東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2013年12月 アーカイブ

2013年12月02日

「食わせ者」〜ふりかえり〜

[3・4年生]

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しっかりとまとめあげた学習ファイルと、力強いスピーチが聴衆を魅了し、フードロスに対していかにのめりこんで学んできたかビシビシ伝わるなかなかのテーマ発表となりました。

だからこそ聴衆の大人から、相手が小学3・4年生だということなどお構いなしの本気の質問が飛び出しました。

「もし家庭からの廃棄が半分も占めているなら、すべて外食にすれば廃棄は減るんじゃないか?」

おおっ!わざと反対の極端にふってアイデアの柔軟性を試す「挑発」が来たぞ……さあ子どもたちはというと……平然と、敢然と返答します。

「結局、外食でも食べ残しが出るので、家庭系の廃棄が事業系の廃棄となるだけだと思います」
「外食の食べ残しは再調理しにくいけど、家庭なら身内だし、調理はしやすい」

まったくひるまず、しっかり考えて返しているではありませんか。

するとまた別の「挑発」が……

「みなさんは消費者の立場を強調していますが、野菜のようなものはどれぐらい生産できるかわからず、どうしてもロスができてしまうし、新鮮なままとっておけないのですがその場合でもフードロスはなくせますか?」

すると、特定の誰かだけではなく、みんなの手が挙がる。

「余ったとしてもそれをほしいと思っている人もいるはずだし、そういう人を見つけて渡せるのでは」

必死になって自分なりの考えをひねり出そうとします。その姿勢が素晴らしいじゃありませんか。

「ラスボスは手強いよな……」

ある子がつぶやきます。なるほど、彼らがなんとも楽しそうに本来つらいはずのつっこみに対していられるのは、よい意味での「ゲーム感覚」だったのね。

大人に言われたら唯々諾々とした従うのではなく、また逆に、自分の発想に固執してせっかくのフィードバックを頑に受け入れないのでもなく、自分たちの主張を豊かにする perspective をくれたと前向きにとらえ、それを次のステージに進むためにクリアしなければならない「目標」ととらえている。きみたちは大したもんだ。

フィードバック用紙を読んでいたら、「とっても素晴らしかった。しかし、君たちに新たな課題を示そう!」

おいおい、こりゃあ本当に「ラスボス」の語りじゃないか。子どもたちとともに大笑いです。意味のある停滞を経て、必死になって考え抜いて、そのうえでの選択だから相手にも響くし、響くからこそ「意味のある反論」ももらえる。おざなりの「調べ学習」ではない、本物の「探究」ゆえのシリアスさが子どもたちをどんどん成長させてゆきます。

「おっちゃん、終わりが始まりだもんね!」

よくわかっていらっしゃる。その通り、ラスボスも含め、フィードバックを糧としてさらに考えてゆく終わりなき旅路。これぞテーマ学習なのです。

RI

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情けは人のためならず 〜概要〜

タイトル:情けは人のためならず

探究領域:社会寄与

[3・4年生]

探究領域「社会寄与」は、自分が社会の一員としてよりよい社会の実現に どう寄与するかという領域です。

3・4年生が次に挑むのは地域でのボランティアを一生懸命することを通して”相手のために働くとはどういうことか”を考え続けながら”情けが創り出す社会”とはどういうものなのか探究していきます。

相手のためにもっとできることはないか?

自分のためではなく相手のためにとことん動いてみて(action)、自分の仕事ぶりを振り返ることで(reflection)、相手の役に立つことの難しさや大変さを実感することになるでしょう。

しかし、「情けは人のためならず」ということわざがあるように、とことん相手のために動き、 やりきることで、当初は想定していなかった自分たちとのつながりが見えてくるはず。

自分たちはどのような未来を創っていきたいのか?
caringな社会とはどういう社会なのか?
自分の取る良い行動が巡り巡って社会をより住みやすくしていくということは?


YI

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人の心を動かすストーリー 〜概要〜

タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現

[5・6年生]

探究領域「意思表現」のテーマで、パントマイム・詩・編集(小冊子作成)といった、
いろいろな表現方法を身につけてきた5・6年生達。
その集大成として、音楽・言語・映像を組み合わせた映画製作に挑みます。

この作品を通じて人に何を伝えたいのか?
ストーリーを効果的に演出するためにどんな工夫ができるのか?
この作品で本当に人の心を動かすことができるのか?

映画というフィルターを通して、自分の考えや思いをどう伝えるか、6週間かけて
探究していきます。

一体、どんな作品が出来上がるのでしょうか。

HY

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「サインを受信せよ」〜概要〜

タイトル:サインを受信せよ
探究領域:意思表現

[1・2年生]

交通標識、お店の看板、駅の案内、服のタグなど、身のまわりにはサインが満ちあふれています。それらはシンプルな形と目立つ色とを組み合わせてデザインされています。だから見ただけで「あそこが非常口だ!」とすぐわかるわけです。そんなサインのことを「ピクトグラム」と言いますが、これって今から50年前の東京オリンピックの時に、さまざまな言語を持つ外国の人にもわかるようにということで、わが日本が生んだ「発明」だったのです。今回のテーマ学習では、まず、身のまわりにあるサインを徹底的に集め、メッセージを効果的に伝えるためにどんな工夫がなされているか学びます。そして学んだことを活かし、人々の行動を変えるサインとなるオリジナルピクトグラムをつくることに挑戦します。

RI

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2013年12月06日

情けは人のためならず 

[3・4年生]



3・4年生の新たなテーマは『情けは人のためならず』。
前回のテーマではフードロスについて探究し、発表会では熱い思いを語りきった子どもたち。
その熱さも覚めやらぬままの勢いで初日が始まりました。

まずはテーマ名と同じセントラルアイディア『情けは人のためならず』と黒板に書くと口々に「あっ、そのことわざ知ってる!」「ぼくも聞いたことあるよー。」と元気な声が聞こえてきます。
”情け”の意味をみんなにたずねてみると、
「情けってはずかしいって意味でしょ?」「情けないって意味だよね?」という返事が返ってきました。

