をひたすら重ねてゆきま
す。では、子どもたちにとって編集する意義のあるテーマとは……それは、自ら
の学びをふりかえり、そのコツを明らかにすること。TCSならではの学びの面白
さを子ども目線で解明し、その意義をTCS以外の人の心を動かすような「小冊子」
としてまとめ、“編集の達人”を目指します。

RI



RI

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「エキシビション」〜概要〜

[6年生]

タイトル:エキシビション
探究領域:共存共生


エキシビションとは、卒業研究のようなもの。
ただ、普通の卒業研究とひと味違うのは、ここまで学べるようになったことを思いっきりcelebrateし、これからも学び続けてゆくようにencourageするところです。

よい成果を生み出すことは大事ですが、それ以上に、学びのプロセスにどれだけ情熱を傾けていたかが評価のポイントとなります。

テーマ決め、プラン、リサーチ、まとめ、そしてプレゼン準備まで、すべて子ども主導で行います。
しかし、ただ好きだからという理由だけで、どんなテーマを選んでも良いと言う訳ではありません。
社会的な意義があるテーマを選ぶということ、それがエキシビションの制約条件です。
周囲の大人に求められるのは、初めて本格的に自ら選んだ課題追究に向けて旅立った子どもたちをサポートすること。
スクールで培ってきた「学び続ける力」が十分に発揮できるよう支えることが私たちの責務です。

発表日は2013年3月16日(土)。卒業式の日に行います。

みんなで応援しましょう!

HY

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2013年02月09日

寄与って何だ!?


[1・2年生]


今年度最後のテーマ学習が始まりました。
4月には「テーマって何?」「楽しいのかな?」と言っていた1年生も6つ目のテーマとなり、「次のテーマは何をするのかな?」と興味津々。


前情報から、
「次のテーマは“働かざるもの食うべからず”だよ!」
「ってことは“働く”んだ!」
「お手伝いしたいな、外行きたいな。」
と予想を巡らす子ども達。


そのため、『One for All, All for One』というテーマタイトルを書き出すと、前予想とは違うので驚き。
「One は一つ……All は全部?」
「“ともだちはいいもんだ”の歌詞( みんなはひとりのために、ひとりはみんなのために)みたい。」


セントラルアイディア『私たち一人一人はコミュニティに寄与することができる』を書き出すと、
「コミュニティ?」「寄与?」と更に子ども達の頭の中にハテナが飛んで。


「コミュニティと言えば、東京コミュニティスクール?」
「パンづくりコミュニティ、という看板を見たことがある。」
「『寄与』の寄は、奇跡と同じ漢字?あっ、うかんむりが足らないのか。」
「それで、働きに行くの?」
「人のために動くっていうことかな?」


分からないことだらけかもしれないけれど、どういう意味だろうと考えることが大事。その後もテーマタイトルとセントラルアイディアを基に、子ども達と話し合いました。
「なぜ人のために動くの?」と尋ねると、
「お金をかせぐため。」
「良い人と思ってもらうため。」
「誰かに喜んでもらうため。」
「人のために動くことも大事だけど、それで自分のためにならないことはないのかな?」
「自分のためにもならないといけないと思う。」
「例えば、お金をあげたら人のためにはなるけど、損をするから自分のためにはならない。」
「けど、相手が喜んでくれたら嬉しいから自分のためにもなるかもしれないよ。」
「人のためになると思ってしたことが、そうでないこともあるよね。」
「それは、ありがた迷惑だ!」


ただ動けばいいのではない、人のためにも自分のためにもなることをするんだという意識が芽生えたところで、早速翌日から動き出しました。
コミュニティの中でまずできそうなこととしてまずやってみたことが、スクール前の公園のごみ拾い。
寄与って何だ!?01「よし、寄与するぞー!」
と、意気込んで出かけたものの、ごみが落ちていない……。普段から公園の管理者の方がきれいにしてくださっているのでしょう。

寄与って何だ!?02
池の中にある葉っぱを拾おうとしますが、ゴミ袋と長靴(降雪の翌日だったため)しか持ち合わせていない子ども達に十分に拾えるはずもなく。ズボンや靴下、手袋が濡れて、最後に水遊びのような状態にもなり……。


動いた後は振り返り。
自分の“行”いを“伝”える、“行伝シート”を制作して自分たちの動きや意識を振り返りました。


「数個はゴミを拾ったよ!」
「少しはきれいになった。」
「でも、これじゃあ、寄与と言えないような……。」
「そもそも寄与って何なんだ?」
「分かるようで分からない。」
と、子ども達。


そこで改めて『寄与』という言葉の意味を探るべく、国語辞典と漢字成り立ち辞典を用いて調べてみることに。
「寄与の寄は、“家に寄りかかる”というところから、“頼る”という意味があるらしい。」
「寄与の与は、“象牙を4本の手で捧げる”かたちなんだって。」
『寄与』には、社会や人の役に立つという意味の中に、頼って頼られて、という支え合いの関係を指すことが見えてきました。


さぁこれからの6週間、どうしたらコミュニティに寄与したと言えるのか、一緒に動きながら考えていこう!



