タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」
今回のテーマのcentral ideaとなるこのことわざ。
子ども達とともに国語辞典をひいてみると、次のように説明されていました。
・意味:人に親切にすれば、いつかは自分にも必ず良いことが起こるということ
「『情けない』って言ったりするよね!」
「朝の音読でも出てきたじゃん。『なほあはれになさけ深し』って。」
ことわざそのものは聞いたことがないものの、「情け」という言葉はどこかで耳にしたことがある様子。
その意味するところは何なのか、さらにイメージを広げていきます。
「例えば、誰かに勉強を教えてあげるのも良いことだけじゃないんじゃない?」
そんな中、早速、面白い切り口の意見が飛び出してきました。
「それ、どういう意味?」
「だってさ、自分で学べなくちゃ、その人のためにならないでしょ。」
「それは面白い観点だね。辞典の意味には、『いつかは自分にも良いことが起こる』とあるけど、それについてはどう思う?」
「あれ!?そっか、『人のためならず』だから、人のためにならないことかと思ったよ。」
彼女が思ったことを素直に言葉にしてくれたおかげで、周りの子ども達もこのことわざの独特の言い回しに気がつきます。
「じゃあ、こんなのはどうかな?」
今度は別の男の子が話を切り出します。
「この前、お母さんが電車でおばあさんに席を譲ったんだけどさあ。」
「ほおほお、それで。」
「そのおばあさんに『ありがとう』とお礼を言われたんだよね。」
「けど、それじゃ『いつか』じゃなくて、『いま』自分に良いことがあったと言えるんじゃない?」
「いや、お母さんがおばあちゃんになった時、今度は席を譲ってもらえるかもと思って。」
「なるほど!」
前の子の意見を受けて自分の頭の中に浮かんだ考えを言葉にしてみる。
そんなやりとりを重ねていると、辞典に書かれた無機質なイメージがだんだんと色味を帯びていきます。
「ちなみに、君たちは『人のために行動した』ことってある?」
「この前、横断歩道のところで荷物が重そうなおばあさんを見たんだけど、その荷物を持ってあげたよ。」
「そういえば、幼稚園の時、ちっちゃい子がご飯こぼしたのを片付けたなあ。」
「実はいつも朝に散歩してるんだけど、掃除していたおばあさんのちりとりを持つの手伝ったんだ。」
・・・
自分の実体験を語るその表情は照れ臭そうでいて、でもどこか誇らしげ。
「じゃあ、人のために行動するのと自分のために行動するとでは何が違うの?」
いよいよ、今回のテーマの核心部分に迫るべく、さらに突っ込んだ質問を投げかけます。
改めて尋ねられた質問にやや戸惑いの表情を浮かべる子ども達。
ちらほら意見が挙がりますが、その大半は困った人を助けてあげるといった類のものばかり。
そんな中、最初に勉強の例を挙げてくれた女の子が授業の最後に印象的な一言をつぶやきました。
「自分のために行動するのは、自分だけにとって良いことをするってことなんじゃないかな?人のためにってなると、その人が楽になるためにこうすればいいんじゃないかと考える必要があるでしょ。けど、本来自分でやるべきことだったら、あまり手伝いすぎてもいけないのかなって。」
利他とは?利己とは?
これから6週間、ずっと考え続けていくことになるこの概念。
とは言っても、机上でうんうん考えていても埒が明かないでしょう。
まずは、行動をおこす。そして考える。
いよいよ来週からスクールを飛び出し、ボランティア活動を通じて、概念の理解を深めていくことになります。
HY
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」
[2年生]
「情けは人のためならず」今回のテーマのcentral ideaとなるこのことわざ。
子ども達とともに国語辞典をひいてみると、次のように説明されていました。
・意味:人に親切にすれば、いつかは自分にも必ず良いことが起こるということ
「『情けない』って言ったりするよね!」
「朝の音読でも出てきたじゃん。『なほあはれになさけ深し』って。」
ことわざそのものは聞いたことがないものの、「情け」という言葉はどこかで耳にしたことがある様子。
その意味するところは何なのか、さらにイメージを広げていきます。
「例えば、誰かに勉強を教えてあげるのも良いことだけじゃないんじゃない?」
そんな中、早速、面白い切り口の意見が飛び出してきました。
「それ、どういう意味?」
「だってさ、自分で学べなくちゃ、その人のためにならないでしょ。」
「それは面白い観点だね。辞典の意味には、『いつかは自分にも良いことが起こる』とあるけど、それについてはどう思う?」
「あれ!?そっか、『人のためならず』だから、人のためにならないことかと思ったよ。」
彼女が思ったことを素直に言葉にしてくれたおかげで、周りの子ども達もこのことわざの独特の言い回しに気がつきます。
「じゃあ、こんなのはどうかな?」
今度は別の男の子が話を切り出します。
「この前、お母さんが電車でおばあさんに席を譲ったんだけどさあ。」
「ほおほお、それで。」
「そのおばあさんに『ありがとう』とお礼を言われたんだよね。」
「けど、それじゃ『いつか』じゃなくて、『いま』自分に良いことがあったと言えるんじゃない?」
「いや、お母さんがおばあちゃんになった時、今度は席を譲ってもらえるかもと思って。」
「なるほど!」
前の子の意見を受けて自分の頭の中に浮かんだ考えを言葉にしてみる。
そんなやりとりを重ねていると、辞典に書かれた無機質なイメージがだんだんと色味を帯びていきます。
「ちなみに、君たちは『人のために行動した』ことってある?」
「この前、横断歩道のところで荷物が重そうなおばあさんを見たんだけど、その荷物を持ってあげたよ。」
「そういえば、幼稚園の時、ちっちゃい子がご飯こぼしたのを片付けたなあ。」
「実はいつも朝に散歩してるんだけど、掃除していたおばあさんのちりとりを持つの手伝ったんだ。」
・・・
自分の実体験を語るその表情は照れ臭そうでいて、でもどこか誇らしげ。
「じゃあ、人のために行動するのと自分のために行動するとでは何が違うの?」
いよいよ、今回のテーマの核心部分に迫るべく、さらに突っ込んだ質問を投げかけます。
改めて尋ねられた質問にやや戸惑いの表情を浮かべる子ども達。
ちらほら意見が挙がりますが、その大半は困った人を助けてあげるといった類のものばかり。
そんな中、最初に勉強の例を挙げてくれた女の子が授業の最後に印象的な一言をつぶやきました。
「自分のために行動するのは、自分だけにとって良いことをするってことなんじゃないかな?人のためにってなると、その人が楽になるためにこうすればいいんじゃないかと考える必要があるでしょ。けど、本来自分でやるべきことだったら、あまり手伝いすぎてもいけないのかなって。」
利他とは?利己とは?
これから6週間、ずっと考え続けていくことになるこの概念。
とは言っても、机上でうんうん考えていても埒が明かないでしょう。
まずは、行動をおこす。そして考える。
いよいよ来週からスクールを飛び出し、ボランティア活動を通じて、概念の理解を深めていくことになります。
HY
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。