東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2014年05月 アーカイブ

2014年05月01日

気象庁訪問

[5・6年生]

今週は私たちが毎日見ている天気予報を行っている気象庁に伺い、現場見学をさせて頂きました。
現場見学では広報室の担当の方が案内をして下さり、天気予報と地震・津波・火山などの災害予報を実際に行っている部署をそれぞれ訪問しどんな仕事をしているのか分かり易くお話して頂きました。
まずは天気予報を行っている現場へ向かいます。
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「天気予報はさまざまなデータを総合的に見ながら判断して予測をしているんですよ。みんなは天気図って見たことがありますか?」

「はい。あります。低気圧とか高気圧や前線が書いてありますよね。」

「よく知っていますね。それを地上天気図といいます。明日、あさっての天気予測は地上天気図を読めるようになればある程度できますが、週間天気予報や6ヶ月、3ヶ月先の天気予測は地上天気図だけではできません。雲の動きや海水の温度などのデータも合わせて計算するんですよ。」

「6ヶ月先!?すごい。」

「みんなは雲ってなぜできるのか聞いたことありますか?」

「はい。水蒸気が上昇気流に乗って上に集まってできる。」

「よく知っていますね。その雲の様子を気象庁では気象衛星ひまわりから撮影した画像データを元に予測に使っています。それがあそこの大きなスクリーンにある画像です。見たことあるかな?」

「あーー。見たことある!」

「他にはみなさんが先ほど科学館で見たラジオゾンデで上空30kmの気温や湿度、気圧を観測し、地上ではアメダスで温度・湿度・風向・風の強さ・積雪量・雨量を観測して毎日集計し予測に役立てています。科学館では雨量計に実際に水を入れてみましたか?まだ試してなかったらこの後でぜひやってみてくださいね。では次に地震予測をしている所にご案内しましょう。」

今まで学んできたアメダスやラジオゾンデの実物を見て触らせてもらう機会を得られるなんてなんて幸せなことでしょう。なかなか実際に見れるものではありません。そしてこれぞ現地・現人・現物から学ぶ素晴らしさ。いくら資料でアメダスにはいくつもの観測装置があることを知ってもなかなか自分の中に残し続けることは難しいかもしれませんが、こうして学んだものを実際に見て、触れることができることで少なからず子どもたちとつながりが生まれます。 快く受け入れて下さった気象庁に感謝です。

「あ、あの人前線を書いてる!」

「そうですね。前線は画像には表れないので予報士が風や気団の状況から判断して前線を直接天気図にああやって書き入れていくんです。」

「それがそのまま天気図になるの?」

「そうですよ。予報士たちが書き入れた前線がみなさんが目にする天気図には書かれています。」

授業でちょうど前線について資料を読み込んだところだったので実際に天気図を作成しているところを見てああやって書いているのかと納得と驚きの様子の子どもたち。

災害予測の部署へ移るとそこには所狭しと大小さまざまなスクリーンに沢山の種類のデータが映し出されています。そこで働いている予報士さんは一人で何台ものスクリーンを眺めながら仕事をしています。
「すごい。一人で沢山のパソコン使って仕事してる!」とある子がつぶやきました。
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「ここでは日本全国の地震感知を行い、いち早く速報を出せるように日々奮闘しています。みんなは地震を感知してから何分後くらいで地震速報を出せると思いますか?」

「テレビとか携帯の速報でしょ。うーーーん。5分くらいかな?」

「3分です。3分て速いと思いますか?それとも遅いと思いますか?遅いと思うかもしれません。速報を受けてからすぐに地震や津波に備えて行動したり、避難すると考えると十分な時間はありませんよね。日本では毎日小さい地震も含めて約300回の地震が起きています。一年間で10万回以上になります。こうした環境で観測技術も改善され続け、現状ではやっと地震を感知してから3分で速報を出せるようになったというのが状況です。これは世界的に見ればトップレベルのスピードでもあります。」

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「あそこのデスクでは波浪予測をしています。日本のように漁業が盛んな国では毎日多くの漁船が海に出ていますよね。ですから海の天気や波の予測は漁師さんたちや貨物船の安全のためにも大切なことで、予報によって海に出るかどうかを判断しているんですね。天気予報って色々な使われ方をしているって知っていましたか?」

「うん。農業とか。店でも雨が降れば傘を沢山注文したり、暑ければ水着が売れたりビールが売れるから注文を増やすでしょ?」

「よく知っていますね。そのように様々な産業とも天気予報は深くかかわり合っています。」

「質問があるんですけど、東日本大震災の時も東京の気象庁から速報を出したんですか?」

「気象庁は東京と大阪で観測を行っていますが、震災の時は大阪で速報を行ないました。東京も地震の被害を受けましたし、地震後に記者会見を開いたり様々なことを行ないました。ちなみにこの年は一年間で小さな地震も含めて25万回以上の地震が起こったんですよ。」

「えー!!普通の時はさっき一年で10万回って言ってたのに25万回も!!」

普段当たり前のようにテレビや携帯などのメディアから速報を知ったり、天気予報を見て予定を立てている私たちですがその裏側ではこんなにも沢山の方々が多岐に渡り関わっていることに気象庁訪問を通して実感させて頂くことができました。

そしてこうした日々の努力の継続によって進化し続けてきている”予報”が私たち個人だけでなく社会の様々な面でも大きく役立っていることを意識できるようになったことは子どもたちにとっても大変貴重な学びです。
この場を借りて再度お礼を申し上げたいと思います。
気象庁の皆さま、また特に広報室の輪島さんお忙しいところ長時間お付き合い頂きまして本当にどうもありがとうございました。

さて、連休中は天気図を片手に実際に天気予測をしてみるホームワークにチャレンジです!



YI

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2014年05月02日

蚕糸の森は広いなぁ

[1年生]

先週見つけたものを画像を見ながら確認していきました。
たくさんの手型をつけながら発見したものは、
「ひびが入っているのに、割れない石。」でした。

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「これは、石丸や葉っぱ丸君に似てるから水丸って名前がいいかな?」
「水君がいいよ。」
見つけたものの特徴から、名前をつけたり、
違いや共通点を見つけていきます。
「水の始まりポイントにも似てる。」
「みんな同じなかまかな?」
みんなで見ておきたいものがいくつか出てきて、
確認作業が終わったあとで、もう一度、蚕糸の森に出かけてみると、
新しい発見がどんどん出てきます。
「あっ、大きな水たまり!」 %E6%B0%B4%E3%81%9F%E3%81%BE%E3%82%8AIMGP3684.jpg

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「ポールFP−1じゃなくて5ってかいてある。」「てっぺんがとげとげだから?」

振り返りで出てきた発見は70個ありました。
それでも、まだまだ出てくることから、
「蚕糸の森は広いからなぁ」と思わずつぶやきが漏れます。

今までの任務は多くの!?を見つけることでした。
その任務は、明日までと告げると、
よーし見つけるぞ!とやる気十分な子どもたち。
一方で、「これで見っけ隊、引退?」との質問も。
まだまだ引退は早すぎます。
後半の3週間は、たくさん見つけた発見の中から
特に気になるものをひとつ選び、
それについてとことん「!」「?」を追究していくことが次なる任務になります。

自分たちがこの先、どのように学習を進めていくのか
納得したところで、
いくつまで記録を伸ばせるか、
今日も探し続けます。
%E3%83%91%E3%82%A4%E3%83%B3IMGP3708.jpg ここにもパイナップル。蟻もいる。

%E3%81%A1%E3%81%8F%E3%81%A1%E3%81%8FIMGP3710.jpg ちくちく木だね。ちくちく葉っぱの仲間かな?