EN

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Water Coorperation

[3・4年生]

私たち人間の体は約70%が水でできていると言われています。生命に必要不可欠な水。限りある資源である水。

この”水”が世界では問題となっています。日本にいてはそんなに実感する機会はありませんが、世界に目を向けると”水”が不足していたり、汚れてしまっている地域が数多くあります。
この状況に対し、同じ時代を生きる者として協力をすること、”WATER CORPORATION”をこのテーマのミッションとして伝えるべく授業初回で私が子どもたちにプレゼンを行いました。

最近はユネスコや様々な団体が主催し大人だけではなく子どもも水問題について考え、アイディアや意見をプレゼンしシェアする場を設けています。

今回はまず授業の初回にテーマ発表のアウトプットとしては”WATER CORPORATION”について各自プレゼンを行うというゴールを伝えました。そして自分たちのプレゼンを録画し、YouTubeで色々な人に見てもらうと。

一週目は、子どもたちが私のプレゼンを聞いて感じたこと・知っていたこと・疑問などについて語り合いました。

「水なんてみんなのものだから分け合えばいいじゃん。タダなんだし。」
「水が少ない土地に日本やアメリカみたいに水をいっぱい持ってる国が送ってあげればいいんだよ。法律でそう決めちゃえばいいんじゃない?」
「汚いドロ水をきれいにして飲むことが出来るストローがあるらしいよ!」
「買った飲み物の半分をアフリカに送る法律作れば?」
「お酒とかジュースって水のムダなんじゃない?なくてもいい!」
「水を節約するために川で洗濯すればいいじゃん。善福寺川はきれいじゃないけど。」

たくさんの面白いアイディアをシェアしているとある子が、 「アメリカの水の方が日本の水よりきれいな気がする。アメリカに住んでいた頃の方が体調が良かったのは水のせいだよ。」
と発言したのをきっかけに世界の水の質の違いについて探究スタート!
そして世界各地の水質に迫っていきました。インドネシアやエジプトの川沿いに住む人々の映像を見ると水道すらない土地での暮らしが見えてきました。

どうやら彼らの水環境には水の”量”の問題と”質”の問題があるようです。それらの問題の現状はいったいどういうもので、そこにはどのような原因があるのでしょうか?

子どもたちと話していると、
「問題をよくしたい。そのためには原因を知らないと!ただ原因を知るんじゃないよ。とことん知らないとダメ!」とアツく語ってくれました。
問題解決するためにはまずどんな問題があるかを知り、そしてその問題が起きた原因をとことん知る。なるほど!たしかにその通りだ!
ということでこれからどんどん探究していきます⭐  

YI

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編集って何だ?

[5年生]

「“編集”ってどういうこと?」

まずは、今回の学びの中心となるコンセプトについて子どもたちが
どんな先行知識を持っているかマイニングする作業から始めました。

「編むっていう漢字が入っているから何か織ってからめる感じ……」

漢字に着目して意味を推測してみるのはいい考え方です。

「よくするために作りかえること」
「文をもっとうまくする」
「そのためにつけたしたりする」
「つけたすだけじゃなくて削るときもある」

新しい学びを始めるには、まずインプットしないとダメ!と当然の
ように思っている人が多いのですが、そんなことはありません。実
はこんなにも豊かな先行知識を持っているのです。この先行知識を
洗い出すことからスタートし、それを基盤に豊かに拡張してゆくの
が学びによる「探究」です。

「編集」という言葉の意味については、かなり的確にとらえている
ことが見えたところで、今回の探究の「本質」である、「人間が編
集するプロセス」について考えてゆくことにしました。そこで

「どのように私たちは編集しちゃうんだろう?」

という「問い」を投げかけました。するとある男の子が、

「テレビって編集されるんでしょ。よくここ編集してとか出演者が
言うよね」

と発言。確かに、今、テレビを見ていると、芸人がやたらとここは
編集しないで使って!とかどうせ編集されちゃうんでしょ!という
ような「禁じ手(これは私の個人的見解ですが……)」を乱発して
います。おいおい待てよ、あんたたちは「編集」を前提に「芸」を
見せてるのかい?とあまりにもプロ意識のないことにあきれてしま
います。(もちろんそんなシーンを平気で「編集」して流している
テレビ局が悪の根源なのですが……)

一方、子どもも、私とは異なる見方で、テレビの編集というものの
「ウソくささ」に気づいていました。都合のよいように適当に切っ
て、くっつけて、つなげているから、本当の姿が見えないかもしれ
ないという健全なる「疑念」をちゃんと抱いている。メディアリテ
ラシーの欠如しているそこいらの大人よりよほど立派!その「感性」
を失うなよと願うと同時に……次のゆさぶりにかかります。

