東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2015年03月 アーカイブ

2015年03月02日

”気”と”元気”

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

今週は”元気”という言葉に注目し、”気”がつく言葉についてみんなで考えてみることから始まりました。

「気がつく言葉っていっぱいあるね。たとえば”平気”とかさ。」
「気味が悪いとも言うよ。」
「気味が悪いってどんなイメージかな?」
「なんだろう?怖いとまではいかないけどなあ。。。月夜にちょうちんってイメージかな。(笑)」
「”気分がいい”とか”悪い”!」
「”気分”てなに?具合がいい、悪いってこと?」
「うーん。似てるけどちょっと違うなあ。ぼくにとって気分が悪いっていうと人とケンカした時かな。」
「私は気分が悪いって言うと”吐きそう”な時に使うな。」
「ああ!そっか、でもよく考えたらおれは両方の場合で使うかな。」
「”気をつける”、とか”気を使う”っていう言葉もあるよ!」
「その場合の”気”ってどういう意味なんだろう?」
「意識するってことだよ。」
「じゃあ”気”って意識のことなのかな?」
「うーん。そう言われるとなんか違う気もするような。”心”って感じかな?」

子どもたちからはたくさんの”気”がつく言葉や表現が飛び交い、それを元にお互いの概念を共有してイメージを広げていきました。

大気・空気・勇気・根気=レジリエンス&じわじわ・本気・天気・気圧・湿気・気象・気絶・意気・殺気・電気・悪気・陰気・弱気・強気・気が長い/短い・気が大きい/小さい・気が進む・気まぐれ・やる気・気合い・気楽・一気に・気を失う・意気地なしなどの子どもたちから出てきた”気”のつく言葉や表現から彼らは”気”という言葉に生命力・エネルギー・たましい・力・カメハメ波・心・がんばる気持ちといったイメージを持ったようです。

”元気”や”気”という言葉はなかなか外国の方、特に西洋の人たちには説明することが難しい概念ですが、私たち日本人にとっては自然に備わっている感覚なのですね。
ただ、そのイメージを他の人と共有したり言語化するというのはなかなかする機会がありませんのでみんなで話し合ってみると自分にはなかった見方を発見したり、再確認にもなりました。

さて、”元気”の話です。
これまで”元気な状態”になるには適切な量の適切な食べ物、水、酸素を摂取することが欠かせないことを学んできましたが、このような一般的な”元気な状態”になるために必要な要素以外にも人によって異なる”元気になる”要素があるようです。

「ぼくはねえ、感動すると元気になる。」
「感動か。それってどんな感動なのかな?」
「たとえば、”るろうに剣心”であまり人に剣を向けない主人公がすごく悪くてイヤな相手をやっつける場面を見て感動したんだけど、その時すごく元気になったんだよ。」
「なるほどね。それって、その場面を見てどう感じたのかな?」
「そうだなあ。自分が主人公になったつもりで、自分もやってみたい!とか主人公の勇気がすごいって思ったんだよ。それで感動してウオーって元気になったの。」
「なるほどなあ!”自分がやってみたい!”って思ったり、”勇気”に感動させられて元気が出たんだね。」
「私は猫にいつも元気をもらう。宿題して疲れても”つくし”を見ると充電されるんだよ。猫は”かわいい”からね。」
「ぼくはね、電車から元気をもらうよ。」
「出ましたー!(笑)で、それってどういうことなの?」
「あのね、北海道に行った時にローカル線に乗って海が目の前に見える場所で雪が降ってたのね。そこでしかも対向列車が来たんだよ!そのかっこよさとタイミングがすっごかったから超”元気”になったんだよ。」
「なるほどー。ただ電車を見れば元気になるわけじゃないんだね。色んなことが重なり合って”かっこいい”って思ったら元気が湧いてくるんだなぁ。」
「あ、あのおれははスティーブジョブスの本を読むと元気になる。なんでかと言うと他の人と違う考え方がかっこいいから。」
「ちなみにどんな風に他の人と違うの?」
「普通の人は便利さを追求するでしょ?でもね、ジョブスは便利さと低コストを追求したんだよ。」
「そっか、マイヒーローはたしかに元気の源だよな〜!」と4年生たち。
「おれは野球でナイスプレイした時。敵がナイスプレイしても元気になるよ。盛り上がってウキウキするんだ。まあ、味方とか自分がナイスプレイするともっと元気になるけどね。」
「下ネタで笑ったり、笑わせるのも元気になるよ。笑いが元気になるってことなのかなぁ?」

みんなに共通する元気の素とそれぞれの元気の素がどうやらあるということが見えてきました。
さあ、どうすればより”元気”に生きていくことができるのでしょうか?
来週も探究は続きます。

YI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2015年03月06日

聞くことで見えてくる蔭

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

自分たちの見えない蔭の部分で何が行われているか。
家でのお弁当作りと、外でのお弁当作りを実際に自分たちの目で確かめてきました。
それぞれ観察してきたことを「運動」「保守」「創造」の3つに分類すると、違いや共通点が見えてきます。
届けていただくお弁当は救世軍ブース記念病院で作られているお弁当です。

