東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2016年10月 アーカイブ

2016年10月06日

プレゼンテーション10/12(水)

TCSプレゼンテーションのご案内

東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

テーマ学習の成果を発表するプレゼンテーションでは、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。 (ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

TCSの子どもたちが、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか、ぜひ直接その様子を見に来てください。

               記

【日 時】 2016年10月12日(水) 10:00~12:00頃 

【場 所】 東京コミュニティスクール 2階
     (東京都中野区中野1-62-10)地図
      ※JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分     
      ※車・自転車でのご来校はご遠慮ください。
【内 容】テーマ学習(8/30〜)
   「Buona Fiesta!」(プレ初等部)
   「お互いさま」(1・2年生)
   「東京発見伝」(3・4年生)
   「日本のなかの世界」(5・6年生)

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール(担当:永易・若林)
 TEL:  03-5989-1869
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。

     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

TCSフェスティバル開催(10/14・10/15)

TCSフェスティバルのご案内

 今年も、TCSフェスティバルの時期がやってきました!
 TCSフェスティバルとは、スクールの文化祭で、子どもたちが企画・運営し、面白いこと(!)を提供するお祭りです。
 新校舎で2回目の開催が前回からどう改善されているか、3階の増床も併せて、観に来ていただけると大変嬉しいです。お待ちしております!!

以下、フェスティバル実行委員からの情報とご案内です。

【日時】2016年10月14日(金) 9:00~15:00
   2016年10月15日(土) 9:00~14:00

【場所】 東京コミュニティスクール 校舎
      スクールへのアクセス
      *住所 : 東京都中野区中野1-62-10
      *最寄駅 : JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分
        ※ 自転車および車での来校はご遠慮ください。

【入場料】 無料!

今年のコンセプトは「こうしん」です。
考える、進むを組み合わせて「考進」。
今までとフェスティバルのイメージがガラッと変わる、アップデートする「更新」。
今年のTCSのテーマでもある、個人の力、つなげる力の「coup」の、「co」を新しくするという意味の「co新」。
最後に、このコンセプトを意識して行動する「行進」
これらを組み合わせ「こうしん」です。

見所は満載です。今までにない新しいメニューや遊びが入っていて、さらに新しい出し物が揃っています。実行委員での話し合いを早めに始め、より質のいいフェスティバルにしようとがんばっています!

<パフォーマンス>
お笑いやダンス・歌などの舞台があります。今年はなんと初の女子コントあり?! また、テーマ学習プレゼンテーションで行った発表の一部を披露します。

<カフェコーナー>
コンセプトに合わせ、謎めいたカフェをオープンします。食べてみると「なんだこのおいしさは?!」となるような不思議なカフェです。両日とも9:30からオープンします。

<プレイコーナー>
TCSキッズが作ったパソコンゲームや、nゲージのジオラマダンボール工作などで遊べます!

<プレ初等部コーナー>
今年から参加です。1階カフェの奥のスペースで、かわいらしい子どもたちがお待ちしています!

<展示物>
みんなのポスター案を集めてひとつのものに仕上げるなど、コツコツと準備を進めています。みんなニコニコしながらお迎えいたします!

ぜひお越しください! みなさまが「こうしん」していただけるようがんばります。

2016年10月07日

東京を紹介する

タイトル:東京発見伝
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:探検は歴史や価値観、存在意義の洞察につながる。

[3・4年生]

6週目最終日はいよいよプレゼンテーションです。この日に、東京のまちをプロモーションビデオのように発表することになっています。プロモーションビデオそのものだと、映像を上映することになりますが、ライブで東京を宣伝、紹介していくというアウトプットをつくりあげていくわけです。

「プロモーションビデオってどんなの?」
「CMみたいなかんじ?」

実際にまちのプロモーションビデオにはどんなものがあるのか見てみました。
参考にしたのは、青森県、熊本県、和歌山県紀美野町の3つ。
どれもまちの特徴をひとつの言葉にして構成されているものでした。
「プロモーションビデオってこんなかんじなんだ。」
「イメージと違ってた。」
「ブックトレーラーと似てる?」

子どもたちが日本語の「読む」の学習で作成しているブックトレーラー。本の見どころを短い言葉と写真でまとめた、本の紹介ムービーで、iPadを使って製作しています。ここで挑戦したいのは、ブックトレーラーのまちバージョンです。

「まちトレーラーってことか。」
その中に、どんな写真や言葉を盛り込んでいくかが今週の課題です。

今まで探検してきたまちの特徴を整理していきました。

まずは、人。
「とにかく、人が多い!」
「それもいろんな人がいる。」
「歩いているとき、すれ違う人に「ハロー」って言ってたら、答えてくれる人、無視する人、怒る人っていろいろだった。」
「仕事中の人、観光している人、探検している人、子どもも大人もいるし、外国の人も多い。」

次に、ものに着目してみると、
「江戸時代は、運ぶ仕事が多かったのかな。
魚とか野菜とか担いでいる人が多くて、その道具を紹介したい。」
江戸にものが集められてくる。運んでくる人がいれば、買う人も集まる。人がもともと多いというよりは、「集まってきた」という特徴が見えてきます。

「今は車に変わっているけど、トラックでものを運んでいるから、やっていることは変わってないね。」
「家も新しいものもあれば、古い家も残って混ざってた。」
「ビルがたくさんある中に、江戸城は残っている。」
「大森貝塚も公園になって残ってる。」
「水が出てきて楽しめるところになってた。」
「江戸東京博物館は、昔を体験できて面白かった。」

江戸時代から東京はものが集まる場所であり、ものが進化している場所でもある。しかも、古いものを残しつつ新しいものが出てきている。人も多いけど、ものも多くある。伝えたいことをどんどん書き出していきます。

そして、地形。
「凸凹しているところは、大森だったかな。」
「下りの坂道は走って転んじゃうくらい急だった。」
「川があるから橋が多い。」
「埋められた川もあるし。」
「水がたくさんある。溜池やお堀で水を集めてた。」
「昔は海だった場所だったし。」

富士山や箱根山の噴火による火山灰や海面の低下により、武蔵野台地ができあがっていったことや、江戸幕府が開かれたことで土地が開拓されていった経緯が思い出されてきます。また、地層からも赤土になっているところは焼土であり、関東大震災・東京大空襲の跡が見えることが博物館でわかり、表面の地形、深部の地層からも紹介したい東京が出てきます。

IMGP8290.jpg

出てきたことをどのように構成して、発表していくか。
軸となるキーワードを決めていくことに。
「“違う”っていうのは?」
「違うものが多いでしょ。変わっていて違っていったり。」
「“変わる”っていうのは?未来の東京も変わっているかも。」
「“いろいろある”っていうのはどうかな。」

出てくる案はどれも悪くないのですが、「それいいね!」といった盛り上がりには欠けます。どれもしっくりはきていない様子。伝えたいことはだいぶ整理されてきたので、あとはまとめ方次第。それぞれがイメージしていることをブックトレーラー形式で表現してみることにしました。

翌日、作ってきたものを途中の作品も含めて見ていきました。その中のひとつに、みんなが「これ、すごい。」というものが。「東京ある」と題して、東京に「あるもの」を集めた作品になっていました。
「こういう感じなら、自分でも作れそう。」その声に、何人かが「自分も」と頷きます。

“ある”というキーワードを軸にストーリーを作っていくことにしました。
「残したいものがある」
「楽しいことがある」
「自然がないようである」
「人が集まるところがある」
「まねしているところがある」
「凸凹がある」
「変化がある」
出てきた項目ごとに担当を決めて話す内容と写真を選んでいきます。プレゼンまで残すところあと1日。間に合うだろうかと心配しつつも、間に合わせなければという気合もあります。最後の追い込みです!