「では、きみたちはふだん『編集』してないのかな?」

テレビの映像や新聞の記事が送り手の都合に合わせて作られている
ことを糾弾する映像は、You Tube にたくさんあげられています。
たとえば、「街の人の声を聞いてみました」というシーンが、ニュ
ース・情報番組にありがちですが、同じ人物がいろいろな番組に違
うシチュエーションで繰り返し出ていたことを暴露する映像。映像
だけでなく、新聞や雑誌のような活字メディアでも、同じ出来事が
まったく異なるニュアンスで取り上げられるケースがありました。
しかし、それはあくまでも自分以外の人が「編集」しているという
「視点」です。かつてはマスメディアを握らないと広く情報を発信
することはできませんでしたが、今では、インターネットを活用し
て自ら「情報の送り手」として主体的に情報発信することが可能で
す。ということは、自分も「編集」の受け手ではなく送り手の側に
まわってしまうことになるわけで、ただ「他人事」としてマスメデ
ィアのやり口を非難しているだけでは不十分です。

実は、日常のほぼすべての場面で私たちは自分に都合よく「編集」
しないわけにはいかない存在であることに気づく必要があります。
そのためのゆさぶりが

「では、きみたちはふだん『編集』してないのかな?」

という問いでした。

もしA君が『このコロッケまずい』」と言うのを聞いたとき、コロ
ッケの味がまずいことにフォーカスして「編集」するのか、なんで
もかんでもまずいというA君の姿勢にフォーカスして「編集」する
のかで、伝えたいニュアンスはまったく異なります。

「相手にムカついてしまうときもこっちの勝手な思いでそうなると
きがあって、それも編集だよね……」

ある子が思わずつぶやきます。そう、まさにその通り!

「記事」を作成する以前に心の中にわいてきた「思い」が「編集」
を左右している……私たちはすべての瞬間において、「編集」して
物事を判断し、考えざるを得ない存在ではないか……ようやく「ミ
ッション」に入ってゆくための前提となる「認識」にたどりつき
ました。

私たちが否応なく情報を編集して受けとり、発信せざるを得ない
という「認識」を持って、私たちは自分の伝えたいことを「吟味」
して選び、いかに相手の心を動かすように「編集」して伝えるか
という「ミッション」に挑戦開始です。

RI

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自分事として考えるということ

[6年生]

いよいよ6年生は、TCSにおける最後のテーマ学習となるエキシ
ビションに取り組みます。

エキシビションがこれまでのテーマ学習と異なるのは、自分が強く
関心を抱き、熱意を持って追究したいと思うテーマを子ども自身が
選ぶということ。これまで培ってきた学びの技術と経験を総動員し
て、自らが設定した取り組むべき課題に臨みます。

ただ好きだからという理由だけで、どんなテーマを選んでも良いと
言う訳ではありません。社会的な意義があるテーマを選ぶというこ
と、それがエキシビションの制約条件になります。

エキシビションを進めていく上で、まず最初にやるべきことは探究
テーマを決めることです。自分の興味関心のある分野で、どんな
conflict(対立、葛藤)が生じているかを見出し、それに対する
仮説を立てる、それが探究のスタートラインになります。

仮説というと小難しく聞こえますが、要は自分の頭で考え抜いた独
自の提案をするということ。conflictを解消するために、どんな
大胆で面白い発想ができるか、それが我々が子ども達に期待してい
ることです。

最初の授業では、まず子ども達が今興味関心を抱いているテーマを
ノートに洗い出すことから始めました。

男の子から真っ先に出てきたのは「ユーロ危機」というキーワード。

(やはり、そうきたか・・・)

彼からこの類いのキーワードが出てくるのは、ある意味、想定の範
囲内だったので、なぜそのテーマに興味を持ったのか聞いてみるこ
とに。

「ギリシア危機の件がニュースを賑わしているよね。」
「ユーロは失敗と言われているけど、ドイツとフランスの間でのい
ざこざがしばらく起きていないことから考えると、必ずしも失敗と
言えないと思うんだよ。」

おそらく受験勉強を意識して観ていたテレビのニュースや新聞記事
から仕入れた知識なのでしょう。評論家のような言葉が並びます。

「じゃあそれによって、自分はどんなことに困っているの?」

そう質問を返した途端に疑問が出てこなくなります。
それもそのはず、そのニュースと自分とのつながりを見出すことが
できていないからです。テーマとして取り扱うにはあまりに大きす
ぎるのです。

社会的に意義があるテーマを選ぶということは、大きなテーマを扱
いなさいという意味ではありません。
身近な疑問や不満をきっかけに、それらを追究し、問題意識を広げ、
深めていく中で、その裏に潜むissueに思いや考えが及ぶ。
それがTCSで実践しているテーマ学習なのです。

ある問題に対して、自分事として捉えられていない限り、説得力の
ある主張なんてしようがないのです。

私とのやりとりを通じて、本人もそのことに気付いた様子。

エキシビションはまだスタートしたばかり。
子ども達は一体どんなテーマを選ぶのでしょうか。

HY

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2013年02月13日

市川校長登壇「TEDxTokyoTeachers」

東京コミュニティスクールの校長 市川 力が「TEDxTokyoTeachers」に登壇いたします!

