東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2015年10月 アーカイブ

2015年10月01日

プレゼンテーション10/14

TCSプレゼンテーションのご案内

東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

テーマ学習の成果を発表するプレゼンテーションでは、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。 (ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

TCSの子どもたちが、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか、ぜひ直接その様子を見に来てください。

               記

【日時】 2015年10月14日(水) 10:00~12:00頃 

【場所】 東京コミュニティスクール 校舎
     (東京都中野区中野1-62-10)地図
     ※JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分     

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール (担当:戸嶋・若林)
 TEL:  03-5989-1869
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。

     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2015年10月02日

具体から抽象へ

タイトル:サインを受信せよ!
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「メッセージは抽象化によって凝縮して伝えることができる。」

[1・2年生]

Communicatorsってどんな人?
「よく聞く人」「思ったことを言う人」「言い過ぎも言わな過ぎもよくないよね。」
「いろんな人の話をよく聞いて、ピコンピコンして自分で考えたことをすぐには言わずに、
まわりをみてから言うタイミングを考えて話す。」
一度自分の言葉にしてから、それをサインにしてみます。


20150929155223215_0010%20%281%29.jpg  サインは絵じゃない。
これまでは、そう言っていた子どもたちでしたが、いざ自分でつくってみると、どうしても表情や様子を細かく描きたくなり、ついつい情景の絵になってしまいます。



「顔を描いちゃった。」
「ピクトさんは顔じゃないのに。」
たくさんのピクトグラムを見てきたけれども、ピクトグラムを描くことができない。
描いてきたものをみんなでシェアしていく中で、視野が広がり、気づきが生まれてくるようです。

IMGP6531%20%281%29.jpg 「線は少ない方がいいよ。」
アートの時間に確認したことが出てきます。

「顔を形にした方がいいね。」
つくった本人もつぶやきます。



強調したいことは大きく描き、
伝えたいことが重複しているものは削除していきます。

IMG_0401.jpg
「いろんな人の話を聞く。」
伝えたい部分はどこだろうと聞くと、
「あっそうか。それじゃあ、人はいらないかも。」と
新しく描きかえていきます。



IMG_0402.jpg描きかえたものには、人の顔がなくなっています。
「聞いたことを自分のアイディアとミックスして話す。」
実際に表してみたものは、 「相手が話す→自分が話す→話を聞く」に なっているため、線が多くなっています。





IMG_0404.jpg線を少なくしようとして、バーションアップ。
見ただけで伝わるかな?と言うと、
自分でも伝わりにくさを感じたようすで、
「うーん、もっと耳っぽくした方がいいかな。」
と言って、新たなバーションをつくっていきます。





IMG_0405.jpg   20151008212050169_0001.jpg

どうしたらもっとよくなるだろうと追究しつづけ、バーションを重ねていきます。
具体的な絵からスタートし、「つまり、何を表したいのか」抽象化した考えを言葉に出し、それをイメージする形へと変化させていきます。
ひたすら考え、描いていくの繰り返し。
終わりの時刻になると「もう時間!?」「早いなー。」との声があがります。
来週もどんどん磨きをかけていこう!!

AN

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

この石ができたころの世界ってどんなだったんだろう?

タイトル: 玉石混交
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
現象にはストーリーが宿る

[3・4年生]

先週は多摩川で収集してきた石について図鑑を用いたり特徴を自分たちで実験して種類を識別していきました。
図鑑や資料を読み込んでいくと、新たな疑問や興味がどんどん広がっていきます。

「石灰岩ってチョークの原料なんだ!!だから石で字が書けちゃうんだね。白い字が書けるかどうかが石灰岩を調べる方法なんだね。おもしろーい。」

「しかもその白い成分は石灰質の殻を持つフズリナやサンゴなどの海の生物の死骸が堆積してできたんだって。ていうことは昔は多摩川は海の底だったってことでしょ?でもどうやって海の底から今の陸になったんだろう?」

