東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2015年06月 アーカイブ

2015年06月05日

「銀河鉄道に乗って」〜概要〜

タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。

[5・6年生]

宇宙の長い歴史の中で「地球」という独特な特徴を持った星が生まれ、その恩寵を受け、私たちは生かされています。しかし、世界各地で大地震・火山の爆発などが起こり、人類の生存を困難にするカタストロフを単なるSF と片づけられなくなりました。人類は今、生き残りをかけて、地球の外にも目を向ける必然性が高まりました。いまだ「謎」だらけの「宇宙」には「謎」ゆえに大きな「可能性」があると言ってもよいでしょう。未来への大きな可能性をかけて、私たちは宇宙へ飛び出す気概を求められているのです。現在の科学がつきとめたことをふまえ「リアル」を追究しながら、大胆な仮説を立てて「想定外」のことを想像し、「インターステラー」ばりのストーリーを創造します。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2015年06月09日

「I am special,You are special」〜概要〜

タイトル:I am Special,YOU are Special.
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。
[1年生]

自分のことって、どのくらい知ってる?
食べ物、色、遊びなどの好みは、すぐに出てきても、 性格や特徴となると、意外に気付いていないことって多いかも?!

このテーマ学習では、自分のことだけど、知らなかった自分を発見したり、 伝えたい自分を言葉や動作、あるいは絵で表現したりしていきます。
それも、一人ではなく、仲間と一緒に。

自分を様々な視点から観察する。
同じ視点でお互いを観察し合う。
そうした観察を記録に取り、思ったことを共有していく中で、 新たな発見をし、 好きな自分も嫌いな自分も、 両方とも「今の自分」であることを認め、 その考えを軸として、それぞれの違いを持つ他者を受け入れていくことを目指していきます。


入学してから2ヶ月が過ぎ、 TCSの中で自分という存在、同じ1年生の存在がそれぞれの目に見えてきたところです。
そこで、自分そして他者の存在を掘り起こしていくことが今回の学びとなります。
探究領域自主自律の初回として、私たちが自由に生きるための責任と価値を追究していく第一歩を踏み出します。

YI

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「築きに気づく」〜概要〜

タイトル:築きに気づく
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:『構造よく力を制す』

[2年生]

世界最長の橋、明石海峡大橋、世界最高のテレビ塔、東京スカイツリー、遠く離れた陸と陸、天と地を結ぶそれらの建造物は単純に鉄の大きな延べ棒でも、直方体でもありません。

多くの硬い材料を使い固めれば頑丈な「橋」を作ることができるのでしょうか。
建造物には、上を通る人や車、電車などの荷重だけではなく、「強い風」と自らの重さ、すなわち「自重」との闘いが最も重要なポイントとなります。
海や川にかかる場合には強い風にさらされ、高い電波塔であれば高高度の強い気流に耐えなければなりません。
強度を増すために材料をたくさん使えば使うほど自重も増えてゆき、さらに強度を増すために材料を増やす、このままでは、まさに「強度と自重のイタチごっこ」となってしまいます。

そこで人類は建造方法、特に「構造」に工夫を凝らすことで、明石海峡大橋、レインボーブリッジ、ゴールデンゲートブリッジなど、想像を絶する幅、高さ、そして強い外からの力と自重に耐える橋を作り上げることができました。
これは、内に秘めた「構造」こそが、多くの力を支えていることに他なりません。

どんな「骨組み」、「構造」、「つくり」、が強い建造物をつくるのでしょうか。
建造物を支える骨組みはどのようなかたちの組み合わせから成り立っているのでしょうか。

どのような「工夫を凝らした構造」が外からの力をコントロールするのか、探究してまいります。


TY

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「We love 遊」~概要~

タイトル:We love 遊
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「不易流行」

[3・4年生]

「We love 遊」。その名のごとく、子どもは遊びが大好きです。
「何して遊ぶ?」
そのときどきによって、子どもたちのする遊びは多種多様であります。
自分たちが普段している遊びは、今も昔も変わらず、
同年代の子たちの間で行われてきたのでしょうか。
変わってきた遊びと変わらない遊びがあるならば、その裏には何が隠されているのか、
3世代(祖父母・親・自分)の子どもの頃にしていた遊びを比較する中で、
世の中の動きを探っていきます。

自分の身近にいる家族が、自分と同じ歳のころ、
どんな遊びをしていたのかを知ることは、興味深いことです。
家族が関わっている、つまりは自分とつながりのある事柄から、
その背景にある「歴史」を見ていきます。どこか自分とは関わりのないところで
動いているかのように思えてしまう「歴史」。その「歴史」を視点を変えながら見ていくことで、自分とつながっていることを実感し、世の中の動きをひとつの大きな流れとして
認識していくことを目指していきます。

その流れゆく中に、変わるものと変わらないものがあるのかどうか、
常に、セントラルアイディアを意識しながら、過去の出来事を読み解いていきます。

AN

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2015年06月12日

自分のSpecialってなんだろう?

タイトル:I am Special,YOU are Special.
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。
[1年生]

さあENGLISH WEEKやアウトドアデイ(野)などのイベントが終わり、いよいよ2つ目のテーマ学習が始まりました。
子どもたちは新しいテーマのタイトルをどうやらすでに知っている様子。

「やったー!今日から新しいテーマあるんでしょ!テーマの名前はねえ、えーと アイアムスペシャル ユーアムスペシャルでしょ?」
「おしい!I am Special ,YOU are specialでした。」と私。

「ではspecialってどういう意味だろう?」と問いかけてみると、子どもたちが”とくべつ”・”すごい”・”たんじょうび”・”ゴージャス”・”ゴールデン”・”キラキラしている”・”ピラミッドやお寺などのとっても古いもの”・”ゆうめいなベートーベンのコンサート”といったイメージを持っていることが浮かんできました。

自分のスペシャルってなんだろう?と問いかけると一斉に元気よく手が上がりました。
一番大きな声だった男の子から話を聞いてみると”イケメンだから女の子がいっぱい集まってくる。 だから照れちゃう。”となんともすごすぎるスペシャルな一面を聞かせてくれました(笑)
しかもイケメンになった理由はいつもこころざしとともに生きているからだとのこと。
さすがは将来忍者になる夢を持って日々修行中の男だけのことはあります。