【TEDx Tokyo Teachers】
Theme : "Staying Curious"
2013年3月1日(金) 5:30pm - 10:00pm
東京インターナショナルスクール(港区三田)

大人気のイベントで既に席は埋まってしまいましたが、当日LiveでUstream配信されます。
ウェブサイトはこちら

皆様、ぜひご覧ください!

※尚、市川の登場は午後9時過ぎを予定しております。

2013年02月15日

義務の遂行って何だ!?


[1・2年生]


コミュニティに寄与するために何をするか。
そうした矢先にグッドチャンスが訪れました。
なんとテーマ学習前の時間が伸びたため、掃除が潰れてしまった。
スクールという身近なコミュニティにも寄与できるチャンスではないか?!
ということで、スクールの掃除から始めました。


義務の遂行って何だ!?01みんなで分担してテーマで使っている部屋以外の掃除を行います。
「これ、どうやって片付けたらいいかな?」
「ここも汚いから掃除しよう。」
「ここ、修理しよう。」
「手伝おうか?」
いつもなら気付かないだろうところまで自分なりに気付き、どうしたら寄与できるだろうか意識しながら取り組もうとしていました。


そして振り返り。2枚目の行伝シートの制作に入りました。
「TCSをきれいにできた。」
「掃除できたけどもっときれいにできたと思う。」
「もっと良い掃除の仕方があったと思う。」
「楽しかった。でも面倒だと思ったところは適当にやってしまった。」
「ちゃちゃっとやってはいけない。」
「けど、時間をかければいいってもんでもないよね。」
前回よりは、TCSをきれいにできたし、できることもあったから寄与したと思うけれど、十分ではなく質の向上が重要だと感じる子ども達。


この行伝シート、実はいくつかの項目に分かれて記録しています。
『志(何を目標にして臨んだか)』
『動(何をしたか)』
『意(どんな意識で動いたか)』
『良(良かった点は何か)』
『改(改善点は何か)』
『寄与(寄与できたか)』
行伝シートを眺めていると、気付くことが。
前回より寄与できた、という割には『良』が少ないのです。
それに、『良』の内容を見ていると、
「キッチンをピカピカにできた。」
「けん玉を修理した。」
など、もの・場所に関することばかり。
コミュニティに寄与することは、ものや場所だけでなく人に関してのグッドポイントも出てくるはずでは……?
そのことを伝えると、「あ〜そうだ〜。」と頭を抱える子もいました。


それに、「少しでもできたからOK、もう改善点は無い」とする姿勢も見えることがありました。
できる範囲のことでは挑戦にはなりません。
「もっと向上していこう」と自らを変えようとする姿勢が無ければ、これ以上動き続けても成長は見られないでしょう。
今の自分をどうしたらもっと高められるか、その視点を持って今後も動いていって欲しいと思います。


コミュニティに寄与する際の条件として挙げたうちの一つは『義務の遂行』であること。
っていうけど、『義務の遂行』って何だ!?
そこでまたまた辞書で調べることに。
「ことばの学びみたい。」と子ども達。
そうです、テーマは他の学びとも連動するのです。


『義務』は“しなければならないつとめ”であり、
『遂行』は“困難であっても正しい行いをやり遂げる”という意味が見えてきました。
「大変であっても正しいことを徹底的にやり遂げるんだ」という意識が出て来たところで、子ども達の希望によりごみ拾いリベンジを行いました。


義務の遂行って何だ!?02今回は場所を変え、木の茂みの中やなんと側溝の蓋(編み目状)の下にあるごみまで拾おうとする子ども達。もう彼らの中では、気になって仕方が無い、正しいから大変であっても取り組むんだという気持ちが芽生えたのかもしれません。


さぁ、来週も更なる寄与を目指して動きます。


EN

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土地によって”水”の環境は違うのかな?

[3・4年生]

先週に引き続き水に関する量と質の問題(水不足と汚染)について映像や資料を通してアジアやアフリカの水環境を見ていきました。すると世界には”水”の量と質に関する問題があるということが見えてきました。
ではなぜ人々は汚れた水で生活をしなくてはいけないのでしょうか?そしてなぜ水は汚れてしまったのでしょうか?