「救世軍(のお弁当)は、区切りがあるけど、うちのはないよ。」
「うちのは、区切りあるよ。」
「区切りがなくて、味がまざって、まずかったことある。」
「ぐちゃぐちゃにならないためだから、保守だね。」

「救世軍はフルーツがないよ。」
「つまようじもない。」「あると食べやすいのに。」
「お弁当箱のふたがカチってならない。」「取れやすい。」
「キャラクターのお弁当箱じゃない。」
「そこまで考えるのは面倒だからじゃない?」
「栄養の方が大事だからだよ。」「病院で作ってるお弁当だし。」

「一度に作る量が違う。」
「洗い方が違う。」「4度洗いしてた。うちでは1回だよ。」

「メニューが決まってる。」「うちじゃ、その日冷蔵庫に残ってるもので作ってる。」
「メニュー聞いても、言ったのと違うのが入っていることもある。」
「いつも同じものが入ってる。救世軍は毎日同じものじゃない。」

「うちでは手袋やキャップはつけてない。」
「エプロンはしてるよ。」「え。してないよ。」
「自分の服が汚れないためにつけるって。」
「してないときは、気にしてないからだよ。」

自分たちが見てきたことや、聞いたことを元に違いや共通点を探すことで、わかることが色々と出てきました。
救世軍では、栄養をいちばんに考えているということ。
おうちの人に作ってもらうお弁当は、自分の好きなものを考えてくれていたり、救世軍ほど細かい汚れは気にしていないということ。
しかし、一方でわからないことも出てきました。
「作っている時間は同じくらいなのかな。」
「なんで救世軍の冷蔵庫はあんなに大きいんだ?」
「メニューはどのくらい前から考えているんだろう。」
「ふたが開けやすいと運ぶの大変じゃないのかな。」

わからないこと、つまりそれは、蔭になっていて見えていない部分だということであり、
これは聞いてみないことにはわかりません。
そこで、配達時にインタビューしてみることに。

IMGP5397.jpg「お時間いただけますか?」と話しかける子どもたちに、心よく受け答えしてくださいました。
話を聞くことで、病院で出している食事を外でも求めている人がいることから
宅配を始めたことや、作っている管理栄養士さんが運転もしていること、
TCSは12時、ほかの場所には11時に着くようにして、戻ってからも食器洗いの仕事があることなどもわかりました。

細い道でも通れるための車を使用してたり、届ける時間が決まっていたりすることから、
運ぶことにも気を使っていることが見えてきました。

動作の蔭にある、何のためという目的がわかると、保守に分類されることが多いようです。
それは、子どもたちの会話の中に現れてきていました。
「○○は、保守ばっかり言うよね。」
「この手型は何だっけ?あ。ただの運動か。」

IMGP5383.jpg

先週、救世軍で見てきたことの分類作業では、
「運動」に動作が集中していました。




聞いてみたいこと、わからないことが出てきて、それがわかることで、「ただの運動」ではなくなる。
運動に分類されているということは、単なる動作にすぎないと判断しているようです。
ちょっとしたつぶやきの中に、頭の中での認識の変化が垣間見られる感じがしました。
集中している「運動」の手型も、インタビューの機会が増えることで「保守」あるいは「創造」に分散されてくるのでしょうか。
配達時のインタビューで蔭がまだまだ見えてきそうです。

AN

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仲間を集めよう!

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

路上でタバコを我慢できない
ゴミ箱まで捨てに行くのが面倒くさい
自分一人くらいなら問題ないのでは

ふりかえりの中で浮き彫りになったのは「人の意識」の問題でした。

ゴミを拾っても拾ってもきりがない。
けど、何とかその状況を打破したい。
もやもやした思いを抱えながら、みんなで解決策を考えます。

「たしか海外でゴミをポイ捨てすると罰金を取られる国あったよね。」
「シンガポールのことかな?」
「そうそう、シンガポールみたいに法律を厳しくすれば、ゴミも減るんじゃないかな。」
「あと、面倒くさがってゴミをポイ捨てするんだったら、まちにゴミ箱をいっぱいつくればいいかも。」
「うーーーん・・・」

とりあえずアイデアを出したものの、子ども達はどこか納得のいかない表情。

行政に任せれば、万事解決?
結局のところ他人任せになってしまっていることに本人達も薄々気づいているようです。

「そういえば、城山公園でゴミ拾いした時に手伝ってくれたおじさんがいたよね。」

以前、公園でゴミ拾いをしていた際に、ランニング中のおじさんが私たちの活動に協力してくれたことがありました。
お揃いのビブスに身をまとい、トング片手に公園中を歩き回る私たちのことがよっぽど珍しかったのか、気さくに話しかけてきたことを思い出します。

「ルールが厳しすぎるのも、やっぱり楽しくないよなあ。」
「まち中のあちこちに◯◯禁止の看板ばっかりなのも嫌だし。」
「まちの人みんながゴミ拾いしてたら、普段ポイ捨てしている人もさすがに気まずくなるんじゃないかあ。」
「あのおじさんみたいな人をもっと増やせればいいんじゃない?」