「私はね、ドジなところ。走ってたら急に転ぶことがあるの。」
「私は水泳がうまいよ。3歳から習ってるんだよ。」
「ぼくは意識があまりできていないところがスペシャル。おかあさんに”ちゃんとしなさい”ってよく言われる。」
「忘れっぽいところかな。おかあさんも忘れん坊だよ〜。」
「遊園地でいろんなひとたちにジロジロ見られたことがある。みんな私がかわいいから見てたんだよ。」
「私はいつも心配している人かな。お父さんが遅く帰ってくるとすぐに心配になっちゃうんだ。」
などなどそれぞれに自分の"special"だと思っている部分を語ってくれました。

子どもたちの発言を聞いていると”special”をポジティブにもネガティブにも捉えずに”オリジナルなところ”と捉えているような気がします。(いや、超ポジティブな発言もポツリポツリありましたね。)
この発言を聞いて私は”むむむ。このバラエティとてもいいぞ!”と思いました。
どうやら子どもたちは自分の良いところにそこまで気づいていないような気もします。
こうして先行知識が見えてくることこそテーマ1週目の醍醐味。
ここをスタート地点としてこれから様々な自分のスペシャルに気がついていくことでしょう。

翌日は自分の外面についてじっくり観察してみようということで鏡を見ながら自画像を描いてみることに。
するとやはり知らなかった発見がたくさん。

IMG_0036.JPG 

「私の目ってまぶたに線がある!」
「それを二重まぶたって言うんだよ。」

IMG_0041.JPG

「ぼくは線がないな。」
「それは一重まぶた。」
「私の鼻のとなりに白くて小さいプツプツがある。」
「目が思ったより薄茶色だ!」

IMG_0025_2.JPG 

「右のほっぺから左のほっぺまでの長さが13センチだー!」
「イーってすると歯がぎざぎざしてるし、長さが違う〜!すげー!」
「顔の真ん中に髪の毛がピョコっと出てる。」
「おでこに薄い毛がいっぱい生えてる〜。」

と大興奮で発見したことを自画像とともに言葉でも記録していきます。

また友達の顔も描いていきました。
自分が知らない自分のことについて自分でも気づいたり、友達からも気づかされた1週目。
これからどんどん私たちのスペシャルを発見していきます!

YI

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強そうな橋、弱そうな橋?

タイトル:築きに気づく
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:『構造よく力を制す』

[2年生]

「今回は橋を作るんでしょ?」
前回の「築きに気づく」のテーマ学習は昨年の11月に実施されました。
まだ変トラクラスの「築きに気づく」発表がされてから間もないため、今のトコトコチャレンジクラスのみんなも、その発表のことを覚えています。

「そういえば三角ちゃん三角ちゃんって言ってたよね」
「ヒノキで橋を作ったんだよね、僕たちはいつ作るの?」

とはいいつつも、簡単な言葉は残っていますが、「橋」に対してはどのような具体的イメージを持っているのでしょうか。

「わたしは石でできたこんな橋が思い浮かぶ」
「わたしはエジプトで見た橋が思い浮かぶ!こんな形になってたんだよ!」
「わたしはね、人が乗るところの上に車が通るところがある、そんな橋を考えちゃったの」
「ぼくはね、こんな橋だよ!」

kizuki_t2_2_wk1_01.jpg

それぞれでどんな橋が思いついたか、模造紙に書いていきます。

「あ、この橋強そう!」

「お、じゃあどの辺りが強そうだと思う?」

橋の強さはどこからくるのでしょうか?
そんな問いに子どもたちはいろいろな意見を出していきます。

・「うーん、軽くて太くてまっすぐなのが強い橋だと思う」
・「シンプルなのが強いんじゃないかな?」
・「私はね、パンみたいなのが強いと思う」

お、「パンみたいなの」というのはどういうことなんだ?もっと聞いてみよう

・「パンみたいなのっていうのはどういうこと??」

・「例えばね、もし車にぶつかった時ガラスだったら割れて頭が痛くなっちゃうでしょ?でもパンみたいにふかふかだったら頭が痛くならないと思うの。」

・「ほほー面白い!、それはパンみたいな橋だったら強いってことなのかな?」
・「うん、そう思う!」
・「あのね、ハンモックみたいなのもそうなんじゃないかな?力がかかるほど締め付けられて強いよ?」

どんどん「強い橋」についてのイメージを膨らませて行きました。

テーマ二日目は、「はがき」を使って橋を作ります。
辞書二つの間に10cmの間隔をあけ、台座をつくり、ハガキで橋をかけました。
まずは、普通にはがき一枚の橋だったら一円玉は何枚ぐらいのるかな?予想を立ててみよう!
なんと、ハガキ一枚には32枚の一円玉がのりました。
じゃあ二枚だったら??
kizuki_t2_2_wk1_03.jpg kizuki_t2_2_wk1_04.jpg

そんなこんなで、「はがき橋」の強度試験は続いていきます。
じゃー明日はそれぞれで考えた「強い橋」を作ってきて実験してみよう!
ということで、翌日、彼らは自分たちなりの橋を作ってきました。

「どんなところに工夫をしたの?」

・「横の壁を作ってみたよ。家でもやってみたんだけど全然ビクともしなかった!!」
・「ここを曲げると二段階になって落ちにくくなるとおもった!」

では、実験開始!!

kizuki_t2_2_wk1_05.jpg

kizuki_t2_2_wk1_06.jpg

写真の背後にいい笑顔が写ってますね〜!
たくさん乗った橋は、なんと、90枚の一円玉を乗せてもびくともしませんでした!!
・「やっぱりショベルカーみたいになってるから強いのかな?」
・「二枚重ねになっているから強いんじゃない?」
・「この壁が強さを決めたんだと思う!」
・「”ひ”みたいな形になっておっこってる!!」

強さを決めるのは材質・折り方なのでしょうか??
来週は、実際に川や海にかかっている橋をクルージングでみながら、どのような「かたち」が「つよさ」を決めるのか、考えていきます。


TY

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遊びのテーマ?