そしてある子が「だからこのことわざは、恥ずかしがるのは人のためにならないって意味かな?恥ずかしがっても仕方ないってこと?」
自分のアイディアを引っ込めずにまずはどんどん出してみるのがTCSのカルチャー。いい感じのスタートです。
すると3年生の男の子がI-padの辞書で意味を調べてくれました。

「”情け”とは思いやりや人情味などの意味。”情けは人のためならず”とは、人に情けをかけるのは、その人のためになるばかりでなく、やがてはめぐりめぐって自分に返ってくる。っていう意味だって。」
「なるほどーー。なんか聞いたことある気がするな。」
それもそのはず。前回のテーマ発表でのスピーチでみんなが口々に語っていた自分の行動から少しずつでも周りを変えていく生き方をしたいという思いと重なる部分があるはずです。

前テーマでは熱い”思い”を語ることができ、そして今回のテーマでは”行動”を起こしていきます。
自分の利益の為の”利己的行動”ではなく、相手の為に働く”利他的行動”についてまずはボランティアでの実践を通して探究していきます。

2日目は早速救世軍ブース記念病院でボランティアとして綿布切り作業をさせて頂くことに。
1Fの受付で挨拶をし、7Fまでは階段で上がっていきます。
ボランティア担当の大橋さんと近隣のボランティアの方たちに自己紹介をし、作業内容を説明して頂きました。

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病院で様々な用途で使用されるガーゼは1週間で70ℓ用のポリ袋満タンに必要とのこと。 山積みにされた古布を20cm×30cmの長方形にカットするのが私たちのミッションですが、布が重なっている部分やプリントや刺繍のように固いところは患者さんの身体を拭く時に痛いので丁寧に切り取る必要があります。
相手のことを考えながら、ニーズに合った仕事をできるでしょうか?

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作業開始と共に黙々とハサミを走らせていきます。見本を見ながら慎重に作業を進めていく子どもたち。もちろん黙々と作業を進め、他のボランティアの方から「上手に切れてるわね。すごいじゃない。」とほめて頂き、ますますやる気になってペースが上がっていく子もいます。

しかし30分ほど経つと早くもペースダウンする子もチラホラ。 そして「手が痛いなー。」「肩が疲れてきた。」との声が聞こえてきます。
綿布の出来上がりもギザギザな切り口が目立ったり、形が不揃いだったり、切り忘れもあるようです。
初日は一生懸命頑張ったものの、仕事の質としてはイマイチ。
相手のニーズに応えているとはとても言えません。
それに疲れを口にしていては一緒に働いている人たちもなんか疲れた気分になってきてしまいますし、そんな姿勢で果たして相手のために何かをしていると言えるのでしょうか?

これらの反省点を振り返り、みんなで話し合ってから翌日は意識を改めて再度作業につきました。

見本をじっくり見ながら何度もサイズを確認し、前日よりも大分丁寧に作業を行っています。
先方の希望通りの綿布を意識することでただ布を切るのではなく緊張感が生まれ、いい集中状態を作っているようです。

「やったー!すごくきれいに切れたよ。見てー!」
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「あら、本当。とっても上手ですねぇ。」とボランティアの方。
またまた褒めて頂き、得意になっているTCSキッズたち。 その後も集中し、仕事の”質”を意識して丁寧にやりきることができました。
仕事を終えた子どもたちは口々に「今日は楽しかったー!やっぱりがんばると楽しいな。」
「昨日よりきれいに布を切れたし、しかも枚数は昨日よりも多く切れたんだよ。」
と満足げな子どもたち。
相手の役に立つということはどういうことなのか意識して働くことの大切さを少しは感じたようです。
さあ来週もボランティアの日々は続きます。相手の為にとことん動くことができるでしょうか?

YI

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マークって何だ?

[1・2年生]

「マークについてやるんでしょ!」

学びが始まる前にどんなテーマをやるのかチェックしている子どもたち。そんな子どもの流れに乗っかって、はいそうですよ!マークについて考えてゆくけど、いったいマークってどういうものなのだろう?と学びが始まったか始まらないかのうちに prior knowledge を探ることに着手です。

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「マークってそこのゴミ箱の前にはってある燃えるゴミマークでしょ」

早速、スクール内に掲示してあるマークを指摘する子が現れます。

「蚕糸の森に行く途中に自転車は入ってはいけないってマークがあるよ」
「"止まれ"もある」

続いて交通標識が出てきます。

「ジュースの缶にもある」

なるほど細かいところにもマークはたくさん隠れていますな。

「学びのアンテナの!や?やもやもやもマークだよ」

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ほう、確かにビックリマークだし、クエスチョンマークだよね。

1・2年生の子どもたちはかなりの数のマークを知っていることが明らかになってきました。そこでちょっと perspective をゆさぶる問いかけをします。

「でもさ、学って『字』でしょ。『字』はマークではないんじゃないの?」

「……」

今まで威勢よく語っていたのに一気にし〜んとなります。

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ちょっと間を置いて、字とマークは同じなのか?違うのか?と問うてみます。するとほとんどの子が同じだと答える。

「だって漢字も絵からできたんでしょ。マークも絵じゃん」

1・2年生の習う漢字には象形文字が多い。確かに絵という意味では共通しているねえ。

「ひらがなやカタカナは漢字からつくられたって習った」

ふむ、ふむ、これも日本語の学びや書道で触れられたことですね。漢字を崩したり、分解したりして「マーク」にしたものがかなってことですか。

こうしてマークと字が同じだという意見が大多数となってきた中に、首をかしげている男の子がいます。

「ぼくはちがうと思う」

スバラシイ!みんなに流されず自分の考えを保持し、それを口に出す勇気こそ inquirers に求められる資質の一つです。理由を語ってもらうと……

「だって字は読めるけど、マークは読めないでしょ」

どうですかみなさん。本当に子どもは立派な「哲学者」だとは思いませんか。というよりも、むしろ大人の方があれこれじっくり考えようとせず、既にある解釈を早く知りたがり、鵜呑みにしてよしとするのではないでしょうか。

