東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2013年06月 アーカイブ

2013年06月03日

発表に向けて

[5・6年生]

今週はいよいよ週末に迫ったテーマ発表会に向けてプレゼン資料作りや発表練習に励みました。 
週末に行なわれた運動会では全力を出しきった子どもたち。ソフトボール投げでも記録を越すべく一生懸命頑張りましたね!

無事記録を更新できた子も何人かいて、嬉しそうな様子は忘れられません。この運動会では記録を出せなかった子どもたちも、秋の記録会こそは新記録を出す意気込みで燃えていました。いいぞいいぞー!

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そして今週はこのテーマで学んできたことを発表会でオーディエンスに分かり易く伝えるためにどうしたらいいか試行錯誤を重ねます。 

スポーツ選手ではない私たちも正しい運動器官に関する知識を学び、身体の動かし方を習得できれば運動能力が高まるのかどうかその理論と実践を通して探究してきました。 
 
発表では“ボールをより遠くへ飛ばすための投球動作の研究”と題して、人間のエネルギーを効果的に運動エネルギーに変換する身体動作とその身体動作にひそむ物理の法則などこのテーマで発見したことを子どもたちが学会発表風にプレゼンします。 今回の発表ではKey Noteを使用して補足資料を作成することにも子どもたちはチャレンジしました。 
 
「運動連鎖(キネティックチェーン)についてはただ説明するだけじゃなくて投球フォームを見せながら解説した方が分かり易いよね。」 
 
「じゃあ助走もそうだね。特に助走してから両足をふんばって反作用の力を利用するってところは実験もしてみた方がいいんじゃないの?」 
 
「うん。それも考えてたよ。なんかペットボトルでも使って実験もしてみるよ。練習しないとな。」 
 
「Key Note使うの面白いなー。もっと作業したいから担当が決まってない部分はおれにやらせて。」 

「え、ぼくもやりたい!」

「いいけどアニメーションはたくさんいらないよ。強調する所だけにしようよ」
 
テーマ発表に向けてやる気十分な5・6年生たち。 
どんな発表になるか楽しみです。さあ、悔いの無い発表ができるように最後までやり抜こう⭐

YI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2013年06月07日

「「蚕糸の森」見っけ隊 」~概要~

[1・2年生]

タイトル:「蚕糸の森」見っけ隊
探究領域:時空因縁

1・2年生たちが、入学式に学校長からプレゼントされたものに「学」という字があります。
「学」には、頭(冠)の上に、3つのアンテナ(「発見!」「疑問?」「モヤモヤ」)があって、
これらが敏感に反応することでよりよい学びに繋がっていくのです。

本テーマでは、この3つのアンテナを使って、
身のまわりには、「!(発見)」と「?(疑問)」が限りなくあることを体験していきます。
舞台は、子どもたちのスクールライフに欠かせない「蚕糸の森公園」。
「わぁ、すごい!」「なんでこんなところにあるの?」などなど、
思いっきり、「!」と「?」を探していきます。

見つけ出した「!」や「?」をよく観察することで、新しい「!」や「?」が生まれたり、
「なんか変だぞ?」とモヤモヤしたり、知りたいことが増えていくことでしょう。

探究領域「時空因縁」の始まりとして、「蚕糸の森」見っけ隊員たちが、
「!」「?」「!」「?」を繰り返し、場所の特徴と価値を追究していきます。
ドキドキ、ワクワクしながら追究していくことを楽しんでほしいテーマです。

AN

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「We Love 遊」〜概要〜

「歴史」というと、出来事の羅列を「暗記」してテストに備えることか、「史跡」めぐりを楽しんだり、「大河ドラマ」にわくわくしたりする趣味・娯楽、というようなイメージがどうしてもつきまといます。しかし、これはあくまでも、既存の歴史像を消費しているに過ぎません。グローバルに国境を越えてゆくことが必然となっている世の中で、多様な人々とともに生きてゆくには、一つの「国家」あるいは「権威」あるいは「デマゴーグ(特にネット上でばらまかれる……)」の発信する「歴史認識」を安易に受け入れるわけにはいかず、自ら判断しなければなりません。そのためには、「歴史的事実」を頭につめこむのではなく、いかに「歴史認識」がつくられてゆくかを当事者として学ぶ必要があります。それが今回の学びの目的です。小学生にそんなことができるの?という声が聞こえてきそうですが、小学生だからこそ、歴史は唯一ではなく、自分の立てた「問い」を通じてみつめたときに初めて浮かび上がってくると実感する原体験を持つべきではないでしょうか。

では、どうするかというと……子どもたちにとってきわめて身近な「子どもの遊びについての歴史」について追究します。まず、両親や祖父母へのインタビュー、資料の読み解きなどによって、子どもの遊びがどう変遷してきたか明らかにしてゆきます。こうして発見された「事実」が、社会に影響を与えた政治的・経済的な出来事とどうつながっているのか探り出し、自分たちなりの「歴史」を編んでゆきます。

RI

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「銀河鉄道に乗って」~概要~

[5・6年生]

タイトル:銀河鉄道に乗って
探究領域:時空因縁

資源、環境、生態系、戦争、人権、差別・・・

現在、世界が抱える課題を挙げだしたらきりがありません。
もし未来が現在の延長線上にしかないとしたら、人類は悲惨な結末
を迎えざるを得ないのでしょうか。

人間が他の動物と決定的に違う点は、「想像力」があることだと言
われています。
非常に困難な状況の中でも希望を捨てず、時間も空間も超えてイメ
ージを膨らませ、新しい世界を創り出していく気概が今まさに私た
ちに求められているのです。

