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語り合って広げる

[5年生]

いよいよ本格的な記事づくりです。教室の壁一面に、ともに語りながら
思いついたアイデアの断片が書き込まれています。かなり筋のよい要素
をマイニング(掘りおこす)しているので、後は、この断片をどうつな
げてゆくかです。そうすればよい記事が自ずとできるはずです。

「さて、どの3つを選ぼうか?」

表紙を除くと残り7ページ。そのうちの6ページを使って学びの内容に
ついて説明するとして、見開き2ページで1つのトピックについて扱う
と、取り上げられるのは3つです。今年、やったテーマ学習は5つ。そ
の中の「てこでも動かない」に基づいて、TCSならではの学びの特徴に
ついてアピールします。

壁に書かれたこれまでの話し合いの記録を眺めつつ、ある子がつぶやき
ました。

「やっぱり……話すところなんだよね」

過去に書かれた小冊子でも、TCSの学びの大きな特徴は、「話して、話
して、話しつくす」こと。いったいどこにいってしまうんだろうと見学
者が心配するほど、「ねじれても広がり」つつ、あちこちいろいろな方
向に話が広がってゆくのにもかかわらず、ただ拡散しっぱなしでは終わ
らず、より面白い考えにたどりついてしまう……先輩達が気づいた自分
たちの学びの特徴です。

今年の子どもたちも、やはり「話す」というところに学び方の大事な要
素が含まれていることに気づいたのですが、このまま同じことを書くわ
けにはいきません。いったいどんなふうに話し、その結果、どんな学び
が生まれているのか、より分析を深めてゆく必要があります。

「公立小のときには自分をこんなふうに出せなかったんだよね」

昨年、TCSに転校してきた子が素直な心境を吐露しました。こんなこと
言って大丈夫かなあ?バカだと思われるんじゃないかなあ?変だと思わ
れるんじゃないかなあ?という不安を抱えずに、素直に意見が言える文
化がTCSに根づいているからこそ、学びのときに思う存分話せるという
わけです。ベースに安心感が必要ということがまず浮かび上がってきま

した。

「じゃあ、安心感がある中で、ただ思いついたことを言えばよいという
ことかな?」

安心して何でも言い合えるというとなんとなく聞こえがよいようにも思
えるが、好き勝手なことを言い合って、雑談やおふざけで終わってしま
うことだってあるのではないか……ということについての「ゆさぶり」
質問をしました。

「誰かの言ったことを聞いて連想したことをまず口にする感じなんだ
よね」

なるほど……面白いことを言うな。もともと頭にあったことを口にする
だけでなくて、誰かが語ったことに乗っかって、どんどん積み重ねてゆ
く感じだというわけです。

「どんどんひらめきが広がって、枝や葉が増えていって、豊かになって
くんだよ」

テーマで「語り合い」を始めるときは、「滑車をどう組み合わせて車を
動かすか?」というように「方法」を模索する場合もあれば、「宇宙紙
芝居のストーリー展開を決める」というように「アイデア」をまとめる
場合もあります。いずれの場合も、質の高いアウトプットを生み出した
いという強い思いがあります。その思いを「幹」として枝葉を豊かにし
てゆくので、ねじれても、広がっても、全体がブレることはなく、むし
ろ、語り合う前には気づかなかった、言い換えれば、語り合った結果、
見事に「創発」した方法やアイデアにたどりつくのです。2年前に編集
された小冊子で、先輩達が、テーマ学習のイメージを、豊かに葉を繁ら
せる大樹の絵で表しましたが、その直感は、まさに的を射ていたのでし
た。

とはいえ、ただ広げっぱなしで終わる語り合いにしない「秘訣」がまだ
あるはずでは……ということで、さらに考え続けてゆくと、「反論」と
いうキーワードが浮かび上がってきました。「反論」といっても、相手
の意見を「否定」して、「それ違うよ!」とか「そんなことあるわけな
いじゃん!」とか言うのとは違う……ある見方が提示されたときに、別
の見方はないか、反対の見方をするとどうなるか、考えるように促す発
言が、彼らの考える「反論」でした。

「key concept の perspective に近いのかもね」

おお、 key concept が出てきましたか。perspective change を行えば、
議論がある方向にのみ偏ることはなく、より多面的な見方ができます。
むしろ、広げることが、かえって狭い見方にとらわれることを防ぎ、新
たな「つながり」を「発見」することへと導くわけですな。いやあ、今
日の話し合いも見事に広がりながら、より深い見解にたどりつきました
もんね。いろいろ語り合うという習慣を持ち、飽きずに続ける姿勢を持
つことこそ探究思考の要!ということを「発見」する学びとなりました。

さあ、記事のタネがまず一つできたぞ!

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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