東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2015年02月 アーカイブ

2015年02月02日

「エイリアン・パラダイス」~ふりかえり~

タイトル:エイリアン・パラダイス
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「異質との相互作用が変化を生み出す。」

[1・2年生]

プレゼンテーションでは、自分の作ったポスターを横に、しっかりと聴衆に目を向けて、伝えたいことを語っていた子どもたち。物怖じせず、語れる姿は立派でした。あとは、声を大きくしたり、抑揚をつけたりできるように工夫していくことが次への課題となっていくことでしょう。

今回は伝えたいことを五・七・五にまとめるという条件をつけました。制約ができたことで、自分が何を感じたのか、どう考えてきたのかを明確にするきっかけができ、調べてきたことを「絞る」という作業につながりました。
「インコもね おたがいさまよ にんげんと」
「カラスくん とかいで生きぬく ちえをもつ」
外来種が都会で増えていき、被害をもたらしている。けれど、移り住む原因をつくったのは人間です。迷惑しているのは外来種も人間も同じじゃない?という意見や、外来種も新たな土地で一生懸命に生き方を探しているんだと、外来種の目線で捉えた意見もあがりました。

プレゼンテーション後、聴衆から「外来種はいない方がいい?」という質問を受けたとき、意見が2つに分かれました。在来種が減るからいない方がいい。いろんな生き物がいた方が面白い。 在来種が減ってしまうことで、生態系のバランスが崩れると、種の数そのものが減ってしまう危険があります。でも、外来種のワカケホンセイインコは、外敵にやられることも多く、増えても減ってもいないことや、タヌキは目撃されることが多くなっただけで実際には増えているわけではないと、調べた結果わかったこともありました。外来種が入ってくることで悪いことばかりではないという見方をしていたのです。

では、外来種が入ってくることでいいことはあるのか。
ふりかえりの時間に聞いてみると、
「輪(生態系)の中に入ればいい。」
「人間の言葉がわかる道具をつくればいいかも。」
「商品にならない農作物を食べてくれれば、無駄にならなくていい。」
「外来種が迷惑なことをしたら、どうすればいいか考えるから人間の学びになる。」
外来種がもらたす影響をどう克服していくか。前向きな意見が出てきました。
今後、外来種からの作用だけでなく、在来種からの作用にも目を向けていけると、さらに視野が広がることでしょう。問題に向き合い、自分たちがしていけることを考えていく「共存共生」の第一歩を踏み出したところです。

AN

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「One for All, All for One」~概要~

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

探究領域「社会寄与」は、自分が社会の一員としてよりよい社会の実現にどう寄与するかという探究です。
昨年度のテーマ「おかげさま」では、自分達の生活が目に見えない多くの人たちのおかげで成り立っていることを学びました。

そんな2年生が次に挑むのは、「人のために行動するとは?」というテーマです。

やるべき仕事を手を抜かずに行うことができただろうか?
人のためにもっとできることはないか?

実際に動いてみて、自分の仕事ぶりを振り返ることで、人の役に立つことの難しさや大変さを実感することになるでしょう。

しかし、「情けは人のためならず」ということわざがあるように、とことん人のために行動し、やりきることで、当初は想定していなかった自分たちとのつながりが見えてくるはず。
6週間かけて、そんな思いがけない気づきを追究していきます。

HY

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「Dear Editor」~ふりかえり~

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5・6年生]

なんとかプレゼンテーションデーまでに本を完成させることができました。まずはホッと一息。あとは、もう一度、誤字脱字やレイアウトの微妙なズレなどをチェックして製本するだけです。ついに子どもの編集による子どもの本ができました。

お披露目の反響も上々。子どもたちも、保護者も、出来映えに感心し、

「はやく読みたい!」

という声を多数いただきました。

子どもの不完全な文章を編集するということがこれほど学習効果があるとは、予想を大いに上回るものでした。不完全とは言っても子どもらしい魅力がこもっています。ただ、表現力が未熟なためにそれが伝わりません。豊かな想像力を、自分たちの編集力で価値を上げたいという強い気持ちを持って作業に取り組んでいました。なんとか読み解き、直接やりとりしながら、表現したい世界を構築してゆく。そのためには、必死になってどうしたらもっとよい文章になるか考えなくてはいけません。これまで自分の作文でもここまで真剣には考えてこなかったでしょう。むしろ、かわいい後輩達だからこそ、なんとかしてやりたいと思えたわけです。こうして編集者は、めきめきと文章表現力を高めてゆきました。

一方、編集された子どもの方も、自分の作品が、どんどんステキなものに変貌してゆくのを見て、ああこう書けばよかったのか!と、新たな気づきを得ました。編集する方だけでなく、された方も、表現する力を伸ばすきっかけを得るという深い学びになりました。

最後に……編集者のことばがなかなかよかったので引用しておきます。

子どもはすごい。なんでって?意外性のある発想を恥ずかしいとも思わずスラスラと素直に書くからだ。思わず笑ってしまうようなちょっとおかしな世界。その世界を大人が編集すると子どもの思いがかき消されてしまう。だから私たちは同じ子どもだからわかる子どもの目線で、その思いを消さないように編集しました。子どもたちの世界にどっぷりつかるつもりで読んでいただけたらと思います。
Dear Editor 編集部一同

RI

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2015年02月03日

「おかげさま」~概要~

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

「私たちはみんなのおかげで生きている。」
当たり前のように思えて、わかったつもりにはなっていないだろうか。
みんなって誰?おかげって何?
このセントラル・アイディアを掲げながら、その言葉のもつ意味をじっくりと探っていきます。 まさに、陰になって見えない状態の「お陰」に、光を当て、
そこに何が隠されているのかを見ていこうというわけです。