ある特定の読みが付随している記号である「字」と、意味を即座に喚起することを主目的とする記号である「マーク」との違いに気づく立派な「言語学者」です。子どもをなめてはいけません!

prior knowledge に基づいて語り合い、考え抜いて、子どもから「本質的な発見」が生まれたところで今回のテーマで追究することを伝えます。

・「マーク」と言っても「ピクトグラム」に焦点を当てる。
・シンプルな形と色の組み合わせでメッセージが伝わるオリジナルのピクトグラムをつくる

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そもそもピクトグラムは日本の誇るべき発明品の一つだということをご存知でしたか。約50年前、東京オリンピックで多くの外国人観光客を「お・も・て・な・し」するに当たって、言葉の壁を越えて誰でもわかるような標識として編み出されたのがピクトグラムでした(代表作は「非常口」マーク!)。こうして日本からピクトグラムは世界へと広がっていったのでした。

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さあ、じっくり思考した後は、フィールドワーク!自分たちの身のまわりにあふれる「マーク」を収集するためにスクールの周囲を探検です。

「これもマークだ!」
「こっちにもあるよ!」

交通標識はもちろんのこと、電信柱にはりつけられたさまざまな禁止マーク(いちばん多かったのは「タバコぽい捨て禁止」)、マンホールにも、マンションの入口にも、自動販売機にも、大きく目立つものから小さいものまでマークがあふれています。スクールを出て数十メートル進むのにも時間がかかるのなんの。それだけマークだらけなのです。子どもっていうのはこういう活動に無邪気に熱中します。あった!こっちもだ!とあちこち探し続け、あっという間に500を優に超えるマークが集まりました。

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フィールドワークの翌日は、デジカメで撮影した「マーク」をプロジェクターで映し出し、ふりかえりです。1枚1枚写真を見ながらどんな特徴があるかみんなで語り合っていると、気になるピクトグラムが現れました。それは「ペットボトルリサイクルマーク」でした。

周りを円のように取り囲むだんだん細くなってゆく2つの曲線。中心にペットボトルの形がうきあがって見えます。

「これって絵だけなのにわかりやすい!」
「ペットボトルをくりかえし使おうという意味が伝わってくる!」

ピクトグラムとしてなかなか優れているマークを発見しました。するとある子が、私だったらこう表現すると、自分なりのピクトグラムを描き始めました。

「ペットボトルを大切にしようという気持ちがハートマーク。黄色い三角は注意だからみんなで大切にするように注意しようっていうこと。」

なるほどねえ。素朴ながら立派なピクトグラムじゃないですか。こうなると他の子もおれはこうする!私はこういうのつくりたい!と言い出します。そうだよね。つくってみたいよね……ということでスクールにこういうピクトグラムがあったらいいよね!と思うものをホームワークで描いてくるという課題を出しました。

どんな「ピクトグラム」を子どもたちは描いてくるのでしょうか。楽しみです。

RI

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「TCS映画塾」ふたたび開講!

タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現

[5・6年生]

卒業試験を兼ねているエキシビションを除くと、6年生にとっては
TCSでの最後のテーマ学習になる今回の「人の心を動かすストーリー」。
テーマ領域「意思表現」の学びの集大成として映画製作に取り組み
ます。

「僕たち、文さん映画塾の生徒なんでしょ!」

昨年の先輩達の活動を覚えていたようで、5年生の男の子が話の口
火を切ります。

「そうだよ、君達は二期生ということになるね。もう既に作品のイ
メージが涌いている子はいるかな?」

今タームで映画製作をおこなうことは前々から知っていた子ども達。
先ほどの男の子以外にもちらほら手が挙がります。
やりとりを進めていると、どうやら興味関心は映画製作における制
約条件に注がれているようです。

それではということで、早速、今回のミッションと制約条件を伝え
ることに。
前回からの変更点として「人の出演あり(ただし、クラスメイトと
家族に限る)」になったことを告げると、

「よっしゃーー!」
「やったーー!!」

と歓声があがります。
スクール卒業生の兄や姉に出演依頼をしようかななんて意見も聞こ
えてきます。

今テーマでは過去に人が出演する作品ばかりになった年度がありま
した。その時、出演者の演技力が作品の印象の大半を占めてしまっ
たという反省点があったので、やはりストーリーとそれを効果的に
演出するための工夫にとことんこだわってほしいことを念押しで伝
えると、子ども達も納得の様子です。

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また、塾長として映画製作における心構えを言葉に表しました。
それは『大胆かつハチャメチャに』ということ。
小さくまとまらず、自分の殻を破ってほしいという思いからです。

「これを実現するためにNGワードを設けた方がいいかもね。」
と問いかけると、

「『それってありえない』とかは?」
「『意味わかんない!』もダメでしょ。」
「『あれがないからできない』もだね。全然工夫してないし。」
「『普通は〜』とか『常識的には〜』なんてのもあるね。」

と出るわ出るわNGワードの数々。
これらの言葉を眺めていると、「ついついどれも言ってしまいがち
なんだよなあ」と普段の口癖が考え方や見方を狭めてしまっている
ことに気づきます。


そこで、またまた今回のミッションに立ち返り、「人の心を動かす」
とは一体どういうことなのか、それを考える上で「自分が観客や視
聴者として心が動いた瞬間」について意見をシェアすることに。

「ハラハラ」「ドキドキ」「ワクワク」といったある程度予想され
たキーワードに続き、

「主人公の台詞にハッとさせられたことがあった。自分の物の見方
が変わったんだよね。」
「いわゆる感動ものだけが心が動くっていうのではないよね。悲し
かったり、辛かったりする作品でも心に残ることはあるし。」
「やっぱり意外性がないと。この先いったい何が起こるんだろうと
想像するのが楽しいもん!」
「そうそう、次の展開が読めてしまうようなドラマ面白くないよね。」
「謎が多い作品にもひかれるなあ。次第に事実関係が明らかになっ
てくるみたいな。」
「なんかどの作品も最初に必ず問題が起きる気がする。そして、い
ろいろあってその問題が解決していく。幸せな状況が続くだけの作
品なんて観ようと思わないよ。」
・・・

とストーリー展開に関するものだけでなく、「心が動くとはどうい
うことか」を改めて問い直すものまでたくさんの意見が出てきます。

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最後に自分たちの作品のイメージを広げてもらうために過去の先輩
達の作品を鑑賞し、週末のホームワークとして自分の作品のテーマ
について考えてきてもらうことにしました。

さてさて、一体どんな内容になるのか、今から楽しみです。

HY

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2013年12月12日

ミラクル・ハイパーステージ12/21(土)

TCS「ミラクル・ハイパーステージ 2013」開催!