子どもたちの疑問を元にさらに別の資料を読み込んでいくとなんと多摩川はもちろん4億年ほど前は本州のほとんどが海底で暖かい海が広がっていたことや、そこから土地の隆起や沈降、また海底火山や火山の影響などで大地が変化し続けてきたことなどがだんだん見えてきました。

「え〜!!すごーい!しかも見て見て!クジラやゾウが日本にもいたんだってよ。」

「アンモナイトも!すごい!」

「ねえ、雲取山の頂上に石灰岩がたくさんあったでしょ?っていうことはさ、雲取山もすっぽり海の底だったってことだよね!でもほんとどうやって陸とか山になったんだろう?」

「プレートとプレートがぶつかって盛り上がったりするって表裏一体のテーマでやったよ。」

「わっ!すごい!ここにエベレストも昔は海の底だったって書かれているよ!」

「じゃあ今の世界はいつできたんだろう??」

石を調べることで見えてきた疑問と発見を繰り返しながらついに大地の成り立ちが見えてきました。
石のFormを入り口にしてどのようにできたのか、それはなぜなのかというCausationについて追求していくことで見えるものから見えないもの(Visible→Invisible)が見えてきます。
来週はいよいよ6週目。
できる限り疑問を追求しつつ、同時にそれぞれの担当する石について発見したことを”石コロ新聞”としてA-3用紙にまとめていきます。
プレゼンテーションはそれぞれの子が石になりきって、その石から見えるストーリーを語ってくれることに。さあ来週も楽しくいこう◎

YI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

TCSフェスティバル開催(10/14・10/15)

TCSフェスティバルのご案内

 今年も、TCSフェスティバルの時期がやってきました!
 TCSフェスティバルとは、スクールの文化祭で、子どもたちが企画・運営し、面白いこと(!)を提供するお祭りです。
 新校舎で2回目の開催が前回からどう改善されているか、3階の増床も併せて、観に来ていただけると大変嬉しいです。お待ちしております!!

以下、フェスティバル実行委員からの情報とご案内です。

今年のコンセプトは「こうしん」です。
考える、進むを組み合わせて「考進」。
今までとフェスティバルのイメージがガラッと変わる、アップデートする「更新」。
今年のTCSのテーマでもある、個人の力、つなげる力の「coup」の、「co」を新しくするという意味の「co新」。
最後に、このコンセプトを意識して行動する「行進」
これらを組み合わせ「こうしん」です。

見所は満載です。今までにない新しいメニューや遊びが入っていて、さらに新しい出し物が揃っています。実行委員での話し合いを早めに始め、より質のいいフェスティバルにしようとがんばっています!

<パフォーマンス>
お笑いやダンス・歌などの舞台があります。今年はなんと初の女子コントあり?! また、テーマ学習プレゼンテーションで行った発表の一部を披露します。

<カフェコーナー>
コンセプトに合わせ、謎めいたカフェをオープンします。食べてみると「なんだこのおいしさは?!」となるような不思議なカフェです。両日とも9:30からオープンします。

<プレイコーナー>
TCSキッズが作ったパソコンゲームや、nゲージのジオラマダンボール工作などで遊べます!

<プレ初等部コーナー>
今年から参加です。1階カフェの奥のスペースで、かわいらしい子どもたちがお待ちしています!

<展示物>
みんなのポスター案を集めてひとつのものに仕上げるなど、コツコツと準備を進めています。みんなニコニコしながらお迎えいたします!

ぜひお越しください! みなさまが「こうしん」していただけるようがんばります。

【日時】2016年10月14日(金) 9:00~15:00
   2016年10月15日(土) 9:00~14:00

【場所】 東京コミュニティスクール 校舎
      スクールへのアクセス
      *住所 : 東京都中野区中野1-62-10
      *最寄駅 : JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分
        ※ 自転車および車での来校はご遠慮ください。

【入場料】 無料!