誰かのために何かをする。
自分のためにやったことが結果として誰かのためになっている。
人の行動が誰にどうつながっていくのか、遡ったり、追跡したりしながら、
行為の一つひとつを分析していきます。
その上で、今回は、人の動きを「運動」「創造」「保守」の3つに分けて、
分類していきます。
ただ人のしていることを観察するのではなく、
この動きは何のため?と常に「?」のアンテナを フル活動させていきたいところです。

普段、見えていない部分を見ていくことで、
目の前のあるものの「陰」の部分「おかげさま」が見えてくる。
視野や見方を広げ、自分の行為に立ち戻ったとき、どんな変化が起きるのか、
社会寄与の第一歩を踏み出します。

AN

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「ロストエナジー」〜概要〜

タイトル:ロストエナジー
探究領域:共存共生

[5年生]


私たちは、日々、快適で便利な暮らしを営むためにエネルギーを用いています。
エネルギーを作りだすには資源が必要で、石油などの資源は有限です。

東日本大震災と福島第一原発事故の発生以降、節電や省エネが声高に叫ばれるようになり、原発・エネルギー政策は都知事選の争点にも掲げられるほどです。
しかし、その内容を見ると「脱原発 vs 原発推進」といった単純な二項対立に陥っており、従来の価値観にとらわれている感は否めません。

エネルギー使用にはメリット・デメリットの両面があり、どの選択が正解とは言い難いものがあります。
その中で、私たちは自分たちの価値観を見直し、電力に依存しない生き方をどう実現していけばよいか考え抜く必要があると言えます。

本テーマ学習では、エネルギーが私たちの生活に及ぼすエネルギー問題を切り口として、「原子力はいけない、自然エネルギーだったらよい」というような一方的な判断ではなく、避けることのできない「葛藤」をいかに乗り越えてゆくか考え、50年後の未来の姿を大胆に予測します。

RI

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「エキシビション」〜概要〜

[6年生]

タイトル:エキシビション
探究領域:共存共生


エキシビションとは、卒業研究のようなもの。
ただ、普通の卒業研究とひと味違うのは、ここまで学べるようになったことを思いっきりcelebrateし、これからも学び続けてゆくようにencourageするところです。

よい成果を生み出すことは大事ですが、それ以上に、学びのプロセスにどれだけ情熱を傾けていたかが評価のポイントとなります。

テーマ決め、プラン、リサーチ、まとめ、そしてプレゼン準備まで、すべて子ども主導で行います。
しかし、ただ好きだからという理由だけで、どんなテーマを選んでも良いと言う訳ではありません。
社会的な意義があるテーマを選ぶということ、それがエキシビションの制約条件です。
周囲の大人に求められるのは、初めて本格的に自ら選んだ課題追究に向けて旅立った子どもたちをサポートすること。
スクールで培ってきた「学び続ける力」が十分に発揮できるよう支えることが私たちの責務です。

発表日は2015年3月21日(土)。卒業式の日に行います。

みんなで応援しましょう!

RI

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「からだに栄養 こころに栄養 〜概要〜 」

タイトル:からだに栄養・こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:『心身の元気は生きる勇気』

[3・4年生]


私たちはよく挨拶でも「元気ですか?」、「元気だよ。」といったように”元気”という言葉を発し、耳にします。

では”元気”とはどういう状態なのでしょうか?

”元気”になるにはどうすればいいのでしょうか?

そもそも”元気”とはなんなのでしょうか?

また、元気な人生を送るためにはどのような選択が大切になるのでしょうか?

知っているようで知らないことが多い私たちの”からだ”と”こころ”の元気、そしてそのつながり。

さあ元気に生きていくための探究が始まります!

YI

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2015年02月06日

オカゲサマ?

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

テーマタイトルである「おかげさま」という言葉は、
1年生の子どもたちにとっては、馴染みのない言葉のようです。

「オカゲサマ?!」「何それ?」
「あまり言わないなぁ。」
「どっかで聞いたことあるような・・・。」
「おつかれさまっていうのは言われたことあるよ。」
「ある、ある!家に帰ってきたとき、おつかれーって。」
「なんで、疲れていることわかったんだろう。すごいって思う。」
「でも、おつかれーっていうけど、おかげーって言わないね。」
「似てるけど、意味は違うのかな。」

似ている言葉と照らし合わせ、知っている事柄から糸口を見つけようとしています。
「おつかれーは、疲れたときに使うから、おつかれの“お”はおてがみの“お”と一緒かな。」
以前、国語の時間にアーノルド・ローベル作の「おてがみ」という物語を読んだことがありました。
「てがみ」ではなく「おてがみ」と書いてあることから、
そのときは、大切なものやていねいに言いたいときには「お」を付けるという話題になりました。
「そうだ!おてがみの“お”だ!」と盛り上がります。
「おべんとうの“お”」「おすしの“お”」
「“さま”は偉い人につくから、おかげさまは偉い人に使うのかな?」

オカゲサマを分解して、たどりついたのは、「かげ」。
「かげって何だろう?」
「黒くなるのが、かげ?」「かげでコソコソするのかげ?」 もやもやは消えません。
そんな中、思い出したかのように、一人が「おかげって使ったことある!」と叫びます。
話を聞くと、前に友達のお母さんに言われた通りに体を動かしたところ、怪我をしてしまったとのこと。
「あの人のおかげで怪我したって言ってた気がする。」
「それなら、バレエの先生が声をかけてくれたおかげで上手にできるようになった。って使うこともできるよ。」
おかげには、いいおかげとよくないおかげがあるってこと?
ますます、子どもたちの頭の中はもやもやしてきた様子です。

