東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2010年11月 アーカイブ

2010年11月02日

新たな「試薬」の発明?~6年生のみん理より~

今日の6年生のみん理では、久し振りに実験をしました。
今日のテーマは、「水溶液の性質」
酸性・アルカリ性を調べる指示薬として、最もポピュラーなのはリトマス試験紙ですが……
変化が地味ですね。
実は、劇的な色の変化を観察できる指示薬が(しかももっと身近に)あるのをご存知ですか?

紫キャベツです。

中性では紫ですが、酸性でピンク~赤、アルカリ性では青~緑~黄色、
と鮮やかに色を変えます。

紫キャベツを煮出した汁を試験管6本に用意し、強酸性から強アルカリ性まで
様々な段階を作っていきます。
操作は、「おれやる!」といつも元気なK君が手をあげてくれました。
まず6本とも塩酸を加えると、鮮やかな赤に変わります。
そこへ水酸化ナトリウム水溶液を、1本ずつ量を調節しながら加えていきます。
少し加えてピンク色。ぴったり中性になるまで入れると紫色。
「入れすぎるなよ!」「あと一滴!」との激励もむなしく……

「あー、入れすぎちゃった」

試行錯誤の末、とうとう完成!
図鑑に載っているような美しい色見本ができました。

s-IMG_8176.jpg  s-IMG_8173.jpg

次に、実際にこの指示薬を使って液性を調べてみます。
用意したのは、酢酸とアンモニア水。(お酢とキンカンです。笑)
それぞれ、弱酸性、弱アルカリ性とわかりました。

「炭酸って、酸だよね。強酸性?」
「それじゃ胃が溶けちゃうよ」
「胃酸は強酸だから、胃を保護するために粘液が出るようになっているね。
身体に入れていいものは弱酸性だよ」
「ふーん、そうかあ」
「蚊の毒は酸性だから、アルカリ性のアンモニア水で中和すると痒くなくなるんだよ」

日常生活の中にも、酸性・アルカリ性はあふれています。

最後に、BTB溶液でも同様に色見本を作りました。
こちらは、酸性=黄色、中性=緑色、アルカリ性=青色。
同じ黄色でも、紫キャベツとは液性が反対なので要注意です。

「ねー、これとこれ混ぜていい?」

実験終了後、決められた手順に従うだけでは飽き足らず、自分で思いついたことを
色々やってみようとする「探究心」を発揮します。

「どれに何を入れてもいいよ! ただし、入れる前に何色になるか予想してみて!」

黄色の試験管(紫キャベツ+水酸化ナトリウム)を取り出したKくん。
「これ入れていい?」と聞いてきたのは水酸化ナトリウム水溶液。
「それじゃ、何も変わらないでしょ(笑)」「そっか!」と塩酸に変更。
「それ入れたら、何色になるかな?」「んー、赤!」
「赤まで行くには……道のりは遠いよ~」「いい、赤までやる!」
数滴入れると……「あ、緑になった」「赤まで行くには、たくさん入れないとね」
真剣な顔で塩酸を加えていくKくん。
液が試験管いっぱいになる頃、「やった、赤になった!」

一方、Mさんは、2本の試験管の中身を一緒にすると、
液が多いために上下が完全に混ざらず、きれいなグラデーションになることを発見。

s-IMG_8187.jpg  s-IMG_8190.jpg

「この辺の色合いが好き!」

と指差して嬉しそう。さらに薬品を足したりいろいろやっているうちに……
虹のような多色グラデーションが生まれてビックリ。
よく観ると、さっき6本の試験管で作った紫キャベツ色素の色見本が、
1本の試験管の中で再現されていることを発見!
どうやら、試験管いっぱいに黄色の紫キャベツ液(=アルカリ性)が入っているところに
上から酸性の液を加えたら、試験管内で酸性~アルカリ性の様々な段階ができ、
それに応じて色が変わったようです。
これには一同感心して、「写真、撮ろうよ!」の声が上がりました。

一見、色水で遊んでいるだけに見えますが、
この“遊び”の中には、大切な要素がふんだんに含まれているのです。
酸性とアルカリ性が互いに打ち消しあう性質であって、どちらかが量的に優位になると、
液性がそちらに傾くことを目の当たりにします。
さらに、絵の具の色水と違って、混ぜたら単純に合わせた色になるわけではなく、
液性に応じて指示薬の色が変化することも実感できます。
こういう原体験こそが貴重で、「○○指示薬は、□□性で△△色」なんて“暗記”するのは
後でいいのです。

子どもたちは、偶然、紫キャベツ色素とBTB溶液の両方をまぜ合わせてしまいました。
すると、今までにない「オレンジ色」や鮮やかな「黄緑色」が誕生しました。
なるほど、酸性の時はそれぞれ赤と黄色になるから合わせてオレンジ色、
アルカリ性の時は黄色と青色だから合わせて緑色
(濃度に応じて様々なヴァリエーションの緑色)になるわけです。

えっ?指示薬を混ぜちゃって大丈夫かって?
実は、紫キャベツの色素もフラボノイド系色素の中の二種類
(アントシアニン類、フラボン類)が混ざっているらしく、
酸性~アルカリ性でアントシアニン類は赤~紫~青色に変化し、
フラボン類は無色~黄色に変化するため、
両方合わさって上記のような複雑な色変化が見られるそうです。
紫キャベツ色素+BTB溶液で、もしかしたら、よりきめ細かく液性が調べられる試薬を
発明できるかも?!
大人でもワクワクしてしまうような探究テーマです。

日頃、テーマ学習で鍛えられたTCSキッズは、与えられたものから発展して、
「こうしたらどうなる?」と自ら考え実行に移さずにはいられません。
実はそれこそが、本物の「科学する」心でしょう。
これからも、TCSの子供たちと色々な実験をしていくのが楽しみです。

2010年11月05日

人生楽ありゃ苦もあるさ

[5・6年生]

今週の学びは、橋爪さんとのインタビューのふりかえりからスタートしました。

「橋爪さんはとても親しみやすい人だった」

子どもたちのほとんどが、インタビュー前に「恐い人」「厳しい人」というイメージ
をつくっていたようなのですが、全然違った!と感じていました。

橋爪さんってどんな人?……橋爪さんから何を学ぶ……
ということは実はこれが「始まり」。みんなで学ぶ日本語の時間で、インタビュー
の際に撮影したビデオをしっかり見直し、インタビューの内容、態度は適切だった
か、橋爪さんから聴いたことをきちんと記録できていたか、確認してゆくことを
子どもたちに伝えました。

「インタビュー相手の発した生の言葉、一言一句に、その人の思いがいちばん
込められているからね」

子どもたちのインタビュー記録を見ると、橋爪さんが発した「生の言葉」がほとんど
ありません。このため、インタビュー相手の実像に迫っていく感じがしないのです。
橋爪さんが語ってくれた言葉は、今後、学びが進むにつれて、その意味がより深く
つかめるでしょう。せっかく頂戴した「宝物」を「持ち腐れ」にすることのないように、
橋爪さんに堂々と渡すことができるレベルのインタビュー記事をきちんとまとめる
ことにしました。

sIMG_5957_SP0001.jpg  sRIMG0121.jpg

「今回のテーマ発表は劇なんでしょ!どんなことやるか早く教えてよ!」

テーマ学習開始直後に、発表のスタイルは「劇」だと言ったきり、どんな内容の
「劇」になるのか、ここまでまったく何も伝えてくれないので、子どもたちはそれを
知りたくてうずうずしていました。

「今から30年後の劇だよ」

何の因縁か、その日は私の47回目の誕生日。30年後は77歳、ちょうど「喜寿」
になります。30年後、私が死んで、その葬式にみんなが集まるという設定の劇
を行うことを告げました。これまでの学びの流れがあるので、子どもたちにさほど
驚いた様子はなく、“なるほど、そうきたか……”という冷静な反応でした。