6人で見つけた発見は、
全部で76個になりました。
見っけ隊先輩の2年生も「すごい」と賞賛の声。
また、先輩たちからは、「これは見つけてないの?」と
自分たちが見つけ出した発見が出てないことを知って不思議がることも。
内容が同じテーマ学習でも、毎年違った発見が生まれます。
それは、みんなが違ったアンテナを張り巡らしているからでしょう。
そして、どの子も、発見は限りなくあることを体験していくことになります。
「サンシってどうして蚕糸っていうの?」
1年生が、3年生に尋ねたとき、
驚きながらも、そのあとは、喜んで説明してくれることでしょう。

さぁ、来週は、一人ひとり違うものを選びます。
一つのものからいくつの発見が生まれるでしょうか。

AN

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まちなかオリエンテーリング〜方南町編〜

タイトル:ココドコ
探究領域:時空因縁

[2年生]

今回で第三回目を迎える「まちなかオリエンテーリング」の舞台は方南町。

地下鉄の駅を出た途端、近所に住んでいて土地勘がある男の子は
「こんなの簡単だよ!この道をまっすぐ行けば、スクールに着いちゃうよ。」
と第一声。

しかし、最終回にそんな簡単な課題を出すはずもなく、前回よりもさらに難易度を上げ、チェックポイントを2つ設けることにしました。
一つは神田川沿いの工場。そして、もう一つはいつも給食でお世話になっている救世軍ブース記念病院です。
地図上で該当のマークを指差し、場所を確認します。

「へー、救世軍ってこんなとこにあるんだね。いつも給食を持ってきてくれる人に会えるかな?」

当日はあいにくの雨。傘をさしながらスタートです!

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前回は自分で地図を持つことを面倒くさがっていた女の子が地図係を買って出てくれました。

「このまま進めば、神田川があるはずだから、それ沿いに行けば着くはずだよ!」
「楽勝、楽勝。」

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威勢良く、ぐんぐん歩き始めますが、環七通りと方南通りの交差点の地点で早速雲行きが怪しくなります。
見慣れた環七通りのはずでしたが、「スクールはどっち方面にあると思う?」と尋ねると、なぜかみんなが指す方角はバラバラ。
案の定、本来進むべき方向とは逆方向に移動してしまうことに。。。

「最終回なのに、このままタイムアップになったらどうしよう」と一瞬不安がよぎりましたが、100mくらい進んだところで、誰とはなしに、進む方向が間違っているのではという声があがります。
近くにあったスーパーのベンチに座り、地図を広げ、みんなで現在地を再確認します。
地図を読めるということは自分自身を俯瞰できるということ。
この「おやっ、変だな?」という感覚が芽生えてきたところに、彼らの成長を感じます。

「神田川はあっちだ!」

自分たちの力で方向修正し、方南通りを東進します。
目印にした神田川も越え、しばらく歩くと、丸ノ内線の車両がずらりと並ぶ東京メトロの中野検車区に到着しました。

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一つ目の目的地の工場マークが表していたのは、東京メトロの車両工場であることが判明。
こんなところにこんなものがと子ども達も驚きの様子です。

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子ども達が地図を見る際に目印にしていた神田川。看板の文言むなしく、かなり汚いです・・・

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どちらに進むべきか・・・傘を差しながら、地図を確認。
現時点で地図を一番読めると思われる男の子が冷静に現在地を再確認し、進行方向を決定することに。

地図をよみとり、目印となる学校と寺院を探しながら移動していると、

「あっ、電柱に文マークがいっぱい。近くに学校があるはずだよ!」

確実に目的地に近づいている証拠。雨と寒さのせいで、前回までに比べ、少し元気のなかった子ども達の足取りも力強くなります。
そして、かなり先にあるマンション群の上から少し顔を出す大きな建物とそこに書かれた「救世軍ブース記念病院」の文字を発見。

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「わああ、救世軍の病院ってあんなに大きいんだ!!」

無事、制限時間15分前にミッションを達成することができました。
子ども達も今回はさすがに無理と思っていたようで、ほっと安堵の表情が見られます。


翌日は「まちなかオリエンテーリング」のふりかえりを実施。

「細い道だと、自分がどこにいるのかわからなくなっちゃうんだよね。」
「スクールに戻るだけだったら簡単だけど、チェックポイントを探すのは難しかったなあ。」
「話がまとまらなくて、大変だったよね・・・」
「けど、地図記号の意味がわかってきて、だんだん面白くなってきたんじゃない。」
「本当に地図だけで目的地にたどり着けるんだと思ったよ!」
「そうそう、どこに何があるかわかるし。」

この3週間で地図に対する認識にも少し変化が見られた様子。
いよいよ来週からは地図づくりに取り組みます。

HY

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雨の動物園

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

今日は激しい雨が降るという予報でした。そんなときにわれら「詩人の旅」の仲間たちは、井の頭動物園を訪れたのでした。

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写真を見てわかるように、わたしたち以外、訪れる人はほとんどなく、閑散として静寂が満ちています。ふと、舟崎克彦さんの名作『雨の動物園』を思い出しました。

詩の神様が私たちに寄り添ってお膳立てしてくれたのか……と思うような雰囲気です。

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入ってすぐのところにハムスターを自由にさわれるところがありました。

「わあかわいい」「たくさんいる〜」

さっきまでのしっとりした気分はどこへやら。みんな大興奮です。大胆に手をつっこみ器用に抱きかかえる子がいれば、おそるおそる手を出すだけでなかなかつかまえられない子もいます。係の人に抱き方を教えてもらいながら、やっと抱くことができました。おとなしくちょこんと膝の上に座っている小動物の重みや体温、息づかいが伝わってきます。

アニマルセラピーというものがありますが、動物に人間が癒されるというのは確かです。興奮しつつも、なんとなく子どもたちが柔和な感じになっているように見えました。

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昼食を食べ終わったら、いよいよ園内に散らばって、詩のテーマとなる動物を見つけに出かけます。まずはざっと全体を見て、これ!っという動物が見つかったら、その動物をじっくり観察して、特徴をつかみ、のはらうたの要領で「なりきって」みます。

リス、サル、シカと見ていきますが、けっこう激しい雨が降っているにもかかわらず、そんなのまったく意に介さないように、元気で走り回っています。普段、晴れの日に訪れて見ている姿よりよほどイキイキしている感じです。これにはみんな驚き。こんなに元気に、はしゃいでいるような様子を見ると、動物たちにとっては「慈雨」なのです。

そんな中、雨のため屋外に出られず、気温もあまりたかくないため、シャッターを下し、昼間なのに暗い檻の中で、単調に体をゆっくりゆすっている動物がいるではありませんか。それは、井の頭動物園を代表する人気者、ゾウのはなこです。

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はなこはもうすぐ70歳。戦後すぐ、まずは上野動物園で人気者になり、その後、この井の頭動物園に来ました。

檻の近くの壁には、はなこに関する情報がいろいろ書かれています。その中で子どもたちの目を引いたのは、大島に行ったときに脱走したことがあったということです。

「そりゃあこんなせまいとこいたくないだろうなあ」
「なんかかわいそうになってきちゃった」

動物園は行楽地……というのは人間のエゴに過ぎないという気持ちになってきます。目の前に置かれているぐにゃっと曲げられたタイヤホイールは、ゾウってこんなに力があるんだよ!なんていうことを無邪気に示すための展示になっていますが、もはや私たちには、はなこの無念さや悲しみが込められていりようにしか見えません。

「おれ、はなこのことを詩にする……」

わあっスゴイ!面白い!という「感動」だけではなく、ぐっと心の深いところからわきおこる気持ちを「詩」にするという気持ちが動いたのでしょう。

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こうもりの檻の前で、じ〜っとつばさを閉じてぶら下がっているだけのこうもりを見つめている子。

雨なんか関係なく、追いかけっこをしている2頭のカピバラを楽しそうに見つめている子。

飼育員の人を呼び出すかのようにドアを開けようと足でガリガリやっているアライグマの憎めない様子に釘づけの子。

りす園の中をあわただしく走り回り、えさを食べたり、地中にえさをかくしたり、木の枝を走り抜けて、となりの枝に飛び移ったり、とにかく落ち着きのないリスをじっと観察している子。

それぞれこれを「詩」にしたら面白いぞ!という対象が見つかったようです。

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お〜い よかったなあ。今日はのびのびできるぜ。
そうだね。いつも見られて、騒がれて、ほんとかったるいもんね。
うん、今日のおれたちが本当の姿なんてあの人たちにはわかりゃしないさ。