子どもたちのprior knowledgeがわかってきたところで 今回のセントラルアイディアを提示しました。
「私たちは、みんなのおかげで生きている。」
この言葉の意味にたどり着くためにも、「おかげ」とは何なのかを探っていかないことには、「私たちは生きている」につながっていきません。
影絵のように、黒く映り出されるのは「影」と書き、蔭でコソコソというように、何かに遮られて見えない場所のことを「蔭」と書く。漢字で表すことで意味が違うことを確認しました。おかげさまは漢字で表すと「お蔭さま」であることも。
まずは、蔭に隠れていて見えていない部分を見ていくことからスタートです。
「蔭見っけたいみたい。」と声があがります。

来週は、お昼の時間に食べているお弁当のおかげを探していきます。
普段、何気なくリュックに詰め込んでいるお弁当です。作っているところを見たことはあっても、最初から最後までは見えていません。
自分の知らない「蔭」でどんな風に作っているのか光を当てる、最初のミッションは家での観察です。


AN

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人のため?自分のため?

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

「情けは人のためならず」

今回のテーマのcentral ideaとなるこのことわざ。
子ども達とともに国語辞典をひいてみると、次のように説明されていました。

・意味:人に親切にすれば、いつかは自分にも必ず良いことが起こるということ

「『情けない』って言ったりするよね!」
「朝の音読でも出てきたじゃん。『なほあはれになさけ深し』って。」

ことわざそのものは聞いたことがないものの、「情け」という言葉はどこかで耳にしたことがある様子。
その意味するところは何なのか、さらにイメージを広げていきます。

「例えば、誰かに勉強を教えてあげるのも良いことだけじゃないんじゃない?」

そんな中、早速、面白い切り口の意見が飛び出してきました。

「それ、どういう意味?」
「だってさ、自分で学べなくちゃ、その人のためにならないでしょ。」
「それは面白い観点だね。辞典の意味には、『いつかは自分にも良いことが起こる』とあるけど、それについてはどう思う?」
「あれ!?そっか、『人のためならず』だから、人のためにならないことかと思ったよ。」

彼女が思ったことを素直に言葉にしてくれたおかげで、周りの子ども達もこのことわざの独特の言い回しに気がつきます。

「じゃあ、こんなのはどうかな?」

今度は別の男の子が話を切り出します。

「この前、お母さんが電車でおばあさんに席を譲ったんだけどさあ。」
「ほおほお、それで。」
「そのおばあさんに『ありがとう』とお礼を言われたんだよね。」
「けど、それじゃ『いつか』じゃなくて、『いま』自分に良いことがあったと言えるんじゃない?」
「いや、お母さんがおばあちゃんになった時、今度は席を譲ってもらえるかもと思って。」
「なるほど!」

前の子の意見を受けて自分の頭の中に浮かんだ考えを言葉にしてみる。
そんなやりとりを重ねていると、辞典に書かれた無機質なイメージがだんだんと色味を帯びていきます。

「ちなみに、君たちは『人のために行動した』ことってある?」

「この前、横断歩道のところで荷物が重そうなおばあさんを見たんだけど、その荷物を持ってあげたよ。」
「そういえば、幼稚園の時、ちっちゃい子がご飯こぼしたのを片付けたなあ。」
「実はいつも朝に散歩してるんだけど、掃除していたおばあさんのちりとりを持つの手伝ったんだ。」
・・・

自分の実体験を語るその表情は照れ臭そうでいて、でもどこか誇らしげ。

「じゃあ、人のために行動するのと自分のために行動するとでは何が違うの?」

いよいよ、今回のテーマの核心部分に迫るべく、さらに突っ込んだ質問を投げかけます。
改めて尋ねられた質問にやや戸惑いの表情を浮かべる子ども達。

ちらほら意見が挙がりますが、その大半は困った人を助けてあげるといった類のものばかり。
そんな中、最初に勉強の例を挙げてくれた女の子が授業の最後に印象的な一言をつぶやきました。

「自分のために行動するのは、自分だけにとって良いことをするってことなんじゃないかな?人のためにってなると、その人が楽になるためにこうすればいいんじゃないかと考える必要があるでしょ。けど、本来自分でやるべきことだったら、あまり手伝いすぎてもいけないのかなって。」

利他とは?利己とは?

これから6週間、ずっと考え続けていくことになるこの概念。
とは言っても、机上でうんうん考えていても埒が明かないでしょう。
まずは、行動をおこす。そして考える。
いよいよ来週からスクールを飛び出し、ボランティア活動を通じて、概念の理解を深めていくことになります。

HY

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「東京発見伝 〜ふりかえり〜」

タイトル:東京発見伝
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「地域には欠かせない機能とかけがえのない特徴がある。」

[3・4年生]

スクールがある中野の”まち”の欠かせない施設とその機能”を探しながら同時に”中野らしさ”=”かけがえのない特徴”を見つけるためにフィールドワークを重ねてきました。

このテーマでは今の中野の”まちづくり”がどのようになされていて、また行政としてはどのような計画でまちづくりを進めているのか知るためにまちづくりガイドラインにも目を通してから”まち”に出ました。

区が計画している”まちづくり”の基本的な考えを知ることで普段見ていて”まち”の見え方が変わってきました。
またさらにまちづくりのヒントを得るために中野区議会を訪問し、区議会議員さんへインタビューをさせて頂きました。