このテーマで子ども達は「未来」と「宇宙」を題材にしたSF作品
の制作に挑みます。
現在の科学でわかりつつあることをふまえながら、それにしばられ
ず、大胆な仮説を立てて未知の領域に挑んでゆく醍醐味を知る学び
を目指します。

HY

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2013年06月12日

ワークショップ6/30
『探究型』を探究する(6)

探究型学習をデザインする指導者のためのワークショップ
「探究型」を探究する (6) めざせ”探究のFantasista”
 『「探究型」を探究する』シリーズの第六弾となる今回は、探究する学びをプランする際に不可欠となる要素の「Fantasy(妄想力)」に焦点を当てます。知識を伝達する教育と、探究する学びを基軸とする教育との大きな違いは、教師が学びをプランしていくとき、大胆に想像力を働かせ、教科の知識や既にある考えにとらわれない発想力が求められる点です。セントラルアイディアという概念に肉薄していくために、”探究のFantasista”としていかに学びを仕組んでいくかについて、体験を通じ、インタラクティブなスタイルで学んでいただきます。
 探究型学習がうまくいかなくて悩んでいる方、世界に通用するレベルの探究型学習をデザインしたい方、探究という学び方に興味のある方など、現役の教員に限らず教育に興味関心のある方であれば、どなたでも参加できます。
【テーマ】 「探究型」を探究する (6)めざせ”探究のFantasista”
【日 時】 2013年6月30日(日) 9時00分~17時00分
【会 場】  東京 ユビキタス協創広場 CANVAS 2階
【WSリーダー】久保 一之、市川 力
※プロファイルは、下記をご参照ください。

【対 象】 教育関係者、一般
【定 員】 36名(要申込)※定員になり次第締切ります。
【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)
お問合せ・お申込みは、
 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで
TEL:03-3313-8717  FAX:03-3313-8790
e-mail: s13#tokyocs.org

※メールアドレスの「#」を「@」に直してください

【お申込み方法】 件名を「参加希望ワークショップ0630」とし、参加を希望するすべての方について、以下の事項をお知らせください。
    1.氏名(ふりがな)
    2.所属(勤務先会社名、学校名等)
    3.e-mailアドレス(PCアドレス)
    4.日中の連絡先(緊急用)
    5.講座を知ったきっかけ
(ホームページ、知人、新聞・雑誌名、SNS名等)
(ご注意)
※2~3日中に受付完了のメールが届かない場合は再度ご連絡ください。
※キャンセルポリシーはこちら。

主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
協力: 株式会社内田洋行
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WSリーダー プロファイル

久保 一之 (くぼ かずゆき)
KAZU_casual_small.bmpNPO法人東京コミュニティスクール創立者・理事長
小学生から大学・社会人までの教育に幅広く携わる中で、探究型の学びの研究開発・実践・普及活動、学校教育の国際化支援等に特に力を入れて活動。国際バカロレアの初等教育プログラム(IB-PYP)の研究を通じて日本の小学校教育の未来像を提案している。
株式会社グローバルパートナーズ代表取締役社長、株式会社ビジネス・ブレークスルー コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学 准教授・同大学院 講師。


市川 力(いちかわ ちから)
Riki_classroom_small_up2.jpgNPO法人東京コミュニティスクール校長

米国にて13年間日本人駐在員の子ども対象の学習塾を運営。現地の学校で行われていたプロジェクトベースの学びに触れ、『学び続ける力』を育てる教育実践に強い関心を抱く。2004年8月より東京コミュニティスクール初代校長に就任。自ら現場に立ち、初等教育における探究型学習の研究・開発・実践を行っている。
主な著書は、「探究する力」(知の探究社)、「英語を子どもに教えるな」「教えない英語教育」(ともに中公新書ラクレ)。講演多数。

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会場案内
株式会社内田洋行本社 東京ユビキタス協創広場CANVAS
2階

住所) 東京都中央区新川2-4-7
URL) http://www.uchida.co.jp/company/showroom/canvas.html
map_CANVAS.bmp交通のご案内(地下鉄をご利用の場合)
東京メトロ 日比谷線「八丁堀駅」下車、「A4」出口より徒歩4分
東京メトロ 日比谷線・東西線「茅場町駅」下車、「1番」出口より徒歩5分
JR京葉線「八丁堀駅」下車、「B1」出口より徒歩5分
※お車でのご来館はご遠慮ください。

2013年06月14日

私たちは見っけ隊!

[1・2年生]

1・2年生。ジッケアレインボークラス。
「自信を持って、ケアリングで、レインボーのように輝く橋を渡って前に進みたい。」
そんな思いをもった子どもたち8人でテーマ学習に取り組むのは、今回が初めてです。
「やっと、クラスで集まった!」と8人で学べることを喜ぶ子どもたち。
その上、今回の活動場所は、自分たちの大好きな「蚕糸の森公園」。
始める前から、ワクワク感が伝わってきます。
でも、「蚕糸の森」に ただ遊びに行くわけではありません。
なぜなら、テーマの時間、私たちは「蚕糸の森 見っけ隊」だからです。
見っけ隊に課せられた最初のミッションは、
蚕糸の森の「!(発見)」と「?(疑問)」を思いっきり見つけること。
%E5%AD%A6IMGP1146.jpg「!」と「?」のマークを見て、
「あっ。これは、あれだ!」と部屋に貼ってある「学」の字を指差す子がいました。
「いい「!」アンテナが働いたね。」
「それじゃあ、3つのアンテナ「!」「?」「モヤモヤ」を使っていくんだ!」
「早く、行きたい!!」