そんな声があちこちから聞こえてくる雨の動物園でした。

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翌日、学んだ詩の技巧を活かしつつ、じっくり観察し、詩にしたい!と心から思った動物について詩作します。例によって、各自、机を離して、ひとりひとり集中できる好みの場所で詩を書きます。どんな詩ができあがるか……ゴールデンウィークの間にホームワークでさらに磨いてきます。できあがりを読むのが楽しみです。

RI

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2014年05月09日

記録に残そう

[1年生]

見つけた発見は76個ありました。mapIMGP3721.jpg

ひとつずつ振り返ってみると、どれも面白い発見ばかりです。
この中から、ひとつ選んで、それについて追究していきます。
「それも気になる」「ひとつに選ぶのも難しいな」
「変えてもいい?」
迷って決めた子もいれば、すぐに決まった子もいます。

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決まったところで、今までに見てきて発見したことや
不思議に思うことを記録していきました。
「何もないかも」
いざ、書くとなると思いつかなくなってしまうこともあるようです。
そこで、何をしたらいいか迷ったときの助けとなる「key-concepts」を紹介しました。
今回のテーマで注目したいキーコンセプトは、form / function / causationです。

どんな形をしているのか、
どんな働きをしているのか、
どうして、そうなっているのか、

自分の選んだものに当てはめてみると、頭のアンテナが反応し、記録し始めます。
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また、発見や疑問だけでなく、「こういうことじゃないかな」と予想も出てきます。
思いつくことをどんどん書いていきます。
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どうしたら、その「?」がわかるようになるだろう。
「?」のままで終わりにしないためには、次に、
どうやって調べるのがいいかを考えていきます。
実験をしてみる、観察する、インタビューをする、
あるいは、本などのツールを使って調べる・・などなど、
手段を考えてみたところで、実際に、動いてみます。

今日は、出かけるときに、i-Padを携帯しました。
発表では、1枚の写真を見せながらプレゼンテーションを
することになっています。
そのときに使う写真を撮ることも念頭に入れて、観察をしていきます。

%E3%82%B3%E3%82%A4IMGP3741.jpg %E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%ABIMGP3751.jpg・・・撮影中

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「引っ掻いてみたけど、同じ傷がつかないよ。」
「ネコが引っ掻いたのかな?」
「ネコは爪が長いから。」




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公園管理の人にインタビューをして、
公園案内のパンフレットをいただいています。
「〇〇くん、ご苦労さま。」
自己紹介をしたようで、名前を覚えてもらっていました。



今日、撮ったもの、もらったものは、いったいどんなものなのでしょうか。
新たな発見や疑問もありそうです。
来週、みんなで確認し合うのが楽しみです。


AN

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地図に載せる情報を集めよう

タイトル:ココドコ
探究領域:時空因縁

[2年生]

今回のテーマもいよいよ折り返し地点。
前半の3週間で地図の使い方に少し慣れてきた子ども達もいよいよ地図作成のフェーズに突入します。

まずはゴールデンウィークのホームワークとして描いてきた地図を発表し合うことに。
お題は先週に実施した「まちなかオリエンテーリング(方南町編)」の帰り道を2万5千分の1の地図を参考にしながらオリジナルの地図におこすというもの。
現状の技術レベルの確認も兼ねてのホームワークでしたが、見事なまでにバラバラでそれぞれの個性が表れた地図に仕上がっていました。

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そして、それに対して、発表を聞いている側もgood & betterで建設的なフィードバックを返すのがTCS流。

具体的にgood(良かった点)として挙がった意見としては・・・
「地図記号を意識的に使おうとしているよね。」
「大きな通りとそれ以外の道の太さを変えてあってわかりやすいんじゃない?」
「方南町駅のところに吹き出しがあって、どの場所がスタート地点だったのかが一目でわかる。」
「定規も使用しながら、まっすぐな道が描けているので、次回は真似しよっと。」
「目印として使った神田川の曲がり具合がうまく表せていると思うよ。」
など。

昨年、スクールでみっちりと探究の基礎を叩き込まれた2年生。
他の子の発表を通じて、自身の作品にも使えそうなパクりポイントを発見しようとする姿勢が伺えます。

一方でbetter(改善点)としては、
・途中迷子になりながら歩き回ったせいか、チェックポイントとスクールとの位置関係が大きく違っている
・A3サイズの用紙を十分にいかせておらず、半分くらいが白紙のままになっている
・構図を意識して描き始めていないので、ゴール地点のスクール付近の地図が極端に窮屈になってしまっている
などのポイントが目立ちました。
最終的にどこまで地図の精度を高めることができるか、楽しみです。


翌日は再度方南町エリアに出かけることにしました。
同じ場所を歩くことでどんな新しい発見があるか。
しつこく繰り返すこともまた探究の大事な要素です。

「それぞれ、おすすめポイントを最低三カ所は発見しよう!」というかけ声の元、方南町駅をスタート。
当然、今回は迷わずに最初の目的地である東京メトロの車両基地の方向に進んでいきます。

途中に気になるものをいくつか発見し、写真をパシャパシャ撮る子ども達。
前回に比べ、かなり心の余裕があるらしく、新しいルートを開拓しようとする姿勢も見られます。

そんなこんなでいよいよ車両基地が近づいてくると、前回はあまり意識していなかった陸橋からの景色が気になってきました。

「あの陸橋に上った方がよく見えるんじゃない?」

早速、階段を駆け上がり、車両基地の方に目を向けると、眼下に絶景が広がります。

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「おお、車両がたくさん並んでるのがわかるね。ここはおすすめポイントだよ!」
「あれっ、丸ノ内線だけでなく、銀座線の車両もあるよ。ほら、あそこに。」
「鉄道好きのK君やR君は喜ぶんじゃない?」

この東京メトロの車両基地は全員が納得のおすすめポイントということで、地図にシールでマーキングします。
子ども達とさらに足を進めると、珍しい自動販売機が目に飛び込んできました。

「YAMAZAKIだって。初めて見るね。山崎パンと関係あるのかな?」
「ポカリスウェットも販売してるよ!ポカリは大塚のはずなのに・・・」

4月に実施したODD(街)のニコニコロード商店街調査で自動販売機を担当したこともあり、まちの自販機のことはとっても気になる様子。

こんなやりとりをしながら、まち探検をおこなっていると、あっという間にスクールに戻らないといけない時間になってしまいました。
まだまだ地図に載せる情報としては少なすぎる状況。

来週も再度出かける必要がありそうです。

HY

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できた詩を磨く

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

新宿御苑、川越、井の頭公園……と旅をしてきて、素直な詩心に動かされてつくられた作品ができあがってきました。今日は、その作品を発表してみんなで批評します。

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詩を読み上げるのは私。子どもたちはそれをじっとききいります。「詩」の面白さのはずせないポイントは「音」と「リズム」。それを感じるために「文字」を「見る」のではなく、「聴く」ことに集中します。

同じ音や言葉の繰り返しが効果的。擬音語・擬態語を使って詩に描いた対象の感じをうまく表している。決まった文字数の繰り返しがて心地よいリズムを生んでいる。

詩人の用いている「技」をしっかり「盗んで」自分の作品に活かしているじゃないですか。なかなかやるね!