TCSスクールコンサート「ミラクル・ハイパーステージ」も、恒例となってきました。
TCSキッズ&スタッフ&保護者による大ステージ。

日頃磨き上げた技能が数多く披露されますので、どうぞお楽しみに!
年の瀬のこの時期、ご多忙とは存じますが、万障お繰り合わせの上ご来場ください!

今年は、下記の通り開催を予定しています。
※一般の方にも参観いただけます。ご希望の方は、下記までご連絡ください。

                 記

日時:平成25年12月21日(土)
   14:00~16:00(13:45開場)予定
 ※開始時間は変更になる場合がありますので、事前にご確認ください。

会場:方南会館・方南和泉会議室ホール(地下1階)
   杉並区和泉4-42-5  [地図]

*アクセス*
・最寄駅:丸の内線「方南町駅」徒歩5分
・バス「新宿駅西口」⇔「新代田」「駒沢陸橋」「阿佐ヶ谷」⇔渋谷
    上記路線の「釜寺」下車徒歩3分
*車でのご来場はご遠慮ください。



【お問合せ・お申込み】
東京コミュニティスクール(担当:戸嶋・若林)
TEL:03-3313-8717
E-mail:school#tokyocs.org
※お手数ですが、「#」を「@」に変更してから送信してください。

   件名を 「ミラクル・ハイパーステージ見学希望」とし、
   本文に以下の事項をお知らせください。
     1.見学希望者氏名(すべてご記入ください)
     2.お子さんの現学年(保護者の方)
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)

以上

2013年12月13日

恩送り

[3・4年生]



今週はまず映画『ペイフォワード』の鑑賞から始まりました。

ペイフォワードは2000年のアメリカ映画で、このテーマ学習「情けは人のためならず」と共通するコンセプトがあります。

ペイフォワードとは直訳すると”次に渡す”ということ。誰かにいいことをしてもらって、その人にお返しをする”恩返し”ではなく、”恩送り””恩渡し”という考え方です。ですから、見ず知らずの人にでも”恩” ”情け(辞書によると思いやりや人情味ある行動という意)”は渡すことができ、そのムーブメントがだんだんと社会に広がっていくというのがこの映画のメッセージです。まさに西洋版”情けは人のためならず”。

この映画を見た上でみんなで”情け”あふれる世の中について思いを馳せ、色々と話し合いました。するとある子が、
「ねえこの前亡くなったネルソンマンデラさんも利他的行動してたんじゃないの?」
と言い出しました。

「アメリカに家族で行った時にマンデラさんの壁画があってパパが話してくれたんだ。おれのベスト10に入るマイヒーローだよ。黒人の差別の為に政府に立ち向かって反対し続けて逮捕された人なんだよ。本当は終身刑だったけど熱意が伝わって27年で釈放されたんだって。それで差別の状況は良くなったんだよ。これって超利他的じゃない?」

「トレバー(映画 ペイフォワードの主人公)も人の為に身体をはって行動し続けたしな。それで最後は死んじゃうんだもん。すごすぎるよね。おれ正直ラストシーンでちょっと泣けた。」

「そうかー。ボランティアの仕事でもそうだけど相手に気持ちが伝わるには熱意が大事なんだね。」とYくん。

「熱意があれば多くの人に火がつくんだ。ろうそくからろうそくにだ!」

さすが3・4年生。なかなかうまいこと言ってくれます。

PIC_0321.JPG 翌日は再度病院のボランティアワークとして綿布切りをさせて頂きました。
3度目となると仕事にも慣れてきたところではありますが、”相手のために”というモチベーションも増々高まりみんな一生懸命、やる気マンマンで作業を行いました。

PIC_0327.JPG 他のボランティアさんや病院の担当者さんからも
「君たち、今日はすごく進んでいるね。この布の山も終わるかもしれないよ。」

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「しかも見本通りに切ってくれていてとても丁寧ね。」

とおっしゃって頂き、さらに調子に拍車がかかる子どもたち。

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「ありがとうございます!でももっと速くできますよ。この山全部今日無くなると思う!」(笑)

一緒に働くボランティアの先輩方も終始楽しそうに、そして子どもたちの”元気”のろうそくがまるで火を点したかのように和気あいあいと前回の倍ほどの綿布を作りきり、山になっていた布も最後にはすっかりなくすことが出来ました。

相手のニーズにも答えることが出来、子どもたちも先方もみんな満足な様子。
利他的行動を通して少しずつ世の中がいい方向に変更していくイメージを膨らませながら来週も考え、そして行動していきます。


YI

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ピクトグラムをつくる

[1・2年生]

週末のホームワークで子どもたちがつくってきた、スクールにあったら役立つと思う「禁止マーク」をシェアしました。この日は見学者の方が多い日でした。もしうまくできたピクトグラムだったら、絵だけできちんとメッセージが伝わるはず。そこで、自分たちのつくったマークがピクトグラムとしての機能を果たすのかどうか、見学者の方に判定してもらうことにしました。

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「がけ崩れ注意かな?」
「飛び出していってはダメっていうこと?」