雨が降っていても隊員たちは元気いっぱいです。もう出かけたくて、うずうず。
では、出発! ・・・そんなとき、2年生から「ちょっと待って。」の一言が。
「みんなバラバラの探検だと、1年生がちゃんとできるかちょっと心配。」
「グループに分かれようよ。」と、1年生を気遣います。
2年生たちの言うことは、1年生たちも素直に耳を傾け、3つのグループに分かれて
行動することになりました。
「これ何のはっぱ?」%E8%91%89IMGP1078.jpg %E7%9C%8B%E6%9D%BFIMGP1079.jpg 「看板に載っているかも。」
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「あそこに5円玉が、ぶらさがってるんだよ。」

「なんで5円玉?」



「わっ!この土、ココアみたい。」%E5%9C%9FIMGP1087.jpg
「この穴、なあに?」%E7%A9%B4IMGP1111.jpg %E6%9C%A8IMGP1103.jpg
「穴が空いた木、見っけたよ。」
「ペンペン草みたい!」%E8%8D%89IMGP1136.jpg %E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%ABIMGP1094.jpg 「見て、ビール!」

発見や疑問探しは、あっという間に時間がすぎてしまいます。
集合時刻になり、探検を止めて集まってきた子どもたちは、自分たちの見つけたものを
言いたくてたまりません。その中で、どうしてもみんなに教えたい発見があると言った子が 走った先は、水が流れているところ。
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「ほら、かさ舟。」と言って、傘を逆さまにして浮かばせると、
静かに流れていきました。すると、自然とみんなが傘舟を始めます。
ゆっくり流れたり、途中で止まったり、最後はクルクル回って先に進まなくなる。
たくさんの「?」が詰まっていそうな「!」です。

翌日、スクールで振り返りをしていきました。
出てきた「!」と「?」は合わせて82個。
来週は、「!」と「?」の中身を掘り下げていこう。

AN

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自分たちで歴史を編む

[3・4年生]

下の写真は、ある日の放課後の風景。今、流行の「ヴァンガード」というカードゲームで遊んでいる男の子たちです。カルタ、トランプのように、むかしむかしから世界のいたるところで、カードゲームは行われ、遊びの中心にありました。

この写真だけ見ると、今も昔も子どもはカードで遊ぶし、そのスタイルも変わらない……というように思えてしまいますが、「ヴァンガード」のようなタイプのカードゲームは、とても複雑な考え方を要求され、とてもじゃないですが、お父さん、お母さん、おじさん、おばさんはついていけません。見かけだけは似ていても、そこには大きな違いや変化があるのです。では、いつ、どんな理由でカードゲームの「進化」は生じたのでしょうか?もしかしたら社会状況の「変化」とつながる部分があるのではないでしょうか?そんなことを追究してゆきながら、「歴史」は「確定したもの」として「覚えるもの」ではなく、自分たちで「歴史像」を「つくりあげてゆくもの」だというコンセプトを学ぶのが今回のテーマ学習です。

子どもたちにとって身近で実感できる「子どもの遊び」を「切り口」として、「証拠」を集めて、みんなで「吟味」して、歴史を自分たちで編んでゆくプロジェクトに取り組みます。

WLY004.JPG

子どもの遊びを描いた傑作に、ブリューゲルの『子どもの遊戯』があります。今回の学びは、まずこの絵を子どもたちに見せることからスタートしました。すると、

「これって争い?」
「戦争かな?」

という反応。確かにこの混沌とした状況はさながら戦場のように見えます。そこで、棒にぶらさがってなにやらやっている2人に着目するように伝えると……

「あっ!鉄棒で遊んでるんじゃない!」
「こっちは追いかけっこしてる!」
「なんだみんな遊んでるんだ!」

人のモノの見え方とは不思議で、遊びを描いている絵だと気づいた途端、いろんな遊びが見えてきます。子どもたちもノリノリで、どんな遊びをしているのか、探し始めました。あること、あること、それもそのはず、この絵の中には約100種類の遊びが描かれているそうです。

WLY001.jpg  img_1418175_48903169_0.jpeg

「これ、やってみたい!」

ブリューゲルの絵の中にある遊びの中で彼らが選んだのは、なんと馬乗り。そうか君たち、馬乗りしたことないのね。よし、じゃあやろう!ということで放課後実際にやってみると……あらら、450年前の絵と変わらない光景が眼前に!やっぱりブリューゲルはスゴイ!

WLY003.jpg   WLY002.JPG

何かを追究してゆくには、まず、自分たちの頭の中にあるイメージをさらけ出すことからスタートするという学び方を学ぶのも、テーマ学習の重要な役割のひとつです。そこで、いつものように「子どもの遊び」について自分たちの持つ先行知識を洗い出すことからスタートしました。