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そもそも子どもは「言葉遊び」が大好き。学んだ「詩人の技」を使わねくては……という「お勉強モード」ではなく、「なんだそんなことなら負けないぞ!」っていう感じで、もともと持っていた遊び心を解き放ったに過ぎません。

一方で、まだまだ物足りない感じもあります。「詩」の魅力は「音」自体の生み出す面白さだけではありません。「ことば」の組み合わせの妙によって立ち上がってくる「イメージ」の鮮烈さも重要なポイントです。私はこんなことをして、それはどんな感じでしたと「説明」するんじゃないのです。もっと直接的に相手の心に「ドキュン」とイメージを湧きたたせないといけません。そのあたりの工夫がまだまだなんですよね。

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手直しの方向性が明らかになったところで、各自、改めて「詩作」のための「思索」&「試作」に入ります。

「おっちゃん、話しかけないでね」

個人作業に没頭できるように、机の位置を移動し、真剣に作業に取り組みます。

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いろいろ書いては、書き直し、まさに創作家の姿です。これって当たり前のようで、実はできないことですよね。ちゃらっと書いて、なんとなくよさそうだったら、もうこれでいいでしょう!ってひよりたくなるじゃないですか。でも彼らは、授業で、お勉強で取り組んでいるわけではないので、本物の「詩人」になっているから、こだわるのです。工夫するのです。何度でもやり直すのです。

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「う〜ん、これでいいかなあ」
(いやあ「すごい」とか「うれしい」とか一言で伝えたつもりになってるから、こういうNGワードは使わずに、もっと別の表現ができないかな)

「こんな感じかなあ〜」
(これは詳しく説明しすぎで、心は動かされないなあ)

シンプルすぎるからふくらませないといけない……でも、ぐだぐだ書きすぎてたら削らなくちゃいけない。ただ短ければいいのではなく、長過ぎてもダメ。いかに言葉を選ぶか。選ばれた言葉の絶妙の組み合わせに、どこまで思いを凝縮できるか。そのためにひたすら磨き続けます。

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「詩」を学ぶ「国語」の勉強という様相はまったく消え去り、創作者として、相手の心に響く表現をいかに磨くかに没入している子どもたち。

「感情が凝縮された言葉は人の心を結びつける」というセントラルアイデアの実現に向かってまっしぐらです。

RI

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天気予報にチャレンジ

[5・6年生]

GWに2つのホームワークにチャレンジした子どもたち。
1つはGWの天気を天気図を見ながら自分で予測を行い、その仮説と実際の天気予報を比較してみること。
もう一つは”どうして天気は変わるのか?”ということについて今まで学んできたことを分かりやすくまとめることです。
クラスではまずそのホームワークをシェアするところから始まりました。

「天気予報してみて思ったことなんだけど、高気圧と低気圧の進むスピードの情報が大事で、遠くにある気圧がいつ日本に上陸するかを予測するにはそれを知らないと読めない。」

「たしかに。それとね、高気圧と低気圧の範囲と風向きも大切。等圧線をよく見て大きさを確認しないと!」

「急に進んでいる方向が変わる可能性があるからやっぱり風向きは大事だよね。GWに予想した翌日の天気は大体は合ってたけど途中で雨がパラパラ降ったのは全然予測できなかった。」

「テレビの天気予報でもはずれてたよ。」

「急にできる雨雲は予測するのが難しいって気象庁でも話してたもんね。」

天気予測をしてみて感じたことを語りあった後は”どうして天気は変わるのか?”ということについて各自まとめてきた資料をシェアしてくれました。
気象現象のメカニズムについての説明はできていますが、それらがどう関わり合って天気が変化していくのかということが伝わってきません。

「これじゃあテキストを見れば分かることしか書かれていないよね。よくまとまってはいるけど。気圧や雲や風がどう影響し合っているのか、そこの部分をもっとしっかりまとめないとね!」

「じゃあ”天気はどうして変わるのか?”についてKey Noteで資料を作る場合、どんなストーリーで作れば伝わりやすいかな?」と私から子どもたちに問いかけました。
しばし考える子どもたち。すると「はい!」と手が挙がりました。

「私はプレゼンテーションでは気圧の話からしていったらいいんじゃないかなって思う。結局天気ってさ、”雲”があるから変わるでしょ?その雲ができる原因の中心は低気圧だから、気圧について話してから低気圧がどうやって雲を作るか、そして雲が雨や雪や雷をどうして起こすのかって進めていくと聞いている人も分かりやすいんじゃないかな?」

「うーん。結構大事な項目がたくさんあるから説明が多くなって聞いてる人がつまらなくならないか不安だな〜。」と5年生の男の子が言いました。

するとすかさずそれを聞いていた6年生の2人が「ちょっとちょっと!そんなこと言ってちゃ始まらないよ(笑)それをどうやって面白く楽しくするのかがプレゼンじゃん!ただの説明じゃないんだから。」

6年生の言葉にハっとした様子の5年生。

「Key Conceptのところに書いてるResponsibilityの”言いっぱなしじゃないかな?”が大事なんだよ。ただの説明じゃなくてプレゼンなんだからみんなが聞きたくなるような工夫をしたりしないとさ。だから今回の始まりも最初の部分はまずは雑談からだね。」

「え!雑談?」

「そうだよ。天気に関する雑談をしてさ、それで最初の”気圧”の話に絡ませていけばいいんじゃないかな。」

「なるほど〜。」と納得のみんな。
さすがプレゼンとなると目が輝いてくる6年生たち。
いよいよテーマ学習も折り返し地点を過ぎた雰囲気になってきました。
さあ、ここからはアウトプット製作とインプットを平行して行なっていきます。
自分たちが分からないところから学んできたように、相手に分かりやすく伝えられるプレゼンを目指して追究の日々が続きます! 



YI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2014年05月16日

!から?へ、?から!へ

[1年生]

先週は、実際にわからないことを知るための調査や
プレゼンに使う写真を撮るために蚕糸の森に出かけました。
今週は、その報告からスタートです。

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蚕糸の森で、いちばん小さい花を発見。
%E8%8A%B1IMG_0054.jpg 「青くて真ん中だけ白い、黄色いところもある。」
「葉っぱが生えているところに、いっぱい咲いている。」
「つぼみがあって、たぶん今から咲くと思う。」
気がついたことを思い出しながら話していきます。
「でも、まだ名前がわからない。」
「たねは、どんなのかなぁって思う。」
次は出かけずに図鑑で名前を調べることになりました。

「コイはどこでしょう。」
%E3%82%B3%E3%82%A4IMG_0006.jpg すでに聞き手に語りかける口調で話すとは!
朝の会などで聞く、上級生の語り方をまねて言っているのでしょうか。
あっと驚くような話し方をすることもあれば、
「嘘をついちゃった。」
話の前後がよくわからないこともあります。

でも、そういうときには、
「どういう意味?」「よくわからないよ。」と 率直な質問が飛んできます。
どうやら、予想ではコイは遊んでいると思っていたけれど、
よく観察してみると、楽しんでいるようには見えなかったとのこと。
そのため、自分の予想は外れたということでした。
コイは何をしているのか、みんなの頭に「?」が浮かんできます。

遮断機を発見。
%E9%81%AE%E6%96%AD%E6%A9%9FIMG_0014.jpg 鍵が付いていて動かない。
なんでこんなところに遮断機?
「(公園管理の)おじさんに聞いてみたら、
車が入って来られないようにするための 車止めだって言ってた。」
「鍵をあけると動いて、重いけど持ち上げることができる。」
「作業のトラックが入るときに上げていることがわかった。」

なぞが解けて、よかったよかった。でも、もう終わり?

今回のテーマのセントラルアイディアは、
「身のまわりには、限りない「!(発見)」と「?(疑問)」がある。」となっています。
遮断機が車止めの役割をしていることがわかったことで、
もう疑問はないのでしょうか。まだ、何か秘密が隠れているかもしれません。

今週は朝の会で、Inquirersな行動をとった6年生がプロブレムオーナーシップ賞を
もらっていました。そこで、Inquirersってどんなことなのかが話題になりました。

%E3%83%94%E3%82%AF%E3%83%88IMGP3781.jpg今回のテーマで目指すLearner Profileは、まさに、Inquirersです。
朝の会のあと、1年生たちに、Inquirersってどんな人と聞くと、
次のように説明した子がいました。

「頭をぐるぐるさせて、どんどん勉強して、ピコーンって光る」

教室に貼ってあるInquirersのピクトグラムとようやくつながってきました。
そう、自らどんどんやりたいことを見つけていって、頭の中で
ひらめきを起こしていくことが、見っけ隊の目指す姿です。
「うーん、何をしたらいいかな」
頭をぐるぐるさせようと一生懸命悩みながら、
再び、現場に向かいます。


 %E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%93%E3%83%A5%E3%83%BCIMGP3767.jpg   %E7%99%BA%E8%A6%8B%E5%BE%8CIMGP3763.jpg

「おじちゃんたちと友達になった。」
公園管理をしているスタッフの方に親切にしていただき、
いろいろと聞き出せたようです。
早く報告したくて、うずうずしています。
スクールに戻って、言いたいことを記録に残していきました。
書きながらも、話し始めて自然に情報共有をしていました。

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そろそろプレゼンの日が、近づいてきています。
言いたいことをどう工夫していけば伝わりやすくなるのか、
来週も頭をぐるぐるさせていきます。


AN

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オリジナル地図をつくるぞ!