地域によって汚染の理由は異なるようですが川にゴミを捨ててしまったり、工場から流される排水など人工的な原因で河川や地下水が汚染されていることが分かってきました。

翌日JICA地球調査隊へ伺い、海外での水環境について実際に滞在していたスタッフの方からのお話を聞きに行ってきました。やはり実際に現地に住んでいた方から直接話を聞くことで他人事ではなく感じるものです。また、スクールで学んだ情報と生の情報がリンクすることで理解が深まります。

ボリビアに滞在していたスタッフの方から聞いたお話によると、
「これは私が通勤する時に毎日通っていた川の写真です。(捨てられたゴミが山積みになり散らかっている)」「うわーーー、汚ーい!」と子どもたち。

「ここには大きな鉄製のゴミ箱が置かれていたんだけどそれが盗まれてしまって以来、ゴミがそのまま捨てられるようになってしまったんだ。しかもその横でゴミを燃やすものだから川の中にダイオキシンという毒素が流れ込んで川を汚染してしまっているんだ。」

「なんでゴミ箱を盗むの?」

「君たちには想像出来ないかもしれないけどボリビアは南米で最も貧しい国だから鉄製のゴミ箱を売って少しでもお金にしたいと思っている人がいるんだよ。そしてゴミを捨てることが川の水質を悪くすることにつながることをみんな知らないんだ。これは教育の問題でもあるんだよ。貧しくて学校へ通うことが出来ない子どもたちもたくさんいるんだ。この汚染された川の水を少しだけ濾過して水道水としてこの地域では使っています。私も当時水道水を知らずに飲んでしまっていたけど頭が痛くなったし、気分が悪くなりました。水道水が汚染されているって本当に大変なことですね。」

実際に体験した水環境のお話だけでなく、水道が無いために毎日何kmも歩いて水を運ばなくてはいけない地域のお話や、日本のように食糧を輸入に頼ることで海外の水を仮想水として沢山利用している先進国のお話も聞かせて頂いてきました。

私たち日本人が普段当たり前のように使っている”水”についてこんなにも環境によって違いがあるということなど今まで知らなかったことがより分かってきました。そして同時にさらなる疑問や課題がモヤモヤと広がっていきます。

JICAの坂田さん貴重なお話をシェアして下さり本当にどうもありがとうございました!                     

YI

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「編集会議」で「編集方針」を決める

[5年生]

実は、いつでも人間は情報を「編集」せざるを得ないのだという
「編集」についての新たな「認識」を獲得したところで、いよい
よミッションに取り組みます。今回のミッションは、TCSの学び
の魅力を伝える「小冊子」を作り、TCSの学びの意義を世に知ら
しめ、共感し、支援してくれる人を増やすことです。そのために
優れた「編集者」となることが求められるわけです。

まず、先輩達が作成した過去の「小冊子」を分析することから始
めます。目を引くのは、写真やイラストを効果的に用い、レイア
ウトしていることです。これは、渋谷パルコにあるオンリーフリ
ーペーパーに出向いて集めてきた魅力的な「小冊子」とも共通し
ています。

写真・絵・図をうまく配置し、そこにインパクトがありながら、
相手の共感を促す端的なフレーズを、字体も工夫して加えること
が、魅力的な「小冊子」を作るカギだということが見えてきまし
た。

「手にとってもらえないような小冊子じゃダメだよね」

ある子がつぶやきます。まったくその通り。中味を読んでもらう
前に、あれっ?これなんだろう?面白そうだな……よくできてる
な……と思わせて、「小冊子」に手が伸びるように仕向けなけれ
ばならない……そのための工夫が「編集」の大事なプロセスのひ
とつだということを子どもたちは実感しました。

TCSのような小さくて、変わった「学校」のプレゼンスを高める
絶好のメディアこそ、子どもたちが作成する「小冊子」だという
ことを、これまでの子どもたち同様、今年の子どもたちも深く理
解しています。したがって、ただの学びではなく、「おれたち
こそ広報の最適任者」というauthenticな「思い」がみなぎって
います。のっけから「じぶんごと」の「仕事」という思いでいっ
ぱい。やらされ感は皆無です。

とはいえ、やる気だけで魅力的な小冊子はできません。そこに
は「戦略的な思考」と「面白いアイデア」と「高いクオリティ
のものをつくりたいという志」とがないといけません。

「戦略的思考」の第一歩は、全体としてどんな内容の「小冊子」
にするかについての「編集方針」をしっかり固めること。それ
が決まれば、「方針」に基づいて、どんな「記事」を書き、ど
んな「ストーリー」を読者にイメージさせるか、さらには、写
真やイラスト、キャッチーな見出し、タイトルによってどう補
強してゆくか議論できます。そうなれば、後は、議論しては書
き、また議論しては書き直し……というサイクルをひたすら繰り
返して、よりよい「小冊子」になるまで磨いてゆくのみです。
そこで、記念すべき第1回「編集会議」は、「編集方針」を決
めることからスタートしました。

「やっぱり今回も、1つのテーマ学習についてじっくり解明し
たいよね」

TCSの学びの特徴でもあり、魅力とアピール度が高いのはやは
り「テーマ学習」です。今年度行った5つのテーマ学習の中の
どれか1つをピックアップして、子どもの目線で何をどのよう
に学んだのか明らかにしてゆこうというわけです。これまでの
先輩達と同じ流れですが、この点については、あえて異なる流
れを作って奇をてらう必要はありません。恐らく世の大人達の
多くは、TCSならではの「探究学習」の要である「テーマ学習」
を子どもたちがどう分析するかに強い関心を抱くはずです。そ
の狙いは的確です。ということで方向性はあっさり「テーマ学
習の魅力を探る vol.3」とすんなり決まりました。

では、どのテーマ学習を選べばよいか、そのテーマをどんな切
り口で料理するかについて「編集方針」をまとめるよう促し、
話し合いを続けた結果、まとまった「編集方針」は……

「テーマ学習で発見した探究の仕方のコツを明らかにする」

ということになりました。

「いろんなコツを学んでいるときに見つけたもんね」
「それは他の学びのときにも使えるしさあ」

なるほどコツを「一般化」するわけか……それは面白い!