20分間、みんなで思いついたことをどんどん掘り出して(マイニングして)、模造紙1.5枚分をぎっしり埋めつくしたマップができあがりました。

WLY005.JPG  WLY006.JPG

「マイニング」の次は、出された項目を俯瞰してながめ、どんな仲間に分かれるか考えつつ、別のマップ(やっぱり模造紙1.5枚分)を作って整理してゆきます。

おにごっこ、こおり鬼、逃走中……「にげる」遊びだ!……となると、かんけりも近い。かくれんぼもそうかな。戦闘中は「逃げる」だけでなく、ボールを「投げる」……野球が近いな!……ボールを使うという点では……サッカーと仲間。野球とサッカーを合わせたらキックベース。「投げて」「当てる」とドッジボール!……「当てる」のはスポーツ系だけじゃなくて、パチンコ、えんぴつたおしというのもある。パチンコには、TCSフェスタのときに作ったような板の上を転がすのもある。「板」と言えば、人生ゲームみたいなやつも「板」……「ボード」ではなく「カード」の仲間がヴァンガード!。他にトランプ、ウノ、そして「和風の」かるた(いろはかるたみたいなのをイメージしているのだろう)も「カード」で遊ぶ仲間……

こうして、子どもたちみんなで整理を進めてゆくと、項目をつなぎ、まとめる「動作」だったり、共通して使う「道具」「素材」「形」などのキーワードが自ずと出てきて、TCS LION クラスの子どもたちが抱いている「子どもの遊び」についての知識マップができあがりました。

WLY007.JPG  WLY008.JPG

最後に、個人作業を行って、これまでみんなでまとめてきた「知識マップ」を自分なりに整理します。これから何かを追究しようと考えたら、自分の持っている知識を洗い出し、吟味し、次の発見へとつなげてゆくために、今回のマッピングプロセスを使う必要がでてきます。小3・4年生だからこそ、この大事なプロセスを使いこなせるようになるための導入として、じっくり取り組んでゆきます。

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20分間集中して、A3の用紙1枚に自分なりにまとめた「整理 マップ」ができました。スペースの使い方にはまだまだ工夫が必要そうですが、自分なりにカテゴリーを作ってまとめることはできました。「マップ化」してどう知識を整理するかを学ぶ第一歩としては上出来です。

さあ、これで「子どもの遊び」について自分たちの抱いているイメージがつかめました。いよいよ次週から、「子どもの遊び」の「時間的変化」つまり、「歴史」と、そこから見える「社会の変化」とのつながりについて追究してゆきます。

RI

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ミッションは何だ

[5・6年生]

今回のテーマは「宇宙」。
宇宙の「宇」という字には「空間的な広がり」という意味があると
いいます。一方、「宙」には「時間的な広がり」という意味がある
といいます。つまり、「宇宙」という言葉は、地球や太陽が浮かぶ
宇宙空間を指すだけでなく、宇宙誕生時から現在、未来までをつら
ぬく悠久の時間の流れをも含んでいるのです。

資源、環境、生態系、戦争、人権、差別など世界を取り巻く状況は
これまでに類を見ないような困難な状況に陥っています。これから
の時代を生きる者として、この状況の中でも希望を捨てず、時間も
空間も超えて大きくイメージを膨らませ、新しい世界を創り出して
いく姿勢を育てること、それが「時空因縁」という探究領域での学
びに課せられた大きな使命の一つです。

学びの初日、渋谷にあるコスモプラネタリウムに出かけました。
NHKスペシャルで放映された「宇宙 未知への大紀行 〜ブラックホ
ールに挑む」を全天井ドームでの映像で見て、宇宙空間がどんなと
ころかイメージを広げるためです。
ただ実際には、ブラックホールと宇宙の謎を解き明すというコンセ
プトは非常に興味深かったのですが、上映時間も短く、内容がさわ
りの部分に留まっており、子ども達は物足りなさを隠しきれない様
子でした・・・

気を取り直して、翌日は今回のミッションを伝えることに。
先輩達の発表を見て、アウトプットが紙芝居であることを予想して
いた子ども達に、紙芝居を製作する上での制約条件も提示します。

今回、以下の3点を制約条件として挙げました。

1つめは、"risk-takers" "open-minded" "principled"の3つの
Learner Profileを意識した登場人物設定をおこなうことです。

2つめは、大胆な仮説と科学的事実をつなげたストーリーを作成す
ることです。科学的事実もなく、ただ荒唐無稽なものはSFでも何で
もないということを強調しました。

3つめは、時間も空間も超えて空想を広げて、新しい世界を創り出
そうというメッセージが伝わる内容にすることです。苦難に直面す
るも、何とかそれを乗り越え、新たなる希望を感じさせるストーリ
ー(バッドエンディングはNG)に仕上げてほしい旨を伝えました。

そして、まずは登場人物設定の練習もかねて、4年前に先輩達が作
成した宇宙紙芝居「ビグバグドーナツ緑星」を見直し、登場人物が
どのLearner Profileに当たるか考えることにしました。

最初は私が読み聞かせを行う予定だったのですが、
「配役して、自分たちで演じてみたい!」
との強い要望が。
初めて読む作品でしたが、全員役になりきって堂々と演じきりまし
た。
その後、登場人物をLearner Profileで分析することにすると

「みんなのために自ら食料を確保しようと動いた召使いはrisk-takersかも。」
「他人に指示するばかりで、自分では何もしようとしない主人公の
父親はrisk-takersでもないし、principledでない気がするなあ。」
「(不時着した)主人公たちのことを助けてくれた宇宙人はopen-mindedだよね!」

など意見がたくさん出て、議論は大いに盛り上がります。

そこで、3つのLearner Profileを意識して、宇宙紙芝居に登場しそ
うなキャラクターを考えてくることを週末のホームワークとしました。

果たして、どんなキャラクターを考えてくるか、今から楽しみです。

HY

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2013年06月21日

発見したもののFormは?