タイトル:ココドコ
探究領域:時空因縁

[2年生]

今週の前半は先週に引き続き、地図に載せるための情報を集めにでかけました。
今回は教室にて地図とにらめっこしながら、必ず訪れたい場所をあらかじめ決めた上での外出です。

ルートを事前に決めたら、面白さが半減するのでは?
そんな疑問を抱かれる方がいらっしゃるかもしれませんが、心配はご無用。
決められた制約の中で予想を超えた発見が必ずあるのが、フィールドワークの醍醐味です。
一体どんな発見があったでしょうか。

まず訪れたのは、吹奏楽コンクールで有名な普門館近くにある神田川と善福寺川の合流地点。
コンクリートの堤防から身を乗り出し、下を覗いて見ると・・・

20140516.001.jpg

「おおお、すげーーーーっ!景色がめっちゃきれい!!」
「ほら、見て見て。神田川の水は透明なのに、善福寺川はにごってるよ。」
「川が合流するところを見れるなんて、珍しいよね。」

早くも今回一番のおすすめスポットになりそうな勢いです。

次は救世軍ブース記念病院へ行く途中に偶然発見した和田公園です。
巨石を利用した遊具(?)が非常に気に入り、まだまだ遊び足りなさそうな子ども達。

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救世軍ブース記念病院の食堂では、いつもお世話になっている配食サービスと同じ内容の料理を提供していることを知りました。
「ほんとだ、(今日の昼食の)サーモンマリネがメニューに載ってる!」

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病院前の立法寺にて、はいチーズ!
立派な山門に設置されている仁王像や毘沙門天像はとても迫力があり、子ども達の心を鷲掴みにした様子。

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和田中近くの救世軍バザー場は前回通ったときには気づかなかった穴場のスポット。
リサイクル品を取り扱っていますが、商品の質・量ともに充実していて、子どもだけでなく、大人もワクワクするマーケットです。

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妙法寺に到着すると、寺前の通りが歩行者天国になっていました。
毎月3がつく日は出店がでるそうなのですが、想像したほどは賑わっておらず、お客さんはほとんどいません。。。
写真は金魚屋。なぜかやもりも販売しています。

20140516.006.jpg

最後は妙法寺の境内に移動し、のんびりした時間を過ごそうかと思いきや、裏の林で早速鬼ごっこが始まります。

20140516.007.jpg

それが終われば、鐘楼の階段部分を滑り台にしてみたり。
TCSキッズにかかれば、どこでも遊び場になっちゃいますね。

「今日はたくさん発見があったね!」

時間割変更を行い、3コマ分の時間を歩き続ましたが、まったく疲れた様子を見せない2年生。
大収穫の中で地図作成に挑みます。


写真は翌日のクラスの様子。
今回、地図を作成するやり方として、実際の地図を横に置いた模写を採用することにしました。

20140516.009.jpg 20140516.010.jpg

1枚の模造紙を8つのエリアに分かれるよう折り目をつけ、それぞれを分担して、作業を進めますが・・・

「神田川が環七より太くなっちゃった。これは書き直さないと。」
「環七はこの辺りで少し曲がってるね。まっすぐだと思ってたよ。」
「あれ、方南通りがつながらないよ。ちょっとこちら側の角度が急すぎたかなあ。」

地図を縦横断する幹線道路や河川から描き始めようと試みますが、なかなか思い通りに線を引くことができず、苦戦する様子が伺えます。
描いては消して、描いては消しての繰り返し。
元の地図を見て、しっかり描こうとする姿勢が次第に全員に見られるようになってきました。

「集中しすぎて、汗ばんできたよ〜」

あっという間に時間は過ぎていきますが、完成まではまだまだ遠く。
プレゼンテーションDAYまで残り2週間をきりました。
来週のラストスパートがカギになりそうです。

HY

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旅の終わりに

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

「おっちゃん、もう最後なの」

いやあその気持ちはおっちゃんも同じです。もう5週間目で、旅も終わりになってしまいました。まだまだ旅をし続けていたい気持ちはやまやま。芭蕉先生のおっしゃった「漂泊の気持ち」に心ゆさぶれるとはこういうことなのでしょう。ああこのまま「奥の細道」のごとく旅をすみかとしたいなあ!という衝動にかられてしまいます。

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最後に訪れたのは、走水・観音崎。課題図書『日本の神話』にはまり、その中でも心ひきつけられたヤマトタケルとオトタチバナヒメの伝説の舞台に足をのばしました。

嵐の海を沈めるために身を投じたオトタチバナヒメ。その日を彷彿させるような雨模様でした。いつもならくっきり見える対岸(千葉県)がまったく見えず、内海のために天候とは裏腹に不気味に穏やかな海面を見ながら歩きます。

「もうオトタチバナヒメが飛び込んで海をしずめたのかなあ」

ある子がつぶやきました。早くも創作のイメージと結びつけているのですな。

IMG_3354.jpg  IMG_3356.jpg

走水という名前は、海峡部分で潮流が速いという意味が込められていますが、豊かに「水」がほと「走」るところという意味にもとれるぐらいの「名水」の湧き出る場所なのです。今でも神奈川県民の大事な水源となっています。そんな「名水」を飲めるというのですから、のどをうるおします。

「やわらかい」
「ぬるいのにうまい」

蛇口から出てるただの水なのにこんなにうまいとは。

おいしい水を飲んでさらに元気になったところでまた歩く。目指すは走水神社。ヤマトタケルとオトタチバナヒメをおまつりする社です。

IMG_3366.jpg  IMG_3368.jpg

「ついたぞ!」

日本の神話にはまり、八百の神様をカードゲームにしてしまった彼ら。そんな彼らが訪れたいと思っていた「聖地」にやってきたのですから、感慨もひとしおです。

「さねさし相模(さがむ)の小野(おの)に燃ゆる火の……ああ、あの歌だ!」

日本の神話の中に出てきたオトタチバナヒメが身を投げる直前にヤマトタケルに送った歌が立派な石碑になっているではありませんか。この碑を建てたのはまさに「坂の上の雲」に関わる人たち。東郷平八郎と乃木希典を含む当時の軍幹部でした。子どもたちはそんなことを知る由はありませんが、古代の神話と近代の歴史との交わりがこの地にはあるのです。

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あまりにもじっくり神社を参拝している子どもたちが珍しかったのか、神社の管理人さんがちょっと上がっていきなさいよと声をかけて下さいました。人と自ずと交わりが生まれるのも「旅」の醍醐味です。

社務所の中には、なんとオトタチバナヒメが入水する場面を描いた絵の「本物」が飾られていました。間近にみると髪の毛一本一本まで繊細かつ精密に描かれている本格的な日本画です。

海に二つの神輿を浮かべるお祭りを今でもすることや、どこにオトタチバナヒメの着物の袖や櫛が流れ着いたかについての諸説など、面白い話をたくさん耳にしました。

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そして……外に出ると

「ああアマテラスが出て来た」

ほんとうだ。もはやただの旅ではなく、神とともに歩んでいるような気になってきます。

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晴れてきた頃合いに海辺の磯づたいを歩きます。さっきより波が荒いような……三浦半島の突端、観音崎はもう目と鼻の先。太平洋が近づいてきた気配を感じます。

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岬にぽつんと立つのは、日本で初めてできた近代式灯台です。今でも働き続けている灯台に登ってみると

「わあ高い!」

絶景ですが、すぐそこに見えるはずの房総半島が、今日は視界が悪く見えません。しかし、ひっきりなしに海峡を通過する巨大なコンテナ船に目を奪われてしまいます。

「でっかい船だなあ。こんなに船が行き来してたら、海の信号みたいな灯台も気が休まらないだろうなあ」

人気のないところにぽつんと立ち、淡々と仕事を遂行する灯台のひたむきな responsibility を感じます。

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強い波が、幾重にも押し寄せ、眺めていて飽きることがありません。なんとも円形の穴がいくつもあいていて、幾重にも掘られた溝があり、複雑な形状をしている岩の上にいると、地面の先端で波と闘う岩の気持ちや反対に岩を削る波の気持ちが頭に浮かんできます。