「おっちゃん!なんで死んじゃったの~という安易なお涙ちょうだいの劇になった
ら大失敗だね」

「死」を嘆き悲しむだけならば、あるいは「死」という状況を提示して脅かしたり、
面白がらせたりするだけならば、「個の尊厳」という「テーマ学習」の意義から
逸脱してしまいます。私の「死」、私の「葬式」という状況設定をしたのは、自分に
関連のない架空の〇〇さんの「死」にまつわるお話から考えましょう……という、
いわゆる「道徳」や「国語」の授業で展開される、なんとなくわかったようなことを
語っておしまいという学びを避けるためです。「おっちゃん」という自分と深く関わ
りのあった人が、将来、必ず「死」を迎える。そのときに、どんなことが起こると
予想されるか、自分はどんなことを感じるのか、「わがこと」ととして真剣に考える
ための「仕掛け」なのです。

したがって、「劇」では、リアリティのある「将来の自分」になりきることができる
かが重要です。そこで、これまでの人生とこれからの人生を「展望」するために、
「人生楽ありゃ苦もあるさ年表」を作ることにしました。

sIMG_5949_SP0001.jpg  sRIMG0149.jpg

A3の紙を横長にし、上半分と下半分に分け、人生で直面する「苦しい」ことを
上に、「楽しい」ことを下に書き、人生の苦楽の「波」を表した「年表」を作り、
それを「人生楽ありゃ苦もあるさ年表」と名づけました。

どんなことを書いてゆけばよいのか例を示すために、私が作成した年表を渡すと

「あーっ、あのことのってる!」
「えーっ、こんなことあったの」
(※お恥ずかしいので、わざとあいまいに書いています!)

以前、朝の会などで私が子どもたちに話していた失敗エピソードや、これぞ不幸
のどん底!と自分が感じた事実も隠すことなく正直に書きました。

「おれも同じことやったんだよな……」

私が子ども時代にした「苦労」に共感する子も現れ、予想以上に子どもたちが
私の年表に食いついてきているのがわかりました。

「早く、私も書きたい!」

私が、自分の年表に書いたエピソードについて語ろうとすると、それを制して、
子どもたちはみな自分の年表を書きたいと言い出しました。

「大学って何歳で入るのかな?」
「この時期は仕事ばかりする」
「おれは車のデザイナーになるんだ」
「貿易の仕事をする」
「夫を亡くしてしまう」

30年後、彼らは40代に突入します。それまでにどんな人生を歩むのか……
そんなことわかりっこないじゃん……としらける子は誰もいませんでした。
楽しみつつ、悩みつつ、懸命に考え、書き込んでゆこうという気持ちに素直に
なれたのは、おぼろげながらも「死」の「現実」を意識しつつ「生」を考え始めて
いるからではないかと感じました。

「どうしたらもっと年表が詳しくなるだろう?」

ある子がたずねました。そこでこう返しました。

「すぐにその職業に就けるのかな?そこにたどりつくまでにどんなことをしなけれ
ばならないだろう?また、その職業に就いたらどんな苦労とどんな幸せがある
だろう?同時にプライベートでどんなことが起こるだろう?そうやって考えていけば、
自然に具体的になるよ!」

架空の年表とはいえ、リアリティを感じさせる役作りをするには、この年表の
歩み自体にリアリティが必要です。30年後の自分を堂々と演じきるために、
この年表でよいのか?という自分への「問いかけ」が、自ずと「どう生きるか?」
を考えることにつながっているのです。

さあ、次週からは、劇のストーリーを固め、演技の深みを増すために、「死」と「生」
のつながりについてさまざまな本を題材に議論してゆきます。

RI

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仮説を立て,検証をしていく

[4年生]

原理が分かったところで前回宿題を出しました。
さて、
「おもりの重さ×支点からの距離」(力のモーメント)が、
つりあうことという原理を使って、問題が解けたでしょうか?
「一応答えが出たけど・・・」

ひとつひとつ原理を確認しながら、確かめていきました。
途中から
「こことここの重さが一緒になるからつりあって・・・」

力を表す単位は、重量でかかる重さと同じ力で「g重」「kg重」と表すことも学びました。
そこで、てこを利用してどのくらいの力が大きくなるのかを計算してみました。

てこでは、力点で力を加えた分と同じ力が作用点で働いていきます。

「バールだと支点との距離が・・・」
力のモーメントを計算してみると、
その何倍もの力を生んでいくメカニズムに子どもたちは驚いていました。

「では、他の道具では力というのはどうなっていくのか?」
ということで、ピンセットがどのようなメカニズムで力が伝わっているのかを考えてみると
「支点からの距離が遠いから力が小さくなっている」
「小さな力から大きな力だけではないんだ!」
「なんでだろ?」
そこから新たな疑問が生まれてきました。

「分かった。砂糖の入れ物と一緒じゃないの?」
「あっ、本当だ」
「力は小さいけど、動きが大きくなるんだ」

そのメカニズムから、道具の特徴ということに気づいていきました。
その道具の用途に関係しているようで、そんな視点を持ちみることができるきっかけとなったのではと感じました。


次に他のメカニズムについてはどうなっているのかを見ていかなければなりません。
科学技術館のことを思い出して、次の検証にうつっていきました。

バットで太い方と細い方をお互いに持って、
「これは科学技術館のギアずもうと一緒じゃない?」
「これは太い方が勝つよ」
「太い方が力が強くなるはずだ!」

「あれ?あまり変わらないな」
実際にやってみると力は変わらないようで、子どもたちの中で?が頭の中をかけめぐります。

「滑りやすいからじゃない?」
片方のグリップには、滑り止めがないのでそれが原因では?という仮説を立てました。
ということで、検証です。

グリップにゴムを巻いてみると、
「やっぱり、太い方が力が大きくなる」

そのメカニズムはどうなっているのかも、力のモーメントで考えていきました。
いわゆる輪軸というもので、輪切りにして考えると、てこと原理は一緒でつながっています。
ここでも自分たちの発見した「力と距離の関係」が原理となっていました。


輪軸も身の回りにはいろいろと実は溢れています。
「ドライバー」
「自転車のギアもそうじゃない?」
「見てみようよ」
実際に自転車を見て検証しました。

「こぐのが軽くなるのは大きいときだ」
「逆に小さくすると重くなる」


他にも、小さい力を大きくする仕組みはまだまだあります。
次は滑車について、
『問題に対して、どうなるのかを予想し仮説を立てます。そして、他の人がどう考えるかを聞き議論し、確かめるために実験し、結果をまとめ分析し、そこから原理を考察していく』
今回のコアなテーマ学習の流れに沿って考えていきました。

「滑車によってかかる力は変わっていくのだろうか?」
という問題に対して、
「変わるよ」「変わらない」
という両方の意見がありました。
「変わる」という意見は、「方向を変えるだけ」という仮説を立てていました。
「変わらない」という意見は、科学技術館で車を持ち上げることに使われてと反論していました。


そこで実験をして検証です。
実際に同じペットボトルの重さでつりあうかをみてみると、
「つりあった!」
そのことから考えると原理が見えてきました。

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PT350116.jpg

しかし、滑車におもりを吊り下げて、片方の端をひもをくくりつけてみるとどうなるのか?
先ほどの滑車を使ったメカニズムと違います。

「何かが変わりそうだけど・・・」と言う仮説が立つも分からないということで実験です。
実際にやってみると重さがつりあいませんでした。
滑車に下がっている力のほうが重いので、
そこからどのくらい力をかけるのを軽くするとつりあうのかを検証。
仮説としては「半分」ということを考え、量ってみました。
知識として知っているというところもあったようでつりあうと思っていたら、
つりあわず思い通りになりません。

「ひもが悪いのかな?」
「なぜなんだろう?」
その原因を考え出し、今回は結局答えの出ないまま次回に持ち越しとなりました。

実際には、滑車の重さがあったり、ひものまさつがあったりと、いくら頭でっかちになっても実験してみないと分からないことが出てくるといった
そのおもしろさを感じられました。

果たして、来週はどのような結果が出てくるでしょうか?



TK


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お弁当を作ろう!