「どうしたら、仲間を集められると思う?」と尋ねてみると、
ある子から「チラシやポスターを作って、配ろうよ!」という案が出てきました。

これには、他のクラスメイトからも「いいね!!」という反応が。

自分たちだけで何とかしようとするのではなく、多くのゴミ拾い仲間を作ればよいのではないか。
そういったまちの雰囲気をつくっていくことが、ひいてはポイ捨てする人の意識を変えることにつながるはず。
これまでの活動をふりかえり、子ども達はこのような考えにたどり着きました。

とはいえ、チラシやポスターづくりが単なる自己満足に終わっては意味がありません。
日本各地で行われているゴミ拾い活動でどのように参加者を募っているのか。
いくつかの活動のポスターやチラシをレイアウトの参考にすることにします。

「やっぱり、何の活動なのかは大きく目立たせてあるよね。」
「あと、いつゴミ拾いをするのかがそのすぐ下に書いてあることが多いよ。」
「このポスターは字がたくさんありすぎて、読む気がなくなるなあ。」
「伝えたいことをシンプルに書いた方がいいね。」
「そうだ、僕たちのことも書かないと。どこの誰だかわからないと、手伝おうって気にならないもん。」
・・・

photo_20150306_1.jpg

来週の活動に仲間を募るのであれば、何としてでも木曜中に完成し、遅くとも金曜までにチラシを配りに行かなければなりません。
チラシやポスターに書くべきことと作る上でのポイントを押さえつつ、高い集中力を発揮して、製作に取り組む子ども達。
2コマ(90分)の授業時間もあっという間に過ぎていきます。

photo_20150306_2.jpg

何度も書き直しを行い、やっとのことでチラシとポスターが完成!!!
自作のチラシとポスターをコピーして、早速スクールを飛び出します。

チラシは中野駅北口ロータリーと近所の公園を中心に配ってまわり、用意した50枚のチラシは見事手渡すことができました。
あと、秋のTCSフェスタの際にもご協力いただいたお店を訪れ、ポスターを貼らせてもらうことに。

「あら、前に来てくれた学校の子たちかしら。頑張ってね!」

激励の言葉をいただき、子どもたちのやる気にも火がつきます。

はたして、私たちの思いに共感して、活動に参加してくださる方はいるでしょうか。
今から来週が楽しみです。

HY

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国立栄養健康研究所訪問

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:時空因縁
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

栄養バランスのとれた食事を心がけるだけで”元気”になれるのでしょうか?
”食事”以外にどんなことが”元気”になるために大切なのかヒントをいただくために国立栄養健康研究所へ伺いました。

「健康な生活を送るためには栄養バランスの取れた食事だけじゃなくて適度な運動と適度な睡眠も必要ですよ。みんなは1日にどれくらい体を動かしていますか?」

到着すると早速健康増進研究部の方から質問がありました。

「大体2時間くらい運動してるよ!放課後もしてるし。」
「多分20分くらい。」
「週末は5時間くらい野球してる!」と子どもたち。

「今日来てくれたみんなは運動をよくしているみたいですね!一般的に子どもたちは毎日1時間くらいの運動をするとちょうどいい運動量になるんだ。歩くことも運動に入りますよ。意識して1時間は歩く時間を作るようにしてみてね。ただし毎日60分運動することが大切です。週末にまとめて運動するという考え方ではありませんからね。運動不足はダラダラしてしまう原因になったり肥満の種にもなり得ます。肥満になってしまうと今度は病気になってしまうかもしれません。だから毎日の運動がとっても大事なんですよ。」

子どもたちの座る姿勢と立つ姿勢についても背筋をピンと伸ばすことで意識せずに楽な姿勢を取るよりもうんとエネルギーを使うことができることを教わりました。

「君たちはいつも何時くらいに寝ているかな?」
「8時」
「9時」
「10時の時もある。」
「そうか、10時は少し遅いなー。君たちには10時間は寝てほしいな。せめて9時間は寝てくださいね。というのも、夜寝ている間に成長ホルモンがたくさん出て体が作られていくんだよ。特に深夜0時ころに一番多く出ると言われています。ですから夜中の0時には必ず寝ているようにしてくださいね。」

と日常でもできる適度な運動と休息の大切さについてお話を伺い、体育館でいくつかのエクササイズを教わったりランニングマシーンやサイクリングマシーンでの運動にチャレンジしました。
その後部屋を移して”栄養”に関するお話を伺って質問を幾つかさせて頂きました。
やはり元気に過ごすためには、健全な食生活と適度な運動と適度な休養のバランスが大切だということに気づかせて頂くことができました。 
体を元気な状態にするためにはこれらのバランスがキーワードなんですね。
子どもたちも今までモヤモヤしていた睡眠が大切な理由や運動 国立栄養健康研究所の皆さまお忙しいところ丁寧に対応して頂き、また貴重なお話を聞かせて下さいまして本当にどうもありがとうございました。