そんな岩の合間にできた潮溜まりに目を移すと、さまざまな海の生物が!イソギンチャクに小魚。わあ、でっかいカニもはい出すよ。もちろんフナムシ君も走り回ります。

「えっ?もういかなくちゃいけないの」

ふつうの学校行事の時程では考えられないほどゆるいスケジュールなのにもかかわらず、あっという間に時間が過ぎてしまいます。そうだよなあこれが啄木や牧水だったらこのままこの浜にずっとたたずむのだろうなあという気がしてきます。

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豊かな生物と植物にあふれ、古代の歴史のロマンがあふれる土地でありつつ、砲台や要塞の跡がそのまま残る、近代軍事史の舞台。最後の旅にふさわしい場所でした。

さあ、こうして蓄積された体験からいったいどんな「詩」が編まれるのか。楽しみです。

RI

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プレゼンを意識する

[5・6年生]

今週は2週間後に控えたプレゼンテーションに向けて今まで学んできたことを分かりやすくKey Noteにまとめつつ、平行して自分たちで天気予測を行なう練習を重ねていきました。

まずは今まで探究してきたこと、つまり”天気はどうして変わるのか?”ということについて分かり易く伝えるためには何をどう伝えれば興味を持って理解してもらえるだろうか?ということについてディスカッションを行ないました。

「やっぱり天気っていうと雨・晴れ・くもりっていうイメージが強いでしょ?だからそういう気象のメカニズムについて図とかを使って説明しようよ。」

「雲も大事だよね。雲があるから天気が変わるって言ってもいいくらいだもん。雲がどうしてできるのか?ああぼくこれまとめたいなぁ。」

「気圧もかなり大事だよ。天気予報には欠かせないしさ。けどさ、わたしたちもそうだったけど気圧って言われてもピンとこない人が多いから分かり易く伝える工夫をしないと。低気圧と高気圧の特徴をあげて対比させたら分かり易いんじゃない?」

「これさ、週末にi-Padで叩き台を作ってきたから見て。」

「いいね。たださ、説明はしっかりできてると思うけど情報が多すぎて全部は読めないよ。文章が多いよりも図とか絵を使って大事なポイントを書いてさ、あとはプレゼンすればいいと思うよ。」

6年生からの具体的でポジティブなフィードバックです。
一緒にテーマ学習をやる度に成長を感じさせてくれます。こちらも負けていられません。

木曜日の見学日にはたくさんの方がいらっしゃいました。
子どもたちは見学者たちの前で実際にお天気キャスターになりきり、天気予報を行なってみることにチャレンジしました。
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色々な気象予報からの”マネぶ作戦”で天気予報のポイントや天気用語を分析したことが活きているようで、なかなかの予報っぷりです。
最近の天気に関するリフレクションをしてから天気予報に入る型や生活のアドバイスを入れることで聞いていて引き込まれる予報となることを感じ取り、実践に活かしてみたことは功を奏しましたが、予報自体は外れてしまいました。
なんで外れてしまったのか分析していくと、地上天気図にある現在の気圧配置から数日後の気圧配置を予測するには気圧の速度と方向から計算する必要があることに気が付きました。
調べていくと地上天気図の緯度10度が約1110kmの縮尺に当たることにたどり着きました。

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ちょうど高学年は算数でも時速の計算をしているので実践でそのスキルを活かすことができ、得意な様子!

なんとか地上天気図については大分使いこなせるようになってきたのではないでしょうか。
あとは雲画像や雨画像、高層天気図と重ね合わせて予測の角度を高めていくことに力を注いでいきます。さあここからが勝負だ◎  




YI

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2014年05月19日

プレゼンテーション5/29

TCSプレゼンテーションのご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のプレゼンテーションでは、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

活動の成果を発表するプレゼンテーションでは、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。
※見学をご希望の方は、下記要領にてお申込みください。

               記

【日時】 2014年 5月29日(木) 9:30~11:30頃 

【場所】 セシオン杉並 2階 視聴覚室
     (東京都杉並区和泉4丁目42番5号)地図
     ※東京メトロ丸の内線「東高円寺駅」より徒歩5分     

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール (担当:戸嶋・若林)
 TEL:  03-3313-8717
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。
     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2014年05月23日

今までの発見を語る

[1年生]

さぁ、テーマ最終週。一人ずつのプレゼンを磨いていきたいところです。
でも、その前に、先週発見したことを報告し合いました。

「図鑑で同じ花を見つけたら、キュウリグサって名前だった。」
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「キュウリのにおいがするよ。」
「ほんと?」
「葉っぱをずっと触ってると、ほんとにしたよ。」
「へぇー。」



「ポールは、火事のときにお水が出るって言ってた。」
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「火事のときは、門からもお水が出るんだって。」
「どこ?」
「事務所の近く。」
「どこから出るの?」
「シャワーみたいに出るって言ってた。」
「ふーん。」

「蚕糸の森のおじちゃんたちは、いじわるなのかな?」
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ネコに餌をあげている人たちから捨て猫の話や、
公園管理の人がネコを追い出そうとしている話を聞き、
実際に、公園管理の人に聞いてみると、
「ネコに餌はあげないでね。」と言われ、
ハテナアンテナがビンビンと揺れている様子です。
「ネコが嫌いなのかな?」

気になることは、確かめに行こう!
ということで、最後にもう一度、蚕糸の森に行き、
全員で、キュウリグサ・シャワーの門・ネコのことを調査することにしました。

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「ほんとにキュウリのにおいがする!」
「横からシャワーが出るんだ。」
「おじちゃんたちも、動物は好きだって言ってるよ。」
「公園には、ネコが嫌いな人もいるから、ノラネコが来ないようにしてるって。」
「腐った餌をネコが食べたら大変だからだって。」

火事が起こったときの放水対策や車止めの設置、ネコの対策など
誰でも安全に公園利用ができるよう工夫されている点において、
一人ひとりが選んだ発見には、つながりがあることもわかりました。
「だから、防災課って書いてあるんだ。」
ポールに防災課と書いてあったことから、
防災の意味を確認していたこともここでつながりました。


プレゼン用の写真も全員決まり、
プロジェクターに映して、これまでの発見を語ってみます。
「声が大きくていいね。」
「お客さんの方を見てたところがよかった。」
よかった点をお互いに出し合い、
「名前の話をしてなかったよ。」
「まっすぐ立ってた方がいいよ」など、
話し忘れていたところや直した方がいいところを出し合い、
もっとよくしていけるよう心がけていきます。

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i-Padで撮影し、自分がどのようにどんなことを話したのか振り返ります。
友達の話を聞きながら、止まってしまったときには、
そっと助け舟を出すことも。
初めての発表に緊張しつつも、仲間が助けてくれる安心感もある様子です。

みんなで見つけた発見76個。
その中から、ひとつを選び、さらに追究して個々人で見つけ出した発見も
お互いに内容を共有し、自然と自分たちの発見になっています。

そのことを裏付けるかのように、国語の時間にこんな発言が出ました。
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「スイミーは、一人見っけ隊で楽しいのかな?」

スイミーが海の中で面白いものをいっぱい発見する場面での一言でした。
6人だからこそ楽しく発見がたくさんできたという体験が、
『スイミー』の読みを深めていきます。



発表時に配布する地図も並行して作っていきました。
実際に見に行ってもらえるよう、
一言メッセージを添えました。
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あとは、本番までプレゼンを磨いていくのみになりました。
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「学帽を被って発表したい。」


今まで発見してきたことを自分の言葉で説明することに、
1年生が果敢にチャレンジします。


AN

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方南町たんけんマップ完成!