[3年生]
PT350110.JPG

今週は、子供たちに『お弁当を作ろう。』
という今テーマ二つ目の使命を伝えます。

先週
『食べたものは消化され、吸収され、排出される。』
『栄養には、たんぱく質、脂質、糖質などがある。』
『栄養の働きは、体を作り、力になり、調子を整えるなど。』
といったことを、子供たちは学びました。


とはいえ、
「ごはんは、とう質?で、体を動かす働きだっけ?」
と自分でも半信半疑の状態。
食べ物、栄養、体の中での働きの
三つをうまくつなぐことはまだできません。
各食材や食品が、どの栄養を多く含んでいるかの
知識を、彼らはまだ持ち合わせていないためです。


そこで、そのための資料を渡しました。
また、『三大栄養素』のほかに
『栄養の三つの働き』について考えるのに必要な
ビタミンとミネラルについての説明もしました。

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さて、弁当作りの使命を伝えてみると
「どんなメニューにしようかな?」
「1万円かかってもいいの?」
と大いに乗り気になる子が。


「メニューを決めるのに何も考えなくてもいい?」
とこちらからの問いかけ。
「う~ん、量?」
「それは大事だよね。」
    ・
    ・
    ・
少ししてから
「メニューのバランスは考えたほうがいいよね?」
と応える子が。


“栄養のバランス”ではなく“メニューのバランス”と
わざと応えた感じがしますが、どうやらこちらの
意図は分かったようです。
そのほかに、“安い”ことも条件に加えました。
そして、思いつく料理名を書き出し始めたところで、
今週は終了。


来週は、本格的にメニューを考えるとともに、
さらに食事と栄養について、そして消化・吸収について
学んでいきます。



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言葉以外の方法で「解釈」する

[1・2年生]


今週は、「表現」に出会う最後の週となりました。


最後は、“ムーブメント”。
体の動きを使って“メッセージ”や“ストーリー”を伝えるものとして、パントマイムに触れました。


最初は、「ポイ捨て禁止」のメッセージが入っている30秒ほどの短いもの。


以前にチャップリンを鑑賞した時と同じように、まずは音なしで観てみます。
それだけでも“解釈”できたようで、


言葉以外の方法で「解釈」する_01「足が地面から離れないのは、ガムがくっついているからだ!」
「手に持っているのはタバコだ。吸っていたし、捨てたら影が熱そうにしていたし、最後は灰皿に捨ててたから。」
「缶をポイ捨てようとしたら手から離れなくて、ゴミ箱が来たら手から缶が離れた!」


と、体の動きだけで、そこに何が起きているのか解釈できていました。


もう一つは、「ロボットが犬と出会うことで心を持つ」というストーリーがあるもの。
こちらは、視覚だけでは少し難しかったようで、
「ロボットは何を抱いているんだろう?」
「目の色が変わった。」
と一つひとつの動きからヒントを得ようとしていました。


音をつけるとそのヒントが増えるようで、


「鳴き声が入っていたから、子犬を抱いていたんだ!」
「車に犬がひかれた後、犬の声は聞こえなかったけど、ロボットが目を抜いて子犬にあげると犬の声がまた聞こえたから犬が生き返ったんだ!」


と聴覚をプラスすることで、“解釈”がさらに深まっていきました。


パントマイムでは、物は限定されます。
実際に犬がいるわけでも車が出てくるわけでもありません。
けれども、体の動きと少しの音だけで、
「車がこんな風に犬にぶつかったんだよ。」
「道には信号が無かったのかも。」
と、イメージが膨らみます。


映画などだとイメージが決められてしまいますが、
この方法では実物が無くても、いろいろなことを想像させて伝えることができるのです。
そして、どこでもできます。
子ども達はそんな魅力に取り付かれて、自然と体が動き出し、その場で真似をしだしました。


言葉以外の方法で「解釈」する_02
「足は、地面にくっついてどんなに力を入れても離れないようになっているように!」
「影も歩いているように!」


“表現”を“解釈”がすることができるようになった子ども達。
表現に触れることの楽しさを感じ始め、それぞれの表現の特徴も知りました。
でも、これらの活動は「『3つの約束』を心に響くように表現する!」というミッション達成のための活動です。

来週は、いよいよそのミッションを達成するために、どの表現方法を選ぶか、
そして『3つの約束』どう解釈し伝えるかを、子ども達と追究していきます。



EN


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2010年11月12日

「虚構」から生まれる「真実」

[5・6年生]

30年後、77歳でおっちゃん死す。
おっちゃんはどう死んだのか?おっちゃんはどう生きたのか?……

30年後という「設定」は、単なる「虚構」と考えられない、妙なリアリティがあります。
これがもし今、突然亡くなったという「設定」だったら、おっちゃん死んじゃった!どう
しよう!という発想から抜け出ることは難しいでしょう。30年間、私も子どもたちも
どんな境遇に直面し、どんな生き方をするのだろうか……このことを考えずに、私の
葬儀で何が起きるかを想像することはできません。

「もちを食べて死んだということもあるだろうし、事件に巻き込まれて死んだという
こともあり得るだろう。しかし、かりに私が30年生き抜いた末に死を迎えるとしたら、
病によって衰弱して死に至るというのが、いちばんあり得そうなんだよな」

私の父は前立腺癌で10年間闘病の末に亡くなりました。私の母は、心室細動で
倒れたことがあります。父方祖父は、脳溢血。母方祖父は、血液の癌でなくなり
ました。こう考えると、やはりなんらかの病によって死ぬ確率が高いのです。子ども
たちにそう伝えると、なるほど……と納得はしてくれるものの、老年を迎え、、闘病
し、天に召されるとはどういうことか、当然ながら、イメージすることはできません。
そこで、『さようならエルマおばあさん』を読むことにしました。

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エルマおばあさんは、ある夏の終わり、お医者さんから多発性骨髄腫(血液の癌)
で、もう長くは生きられないと告げられました。それから自宅で静かに死を迎える
までの1年間、エルマおばあさんの傍らで過ごした写真家・大塚敦子さんがドキュ
メント写真絵本としてまとめました。おばあさんは、家族の歴史を書き残すことを
最後の使命とし、在宅での療養を続け、いざ最期が近づいた際には延命措置を
行わないという書類にサインします。

『死ぬってことは魂がこの体を出て、こことは別の世界に行くことなんだよ』

穏やかに死の訪れを受け入れ、この世を去ってゆきました。

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「年齢を重ねると誰でもエルマおばあさんみたいに死を受け入れられるのかな……
それとも、エルマおばあさんだったからこそ死を受け入れられたのかな……」

6年生の女の子から鋭い疑問が飛び出しました。

「なるほど、それは素晴らしい観点だね。君はどう思う?」

と、たずね返すと、

「やっぱり……エルマおばあさんだったからかな」

と答えました。他の子にもたずねてみると、

「私だったら、なんかやり残したことがあるんじゃないかと思って、後悔する気持ち
があふれてしまう」
「ぼくはもっと小さかった頃も、今も、死ぬのがすごく恐い……だから絶対にエルマ
おばあさんみたいにはなれないと思う」

エルマおばあさんはとても潔い生き方をしたように見えるけれども、実は生きること
をあきらめてしまったのではないか、もっと生きようと強く思えばもっと長生きできた
のではないかという意見まで出てきました。これまでの学びの積み重ねに良書との
出会いが加わることで、いよいよ子どもたちは、「死」というものを、深く実感し始めた
ことがわかりました。

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「おっちゃんは、エルマおばあさんみたいに穏やかには過ごせないでしょ?」
「きっと頑固で意固地になると思う」