ディベートで考える

タイトル: 治の力
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:私たちは私たちを私たちのために治めている。

[5・6年生]

ディベートとは、ジャッジを納得させるための討論ゲーム

話し合い・討論と言えば、自分の意見・考えと相手の意見・考えをぶつけて、どっちの方がよいか決めるものと思っていた子どもたち。しかし、第三者が判断しなくてはいけないという今までとはまったく勝手が違うことへの挑戦です。

そこで、まず、ディベートの形から学ぶことからスタートです。

論題は、必ず「イエス」か「ノー」で答えられるものです。ただ、自分が「イエス」側になるか「ノー」側になるかは、じゃんけんで決めます。つまり、もともと持っている自分の主義主張で立場を決められません。偶然、割りふられた立場に合わせて考えなければならないのです。


IMGP6345.JPG  IMGP6347.JPG


「やってみないとピンとこないなあ……」

そこで、論題を出して考えてみることにしました。論題は、

「監視カメラを町中に設置すべきだ」

ということにしました。そしてじゃんけん……

「わあ、賛成になっちゃったよ」

自分の思いとは逆の立場になり、はやくも戸惑います。

立場が決まったら、次に考えなければならないのは、なぜそう考えられるか?という理由です。どうして監視カメラを町中に設置すべきなのか……真っ先に思い浮かぶこととしてある子が挙げたのは「犯罪を減らすのに役立つ」ということ。最近、ニュースで当たり前のように防犯カメラの映像が流され、犯人検挙につながっているような印象があります。ただ、それが本当なのか。根拠を示さなければなりません。

「根拠ってなんだろう……」

犯罪を減らしていると言える根拠とは……そう、証拠となるデータがほしい。これをディベートでは「引用」と言います。監視カメラの数の増加と犯罪検挙率との間に相関関係がある。または、監視カメラによって検挙された例を述べる必要があります。そして、どのように監視カメラを増やし、その結果、どんなよいことが起こるか考えます。こうして自分の立場が理由と根拠によって補強されれば説得力が増します。

IMGP6349.JPG  IMGP6351.JPG

今のは「賛成」側の立論。では、「反対」の場合はどう立論するのでしょう。「賛成」側が、理由と根拠を言わなければならないのに対し、「反対」側は、基本的に「賛成」側が挙げた理由と根拠についての不備を突きます。「賛成」側の意見に対して「反対」側が質問します。

「監視カメラという呼び名が示すように、防犯よりも監視の方が主目的になってしまうのでは。個人のプライバシーを侵害するんじゃないか」

課題図書『夏の庭』で、少年たちが死にそうなおじいさんを見張るシーンがあり、「プライバシーの侵害」という言葉が出てきたのをしっかり覚えていました。

すると、賛成側は、監視カメラがプライバシーの侵害にならないという理由を示さないといけません。

「ううん……」

すぐに意見が出てきません。しかし、ここからがディベートの真骨頂。やりこめられた!と落ち込む必要はなく、「ちょっと考えてみます」と返せばよいのです。「反対」側の指摘は、ギフト=贈り物。自分の立場を補強するためのヒントをもらったということ。ということで、この後、質問されたことをふまえつつ、立論し直します。

IMGP6354.JPG  IMGP6362.JPG

こうして磨かれていった「立論」をジャッジとなる「聴衆」が聞いて、どちらがよいか決める討論ゲームがディベートです。

これまで、言いっぱなしだったり、なんとなくもっともらしいことを言っていたりすればごまかせたことが、ごまかせなくなった。こりゃあ大変だ!でも、これができないようじゃ、民主的判断なんてできないよな……

ディベートというフォーマットにのっとって、自らの考えを吟味し、磨いてゆく苦闘のプロセスを歩み始めました。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2015年10月08日

ワークショップ10/31
「探究を探究する」
〜How アクティブ(2)