多少ですが事前に行政の”まちづくり”について勉強していたことで漠然とした質問にならず、プレゼンテーションに向けて未来ビジョンを考える上での貴重な生のヒントをいくつも頂くことが出来ました。

自分たちで調べたり、”まち”をフィールドワークするだけでは得られない中野の歴史と今のつながりや区としての目指しているコンセプトや大切にしている自然と便利さのバランスなど外に飛び出して現人に会って学びを深める醍醐味をまたこのテーマでも実感させて頂きました。

そうして頂いたヒントや子どもならではの大胆な発想、そして自分たちが感じた中野の魅力やずっと残したいこの”まち”の特徴を踏まえた”未来ビジョン”をプレゼンテーションしました。
プレゼンではオーディエンスの方々から絶妙な質問やフィードバックを頂き、子どもたちはさらに考え方を深めたようでした。

「ぼくたちの提案はまだ甘かったなぁ。提案に対する反論にもさらに反論できるようなところまで考えられてなかったもんなぁ。」 

こうした色々なTCSコミュニティの方々のおかげで子どもたちはどんどん世界を広げているように思えます。
そしてお忙しい中先日インタビューの時間を作って下さった市川みのる中野区議会議員と高橋ちあき中野区議会議員も子どもたちの提案を聞きに雪の中足を運んでくださいました。

「わー!やったー!本当に来てくれてるよー!」と目を輝かせる子どもたち。
プレゼンに対する意気込みも最高潮です。
最後に高橋議員に提案書を受け取って頂くこともできました。

中野にTCSが移ってまだ半年ですが、この中野という魅力がつきない”まち”を通して”地域には欠かせない機能とかけがえのない魅力がある”ということを探究し、一気にこの”まち”との距離が近づいたように思えます。
これからも子どもたちと共に様々な学びを創っていくこの土地の変化を子どもたちと一緒に楽しみ、そして関わっていきたいと思います。

YI

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元気ってどういう状態?

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

3・4年生の本年度ラストとなるテーマ学習は『からだに栄養こころに栄養』です。
このテーマでは私たちが普段よく口や耳にする”元気”について探究していきます。
まずは子どもたちが持っている”元気”のイメージや知識をマイニングするべく、”元気な状態ってどういうこと?”という問いかけについてそれぞれに語ってもらいメタメタマップに記録 していきました。
なぜか”元気”という言葉が子どもたちの心をとらえたようでやけにテンションが高い3・4年生たち。

「はい!それはね、あばれられる状態でしょ!おれめちゃくちゃ元気だー!」と大きな声が返ってきます。
「元気って言うと病気じゃない状態のこと。つまり皆勤賞はなによりの元気な証拠だよ!おれなんか2回も受賞してるし今年も絶対取るからどう考えても”元気”〜!!」とこちらもいかにも”元気”そうな様子です。
「あとね、元気じゃないとふざけられないから、おバカな状態ってことは元気な印でしょ。」
「ぼくは雪が大好きだから見ただけで元気になるんだ。」
「えっ、寒くても?疲れてても?」
「うん!そうだよ。ぼくはね、風邪引いてても熱が出てても元気なんだよ!好きなものを見たり、食べたり、したりするといつでも元気になるよ。」
「いいな〜!」と子どもたちが呟きます。(笑)
「私は本物のバレリーナを見ると”ああ私もあんな風に踊れたらな”って思って元気になるんだ。”なりたいな”って思うと元気になるんだね。」
「おれは野球の接戦を見ると興奮して元気になるよ!」
「なるほどっ!つまり興奮するってことと元気っていうのは同じなのかな?」
「うんそう!あれ、、、いやちょっと違う気もするなぁ。」
「遊園地に行くと興奮するけど、”元気”っていうのとちょっとやっぱり違うなぁ。」
「なんか手の色が白いと元気じゃないってどこかで聞いたし、自分の手を見てても元気じゃない時は白いんだよね。」という話を聞くとすかさず自分の手のひらを眺め始める子どもたち。
「あー!おれ今日いつもより白い!」
「おれもそんな気がする!」といつも通り賑やかです。
「あのね、寒いとマヒして白くなるんだよ。」
「じゃあ一歩つっこんで聞かせてほしいんだけど、なんで白くなるのかなぁ?体の中では何が起こっているんだろう?」
「血のめぐりが悪くなって具合が悪くなるんだよ。」”血のめぐり”というキーワードが出てきました。
「あのさぁ、朝ご飯食べていないとあまり元気が出ないんだぁ。」
「じゃ、朝ご飯を食べると元気になれるってこと?」と私。
「うん。そうだよ。」
「じゃあ食べればいいじゃん!」
「でも寝不足の時は食欲が全然なくて何も食べたくないんだよ。」
「なるほど。そういう場合があるのか。」
「寝不足の時って、午前中は元気だけど午後になると充電が切れるんだ。i-PADで言うと30%から朝が始まる感じ。」と”食事”や”睡眠”についてもどうやら”元気”とのつながりを子どもたちは実感しているようです。
「じゃあ元気になるにはどうしたらいいんだろうね?」と私が問いかけました。
すると「やっぱり私はバランスだと思う。外で遊んだり、好きなものを食べたりしないと元気になれないんじゃない?」
「でも遊ぶのは外じゃなきゃダメなの?」
「外じゃなくてもいろいろ体を動かせるけど、室内だけだとなんか飽きそうだなあ。」
「じゃあ食べ物は好きなものをずっと食べてればいいんだね?プリン好きな人はずっとプリンでいいの?」
「ああ!それはダメダメ!栄養のバランスが大事なんだから。」と子どもたち。
「栄養ってなに?」
「栄養ってね、タンパク質とカルシウムとビタミンと炭水化物のことだよ。これをちゃんと食べてないと元気が出ないってわけ。」と4年生。
元気になるには”運動”と”食事”が大切だということも子どもたちは知っているようです。