子どもたちは、エルマおばあさんと私の将来とを比べ始めました。

「エルマおばあさんのように、病によって肉体は痩せ衰えてゆくだろう。その姿を見ら
れたくない、一人で静かに死なせてほしい、とイライラして言ってしまうだろうな」

私は自分の気持ちを率直に吐露しました。

「でも、きっとおっちゃんは、橋爪さんにエンバーミングさせてくれと言われたら断れ
ないでしょ」

私の心を見透かしたようにある子が言いました。

いよいよ、子どもたちが、30年後の私の葬儀という「虚構」に「真実」を見出し始め
ました。身寄りのない私が病院で亡くなったという知らせを受けた、40代になった
子どもたちが、私の葬儀をとり行わなければならない羽目になってしまう……
いったいどうしたらいいんだ……わからないことだらけだ……そこで、橋爪さんが
一番の信頼をおいていると言っても過言ではない葬祭ディレクターの是枝嗣人さん
にスクールに来ていただくことにしました。ただし、ゲストティーチャーとしてお話を
うかがうというのではなく、私の葬儀をどう行ったらよいか「本気で」相談するため
です。

子どもたちの「本気度」が、授業の翌日、是枝さんから頂いたメイルからひしひしと
伝わってきます。

昨日は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。かなり真剣な生徒の
まなざしに、こちらが少したじろぐこともあり、話をしているうちに本当に40代のご遺
族とお話をしている感覚に陥りました。現場でもなかなか出来ない経験をさせてい
ただきました。 是枝嗣人

30年後の葬儀には、いったい何人参列するのか……そこには、今から10年後に
生まれた子どもで、TCSに入学し、卒業していった者も含まれる!

「私たちが40代なっちゃってるのに、まだ20歳なんだ!」

人と人とのつながりが時々刻々と編まれてゆく。私たちはそんなつながりの中に
織り込まれて生きているという「真実」に子どもたちは気づいてしまったのです。

「真実」が「虚構」から見えてくることがある。これを「葬式ごっこ」などと揶揄する
ことなどどうしてできるでしょうか。

次週も、良書と出会い、ディスカッションし、「死」と「生」の接点を見出しつつ、劇の
中味を洗練してゆきます。


RI

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すべては「力の大きさと支点からの距離」の関係

[4年生]

今週も実験です。

前回の実験で動滑車がどのような役割をしているのか?を考えていきます。

本で調べてみると、やはり半分に力が分散するはず。
しかし、期待通りの結果が得られない。

「なぜなんだ?」
どこに原因があるのかを考えていきました。

「ひもはあまり関係はないんじゃないかな?」
「前回、少し毛羽立っているのを取ったら、変わらないし」
「滑車が固定されていないのがいけなかったんじゃない?」
「しっかりと固定をすると図に近づくよ」

どのようにすれば成功するのかという仮説を立てていきました。

実際にやってみると、様々なことが起因して、期待通りの結果が得られないということはよくあること。
この世にはさまざまな変数があるのだということを実感していきます。
そこが実験のおもしろさでもあるわけです。


実験の例図を見てみると、粘土を使っているものもあり、
なぜそのようなことをするのかを探っていきました。

「何もない状態でつりあわせている」
「何でだ?」
「そうか!動滑車の重さとつりあわせているんだ」
「そこは考えてなかったな」

『子ども達は、問題があったときに、「なんで?どうして?」と考える姿は
まさに科学者。
何か研究所のような雰囲気になってきました。


ということで、それらの反省を生かして、また装置を作ってみて実験をしてみました。

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結果としては、前回よりは納得性のある結果が出てきましたが、それでもぴったりとした計算どおりにはなりません。

PB104094.jpg align="left" hspace="2" />PB104095.jpg

結果からなぜそのようなになったのか考察をし、問題を出していきました。
また、『問題→仮説→検証→結果・考察』というくりかえしになってきます。

しかし、今回は課題を残し、実験の難しさを感じつつ、視点を変えて、他の原理を学ぶことにしました。

輪軸も滑車も『てこ』につながっていることは、学びました。
その原理はやはり『力の大きさ×支点からの距離』
そこでどこが支点になっているのかを考えていきました。

原理を理解したところで、少し難しい問題も解いてみました。

みんな『てこ』の原理につながっている。
『力のモーメント:力の大きさ×支点からの距離』
という法則でつながっているというその不思議さに奥深いものを感じます。

さらに、つなげ方によって違うという応用編を原理を使って探っていきます。

「半分の半分の半分はだ!」
「何倍になっているのか?」を問うと
「8分の1だ!」
「なんだ。かけ算になっている」
「こっちの装置は、どうなっているのか?」
「6本のものにつながっていて」


最後に残された歯車についても学んでいきました。
『てこ』の原理で輪軸に形が似ている
歯車も『てこ』の原理が使えそうだということに気づきました。
円の大きさで考えるとやはり動かない中心から考え、モーメントが使えるのですが、
しかし、何か違う特徴もあります。
その名の通り車に歯がついています。

「1個の歯につき、1個の歯車分進んでいくよね。では、歯の数が違うときはどういうものなのだろう?」

歯車がよくよく円の距離から考えると、2倍もの違いが出てくることが分かります。
その分進む距離が短くなる、つまり進んでいく速度が遅くなることがわかりました。


模型で確かめてみると、あらためた驚きがあります。

「だから、くりかえすことで、科学技術館の歯車はあんなに遅くなっていたんだ!」

ある子は、歯車を学んだことから 
「だから、自転車はきりかえがあって便利なんだ」
とするどい発言していました。
自転車のきりかえについて、坂道に進みやすく軽いギア(歯車)は、力が入りやすいが進まないといういうことを学びました。

それから歯車がどのように使われているかということを探るため、写真を見て、
その特徴を考えて見ることにしました。

「歯車って、逆回転になっていくよ」
「これは、違う方向に歯車がまわっている」

身近で様々なところで使われている歯車。
実際に見てみると奥の深いものです。


その後は自分たちで独自の歯車の仕組みを考え、どうやったら遅くなるのか、どうやったら速くなるのかを
模型を作って考えていました。

さて、いよいよ来週からは、今まで学んできたことを使っていき、
小さい力を大きくする装置を工夫して開発していきます。
果たしてどのような装置ができるでしょうか?



TK


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ごはんとおかずで栄養バランス

[3年生]

栄養の種類や、食べた物が体の中で
どのような働きをするかについて
子供たちは、少しずつ分かってきました。


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今週子供たちは、お弁当のメニューを決定します。
『自分でおいしいと思えるもの。』
『ほかの人もおいしいと思ってくれるもの。』
『安いこと。』
『栄養バランスが取れていて、健康によいもの。』
と条件を整理し直して彼らに伝えました。
全く好き勝手なものにはできないと
理解できたようです。


「クロワッサンに、サンドイッチとメロンパンでどう?」
と一人の子が提案してきたので、
「パンばっかりだけど、バランスは大丈夫?」
と質問してみる。
「でも、おいしいよ。」「この間食べたんだよ。」
などと理由らしきものをいくつか挙げていたが、
「やっぱり、バランスが悪いかな。」
と諦めた様子。
バランスが取れるように何か工夫することを
考えようとしなかったのは残念。



その後も、条件に見合うメニューを
決められず、立ち往生といった感じ。
子供たちは、食事の多くが
“ごはん”と“おかず”の組み合わせで
できていることは心得ています。
しかし、栄養のバランスを考えるうえで、
この組み合わせが役立っていることには
なかなか気がつかないようです。
そこで、記録をとっている各自の食事を、
働きでグループ分けした赤・緑・黄色に
塗ってみることに。
ほとんどの食事が3色になることに
一人の子は気づいたようです。

PT350135.JPG


翌日、もう一人の子が自宅にあった料理本で見た
ライスバーガーを作ることを表明。
「この本と全く同じライスバーガーでいいの?」
と訊くと、
「少し変えてみる。」の返事。
出来上がりのイメージを描くように指示をする。


PT350146.JPG PT350140.JPG


翌日、子供たちが
「実際に売っているライスバーガーを見たい。」
「ついでに、同じ通りのお弁当さんでおかずを調べたい。」
と言い出したので、早速出かけることに。
お弁当屋さんではごはんの量についてなどの
インタビューもしてきました。
「豚肉はいくらするの?レタスは?」
と訊いてくるようになっていたので、
少し先のスーパーマーケットにも足を延ばし、
肉や野菜などの価格も調査しました。



ちょっとペースが気になるところですが、
一歩一歩、使命達成に向けて進んではいます。
来週は消化管についての内容にも触れていきます。




TY


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「どう表現するか?」会議!