AN

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「いっしょにできる」提案

タイトル:日本のなかの世界
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア: 私たちは多様性の中で生きている

[5・6年生]

インタビューさせてもらった方々の国であるバングラデシュ、ネパール、ベトナムと日本との関係がわかってくるにつれて、プレゼンの内容をどうするか子どもたちは頭を悩ませ始めました。何をやったか学んだ内容については個々に Keynote にまとめています。そのうえでプレゼンテーションでは、日本に居住する外国人とともに生きてゆくことの可能性について考えたことを発表します。そのうえ、実際にインタビューした方をプレゼンテーションデーにお招きして、発表内容についてフィードバックをもらうのです。

「きれいごとを言ってもしょうがないしな」

こんなことをやったらいいと思うと提案したら終わり!ではなくて、実際に自分たちでもできて、それなりの効果があるものでないといけない……という思いが子どもたちにわいています。

ただ「知識」を得たのではなく「実感」したからこそ、自分たちごとになっているのです。「あの人」という具体的な顔が浮かび、「あの人」の背後にある具体的な境遇がイメージでき、リアルに感じてしまう……中野に住む外国人居住者を訪ねて、じっくりお話を聴いたからこそ強く感じたことです。このような気持ちになっているだけでもはや学びの大きな目的はクリアしていると言えましょう。とはいえ、ここまで来たら子どもたちも、何か自分たちにできることはないかなあと考え、提案しないわけにはいかない気持ちになっています。

10人のメンバーが2組に分かれてアイデアを出すことにします。

「肌の色が違うとか、習慣が違うとか、とにかく違うところをどうしても見つけちゃうよね」
「違う人がいるっていうとそれだけで固定観念が生まれるじゃん」

固定観念

ビッグワードが出てきました。ビッグワードはキーワードではありますが、同時に、わかったつもりのアイデアにつながる危険なサインでもあります。なのですかさず問い直します。これが探究ジェネレーターの仕事です。

「固定観念ってどういうこと?それがなんで問題なわけ?」

すると固定観念とは「思い込み」とほぼ同じだという答えが返ってきました。外国人に対する「思い込み」とは?……さらに突っ込むと、イスラム教の人はみなテロリストだとか、北朝鮮は好戦的な人たちの集まりだとか、中国人はゴミをどこでも捨てるとか、具体例が出てきました。

なるほど、一部の事実に全員を当てはめてしまうことが「思い込み」であり、「固定観念」の源ということね。だったら「◯◯人」っていうとらえ方の中に、既に「固定観念」のモトがあるということ?……

さらに投げかけてみます。

こうして頭がぐるんぐるんと揺さぶられることがなによりも大事です。答えをすぐに見つけようとしたり、解決策をひとつに決めようとしたり、あせってはダメ。ああかもしれない、こうかもしれないと深く悩み、アイデアをしぼりだすのです。

みんなで意見を出しあって検討しますがなかなかまとまりません。

「ぼくたちにできることがいいよね」
「どんなことができるかな」
「大人を巻き込むこともいいけど、ぼくたちは子どもなんだから子どもを巻き込めた方がいいよね」

今回、大変お世話になった中野国際交流協会の方がこんなことを言っていたことを思い出しました。日本語が話せず、学校にも友だちができなくて自分の国の言葉も育たなければ、自信も育たない子どもたちがたくさん中野に住んでいるというお話。

「どうしたらそんな子どもとうまく交流できるだろう」

子どもの間に交流が生まれれば、そもそも子どもの考えは柔軟なので、遊んで楽しいなという体験さえあれば、すぐに考えを変えるはず。子どもどうしが仲よくなるのを見て、大人も変わらないといけないと思うのでは……

そんな考えが頭の中を駆けめぐり始めたようです。

「TCSで何かできたらいいよね」
「プレゼンのときに中野国際交流協会の方が来てくださるからね」
「採用されるアイデアならいいな」

突然、スイッチが入って、しばしの沈黙。

「あっ!ひらめいた!」

自分たちと一緒にできる企画を思いついたようです。いったいそれはどんなアイデアか?

それはプレゼンでのお楽しみ!ということでテーマ学習の6週間が終わりました。

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

ワークショプ 10/30
「探究を探究する」
〜「型」をきわめる〜(2)

探究する学びをデザインする指導者のためのワークショップ
「探究を探究する」〜「型」をきわめる〜(2)

子どもたちの好奇心と自立心を大事にし、思考力・表現力を高める学びの必要性が高まる中、その方法論は混迷の度を増しています。子どもの学びたい気持ちを尊重し、知識をただ教え込むやり方からの脱却は必要だけれど、子どもに調べさせたり、議論させたりするだけではアクティブにはならない…。

「学びてときにこれを習う」というように、面白そう、変だ、なんでという「学び」の感性を発揮しながら、柔軟に思考することを可能にする「習い型」というのがあるはずです。そこで、本年度のTCSワークショップでは、探究する学びを支える「型」について探究していきます。

第一弾では、考え「型」を追究し、自由な発想や思考を誘発する「型」を学び習いました。第二弾となる今回は、伝え「型」を追究します。語りたい対象に没入し、なりきり、あるときは1つのメッセージに凝縮し、またあるときは複数のイメージやことばを端的に組み合わせて、アイデアをいきいきまとめ、わくわく伝える「型」を学び習います。

明日からのあなたの授業が、仕事が、生活がきっと変わる「伝え型」を実感するとともに身につける絶好のチャンスです。

以前に参加経験がある方も初めての方も、探究する学びに興味関心のある方なら、どなたでも参加できますので、奮ってお申込みください!
【テーマ】「探究を探究する」〜「型」をきわめる〜(2)
【日 時】 2016年10月30日(日)9時30分~17時
【会 場】  東京コミュニティスクール(アクセス)
          東京都中野区中野1-62-10
          Phone: 03-5989-1869
【WSリーダー】 市川 力(いちかわ ちから)
※プロファイルは下記をご参照ください。
【対 象】 教育関係者、一般
【定 員】 25名(要申込)
【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)
【申込方法】 指定の入力フォームhttps://goo.gl/D5CSqT)より
*受付が完了したら、参加費のお支払についてご案内をお送りします。

*以下をご確認いただきお申込みください。
>> 利用規約
>> 参加費ならびにキャンセル料の取扱いについて
(ご注意)
※お申込後3〜4日経っても受付確認および参加費支払のメールが届かない場合は、お電話にてご確認くださるようお願いします。
※支払のご案内を送付させていただいた時点で参加費が発生します。
※できるだけ多くの方に参加していただきたい思いがあるので、万一キャンセルの場合は、早めにお知らせいただけますと幸いです。
★ 情報交換会のお知らせ ★
 毎回恒例となっているワークショップ(WS)後の情報交換会です。引き続きTCS校舎にて行います。様々な学校で働く教育者の他、 諸業界で活躍なさっているプロフェッショナルが集いますので、日頃出会うことのない方々との貴重な情報交換の場になることは間違いありません。
 遠方からお越しの方など、一部参加も可能ですので、参加していただけるとその意義を感じていただけることと思います。奮ってご参加ください!
● 日 時: 2016年10月30日(日)17:30〜20:00
● 参加費: 3,000円(当日受付にて) *領収書発行します
● 申込期限:2016年10月17日(月)
 *WS申込時にご予定をお知らせいただきます(不明回答も可能)。
 *ご不明の方は、期限までにご連絡くださるようお願いします。
お問合せは、
 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで
TEL:03-5989-1869  FAX:03-5989-1649
e-mail: seminar#tokyocs.org