階段ではつまずきやすいということを警告したかったのに、絵を雑に書いてしまうと斜面が波打っているように見えるし、茶色を使ったから余計土砂が崩れているようです。窓から身を乗り出すことを禁止したかったのに、窓と描かれた人との大きさのバランスが悪いので、ドアを開けて走り出してはダメというふうに見えてしまいます。

子どもたちは見学者の方からの率直な意見を神妙に受け止めています。絵だけでメッセージを伝えることの難しさに子どもたちは直面しました。

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テーマ学習による探究は、教科融合で行われますが、今回は特に「アート」と「算数」に焦点をしぼっています。アートの時間では、ピクトグラムの原理について、色の意味や、円、三角形、四角形というシンプルな形を組み合わせて人の動きを効果的に表現するにはどうしたらいいか学びます。

子どもたちは「なんとかして人に伝わるマークをつくりだしたい!」という強いモチベーションが湧いていますから、貪欲に知識を吸収します。さらに、ハサミをうまく使いこなさないときれいな形をきりとることはできないので、指先に注意を集中し、美しい形をきりとるためにどうハサミを用いるか必死になります。

大きさの異なる美しい円をいくつも描き出す必要性が出てくるので、コンパスも駆使しないといけません。円だけでなく、正三角形と正方形と長方形……数々の図形をどう組み合わせるか……定規を用い、丁寧に図形をつくりだしてゆく作業の連続。ハサミ、コンパス、そして定規を authentic な状況で何度も使わざるを得ない学びは、自ずと図形感覚を高める学びとなり、算数の知識・理解へとつながってゆくのでした。

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アートや算数につながる知識や技能は「習得」するためのものではなく「探究」で即活かすもの。「習得」と「探究」は車の両輪であり、常に並行して進んでゆきます。見学者の方からの率直なフィードバックと習得した知識と技能とを活かし、2階たたみ部屋の窓から身を乗り出してはいけません!というマークを改めてつくり直します。

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つくった作品は、これでいいかな?と思ったらすぐにみんなの前でシェア。フィードバックをもらいます。

「円の大きさはよくなったけど、人の動作がまだわかりにくい」
「じゃあどうしたらいい?」
「地面を表す線を入れて、足が浮いている感じを出せばいいんじゃない」

まだできていないから……自信がないから……見ないで!と作品を隠したり、仲間からのフィードバックを素直に受け入れられず、自分のやり方に固執したり、ダメな部分を指摘するだけでどうしたらもっとよくなるかアイデアを提示しなかったり、という子がまったくいません!これぞTCS のよき文化として培われている good & better なフィードバックです。

1・2年生だって、いや1・2年生だからこそ、自然にこの学びの姿勢を身につけることができるし、この先、学び続け、成長し続けることができるのです。

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みんなで語り合って、ひとりで黙々とつくりこんで、いろいろ試行錯誤して、描き直しを繰り返して、ようやく「作品」ができあがります。

「見て、おっちゃん!こんな感じかな?」

おお、随分洗練されたじゃないか!これなら窓から乗り出すなってはっきり伝わるね。

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シンプルな形とはっきりした色の組み合わせで大事なメッセージを的確&印象深く伝えるにはどうしたらよいかつかみとりつつある子どもたち。まだまだこんなレベルでは終わらせません。次週はさらなる高みへとジャンプしてもらいましょう。

RI

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産みの苦しみ

タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現

[5・6年生]

今週は映画の核となるストーリーを考える1週間となりました。

「表現の技術」に紹介されている手法を参考にしながら、話の大ま
かな流れや出来事の因果関係、登場人物など思い付いたことをシー
トに書き出し、いろいろ組み替えたりしながら、内容を考えていき
ます。

昔話や童話のストーリーのパターンを参考に設定を置き換えてみた
り、まずは登場人物のイメージを膨らまし、そこからストーリーを
考えてみたり。
思い思いのやり方で取り組みます。

ただ、方法論さえわかれば、ストーリーが簡単にできてしまうので
あれば、誰も苦労しません。
断片的なアイデアは次々に思い付くのですが、考えが行ったり来た
りして、なかなかストーリーとしてまとまらないのです。

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そんな中、普段からアイデアマンで通っている男の子は、クラスメ
イトが苦戦する中、すらすらとあらすじを考えていきます。

ただ、「こんなのはどうかな」と聞かせてくれた内容は人気テレビ
ドラマの影響がありありとわかり、自身で設定したテーマとはかけ
離れたものになってしまっていました。

探究領域「意思表現」の最終学年に相当する今回の映画製作。
子どもが自由きままに映画を撮影するというのが目的ではありませ
ん。
作り手のメッセージがきちんと観る人に伝わるか。
それを追究していくために、あえて厳しいフィードバックを返しま
す。

「どっかで聞いたことがあるストーリーやな。で、そのストーリー
が君が考えてきたテーマとどうつながってくるの?」

私からの問いかけに対し、長々と理由を説明してくれようとするの
ですが、次第にその説明に無理が生じてきたことに本人も気づき始
めます。

やりとりを進める中で、そもそもの問題は凝りすぎたテーマを設定
していたことにあるのではという結論に達し、テーマ自体を再度見
直すことに。

『テーマは真理、ストーリーは個別』

「表現の技術」で著者が強調していた言葉をその男の子と思い出し
ます。
結局この映画を通じて何が言いたいのが端的に答えられないようで
は、ストーリーなんて考えようがないのです。

「うーーーん、大変だあ・・・」

ある程度予想はしていたものの、最初の難関であるストーリー作り
に苦戦する映画塾のメンバー達。

冬休みまで実質残り1週間、はたして状況は好転するでしょうか。

HY

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2013年度冬休み課題図書

【1年生】               【2年生】
            


【3年生】               【4・5年生】
      




2013年度冬休み課題

【1~5年生】





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2013年12月18日

2013年度冬休み課題図書

2013年12月20日

ラーナープロファイル

[1・2年生]