翌日、ある子が言いました。

「今日はさ、98%くらい元気がないんだ。なんか血もドロドロの気がするしさ。血管がいつもより青紫色しているし。ね、見てみて?」

大げさな感じがしますが昨日に比べて体調が良くないようです。

「なんで今日は元気があまりないの?」私がたずねると
「ま、ほとんどの理由は脳のストレスだと思う。妹がいるとストレスがすごいんだよ〜。」

ちょうど血管や血液の話題になったので実際に図鑑などの資料を用いてみんなで読み合わせ、循環器系の形式や機能について確認していきました。

「血液には傷を修復する働きがあるってさ、これカサブタになって治ることだよね!”血液が凝固する”っていうのはつまり固まるってことでしょ!」

「血ってすごいね!体中の隅々にまで毛細血管を通って栄養と酸素を運んでるんだ〜。」

「見て!人体の絵を描いてみたよ。その中に分かった器官と機能をメタメタマップみたいに書いてまとめてみたんだ。」

「あっ、それ言葉だけで書くより分かりやすいね!おれもやってみようっと!」

こうして”元気”に生きるための探究が始まりました。
来週もさまざまな疑問を追究していきます!

YI

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2015年02月20日

何のために?なぜ?

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

今回のテーマはどんなことをやるのだろう。
どんな目的で、何をしていくのか。目の前のことを俯瞰していくことは、
自分のしていることを見失わないためにも必要なことです。
「見えないところで何かしてるのを見てく。」
「見えない蔭とかをやっていく?」「なんで?」
「いつもは見えないから。」
「この6人が見えてない場所を見て学ぶ。」 「何を学ぶの?」
「私たちはどうやって生きているか?」
何のために?なぜ?と答えたことをさらに追究していくと、
先週までの、「蔭」やセントラルアイディアの話などが出てきます。

自分たちの見えないところで、いつのまにか、してもらっていることはなんだろう。
それを探すべく、自分たちが持ってきている「お弁当」に光を当ててみることにしました。
お弁当をどのように作っているのかを観察する。
ひとつひとつの動作に着目し、どんな動きをしているのかを観察するために、
動きを3つの種類に分類するという課題を出しました。

「運動」「創造」「保守」

言葉の意味を確認したあと、子どもたちなりに次のようにイメージしていました。
運動:手で動くこと。歩いたり、動いたりすること。
創造:何かをつくること。違うものになること。
保守:気をつけること。何かを守ること。
付箋の束を持ち帰り、家でのお弁当作りを観察してくることに。

IMGP5186.jpg   IMGP5188.jpg
観察してきた動作を3つのシートに分けていきました。
運動:バターをぬる/おさとうを入れる/にくをおなべに入れた
創造:しょうゆとしょうがをまぜる/ハンバーグをやく/たまごやきをきる
保守:レタスをあらう/あぶらをしく/チキンライスをぎゅうぎゅうにつめる
集まった動きは、運動38こ、創造27こ、保守29こでした。
同じ「切る」動作でも、「切ったことで形が変わったから創造」「手で包丁を動かして切っていたから運動」「食べやすい大きさに切ってくれて、自分を守っているから保守」と、理由によって、分類先が違っていました。なぜその動作なのかという理由を知ることで、視野が広がっていきます。

IMGP5201.jpgそこで、観察はしたけれど、なんでそんなことをするのだろうと疑問に思うことを集めていきました。なぜ?と問うことは、目的を知り、意味を知る第一歩です。なぜこのテーマをするの?と確認することと考え方は同じです。





IMGP5204.jpg「なぜ、ニンニクを入れるの?」「なんでレタスを手でちぎるの?」
「はんぶんしか入れないたまごやき。もうはんぶんはどこいくの?」
「トマトをあらったあと、なんでよくふくの?」
気になったら、早く知りたくてうずうずしている様子です。
翌日には、「わかったよ!」といって理由を発表してくれる子もいました。



「にんにくを入れるのは、おいしくなるから。」
「手でちぎるのは、簡単に切れるから。」
「濡れたままだと、お弁当箱が傷むから。」
理由を聞くことで、今まで見えていなかった蔭に「何かのため」という存在が見えてきました。

「お弁当箱が傷むってどういうこと?」
この「なぜ?」という疑問から、さらなる蔭へと進んでいきました。
ある子が「お弁当箱って、みんなプラスチックだよね。」というと、
「違うのもあるよ。竹のかごみたいのとか。」「木のお弁当箱もある。」と続いていきます。
そもそもお弁当箱とはいつからあるのでしょうか。
なぜプラスチックのお弁当箱ができたのか、それがなかったら昔はどうしていたのか。
お弁当箱の起源を探ることで、おかげさまを遡ってみました。

DCIM0010_20120617212610%202.jpg  IMG_0262.jpg  images.jpg  IMG_0190.jpg

iPadで検索し、みんなにシェアしたいと思うものを保存していきます。
写真だけでも、「葉っぱから、かごに変わった。」「材料が変わった。」「面白い」と見えてくるものもあります。さらに、なぜなぜアンテナを発動させ、「なんの葉っぱ?」「なぜアルミ?」と調べてみると、腐りにくくするための竹であり、温まりやすいためのアルミであることが見えてきます。
「腐らないようにするのは、お腹を守るためだから保守。」
「竹で編んでいるから創造。」「中身の形を守るから保守にもなるよ。」
「楽しませるために面白い形をつくる。創造。」
お弁当箱は、運ぶための道具であり、その点では運動といえます。
でも、その意味を辿っていくと、創造もあり、保守もある。
何のために?なぜ?を繰り返し、その動作が3つの種類のどれに当てはまるのかを考えるという頭の働かせ方をしていくことで、蔭にあるものが見えてきました。まだまだ、先がありそうです。

AN

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TCS中野ゴミ拾い隊 結成!