[1・2年生]

「蚕糸の森」で思いっきり「!(発見)」と「?(疑問)」を見つけよう!
これは、子どもたちも張り切って見つけることができました。
まだまだ見つけられそうという思いを残して、次のミッションへ。
そう、私たちの身のまわりには、「!」と「?」が限りなくあるわけですから。

限りない「!」と「?」は、数の多さだけではなく、質の多さにも当てはまります。
今週からは、ひとつの「!」から、「?」「!」がどのくらい見えてくるかを探っていきます。
自分にとって、とっておきの「!」または「?」を見つけて、そのFormを記録し、
その「!」を最終的にはテーマ発表で紹介することを子どもたちに伝えました。
自分が「これはすごいぞ!」と思う「!」もしくは、「面白そう」と思う「?」を
ひとつ決めて、記録をしてみると、、、、。
形は?色は?手触りは?においは?いざ書いてみようとすると、
よく観察していなかったことに気がつきます。
「五感を使うんだね。」と2年生は前回のテーマと繋がり、うれしそうに言います。
もう一度、Formを観察しに蚕糸の森へ行ってみました。

滝ビール
%E3%83%93%E3%83%BC%E3%83%ABdaiDSCF0090.jpg「色は玄米みたい。」「形は雲みたい。」
「音は、サアサア。」
「触ったら、べたべた。
はんかちで拭いてもまだ残ってた。」
「味は、ちょっとすっぱかった。」
えっ、なめたの?うん、なめてみた。

野菜の根っこ
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「ピラミッドみたいなさんかく。ねぎみたいなにおい。」






ミニ滝
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「Sくんが寝っころがったくらいの大きさ(幅)。」
「腐った魚のにおい。こげの味。」





自分の知っているもので似たものがないかを当てはめていくと、
観察は面白いほどよくできるように。
スクールに戻って、記録をしていきました。
始めのうちは、滝ビールが4人、ミニ滝2人と、自分のとっておきが重なっていました。
でも、「テーマ発表会で聞いている人は、同じものだとつまらないかも。」
「みんなバラバラの方が面白いんじゃない?」と、自ら「滝ビール」から
%E6%B4%9E%E7%AA%9FkentaCIMG0110.jpg「洞窟トンネル」にすると
変更宣言する子が出てきました。

さすがは2年生。テーマ発表をイメージして判断したようです。
その後、2年生に勧められつつ、
1年生もみんなひとり一つずつ違った「!」「?」を選びました。
観察したことを言葉で表した後に、今度はスケッチをすることで、さらに観察を続けます。

今週は、アートの時間にもデジカメで撮影をしました。
上記の「ミニ滝」「野菜の根っこ」「滝ビール」「洞窟トンネル」は子どもたちの撮った写真です。

そのほか、子どもたちが選んだ「!」「?」は、
「石像」「いろいろ地面」「クリーム木」「生ゴミうずまき」です。
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ユニークな名前は発見した子が命名していました。
発見したものを観察していくうちに、疑問が湧いてきたのでは?
思った「?」を記録していきました。
来週は、この「?」に迫ります。
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AN

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歴史は移り変わる

[3・4年生]

先週は、「子どもの遊び」にはどんなものがあるかを、みんなで掘り出してゆきました。今週は、「子どもの遊び」がいったいどう変遷してきたかについて考えてゆきます。

「いよいよ歴史だね!」

ある子が思わず口にします。そう、「子どもの遊びの歴史」です。では、どうやって「歴史」をふりかえっていこうかな? まずそこから考えてゆきます。

「過去」に自分は存在せず、「体験」がないのだから「記憶」をたどるわけにはいきません。テレビや本などでなんとなく見たり、聞いたりしたことはあっても、あいまいだし、本当のことかどうかはっきりしません。そんなあやふやなことについてどうやって確かめたらよいのでしょう。

IMG_0918.JPG  IMG_0940.JPG

「写真が証拠になるんじゃない?」

ほう確かにそうだね。では子どもの発言に乗っかって深めてゆきましょう。

「じゃあいつごろから写真はあるの?」

子どもたちはきょとんとした顔。そこで、これが日本で写真が撮影され始めた頃の写真だよ……ということで ↓ の写真を見せると……

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「ああこれ見たことある!」という声が一部の子どから上がりました。坂本龍馬の写真だというと、知ってる〜!という声。そこで、すかさずこの写真がいつごろ撮られたか?というクイズを子どもたちに出します。もちろん正確には私も知りません。でも、i-pad を持ってきていますからすぐに調べられます。早速、私が正解を調べて(その部分も子どもたちに見せて)3択クイズ!……この写真は今から ① 100年前に撮影された ② 150年前に撮影された ③ 200年前に撮影された、さあいずれか?……子どもたちの答えは、100年前はゼロ。150年前と200年前で半分ずつに分かれました。正解は、ほぼ150年前。1860年代半ば頃に撮影されたそうです。

坂本龍馬が活躍したわずかな時期。幕末と呼ばれ、江戸時代と明治時代の境目の激動の時期ということはなんとなく聞いたことがあった子どもたち。しかし、それがちょうど150年前だったということが、龍馬の写真がいつ撮られたか考えてみることで明らかになったのでした。

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ということは……幕末から現在までの150年は「写真」を「証拠」にできるということ。じゃあ「子どもの遊び」についても「写真」で追いかけられるはず……ということで次の課題に移ります。

ある新聞社が、ウェブサイトの中で「写真でたどる子どもの遊び」というコーナーを作っていました。それを時代順にみんなで追ってゆこうということで、プロジェクターで映し出しました。