タイトル:We love 遊
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「不易流行」

[3・4年生]

新しいテーマが始まる前の子どもたちは、ワクワクしている様子です。
テーマタイトルだけは聞いているため、余計にうずうずしているようにも見えます。
それもそのはず?!タイトルは「We love 遊」。「遊び」という言葉が光ります。

「ねぇ、次のテーマって何するの?」
「どんなことするの?ちょっとだけでも教えて。」
と、 授業が始まる前に、近寄ってくる子がちらほら。
「本当に遊ぶテーマなの?」
「テーマで遊ぶの?」半信半疑に聞いてきます。
そんなワクワクした状態で、1枚の絵を見ることからスタートしました。

  img_1573809_23865658_0.jpg

「学校の校庭?」「運動会の絵?」「ビルみたいな建物がある。」
「川がある。」「奥にはお店があるの?」
始めのうちは、全体像を掴もうとしたり、情景に目がいっている発言が目立ちます。
そのうち、人を見るようになり、している行為を想像する発言が出てきました。
「これは子ども?大人?」
「何してるのかな。」「鉄棒してるよ。ぶらさがってる。」

この絵は、1560年にブリューゲルによって描かれた『子供の遊戯』です。
遊んでいる子どもたちの様子が細かに描写されており、その種類は80以上あるとも言われています。

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「これ何してるんだろう?」「ちょっと拡大してみて。」
自然と前に乗り出してきています。

見ているほどに、発見することがあり、知っているものを見つけたときには、
「あ、竹馬!」「これ、スイカ割りみたい!」「馬跳びしてる!」と盛り上がります。
また、自分たちの知らない遊びもあり、実際にやってみて楽しんだり、
より面白く変えてみたりしています。
どれも楽しく、まさに、子どもたちが最初に予想していた「遊ぶテーマ」になっています。

今から455年前の子どもたちがしていた遊びです。
「あ、織田信長の時代だ。」
戦国時代に興味がある子が口にします。
昔の遊びは、昔だけの遊びではないことを目と体で知ったところで、
この絵の中に、今も自分がやっている遊び、もしくは知っていた遊びと、
絵を見るまでは知らなかった遊びを区別していきました。
  IMGP6139.jpgどうやら、半々くらいになる様子です。

そうなると、今の自分たちがしている遊びにはどんなものがあるのか考えていくと、
昔と今の違いが何か見えてくるかもしれません。
「子どもの遊び」を思いつくままに出していきました。

模造紙3枚分、びっしりと遊びが挙がっていきました。
スクールのみんなで遊ぶものが多く、
こちらから、家で一人でやってる遊びは?と聞くと、
「あ、iPad。」「wiiとかやってる。」と、ようやく電子ゲームが挙がってきました。
このクラスの子どもたちにとって、遊びの主流は、
体を使ってみんなで遊ぶものだという意識が高いことが窺えてきます。

どんな種類の遊びに分けられるのか、分析していきます。
全員で分け方の意見を出したあとに、今度は自分だけで整理していきました。
「なんだか、前のに似ている。」
前回のテーマ学習「My Hero Story」でつくった「My Hero Wall」と作業が似ているというのです。

IMGP6155.jpg頭の中から出てきたものをマップ化していくことで整理することができ、そこから新たな発見が出てきます。「前にもやったことある」と繋げて考えていけることで、ほかのときにも当てはめていけることでしょう。





IMGP6158.jpg自分なりのカテゴリー分けを考えていきます。
「遊びって何個あるのかな?」
「遊びは無限にあるんじゃないの?」と疑問を出しながら、
遊びマップをつくっていきます。
自分たちのしている遊びとブリューゲルの絵に出てくる遊びに違いはあるのか、
また、ほかの時代の遊びには、いったいどんなものがあるのかをこれから見ていきます。


時代によって、遊びにはどんな不易流行があるのでしょうか。

AN

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インターステラー 時空を超えて

タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。

[5・6年生]

探究領域、時空因縁の最終章は、時間=歴史=過去〜現在という枠を超えて、未来と今と過去とを縦横無尽に行き来します。時間の壁を越えるタイムトラベラーです。もちろん、空間についても、中野、東京、日本、世界、地球を飛び出て、宇宙空間、さらに高位の次元へと広がります。時空をあちこち飛び回りながら、私たちの「因縁」が世界をどう編み上げてゆくのか、思いっきり想像 imagineします。

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もはや「社会」を考えるならば、時空の制約に縛られていてはどうにもなりません。「因縁」とは「関係性」のこと。世の中の事柄は単なる「因果」ではありません。さまざまな「偶然」と呼ばれるものによって、因果の鎖がちょっとずつズレてゆきます。その「偶然」を引き起こす大きな存在が「人間」です。そこに「自然環境」の影響もからんできます。いろいろな要素がたまたま出会い、思わぬ方向に進んでしまう。それが「よいこと」をもたらすだけでなく「悪いこと」も引き起こします。戦争、環境破壊は人為的なものですが、地震や火山の爆発、台風、旱魃など自然の猛威によって私たちのくらしは大きく左右されます。その素には、人の欲望というものがあり、さらに大きく撹乱するわけです。こうした「因縁」の渦の中で、わたしたちはいかに生き、よりよい社会、幸せな世界をつくってゆくのかを、既存の枠に縛られることなく大胆に発想しよう!というのが今回のテーマのねらいです。

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想像=イマジネーション=ファンタジーというと単に荒唐無稽な世界をイメージするかもしれません。しかし、世の中の「困難」を乗り越え、「危機」に挑戦してゆくときに大事なのは

そんなことあるわけないじゃん!

というとらわれを捨てること。そうではなくて、

こうしたら面白いじゃねえ?

という、ちょっとばかばかしく見えたり、あり得そうもなかったりすることをまず想像することがカギです。それは、現実とは異なる、もうひとつの理想世界を見つめ、信じ、なんとかそんな世界を実現したいな!と悪戦苦闘しようとする意識の働きです。現実だけに閉じていたら、今のレベルから脱することはできません。イノベーションがこれだけ騒がれている今、子どもの感性をくもらせることなく、とはいえ、お子ちゃまのレベルから抜け出て、よりよい社会づくりのためにどうしたらよいか真剣に考える探究こそ、小学生に必要なのです。

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では、具体的にどんな探究をするのかと言うと、宇宙SF劇をつくり、それを自ら演じる!というミッションを追究します。質の高いアウトプットを目指すとなれば、やはり、これぞお手本!という本物の作品に触れる必要があります。そんな作品として、このテーマ学習のためにうってつけの名作が生まれたばかり。みなさんの中にも、すでにご覧になって、結構、感動し、はまってしまった人もいるのではないかと思いますが、その作品こそ『インターステラー』です。

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初日は、約3時間の大作を見ることからスタートです。子どもたちの中には、前から見たかった!と思っていた子もいました。そうでない子も「宇宙兄弟」を始め、宇宙を舞台にした話にひかれる「男子連中」なので、興奮気味。