YI

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2015年03月13日

自分たちにもできること

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

「今日の配達は誰かな。」
救世軍ブース記念病院から毎日お弁当を配達していただいています。
配達に来る時間帯は、4時間目の途中です。1階で授業ができるときには、4時間目の後半はインタビュータイムに変わります。毎回違う人に出会うたびに、自己紹介をして挨拶をしていくうちに、「救世軍の人」ではなく、「◯◯さん」と名前で呼ぶようになりました。車から降りてくる人を見て、「今日は、Rさんだ!」と盛り上がります。一気に親近感が湧いてきます。

IMGP5400.jpg
知らない方が来ても、大喜び。
もう、臆することなく、自己紹介をして、
自分たちの活動を説明し、手型をもらっています。




どの方も、子どもたちの質問に親切に答えてくれます。それだけでなく、最後には「ありがとう」と言ってくれるのです。こちらがお礼をいう方なのに、どうして向こうも「ありがとう」って言ってくれるのでしょうか。子どもたちに聞いてみると、
「確かに・・。」「なんで?」と考えてから、
「自分たちが、いつもありがとうっていったからかな。」
「ありがとうっていってくれてありがとうってこと?」
「いつも食べてくれてありがとうかも。」
「ありがとうって言われるとうれしいから、ありがとうって言うのかも。」
「また、作ろうって思うからかな。」
この一言が、それぞれの子どもたちのアンテナを刺激したようです。

「うちでも、また作ってっていうことある。」
「おいしかったっていつも言ってたから、言うのやめたら、おいしかった?って聞いてくる。」
「ごちそうさーんって、お弁当箱渡すときに言ってる。」
「何か言うと、また作ろうって思うのかな。」
「何も言わなくて、もう作らない!って怒られたことあった。」
「ごちそうさま言わないと、お弁当箱受け取ってくれないよ。」
「なんで?」「わからない。」

自分たちが一言いうことで、相手の気持ちが変わっていく。そこに気がつき始めたようです。
救世軍の方に名前を聞いたときに、名刺をいただいたことがありました。自分も渡したいと思った子たちが、翌日には、オリジナルの名刺を作ってきていました。そこには、名前、スクールの連絡先のほかに、「いつも はいたつしてくれてありがとう」などのメッセージが一言添えられていました。
あくる日、別の人が配達にくると、「◯◯ちゃんの名刺、お店に飾ってあるよ。」と言われていました。
自分が言った一言から、周りが変わっていく。自分たちにもできることがある。その一方で、2年生からこんなことを言われた子がいました。

「おかげさまで、自分たちは蔭にならないの?
蔭を探しただけでは、おかげさまのテーマにならないんじゃない?」

2年生はテーマでごみ拾いに取り組んでいるところです。ごみ拾いを一緒にやろうと誘いたくて言い出した言葉でした。 声をかけられていた1年生は無言でした。でも、何か考えている様子ではあります。テーマの時間に、どう思っていたのかを聞いてみると、「ごみ拾いはおかげさまにならない」と言います。蔭になっているときに、できることがおかげさまだと思うと言うのです。ごみ拾いは歩いている人に見られてしまうから蔭にならないという意見でした。
見ていないところで、知らないうちに、その人のために何かをする。自分たちがおかげさまと思われることが何かできないだろうか。机上で考えてみても、動きようがありません。発表に向けての作業を進めていき、どこかで「おかげさま」になれることをやったときには、報告することにしました。来週、どんな報告があがるでしょうか。
IMGP5395.jpg IMGP5396.jpg
手型に、見てきた動作を記し切り取っています。

AN

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人を巻き込む力

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

「今日のゴミ拾いに人来てくれるかなあ。」

午前中からそわそわする子ども達。
それもそのはず、先週、ゴミ拾いの協力のお願いのためチラシ配りやポスター貼りを行いましたが、いよいよその本番当日を迎えたからです。

はたして宣伝の効果はあったのか、期待と不安を抱えながら集合場所の中野駅北口ロータリーへ移動します。

「お〜〜〜〜い。」

集合時間に遅れてはいけないと急いで駅前に向かうと、遠くでスクールの保護者の方が我々に手を振るのが目に入りました。
娘さんに今回の活動の話を聞き、ご夫妻で参加してくださるとのことです。
なんと心強い。

しかし、他には周りにゴミ拾いの参加者らしき人は見当たりません。
さすがに一般の方に参加してもらうのはハードルが高すぎたかな。。
そんな思いが一瞬頭をよぎりました。

するとそこへ、
「この集まり、ゴミ拾いかしら。この前ここでチラシをもらったので。」
と私たちの集まりに声をかけてきた一人の女性。

ご近所に住んでいらっしゃるというこの方、チラシの内容に興味を持ち、我々に協力してくださるというのです。

「ありがとうございます!!」

たった一人かもしれないけど、自分たちの活動に共感して、見ず知らずの方が参加してくださった。
これで燃えないはずがありません。
子ども達はいつもに増して張り切ってゴミ拾いに専念します。

photo_20150313_1.jpg

駅前の広場を皮切りに、サンロード商店街近辺のお店が集中するエリアを中心にゴミ拾いを進めていると、

「この洋食屋さんはボリューム満点で美味しいわよ。」
「ここの酒屋のご主人はご高齢だから、お店の外のゴミを片付けるのが大変なのかも。」
「その角を左に曲がれば、サンロード商店街に出るわね。」