「はだかでいることが多いね」

ある時期までの写真は、子どもが上半身何も着ていない写真が目立ちます。

「ガスマスクしてチャンバラしてる!」
「これ何?土管?」
「ちがうよ、大砲の筒だ!」

戦争が色濃く子どもの遊びに出ていることがわかります。

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「廃墟で鬼ごっこ面白そう」
「戦争で爆弾が落ちて壊れたんだよ」
「死んだ人の霊がでてくるかも」

「竹の棒をバットにしてる」
「グローブもしてないよ」

1945年という終戦の年を過ぎても、戦争の爪痕が写真から浮かび上がったり、物が今より明らかになさそうだという事情も見えてきます。

1950年代後半の写真から子どもたちの洋服がとても身ぎれいになりましたが、街の空き地は、新しく開発するための工事現場となっているので、戦後すぐの瓦礫があふれた光景とあまり変わっていないように見えます。家も今と比べるとかなり貧弱です。

1970年代後半からテレビゲームが登場してきて、子どもの遊びが変わったように見えますが、一方で、児童遊園で遊ぶ子どもたちの様子や、ヨーヨーやベーゴマで遊ぶ子、チャンバラのような戦いや、追いかけっこをしている1970〜80年代の子どもは、それよりもずっと昔の子どもとも、そして、2013年の子どもたちともあまり変わらないことも見えてきました。

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坂本龍馬の生きた時代から今までの150年間を「子どもの遊びの写真」を見つつ、ざっとふりかえる中で、「写真」の「背景」に存在する「戦争」「自然災害」「経済状況」の大きな変化を子どもたちに伝える場面がありました。しかし、それはざっとした説明に過ぎず、どんな事件・状況だったのか、私たちにどんな影響を与えたのかについては、相変わらずぼやっとしたままです。

来週は、いよいよ自分の両親、そして祖父母の選んだ「写真」とその写真や時代状況について語った「手紙」を証拠として、歴史の移り変わりについて考えを深めてゆきます。いったいどんなことが語られ、何が見えてくるのか……。探究心にますます火がつきます。

RI

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ストーリーのネタを集めよう

[5・6年生]

SFを書くためには題材が必要ということで、今週、スクールを飛び
出し、遠路はるばるある場所を訪れました。
そう、それはJAXA筑波宇宙センター!!
宇宙飛行士が実際に訓練を行なっていた施設を使った模擬訓練を体
験できるということで、迷わず申し込んだのです。

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現地に到着すると、まず私たちを待ち構えていたのは50mもある国
産ロケット。
「おお、すげ〜」
本物の迫力に圧倒されます・・・

インストラクターに引率され、広い構内を徒歩で移動し、訓練セン
ター内に入り、すぐに訓練服に着替えます。
オレンジのジャンプスーツに袖を通した子ども達は緊張しながらも
少し誇らしげな様子。

訓練は全部で3種類。最初は、閉鎖環境適応模擬訓練です。
まずは、コミュニケーション訓練から行うことに。
宇宙ステーションでは地球との言葉による交信が命綱になります。
映像なし、つまり耳だけで指示を的確に理解し、また宇宙ステーシ
ョンの状況も口だけで的確に伝えるコミュニケーション能力が問わ
れるのです。

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管制官の指示に従い、1枚の絵を描くアクティビティでは、正確に
絵を再現しようと作業者から質問の嵐に。管制官は自分の目の前に
あるものをうまく伝えられず、困った様子。

「やっぱり、普段は視覚に頼ってるんだね。言葉だけで伝えるのは
難しいよね・・・」

この後、閉鎖環境内で長期間に渡って自制心を保っていられるかど
うかテストするために制限時間内にジグソーパズルを解きます。
なんとこのジグソーパズル、絵も字も何も描かれていない真っ白な
もの。
完成するかどうかよりも冷静さ、集中力、やりとげる力を見るのだ
そうです。

次の緊急対処模擬訓練は、宇宙飛行士が実際に訓練を行った設備を
使って、緊急事態を仲間と力を合わせて対処していく模擬訓練です。

「空気漏れを突き止めろ!」というミッションのもと、2チームに
分かれ、作業開始。
エア漏れ検知器を使って、配管からのエア漏れを見つけ、正しい手
順で復旧していきます。
過去に宇宙船で発生した問題を題材にしたこの訓練は、作業に正確
さと丁寧さに加え、スピードが求められます。


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作業に少し手間取っていたチームはほぼ終了の合図とともに全作業
を終えるというギリギリな状況で子ども達もホッとした様子でした。

最後は「きぼう」の船外プラットフォームの実物大模型を使用した、
船外活動の模擬訓練です。

8つの役割に分かれ、あらかじめ用意されたシナリオにしたがい、
作業をすすめるのですが、実際の宇宙の現場では一つのミスが命と
りになるだけに、訓練とはいえ自然と緊張感が増します。


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すべての任務を終え、修了証を手にした子ども達に広がる安堵の表
情。単なる体験イベントと違う満足感を得たようです。

さて、いよいよ翌日からはキャラクター案の検討に入ります。
子ども達は自分たちが考えてきたキャラを発表したくて仕方がない
ようで、次々に手が挙がります。

・意地悪で周囲の意見を聞かず、次第に仲間から見放されて孤立化
する男
・何事もダメもとで挑戦するが、失敗してからのことはその時にな
ってから考える計画性のない中年の男性
などなど