ただ、これ、内容がすごく深く、人間模様も、科学的事実も、ストーリー展開も複雑で、大人でもついてゆくのが大変な作品。途中で飽きちゃったり、うとうとしちゃうんじゃないかな?と危惧していました。ところが見事にそんな予想は裏切って、最後の最後まで一気に集中を持続したまま見てしまいました。

でも、内容はチンプンカンプンなんじゃない……そうだとしても難解だから仕方ないなと思っていました。しかし、この予想も見事にくつがえし、次元をどう抜けたか、どんなトリックを使っているか、どうしてこういうストーリー展開になったのかということを詳細に記憶しているではありませんか。

ということで早速、次の段階に入り、インターステラーという映画の構造を丸裸にします。料理で言えば、とにかく名シェフのつくった味を生み出す素材の選び、調理方法を完全に後追いすることです。

いったい子どもたちはインターステラーを発想のスプリングボードとして、換骨奪胎した、自分たちらしいストーリーをどうつくってゆくのか。この子どもたちのノリ・雰囲気からすると相当期待できそうです。どんな作品ができるか乞うご期待です。

RI

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2015年06月19日

自分についてどんなことを知ってる?

タイトル:I am Special,YOU are Special.
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。
[1年生]

先週から引き続き、見た目(Form)に着目して観察していきます。
今週は紙テープを使って自分の顔や体の色々なパーツのサイズを確認していきました。

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足の長さ・指の長さ・腕の長さ・頭の周り・首の周り・足首・手首・耳・鼻・などなど、それぞれに気になるところを測量していきます。

「あっ!私の鼻と耳って同じ長さだー(笑)!」
「右手の方が左手より大きいよー。」

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「私は左目の方が右目より何ミリか小さいなぁ。しかもめじりのよこがちょっとへこんでる〜。」

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「自分のことって知らないことのほうが多い〜。」

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自分のことって知っているようでまだまだ知らないことばかりです。

先週から自分のことを観察してきた子どもたちが次に取り掛かるのは友達について観察してみること。
すると自分が気づいていなかった部分がまだ見えてくるかもしれません。
友達の顔をまじまじと観察しながら描いてみると自分と似ているところと全く違うところに気がつきます。

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「わたしと目が細いところが似てるね!ほっぺも似てる。」
「Wちゃんの目ってぱっちりして大きいね。黒目がすごく大きいと思うよ!それにほっぺがちょっとピンク色だね。」
「おれとまゆげが似てる。けどほっぺは反対でおれはプクーっとなってるけど、Hのほっぺはへこんでるね。あと髪の毛がワイルドだね。」
「わたしと同じ場所の歯がぬけてる!おでこが小さいね。」
「Rくんてイタリア人みたーーい!しかもね、眉毛に力をいれるとおでこにたんこぶができて超おもしろい顔になるよー(笑)」

毎日一緒にいる友だち同士でも改めてじっくりと顔を観察し合ってみると普段意識していなかった特徴=スペシャルに気がつくものです。
それと同時に自分のスペシャルにも改めて気がつくきっかけとなりました。

これまで自分たちの見た目の特徴について観察してきましたが、子どもたちに自分の性格について知っていることを聞いてみました。

・”おこりっぽい”・・・お母さんやおじいちゃんに怒っちゃう。
・”可愛い子がいるとついて行っちゃう性格”=のび太みたい
・虫や空や鳥など観察したくなるのが好きな性格
・寝なさいって言われても寝ない性格
・感動映画を見ても泣かない性格
・お菓子が大好きな性格
・お父さんがパソコンしてるとついつい見ちゃう性格
・照れ屋・・・「好きです」って言われると照れる
・”こわがり”・・・乗り物は平気だけど怖い話やおばけがこわい
・”こいばな”のテレビ番組を見ているとトイレに行きたくなる性格
・”なきむし”
・”心配屋”・・・映画を見る時などに”チケット売り切れたらどうしよう!はやくいかなくちゃ!”って思う。
・”きれい好き”・・・部屋が汚いとイヤだし、絵を描くときに何度も書き直す
などそれぞれに認識している自分の性格について語ってくれました。

しかし、ここで浮かび上がってきたのが”性格”について話し合っているのですがどうも”性格”と”行動の傾向”が交じり合っているということ。
子どもたちと国語辞典に書かれている”性格”の意味(=その人の持っている性質・人柄。)を確認してみましたが、はっきりとは認識しづらい様子。

「性格って行動でも、身体の見た目でもないでしょ?それは分かるんだけど好きか嫌いかって性格なんじゃない?きれい好きとかさ。」なんとも考えさせられるいい疑問が子どもから投げかけられます。
「じゃあドラえもんはどら焼きが好きな性格?」
「うーん。それは違うね。」
「でもお父さんがパソコンしているとついつい見ちゃう性格ってなんかちょっと変だよね?」
「うん。それって”観察”するのが好きなのかな?」
「それとも色んなことが気になる性格?」

結局、性格の定義付けをみんなで行ったわけではありませんがおぼろげながら”性格”というコンセプトが浮かび上がってきた2週目。
翌週はさらに自分たちの内面に迫っていきます。

YI

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三つの強いかたち

タイトル:築きに気づく
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:『構造よく力を制す』

[2年生]

「よわいかみつよいかたち」、かこ・さとしさんの絵本では、
一枚の紙をうまく使って、三つの強い形をつくります。

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・「三角形」
・「四角形」
・「線路形??(H型)」

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通常のはがきには32枚しかのらないのですが、
「三つの強いかたち」を使った、はがきの橋には、400枚を超える1円玉に耐えることができました。
なんとびっくり!「強いかたち」にするだけで、同じはがきなのに、ここまで強度に差が出てしまうのです!

では、これらの「かたち」は実際の橋にはどのように使われているのでしょうか!?!?
ついにこの日がやってきました!隅田川・お台場フィールドワークです!