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

今週からはいよいよスクールを飛び出し、実際にゴミ拾いを行います。
ちょっとしたご縁があって、中野駅近辺で定期的にゴミ拾い活動を実施しているグリーンバード中野チームさんからトングをお借りできることに。(ご協力ありがとうございます!!)

グループで活動をするからには、チームの一体感を醸成する名前が必要だ。
そう思い、私は子ども達に『中野ゴミ拾い隊』というチーム名を提案しました。

「中野の前にTCSってつけようよ!」
「『ひろいたい』ってのが、ボランティアぽくて、なんかいいね〜。」

みんなもこの名前を気に入ってくれた様子です。
隊長の私と小さな5人の隊員によるボランティア活動がいよいよ開始です。


最初の目的地に選んだのは近所の公園。
PEやフリーの時間に使わせてもらってるので、ぜひ綺麗にしたいとのことでした。

「あっ、早速、タバコの吸殻発見!」
「こんなとこに空き缶も捨ててある!!」

公園に向かう途中の道も、よく見るとゴミがちょこちょこ落ちています。

お揃いのビブスに身を固めた我々の姿はとても目立つようで、

「ありがとうございます。」
「よっ、いいことやってるねえ。頑張れよ!」

と、下校中の高校生やタクシーの運転手さんなど、いろんな人から声をかけられます。
地味で地道な活動だけど、感謝してくれる人もいる。
トングを持つ手にも一層力が入ります。

「なにこれ、文さん、ここにビニール傘がめちゃくちゃ捨ててあるよ!」

公園の入り口付近で発見した悪質な不法投棄。
植え込みに隠すように突っ込んでありました。これはひどい・・・

20150216wk_2.jpg

公園内のゴミはタバコの吸い殻、レシート、ナイロン袋といったものが大半ですが、中には理解に苦しむものもあります。
それが、たまたま見つけたサザエや未開封のキャットフード缶。

「なんでこんなものが落ちているんだろう???」

20150216wk_1.jpg

そんなこんなで1時間の作業を終える頃には、4枚のゴミ袋がいっぱいに。
ちらつく雪も何のその。何とも頼もしい限りです。


2日目は通学で利用しているJR中野駅の周辺でゴミ拾いを実施した子ども達。
今週最後のテーマの時間はスクールでふりかえりを行うことにしました。

・ゴミ拾いに夢中になるあまり、ベビーカーを押すお母さんの通行の邪魔になってしまっていた
・途中からゴミ拾い合戦みたいになり、仲間内で争うことがあり、当初の目的を忘れてしまう場面があった
・横断歩道の途中にあるゴミを拾おうとして、赤信号に変わりかけてしまった
・・・・

子ども達はこの活動を始める際に私が伝えた約束事を思い出しながら、自分たちの仕事を振り返ります。
模造紙に挙げられた改善点の数々。
もっと仕事の質を上げていくためにやるべきことは多そうです。

その日の後半は、2日間のゴミ拾いの成果を分別する作業に取り組みました。
中野区の資源とごみの分け方を資料をもとに確認しながら、丁寧に作業を進めていきます。

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「うげっ、くせーーーーっ!!」

ゴミ袋を開けた子どもが思わず叫びました。
特にタバコの吸殻の異臭は強烈で、鼻がもげそうなくらい。
2日間で拾った吸殻の数はなんと284本にのぼりました!

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「なぜ使えそうなものが捨てられているんだろう?」
「タバコが禁止されている場所に、なぜ吸殻のゴミがあんなに多いのかなあ。」

ゴミ拾いを通じて湧いてきた新たな疑問を抱えつつ、活動は続きます。

HY

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食べものの旅

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

先週、”血液”が体中に”酸素”と”栄養素”を運んでいることを知った3・4年生たち。
”栄養素=食べもの”が”元気”な状態になる上でも大切な要素だということはみんな口を揃えて発言していますが、適切な食べものやそれがどのように”元気”の素になっていくのかまだはっきりとしたことが分かりません。
そこで”栄養素ってなんだろう?”ということを話し合っていきました。

子どもによってはタンパク質や脂質、ビタミン、カルシウムなどいくつかのキーワードを知っていますが、どの子もそれらが体にとってなぜ必要なのかは知りません。
i-PADに入れてある栄養に関する資料を読み合わせていくと五大栄養素(タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル)が体の中でどのように働いてくれているか見えてきます。