※WSのお申込みは入力フォームよりお願いします。
※メール送信の際は上記「#」を「@(半角)」に変更してください。

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主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
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WSリーダー プロファイル

市川 力(いちかわ ちから)
Riki_classroom_small_up2.jpg東京コミュニティスクール 校長
探究プロデューサー

米国にて13年間日本人駐在員の子ども対象の学習塾を運営。現地の学校で行われていたプロジェクトベースの学びに触れ、『学び続ける力』を育てる教育実践に強い関心を抱く。2004年8月東京コミュニティスクール初代校長に就任。自ら現場に立ち、探究する学びの研究・開発・実践を行っている。
 主な著書は「探究する力」(知の探究社);「先生」(池上彰編・岩波新書);「英語を子どもに教えるな」「教えない英語教育」(ともに中公新書ラクレ)。
講演多数。

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会場案内 東京コミュニティスクール
住所) 東京都中野区中野1−62−10
Phone) 03-5989-1869
URL) www.tokyocs.org
TCS-Map-FL%20%284%29.png
交通のご案内
JR中央総武線/東京メトロ 東西線「中野駅」南口より徒歩9分
※車・自転車でのご来校はご遠慮ください。

2016年10月14日

『おたがいさま』〜ふりかえり〜

タイトル:おたがいさま
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:生態系の中で生き物は互いに影響し合っている。

[1・2年生]

私たちの身近にある生態系。
そこに住む生き物たちの暮らしをじっくり見てみるとそこには昔からその土地に住んでいた在来種と地方から様々な理由でやってきた外来種たちが生きています。
それらがお互いに影響を与えあいながら暮らしているわけですが、私たち人間も少なからず影響を受け、また与えているという点においては私たち人間が関係していない生態系を探すことが難しいほど人間が影響を与えていることがわかりました。

今回のプレゼンでは子どもたちがいくつもの生態系について探究してきた中から2つのケースを選んで、生き物たちがお互いに影響を与え合っている様子とそこでの人の関わりについて劇で表現してくれました。

3度目のプレゼンとなり、1年生もようやく大きな声でいきいきと楽しそうに演じ切りました。
元気で可愛らしい子どもたちの演技に会場が笑いで包まれました。

IMG_2652.JPG

1つ目はウシガエルの餌として日本人によってアメリカから連れてこられたアメリカザリガニや在来種のゲンゴロウ、そしてトウキョウダルマガエルなど水辺に暮らす生き物たちのストーリー。

2つ目は人間にペットして飼われた末捨てられてしまい繁殖したアライグマが森で暮らす在来種や田畑を食い荒らすストーリー。
それらを演じたのちに劇の流れを子どもたちが俳句でまとめたものを大きな声で読みました。

『ウシガエル日本に来たら危険だよ』→『ザリガニはなんでも食べる食いしん坊』→『ザリガニが日本ザリガニ殺しちゃう』→『ザリガニはゲンゴロウ食べかわいそう』→『ザリガニがたんぼの稲を食いちぎる』→『農家さんだれがやったの謎のまま』→『事件にはかならず裏に人間が』

『アライグマ カエルが好きだ 食べるなよ』→『アライグマ 優しい顔は 最初だけ』→『アライグマ 人が捨てたよ 仕返しだ』→『アライグマ トカゲ食べるよ 絶滅だ』→『カエルでも 水路に落ちて 食べられる』→『アライグマ 人の畑を 食い荒らす』→『外来種 人が増やした 無責任』

今回の学びを子どもたちと振り返ってみると、生き物たちがつながりあっている生態系の中で決して外来種だけが悪者というわけではないという考えが浮かび上がってきました。
むしろ外来種はただ生きるために暮らしているだけで、在来種を絶滅させようと思っているわけではないと。
私たち人間が考えるべきなのは、人間が原因で増えていて生態系に悪影響を与えている外来種たちをこれ以上増やさないためにどんなことができるのかということ。

ペットを可愛がり続けて捨てないことや、もしも捕獲するのであればただ殺してしまうのではなくせめて何かの役に立つように工夫するなど一般の私たちにもできることがあるはずです。
そして何よりもこのような”関係性”が様々な生態系で起こっていること、つまり身のまわりの生態系について知ること・伝えることが大切だということを子どもたちは強く語っていました。

このテーマ学習が人間の暮らしだけではなく、もう少し視点を広げた人間が生き物たちと共に暮らす生態系という概念について考え始めていくきっかけとなってくれたことを嬉しく思います。
このような視点を持った子どもたちがこれからどのように成長していくのかとても楽しみです。

YI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

『東京発見伝』~ふりかえり~

タイトル:東京発見伝
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:探検は歴史や価値観、存在意義の洞察につながる。

[3・4年生]

プレゼンテーションでは、東京のさまざまな「ある」を紹介していきました。
探検の中で撮影してきた写真やまちの人とのエピソードを盛り込みながら語っていきました。プロモーションビデオのような仕上がりにはならなかったものの、楽しそうに語る彼らの様子から、自分の足で歩いた、活き活きとした探検が伝わったという感想を見ていた多くの方からいただきました。

プレゼン後のリフレクションにおいては、セントラルアイディアに触れていきました。
歩いていると看板や石碑がどのまちにもあり、それらを読むと昔のことが書かれている。また、大森駅には土器のレプリカ、両国駅には江戸時代の両国のまちが描かれた大きな絵が飾られていて、昔あったものが紹介されている。そうしたものを見ていると、話しかけてくれる人がいて、その人が知っていることを教えてくれる。見つけたものを知ろうとすることで、歴史につながっていったという意見があがってきました。

そして、「東京には名物がない。 けれど、いろんな国のお店が集まり、いろんな地域の食べ物が食べられる。」という見解から、江戸時代から新しいものが好きなまちであり、便利なものが好きなのが東京であると、新しさや便利さが優先されているという見方が出てきました。
では、東京はどんな役割をしたまちなのか。その存在意義については、「中心」という言葉が出てきました。東京に集められ、東京から発信されていく。そうしたまちだからこそ、変わり続けていき、伝えたいことは残していく必要がある。散歩でなく探検だからこそ、見えてくること、考えていくことができた6週間だったと思います。

また、今回は探検の「型」にも意識していきました。「探検は歩く前から始まっている。」プレゼンでの質疑応答の中でそう話していた子がいたように、探検を3段階に分けて捉えていきました。①事前に下調べをして、目的を持って出かける。②考えながら歩き、見て、話して、記録していく。③戻ってきたら、記録を整理し、解釈。資料を読解することで情報を獲得して、再調査へと進んでいく。
今回繰り返してきたおこなってきた探検の「型」がほかの場面で活きてくることを願っています。

AN

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

『日本のなかの世界』〜ふりかえり〜

タイトル:日本のなかの世界
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア: 私たちは多様性の中で生きている