「あ!橋がある!!」
と、水上バスに乗る前の電車移動中に、ある子は橋を見つけました。
乗換駅である「御茶ノ水駅」で電車を待っているときのことです。
そこで見つけた橋は「聖橋(ひじりばし)」。神田川に架かる大きな「アーチ」を描くコンクリート橋です。

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「おー大きいね!」と橋を見ていると・・・
「あ!あそこに三角形があるよ!!」

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と、河川工事をしている工事現場にはやくも「三角形」を見つけてしまう子どもたち。
かこ・さとしさんの本にも、「工事現場(こうば)」にはいっぱいの強い三つのかたちがあります。と書いてありました。そこから子どもたちは見つけてしまったようです。
建築現場のみならず、駅のホーム、建物にも多くの三角形が使われていました。
そんな三角形を毎駅みつけながら、乗船の地、両国駅にたどり着きました。

そして、いざレインボーブリッジを目指して乗船!
水上バスの屋上に乗り、橋と橋の裏側を念入りに見ながら、両国〜浅草まで上流に登り、そして、翻って浅草〜聖路加ガーデン〜浜離宮〜レインボーブリッジまで、隅田川を下っていきます。

・「四角形の中に三角形がいっぱいあるよ!」
・「やっぱり四角形のなかに三角形がいっぱいあったのが多かったな〜」
・「Aみたいな形になってる!!」
・「あ、あの船さっきもいた!石炭が乗った船だ!」
・「あの建物にも三角形が使われているよ!」
・「やっぱり僕はこの橋がかっこよくて好きだなぁ!」

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そんなことを話しながら、ゆったりと水上バスに揺られ、隅田川にかかる橋を観察しました。

2015_t2_kizuki_wk2_11.jpg

水上バスの終点は、お台場海浜公園。そこから「ゆりかもめ」に乗って、今下を通ったばかりのレインボーブリッジの中を通り、内側からレインボーブリッジを観察します。
・「あ!やっぱり駅にも三角形がたくさん使われている!!」
・「内側から見るとやっぱり三角形がいっぱいあるんだなぁ」

こうして、隅田川フィールドワークの一日は終わりました。

さて、隅田川フィールドワークののち、どんな橋、どんな「かたち」がアタマに残っているでしょうか?
クルージングの時に見た写真を見ながら、もやもやと振り返ってゆきました。

・「橋は上に置いてあるんじゃなくて、必ずはじとはじで繋がってるね。」
・「僕はこの橋が好き!がっしりしているし、全部青いから好き!」
・「この橋はね、土台が繋がっているから強いんじゃないかな?」
・「三角が二つだったり、丸い壁がある形はあったんだけど、ただまっすぐなのはなかったね。」
・「どの橋も必ず横に壁があるね!でも絵本で出てきた強い形と反対だった!」

注目していたのは、「強い三つのかたち」だけではなく、その場に行って圧倒された「大きなかたち」についてもよく観察がされていたことがわかります。
「細かいかたち」と「大きいかたち」、まさに「部分と全体」の両方が彼らの頭の中には残っていたようです。

ついに次回から、「橋」の設計・施工を始めます。
今回のフィールドワークで観察した橋をネタにして、自分たちの「かたち」と「デザイン」をつくっていきます。
どのような「かたち」に工夫が凝らされた、軽くて強い橋が生まれるのでしょうか!?


TY

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不易と流行

タイトル:We love 遊
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「不易流行」

[3・4年生]

自分たちは日頃、どんな遊びをしているのか。
思いつくままに、出てきた遊びをA3シートにまとめていきます。
IMGP6159.jpg  IMGP6193-1.jpg

その中から、昔からありそうで、これからもずっと続いていくと思う遊びと
昔はなかったもの、未来にはなさそうな、今だけ流行っていると思う遊びを
分けていきました。
半々に分かれたり、どちらかが多かったり、その差が極端に大きかったりと、
個々人によって分け方が変わりました。

なぜ、こんなにも違いが出るのか、それぞれの理由を聞いていきます。
「こっくりさんとか怖い遊びは不易でも流行でもあると思う。」
「怖くて止めたり、禁止になったりする時代もあるけど、また始まる時代もあると思うから。」
「隠れ鬼とかは、昔からなかったと思うけど、昔からある鬼ごっこが新しくなったものだから、不易にも流行にもなる。」
「同じ遊びだけど、道具が変わっている遊びもある。これは不易?」
「ピンポンダッシュは、ピンポンがなかった時代は、トントンダッシュだったとか?」
「でも、50年後くらいには、すぐに見つかる道具ができて、できなくなると思う。」

それまで黙っていた子がふとつぶやきます。話を聞いていて何かがつながったようです。
「水の牢屋って、今だけなんじゃないの?」
「TCSだけで流行っている遊びかも。」
不易の中にも流行があったり、不易だと思っていても流行になったり、
あるいは、自分の中での不易流行やTCSでの不易流行もあるなど、
一概に2つに分けられないものがあることが見えてきました。

では、世代が変わると遊びはどのように変わっているのか、
自分の両親、祖父母にお願いをして、今の自分たちと同じ10歳頃にしていた遊びについて、お手紙をもらってきました。その当時の写真も借りてきました。

IMGP6211.jpg写真はなかったと言われた子も多く、
持ってきた子も写真より手紙に何が書いてあるかの方が興味深いようです。

「この漢字、何て読む?」






IMGP6204.jpg聞かないとわからないところや、
疑問に思ったところにラインを引いています。






個々人で手紙を読んだ後は、発見したことや疑問に思ったことを全員で共有していきます。
「カメラは一般家庭になかったから、写真がないんだって。」
「写真は七五三とか行事のときにだけ撮るものだって手紙に書いてあった。」
「うちのおばあちゃんもカメラなんてあまりなかったって言ってた。」
「カメラだけじゃなくて、自動車もお医者さんくらいしか乗ってなかったんだって。」

年齢に違いがあるのか、借りてこられた写真の年代をそれぞれ見ていきます。
1960年代はモノクロばかり。
1970年に入ると、カラーっぽく見えるものやカラーの写真が出てきます。
「テレビもめったになくて、お風呂も家になかったって。」
「えー、お風呂ないの?」
「おばあちゃんは、ラジオドラマ楽しみにしていたって。」
「ラジオドラマ?」
何年ごろに何があって何がなかったのか、確認していると、
「あ、あの本と似ているかも!」といって、ある子がこの本を持ってきました。
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カメラがまだ普及していない時代はどんな時代だったのか、
日本の昭和30年代によく似たフランスの1950年代を紹介した物語を読んでいくことに。
この頃の子どもたちが生まれたのは、世界のあちこちで戦争をしている時代。
表紙をめくると、戦争場面が一面に描かれています。
知りたいことが次々と広がっていきます。



AN

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宇宙白熱教室

タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。

[5・6年生]

インターステラの世界に触発された子どもたちは、家庭で親と語ったり、i-pad を持ち帰って宇宙に関する動画を探したり、勝手に動き始めました。そしていきなり熱く語り始めるではありませんか。