「そっかー。栄養素には血や骨や肉を作る材料になる働きがあるんだね。肉はどんな食べものでできるんだろう?骨はカルシウムだって知ってるよ!」
「肉や血はタンパク質が主に作ってるんだって。」
「脂質も使われてるって書いてあるよ。でも脂質って何だろう?肉の脂かな?」
「ちょっと待ってね。えーっとー、あっ、ここに書いてあるよ。マーガリンやバターも脂質だって。」
「栄養素の体での働きには”体を作る”働きと”エネルギー源を生み出す”働きと”体の調整をする”働きがあるんだって。」
「エネルギーってどんなことだと思う?」と私。
「うーん。元気のことかな?例えばさ、朝ご飯を食べないと元気が出ないじゃん?それってエネルギーがないってことなんじゃない?」
「そうするとさ、寝不足でもエネルギーが出ないよ。」
「蒸気機関車の石炭みたいに体を動かす力が食べものってことだ。」 「車で言えばガソリンもそうだよ!口からガソリンを入れて、栄養素を全部吸収してからカスjはアレで出すんだよ(笑)」
「なるほどなぁー。じゃあさ、人間で言えばガソリンの代わりになる食べものにも栄養素があってそれぞれに相応しい働きがあるからバランス良く食べることが大切だっていうことが分かってきたよね。でも量はどうなのかな?食べられるだけ食べればいいのかな?」と私。
「えー!それはまずいでしょー!食べ過ぎると脂肪がつくよ。」
「一食で3000kcalとか食べたら絶対太るよ。」
「太るっていうことは、体の中でどんなことが起きているんだろうね?」
「消化できてもさ、使い切れないくらいのエネルギーがあまっちゃうと脂肪になって蓄えられるってその人体図鑑に書いてあるよ。」
「なるほど〜。ということはやっぱりちょうどいいエネルギーの量っていうのがあるんだね。」

「でも食べたものが体のどの部分でエネルギーとして吸収されるんだろう?」
「胃でしょ!」 「ぼくは大腸だと思う。」
「え〜、小腸じゃない?」
という展開になり、そのまま”食べものの旅”を追いかけて消化器官について学んでいきました。

口に食べものが入ってからどのような消化器官を通り、どこでどのように消化・吸収されて最終的に排泄されるのかいくつかの資料を用いて読み合わせていきます。
また理論を学んでからそれを実感するためにアジの解剖を行ないました。
資料で学んだ”人間”の消化器官とアジ(魚類)がほとんど同じ器官を持っていることに興奮気味の子どもたち。
初めての解剖でしたがパートナーと協力して丁寧に作業を進めていきました。

「学びのために命を頂いていることを忘れずに感謝の気持ちをもって実験を行なって下さいね。」とサイエンスの先生が実験前に子どもたちに語りかけます。

口からBB弾を入れていくと実際にどのように食べものが消化器官を通っていくのかがよく確認できます。

「すごい!おれのアジね、小さなエビを食べたみたいだよ!!!胃から見える!」
「私のはシラスを食べたみたいだよー!すごいね。食べたものがまだ消化されてないんだね。」

食べたものがどのような道を通って消化・吸収・排泄されていくか確認させてもらった後、おいしくアジをムニエルにして頂きました。

さて、元気になるためには適切な食べものを食べることが大切でその食べものはどのように体内で栄養になっていくのか学ぶことができましたが、まだまだ”元気”については分からないことがたくさんあります。
翌週はどのような探究になるのでしょうか?

YI

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2015年02月27日

お蔭を見に行こう

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

先週はそれぞれ家でのお弁当作りという蔭を見てきました。
子どもたちの昼食はたいていが持参してくるお弁当ですが、週に一度は外部注文をして全員で同じお弁当をいただいています。同じお弁当作りでも、商品として配達されているお弁当は作り方が違うのでしょうか。

どんな違いがあるのか、家での観察をもとに推測してみます。
一人がジェスチャーを始めます。「トントンシュッってどんどん隣に渡してく。」
材料を切る作業、焼く作業、詰める作業。次々と別の人が違う作業をする様子を一人で演じています。
それを見て、ほかの子たちも反応します。
「バケツリレーみたいなやつ!」「それそれ、バケツリレー!」と盛り上がります。
と言うことは、一人で作ってないってこと?
「100人くらい?」「たくさん作るから大勢で作っている。」
「あと、マスクしてる。頭にカチッとするの着けてる。」
「キャップのこと?」「そうそう。」
おうちの人もマスクしてお弁当を作っているの?と尋ねると、
「してないよ。だって、自分の子どもにしか作ってないから。」
「お店とかでは、そうだよ。見たことある。」
同じお弁当作りでも、家庭で作るのとは違う。
それは、知らない誰か、それも多数の人に届けるためだからと、人数・相手に応じて 動作が変わることを予測していました。

IMGP5318.jpg実際にいってみて、3つの分類をもとに観察していきます。
見学先は、旧校舎の近所にある救世軍ブース記念病院のカフェテリアです。
子どもたちの中から思わず出た第一声は「保守」でした。
「保守だ!エプロン、マスク、手袋!」すると、
「あれも保守。お玉を守るためのやつ(置き物)がある。」



IMGP5317.jpg 最初は、一人言のように発見をつぶやいていましたが、慣れてくると、 目の前で作業をしている人に質問をしていきます。
「何食くらい作っているんですか?」
「冷蔵庫っていくつあるの?」
「作っている人は全部で何人ですか?」
そのうち、周りを見回し、「ここは何ですか?」と移動していきます。

IMGP5319.jpg 洗い場です。
今は作っている最中なので、洗い物はないようです。
わざわざトレーを洗浄機にかけてくださいました。
自動で出てくる水や底面が動いていく機械に目をみはります。




IMGP5332.jpg最後に、見学を案内してくださった責任者の方に、自分たちの学習している内容を伝え、発表用に使うための手型を採らせていただきました。
見えないところでお世話になっている人の手型を集め、その手の中に観察したことを記録していきます。
作業中にも関わらず、親切に対応してくださった、カフェテリアのみなさま、どうもありがとうございました。