「編集方針」が固まると、早速、子どもたちはどんなコツを用
いたかふりかえり始めました。どんどん模造紙に「発見」が書
き出されてゆきます。しかし、それを「記事」にまとめてゆく
作業こそ「大変」。

山アリ谷アリの「小冊子」づくりのプロセスに突入です。

RI

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コンセプトを用いてテーマを見つめ直す

[6年生]

「好きで飼ったはずのペットなのに、どうして捨ててしまうことに
なるんだろう?」

「今、興味関心のあるテーマは何?」という私の最初の問いかけに
対し、6年生の女の子の口から出てきたのはそんな素朴な疑問でし
た。

前回のテーマ学習「個の尊厳」を通じて30年後の自分について考
え抜いた彼女。最終的に、動物介護士として、獣医を目指す後輩と
病院を共同経営する将来を思い描いた彼女にとって、ペットに対す
る問題意識を持つのはごく自然なことのように思えました。

「捨てられて、保健所に引き取られた動物はどうなっちゃうんだろ
う?」

インターネットで見つけたある一つの動画がこの女の子の視線を釘
付けにしました。そこには、引き取り手が見つからなかった犬猫が
「ドリームボックス」と呼ばれる装置にて、炭酸ガスで窒息死させ
られる様子が映し出されていました。

飼い主がペットを捨てる理由はいろいろあるようです。
「世話ができない」「家族のアレルギー」といった飼い主の都合や
「成犬でもらいなつかず給餌不可能」「家族を咬む」といった犬の
状況もその一部。
中には「おとなしすぎる」「最初の予想より大きくなりすぎた」
「飽きたから」という理由も。。

彼女自身も自宅でペットを飼っている立場として、人間の身勝手さ
に憤りとむなしさを感じているようでした。

「このテーマからどんなconflictが見出せるだろう?」

他のスタッフにも意見をもらいながら、ぼんやりと浮かび上がって
きたのが、
・「保護」と「殺処分」
・「ペットのかわいがり」と「(命を)捨ててしまう」
・「人間の思い」と「動物の権利」
という観点でした。

これをどう解消するか考えることが仮説(提案)になりそうです。

また、インターネットで情報を取得する中で別の興味深い記事にも
出会いました。動物愛護先進国であるイギリスのペット事情に関す
る記事だったですが、イギリスではペットショップでペットを販売
しておらず、保護施設の里親制度を利用して犬を飼い始めることが
多いのだそうです。

「なぜ、そんな仕組みが成り立つんだろう?」
「イギリスと日本では飼い主としての責任感が違うのかな?」

次々とわき上がる疑問。いよいよ探究のエンジンがかかってきたよ
うです。

HY

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2013年02月22日

何が変わった?


[1・2年生]

「コミュニティに寄与しているのか?」
「義務の遂行になっているか?」と問われ続け、頭の中を渦巻く子ども達。


今週は、スキー合宿も控えて日が少ない中で、
テーマ前半の動きを振り返り、自分の意識や行動がどう変わったのかを考えてみました。
「『心に響け』のテーマでは、ひとを大切にすることについて考えていただけだけど、このテーマではひとを大切にするために実際に動いた。」
「普段でもごみを拾うようになった。」
「このままゴミを放っておいたらどうなるか考えるようになった。」
「自分のことやお家の手伝いをすることも寄与だと思った。」


短い時間の中でも、子ども達の中で変化が起きていることが分かりました。
けれど、
「でも、まだ3週目だよ!」
とある子。
そうだよね、これからももっと変われるはずだし、それを目指すべきだよね。


テーマ学習以外の時間でも、自発的に動いているようです。
放課後にもゴミ拾いをしたり、帰り道で見つけたガラスをゴミ箱を探して捨てたり。
本人曰く、ゴミを捨てそうになった人に「捨てないで」と声掛けもしたとか。


「ゴミを捨てる人がいなければゴミを拾う必要もない。だから『ゴミを捨てないで』ポスターを作りたい!」
さぁ来週は、どんな寄与ができるかな?
できそうなことにどんどんトライし、とことん動いてみよう!