「ブラックホールはねえ、超新星爆発した後にねえ、中心がぎゅーって縮んで、すごい重力の点になるんだ」
「光も抜け出られないんだよね」
「光が抜け出られないなら光より速いスピードがあるのかな」
「おれたちの世界では光速が最高かもしれないけれど、おれたちのまだ気づいていない世界では、光速以上の速さがあるんだよ」

興奮して話し続けます。なんでまあこんなに熱くなるんだろう。完全に『宇宙白熱教室』となっております。

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物理学の歴史は、ニュートン、アインシュタインによって大きく発展してきましたが、ファインマンに代表される「量子力学」の登場で、科学の世界とファンタジーの世界の境目が消えます。論理的な説明と実証とが可能だったニュートン力学、一般相対性理論の世界を超えて、数学的には説明できるけれど、実験や観察によって実証できない世界の存在があることを認めざるを得なくなったのです。

物ではない物の存在。「何もない」と思われる空間に作用する働き。「何もない」はずなのに波のようにふるまう……それが「量子」であり、具体的な姿を私たちには見せてくれないのです。

そんな最先端かつ難解な部分に小学生がいきなり?理解できるの?もっと基本的なことから始めないといけないんじゃない?と思う方は、「探究」という学びをつかんでいないということです。私たちが知識をつくろうと思うのは、現実にとても興味深い何かがあるから。それはわかったようなわからないような複雑かつ難解な装いを持つもの。そこに惹かれ、まずは自分なりに「理解」してゆこうと立ち向かう。正解かどうかはどうでもいい。思いっきり想像力を全開にし、自分なりのイメージを形づくる。こういう学び体験を経て、未知の状況に出会ったとき、ひるまず、常識の壁を乗り越えて発想しようとするマインドが育つのです。

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「量子は情報だからデータ化して送れるよね」
「そうか。そのデータに基づいて復元すれば肉体がつくれるんだ」
「いや、肉体はもはやいらないんだ。意識のデータさえ送ってしまえば、後は肉体はレンタルすればいいんだよ」

量子テレポーテーションに関する動画を見て、その原理を理解した子どもたちは大興奮。これから製作する宇宙SF劇をつくりあげるために必ず必要となる移動手段のひとつを早くも見つけました。あっ、このウェブをお読みの方は、量子テレポーテーションと言われても???かもしれませんね。スタートレックの中で、人が瞬時に別の場所に移動可能なカプセルのようなものが出てきますが、あれです。離れた場所に同じ粒子を置きます。一方の粒子に別の粒子を結合すると、遠く離れた場所にある粒子が結合した別の粒子に姿を変えるという現象が実験によって確かめられているのです。これを量子テレポーテーションと呼ぶのです。この原理を用いれば、瞬時にある場所から別の場所へ粒子が送れます。送られた粒子に基づいて、3Dプリンターのような再構築装置で復元すれば、自分がそこに出現するというわけです。

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もちろん、興奮して語り合う子どもの傍らに、話の展開についていけず、置いてけぼり気味の子がいます。でも、その子も、あわてる素振りはありません。i-pad で今話題に上がっている内容をわかりやすく説明しているサイトを探しています。

「ああ、そういうことだったのか……じゃあこういうことも言えるんじゃない」

興奮して語り合っているときには見えなかった「視点」や「発想」が、冷静に考えてゆく中で生まれてきます。これぞ時間差の効用。

みんなが同じときに、同じように理解しないといけない……というのも教育にまつわる「都市伝説」と呼んでもいいぐらいの思いこみかもしれません。むしろ「理解差」「時間差」があるからより多面的に知が構築できるのでしょう。

さあ、ここまでイメージが活性化されたら、一気呵成にストーリーづくりに入るしかありません。早くもつら楽しい、つくりこみフェイズに突入です・

RI

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2015年06月26日

自分の内面

タイトル:I am Special,YOU are Special.
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。
[1年生]

先週に引き続き、”自分の性格”について考えを巡らせました。
性格をあらわす言葉についていくつか学んだ後、じっくり振り返りながらそれぞれに自分の性格を10個あげていきました。

おしゃべり・・・人がいると楽しくなる
ていねい・・・犬を洗うときもすごくていねいに洗う
きれいずき・・・お部屋・引き出し・秘密基地がきれいじゃないと嫌!
正直・・・内緒にするともっとお母さんにおこられるから
めんどくさがり・・・楽しいことをやりたくなっちゃう
怒られているときにいらつくのが我慢できない
心配性・・・たとえばプールの進級発表前に”うかるかなぁ?”とずっと気にしちゃう
口がかるい・・・おしゃべり大好きだから

いろいろと興味深い分析が出てきました。
先週は自分たちの”行動の傾向”(例えば、お菓子ばかり食べる性格など)と”性格”がごちゃまぜになっていた子どもたちですが、だんだん”性格”の概念をつかみつつあるようです。

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「じゃあ自分の癖についてはどんなことを知ってる?君たちに癖ってあるかな?」
と癖について意識できていることを尋ねてみました。
すると珍しくすぐには手が上がらず、う〜んと悩み顔の子どもたち。

「うーん。私は癖ないかな。」
「えー!なんかあるでしょ?ぼくは食べるときに肘をつくのが癖!」
「あっ、それって行儀わるいね。」と女の子に言われます。

「私は”おやすみなさい”ってお父さんに言わないのが癖。」
「え?でもなんで言わないのが癖だって知ってるの?わざと言ってないの?」
「知っててやってるんだったら癖じゃないと思うんだけど。」と面白い意見が出てきました。
「それってどういうこと?もう少し説明できる?」と私。
「うん。だから、知っててやるっていうのはさ、意識してるってことだから、わざとってことでしょ?わざとやってるってことは癖じゃないんじゃないの?」
「ああそうか!!だから、ついやっちゃうようなことは無意識だから癖なんだ!」と”癖”について共通の概念が作られ始めていきました。
「私の癖はね、デパートに行くとトイレに行きたくなること。」
「おれは夜に一階に行くのがトイレを我慢するのが癖。」
「え?それって知っててやってるんじゃないの?」
「あ!そうだ!」
「私はね、いつも家にに帰ったら誰かが中にいても毎回チャイムを押そうとするんだよね。」
「はい!えっとね、定期のゴムをかんじゃう。おいしくないんだけど。」
「それってけっこうやってる子多いよね。」
「他の子の癖でもいい?他の子のだったら結構知ってるよ!」
「あ!それならぼくも知ってる!Tくんはよく財布を振り回してるよ。」
「Mちゃんはよく側転してるよ。」
「じゃあ自分の癖はあまり知らないけど他の子の癖はよく気がつくってことかな?それじゃあ、このクラスの友達の”癖”ってどれくらい知ってるかな?」と聞いてみました。 すると一斉に手が上がります。