[1・2年生]


今週から第二の探究課題へ。
今まで、様々な表現方法に触れてきましたが、そこで五感で触れてきたことを活かして、ミッション達成のため、どの表現方法で表現するかを選ぶ段階に入ります。


「どう表現するか?」会議!_01今週は、その一歩として、
「自分を大切にする・ひとを大切にする・ものを大切にする、という『3つの約束』をどのように解釈するか」という話し合いをとことんしました。


「『3つの約束』は子どもだけでなく大人も含めて全員が守らないといけない、
だからたくさんの人に伝えられるものにしたい!」
「みんなが守れば、戦争も起きないかもしれない。」
と、話す子どもたち。


しかし、実際にはスクール内で『3つの約束』が守れていないことがあるようです。


「みんな『3つの約束』について知っているのに、どうして守れないんだろう?」


そこから,どうやったら守れるようになるのかという話になりました。


「椅子に座ってぐらぐら動かすと、倒れてけがをすることもあるし、椅子が壊れたり、床が傷ついちゃうことがあるよ。でも、やってしまう……。」
「◯◯がこんなことをしていた。」
「人の話を聞いていないのって、人を大切にできていないよね。」


『3つの約束』に関するエピソードを話し合うとともに、
2007年のアセンブリで話し合ったことをまとめたものを一緒に見ました。
実はその頃、マグネット式のダーツで遊んでいた時にダーツの矢が窓に当たってガラスにひびが入り、ガラスを交換する事態になったことがありました。
その模造紙には、どうしてこのようなことが起きたのか、どうしたらいいのか、今の高学年が話し合った内容が書いてありました。


そうやって話し合う中で、どうやら、『3つの約束』が守れない原因には幾つかあるのではという話になり、


1.意志力が足らない
(誘惑に負けてしまう、我慢できない)
2.やってみて初めて気付く
(「まさか、こうなるとは思わなかった」)
3.ケロッと忘れてしまう


という『3つの原因』に分けられました。
そこから、


1.意志力を持つ
2.この先どうなるか考える
3.忘れないようにいつも考える


という、『3つの解決策』を導き出しました。


「どう表現するか?」会議!_02「他にも解決策はあるかもしれない……」
「意志力を持つためにどうしたらいいか……難しいなぁ」
「これって、テーマ以外でも考えるんだよね?」


この解決策をどうすれば実行できるか、
これだけでは足らないので、これからも考え続けなくてはいけません。


来週以降、具体的にどのように表現していくか、“選択”に続けていきます。


EN


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2010年11月13日

TCS公開講座11/13
「国際バカロレア初等課程プログラムに学ぶ」

※終了しました。

2010年、世界の約140ヶ国の3,700を越える学校で80万人以上の生徒が、国際バカロレア機構(IBO: International Baccalaureate Organization)のプログラムで学んでおり、その数はこの5年間で急速に伸びています。また欧米ばかりではなくアジアにおいても急拡大しており、世界中から新しい時代の教育として大いに注目されています。

今回の講座では、国際バカロレアのプログラムの中で最も新しく、かつ日本国内では最もなじみの薄い『PYP(初等課程プログラム)』の概要と最新情報の紹介を通じて、今私たちはどのような教育を子どもたちにしていく必要があるのか、既存の小学校が『PYP』あるいは『探究型の学び』を導入することの意義とクリアすべき条件とは何か?ということについて考えていきたいと思います。

【テーマ】 「国際バカロレア初等課程プログラムに学ぶ」

【主 催】 NPO法人東京コミュニティスクール

【日 時】 2010年11月13日(土) 13時30分~16時30分 (開場:13時)

【会 場】 富士ソフト アキバプラザ(6階 セミナールーム3)
東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフト秋葉原ビル 
Tel. 03-5209-6285
アクセス: http://www.fsi.co.jp/akibaplaza/cont/info/access.html
【講 師】 久保 一之 (くぼ かずゆき)

【対 象】 教育関係者、保護者、一般

【定 員】 60名(要申込)

【参加費】 一般:1,000円  NPO会員:無料
 
【お問合せ・お申込み】 東京コミュニティスクール セミナー事務局
  Tel. 03-3313-8717  Fax 03-3313-8790  e-mail: s10@tokyocs.org
※メールアドレスは「@」を半角に打ち変えてから送信してください。

お申し込みの際は、以下の事項に関してお知らせください。
   1.氏名(参加希望者すべて)
   2.(保護者の方は)お子さんの現学年
   3.e-mailアドレス
   4.講座を知ったきっかけ(ホームページ、知人、新聞・雑誌名、SNS名等)
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久保 一之(くぼ かずゆき)
特定非営利活動法人東京コミュニティスクール 創立者・理事長、株式会社グローバルパートナーズ 代表取締役社長、株式会社ビジネス・ブレークスルー コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学 准教授・同大学院 講師、株式会社知の探究社 取締役副社長
小学生から大学・社会人までの教育に幅広く携わる中で、探究型の学びの研究開発・実践・普及活動、学校教育の国際化支援等に特に力を入れて活動。国際バカロレアの初等課程プログラム(PYP)の研究を通じて日本の小学校教育の未来像を提案している。


東京コミュニティスクール http://tokyocs.org
東京都杉並区にある小学生対象の全日制オルタナティブスクール(2004年開校)。大人と子どもが共に学び合う「学びのコミュニティ」をコンセプトに、「学び続ける力」を身に付けていく教育を実践している。独自のカリキュラムである教科横断の探究型学習(テーマ学習)に大きな特徴があり、校長・市川力が著した『探究する力』(2009年 知の探究社)は多くの教育関係者や保護者のみならず、企業関係者からも評判を呼んでいる。2006年よりNPO法人(東京都)、2010年より認定NPO法人(国税庁)。
---------------------------------------------------------------------------------------------------
本件に関するお問い合わせは、
NPO法人東京コミュニティスクール セミナー事務局 (担当: 若林)
電話: 03-3313-8717  e-mail: s10@tokyocs.org  Twitter: TCS_Seminar

主催:特定非営利活動法人東京コミュニティスクール 
協賛:株式会社グローバルパートナーズ

2010年11月19日

「死」と「生」をつなぐ命のバトン

[5・6年生]

「死」と「生」のつながりについての認識を広げ、深めてゆくことができなければ、
見ている人の心に響く「劇」はできません。「他者の死」と「自分の生」とのつな
がり、さらには「自分の死」と「他者の生」とのつながりについて、異なった観点
から議論し、考えてゆきました。

まず、亡くなった祖父が愛する孫のために残したメッセージを絵本にした、内田
麟太郎さんの作品、『泣きすぎてはいけない』を読みました。

なくなったものは  だれもいきているものの
しあわせをいのっている ただそれだけを

だから ないてもいいけど なきすぎてはいけない

わたしが いなくなっても わたしが すきだったのは
わらっている おまえだったのだから

みな身を乗り出して私の読み聞かせる声に耳を傾け、食い入るように絵を見つ
めます。

「あれっ、この子だんだん大きくなってるよ」
「もう中学生ぐらいだね」
「孫がどんどん大きくなって恋人ができて結婚して子どもができて……」
「自分もおじいさんになったんだよ」
「このページの絵のおじいさんは、最初のおじいさんじゃなくて孫がおじいさんに
なったんだ!」

sIMG_6182_SP0000.jpg  sRIMG0142.jpg

知らず知らずに子どもたちは絵本の絵の分析を活発に行い始めました。

優れた絵本は、自ずと読み手の心を動かし、的確にメッセージを読み手の心に
届けます。

「私は“いのちのバトン”という言葉が心に残った……」

ある女の子がつぶやきました。

そのとき おまえは (アア)と  こころに つぶやくだろう
おじいさんから もらっていた いのちの バトンに

絵本の中の孫へのメッセージであるにもかかわらず、読み手に直接、訴えかけ
られているように感じてしまうのです。

翌日、ある男の子が小さなファイルを持ってきました。

「これ、じいちゃんがくれた葉書だよ」

素晴らしい絵とともに達筆な字でつづられている孫への思い。

「わあ、すごーい」

子どもたちの上げた静かな驚嘆の声には、葉書への感動だけでなく、絵本と
共通した「思い」が込められていることに気づいた驚きが含まれていました。

人が異なっても、世代は違っても、受け継がれるメッセージは同じ。おぼろげ
ながら、子どもたちの頭の中に、「個人」「死」という「不連続」を越えて共通する
「普遍的」で「連続」する何かがある……という思いが浮かんできたようです。