タイトル:ココドコ
探究領域:時空因縁

[2年生]

今週は地図完成に向けてのラストスパートの1週間となりました。

今回作成する地図の大きさはなんと模造紙2枚分。
上下の地図が合っていないと大問題です!
そのため、都度、道路や川のずれが発生していないかを念入りに確認していきます。
万が一ずれていた場合にはもちろん書き直し。
大変細かい作業ですが、ここが踏ん張りどころです。

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地図の下書きと並行して、おすすめポイントの内容とレイアウトを検討中の女の子二人組。
様々なパターンのたたき台を準備して、クラスメイトに意見を求めます。
自分なりの工夫が盛り込まれていて、なかなか良いぞ!

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下書きが完成すると、いよいよペンで清書していきます。
まずは、地図を縦横断する川や主要道路から書き込んでいき、次に細い道や建物を付け加えます。

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少し離れた場所に椅子を置き、その上に立って地図を俯瞰しだす子ども達。

「うーーーん、僕たちが通ってきたルートを赤色でもっと目立たせた方がいいかも。」
「救世軍バザーの説明を貼る場所は、こっちの方が良くない?」
「上の地図に比べて、下のは写真の数が少なくて、ちょっと寂しいなあ。絵も描いてみようよ。」

自分たちの作品をより良くするためにはどうしたらいいか。
昨年1年間で探究の素地を鍛えてきただけに、「とりあえずこれでいいや」で簡単に終わらせない姿勢が頼もしく感じます。
「そういえば、地図にタイトルがないね。どんなのが良いと思う?」と尋ねてみると、「方南町おさんぽマップ」やクラス名を入れた「変とラマップ」などが出てきましたが、いまいちしっくりきていない様子。

「いろいろ歩き回ったんで、やっぱり『たんけん』って言葉を絶対に入れたいよ。」
「じゃあ、『方南町たんけんマップ』だ。」
「いいねーー!!早速、地図にタイトルを描こう。」

なんとかタイトルも決まり、建物や公園などを塗り込んで、地図は一旦完成。
誰からともなく自然と拍手が沸き起こります。

「もう間に合わないと思ってたけど、完成して良かったよ。」

ある男の子がぽつりとつぶやきました。
自分たちの力で大きな地図を作り上げたという達成感はもちろんですが、期限までに作業を完遂できたという安心の気持ちが同時にこみあげてきたようです。
本当にお疲れ様!!

あとはプレゼンテーションに向けての発表練習を残すのみ。
本番が楽しみです。

HY

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人の心を動かす

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

詩のメモをつくる……声に出して読んでみる……聴いてもらう……どんなイメージを抱いたかフィードバックをもらう……そしてまた書く。そんなサイクルに子どもたちは没頭しています。

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今回、「詩」をつくることで目指すのは、直接的に、いわゆる「国語力」と呼ばれているものを伸ばすためではありません。「詩」が担っている「声」と「文字」とをつなぐ特性を通じて、メディアとしての「詩」が、人と人とをつなぐ役割を実感するのが目的です。

そもそもことばは、ヒトの「声」と不可分なので、頭の中だけで知的に処理するというアプローチを許しません。「身体性」を解放し、ことばを発した自分と発せられたことばを受けとめた相手との間に心の振動という共鳴を引き起こすものです。そんなことが実際に起こるのか、それによって人と人とのつながり、そして自分の意識にどんな変化が起こるのかを、子どもたちは追究しています。

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スクールにはほぼ日替わりでさまざまなバックグラウンドを持った見学者が来ます。その人たちは、いわゆる「一見(いちげん)さん」。したがって、子どもたちのことを知りません。今はそれが好都合。自分たちのキャラに頼ることはできず、つくりだした「詩」の力を試すことができるからです。

「すみません。ぼくたちの詩の判定をしてください」

子どもたちは、プレゼンテーションデー当日と同様のスタイルで、見学者に自分たちの詩を評価してもらうように頼みました。もちろん見学者はそんな面白い誘いを断ろうはずがありません。さあ、真剣勝負の始まり。このシリアスさこそただ楽しいのではない、探究ならではの hard fun の真髄です。

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対戦相手と勝負するわけですが、子どもたちの意識はまったくそこには向いていません。ことばと声と必要最低限の身体表現で、いかに自分の世界を相手に見せ、魅せることができるか。その一点に集中し、演じています。いっぱしのパフォーマーになっちゃっているじゃありませんか。

パフォーマンスが終わり、審査タイム。

「うん、困った。選べない……」
「こりゃあまいったなあ」

息もつけずにじっと見入っていた大人の審査員が本気で頭を抱えています。いやあまったく審査員泣かせ。あまりにも子どもの表現レベルが高く、いいか悪いかではもちろん選びようがありません。となると、あとはどれだけ自分の心に迫ってきたかしか評価基準はないのです。ということは問われるのは、子どもたちだけでなく、受けとめる方の感性。選んだ後は、しっかりフィードバックを子どもたちに返さなければなりません。それが子どもたちのさらなる探究の原動力となり、タネとなるのですから、うかつなことは言えません。

すべての対戦が終わったとき、ぐったりしていたのは審査員でした。本当に、お疲れさま。そしてありがとうございました。

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価値あるフィードバックをもらった彼らは、さっそく修正に入ります。今学期から一人一台ずつ持つようになった i-pad が大活躍。お互いのパフォーマンスを動画機能で撮影し、それをもとにどうしたらいいかふりかえります。いやあこういうことを自然に始めてしまうのがデジタルネイティブな世代なんですかね。「もっとゆっくり」って言われても自分ではどうゆっくりすればいいのかわからなかったのに、IT 機器の特性をしっかり活かして学びにつなげています。「ひとのふりみて」ではなく「自分のふりみてわがふり直せる」ようになったのです。こりゃあスバラシイ!

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後は、満を持してプレゼンテーションデーを迎えるばかり。さらに子どもたちの探究度はアップする一方です。

RI

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2014年05月29日

ワークショップ 6/29
「探究を探究する」〜ねらいを超える学びの理論と実践

探究する学びをデザインする指導者のためのワークショップ
「探究を探究する」〜ねらいを超える学びの理論と実践〜

>>チラシをダウンロード
※ただ今、キャンセル待ちにて承っております。

 世界各国において「新しい学力」の育成が提唱される中、日本においても今やグローバル教育、国際バカロレア(IB)プログラム、21世紀スキル、反転学習…これらの教育改革が奔流として一気に流れ込むことを止められない状況になっています。TCSでは、この流れの本質である探究する学びをいかに実現するかを追究し流れを先取りしたワークショップを行ってきましたが、今年度いよいよ新たなフェイズへと突入します。
 「探究する学び」は、単なる手法ではありません。正解のない探究する学びをしていくことで、学びのねらいを超えるものを得ることができる、その体験をしていただくために、今回は「学習者像(ラーナー・プロファイル)」を題材として用いながら、理論的な裏づけとともに探究する学びの実践へとつなげていきます。自ら探究する人材となるべく、参加者同士が概念を共有し新たな「意味」を共に構築していくプロセスを、インタラクティブなスタイルで学んでいただきます。
 以前に参加経験がある方も初めての方も、探究する学びに興味関心のある方なら、どなたでも参加できます。
【テーマ】 探究を探究する」〜ねらいを超える学びの理論と実践〜
【日 時】 2014年6月29日(日)9時00分~17時00分
【会 場】  東京 ユビキタス協創広場 CANVAS 2階
【WSリーダー】 市川 力、久保 一之
※プロファイルは、下記をご参照ください。
【対 象】 教育関係者、一般
【定 員】 25名(要申込)※満席の為キャンセル待ちにて承ります
【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)

【申込締切】 2014年6月13日(金)

【申込方法】 eメールにて、下記までお送りください。
 メールの件名を「参加希望ワークショップ0629」とし、参加を希望するすべての方について、以下の事項をお知らせください。
    1.氏名(ふりがな)
    2.所属(勤務先会社名、学校名等)
    3.e-mailアドレス(PCアドレス)
    4.日中の連絡先(緊急用)
    5.講座を知ったきっかけ(ホームページ、知人、新聞・雑誌名、SNS名等)

お問合せ・お申込みは、
 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで
TEL:03-3313-8717  FAX:03-3313-8790
e-mail: s14#tokyocs.org