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・他の人が頼まれてることでもやってくれる。例えばドアをしめてくれる。 ・朝の会でよく発言する。それはなんでかって言うといろいろな言葉が頭に入ってて、それをちゃんと分けているから朝の会で発言できるんだと思う。(1年生にとって朝の会でみんなが話していることに入っていって自分の考えを言うのはチャレンジングなことだと認識している様子) ・人と協力できる。パズルを組み合わせる時に協力できた! ・観察が得意! ・椅子の上でよくお山座りをしてる ・「しってる、しってる、わかってる、わかってる」が口癖 ・たまに猫みたいな話し方をしてる

などなど自分ではまったく気づいていなかった自分の癖をクラスメイトから教えてもらってとても驚いている1年生たち。

「私、”しってる、しってる”なんて言わないよ。」
「え!?よく言ってるよ。」
「うん。よく言ってる。」とみんな(笑)。

自分で意識できていないことがたくさんあることを実感するとともに、新たな自分の発見もありました。
来週も今まで知らなかった自分について新たなページをめくっていきます!

YI

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施工開始!

タイトル:築きに気づく
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:『構造よく力を制す』

[2年生]

先週は橋を観察し、振り返ってきた2年生、
まずは、それぞれで「気に入った橋」のスケッチをしてきました。

・「レインボーブリッジのポイントは上の三角のところだよ」
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・「清洲橋を書いてきたよ!きっとこのたての線が強いんだと思う。」
2015_t2_kizuki_wk3_02.jpg

・「この斜めの線が強いんだと思う。」
2015_t2_kizuki_wk3_03.jpg

今週はついに、ストローと安全ピンだけで橋をつくってゆきます!

では、このスケッチを利用して、これからつくる橋の「構想」を練ろう!
ということで、「25cmの幅にかける橋をストローと安全ピンを材料に作る」を課題にして橋を作ります。
目指すは「できるだけ軽い橋で1kgのおもりに耐える」!

それぞれで、
・どんなかたちにするか
・どんな構造にするか
などを決めて、「設計図」を作っていきます。
今回のテーマ「築きに気づく」では、ストローを材料にして「立体的な橋」を作ります。
なので、設計図には、側面、上面、底面の最低4方向は考える必要があります。

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設計図を作った後は、ストローを設計図にそって切りつつ、安全ピンを使ってっていきます。

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そして、だんだんと橋が出来上がってきます。
「トラス構造」「アーチ構造」「ラーメン構造」「けた」など、様々な資料とともに、 隅田川で観察した橋を基にして作り上げていきます。

・「マス目があるけど、定規できっちりかきにくいなぁ。。。」
・「安全ピンを開けるのが少し難しいなぁ。」
・「この形がなかなか安定しないな、新しい斜め線を加えよう」

そんなこんなで、橋を完成させ、来週の実験に備えます。。

・「もっと軽量化できないかな?」
・「がっちりしてて強そうなんだけど、このままじゃ重いなぁ。。。」

と、無駄な安全ピンを除いたり、飛び出ているストローをカットしたりしながら、
最後の仕上げをしてゆきます。

さて、来週は運命の実験が待っています!
目標の1kgは達成することができるのでしょうか!?!?


TY

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原爆って何?

タイトル:We love 遊
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「不易流行」

[3・4年生]

自分の祖父母・親に、「子どものころにしていた遊びを聞かせて。」というお願いをして、書いていただいた手紙には、遊び以外のことも書かれていました。
特に、おじいちゃん、おばあちゃんが10歳のころは、 七五三など特別なときにしか写真は撮らず、残っている写真も カラーでなくモノクロであることや、車も特別なものであり、 楽しみにしていた番組もテレビではなく、ラジオドラマであるなど、 自分たちの生活とは違う時代であることが、もらった手紙から 見えてきました。
「あの本と似てる!」と言ってスクールの本棚から持ってきた絵本『テレビがなかったころ』を 一緒に読んでみると、最初の1ページ目から疑問が飛び交います。

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「どこの国が戦争してるの?」
「世界大戦だから世界中ってこと?」
「それって、日本の近くじゃない?」

「旗にかいてあるのはお寺のマーク?」
「ナチスのマークじゃない?」
「お墓と関係あるからお寺と同じマークなのかな?」

「服についている星のマークは何?」
「アンネの日記で見た気がする。」

「爆発しているのは原爆?」
「原爆って何?」

戦争は怖いものというイメージはあり、「第一次世界大戦」と「第二次世界大戦」があったということ、「ナチス」「ユダヤ」「戦後70年」という言葉は出てきても、どうして戦争が起こったのか、どこの国で起こっていたことなのか、戦争に関して知る機会がこれまでになかったことが発言から窺えます。また、「原爆」という言葉を初めて聞いた、聞いたことはあっても何のことかはわからないということでした。

絵本の次は、映画を通して、戦時中がどういう状況だったのか、原爆とはどういうものなのかを見ていくことにしました。

71S3mmC1fLL._SL1082_.jpg 選んだ作品は、
永井隆 原作・木下惠介監督の『この子を残して』。
1983年に公開された映画ですが、2013年にDVDが発売されています。怖がらせるための映画ではなく、真実を伝えようと、長崎の原爆投下のシーンが再現されています。
何が起こったのかを知りたいという気持ちで、子どもたちは最後まで真剣に視聴していました。
観たあとには、気づいたこと、疑問に思ったこと、モヤモヤしていることを色分けして付箋に書いていきました。


IMGP6234.jpg 「なんで戦争をしなきゃいけないの?」
「戦争がこんなに怖いものだったなんて。」
「原子爆弾、初めて聞いた。」
「アメリカと戦ってたの?」
「原子爆弾のせいで街がなくなる!」
「ビルはそんな一瞬で倒れるようなのかな。」
「あれって、本当に起きたことなの?」
「テレビの“ごちそうさん”でもアメリカ軍の人が日本の人にチョコレートを投げてた。」
「戦後はこんなに大変だったんだ。」
「おばあちゃんはこのとき中国にいた。」