スクールでしてはいけないことを「赤丸に斜め線」の「禁止」ピクトグラムを用いてマークにしてみたものの……なにか違和感が。

「窓から身を乗り出すな」
「階段をかけおりるな」
「ゴミを落とすな」

こういうマークが満ちあふれるスクールって、マーク探し探検に出かけたときの街の様子と同じ。1本の電信柱に「ポイ捨て禁止」のポスターがべたべたはってある。とても見苦しい割には、みんなが守っているようには見受けられません。効果があまりないのに美しくないなんて……そんなスクールにしたくはありません。

ネガティヴメッセージではなくてポジティヴメッセージを伝えるマークをつくれないか……ということでTCSの子どもたちが目指す姿を表した「ラーナープロファイル」をマークにしてみようというミッションを提示しました。

入学して半年以上は過ぎたとはいうものの、英語で書かれて壁にはってある「ラーナープロファイル」を1年生がどこまでわかっているかは不明……では2年生はわかっているかというと、朝の会やアセンブリーで時たま耳にしたり、テーマ学習の中で扱ったりしたことはあるものの、しっかり深めて考えたことはありません。

そういうときは「教える」のではなくて、「どんな理解をしているか探る」のが知をつくりだす探究する学びのスタイルです。このラーナープロファイルはこういう意味だ!と教える前に、どんなことを知っていてどんなことを知らないかあぶりだすのです。

「Thinkersならなんとなくわかるかも」

壁にはってある10枚のラーナープロファイルを見て、ある1年生の男の子が口にしました。

IMG_1056.JPG

「じゃあそれってどういうこと?」って返してみると、「びっくりしてひらめいて頭を動かせっていう意味だよ」と答えるではありませんか。おお、なかなか筋のよい答え。どうしてそう思ったの?とさらにたたみかけると、

「だって絵を見るとわかるよ」

確かに、スクールにはってあるポスターには 上の写真のように Thinkers という英語とともに電球がピカピカ光って何かがひらめいたように見える人のイラストが描かれています。それがヒントになったというのです。

すると他の子たちも絵から推測して Thinkers がどんな人かイメージし始めます。

・お茶の時間に、抹茶の量が少なくて、お湯の量が多くなってしまってあまりおいしくないなと思ったら、次は抹茶の量を多くするか、お湯の量を少なくしてみるか配分を考えようとするのが Thinkers である。
・他の人が考えて悩んでいるときに、意見を出して解決しようとする人
・一人きりで楽しくなくて何もやることがないときどうしたら面白くなるか考える人

早速、鋭い見解が飛び出してきました。と同時に、子どもたちがどんなイメージを持っているかも見えてきました。最初に「教え込んで」しまったら先生の言ったことをうのみにして、なんとなく知ったつもりになり、それ以上意味が豊かになっていきません。しかし、まずどんな「知識」を持っているのか掘り出してゆくやり方をすれば、先生も含め、みんなの「知恵」を合わせて立体的なイメージをつくりあげてゆくことができます。

「みんながスクールでよく耳にするラーナープロファイルは?」

ちょっと見方を変えてたずねてみると、

「Caring」
「Balanced」

という声があがります。

「誰かに言われたわけじゃないのに自然にやさしいことができるのが Caring かな?」
「Balanced ってめりはりだよ」

なるほど……子どもたちが意味をイメージしやすい言葉は、普段からいろいろな場面で使われていて、使われる状況や別の言葉がすぐに思い浮かぶので自然に理解も深まっているんですな。では逆に、あまり耳にしないラーナープロファイルは?とたずねてみると、Inquirers や Knowledgeable が真っ先にあがりました。これもまた興味深い。子どもの発言から改めて考え直してみると、Caring Balanced Principled とは異なり、 Inquirers や Knowledgeable という言葉を使う機会はあまり多くないことに気づきました。

Inquirers = 探究する人……でもスクールの子ってみんな探究してるんじゃない?考えたり、めりはりがあったり、よく気がついたり、チャレンジしたり、正義感がある子と何が異なるんだろう。じっくり考えてみます。すると、学帽の学びのアンテナに着目する子が表れました。「Thinkers は『!』ってひらめいたり、もやもやとずっと考えている人。でも Inquirers は『?』ってずっと思い続けている人かもしれない」

またまた面白い考えが出てきましたね。何も教えていないのに、いや教えていないからこそ、自分の知っていることや体験をベースにして新しい考えにつなげてゆこうと頭を働かせます。

「今のみんなの態度こそ Inquirers だよ」

と思わずおっちゃんは答えてしまいました。

こうしてみんなですべてのラーナープロファイルについてイメージを広げたところで前半が終了。冬休みに入ります。そこで冬休みのホームワークは、自分が気になるラーナープロファイルを3つ選び、そのラーナープロファイルを持つ人はどんな人なのか、そして自分がもしそのラーナープロファイルを発揮するとしたらどんな行動をとるのか、今、自分がイメージすること(理解していることと言ってもよいが……)を素直に書いてくるという課題を出しました。

あっているか間違っているかというような正解のある課題ではありません。今、自分がどんな思いを抱いているのか率直に言葉で明らかにして、考えをふくらませ、磨いてゆくもととなる「原イメージ」をつくることへの挑戦です。子どもたちはやる気まんまん。どんなイメージを子どもたちがまとめてくるか楽しみです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

ストーリーの構造を考える

タイトル:人の心を動かすストーリー
探究領域:意思表現

[5・6年生]

「登場人物は決まったんだけど、ストーリーをどうテーマにつなげ
たらよいか困ってるんだよね・・・」
「設定のアイデアはいくつも考えたんだけど、どれを選べばよいか
迷って全然話がまとまらないんだ・・・」
「ストーリーの大まかな流れはできたんだけど、なんかインパクト
に欠けるというか・・・」

それぞれ悩みは違えど、ストーリー作成に悪戦苦闘している様子が
伺えます。

当初のスケジュールから大幅に遅れているからといって、このフェ
ーズをおざなりに済ます訳にはいきません。
結局のところ、ストーリーの内容が面白くないと、いかに凝った演
出を施しても大した作品には仕上がらないからです。
演出とはストーリーを効果的に表すために手段に過ぎないのです。