「他者の死」が「自らの生」にしっかり刻み込まれ、やがて「自分の死」が「他者
の生」へとバトンのように渡される……一見、当たり前のことのようですが、
バトンを自らの意志でつながずに断ち切る場合があります。自殺です。

子どもたちに自殺を報じる新聞記事を渡しました。それは、子どもたちと関わりが
あった人の自殺記事でした。子どもたちは絶句……続いて、自殺に関する統計
データを渡しました。それを見てすぐにわかるのは、世界の国々の中で日本は
6番目に自殺者が多い国であること、そして、1998年を境に急激に自殺者が増え、
その後、ほぼ横ばい状態で、毎年3万人を越える人たちが自ら死を選んでいる
ことでした。

「一日に90人……」

ある子が年間の自殺者数を365で割り算をして、一日の自殺者数を出しました。
自殺は、日々当たり前に行われていて、自分の身近な人が自殺している事実
がある。なぜ?どうして?……

子どもたちの思いは、人がなぜ自ら死を選択してしまうのかを「知りたい」という
強い気持ちに揺り動かされていました。

sRIMG0165.jpg  sIMG_6194_SP0000.jpg

そこで、自殺を予防するために尽力している団体が、自殺に至るメカニズムに
ついて分析した資料を読むことにしました。

その結果、わかったことは、自殺は、「失業」「家庭の不和」といった単一の要因
ではあまり起こらない。複数の「要因」が重なり、そこに「うつ病」の発症といった
健康状態の悪化が伴って引き起こされる。だいたい5つの要因が複合的にからみ
あって生じる。一方、自殺者の多くは自殺する数週間前に相談機関を訪れていて、
なんとか生き延びたい、助かりたいという気持ちを持ち続けている……ということ
でした。

この分析結果に基づいた解決策として、要因を1つでも2つでも減らせるように、
社会的なつながりによるセーフティネットを作ることが提案されていました。社会
的な弱者が自殺に追い込まれるケースが多いことを考えると、個人の力に委ねる
だけではダメだということはよくわかります。とはいえ、社会的に地位のある人や
成功者が自殺することもあります。私たちの今回の学びの趣旨から考えて、やはり、
自殺しない「個」とはどういうことなのかに焦点を定めて考えてみる必要があります。
そこで、子どもたちに

「自殺しない個の強さとはどういうことか?」

という問いを投げかけました。

「夢ややりたいことを持っていることじゃないかな」

早速、口火を切る子が現れます。

「でも、年取ってきて、ずっとうまくいかなくて、もうダメと思っちゃっうこともあるよね」

すぐに反論が出ます。

「いやあ、それでくじけちゃうようなのは夢とは言わないんだよ」
「むしろ、年取ってた方が、失敗した後乗り越えたことがあるから、また頑張れば
いいと思えるかも」

TCS白熱教室での白熱した議論が繰り広げられました。

自分の「弱さ」も認められる大らかさや、自分の「弱さ」をうまくさらけ出して誰かを
頼れることが、実は「個」の「強さ」につながります。そこまで気づいている子どもは
まだ出てきませんでしたが、「夢」「やりたいこと」といった自らが課した「生」の「目
的」をどれだけ強く保持できるかが、いたずらに死を選ばず生き抜く力とともに、死
を意識した充実した生につながるということを子どもたちは意識し始めました。

生物としての人間には、死は、プログラムとして組み込まれています。個々に違う
遺伝子と個性に満ちた生き方とを次の世代へと受け渡すシステムの中に生きて
いるのです。かけがえのない自分を持った「個」は、それぞれに「尊厳」を持ち、
お互いにつながりつつ、必死に生き抜き、やがて「命」のバトンを次世代へと渡し
ます。

「死」と「生」をつなぐ命のバトンをどう受け止め、引き渡してゆくのか……

最終週は、いよいよ「確信」へと迫ってゆきます。

RI

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小さい力を大きくする装置開発チーム

[4年生]

小さい力を大きくする装置を作ろう開発チーム。
研究所がいよいよ発表の場に向けて動き出しました。

「どのような装置に作ろうか?」
考えてみるもののぱっとは浮かび上がりません。
まずは、1kgのものを100gの力で持ち上げられるものを作ることにしました。

さて、具体的な装置を考えていかなければなりません。

PB164096.jpgPB164097.jpg

「動滑車だと3つつなげると8分の1の力ですむ」
「それが一番効率的なんじゃない?」
計算上はそのような結果ですが、前回の実験の結果から滑車のおもさまで
計算に入れないといけないことが分かったので、そのことも頭に入れておかなければなりません。

今まで学んだことから、発想が出てきました。
しかし、どれも小さい力を大きくすることができる装置ですが、
実際にどの装置を使っていけばいいのかというところで議論が止まってしまいました。
実際にやってみるのと机上で考えることは違うようです。

そこで
「一人一人調べた方が早いんじゃない?」
「そうだよ。その特徴をまず調べるのがいいんじゃない?」
「歯車と、滑車と、輪軸、一人一人詳しく調べてみよう!」
ということになりました。

それぞれ分担に分かれて、実際に小さい力で大きな力を生む装置を作ってみて、
その結果から、特徴を考察して考えていくことにしました。

PB174103.jpg
「動滑車を使ってみると、こんなにも軽くなるんだ」
計算をしてみると、10分の1以下にまで軽くなり、これならばいいのではという考え。
それは、あくまで理論上。
実際に装置を作ってみると・・・
「動滑車がうまくつながらない」
動滑車が不安定で実際に装置を作ることが難しく四苦八苦。
実験をしてみて分かったことは、動滑車が安定しないということ。
新たな問題に取り組まなければなりません。

「粘土を使うといいんじゃない?」
以前の実験で粘土を使ったことを思い出しそこから応用していました。
重さも量れるということに気づき、形も変えやすく、ひもなどにもくくりつけることが簡単にできるということに気づいていました。

実際につくってみると、さまざまな問題点にぶつかります。
なかなか本に書いてあることどおりにいきません。
これが使える知識につながっていきます。

PB184104.jpg

輪軸について探究している子は、輪軸を使った巻き取り装置を開発。
井戸を汲み取るような仕組みになっています。
しかし、そこにも問題が・・・。
小さい力で巻き取ることができるのだが、なかなか巻き上がらない。

PB174100.jpgPB174101.jpg

歯車の装置を探究している子は、ひたすらに歯車の組み合わせによってどのようにで力を変えるのかを考えていました。
「こうやって回すと速くなるぞ」

今までに同じテーマをやったことのある子から、組み合わせてみるといいんじゃないかという提案があり、
「このことを利用して、ひもを巻き取るようにすればいいんじゃないか?」

というわけで、二つの装置の良い所を生かして組み合わせることにしました。

実際にやってみると様々な問題が見えてきましたが、これらを克服し、計算どおりに
発表でみんなを驚かせられるような装置を開発できるでしょうか?