※メールアドレスの「#」を「@」に直してください

(ご注意)
※お申込後3〜4日のうちに受付確認および参加費支払のメールが届かない場合はお電話にてご確認くださるようお願いします。
※受付確認をさせていただいた時点で参加費が発生します。
※参加費ならびにキャンセル料の取扱いについては、規定をご覧ください。
※お申込キャンセルの場合、規程のキャンセル料との差額分をクレジット扱いにて、次回以降の参加費に充てさせていただきます。
※申込締切日以前のキャンセルについては返金を承ることもできます(振込手数料をご負担いただきます)。ご希望の際はご相談ください。

※できるだけ多くの方に参加していただきたい思いがあるので、万一キャンセルの場合は、早めにお知らせいただけますと幸いです。


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主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
協力: 株式会社内田洋行
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WSリーダー プロファイル

市川 力(いちかわ ちから)
Riki_classroom_small_up2.jpgNPO法人東京コミュニティスクール校長

米国にて13年間日本人駐在員の子ども対象の学習塾を運営。現地の学校で行われていたプロジェクトベースの学びに触れ、『学び続ける力』を育てる教育実践に強い関心を抱く。2004年8月より東京コミュニティスクール初代校長に就任。自ら現場に立ち、初等教育における探究型学習の研究・開発・実践を行っている。
主な著書は、「探究する力」(知の探究社)、「英語を子どもに教えるな」「教えない英語教育」(ともに中公新書ラクレ)。講演多数。

久保 一之(くぼ かずゆき)
KAZU_casual_small.bmpNPO法人東京コミュニティスクール創立者・理事長
小学生から大学・社会人までの教育に幅広く携わる中で、探究型の学びの研究開発・実践・普及活動、学校教育の国際化支援等に特に力を入れて活動。国際バカロレアの初等教育プログラム(IB-PYP)の研究を通じて日本の小学校教育の未来像を提案している。
株式会社グローバルパートナーズ代表取締役社長、株式会社ビジネス・ブレークスルー コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学 准教授・同大学院 講師。

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会場案内

株式会社内田洋行本社 東京ユビキタス協創広場CANVAS
2階

住所) 東京都中央区新川2-4-7
URL) http://www.uchida.co.jp/company/showroom/canvas.html

map.uchida-tokyo-canvas.gif交通のご案内(地下鉄をご利用の場合)
東京メトロ 日比谷線「八丁堀駅」下車、「A4」出口より徒歩4分
東京メトロ 日比谷線・東西線「茅場町駅」下車、「1番」出口より徒歩5分
JR京葉線「八丁堀駅」下車、「B1」出口より徒歩5分
※お車でのご来館はご遠慮ください。

2014年05月30日

「「蚕糸の森」見っけ隊」~ふりかえり~

[1年生]

身近なところから発見や疑問をたくさん見つけること、
その発見をとことん追究していくことをやっていきました。
発見は、ただ見つけただけではそれに尽きてしまいます。
でも、それが、どういうものなのか観察していくことで、
新たな発見や疑問を見つけ出していきました。

プレゼンテーションでは、自分が追究してきた発見について、
自分の言葉で説明することに挑戦しました。
練習では、声の大きさや話すスピードまで気をつけ、
回数を重ねるごとによくなっていきました。
いざ、本番。ほとんどの子が、聞き手に届く声を出すことは
できませんでした。
人前に出て話すことの難しさを経験し、さらに、
多くの方に、見てもらい、いただいた
good and betterの貴重な意見は
次に活かすための「学びのたね」となりました。

「これからも、いろいろな場所で見っけ隊をしてください。」
とのコメントに、
「見っけ隊、やめないよ。」と答えていました。
蚕糸の森には、まだまだ発見できるものがありそうだということ、
ひとつに絞った発見の中にもまだまだ秘密がありそうだということを、
知った6週間でもありました。
今後、蚕糸の森だけでなく、何気なく過ごしている場所にも
発見や疑問は限りなくあることを、アンテナを張って、
どんどん感じとってもらいたいです。

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TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「ココドコ」~ふりかえり~

タイトル:ココドコ
探究領域:時空因縁

[2年生]

「地図」に注目し、リニューアルを図った今テーマ。
俯瞰することと抽象化することの意味と意義をフィールドワークを
通して追究してきました。

最初は地図記号がほとんどわからない状態でスタートしましたが、
地図記号の場所には一体何があるのか自分の目と足で確かめに行く
ことで、地図を読むことの面白さに気づき始めました。

地図を片手にスクールまで帰って来られるかに挑戦した「まちなか
オリエンテーリング」では、途中迷子になりながらも何とかミッシ
ョンをクリアすることができ、地図があればどこでも行けるという
自信を身につけたようです。

自分たちがオリジナル地図をつくる段階においては、主要な場所の
記号化とテーマとは無関係な場所の省略が地図を見やすくすると考
えるに至りました。
「正しい経路を目立たせる」「できるだけ正確な形や角度で描く」
「目的地を目立たせる」「分岐点には目印を加える」「間違った経
路にも目印を加える」など見る人が迷わない工夫を盛り込み、わか
りやすい地図を作り上げることができたのではないでしょうか。

以前から馴染みがあった場所についても、地図の活用を通じて、実
際の距離と体感の距離に大きなギャップがあることに気づいたよう
です。

1年前の『「蚕糸の森」見っけ隊』から活動の範囲を大きく広げ、
フィールドワーカーとしての素地を培った子ども達。
これからますますフィールドワークの面白さにはまり、どんな発見
と疑問を見つけてくれるのか、今から楽しみです。

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TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「詩人の旅」〜ふりかえり〜

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

詩の柔道当日。磨きに磨いてきた自信の作品を聴衆に披露すべく、子どもたちはテンションMAXです。

8人の子どもたちは、くじびきしてその場でチームメンバーが決まります。2チームに分かれたら、「詩の柔道スタイル(なのかどうかちょっと微妙ですが……)」で、先鋒・次鋒・中堅・副将の順を1分間の作戦タイムで決めます。お互い誰がどんな詩をぶつけてくるかよ〜く手の内を知り尽くしています。そのうえで先に3つ勝つためにどんな順番でゆくか考えます。

さあオーダーが決まったらいよいよ4対4で対戦開始!あれっ?大将がいないって?はいそうです。もし4戦して2−2になったら最後に「大将決戦」で決着ということです。

審判は3人。「理事長」「保護者代表」そして過去に「詩人の旅」を学んだ5・6年生チームです。2本の旗を持っていて、「こっちがいい!」と思ったチームの色の旗を挙げてジャッジというところも柔道風。

いざ対戦開始!

いやあ審判団に苦悩の色が……あまりにも作風が異なったり、どちらも惹かれたりと困難な選択が続きます。決着は「大将戦」までもつれこみ、紅組の勝ちということで落ち着きましたが、あくまでも選ばれた審査員の「主観」ですから、聴衆の中には、判断が異なる人たちがたくさんいた様子。勝った方も、負けた方も、単純な勝ち負けよりも、審査員が返してくれることばのフィードバックにしっかり耳を傾けていました。

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スクールに戻って、いつものごとくフィードバック用紙をみんなでチェックしましたが、なんと better がない。

「better を書かないと学びにならないとはわかっていますが、今回だけは本当に心が動いたので書けません!」

いつもは辛口(つまりgood feedback)をくれる人たちも、今回は、素直によかった!と書いてくれています。これこそ、ことばの力で人の心を動かしたという証です。見事にセントラルアイデア達成です。

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ということで残りの時間は、自分の詩を記憶にとどめるべく、万感の思いを込めてじっくり「清書」しました。文字だけでなく、絵も添えて、思い出に残るものができあがりました。

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「思いが凝縮されたことばを紡げば人の心はつながる」というセントラルアイデアが、ただあちこち旅をし、詩作を重ね、磨くことで実現されました。それも「つながった」のは、詩を受け取った聴衆とだけではありません。1学年進級し、新しい学び仲間と出会った当初の、ぎくしゃくした感じが、自ずと消え、ともに旅をし、お互いに詩を磨きあう仲間としてお互いを認め合える「つながり」が生まれました。

本当に楽しかった。面白かった。やっぱり「詩人の旅」はやめられません!

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