探究する学びをデザインする指導者のためのワークショップ
「探究を探究する」〜How アクティブ〜(2)
※キャンセル待ちで受付中です。


 新しい時代に必要となる資質や能力の育成が求められ、学びの重点が「何を教えるか」から「どのように学ぶか」にシフトしている中、切札として注目されているのが「アクティブ・ラーニング」(課題の発見と解決に向けて主体的•協働的に学ぶ学習)です。
 前回は、アクティブとはどういう状態か学習者の立場で体感しました。今回は、アクティブな学びの場を、指導者としてどう計画していくかにフォーカスを合わせます。アクティブな学びはあらかじめ決めたオーダー通りには進みません。即興的かつ瞬間的に対処することが指導者に求められます。しかし、何もプランせず、徒手空拳で臨むわけではありません。壊され、脱線することが前提であるアクティブな学びの計画をいかにつくっていけばよいか、実際に計画を立ててみて考えていきます。
 新しい時代に必要となる資質や能力の育成のカギとなるアクティブ・ラーニングのあり方について、創立以来10年間実践し続けてきたTCSの「探究する学び」の世界を実感しつつ理解する絶好の機会です。
 以前に参加経験がある方も初めての方も、探究する学びに興味関心のある方なら、どなたでも参加できますので、奮ってお申し込みください!
【テーマ】「探究を探究する」〜 How アクティブ 〜(2)
【日 時】 2015年10月31日(土)9時30分~17時00分
【会 場】  東京コミュニティスクール
      東京都中野区中野1-62-10 Phone: 03-5989-1869
【WSリーダー】 市川 力(いちかわ ちから)
※プロファイルは下記をご参照ください。
【対 象】 教育関係者、一般
【定 員】 25名(要申込)
【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)

【申込方法】 eメールにて、下記までお送りください。
 メールの件名を「参加希望ワークショップ1031」とし、
参加を希望するすべての方について、以下の事項をお知らせください。
    1.氏名(ふりがな):
    2.所属:(勤務先会社名、学校名等)
    3.e-mail(PC)アドレス:
    4.日中の連絡先(緊急用):
    5.講座を知ったきっかけ(ホームページ/知人/新聞・雑誌/SNS/その他、知人・紙誌SNS名)
    6.NPO入会状況(会員/非会員)

お問合せ・お申込みは、
 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで
TEL:03-5989-1869  FAX:03-5989-1649
e-mail: s15#tokyocs.org

※メールアドレスをコピーする場合は、「#」を
「@(半角)」に変えてください。

(ご注意)
※お申込後3〜4日のうちに受付確認および参加費支払のメールが届かない場合はお電話にてご確認くださるようお願いします。
※受付確認をさせていただいた時点で参加費が発生します。
※参加費ならびにキャンセル料の取扱いについては、規定をご覧ください。
※お申込キャンセルの場合、規程のキャンセル料との差額分をクレジット扱いにて、次回以降の参加費に充てさせていただきます。
※申込締切日(上記)以前のキャンセルについては返金を承ることもできます(振込手数料をご負担いただきます)。ご希望の際はご相談ください。

※できるだけ多くの方に参加していただきたい思いがあるので、万一キャンセルの場合は、早めにお知らせいただけますと幸いです。


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主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
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WSリーダー プロファイル

市川 力(いちかわ ちから)
Riki_classroom_small_up2.jpg東京コミュニティスクール 校長
探究プロデューサー

 米国にて13年間日本人駐在員の子ども対象の学習塾を運営。現地の学校で行われていたプロジェクトベースの学びに触れ、『学び続ける力』を育てる教育実践に強い関心を抱く。2004年8月東京コミュニティスクール初代校長に就任。自ら現場に立ち、探究する学びの研究・開発・実践を行っている。
 主な著書は、「探究する力」(知の探究社)、「先生」(池上彰編・岩波新書)、「英語を子どもに教えるな」「教えない英語教育」(ともに中公新書ラクレ)。講演多数。

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会場案内 東京コミュニティスクール
住所) 東京都中野区中野1−62−10
Phone) 03-5989-1869
URL) www.tokyocs.org
TCS-Map-FL%20%284%29.png
交通のご案内
JR中央総武線/東京メトロ 東西線「中野駅」南口より徒歩9分
※車・自転車でのご来校はご遠慮ください。

2015年10月09日

メッセージを伝える

タイトル:サインを受信せよ!
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「メッセージは抽象化によって凝縮して伝えることができる。」

[1・2年生]