子ども達の意見を記録する私のペンは止まることなく、壁一面に模
造紙が貼られていきます。

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キャラクター案を検討する中で自然にストーリー展開やそこに登場
する道具や機会などの話に広がり、テーマの90分間はあっと言う
間に時間が過ぎてしまいます。

週末のホームワークでストーリー案を考えてもらうことに。
子ども達からどんな奇抜で面白いアイデアが聞けるかな。

HY

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2013年06月28日

「?」の答えを予測しよう

[1・2年生]

「ミニミニ滝で滝ビールを発見したよ!」
「このビール、滝ビールと一緒かな?」
「そしたら、生ゴミうずまきも同じかも!」

今週は、とっておきの「!」(発見)から生じた「?」(疑問)の中から、
ひとつ「?」を選んで、掘り下げていきました。
「?」に対して、予測を立ててみることで、調べ方の幅が広がっていきます。

滝ビールとミニミニ滝にできた泡、そして生ゴミうずまきの元を採取してみると、
そのformからして、どうやら同じもののようです。
「ミニミニ滝の滝ビールの泡を追いかけたら、生ゴミうずまきになったよ!」
予測を立て、さらに観察して調べることで、新たな発見へと繋がります。

%E6%BB%9DIMGP1160.jpgミニミニ滝で発見した
%E6%BB%9DIMGP1159.jpg滝ビールは、
%E6%B4%9E%E7%AA%9FIMGP1167.jpg トンネル洞窟を通って、
%E3%81%86IMGP1162.jpg生ゴミの臭いのするうずまきへ。

「どうやって、できるの?」
「お風呂で泡を作ったときは、石けんを入れたから、水の中に何か入っているのかな。」
そこで、公園事務所に行って聞いてみました。
先週、6年生がフリーの時間に、この事務所に行って公園パンフレットをもらい、
1・2年生に見せてくれたことがありました。
同じように、1年生が公園で働いている人に 質問をしてみることに。
「あの滝には、消毒の薬が入っているんだって。」
「だから、なめたらダメなんだよ。」とみんなに伝えていました。
でも、まだどうやってビール(泡)ができるのかは、わかりません。

%E6%9C%A8IMGP1245.jpg 一方、木クリームは、雨の日も晴れの日も出てきません。
%E6%9C%A8IMGP1244.jpgきのこの下にクリームが、、、
「前は、あったのに。」
予測を記録したワークシートには、こう記されていました。
「おじいさんがクリームパンを食べて、そのクリームを木につけた。」

クリームパンおじさんを見つけて話を聞こうと、木の前で待ってみましたが、
クリームをつけるおじいさんは見当たりません。
さて、どうしよう。

調べる方法を記入する欄には、「同じようなクリームをつくってみたい。」と
書いてあります。

そこで、クリームに合わせて、滝ビールも作ってみることになりました。
クリーム班と滝ビール班に分かれて、作業をしました。
「材料は何かな?」
水?砂?花びら?葉っぱ? いろいろと試してみます。
%E6%BB%9DIMGP1248.jpg材料を入れて混ぜてみよう
%E6%9C%A8IMGP1246.jpg水で濡らしたら、材料がとれるかも

ワークシートに調べる方法を記入したとき、8人中7人が「ipadで調べる」と書いていました。
もう一度よく見る、実験をしてみる、知っていそうな人に聞いてみる、
園内の看板を読んでみるなど、調べ方には様々な方法があることを学んだ一週間でした。

少々fantasyな世界に入りつつありますが、実験の結果はいかに!?
来週に続きます。

(先週、紹介した「!」の名前が一部、間違っていました。
今週は訂正した名前で記載しています。ご了承ください。)

AN

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両親、祖父母からの手紙

[3・4年生]

両親、祖父母に依頼した「ホームワーク」が「提出」されました。その「ホームワーク」とは、小学生時代、自分たちがしていた「遊び」について「写真」とともに「息子・孫への手紙」としてまとめること。いったい、どんなことをお父さん、お母さん、お祖父さん、お祖母さんは書いているのか……子どもたちはワクワク、ドキドキです。

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「この写真はいつどんな状況で撮影された写真なんだろう?」

「昭和拾九年拾月」と写真の裏に書いてあるが、いったいどう読むの?えっ!これで「じゅうがつ」なんだ。

「甲州」って書いてあるけど、どこ?……なんか聞いたことあるなあ……甲州街道。ああ、山梨か!

集合写真だけど遠足じゃなさそう……手紙を読むと、「集団疎開」って書いてある。「疎開」って何だ?……「そかい」って読むのか、でも意味は?戦争の被害から逃れるために家族とともにまたは子どもだけで田舎に逃れることだと辞書に書いてある。

写真を1枚解読するだけで多くの情報があぶり出されてきます。身近な人のもたらした証拠と証言の重みが子どもを駆り立て、頭も心もグルグルしっぱなしです。

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「おじいさんは戦争系だよね」

ある子が面白いことをつぶやきます。どの子のおじいさんも戦争のことを語っていて、具体的な遊びの話はほとんどないのです。では、お祖母さんはどうかと言えば、お手玉、ゴムとびといった遊びが出てくるものの、その時代に食べ物がなかったことやキレイな服にあこがれつつ、夢にまで見た「空想」の服を紙に書いていたというようなエピソードが続きます。

「子ども時代の遊び」という問いかけがかえって孫に対して本音を語るきっかけになったようです。いつも接している、じいじ、ばあばとは違う、歴史の証人としての姿が現れ、子どもたちは不思議な感覚に包まれていました。