まさに正念場といったところです。

しかし、考えが煮詰まった時に、一人でうんうん悩んでいても状況
を打開することが難しいのもまた事実。
まずは現時点のアイデアを語ってもらい、それをホワイトボードに
書き出し、ストーリーの構造を明らかにし、課題を整理することに
しました。

『表現の技術』では、映画のストーリーを以下の構造で分解してい
ます。
 ①問題の提起
 ②問題の複雑化(信じていたものが崩壊する)
 ③問題の解決

そして、「対立」や「葛藤」の要素がストーリーを展開する上での
原動力だとも。

このフレームワークを自身の作品に当てはめてみて、ストーリーを
精査してみると、どの部分が不足しているかが何となく見えてきま
した。

ネタバレになるのであまり詳しくは書けないのですが、ある女の子
は自身の作品の中で「親子愛」をテーマに扱おうと考えていました。

ストーリーを整理する中で課題に浮かび上がってきたのは、
「異次元空間に迷い込んだ家出少女がそこで親の愛情をどう再確認
するのか」
ということ。

大胆さとはちゃめちゃさを意識しながら、見る側の予想を裏切り、
ベタな感動ものになるリスクをどう回避すればよいか。
まさに「③問題の解決」の部分でどう盛り上がていくかが鍵になっ
てきます。

ホワイトボードに内容が整理されることで、クラスメイトも意見を
出しやすくなったようで、作品に使えそうなアイデアもばんばん出
てきました!
色々な視点があることで、作品がよりブラッシュアップされていく
感覚を実感することができたのではないでしょうか。

20131220-1.JPG

あと今週の後半はimovieの使い方の簡単なレクチャも行ないました。

特に撮影した場面に一番適した音楽(効果音)を探す作業は子ども
達の心をわしづかみにした様子です。

「これ、超簡単だね。」
「すげーー!!」

と驚嘆の声があちこちからあがります。

私の説明が終わると、早速、ipadで撮影した写真や動画をimovieで
編集し始める子ども達。

気分はもう映画監督です。

今回、冬休みのホームワークとして、作品を一旦仕上げてくるよう
子ども達に伝え、スクールのipadを貸し出しました。
年明けの1回目の授業にて上映会を行うことにしました。

一体どんな作品ができあがってくるのか、非常に楽しみです。

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TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2013年12月23日

テーマ学習発表会1/29

TCSテーマ学習発表会のご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

活動の成果を発表するテーマ発表会では、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。
※見学をご希望の方は、下記要領にてお申込みください。

               記

【日時】 2014年 1月29日(水) 9:30~11:30 

【場所】 セシオン杉並 2階 視聴覚室
     (東京都杉並区和泉4丁目42番5号)地図
     ※東京メトロ丸の内線「東高円寺駅」より徒歩5分     

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール事務局
 TEL:  03-3313-8717
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「テーマ学習発表会参加希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。
     1.参加希望日
     2.参加希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2013年12月24日

ワークショップ(大阪)
『探究型』を探究する

探究型学習をデザインする指導者のためのワークショップ<大阪開催>
「探究型」を探究する Collaborative Planning〜協同設計

 小学生を対象とした全日制スクールを運営する東京コミュニティスクール(TCS)は、20年後の社会を担う子どもたちに相応しい学校教育のイノベーションを実現することを目的に研究・実践・普及活動をしている特定非営利活動法人(NPO)です。
 その中で、「探究型学習(inquiry-based learning)」を特長とし、世界中から新しい時代の教育として大いに注目されている国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム(PYP: Primary Years Programme)から多くのことを学ぶとともに、それを基軸に、日本の子どものための「探究型学習」の研究・実践・普及活動を続けてきました。
 『「探究型」を探究する』シリーズ2度目の大阪開催となる今回は、探究型の学びの協同設計(Collaborative Planning)をテーマとしています。教師が、大胆に想像力を働かせ、先入観に囚われない発想と専門的な教科の知識を融合させた質の高い探究型の学びを実現するために、チームの叡智を結集する協同設計の具体的な方法と意義、さらにその楽しさについて、体験を通じ、インタラクティブなスタイルで学んでいただきます。
 探究型学習がうまくいかなくて悩んでいる方、世界に通用するレベルの探究型学習をデザインしたい方、探究という学び方に興味のある方など、現役の教員に限らず教育に興味関心のある方であれば、どなたでも参加できます。
【テーマ】 「探究型」を探究する(Collaborative Planning〜協同設計)
【日 時】 2014年2月23日(日) 9時00分~17時00分
【会 場】 株式会社内田洋行 大阪支店 大阪ユビキタス協創広場 CANVAS
大阪市中央区和泉町2-2-2 ※会場へのアクセス

【WSリーダー】 久保 一之、仲里 靖雄
※プロファイルは、下記をご参照ください。
【対  象】 教育関係者、一般
【定  員】 25名(要申込) ※※定員になり次第締切ります
【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)

【申込締切】 2014年2月12日(水)

【申込方法】 eメールにて、件名を「参加希望ワークショップ0223」とし、 参加を希望するすべての方について、以下の事項をお知らせください。
    1.氏名(ふりがな)
    2.所属(勤務先会社名、学校名等)
    3.e-mailアドレス(PCアドレス)
    4.日中の連絡先(緊急用)
    5.講座を知ったきっかけ
(ホームページ、知人、新聞・雑誌名、SNS名等)

お問合せ・お申込みは、
 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで
TEL:03-3313-8717  FAX:03-3313-8790
e-mail: s13#tokyocs.org

※メールアドレスの「#」を「@」に直してください

(ご注意)
※お申込後3〜4日のうちに確認のメールが届かない場合はお電話にてご確認くださるようお願いいたします。
※申込締切日以降のキャンセルには、規程のキャンセル料がかかります。
※参加費納付後の返金はいたしかねます。ただし、規程のキャンセル料との差額分はクレジット扱いにて、次回以降の参加費に充てていただく事ができます。