街で見つけた「受信しやすいサイン」のように、伝わりやすいサインにしたい。
シンプルにしすぎると何がいいたいのかわからなくなり、
ごちゃごちゃしすぎてもわかりにくい。

IMGP6567.jpg「サインはBalancedが必要だね。」と言いながら、どう改良していこうか
下書きしたものを見せ合って、アイディアを出し合っています。






IMGP6575.jpg
そろそろ大詰め。
これで完成!というよりは、
まだ変えられるところがあるかもしれない気持ちを
残しつつ、一度区切りをつけて仕上げをしていきます。


描いてきた作品を1枚1枚、iPadで撮影し保存していきました。
バーション1から始まり、最後は20や35までいった子もいました。

IMGP6580.jpg今回の学びを通して、きれいに形を描いていくことが伝わりやすさにつながることを実感し、コンパスや定規を使った円や直線にこだわっていきました。
初めて使うコンパスに苦労しながらも、回数をこなすことで徐々にスムーズに描けるようになっていきます。


線に沿ってハサミで切り取り、位置を確認した上で貼り付けしていきます。
普段なら何気なくしている行為も、慎重に手先を動かしていき、できあがりに
満足いかなければ、やり直していきました。

ようやくサインができあがり!でも、それで終わりではありません。
いよいよプレゼンが間近に迫ってきました。
見ただけでメッセージが伝わるのが理想ではありますが、
できあがったサインを提示しながら、それぞれに込めた思いを語っていきます。

20151013173739745_0001.jpgInquirers

20151013173739745_0002.jpg Thinkers

20151013173739745_0003.jpg Knowledgeable

20151013173739745_0004.jpg Reflective

20151013173739745_0005.jpg Open-minded

20151013173739745_0006.jpg Communicators

20151013173739745_0007.jpg    20151013173739745_0008.jpg  Balanced

20151013173739745_0009.jpg    20151013173739745_0010.jpg  Caring

20151013173739745_0011.jpg Principled

20151013173739745_0012.jpg Risk-takers


AN

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表現を磨く

タイトル: 玉石混交
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
現象にはストーリーが宿る

[3・4年生]

テーマ最終週である6週目はプレゼンテーションに向けて各自が担当する石について五感を使って確かめたForm(手触り・模様・形・色・におい・叩いた時の音など)とCausation(どのようにできたのか、この石のオリジナル情報、石から分かるストーリーなど)を”石新聞”としてまとめていきました。

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ポイントは言葉による表現。
いかに第三者にイメージしやすいかということです。

「この泥岩は茶色って書いてあるけど、どんな茶色なの?濃いの?薄いの?」
「えっとねえ、茶色っていうか、黄土色かなあ。そうだ!段ボールみたいな黄土色!」
「チャートの音はキンキンっていう言葉だけであの音がみんなに伝わるかなあ?本当にキンキンだった?」
「う〜ん。。。そうだなあ。ガラスとガラスをぶつけた時のようなキンキン!っていう音かなあ。」
「で、においはただくさいのかい?」
「いいや、え〜と焦げ臭いんだけど、焦げたフライパンみたいな焦げ臭さかな!」
「いいね〜!大分伝わってくるようになってきたぞ。」

このようなやり取りを何度となく重ねながら言葉による表現を磨いていきます。
それと平行してプレゼンテーションの準備も進めます。
今回はそれぞれの子が石になりきって、それぞれの石の特徴と石から分かるストーリーを語ります。
子どもたちは予想以上に石を擬人化するというプレゼン方式が嬉しい様子で盛り上がっています。

「じゃあ私は”化石貝くん”になろうっと!ねえ、みんなの頭にどの石の役か分かるように被るもの作りたいな。」
「ぼくは古〜い石灰岩だからじいさんっぽく語っていい?」
「ぼくもチャートだからおじいさんぽくプレゼンするよ。杖も持ちたいなー!」
「ねえ、普通の子が多摩川でフィールドワークしている途中で色々な石たちを見つけて、石たちがその子に語り出すみたいな感じがいいんじゃない?」
「じゃあ、私その役やりたい!!」
「私も!」
プレゼンテーションの配役はあっという間に決まっていきました。
あとは内容と表現を磨いていくのみ。時間を掛ければ掛けるほど磨かれていくのですが時間の制約がある中でどこまでやれるのか、ギリギリまでしぶとく粘り続けるしつこさも私たちの特徴かもしれません(笑)。