TK


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栄養と消化・吸収

[3年生]


今週は、実験からスタートしました。


PT350162.JPG PT350164.JPG

ポテトチップス一袋の中に、
どの位の脂肪分が、含まれているのか
鍋で煮て調べてみました。

時間が経つにつれ出てきて、
鍋の中の表面全体を覆うようになった油も、
翌日表面に膜となった脂も、
さらに、煮詰め直し一晩置いて白く固まった脂も
子供たちは目にしました。
「うえー、こんなのやだ。」
「こんなのが体に入るの。」
TVでおなじみの余分三兄弟の一つ、
『脂肪分』の過剰摂取が体に悪そうだと
彼らも感じたようです。

PT350146.JPG PT350147.JPG 


この実験の狙いの一つは、
一人の子のメニュ-の再考を促すこと。
彼は品数の多さも売りにしたいとのこと。
その結果、どうしても脂肪が多くなりがちに。
こちらから、何回かその点を指摘しました。

彼は、脂肪過多が良くないことを認めながらも、
なお、頑なに自分のメニューにこだわっています。
「何か工夫できることはある?」
ときいてみる。
それに対し、彼の考えた作戦は、
品数を減らす替わりに、各品を小さくして
脂肪分を減量するというもの。
しかし、与えられたほかの条件も満たすためには、
材料費やカロリー計算など数字での検討も必要で、
品数のことも含め、さらに、見直しをしました。
その結果、一品減らすことを決断。
それでもなお、すこし気がかりです。。


来週が調理の本番になるので、
『自宅で一度料理を作ること』
という宿題を子供たちに課しました。


そんな中、消化管についての授業も
行いました。
口から始まり大腸まで、消化・吸収
そして、最後に排泄までを行う
人間の体の仕組みについて、
映像の資料を使って学習。

PT350151.JPG PT350154.JPG

最初に出てきた口の説明を聞いて、
「鼻に流れないように舌で蓋するなんてすごい。」
と感心したり、
小腸での説明では
「子供でも約3メートルはあるのか。」
「150平方メートルってどういうこと?」
などと反応。
二人ともかなり興味を示していた。

しかし、それぞれの器官や唾液・胃液の働きなどについて、
まだまだ、知っておきたいことがあります。
来週、唾液を使った実験とともに、再度学習するつもりです。
そして、いよいよ調理実習を迎えます。

週の最後、子供たちと今回のテーマが
『からだに栄養、こころに栄養』
であることを確認。
「自分やほかの人を元気付ける言葉を考え、発表する。」
勇気宣言という最後の使命を伝えました。
今後の授業では、こころにとっての栄養についても
我々は探っていくことになります。



TY


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「3つの約束」を発見しよう!

[1・2年生]

テーマ学習を進めるに連れて、子どもたちの中で意識されるようになった
「自分を大切にする」・「ひとを大切にする」・「ものを大切にする」という『3つの約束』。


しかし、口を開けば、
「それは、ひとを大切にしていない!」
「それって、ものを大切にできていないことじゃない?」


と、守れていないことに反応することが目立っていました。
注意することがいけないわけではないけれど、
反対に、守れているところは無いのかな?
あるのなら、それをたくさん見つけてほしい。


そのことを話すと、子どもたちも共感し、その日から、
「3つの約束を守れている場面を発見しよう!」という話になりました。
発見したことは忘れないようにメモします。


そうすると、
「バスに乗ったら、優先席をおじいさんに譲っている人を見つけたよ!」
「早く掃除終わったから、他の掃除場所を手伝ったよ!」


と、「発見」をうれしそうに発表する子どもたちがいました。
その「発見」を聞く他の子どもたちも(スタッフも!)うれしい気持ちに。


そこから、テーマ発表会では、
子どもたちが発見した「3つの約束を守る」シーンを表現することに決定。
「言葉だけではきれいごとになることがある」というある子からの発言で、
表現方法は主にパントマイムを使うことにしました。


「3つの約束」を発見しよう!_01「TCSの一日」と題し、「そうじを手伝う場面」「給食を残さずに食べる場面」など、
「3つの約束」に関係するシーンを演じます。


「3つの約束」を発見しよう!_02「お客さんが見やすいようにするにはどう立ったらいいだろう?」
「ほうきは使ったほうがいいかな?」
「ガッツポーズしたら、『がんばった!』って感じになるんじゃない?」
「文字を書くのに、鉛筆が動くスピードはこのくらいかな……。」
「机を叩きそうになるんだけど、その前に気付いてやめるっていうのは?」
と、お互いに意見を出し合いながら練習を重ねる様子が伝わりました。


来週は最終週。
ひたすら練習を重ね、どうしたらもっと良い表現になるか、ひたすら練習し、試行錯誤します。




EN


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2010年11月26日

ドラマが動き始めた!

[5・6年生]

子どもたちの頭の中には、個の「死」によって消滅して終わり……という単純な
ことではなくて、命のバトン、つまり、「死」を介して渡される「生」のバトンの存在
がおぼろげながら見えてきたようです。それを「確信」するには、「身」を持って
「動いて」みるしかありません。気づいたこと、考えたことをなんとなく「作文」に
書いて終わりでは「本質」に迫ることはできません。そこで、今回の学びの集大成
は、「ドラマ」を子どもたちが演じて見せることにしました。先達の「死」に直面して、
それをどう受け止め、その後の自らの「人生」にどう生かしてゆくか……将来の
「自分」になりきって、演じきれるかがカギです。

では、どんな劇になる?台本は?ということが気になるところでしょう。台本は
私が週末に一気に書き上げました。

ここまで5週間子どもたちと「命」を受け継ぐことの「意味」をずっと追究してきま
した。その活動の中で、いちばん大きく子どもたちをゆさぶったのは、「人生楽
ありゃ苦もあるさ年表」を作ったことでした。子どもたちにこれからの30年間を
イメージさせるには、私自身も30年間どう生き抜くか真剣に示さなければなりま
せんでした。私が真剣に提示した「生き方」「死に方」に子どもたちは真剣に反応
し、見事にこれから30年のキャリアプランを考え出しました。

橋爪さんや是枝さんにお目にかかり、現実に「死」に直面したとき、どんなことが
起こるのか知ったことも、当然、大きく影響しています。これらのことが熟成され、
既に私の中にも、もちろん子どもたちの中にも「共通した物語」ができあがって
いました。それを私は素直にシナリオにしていっただけなのです。したがって、
まるで何かにとりつかれたように、あふれ出てくるセリフを並べてゆくと、あっと
いう間にできあがってしまったのです。ともに探究する仲間として一体感を持ち、
本気で取り組んできたときにのみ生じる「賜物」と言えるでしょう。

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「ねえ、おっちゃん、早く読みたい!」

テーマの時間の始まる前から、子どもたちはシナリオを読みたくて、読みたくて
仕方がないという感じでした。

「わあ、こんなこと言いそうだな!」

これまでの話し合いの中のどこかで出てきたエピソードにつながっているし、
何よりも自分が練りに練って作った「年表」を反映しているので、納得しながら
読み進めてゆきます。

「ねえ、ここの部分は、〇〇くんが今、△△していることを知らないって変じゃ
ない?」

与えられたものに唯々諾々と従うのではなく、教師の出したものすら絶対視
せず、タタキ台としてよりよいものに変えてゆこうという習慣がついていること
を嬉しく感じる瞬間です。

「〇〇くんは賞をとって有名になっているからテレビとかもたくさん出ているはず
で、知らないのはおかしいかもね」

同調する意見が現れました。すると、本人の〇〇くんが、

「ぼくのとった賞は、テレビとかに取り上げられるような大々的なものではないし、
テレビには出ないと思う」

みんな納得し、セリフはそのままとなりました。

〇〇くんの口調には、地道に研究を進めてゆこうと思っている彼の真面目さが
にじみ出ていましたし、今のマスコミの異常さをも知っているような達観した
部分も感じられ、頼もしく感じました。このやりとりを聴いていて、この子達が
自らのキャリアをとても深く見つめていることを知り、もはやこの「劇」は単なる
「ごっこ」ではなく、「真剣なるシミュレーション」なのだと確信しました。

sIMG_0123.jpg  sIMG_0130.jpg

みな活き活きとシナリオの読み合わせを進め、ああでもないこうでもないと工夫
しつつ、絶妙の演技力で舞台稽古を始めました。どんなことをしたかをここで
書いてしまうと、発表が面白くなくなるのでこの辺りでとどめておきますが、
ドラマは見事に動き始めました。

RI

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装置ができた!?