[5・6年生]

いよいよプレゼンテーションデーです。ゲストとして中野で2店舗のカレー店を経営しているネパール人の方と中野国際交流協会の方がいらしてくださいました。子どもたちは緊張もするけれど、意気に感じている様子。果たして自分たちの提案はどう受け入れられるのか。

2組のグループが提案したのは

最初のグループは運動会。それも自分の国にはない相手の国独特のスポーツをやってみる運動会です。どうして運動会かというと、その根拠が子どもならではの素直な発想でとてもいいのです。

ただ知識を得たり、対話してわかりあおうとしたりしてもなかなか自分が固定観念を抱いていると気づかない。それよりも体を動かして「こんな変てこりんなスポーツがあるんだ!」「でもやってみたらけっこうオモロイ!」と体感しちゃう方が固定観念に否応なく気づかされ、破壊するきっかけになるというのです。

変だ!といぶかしむ気持ちからあえてスタートして、でもけっこうオモロいという転換があるところがポイント。いったいどうしてこんなこと始めたんだという好奇心が生まれ、理解したいなという気持ちが芽生えてくる。そして、世界には自分の常識を越えたさまざまなものがあるんだ!と実感することになるだろうというわけです。

もうひとつのグループは「多様性おにぎり」。おにぎりという日本らしさの代表である食べ物に、異文化の食材を入れようというシンプルな提案。しかし、おにぎりというやつはまるでブラックホールのように、どんなものでも受け入れてしまう度量の深さがあります。手軽につくれるし、さまざまなバリエーションを考えやすいでしょう。相手に関心を持つきっかけとしては敷居が低いし、楽しそうだし、でも多様な味わいという文化の真髄に触れることができます。

プレゼン後のゲストの反応はとっても良好。特に国際交流協会の方々は、

「ぜひやってみたい!」

とおっしゃってくださいました。

自分たちでも実現できる、比較的簡単で、でも本質に迫る、地に足ついた提案になっていました。さあ、いつかこの提案をなんとか実現したいものです。そのためにさらにアイデアをつめてゆかねば……いつも通り、探究の終わりは「始まり」です。

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2016年10月17日

『静かなともだち』~概要~

タイトル:静かなともだち
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

静かなともだち。それは、木に生えている葉っぱたち。
彼らは動かずしゃべらず、その場に留まっています。
ともだちになるには?相手をよく知ること。そのために、じっくり観察をしていきます。

とことん観察を繰り返すことで、見えていなかったものが見えてくる。
細部を見ること、見方を変えること、ほかと比べるなど、
観察の仕方にこだわっていきます。
また、見るだけではなく、五感を使った観察も取り入れていきます。

観察を通して見えてきたものを言葉や絵で表現していき、
最終的には、集めてきた葉っぱで2種類の「葉っぱMAP」をつくりだします。
その過程において、それぞれの葉っぱの類似点や相違点、
分類の仕方を考えていくことで、 さらに、見えてくるものが増えてくることでしょう。
分類の仕方はひとつではありません。同じ葉っぱで2種類のマップを作ることで
多様な見方を目指していきます。

静かなともだちと向き合う6週間。見つめて見つめられ?
どんどん親しくなっていこう!


AN

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

『problem ownership』〜概要〜

タイトル:problem ownership
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:情けは人のためならず

[2年生]

このテーマでは地域でのボランティアを一生懸命することを通して”problem ownership”という概念について考え続けながら”情けが創り出す社会”とはどういうものなのか探究していきます。

なんで自分が捨てたゴミではないのにゴミ拾いをするの?
私たちごととして考えるってどういうこと?

自分のためだけではなく相手のため・だれかのためにとことん動いてみて(action)、自分の仕事ぶりを振り返ることで(reflection)、相手の役に立つことの難しさや大変さを実感することになるでしょう。

しかし、「情けは人のためならず」ということわざがあるように、とことん相手のために動き、 やりきることで、最初は想像していなかった自分たちとのつながりが見えてくるはず。

自分たちはどのような社会に生きていたいのか?
自分たちはどのような未来を創っていきたいのか?
自分の行動が巡り巡って社会をより住みやすくしていくということは?

社会に寄与するとはどういうことなのか、このテーマを通して考え続けていきます!

YI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

『理して利する』〜概要〜

タイトル:理して利する
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

[3・4年生]

ものが落ちたり、転がったり、ぶつかったり、はずんだりする「運動」には地球上の「物理法則」が働いています。私たちは知らず知らずその「法則」を意識していて、遊びを通じて「法則」をさらに深く理解していきます。

今回のテーマ学習はそのような自然法則=原「理」を知り、それを活かした装置をつくることで、法則を活かして物事をとらえ、考え、つくれるようになるマインドを育ててゆきます。

最終的な成果物はなんと「ピタゴラ装置」。もちろん、直観と遊び心を全開にして面白い形とアイデアを試すのはOKですが、そこに必ず、てこ・てんびん・滑車といった自然法則を活かして力を維持・変換する装置をつかうことを条件とします。また、装置のアルゴリズムを理解し……というとおおげさに聞こえますが、設計図をつくり、自分の意図を法則を理解しつつ実装します。この過程で必ず起こる不具合をしつこく修正し、うまくいくまで何度でも調整し続ける知的なレジリエンスとグリットを発揮するのも学びの重要な要素です。

プレゼンテーションでは、子どもたちがつくりあげた「大装置」を披露する予定です。お楽しみに!

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

『AIしてる?』〜概要〜

タイトル:AIしてる?
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:データには未来へのメッセージが宿る。

[5・6年生]


探究領域「万象究理」のテーマ「AIしてる?」では、「確率の世界」「現実の世界」「未来の世界」の三つの世界に入り込んで行くことで、「未来予測」を、様々な観点からデータを読み取り、起こりやすさの規則性を数で表すなかから学びます。

不確かなことから規則性をとらえるために、「確率」という道具を人は考え出しました。「確率」を使うことで、将来の利益や不利益の起こりやすさを数量にして見積もることができるようになったのです。

「ランダム」なコイン投げやサイコロでは、出目の起こる確率は等しくなります。しかし、天気や株価の上下動、野球選手の打率といったような確率は違います。その確率には「メカニズム」が根底にあるのです。

過去のデータのみならず、その事象にまつわる知識をフルに活用することで「メカニズム」に基づいて確率を計算し、精度をアップさせることができます。
さらに、近年ではコンピュータの計算能力が飛躍的に向上したことによって、過去のデータを読み取る力が上がり、私たちの強力な協力者となりつつあります。
すぐそこまで来ている私たちとコンピュータがAIで繋がる社会には、どのような可能性が秘められているのでしょうか。

TY

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2016年10月21日

静かなともだち、こんにちは

タイトル:静かなともだち
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

テーマタイトルは静かなともだち。
「静かなともだちって誰?」
「みんな静かじゃないよ。」

ともだちになりたいのは葉っぱたちのこと。
しゃべれないし、動けないし静かでしょ。

「えー、静かじゃないときもあるよ。」
「クシャクシャとか音が出るよ。」
「乾いているときと濡れているときは音が違うよ。」
「グシャグシャって感じ。」
「風が吹くとカサカサってするよ。」