「私ね、泥岩のあとにホルンフェルスが話したほうがいいと思う。だって泥岩がマグマの熱で変化したのがホルンフェルスだもんね。」
「じゃあ私もひらめいた!玄武岩の次に緑色岩がプレゼンできたらいいんじゃない?玄武岩がマグマの熱で変化して緑色岩になったんだもんね!」
「ナイスアイディア!!」

さあ、いよいよ来週はプレゼンテーションデイ。それまでにどんなプレゼンが仕上がるか楽しみです!

YI

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教育としてのディベート

タイトル: 治の力
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:私たちは私たちを私たちのために治めている。

[5・6年生]

ディベートのフォーマットに忠実に則って議論を進めてゆく中であぶりだされること……それは思考のスタイルでした。

投票率が高くなると政治はよくなる

という論題でディベートしていたときでした。「高くなると政治はよくなる」という「賛成」の立場で考えなければならないチームでは、すぐにこんな意見が出ました。

「投票する人っていうのは政治のことを考えている人だから」

さあ、問題はこれからです。どうしてそう言えるのか?理由と根拠を考えなければなりません。

IMGP6374.JPG  IMGP6376.JPG

「普段から政治のことを考えているから投票するんじゃない。だから投票率が上がるってことは、政治がよくなるってことにつながっているんだよ」

早速、いい意見が飛び出しました。政治のことに関心が高まり、民主的な世の中をつくりたいという気持ちが高まってきているせいか、自分なりに考えた意見はぽんぽん飛び出すようになっています。ただ、ここからが茶飲み談義とディベートとの違い。次に考えるなければならないのは、意見を支える根拠です。

「う〜ん、じゃあ i-padで調べる!」

おいおい、ちょっと待って。何を i-pad で調べるの?と問いかえすと、

「どうして政治に関心があると政治はよくなるのかその理由を探す!」

と答えるではありませんか。ここが第一の関門。根拠となるデータを探す前に、まずは自分なりの「根拠」とその「仮説」を持っていないと、やみくもに見つけるだけになってしまいます。i-pad でググれば、たくさん検索リストが出て来るので調べた気になりますが、それはいたずらに時間を過ごしているに過ぎません。

IMGP6377.JPG  IMGP6379.JPG

「おっちゃん、根拠見つけた!」

ある子が叫びます。その子は、否定側の立論を考える上で、投票率の上昇が政治をよくすることにつながらない根拠を探し出しました。

「みんなの人気をとれるけど、あまりよくないアイデアが出されても投票率は上がるんだって。」

面白い根拠を見つけてきたね。自分で思いついたの?って聞くと、「知恵袋」に書かれていた答えでした。「仮説」に当たりをつけるには「知恵袋」も悪くないね。ただ、それはスタート。人気とりのために国民受けしそうなアイデアを出して投票率を上げた事実を探し出さなければ、根拠の質としてはあまり高くはありません。ここからが本当の根拠探し……ということでここから i-pad を使う価値が出てきます。ただし、この場合も、どういう検索ワードを入れて探すか。そこが課題になります。

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「おっちゃん、おれね反対の意見だいたいわかったから、その反論できるよ」

反論にどう答えてゆくかはディベートの命運を握る大事なポイント。心強いですね。ただ……どうもその「反論」は一面的になりかけているぞ。確かに、相手の不備を突くのも「反論」のひとつ。ただ、ジャッジの立場からすると、「肯定側の立論」なのに、「否定」の理由を「否定」しているだけでは、魅力的な立論になりません。「否定」側の「否定理由」を覆すような、自身の魅力的な理由を主張する必要があります。