あとは、5・6年生が社会の時間に使っているテキストや、 年表で事実関係を確認していきました。 「どうして戦争をしなくちゃいけないんだ。」そんな思いを持って読み進めていくためか、 読めない漢字が多い文章も苦痛ではないようです。読み進めていく中で、つながってくることが少しずつ出てきます。
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「テーマが遊びから戦争になっちゃってる。」
今週は、祖父母世代が子どもだったころの時代背景を追っていく中で、
浮き上がってきた戦争について迫っていきました。
引き続き、3世代にわたって変わってきた遊び・変わらない遊びの真相を探っていきます。

AN

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ストーリーラインができた

タイトル: 銀河鉄道に乗って
探究領域: 時空因縁
セントラルアイディア:創造の原動力が想像である。

[5・6年生]

超新星爆発にブラックホール。その中に生まれるワームホール。量子テレポーテーションによるワープか、時空のゆがみによるワープか……

とにかく熱く、熱く、語り続けた2週間。宇宙に関わる知りたい「事実」がかなり明確になりました。3週目は、発想を広げるところから、つなげるフェイズへ。宇宙SF劇ストーリーの「骨格」づくりです。

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まずは、いちばん大きな流れを確認します。流れを構成する要素は3つ。

① 地球を脱出する
② 宇宙空間で危機・困難に出会う
③ クライマックスを経てハッピーエンドを迎える(人類の未来に希望を抱かせる結末)

すると、間髪入れず、口火を切る子が現れます。

「時空のゆがみから異次元に行ってしまい、過去に戻ってしまうんだ。そこからストーリーは始まる」

この発言に触発されて、あとは怒濤のごとく……「そうか、ひらめいちゃった。過去に戻って未来のことを警告しに来るんだよ。」
「悪い未来を消してよい未来をつくりにくるんだ」

おっと、アブナイ、アブナイ。思わず、ネタバレになりそうなことを書こうとしてしまいました。今、ここでお伝えできることは、とにかく、子どもたち全員の頭が見事にスパークし、次々にアイデアが出されては、修正され、洗練され、ちゃんとひとつのストーリーの「骨格」が見えてきたということです。

今、世の中は、本当に変な方向に進みつつある、なんかきな臭い状況です。そんなときだからこそ、こうして大胆に、ファンタジーを語り、現状に流されず、もうひとつの流れをつくってゆくイマジネーションを全開にしてもらいたい。大人に惑わされず、大胆かつ繊細に、暗い成り行きを乗り越えて、一筋の希望を見出す、まさに「レジリエント」なストーリーをつくってほしい。そんな気持ちでいっぱいです。

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ストーリーの内容は、多く語れませんが、つくり方についてはちょっと語っておきたいことがあります。それは、7人の侍ならぬ、7人の多様な子どもたちが、個々の持ち味をうまく出し合ってストーリーをつくっていったことです。チーム力高いじゃん……と探究教師としての立場も忘れ感心してしまった次第。

「Aちゃんは、こうなって、こうなる、だけどこうなるっていう大きな流れをつくるのがうまいからAちゃんの意見を聞きたいな」

するとAちゃんが、地球をなぜ脱出しなければならなくなったか、その理由について語り始める。

「宇宙空間の移動の際に、時空のゆがみから、こんなことが起こるんだ……」

続いて、科学的知識がいっぱい頭の中に渦巻いている子の出番。とにかく熱く語られる内容は、半分わかるような、わからないような。でも、聞いている側の聴き方がいい。わからないところがあったら素直に質問する。あるいは、話をわかろうとするだけでなく、自分のアイデアをインスパイアするために、誤解も辞さず、耳を傾ける。やがて、自分ばかり語り過ぎたと気づいたら、別の人にパス。全然、違う話題へとスイッチする。一見、関連性がなさそうだが、それよりも、どこかでつながってきたり、役立ちそうな考えをとにかく出しておこうという姿勢だ。

やがて、人間関係のディテールを語る子の登場。

「実は2人の主人公の関係は××でね、そこでこんな会話がきっかけでそれがなんとなくわかってね、でも、途中でこんな裏切りに巻き込まれてね」

わあ、ドロドロした人間関係と、それを超えた美しい人類愛とが、うまく織り込めているではありませんか。その面白さに一堂拍手。

こうして、一見、個々バラバラに言い放っているように見えて、実は、ストーリーの「骨格」という大枠をガイドとして、決して外れることはありません。科学知識、人間関係、そしてドラマチックな構成が、それぞれの子の特性を活かして語られます。それをみんな面白がれる。「あっ!と言わせる作品づくり」というミッションに向けて「個」力と「協」力とを融合しようとする真のチームワークを見せてくれます。

こうして、ストーリーの「骨格」と流れが見えてきました。来週から、早くも後半ですが、ストーリーに肉づけをしてゆく作業に突入してゆきます。細かいことにもこだわり、子どもじみた浅い面白さを超えて、質の高い、「なるほど!そうきたか!」と思わせるような面白さを目指します。さらにさらにアクティブに。とどまるところを知りません。

RI

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2015年06月30日

ミラクル・ハイパーステージ7/2(木)開催

TCSミラクル・ハイパーステージ 2015開催!

今年度はなんと2回開催!今回は夏開催初のスクールコンサートです!
TCSキッズ&スタッフ&保護者による大ステージ。

日頃磨き上げた技能が披露されますので、どうぞお楽しみに!
平日夜開催にて、ご多忙とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご来場ください!

今年は、下記の通り開催を予定しています。
※一般の方も参観いただけます。

                 記

日時:平成27年 7月 2日(木)
   19:00~20:30(18:40開場)予定
 ※開始時間は変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。

会場:中野区産業振興センター
   中野区中野2-13-14  [地図]

*アクセス*
・最寄駅:JR(中央・総武線)/東京メトロ(東西線)「中野駅」南口より徒歩5分
*車でのご来場はご遠慮ください。



【お問合せ・お申込み】
東京コミュニティスクール(担当:戸嶋・若林)
TEL:03-5989-1869
E-mail:school#tokyocs.org
※お手数ですが、「#」を「@」に変更してから送信してください。

   件名を 「ミラクル・ハイパーステージ見学希望」とし、
   本文に以下の事項をお知らせください。
     1.見学希望者氏名(すべてご記入ください)
     2.お子さんの現学年(保護者の方)
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)




NPO Tokyo Community School 
特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール 


〒164-0001 東京都中野区中野1-62-10 
TEL: 03-5989-1869  FAX: 03-5989-1649 
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