早速、葉っぱについて知っていること、イメージしていることなど、
子どもたちのprior knowledgeが出てきます。

「葉っぱは落ちると掃除される。お父さんはいつも掃除してる。」
「掃除して集めると山になって登りやすい。」
「布団にもなるよ。」

掃除されるってことは、葉っぱは邪魔者ってこと?
「紫蘇とかは食べられるよ。おだんごにもできる。」
「野菜の葉っぱもあるね。トマトの葉、ニンジンの葉とか。」
「フルーツと葉っぱって仲間なのかな。」

出てくる言葉から繋がり、過去に経験したことや疑問が浮き上がってきます。
「花と葉っぱは枯れちゃう。」
「♪芽が出て、膨らんで、花が咲いて、枯れちゃって・・・。」
「枯れたら死ぬってことだよ。」
「じゃあ、落ち葉の山は葉っぱのお墓だ。」
「葉っぱって一人暮らしなのかな?」

落ち葉が死んだ葉っぱなら、生きているときはどうなっているのかという疑問に
繋がったのでしょうか。葉っぱには生きているのと生きていない葉っぱがあると
子どもたちは認識していました。

そこから、葉っぱは一人で生きているのだろうかという話題になってきます。
「水は必要でしょ。」
「土も必要だよ。」
「葉っぱのおうちは木だから木も必要。」「草とかは木がないから違うけど。」
「モミジはなんで色が変わるのかな。」「変わる順番はいつも決まっているのかな。」
「イチョウはハートの形。なんで?」

ともだちになるために、いろいろ知りたいことが出てきます。
けれど、静かなともだちは話してはくれません。
「どうやれば、どんどん知っていくんだろう?」

葉っぱとともだちになるための手段は「観察」。
セントラルアイディアを提示します。
「外に葉っぱ見にいく?」
「行きたいな。」

そこはもうちょっと我慢してもらい、まず、見ていない状態で、葉っぱの絵を描いてみます。
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「葉っぱには線があったな。」
「えー。描けないよ。」
「ちょっと違うなー。」
描こうとすると思い出すこともあり、また、見えていないことに気づくこともあります。
「まだ、ともだちじゃないからかー。」

 いよいよ、紅葉山公園に出発!
「モミジじゃない葉っぱでも線があったよ!」
「Mハウスって自分の名前つけてたけど、本当は葉っぱハウスだったんだ!」
葉っぱに着目して見ていくと、発見が増えていきます。
紅葉山公園で見っけ隊をしていたときには見えなかった新たな発見です。

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「ともだちになるには、まずは挨拶しないと。」
「大切にしないと。」
葉っぱを観察していくため、これから葉っぱ採集をしていきます。
生きている葉っぱをむやみに取ることは「大切にする」ことに反してしまいますが、
ここは、申し訳ない気持ちを持ちつつ、3枚だけ採集することにします。
押葉作成のために2枚、観察用に1枚。
木がおうちの葉っぱに限定することにして、
採っていくための手順を決めました。

1.「こんにちは。」挨拶をする。
2.「お名前は?」名札があるか確かめる。
3.「どこから生えてるの?」「おうちは?」
枝と葉っぱのつき方をカシャ、おうちをカシャっとiPadで撮影する。
4.「失礼します。」葉っぱを3枚もらう。

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「こんにちは。ぼくの名前は○○です。」
「どこから生えてるの?」
話しかけています。




%E2%91%A4%E5%AE%B6%E3%81%AF%E3%81%A8%E3%82%99%E3%81%93IMGP8325.jpg「おうちはどこ?」
「あ、こんなところにあった。」
後ろに立つ大きな木が、落ち葉のおうちでした。

「葉っぱにクモがついてる。」「ともだちなのかな。」
「葉っぱに穴があいてる。」「虫が食べた跡だ。」
「葉っぱは痛いのかな。」
「人間と葉っぱは違うから痛くないかもしれないよ。」

戻ってきてから、自分がどの場所で見つけて採集した葉っぱなのか、
ワーキングマップに記録していきます。

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観察用に採ってきた葉をじっと見ていきます。
観察その1「目で見る」。
フロッタージュを使って全体像を浮き出して見ていきます。
「線がいっぱいある。」
「葉っぱは凸凹なんだ。」
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次に、見たものをそのままスケッチしていきます。
「見れば見るほど、描くのが難しい。」
「葉っぱの緑って、色鉛筆ではできない緑だと思う。」

「紅葉山公園といったらモミジでしょ。」と言っていた子どもたちでしたが、
実際に公園に行ってみると色々な種類の葉っぱがあることに気づきます。
「見っけ隊のときより見つけられるかな?」
見つける種類もさることながら、ひとつの葉っぱからも見つけることは
まだまだたくさんあるようです。

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AN

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ぼくらの町はきれいなのか?

タイトル:problem ownership
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:情けは人のためならず

[2年生]

テーマ初日、子どもたちには何も告げずにトングとビニール袋を配り、紅葉山公園の『ゴミ拾い』に繰り出しました。
突然の外出に驚きつつも、大喜びの2年生たち。

「やったー!外出だ〜!紅葉山公園の掃除いいね〜!」
「あ!タバコの吸いがら見つけたよ!」
「ぼくも!」

スクールを出ると早速目の前の歩道に吸いがらやお菓子のパックが捨てられています。
こうして地面に目を向けてみるとアソコにもココにも細かいゴミがたくさん散らばっているのが目に飛び込んできます。
また自販機の近くや裏側には思った以上にビンや缶以外のゴミも集まっています。

「ゴミ箱の裏に食べかけの野菜スティックがたくさん置いてある〜!なんでこんな中途半端に捨ててるんだ〜!超なぞだよー!よし、犯人を当ててみよう(笑)」

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スクールからすぐ近くにある紅葉山公園に向かうまでで予想以上に時間がかかったことにかなり驚きました。いつも歩いている道もよく見てみるとこんなにゴミだらけだったとは!
そして思った通り公園内にもビックリするほどのゴミがありました。
それを拾って公園をきれいにしたことに目を輝かせている子どもたちはスクールへ戻ってゴミを分別しました。

クラスルームに座り、何気なく子どもたちにたずねてみました。
「ゴミ拾いってなんのためにするんだろうね?”ゴミ拾い”ってどんなイメージがあるかな?」

この質問に対して子どもたちは一斉に自分の考えを語りだしました。
「ゴミがいっぱいあったら汚いからする!」
「ゴミが落ちてたら気持ちわるいじゃん。だから拾うんだよ。」
「私もゴミが落ちてるとたまに拾うよ。」
「自然とか地球をきれいにするためにゴミを拾うんだよ。ゴミをずっと放っておいてゴミが腐ると生き物が死ぬんじゃない?そしたら生態系が崩れるんだよ。」 「でも、パンの食べかけとか野菜スティックとかみたいに人目がつかないような所に隠すように捨ててる人もいるよね。」 「ていうか、公園とか空き地とか神社みたいに人目につかない場所はよく探すとゴミが多くて、道路はきれいなんだ。」

「でも町のゴミ拾いってだれがやってくれているんだろうね?」
「お年寄りの人たちが拾っているの見たことがあるよ。」
「なんでお年寄りはゴミ拾いをするんだろう?」
「お年寄りは心やさしいからかな。」
「もうお仕事していないから、みんなの役に立ちたいっ思ってゴミ拾いしてくれてるんじゃないかな?」
「でもさ、ゴミ拾いってイメージは”汚い”って思ってるかもしれないけど、今日も楽しかったみたいに、”やると楽しい”でしょ!?だからいろんな人も《そうだ!今日ゴミ拾いしよっかな〜!》ってなればいいんだよ。」
「ゴミ拾いってビックリする変なものがあったり、きれいなものやまだ使えるものがあったりして宝探しみたい!」
「名探偵になったみたいにドキドキするよね。」
「うん!」とノリが素晴らしい2年生たち。

自分たちがゴミをポイ捨てしている立場ではない子どもたちにとっての”ゴミ拾い”についての考えや見方はユニークでワクワクしてくるようなものでした。

また来週もゴミ拾いを通して社会との関わりについて考え続けていきますが、だんだん新鮮さが薄くなるにつれて彼らの”ゴミ拾い”への考えや向き合い方はどのように変化していくのでしょうか?