「ああ、難しいな」

思わずため息がもれます。まったくその通り。恐らく彼らはここまで自分の「意見」を吟味したことなどなかったでしょう。これがディベートを教育で用いることの意義なのだなと実感。否応なく、自分の考えや判断の仕方をふりかえらざるを得ず、さらに、どこに問題があるのかをあぶり出してくれる。こうして、どう意見をつくりあげてゆけばよいのか学ぶのです。

論の勝ち負けなどという意識は見事にどこかに吹き飛んでいます。それよりも、相手の反論を利用して、自分たちの主張の弱みを直視し、よい面を根拠づけてゆくことが大事だ!という意識に満ちています。

来週は、いよいよプレゼンテーションデー。実際にディベートしてみて、聴衆の納得をどう得てゆくかリアルに挑戦します。

RI

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2015年10月16日

「サインを受信せよ!」~ふりかえり~

タイトル:サインを受信せよ!
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「メッセージは抽象化によって凝縮して伝えることができる。」

[1・2年生]

「Caringは困っている人を助ける人」だというイメージが子どもたちの中では強かったようです。励ます場合、叱る場合、賞賛する場合など、Caringと思われる行動をいくつか思い浮かべてみることで、助ける人がCaringというのはあくまで一例であることに気づき、「つまりどういう人なのか」を考えるようになっていきました。サインづくりの中でも、それは繰り返しおこなわれていきました。具体的な絵だけでは一部しか伝えられないことを実感していく中で、いくつかの場面において共通している部分は何かを考えていき、それを形にイメージしていき、サインへと仕上がっていきました。

一見、難しく思われる作業ではありますが、一人で考えるのではなく、数人で考えを出し合っていく中で、抽象化を可能していったように思います。つくるサインは個別でも、作業は共同でしていく。こうした他者に関わろうとする姿は、まさに、Communicatorsであり、Caringな姿でありました。プレゼンテーションでの子どもたちの言葉を借りれば、「みんなの話を聞いて、自分の頭の中で考えて話す」Communicatorsであり、「その人に学んでほしいと思って自分の心の一部を渡す」Caringであったわけです。

プレゼンでは、つくったサインをどこに掲示したいかという質問があり、「自分の家に貼りたい」「みんなの家に貼ってもらいたい」等の応答をしていました。サインはメッセージを伝えるために見せるものです。ラーナープロファイルは私たちの指針であり、今後、できあがったサインがスクール生活の中で活かされていくことを願っています。

AN

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「玉石混交」〜ふりかえり〜

タイトル: 玉石混交
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
現象にはストーリーが宿る

[3・4年生]

いよいよプレゼンテーションデイ当日、ギリギリまで子どもたち同士でお互いのプレゼンを確認し合って本番を迎えました。

今まで本番になると緊張で硬くなってしまったり声が小さくなるという課題があった子も、前日まではまだ石になりきれずに語りが棒読みになってしまった子も課題を意識してそれぞれプレゼンを楽しむことができたようです。

各自が担当して発見した”石”の特徴について擬人化した”石”たちが語り、どのようにして”石”になったのか、それぞれのでき方を明らかにするとともに大地の変化についても面白おかしく話してくれました。

それを引き出す多摩川にフィールドワークへやってきた女の子役を演じた子も自然な会話で石の特徴を聞き、自分たちが感じた石の魅力と物語をオーディエンスの方たちにもお届けすることができたのではないでしょうか。

ですが、一方でプレゼン後のふりかえりで本人たちも話していたように劇としてはまだまだ。
ストーリーの創り方や演技についても改善点がいくつもありました。

しかし、プレゼン方法として演じることにチャレンジしたことは3・4年生の表現にとって新しい扉を開くことになったのではないでしょうか。

なにより本人たちが演じることが楽しく、そうすることでより学んだことが頭に残るということを言葉にしていたことが印象的です。

この学びでの良かった点と改善点を忘れずにまたこれからの探究に活かしていって欲しいと思います。

YI

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「治の力」〜ふりかえり〜

タイトル: 治の力
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:私たちは私たちを私たちのために治めている。

