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「いっしょにできる」提案

タイトル:日本のなかの世界
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア: 私たちは多様性の中で生きている

[5・6年生]

インタビューさせてもらった方々の国であるバングラデシュ、ネパール、ベトナムと日本との関係がわかってくるにつれて、プレゼンの内容をどうするか子どもたちは頭を悩ませ始めました。何をやったか学んだ内容については個々に Keynote にまとめています。そのうえでプレゼンテーションでは、日本に居住する外国人とともに生きてゆくことの可能性について考えたことを発表します。そのうえ、実際にインタビューした方をプレゼンテーションデーにお招きして、発表内容についてフィードバックをもらうのです。

「きれいごとを言ってもしょうがないしな」

こんなことをやったらいいと思うと提案したら終わり!ではなくて、実際に自分たちでもできて、それなりの効果があるものでないといけない……という思いが子どもたちにわいています。

ただ「知識」を得たのではなく「実感」したからこそ、自分たちごとになっているのです。「あの人」という具体的な顔が浮かび、「あの人」の背後にある具体的な境遇がイメージでき、リアルに感じてしまう……中野に住む外国人居住者を訪ねて、じっくりお話を聴いたからこそ強く感じたことです。このような気持ちになっているだけでもはや学びの大きな目的はクリアしていると言えましょう。とはいえ、ここまで来たら子どもたちも、何か自分たちにできることはないかなあと考え、提案しないわけにはいかない気持ちになっています。

10人のメンバーが2組に分かれてアイデアを出すことにします。

「肌の色が違うとか、習慣が違うとか、とにかく違うところをどうしても見つけちゃうよね」
「違う人がいるっていうとそれだけで固定観念が生まれるじゃん」

固定観念

ビッグワードが出てきました。ビッグワードはキーワードではありますが、同時に、わかったつもりのアイデアにつながる危険なサインでもあります。なのですかさず問い直します。これが探究ジェネレーターの仕事です。

「固定観念ってどういうこと?それがなんで問題なわけ?」

すると固定観念とは「思い込み」とほぼ同じだという答えが返ってきました。外国人に対する「思い込み」とは?……さらに突っ込むと、イスラム教の人はみなテロリストだとか、北朝鮮は好戦的な人たちの集まりだとか、中国人はゴミをどこでも捨てるとか、具体例が出てきました。

なるほど、一部の事実に全員を当てはめてしまうことが「思い込み」であり、「固定観念」の源ということね。だったら「◯◯人」っていうとらえ方の中に、既に「固定観念」のモトがあるということ?……

さらに投げかけてみます。

こうして頭がぐるんぐるんと揺さぶられることがなによりも大事です。答えをすぐに見つけようとしたり、解決策をひとつに決めようとしたり、あせってはダメ。ああかもしれない、こうかもしれないと深く悩み、アイデアをしぼりだすのです。

みんなで意見を出しあって検討しますがなかなかまとまりません。

「ぼくたちにできることがいいよね」
「どんなことができるかな」
「大人を巻き込むこともいいけど、ぼくたちは子どもなんだから子どもを巻き込めた方がいいよね」

今回、大変お世話になった中野国際交流協会の方がこんなことを言っていたことを思い出しました。日本語が話せず、学校にも友だちができなくて自分の国の言葉も育たなければ、自信も育たない子どもたちがたくさん中野に住んでいるというお話。

「どうしたらそんな子どもとうまく交流できるだろう」

子どもの間に交流が生まれれば、そもそも子どもの考えは柔軟なので、遊んで楽しいなという体験さえあれば、すぐに考えを変えるはず。子どもどうしが仲よくなるのを見て、大人も変わらないといけないと思うのでは……

そんな考えが頭の中を駆けめぐり始めたようです。

「TCSで何かできたらいいよね」
「プレゼンのときに中野国際交流協会の方が来てくださるからね」
「採用されるアイデアならいいな」

突然、スイッチが入って、しばしの沈黙。

「あっ!ひらめいた!」

自分たちと一緒にできる企画を思いついたようです。いったいそれはどんなアイデアか?

それはプレゼンでのお楽しみ!ということでテーマ学習の6週間が終わりました。

RI

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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