YI

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法則を活かしてつくる

タイトル:理して利する
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

[3・4年生]

「ピタゴラ装置つくるんでしょ」

子どもたちはテーマが始まる前から興奮気味です。Eテレの番組『ピタゴラスイッチ』は、子どもにも大人にも超人気。なかでも身の回りにあるものを使ってつくったからくり装置であるピタゴラ装置のコーナーは、奇想天外な工夫に目を奪われます。

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今回、テーマ学習の時間に『ピタゴラ装置』をつくろうというのですから、子どもたちは盛り上がらないわけがありません。

もちろん遊び心を全開に探究を進めますが、だからといってなんでもあり!ではないところがテーマ学習の肝です。例によってセントラルアイディアと呼ばれる「ビッグコンセプト」を追究するためにピタゴラ装置づくりに取り組みます。

則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

お気づきだとは思いますが、『論語』の「学びて思わざれば則ち罔(くら)し、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し」を借りたものです。ただ教わるだけで考えないのはいけないし、ただ考えるだけでしっかり教わらないのもいけない。それと同じように、やみくもにただつくるのではなく、そこにどんな原理=則を活かしたかを意識して設計できないといけない。理科で習う「原理」を活かして、自分たちなりの面白装置をつくりあげるのが今回のミッションです。

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ピタゴラ装置については、仕組みを大解説する番組や、作り方を解説するアカデミアという番組がつくられているので、それを視聴して、いったいどんなふうな工夫がなされているのか知るところからスタートします。子どもたちは、ワザを盗もうと食い入るように画面に集中します。

「ああやって回転数を増やしているんだ」

下敷きのようにツルツルした面の上にビー玉を転がすと空回りして回転数が増し、面を滑り終わった後、スピードを増してビー玉が飛び出すことを知って大興奮。

「投石器ってこうつくるんだ」

針金とプラスチックのスプーンを使って、ビー玉を飛ばすカタパルト(=投石器)がつくれることを知りました。

「うちにあるあれ使えるかな?」

映像を見終わると、子どもたちの頭の中は、家にある何を使えるか……で頭がいっぱいになっている様子。完全に「つくる気満々モード」です。

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翌日、それぞれの子どもが、家から装置づくりに使えそうなものを持ってきていました。

昔使って今つかわないおもちゃ……積み木、プラレール。ペットボトル。毛糸。ハンガー。ドミノを持ってきている子もいるぞ。ミシンのボビンもある。割り箸は基本アイテムだな。あっという間に机の上が素材でいっぱいになりました。

つくりた〜い!という強い気持ちを殺すことなく、だからといってただ突っ走るのでもなく、いかに原理を活かした装置をつくってもらうか。そのためのフォーミュラを示します。

「F-1と同じだね」

レーシングカーの好きな男の子はすぐわかります。F-1の F はフォーミュラの F 。ただ速い車だったらなんでもよいのはなく、一定のルール=フォーミュラを満たした車=装置が「参加」できるというわけです。面白がる遊びにルール・制約はつきもの。では今回のピタゴラ装置をつくるうえでの「フォーミュラ=ルール」は……

まず、理科実験で習った仕組みを使います。それは、てこ、てんびん、滑車、輪軸です。これらの仕組みをうまく使って、下から上へあがったり、重い物を小さい力で持ち上げたりしながらビー玉や鉄球を転がすことができれば得点を獲得できます。まるでフィギユアスケートの「採点」のように「技術点」が加点されます。

つぎに、設計図が書けることも重要な条件です。こう道をつけて、こんな装置をかませるとこう動いて、こう転がり、最後にこうなる……ということをきちんと予測し、正確かつ丁寧に設計し、その通りに装置が作動させることを目指します。

もちろん、映像で見た「ピタゴラ装置」に用いられているワザを真似して使ってみることも条件のひとつ。そして、細かいところまで仕上げにこだわること。そして、お金をかけず、身のまわりにある素材を活用することも必要です。

「こうした条件が基本で後は自分なりの工夫はどんどん加えていいし、面白い、愉快なところもどんどん入れてね」

子どもたちはこれらの条件をメモします。手で書きつつも頭の中にはどんな装置をつくってみたいかのイメージがわいてきているようです。早速、来週から設計図づくりと試作品づくりに入ります。

RI

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確率の世界へようこそ!

タイトル:AIしてる?
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:データには未来へのメッセージが宿る。

[5・6年生]


今週は確率の世界へと誘います。
まずは、データ読み取って予測を行う上で最も重要な法則である「大数(たいすう)の法則」を学びます。

まず、確率といえば、「コイン」、「サイコロ」。
コイン投げで出る目、つまり「表」の出る確率はどのくらいでしょうか?

二分の一、50%、5割、など様々な表現がありますが、キッズたちは聞くまでもなく、即答でした。

「確率」は「理屈」から考えられた「あるイベントの起こりやすさ」です。

たとえば、コイン投げで言えば、「裏と表の二つの選択肢のうちの一つが必ず出るから、二分の一、つまり50%である」という理屈に基づいて表の出る確率を考えることができます。

ではコインを投げてみると本当に50%は表になるのでしょうか?

そんな疑問から、実際にコインを一人100回投げてそれぞれ、表と裏が何回ずつどのような出方をするか、ひたすらコイン投げの実験をしました。

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実験の結果は・・・


なんと、「48%」!!
1100回投げたうち、表が528回、裏が572回でて、表が出た割合は50%とはなりませんでした。
今回投げたコインは日本の10円玉だったのですが、経験則でいうならば「10円玉は表が出にくい」という結論になるはずです。

しかし、キッズたちはこの問いに対して、少々納得がいかない顔。

なぜか?を考えると「表の方が銅が少ない」「裏の方が重い」など、その細かい重さの違いが出目の「誤差」に出るということがあるのではないかという考えが出てきました。

では、回数が増えるに従って「表」が出る割合はどのように変動したのでしょうか?