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主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール明日の教室大阪分校
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
協力: 株式会社内田洋行
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WSリーダー プロファイル

KAZU_casual_small.bmp 久保 一之(くぼ かずゆき)
NPO法人東京コミュニティスクール 創立者・理事長
 小学生から大学・社会人までの教育に幅広く携わる中で、探究型の学びの研究開発・実践・普及活動、学校教育の国際化支援等に特に力を入れて活動。国際バカロレア初等教育プログラム(IB-PYP)の研究を通じて日本の小学校教育の未来像を提案している。
 株式会社グローバルパートナーズ 代表取締役社長、株式会社ビジネス・ブレークスルー コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学 准教授・同大学院 講師。[http://tokyocs.org ]

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私立帝塚山学院小学校教諭
 大阪教育大学小学校課程理科専攻。大学を卒業後、帝塚山学院小学校、その後、公立小学校で14年間実践を積む。そして、立命館小学校開校より4年間、主に算数指導について研究を深める。 現在、再び帝塚山学院小学校にて探究型学習の研究・実践に力を注いでいる。
[http://tezukayama.ac.jp ]

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会場案内

株式会社内田洋行 大阪支店 大阪ユビキタス協創広場 CANVAS


住所) 大阪市中央区和泉町2-2-2
URL)http://www.uchida.co.jp/company/showroom/osaka.html
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交通のご案内(地下鉄をご利用の場合)
地下鉄谷町線・中央線「谷町4丁目駅」8番出口より徒歩8分
※お車でのご来館はご遠慮ください。

2013年12月25日

“情けあふれる未来”ってどんな未来?

[3・4年生]

今週でテーマ学習も3週目に突入。子どもたちとは先週の金曜日にアートのクラスと連携し、アウトプットについてのイメージを語り合いました。

このテーマでのアウトプットは6人で”情けは人のためならず”ということわざが表すように”情け(辞書の意:思いやり・人情味あふれる行動)”が巡り巡って創られていく”情けあふれる未来”の絵を共同で描くこと。

そのイメージを膨らませるべく、アートクラスでピカソのゲルニカを鑑賞しました。
まず数分はじっくりとゲルニカを眺め、その後気づいたことや感じたことを話し合います。

「牛の口の中に、なにかナイフみたいなものがあるよ。」
「他の動物にも同じものがあるんだよ。」
「この女の人の腕の中にいるのはこの人の赤ちゃんなんじゃないかな?」
「ひょっとして赤ちゃんが亡くなって悲しんでいる絵なんじゃないの?」
「暗い感じがする。戦争のことを作者は伝えたいのかな?」
「このとがったのは剣だ!剣がいろんなところにある。この作者はどんなメッセージを言いたいのかな?」

子どもたちは一枚の絵をじっくりと鑑賞することに慣れてきているだけあって様々なことを発見し、疑問を持った様子です。

翌日、クラスで自分たちが作り出す“情けあふれる未来”のイメージ像についてディスカッションを行いました。

「あいさつとかお礼をきちんとみんなが言えるようになってほしい。だって今はできてないじゃん。」
「あと電車で当たり前にお年寄りに席をゆずるような未来。」
「エネルギーは自然エネルギーで発電して環境にいい社会。」
「飢えがなくて食べ物に困っている人たちのところに豊かな国が分け与える仕組みもある世の中。」
「お金が中心でまわってるから今の社会はおかしなことばっかりあるんだから、お金をゾロリのカードみたいにしたり、お金が変わればいいな。」
「あいさつとかお礼とか小さなことから大きなことにつながっていくってキーワードじゃない?だってフードロスも同じだけど小さな行動が大きくなっていくんだよ。」
“小さなことから大きなことに”というキーワードにはみんな響いた様子。一人一人の行動が世の中を変えることにつながっていくということにみんな納得しているようです。

「まるで事象の連鎖だね」とYくん。今までのテーマ学習の学びもつながってきています。

模造紙に書いた沢山出てきた“情けあふれる未来のイメージ”を見ながらその中の要素としてはどんなものがあるのかみんなで考えみました。

するとエネルギー、食、あいさつやお礼などの日々の気配り、自然を増やす、戦争がない、お金、ホームレスがいないなど自分たちが思い描く未来のビジョンが少しずつハッキリしてきました

翌日は近所のデーサービス「和田ふれあいの家」へボランティアをさせて頂きました。ここではお年寄りの方々と一緒にゲームをしたりお話をして一緒に楽しい時間を過ごすことが彼らの仕事。元気いっぱいな彼らは最初の自己紹介からあっと言う間に人気者に。みなさん彼らのことをニックネームで覚えて下さいました。

PIC_0375.JPGこの日は午後のレクリエーションタイムのすきやきじゃんけんゲーム(司会者にじゃんけんで勝ったらくじ引きをして、すきやきの具を全部集められたら勝ち)に参加し、グループごとの書記をつとめました。書記をしながらも自分のチームのじゃんけんの結果に大興奮の子どもたち。
「あ!ぼくたちもうリーチです!!しらたき来い、しらたき来ーい!!あー、また肉だーー残念。でもおれ肉大好きだからいいや。」と言うKくんの発言からみんなの好物話に展開していったりと終始笑いが絶えない楽しい時間を過ごすことができました。

書記もしっかりと行うことができています。

PIC_0381.JPGまた新年に戻ってくることを約束して和気あいあいと交流させて頂くことができました。

ボランティア作業を通して“相手の役に立つこと”を意識して行動することで、相手に喜んでもらうにはまずは相手のニーズを知ることが大切だと気づきました。

そういった利他的行動の一つ一つが広がっていくことでだんだんと社会が“情けあふれる社会”に変化していくというビジョンを描いて、冬休む中にHWとして各自で思い描く“情けあふれる未来像”を作成してくることになりました。

そしていよいよ新年からはゲルニカ風作品の共同制作に取りかかります。
さあ休み中に子どもたちはどんな未来を思い描くのでしょうか?



YI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



NPO Tokyo Community School 
特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール 


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