EN

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まだまだ知らない”水”のこと

[3・4年生]

今週は先週から引き続いてまだはっきりと理解できていないことについて仮説を立てて検証していきました。

「ぼくらが使っている水ってどこからやってくるんだろう?」「雨」「川」「地下水」「池」
「それをそのまま人間は使ってるの?」
「違うよ。浄水場できれいにしてるんだよ。それで水道水になるんでしょ。」
今までにも何度か話題になっていることなので当たり前だよと言わんばかりの子どもたち。
「なるほどね。浄水場できれいにされた水が水道から出てくるんだな。じゃあ、人間にとっての水の使い途にはいったいどんなものがあるんだろう?」

子どもたちに尋ねてみると、”トイレ・お風呂・食事・洗濯・歯磨き・草花にあげる水”など生活用水についての意見が出てきました。
「なるほど。これは暮らしの中での使い方だね。では暮らし以外の水ってどんな使われ方してるかな?」
「農業!野菜や米を作るのに水をたくさん使っているでしょ!」
「そうだね。確かに農業はあるよね。では野菜や米以外の食べ物って水は使わないの?」
「うーーーーん。あ!牛とか豚を育てるのにも水って必要じゃない?」
「あと鶏も!」
「たしかにそうだね!では生活で使う水と農業や畜産のために使う水がある。それだけかな?もう他には人間は水を使ってないかな?」
「うーーーん。。。。」しばらく考え込む子どもたち。 「イオンとかの会社や工場でも使ってる。」

それから水の使い途の分類について資料を使って調べてみました。
すると淡水利用には都市用水と農業用水があり、都市用水は生活用水と工業用水に分類されています。

「しかし、工業用水ってなんなんだ?なににどうやって使ってるんだろう?」
「なんかを冷やしたりするのかな?それとか洗ったりするのかな?」
用途を推測しながら、なかなか意識しづらい工業製品に水が使われていることについて資料を読み込んでいき、工業用水の中にも原材料を熱するためや洗ったり煮たりする目的、また化学工業や鉄鋼業、紙・パルプ工業でもたくさんの水が使われているなど多様な用途があることが分かってきました。

そこで先週から少し話題に出ている仮想水についても資料を読み込んでみることに。
食糧を輸入に頼っている日本は輸入食品を育てるために使われた外国の水を沢山使用していることになります。こうした目に見えないところで消費されている外国の水のことを仮想水といいますが、それは農業・畜産といった食糧だけでなく工業製品についても同じことが言えます。そして日本は年間にして、なんと約640億m3もの水を仮想水としてほかの国から輸入していることになり、それは日本の年間水使用量である839億m3の約3/4にあたります。
さらにみんな驚いたのは我が国は世界でもっとも多くの残飯をムダにしている残飯大国だということ。ということは世界中の食べ物だけでなく水もムダに捨ててしまっていることと同じなのでは??? 

「食べきれないほど輸入するなんて変でしょ!もったいない。もったいない。」
「賞味期限なんて切れても食べれるんだからすぐに捨てなければいい。」
「ムダになりそうな食べ物をまだ食べられる内にアフリカに送ってあげればいいんじゃない?」
「震災の時もそうだったけど、みんな買い貯めしたりするからよくないんじゃない?ちゃんと必要な分だけ輸入すればいいんだよ。大人って頭悪いんじゃないの?」
「お金のためじゃない?」
などなど色々な意見が出てきました。さあこれからプレゼンに向けていい解決策や提案を見つけるべく来週もがんばらなくては!!来週もはりきっていくぞ〜⭐

YI

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語り合って広げる

[5年生]

いよいよ本格的な記事づくりです。教室の壁一面に、ともに語りながら
思いついたアイデアの断片が書き込まれています。かなり筋のよい要素
をマイニング(掘りおこす)しているので、後は、この断片をどうつな
げてゆくかです。そうすればよい記事が自ずとできるはずです。

「さて、どの3つを選ぼうか?」

表紙を除くと残り7ページ。そのうちの6ページを使って学びの内容に
ついて説明するとして、見開き2ページで1つのトピックについて扱う
と、取り上げられるのは3つです。今年、やったテーマ学習は5つ。そ
の中の「てこでも動かない」に基づいて、TCSならではの学びの特徴に
ついてアピールします。

壁に書かれたこれまでの話し合いの記録を眺めつつ、ある子がつぶやき
ました。

「やっぱり……話すところなんだよね」

過去に書かれた小冊子でも、TCSの学びの大きな特徴は、「話して、話
して、話しつくす」こと。いったいどこにいってしまうんだろうと見学
者が心配するほど、「ねじれても広がり」つつ、あちこちいろいろな方
向に話が広がってゆくのにもかかわらず、ただ拡散しっぱなしでは終わ
らず、より面白い考えにたどりついてしまう……先輩達が気づいた自分
たちの学びの特徴です。

今年の子どもたちも、やはり「話す」というところに学び方の大事な要
素が含まれていることに気づいたのですが、このまま同じことを書くわ
けにはいきません。いったいどんなふうに話し、その結果、どんな学び
が生まれているのか、より分析を深めてゆく必要があります。