どのようになったか、データを読み取るために、横軸に「回数」を、縦軸に「表の出た割合」を指定しグラフにしました。
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グラフを見て行くとはじめは60%になったり、20%になったり、理屈で考えていた「50%」の値とは遠い割合になっていましたが、回数を増すごとにだんだんと理屈で考えていた「50%」に近づきました。

こうした理屈からわかる「確率」と実験からわかる「割合」の間には「大数(たいすう)の法則」という関係性が成り立ちます。
「大数(たいすう)の法則」とは、データの数が増えれば増えるほど、その割合は確率に近づいていく法則です。
私たちは予測をするときに過去に取得されたデータからその発生割合を求めることができます。
しかし、得られたデータが少ないと、その「たまたま」度合いは高くなっていきます。
例えば、野球のバッターをイメージしてください。3打席で1安打を打った3割打者と、300打席で100安打を打った3割打者ではどちらが信頼できるでしょうか。

たくさんのデータを得ることで、その「たまたま」度合いを減らすことができ、例えば、野球のバッターならばその「本来の実力」、つまり、「本当の確率」に近いといえるのです。

では降水確率はどのように求められるのでしょうか。「ランダム」ではない事象について、来週からは、その「メカニズム」を探り、「理屈」から「確率」を考えます。

TY

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2016年10月28日

用語を使ってより親しく

タイトル:静かなともだち
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

「ともだちになる」といっても、どうやったら相手のことを知ることができるのか。
目で見るという観察をすることで、葉はそれぞれ種類によって形が異なることや、
緑一色ではないことが見えてきました。

kansatsu_IMGP8350.jpg 「線がいっぱいある!」
「まわりがキザギザ。」「こっちは丸いよ。」

形の特徴が見えるようになってきたところで、用語を紹介していきました。
葉っぱの線のことを葉脈。主脈、側脈と条件によって違う呼び名になります。
葉っぱの柄のところは、葉柄。
葉の縁は、ギザギザが鋸歯縁で、丸いのが全縁。

「この葉っぱ、葉柄が長い。」
「この鋸歯縁はチクチクする。」
「ここって何ていうんだっけ?」「あ、葉柄か。」

新しい言葉を使うことの新鮮さ、使いたいという気持ち、
葉っぱに詳しくなれたうれしさなど相まって、意欲的に難しい言葉を
どんどん使って吸収していきます。


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「クロマツって名前が書いてある。」
「これも葉っぱ?」
「チクチク痛いよ。」







葉っぱの形で見分けると、針葉樹と広葉樹に分けられます。
どれも初めて見る漢字ばかりで、一文字ずつどんな意味があるのか興味深々です。
「針の葉っぱで木がおうちってこと?」
「針の葉っぱだから、細い葉っぱってことか。」
「広い葉っぱってことは、太い葉っぱってことかな。」
知っている言葉で補い、イメージをつくっていっているようです。

koremohappa_IMGP8351.jpg「この葉っぱは針葉樹?」

紅葉山公園での葉っぱ採集と観察を繰り返していきます。
先週はフロッタージュで葉脈や葉縁を浮き出していきました。
今回は、葉っぱスタンプで形をみていきます。

stamp_IMGP8366.jpg  stamp_IMGP8361.jpg

stamp_IMGP8362.jpg「イチョウって、葉脈がたてに並んでる。」
「針葉樹をスタンプするとどうなるだろう?」
「この葉っぱは分厚いから色をつけやすい。」

葉っぱを触ることで見えてくることも多くあります。
観察ポイント1を「見る」、2を「触る」としました。

「モミジがなんで紅葉するのか新聞に載っていたのをメモしてきたよ。」
気になっていたことが新聞に出ていて、熱心に移し書いてきた子がいました。
話してくれたことによると、葉っぱの中では栄養を作っていること、
緑になる素となっている葉緑素が寒いと作られなくなること、
糖分が増えて赤くなることがわかりました。

「葉っぱって栄養があるんだ。」
「栄養ってどこからとってるんだろう?」
「土とか水とか?」
「それじゃあ、根っこから?」
「栄養がなくなると落ちるってこと?」
「落ち葉の栄養分が土になって、また木にいって葉っぱの栄養になるんじゃないの。」
「落ち葉は無駄にならないんだ。」
「掃除しちゃダメなんじゃないの。」

木や葉っぱは移動することはなくても、その体の中では動いている。
生き物であり、むやみにとってはいけないんだと採集する申し訳なさが出てきたようです。 知っていくことで見えてくることも増えてきます。
また、分厚くツヤツヤしている葉っぱは常緑樹、薄くてツヤがない葉っぱは落葉樹という 用語も覚えることで、落葉する葉としない葉があることにも着目するようになりました。

2週間で紅葉山公園で見つけた葉っぱは、およそ60個。同じ種類もあるかもしれませんが、まだまだ違う種類もありそうです。家の近所でも葉っぱ探しをするなど、見えてくるものがどんどん増えてくる分、楽しさも増してきています。


AN

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やれば楽しいゴミ拾い

タイトル:problem ownership
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:情けは人のためならず

[2年生]

今週もまずはスクール周辺のゴミ拾いに繰り出しました。
向かった先は遊びに行く機会が多い城山公園と中野駅北口です。
道に出ると早速ゴミが目に飛び込んできます。
空き缶、タバコの吸殻、お菓子の包装、割れたお皿などなど。

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「やっぱり草むらとかさ、よく見えないところにたくさん捨てられてるね。」

先週のゴミ拾いの経験から、彼らはゴミを捨てる人たちはあまり人目につかないところに隠すように捨てることが多いという一つの法則を考えました。

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城山公園に捨てられているゴミも確かに人目につかない草むらに固まっています。

みんなでわいわい言いながら楽しく働いていると公園で遊んでいた幼稚園児が近づいてきました。
「はい。こんなゴミもあっちにあったよー!」
とゴミを拾ってくれました。
「ははは!小ちゃい子が拾ってくれたね。へへへ。」
と嬉しそうな子どもたち。
なにやら楽しそうにゴミ拾いをしていたので自分も混ざりたくなったのでしょう。その後もさらにもう一人のチビっこがしばらく参加してくれて帰りゆく私たちを名残惜しそうに眺めていました。

翌日はゴミ拾いの振り返りを行い、4つの観点で子どもたちに考えてもらいました。
自分の行動のGoodとBetter、そして自分の行動の自分への価値と他人への価値についてです。

『自分の行動のGoodとBetter』
・タバコなど小さいゴミを拾えた。
・人目につかないゴミを拾えた。
・ゴミ拾いと言えば汚いイメージだったのが、宝探しみたいな楽しいイメージに変わった。
・タバコを最後まで拾えたし、大人から「えらいね!」と言われて嬉しかった。
・調子にのりすぎるとゴミを見過ごす。
・駐車場の端っこのゴミになかなか気付かなかった。
などなど。

『自分の行動の自分と他人への価値』:
・後を振り向くとゴミがなくてスッキリした。
・お店の人に喜ばれると嬉しくなる。
・北口のベンチに座ってたおじいさんがゴミがなくなって嬉しそうだった。
・自販機にゴミが山盛りで缶以外にも色んなゴミがあったのをきれいにした。

子どもたちと話していて印象的だったのは彼らが町がきれいになると自分も人もうれしくなるという双方にとっての価値について素直に語っていたところ。
つまりそこにはやってあげている、または授業だから仕方がないという姿勢ではなく”楽しく町をきれいにするのは自分のためでみんなのため”という気運が感じられました。
とは言えまだまだゴミ拾いの大変さを味わっているとは言えません。
何度も足を運んでいるうちにきっとさまざまな思いが巡っていくことでしょう。

来週は中野区清掃局の方から中野区のゴミについて総量やリサイクル、また収集後の行き先についてなど色々とお話を聞かせていただき、自分たちにどんなことができるのか考えていきます。
自分たちが関わり始めた町のゴミ拾いの全体像が少しずつ浮かび上がってくる中でどのような学びが起こるのでしょうか。

YI

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装置づくり開始!