と先ほどの女性。
さすが、お近くに住んでらっしゃるだけあって、この辺りは庭のようなものらしく、私たちが興味を持った場所やお店について、面白い情報をいろいろ教えてくださいます。

「なんか、楽しみながらゴミ拾いするのっていいね。」

一人の男の子が私に話しかけてきました。
「ボランティア」と聞くと、人や社会のために良いことをするというイメージが先行し、肩に力が入りがち。
でも、自分たちも楽しみながら参加できる活動なら続けられそうだ、そんなことに気づいたようです。

photo_20150313_2.jpg

翌日も、ありがたいことに1年生の保護者がお手伝いに来てくださいました。
ただ、残念ながら、一般参加の人はゼロ。。

「うーーーん、いつもこの時間に人が集まっている城山公園に行ってみて、そこで直接お願いしてみようか。」
「いいね!」

私からの提案に二つ返事の子ども達。

公園に到着するや否や、彼らは小さな子ども連れのママさんグループや遊具で遊ぶ小学生たちに勇気を振り絞って声をかけました。

「うちの子のおやつが終わって、落ち着くまでちょっと待っててね。」
「今、遊んでいるから、無理。」

反応はあまり芳しくありません。
それでも、公園内のほとんどの人に声をかける中で、学校を終えた近所の小学生の女の子たちが渋々手伝ってくれることになりました。

正直、最初はあまり乗り気な様子ではなかったものの、「これもゴミ扱いでいいかな」とトングでつかんだものを2年生に確認してもらいながら、ゴミ袋に一つ一つ入れていってくれます。

「なんか意外にゴミ少ないね。」

テーマの前半に訪れた際には、タバコの吸殻や空き缶、そしてお菓子の袋などたくさんのゴミが落ちていたこの公園。
地道に活動を続けてきて、以前に比べ、明らかにゴミが減っているのを実感します。
継続は力なり、ですね。


世の中に対して何かアクションを起こそうと思った場合、評論家のように意見を述べているだけでは、何も変わりません。
まず最初に言い出しっぺの自分たちが動かないといけない。
それに共感して、一人、また一人と協力者が現れてくるものです。

子ども達にとって、今回の活動は人を巻き込むとはどういうことかを実感する素晴らしい経験となったと思います。

テーマ学習もいよいよ残り1週間となりました。
これまでの活動の集大成として、作文に取り掛かります。

HY

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プレゼンに向けて!

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

今週はプレゼンのアウトプット製作に取り掛かりました。
今回のアウトプットは2本仕立てで、前半は”元気”について学んできたことをまとめてプレゼンし後半は各自の”勇気宣言”となります。
”勇気宣言”とは今までの自分たちをじっくり振り返ってみて、辛いことや苦しいこと、乗り越えるために努力した壁やがんばった出来事などをイメージしながらその時支えになった言葉や気持ち・考えなどを思い出して自分の背中を押してくれるような応援の言葉・支えの言葉・勇気が出るような言葉を考え出して聴衆の前で宣言するということです。

私たちが考える”元気な状態”とは体と心の両方が元気な状態のことでどちらかが元気じゃないと”元気!”とは言えないということです。

そこで子どもたちは2グループに分かれて自分たちが学んできた”体の元気”と”心の元気”についてそのFORM(見た目・構造)とFUNCTION(機能・仕組み)に着目して資料作りとプレゼンで語る言葉を考えていきました。

「体を車だと考えると入れるエネルギーは食べものと水と酸素だよね。だからまずは食べものの栄養素、つまり五大栄養素について分かりやすく話し始めたらいいかなぁ?」

「それいいねぇ!なんか絵とか図があると分かりやすいかな?私描きたい!それと指し棒も作ろう!食べものがどこでどう消化されてエネルギーになるかも大事でしょ?それを食べものの旅として人体図みたいな絵を使って説明したらどうかなぁ?」

「いいじゃん!そうしようよ。で、ぼくが食べものの他にはどんなことが元気になるために必要か聞くから、Sちゃんが”水”の大切さを話してくれる?」

アツいディスカッションが繰り広げられながらだんだんプレゼンの全体像がみんなにイメージ化されてきました。
来週はいよいよ勇気宣言にも取り掛かっていきます!

YI

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2015年03月17日

2014年度春休み課題図書

  【1年生】           【2年生】
            


 【3・4年生】
             




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2015年03月18日

プレゼンテーションデー3/21

TCSプレゼンテーションデーのご案内

東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

テーマ学習の成果を発表するプレゼンテーションでは、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。 (ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

TCSの子どもたちが、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか、ぜひ直接その様子を見に来てください。

               記

【日時】 2015年 3月21日(土) 9:25~11:55頃 

【場所】 東京コミュニティスクール 校舎
     (東京都中野区中野1-62-10)地図
     ※JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分     

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール (担当:戸嶋・若林)
 TEL:  03-5989-1869
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。