スクールに戻り、早速、作業に入ります。
どんなことをしていたのかを思い出しながら、手型シートに記入していきます。
「チキンに卵をつける。創造。」「その前に卵がつくように粉をつけてた。これは保守。」 「冷凍室はマイナス15度なんだって。買ったものを守るから保守。」
見たことだけでなく、質問して答えてもらったことや、聞いた話も織り交ぜていきます。
「材料を買うっていうのは、運動だ。」友達の発言からも次々に動作が出てきます。
「蔭の蔭、見つけたよ。ニワトリを育てる!」以前、お弁当箱の起源を辿ったときのように、作業の前にしていることを連想した意見まで出てきます。

  IMGP5341.jpg

ひとつの動作をひとつのシートに書いていきます。鉛筆で下書きをして、マジックでなぞる。ハサミで切り取り、大きな模造紙に貼っていく。「これ、大変だー。」という子どもたち。ふと、思い立ったように、ある子が「救世軍の人たちみたいに、切る人、書く人に分かれてやらない?」と提案してきました。調理場で働いている人たちが分担作業をしていたことは、見学前の予想と当たっていました。でも、大勢ではなく7名ほどで手際よくなされていました。自分たちも総勢6人。作業していた人たちと重なったのでしょうか。しかし、円滑に進むことができず断念することに。残念な結末に思わず笑いが起こります。なぜうまくいかなかったのか、なぜ調理場の人たちはうまくいくのか、今後、問われる場面が出てくるかもしれません。

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なぜかひとつの場所に手型が集中しています。

蔭の蔭を見つけ出したり、自分たちの作業と見学したことを同じように考えてみたり、また、見学先への移動中、道路の白線を見て、「これ、おかげさまだ。」とポツリとつぶやいたり。「なんで?」と聞くと、白線を書いてくれた人がいるから、自分たちは守られていると答えます。子どもたちの頭の中で、離れていた点と点がつながりを持つようになっていっているようです。

AN

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減っても減らないごみ

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

自分たちの仕事の質をさらに上げるためにどうすればよいか。
まずは先週のゴミ拾い活動のふりかえりから始めることにしました。

「自分たちの活動が周りの人や環境にどんな影響を与えたと思う?」

私からの問いかけに子ども達が次々に反応します。

「いろんな人が『ありがとう』『ご苦労様』って言葉をかけてくれたよね。」
「そうそう、高校生や毎回出会うタクシーの運転手さんとか。」
「たくさんの人に見られてるんだなあって、ちょっと緊張しちゃったな。」

今回、私も多くの方が我々の活動の様子をにこやかに見守ってくれていることに気づきました。
行く先々で何度も感謝の言葉を頂いた場面が彼らには一番印象に残っているようです。

「テーマを始める前に比べて、公園や道のゴミが減ってる気がするんだよねえ。」
「私もそう思う。」「俺も!」

この意見には同意の声があがります。

「なんでそう思うの?」
「だって、この前、駅からスクールに来る途中で、おじさんとおばさんが『最近、このあたりゴミが少なくなったわねえ』と話してるのを聞いたんだよ!」

もしかしたら地道な活動が実を結んでいるのかもしれない。
そう思うと、さらにやる気が湧いてきます。

「そういえば、城山公園に行った時に、ランニング中のおじさんもゴミを拾うの手伝ってくれたじゃん。」
「実は、わたし、この前の週末にゴミ拾いしてたんだけど、近所のおばあさん達も私の様子を見て、ゴミ拾いを始めちゃったんだよ〜。」

なんと、これはすごい!
自分から率先して行動を起こすことで、周りの人達を動かすことがある。
そんな貴重な経験を得たようです。

どちらかといえばポジティブな意見が多い中、少し視点を変えて、今回の活動を通じて感じた疑問やもやもやを尋ねてみることに。

「駅前で拾ったビニール傘なんて、全然綺麗だし、まだまだ使えるよねえ。もったいない。」
「紅葉山公園なんて前の週にゴミ拾いしたばかりなのに、もうゴミが捨ててあったでしょ。これじゃあ、やってもやってもきりがないよなあ。」
なぜ、使えるものまで捨てるのか?
どうすればまちのゴミを減らせるのか?

素直な疑問が頭をもたげます。

人間が生活を営む限り、ゴミを完全にゼロにすることはできない。
けど、まちにゴミを捨てることがなくなれば、我々の活動そのものが要らなくなるはず。
子ども達が一番問題視していたのは「タバコのポイ捨て」でした。

「タバコのポイ捨て禁止のポスターを作ったらどうだろう?」

活動中もしきりにこのアイデアを口にしていた女の子が真っ先に意見を出してくれました。
ところが、周りの反応はあまり芳しくありません。

「タバコ禁止のマークがある場所に吸殻が落ちているってことは、誰もルールを守ってないということだもんなあ。ポスターも無視されそう。。」
「ポスターを目立たせるためには、枚数が必要でしょ。それがごみになっちゃ意味がないし。。」
「うーん・・・」

思いつきのアイデアですぐに解決できることであれば、社会問題として取り上げられるはずもありません。

「ほんと、なんでポイ捨てしちゃうんだろう。」

「今タバコが吸いたいという気持ちをおさえられないんだろうなあ、きっと。」
「ちゃんとした場所に捨てに行くのも面倒くさいんじゃないかなあ。」
「自分くらいならって思ってるかも。」

いろいろ考えていると、弱い方や楽な方に流されてしまいがちな人間の性が浮き彫りになってきます。

なかなか良いアイデアが浮かばず、もやもやした気持ちが残るばかり。
とは言え、目の前にはゴミが捨てられている現実がある。

今回のテーマ学習も半分を迎え、子ども達の前に大きな壁が立ちはだかりました。

HY

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