[4年生]


今週は引き続き「小さい力を大きくする装置」の開発を続けていきます。

一応は形にはなっているもの、今までそれぞれが自分たちで開発したものを組み合わせただけで、
何かもっと工夫ができるのではないかということで、改良を続けていきました。

そこで開発されたのが、“輪軸のまきとり装置”
輪軸の細い方にひもを巻き取っていく仕組みになっています。

話し合いながらすすめていきます。

自分たちで計算をし仮説を立てました。
動滑車を使うごとに力は半分になり、さらに歯車を使うことでさらに力は弱くなっていきます。

PB244128.jpgPB244129.jpg

PB254131.jpg

「輪軸を使った方が動滑車と比べると効率よく大きな力にできるな」
どのくらいになるのかを計算していきます。

最初はおもりとしてペットボトルに水を入れて、いろいろ考えて粘土になりました。
形が変えられて、重さも変えやすいので便利だということになりました。

検証していくと、計算に近い数字で動くことが確認できました。
「できた!」

いよいよ発表に向けて学んできたことを自分たちの開発した装置のことを軸に
それぞれ自分たちの探究してきた担当の滑車・歯車・輪軸について、まとめていきました。

ポイントは『科学的に説明をすること』
誰しも分かるように理論的に法則を説明していきます。

PB254133.jpg

なかなかハードルの高い課題ですが、果たしてできるでしょうか?

また、装置に関しても、ぎりぎりまで思考錯誤が続きます。
どうなる発表?




TK


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みんなが元気になる言葉

[3年生]

今テーマもいよいよ大詰めとなってきました。
やるべきことがまだまだ盛りだくさん。


使命としてあるのが弁当の作成。
しょうが焼きライスバーガーを作るといっていた子が、
「今日、材料持ってきたから作れるよ。」
と声をかけてきた。
週末、自宅で作った第一号試作では、
ご飯がすぐにくずれうまくいかなかったので、
改良を加えたとのこと。
早速実習へ。

PT350182.JPG PT350193.JPG

料理本で彼が目を付けたライスバーガーには、
野菜がほとんど使われていなかった。
そこで、しょうが焼きに玉ねぎ・人参・ピーマンを加え、
サラダ菜を具を載せる材料として使い
栄養のバランスがとれるようにアレンジしていた。


初めての料理作りなので、
決して手際はよくないが、
真剣に取り組んでいた。


校長を交え試食タイム。
「この味はぼくは好きだよ。」
の校長の言葉に少し照れる。
しかし、
「ご飯がくずれて食べにくいのが残念だな。」
と聞いて悔しそうな表情に。
具をはさむご飯の改良はまだまだ、
充分でなかったことを痛感したようだ。
はっきりとは言わなかったが、
さらに改良し作り直したいようであった。
(テーマの期間を気にせずがんばれ!)

一方、もう一人の子は、
自分の好みの弁当と栄養バランスを
どう調整しようか悩んでいたが、
最後に来て大きく方向転換。
受験勉強をしている人のために、
頭の良くなるのに必要な栄養が
中心のメニューを考えたようで、
「週末に家でつくってみる。」
と言って帰っていった。

週の中ごろには、
消化・吸収についていくつかの実験も行いました。
ご飯を使って唾液の働きを調べたり、
腹ばいになってストローで吸い上げた飲み物が、
食道から口へ戻らないかを確かめたり。
「体が下向きでも、飲んだものは胃の方に行くのが分かる。」
と一人の子が食道の中の感じを伝えてくれました。

PT350190.JPG PT350201.JPG


体のことに気持ちと時間を奪われがちでしたが、
「こころに栄養」のことも考えなければなりません。
先々週から少しずつ触れてきた『勇気宣言』。
2階に掲示されている先輩たちの宣言を見てはいるものの、
3年生のかれらにはまだ、どのような言葉が有効か
中々見当がつきにくいようです。
そこで、少しでも役に立てばと思い、
アメリカの作家の絵本『勇気』を
みんなで読んで見ました。

PT350204.JPG

   きらいな やさいも
   いやな かお せず
   たべるのも ゆうき。

   かみを ばっさり
   きってもらうのも ゆうき。

といった言葉を楽しそうに読んで
自分なりの例文を口に出したりしていました。
少しでも参考になればよいのですが。

さて、来週はいよいよ発表会。
残りわずかとなり、やり残しがでないよう
最後まで頑張ろう。

TYTCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「気持ち」を表現しよう!

[1・2年生]


発表に向けて、ひたすら練習の日々が始まりました!


話し合いを重ねていく上で、
「ひと・自分・ものを大切にしている場面を表現しよう!」ということになり、
『給食』・『体育』・『そうじ』という、3つのシーンを演じることにしました。


でも、パントマイムって、見るのは楽しいけれど、どう動いたらいいのだろう?
どうしたら、もっと上手になれるのだろう?


そこで、現人の登場です!
パントマイム達人の 羽鳥尚代さん、通称ハトちゃんに来ていただきました。


「気持ち」を表現しよう!_01羽鳥さんは、世界を股にかけて活動していらっしゃるパントマイミストの方です。
「自分が伝えたいメッセージを他者に伝達するために、パントマイムを使った表現を磨く」
という、本テーマの趣旨を理解していただき、ご協力してくださいました。
しかも、杉並区(新高円寺)でもレッスンをして活動されているとのこと!


自己紹介後、ハトちゃんの質問から始まります。
「心に響くってどういうこと?」


「心に通じる!」
「五感を使って……相手に伝える?」
と、子ども達も自分なりに意見を出します。


「そうだね。みんなが見ていて「そうだよね」ってわかってもらえるようにすることだよね!」
とハトちゃんは、子どもたちの発言に応えます。


そして、パントマイムとは何かというお話もしてくださいました。
「パントマイムは、無言劇(黙劇)。『あらゆるものまね』という意味があるんだよ。
だから、まずものまねをしてみない?」


そこから、「ものまねゲーム」の始まり!

「気持ち」を表現しよう!_02  「気持ち」を表現しよう!_03

タオル(かたち)の「まね」、
箱をたたいたとき(音)の「まね」、
ハトちゃんや子ども達(ひと)の「まね」、
そして、自分が「まね」される対象になることに挑戦しました。


子ども達はノリノリで、「まね」することを楽しんでいました。
でも、「まね」をする対象が動いていないのに、動いていたりと、
視点を変えると、それは「ただ」楽しく体を動かしているようにも見えて……。


そのことは、ハトちゃんに発表の演技を披露する際にも関係しました。
ゆっくり大きく動くことができず、表情も変わらず、だれが主役なのかわからない。


練習を積み重ねられないでいたので、内容をまだ覚えてられていないこと、
そして、内容の複雑さも問題かもしれません。
しかし、技術というよりもっと重要なポイントがあることにハトちゃんの言葉で気付くことができました。


「気持ち」を表現しよう!_04「パントマイムに重要なことは何だと思う?
それはね、『気持ち』だよ。
ただ体を動かすのでは、ジェスチャーにしか過ぎない。
パントマイムは『気持ち』を表現するんだよ。
だから、今演じている状況の気持ちになって動こうね。」


その言葉は子ども達の心に「響き」、ハトちゃんが来た日から「気持ちを表現する」が私達のキーワードになりました。


現人は、そこにいなくても、心に残るから不思議です。
練習を重ねて、内容は伝わる動きができるようになってきました。
ここからは、「そのものになりきる」ことが要となります。


「気持ち」を表現しよう!_05  「気持ち」を表現しよう!_06


「この鍋の中にはお味噌汁がある。ではこれをおたまですくってお椀につぐとき、何に気をつけたらいいだろう?」
「10キロ以上走った後は、どんな状態だろう?」
といった問いに対して、想像してなりきれば、
体や表情の動きだけで「気持ち」まで響かせることができるでしょう。


さぁ、いよいよテーマ発表会本番。
どこまで表現を深めることができるか、がんばろう!
(そして、楽しもうね!)


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