     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2015年03月20日

それぞれに思うおかげさま

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

自分たちもおかげさまになってみよう。
ということで、自分が蔭でやってみたことをテーマの時間に報告することになっていました。
早速、報告があがります。
「お父さんとお母さんが見ていないところで、朝ごはんを作った。何回もおいしいって言ってたから、おかげさまになれたと思う。」
「お父さんに、夜ごはんのメニューを書いてテーブルに置いといた。帰ったときには会えないから。」
「お母さんにマッサージした。」「それだとおかげさま?」
「お母さんじゃなくて、お母さんがお世話をしている兄弟たちにとってのおかげさまになってると思う。」
「あー、そういうことか。」
「スクールに来る途中の掲示板の近くに画鋲が落ちてたから、誰かが刺さったら危ないと思って、拾って壁に刺した。」
「ママにダメって言われて、こっそりゲームをやった。」
「それって、おかげさま?」「ただの蔭じゃない?」
     IMGP5467.jpg
言った本人が違うかもと思ったときに、別の子が「おかげさまだよ!」とひらめいたように叫びます。「ゲームを作った人にとっては、使ってくれてありがとうだから、おかげさまになってるよ。」と言います。みんなも納得です。

テーマ学習も最終週に入りました。これまで、「運動」「保守」「創造」と動作を分類したり、お弁当箱の起源を辿っていったりと、見方を増やすことで、視野を広げていきました。ある人には、おかげさまにはならなくても、別の人には、おかげさまになる。まさに、見方を変えた考え方です。今までしてきたことが身についていることが窺えます。

手型に動作を書き終え、インタビューして聞き出した、作っている人自身の思いも記録していきました。「心シート」と名付け、心の形をイメージして切り取り、中に気持ちを書いていきました。 できあがったものを貼り合わせていきます。

IMGP5463.jpg  IMGP5464.jpg

そこで、3つのシートをどうつなげていくか、アイディアを出し合います。横に並べる、縦に並べる、丸く並べる、手型をはしごにしてつなげる、全員がいいなと思ったアイディアを抜き出して合わせていきます。

IMGP5465.jpg3つのシートを結ぶためのはしごを作るというアイディアから、実際には手型をはしごにすることが難しいことがわかり、橋を作ろうと、より実現可能なアイディアに変わっていきました。こうした意見が出るのは、そもそも、3つの分類がはっきりしないことにありました。


IMGP5527.jpg「運動」に集めた手型を読んでいくと、「運動」だけでない見方ができるものが出てきます。それは「保守」や「創造」のシートにも当てはまることでした。だからこそ、はしごになれる手型が出てきて、ほかのシートにつながっていけるのです。




IMGP5536%20-%20%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%202.jpg3つがつながることから、まるい形にすることになりました。「心」はどれにもつながるということで、中心に置くことに。こうして、発表時に提示するシートができあがりました。残すは、何をどう伝えていくかです。成果物の説明に加え、自分が思うおかげさまを一人ずつ語っていくことにしました。




こちらから問いかけると、「見えないところで人の役に立つことだと思う。」「やさしいことをしたらおかげさまだと思う。」など、一人ひとりが違う言葉で自分の思うことを言うことができます。自分から説明をするとなると、少し難易度があがります。大きな声で、はっきりと聞き取りやすい速さで相手に伝える。自分の都合で話すのではなく、相手にどう伝わるかを第一に考える。1年生も6回目のプレゼンです。今までの経験を活かして、練習に励みます。

AN

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

言葉で考え、言葉で気持ちを表す

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

今年度最後のテーマもいよいよ最終週を迎えました。
プレゼンテーションの本番に向け、ラストスパートをかけます。

プレゼンの発表形式は作文の朗読。
「人のために動いたことで、自分にどのような価値をもたらせたか」について自分なりに感じたことや思ったことを作文にまとめていきます。
制約条件は400字詰め原稿用紙2枚程度におさめること。

今回、彼らがゴミ拾いに取り組んだ目的は、ボランティア活動を通じて「情けは人のためならず」を追究することです。

毎週のふりかえりの中で模造紙に自分たちの考えを洗い出したんでしょ?
だったら、それをまとめたらいいだけじゃないの?

読者の中にはそう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなに簡単にはいきません。
自分の考えや思いを口に出すことと、それを文字にして書くことの間には大きな隔たりがあります。
「具体的な経験を俯瞰し、そこから学んだことを自分の言葉でまとめる」
低学年の彼らにとっては難易度高めの内容ですが、それだけにチャレンジしがいがある課題です。

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「うーーーん、何を書けばいいんだろ。全然、模造紙が埋まらないなあ・・・」

ゴミ拾いの感想を書くだけであれば、こんなに苦労することはないのに。
みんな頭を悩ましている様子が伺えます。

そんな中、「書く」の授業でおっちゃんから学んだ技を使ってみたらどうだろうと提案する子が現れました。
まず全体の構成を考えて、それを骨子に文章を膨らませていくというのです。
おもいつきでつらつら書いても、相手の心に響く文章にはなりません。
授業で学んだことを実践してみようとする姿勢は素晴らしいぞ!