タイトル:理して利する
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:則を学びて行わざれば即ち罔し、行いて則を学ばざれば即ち殆し

[3・4年生]

身のまわりの素材を使い、理科実験で習った「原理」を活かしてピタゴラ装置をつくる探究がスタート。まずは、設計図づくりからです。12人のメンバーが4人ずつ3グループにわかれてみんなでどんな装置にしたらよいか考えます。

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これまで自分が見たことがある「ピタゴラ装置」で印象に残ったところを設計しようとする子。まずはてこや滑車など習った原理を使おうとする子。持ってきた素材をどう使おうか考えて設計しようとする子。設計のとっかかりに個性が表れます。

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「ここはただ転がすんじゃなくて弾ませるの」
「ここでビー玉を反射させて、こっちに飛ばして」

どんな工夫を凝らして設計しているか、意見を言い合いながら「全体設計図」ができていきます。

「全体設計図」とは言っても「完成型」とは程遠いものです。とはいえ「設計図」と呼ぶからには奇想天外な空想ではなく現実につくれるものを構想して書きます。原理と面白さ、やってみたいこととやれることのバランスをとりながら感性と理性をともに全開にすることが、ピタゴラ装置をつくる!という「仕掛け」によって、3・4年生でも見事にできるのです。

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ただやみくもに取り組まず、仮説を持って取り組むためのもとが「設計図」。それを手にしてこどもたちは早速、装置のプロトタイプづくりに取り組み始めました。

2本の針金で橋をつくり、その上にビー玉を転がそうと「設計」したものの、針金の微細なゆがみでビー玉の転がり方が左右され、どうしても途中で落っこちてしまいます。
「だからわりばしがいいっておれは言ったんだよ……」
「そんなネガティブなことを言わないの。実験してやってみてダメだったら次の手段に移るのが大事なんでしょ」

いやいやただの仲違いではない、深いやりとりがなされているではありませんか。

さしがねを2本使って、90度に左折するビー玉の道を作ろうとしますが、2本の並べ方、そして傾斜のつけ方がなかなかうまくいきません。傾斜が急すぎるとビー玉は曲がり切れずに飛び出してしまいます。ゆるやかすぎると途中で止まってしまいます。

もうひとつのグループも傾斜のつけ方に苦心しています。プラレールの青いレールスキーのジャンプ台のようにし、転がしたビー玉をジャンプさせそれを受け止めた容れ物を引っくりかえし、その先にあるドミノを倒すきっかけにするという「設計」をしたのですが……ビー玉の飛び方が安定せず、うまく容れ物で受け止められません。

しかし、子どもたちはあきらめません。どうしたらうまくいくか考えて、ひたすら、しつこくやり直します。

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「なかなかうまくいかないなあ……」

自分たちの作った設計図は文字通り「机上の空論」で実現できないものなのか……どうしたらうまくいくのか理性を働かせて試行錯誤しないといけない……現実と空想の間を行ったり来たりし、あてずっぽうではない実験的試行錯誤を繰り返す。「ピタゴラ装置」の製作は、遊び心が原点となる科学する心を子どもたちから素直に引き出します。

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「やった!何回やってもうまくキャッチできる!」

プラレールグループから歓声が上がります。ようやくひとつの壁を乗り越えました。まだまだ先は長いですが、ますますやる気は高まります。

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「ホワイトボードをただ転がすのもいいかんじゃない?」

針金の橋がわりばしの橋になり、ついには傾けたホワイトボードにわりばしをはりつけて、そこを転がす装置に変わっていった……

いろいろ実験してみて、うまくいかなかったら、どんどん変えていけばいい。最初の設計からがらりと変わってしまったけどさらによくなったじゃないですか。

こうして子どもたちは「装置」のプロトタイプづくりを早々に始めつつ、理知的な試行錯誤をしつこくやり続ける探究に没入し始めました。

RI

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見方を広げて雲を捉える

タイトル:AIしてる?
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:データには未来へのメッセージが宿る。

[5・6年生]


先週は降水確率から広がる「確率」の世界に目を向けました。
今週は「確率」をつくりだす「規則性」を発見するために「メカニズム」を知り、予測する方法を学びます。

「降水確率」とは、ある日と同じ日が10日ある場合に雨が何日降るかの確率です。つまり、10日のうち、3日降る状況であれば30%、9日の場合には90%と、過去のデータを基にして現在の状況を分析し、確率を割り出しています。

では、雨はどのようなメカニズムで降るのでしょうか?
雨が降るためには雲が必要です。現代の科学では雲の出来方は理解されており、実験などでも多くなされています。
雲ができるためには「上昇気流」が不可欠です。上昇気流が起きるには、三つのパターンがあります。(1)海面や地面が太陽に暖められる(2)山やビルなど高いものに風が当たってぶつかる(3)寒気と暖気がぶつかる、この三つの状況によって上昇気流は引き起こされます。
上昇気流にのって、水分・水蒸気・チリが上空高くへと舞い上がり、冷やされることで雲となるのです。

こうして雲は出来上がりますが、雲があるからといって、必ずしも雨が降るわけではありません。
雨を降らせる雲と、そうではない雲の二種類があり、雲は大きく分けると上層、中層、下層と高さによって種別されます。
特に耳にしたことがある雲の種類は「積乱雲」ではないでしょうか?

積乱雲は別名「入道雲」と呼ばれていて、そのもこもこした形と縦に大きく積み重なっている様が、妖怪の「入道」に似ているため、「入道雲」と呼ばれるのです。
夏場にはよく見ますが、この「積乱雲」があると夕立などの激しい雨の原因となります。
他にも、雨の原因となる雲は「層雲」と「乱層雲」の二種類があって、層雲はシトシトと降る雨、乱層雲は高い山などにぶつかってできる層雲が積み重なり、厚くなったものです。

このように、地上から空を眺めて雨を予測することを「観天望気」と言います。
例えば、「夕焼けは明日晴れ」「朝焼けは雨に注意」など、今までの経験則も踏まえて天気を察知・予想することができるようになることは「予測」をする上では重要です。

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しかし、この観天望気は目に見える空の範囲でしか分からず、今日明日の天気はわかっても、一週間後の天気を予測することはかないません。
特に日本には「台風」が来て災害を巻き起こしたりすることから、天気の予測については進んでいる国の一つであります。
現代では、予測のために気象観測衛星「ひまわり」を使って宇宙から雲の状況を逐一観察し、予測に役立てることができるのです。
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(出典:気象庁ウェブサイト)

低気圧と高気圧、そして低気圧からのびる前線が雲を作り、その周辺に雨を降らせます。
天気の大域的な動きは「偏西風」という北半球特有の西から東に吹く風によって、低気圧、高気圧は運ばれ続けます。
つまり、大阪で二日前に雨が降らせていた低気圧が運ばれ、東京で雨を降らせることがあり得るのです。

地上から、宇宙から、メカニズムから、様々な視点から雲の様子を見ていくことで、予測の精度を上げることができるのです。

さて、来週は「ODD道」です。それにともなって、キッズにはあるミッションが出されました。

『気象庁から天気図が発表される前に、ODD道の日の東京の天気を予測せよ!』

天気図があればある程度天気は予測できますが、その中で大域的な偏西風の動きを捉えつつ、当日の天候を予測するのはなかなかチャレンジングです。高気圧、低気圧の気圧配置と、前線はどのようになっているでしょうか!?
10人の気象予報士のお天気予報が楽しみです!

TY

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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