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「お国のためにお勉強だって!」
「お国って?」
「日本じゃないの?」
「なんで自分のためじゃなくて日本のために勉強すんの?」

手紙を読み解いてゆく中で、モヤモヤがどんどん生まれ、「歴史」の迷宮へと入ってゆきます。

戦争中にお国のために勉強したって言うなら……きっと外国のことを知るために英語を勉強したんだよ!勝つためには科学も必要だよね。だから理科とか算数とか勉強したんじゃない……

そんな子どもたちの様子を見て、私は暗澹たる気持ちに襲われました。今、目の前にいる子どもたちが素直に気づく「真っ当なこと」を、当時の政策決定者は、無視し、無謀な戦争に走り、精神論のみに傾いた教育と教練のみ行っていたのが実状だったのですから……。むざむざ多くの命が失われてしまったのかと思うと、無性に悔しい気持ちがわいてきました。もしかしたら、お祖父さんも、お祖母さんも、「どんな遊び?」と聞かれて、「遊べるような状況じゃなかったんだ」という遠い思い出がよみがえり、なんとも釈然としない気持ちがわきおこり、孫に「真実」をぜひとも伝えておkたいという気持ちになったのかもしれないとふと思いました。

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なんとなく深刻な感じが漂う祖父母の手紙とは対照的に、父母の手紙には、天真爛漫さがあふれ、子どもらしいエピソードが書き連ねられていました。いたずらの話、破壊してしまった話、危険な話、きたない話、くだらない話、面白い話の数々。でも、最後に必ず「よい子のみんなはマネしちゃダメだよ」という注意書きがつきます。そりゃないよ、パパ、ママ!あんたたちがやったことを私らがやったらダメってどういうことよ……というようななんとも説得力のない内容です。

「遊び」をあまり語らない「祖父母」と、子どもらしい遊びに興じた「父母」。この世代差を生んだ「歴史的背景」は何?と考えざるを得ません。と同時に、じゃあ自分たちはどうなの?といよいよ自分たちの遊びについて吟味する眼が自ずと生じてきました。

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子どもたちは真剣に父母、祖父母の手紙を読み解きます。わあすごいと思ったところ、あれっなんで?と不思議に思ったところにアンダーラインを引くように言うと作業に熱中、没頭します。これが authentic な題材に接したときの学習者の姿なのでしょう。

手紙を読んでさらに知りたくなったことは改めてインタビューしてみることをホームワークとし、来週は、アンダーラインを引いた気になった部分と再インタビューしたことを「付箋」に書き、「遊史〜ト」を作成してゆきます。

RI

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面白いストーリーって何だろう

[5・6年生]

今回のテーマも早くも3週目。
キャラクター案の検討を一旦終え、いよいよストーリーのあらすじ
について考えるフェーズに突入です。

ストーリーを考える上で私が重要視したことは、全員で大きな方向
性を共有しておくということでした。それは個々のアイデアを一つ
にまとめる際に拠り所になるものがないと判断に困るからです。
この点について子ども達と話す中で出てきたキーワードは「面白い」
でした。

「面白いは面白おかしいってこと?」
「それは違う!」
「じゃあ、面白いストーリーってどんなの?」

そこで、子ども達に「面白い」のイメージを挙げてもらうと・・・

・完全パクリはダメ
・最初に謎があって、次第にそれが判明していく
・話の前後関係がつながっていないとストーリーとは言えない
・意外性が必要 想定からずれると面白いと感じる
・ハラハラしたり、期待感を抱かせる内容
・コメディタッチな部分とシリアスな場面が共存し、そのギャップ
に面白さがある
・主人公に二面性(表の顔と裏の顔)がある
・ラストシーンもすっきりとしたものでなく、謎を残す展開の方にひ
かれる

などたくさんの意見が。

この意見をふまえて、それぞれがホームワークで考えてきたストーリ
ー案をシェアすることにしました。
ストーリーを以下の5つの場面に分けて、それぞれの場面のアイデア
を発表し合います。

(1)どうして地球を飛び出すことになったのか
(2)地球を出てどこを目指すのか
(3)目的地にたどり着くまでにどんな事態に遭遇するか
(4)目的地でどんな事件がおきるか
(5)それをどう乗り越えるのか

まずは地球を飛び出す理由から考えることに。

「宇宙人による地球侵略はどうかな?」
「太陽の膨張で地球が飲み込まれるって話を聞いたことがあるよ!」
「新しい資源をもとめて、宇宙を飛び出すとか。」

たくさんの意見がでてきて、模造紙がすぐに埋まってしまいます。
ただ、戦争や環境問題などの人間活動が起因になった意見がなかっ
たので、その理由を聞いてみると・・・

「だって過去の作品でも使われているネタだし、真似になって嫌な
んだよねえ」

「地球に天変地異が起こるって始まりはどう?火山の噴火とか、隕
石の墜落なんてのも考えられるよね。」と返すと、
「それもありきたりな感じがするなあ。」と子ども達。

「面白い」という基準と照らし合わせた彼ら彼女らなりのこだわり
が見え隠れします。
90分ぶっ通しで意見の出し合いをすることを3日間繰り返し、5
つの場面についてアイデアが出尽くしたのはいいのですが、まだ全
然あらすじが固まっていない状況に、私も含め全員に焦りの色が見
え始めます。

「もう、テーマの半分が終わっちゃったのか・・・」

このテーマは前回もストーリーをまとめあげるのに苦労に苦労を重
ねたのですが、奇しくも同じ展開に。
早くも正念場を迎えます。

HY

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