「書けたよ!」

代わる代わる子ども達が私のもとに原稿用紙を持ってやってきます。
作文を見てみると、文字数は十分ですが、出来事が羅列してあるだけで、結局何が言いたいのかよくわかりません。

学校教育における低学年の作文の指導でありがちなのは、先生の意図が反映されすぎて、読んでもまったく面白みがない作品に変わってしまうこと。

子どもの素直な発想をいかしつつ、それをどう磨いていくか。
こういう場面こそ教員スタッフとしての腕の見せ所と言えます。

ある出来事を通じて、それをどう感じ、どう考えたのか。

しつこくしつこく子ども一人一人とやりとりしながら、体験を言語化することを図ります。

何度も書き直しを命じられますが、誰ひとり愚痴や文句も言わず、作文に取り組みます。
なんとかしぶとく食らいつこうとする2年生の粘り強さは今年度のはじめにはあまり見られなかったもの。
もっとよい内容にしたい、ただその一心で黙々と原稿用紙に向かいます。

プレゼンの前日、合計7、8回(!)の推敲を重ね、やっとのことで作品は完成しました!!

「やったあ!」
「ふう、本番に間に合わないかと思ったよ〜」

苦労しながらも充実感のある表情で私に語りかけてくる子ども達。

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残された時間はあまりありませんが、私の指示を待つことなく、自主的に朗読の練習を開始しました。
お互いの朗読を聴きあい、good & better な点をフィードバックしている様子を見ていると、この1年間での大きな成長が伺えます。

いよいよ明日はプレゼン本番。
彼らなら、自信を持って、堂々と挑んでくれることでしょう。


HY

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勇気宣言

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気。」

[3・4年生]

さあいよいよプレゼンが目前に迫ってきた最終週。
今週はひたすら個人作業に励みます。
みんな頭を抱えて”勇気宣言”と向き合い、どんな自分に対してどんな言葉をかけるのか考え続けていきます。

「おれはすぐカーッとなったり、プラモデルとかを組み立てててもうまくいかないと”もうやーめた!”って放り出しちゃうんだ。そういう自分にかける言葉を考えているんだよ。」

またある子は以前からずっと意識している”ついごまかしてしまう自分”について直近のごまかしてしまった事例を思い出しながらごまかしてしまったり言い訳をするということはつまり自分をだましていることにもなるし相手をだましていることにもなると語りながらさらに考えを広げていたようです。

ギリギリまで真剣に考えぬいた勇気宣言。さあいったいどのようなプレゼンテーションになるのでしょうか?乞うご期待です!

YI

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2015年03月23日

「おかげさま」~ふりかえり~

タイトル:おかげさま
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「私たちはみんなのおかげで生きている。」

[1年生]

プレゼンテーションでは、子どもたち一人ひとりが自信を持って、3つに分類したお弁当作りの作業を説明し、それぞれに思うおかげさまについて語ることができました。質疑応答では、分類の仕方の詳細を求められたり、おかげさまと思うことを実践していれば教えてほしいと聞かれたりしていました。準備してきたことは堂々と伝えられるようになりました。1年生としては実に立派なことです。次へのチャレンジは、その場で聞かれたことに自分の思うことを思うままに伝えること。プレゼンが終わり、ふりかえりの時間になると、緊張も解けて自分自身を見つめ直し、課題を受け入れることができている様子でした。

「運動」「保守」「創造」の3つに動作を分類する。そこには、正しい分類といった決まった〝答え″はありません。子どもたちが、3つのどれにも当てはまると発言したり、思わず「これはただの運動か」とつぶやいたり、「意味があれば保守になる」と分析をしたりしていたように、見方を変えることで分類は変わっていきます。「運動だ!」と思っていたものが、インタビューをすることによって「保守」にも見えるようになる。思い込んでいたものが見え方ひとつで揺らいでいく。これまで「蚕糸の森見っけ隊」や「静かなともだち」など、多くは観察して発見したものを記録してきたわけですが、1年生最後のテーマ学習として、決まった枠組み(今回は3つ)の中で、どれに当てはまるかという観点で観察をしていくという新しい試みをしていきました。テーマ学習以外の場面でも、「それって、保守だね」「あ、創造だ」など、自然と分類している様子がたびたび見受けられました。

また、質疑応答の場では、うまく応えることのできなかった、自分自身がおかげさまになる行為については、今後も、考え続けてもらいたい問いのひとつです。こちらについても、ふりかえりの時間において改めて考えてみると、「誰かが何かを落としたら、声をかけたい。」「近所を掃除してみたい。」「ご飯粒や欠片も残さず食べる。」「紙を無駄使いしないで、使い切る。」など、自分たちが何か工夫をすることが誰かの役に立つかもしれないと感じるようになっていました。

セントラルアイディアを最初に提示したときには、「みんな」というのは自分の身の回りの人たちだと思っていた子どもたちでしたが、「みんな」とは、身の回りの人に加え、どこかでつながっている誰かであり、家族だけでない先祖であり、昔に生きていた人、生き物、そして、太陽や水、土といった自然だと認識が広がっていました。 語源は「蔭」からきている「おかげさま」。今では、挨拶語として使われています。子どもたちの中で、蔭で知らないうちに誰かの役に立つことがおかげさまだという見方も、今後、おかげさまと感じたり、おかげさまになったりしていくことを通して広がっていくことでしょう。