「公立小のときには自分をこんなふうに出せなかったんだよね」

昨年、TCSに転校してきた子が素直な心境を吐露しました。こんなこと
言って大丈夫かなあ?バカだと思われるんじゃないかなあ?変だと思わ
れるんじゃないかなあ?という不安を抱えずに、素直に意見が言える文
化がTCSに根づいているからこそ、学びのときに思う存分話せるという
わけです。ベースに安心感が必要ということがまず浮かび上がってきま

した。

「じゃあ、安心感がある中で、ただ思いついたことを言えばよいという
ことかな?」

安心して何でも言い合えるというとなんとなく聞こえがよいようにも思
えるが、好き勝手なことを言い合って、雑談やおふざけで終わってしま
うことだってあるのではないか……ということについての「ゆさぶり」
質問をしました。

「誰かの言ったことを聞いて連想したことをまず口にする感じなんだ
よね」

なるほど……面白いことを言うな。もともと頭にあったことを口にする
だけでなくて、誰かが語ったことに乗っかって、どんどん積み重ねてゆ
く感じだというわけです。

「どんどんひらめきが広がって、枝や葉が増えていって、豊かになって
くんだよ」

テーマで「語り合い」を始めるときは、「滑車をどう組み合わせて車を
動かすか?」というように「方法」を模索する場合もあれば、「宇宙紙
芝居のストーリー展開を決める」というように「アイデア」をまとめる
場合もあります。いずれの場合も、質の高いアウトプットを生み出した
いという強い思いがあります。その思いを「幹」として枝葉を豊かにし
てゆくので、ねじれても、広がっても、全体がブレることはなく、むし
ろ、語り合う前には気づかなかった、言い換えれば、語り合った結果、
見事に「創発」した方法やアイデアにたどりつくのです。2年前に編集
された小冊子で、先輩達が、テーマ学習のイメージを、豊かに葉を繁ら
せる大樹の絵で表しましたが、その直感は、まさに的を射ていたのでし
た。

とはいえ、ただ広げっぱなしで終わる語り合いにしない「秘訣」がまだ
あるはずでは……ということで、さらに考え続けてゆくと、「反論」と
いうキーワードが浮かび上がってきました。「反論」といっても、相手
の意見を「否定」して、「それ違うよ!」とか「そんなことあるわけな
いじゃん!」とか言うのとは違う……ある見方が提示されたときに、別
の見方はないか、反対の見方をするとどうなるか、考えるように促す発
言が、彼らの考える「反論」でした。

「key concept の perspective に近いのかもね」

おお、 key concept が出てきましたか。perspective change を行えば、
議論がある方向にのみ偏ることはなく、より多面的な見方ができます。
むしろ、広げることが、かえって狭い見方にとらわれることを防ぎ、新
たな「つながり」を「発見」することへと導くわけですな。いやあ、今
日の話し合いも見事に広がりながら、より深い見解にたどりつきました
もんね。いろいろ語り合うという習慣を持ち、飽きずに続ける姿勢を持
つことこそ探究思考の要!ということを「発見」する学びとなりました。

さあ、記事のタネがまず一つできたぞ!

RI

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Key Conceptsで問いを磨く

[6年生]

保健所での犬猫の殺処分の映像をきっかけに、人とペットの関係の
あり方についてより深い問題意識を持つに至った女の子。
関連する本を自ら何冊も集め、情報収集を行います。

探究のエンジンがかかった子どもが自ら問いを立てて、追究しよう
とする姿勢は評価すべきことです。

ただ、その際に教師が注意すべきポイントがあります。
それは、今調べていることは何のためなのか、調べることそのもの
が目的になってしまっていないかを本人に気付かせてあげるという
ことです。

ある一つの話題を深堀りしているだけでは、単なる調べ学習の枠を
飛び越えることはできません。
興味関心があるテーマをconflict(対立、葛藤)というフィルター
で通して見た際に、浮かび上がってきた問題点。

問いを立てるということは、この問題点に対する自分の考えを下支
えするための根拠を挙げるための作業なのです。

Key Conceptsは単なる思いつきではなく、本質に迫る問いを立て
る上で欠かす事ができません。
これまでのテーマ学習でも使ったきたこのKey Conceptsを用いて、
問いを立て直すことにしました。

「そもそもペットとは何か?」(form)
「保健所は何のためにあるのか?」(function)
「なぜ殺されるべきではない命が殺されてしまうのか?」(causation)
「過去と現在でペットの存在はどう変わった?また変わらない点は?」(change)
「ペットの殺処分と私たちの生活との関係性は?」(connection)
「他の国々の人はペットに対してどう考えている?」(perspective)
「私たちはペットを飼う上で、本来もつべき責任は?」(responsibility)

この作業を通じて、彼女も自分の目指すゴール(主張)に向けて、
追究すべきことがクリアになった模様。
常にこの問いに立ち返り、またその内容を洗練させていくことが、
客観的な視点を持つ上で重要なのです。

いよいよスクールで最後となるテーマ学習も残り3週間となりまし
た。子ども達の最後の踏ん張りに期待します。

HY

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