AN

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「One for All, All for One」~ふりかえり~

タイトル:One for All, All for One
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:「情けは人のためならず」

[2年生]

ただひたすらに道や公園に落ちているゴミを拾い続けた今回のテーマ。
愚直に1つのことに取り組み続けたらからこそ見えてくるものがありました。

最初はトングで一つ一つ拾い上げたゴミで袋がいっぱいになることに純粋に楽しさと喜びを感じていました。
途中、せっかく綺麗にした場所にポイ捨てが繰り返されることに愕然とし、やってもやってもきりがない、そんな気持ちにさせられることも。
しかし、ここで諦めたくないと、ゴミ拾い仲間を増やすアイデアを思いつき、
最終的には、宣伝の効果もあり、我々の活動に共感して、ゴミ拾いに参加してくださる一般の方が現れました。

テーマ学習全体に流れるストーリーを子ども達とともに体感した6週間だったと改めて思います。


「利他行動が自分にどのような価値をもたらせたか。」
自分なりの考えや思いを作文にまとめる作業にはかなり苦戦しました。

ふりかえりのなかで模造紙に洗い出された意見をただ書き写せばよいはずなのに、それが思った以上に難しい。
言葉を口に出すことと、それを文字にして書くこととの間には大きな隔たりがあることを実感したことが今回の一番の学びだったのではないでしょうか。

具体的な出来事を俯瞰し、抽象化してとらえることは低学年の彼らにとって少し難しい課題だったかもしれませんが、臆することなく、果敢にチャレンジしてくれました。
この経験は必ずや次回にいきてくるでしょう。


これまでプレゼンテーションの際の声の小ささが課題に上がりがちだったこの学年。
今回は作文の朗読形式の発表でしたが、堂々と自分の言葉でしっかり語っていたのが印象的でした。
この1年間の成長ぶりを感じる内容だったと思います。


「情けは人のためならず」
言葉の意味を頭では理解できるけど、まったく実感がなかった今回のセントラルアイディア。

最初は、他人のための行動がめぐりめぐって自分に返ってくることを、誰かが自分のために具体的に良い行いをしてくれることだと捉えていました。
しかし、6週間の活動の結果、自分の気持ちや考えや行動の変化そのものが、結局は「自分のため」になっていると言えるのでは、そんな気づきを得ました。


いよいよ4月から中学年に進む彼らにとって、人のために動く際に自分たちの動きの質をいかに高めていくかが次の課題になってくるでしょう。

HY

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「からだに栄養 こころに栄養」 〜ふりかえり〜

タイトル:からだに栄養 こころに栄養
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「心身の元気は生きる勇気」

[3・4年生]

”元気”とはどういう状態のことなのか?どのようにすれば”元気”になれるのか?という問いに向かって探究を進めてきた6週間。
食べものの栄養バランスに加えて睡眠と運動のバランスがなぜ大切なのかということをそれぞれ意識することができたようです。
プレゼンテーションでは前半は”元気”についての自分たちの考えや”体の元気”と”心の元気”について学んできたことをオーディエンスに分かり易くまとめて伝えてくれました。

そして後半は自分を励ましたり、弱くなった時に勇気を奮い立たせることができるような言葉を考え抜き、”勇気宣言”としてみんなの前で発表できたことも子どもたちにとって大きな一歩となったようです。

『一回本気でやり通せ!』
『ひたむきに考えろ!!』
『諦めるな』
『やればぜったいできる。ここが学ぶチャンスだよ!』
『チャレンジだー!!!』
『できなさそうでもやってみる!!』
『やる前に考えなきゃね やる事を』
『むりだって思うな、できるまでやれ!』
『ゼロからチャレンジだー!!!!』
『失敗しても自分やみんなをだますな!!』

じっくりと自分と向き合い深く見つめることができたからこそ湧き上がってきた言葉。
弱い自分が現れた時、一歩の勇気が出てこない時にこの言葉を自分にかけることで自分の背中を押してくれることでしょう。
これからもより一層元気いっぱいにどんどん新たな扉を開いていこう。


YI

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【TCS登壇】SOIF大人の寄付遊び「コミュニティの未来〜実現する力〜」

【TCS登壇】SOIF Vol.12
「コミュニティの未来〜実現する力〜」


このたび東京コミュニティスクールは、SOIF主催「コミュニティの未来〜実現する力〜」に、ゲストとして参加することとなりました。

このイベントは「寄付が変われば社会が変わる。自分と未来を変える新しい寄付のかたち」というビジョンのもと、毎月テーマを決め、そのテーマについて活動している団体が登壇し、参加者が寄付をするというものです。

【日時】2015年4月19日(日)13:50〜
【会場】東京医科歯科大学 歯科棟4階 演習室 (御茶ノ水駅 徒歩5分)

詳細は、Facebookページをご覧ください。
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この機会を通して、TCSの活動がより多くの方の共感を得られればと思います。
ぜひ、情報のシェア(参加も歓迎!)にご協力お願いします!

2015年03月27日

2015年度GW課題図書




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