[5・6年生]

いよいよプレゼンテーションデー。子どもたちは聴衆の前でディベートに臨みます。論題は

賢い君主が治める方が民主的に治めるよりよい

これまで何度か話し合ってきたテーマです。その場でくじびきして、賛成、反対が決まります。さあ、まずは立論スタート。さすがにいつもより緊張気味。立論というより、ただ理由を3つ言って終わってしまいました。肯定側立論と否定側の立論が終わった後に、ジャッジからの質問です。

「もし、明らかにこれは正しいと思われるAというアイデアがあって、国民の大多数が反対しているとき、賢い君主は、国民に反発してでも正しいというアイデアをどう納得させるのでしょう?反対に、そのような場合に民主的な話し合いで解決が可能なのでしょうか?」

いきなり鋭い質問が飛び出します。子どもたちは必死になってこれまで考えてきたことを総動員して答えようとします。

「それはやはり誰かが思い切って決めてしまうということが必要なので、そういうことを決める人を決めた方がいいと考えます」

民主的に判断するという立場の子が、賢い君主をサポートするようなアイデアを言ってしまったぞ。

「あれ?これ相手を助けちゃった……」

言った瞬間に、その子も気づきました。これがディベートの教育効果です。自分が発言したことのどこが問題だったのか、何が足りないのか、すぐに気づき、思考のプロセスを冷静に振り返れるのです。

結局、僅差で「賢い君主」の方が、民主的な決定よりいいのではという判断に軍配があがりました。しかし、この論題はあくまでも「賢い」君主がいるってことが前提。つまり、この前提が満たされなければ、成立しない。世の中に賢い君主が本当に現れるのか……賢い君主を育てるのが民主なのか……ということを考えなければならない。つまり「賢い君主」とは「賢いリーダー」と同じで、それは民主的な手続きの中で育ってくる。そんなもやもやが残りました。

子どもだからこそ、ディベートしやすい論題ではなく、本当にディベートする必要のある論題に取り組んでほしい。もやもやこそ学びの大事なアンテナ。賢い君主って何?民主的って何?っていうことを、ずっと考え続ける。いつも以上に、終わりが始まりになったテーマ学習になりました。

民主的社会を築くことは無理かも……という空気が流れつつある今だからこそ、あきらめずに考え続けてゆきましょう。私も君たちとともに考え続けます。

RI

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2015年10月19日

「信じるカネ?」〜概要〜

タイトル: 信じるカネ?
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。

[3・4年生]

小学生へのお金の学びというと、ちゃんと貯金しようとか、お小遣い帳をつけてムダづかいしないようにしようとかいうものになりがち。一方で、お金をどう運用するかという、ファイナンシャルプランナーの意図バリバリの投資教育もちょっと違和感が……

とはいえ、「お金」について子どもの頃から考えることはとても大事なこと。単なる道徳的お説教でもなく、また金融教育でもない、「お金」の探究とはどういうものなのか。

それは、お金の流通を可能にしている「信頼」というものの本質です。

お金がなぜ価値を持つのかと言えば、そこに、交換する価値が等しいという信用、交換したらきっといいことがあるだろうという期待、そして交換する相手への感謝をこめることができるからです。それが「信頼」ということです。

そこで、今回のテーマ学習では、お金の歴史を知りながら、価値を移転することを可能にする「信頼」と、それをどう構築してゆくか追究してゆきます。

RI

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「似て非なるもの」~概要~

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「私たちは過去を受け継いで、未来を創り出す。」

[5・6年生]

私たちの遺伝情報は99.5%誰もが同じ並び方をしているそうです。残りの0.5%、A(アデニン)、T(チミン)、C(シトシン)、G(グアニン)の化学文字の並び方の違いが、顔かたち、背たけ、肌や髪の毛、目の色、性格といった違いをつくりだしていることになります。その違いも両親から受け継いだものとなると、私たちの運命は遺伝によって決定づけられてしまうことになるのでしょうか。

しかし、受け継ぐ遺伝もあれば、私たちには、突然変異を起こすメカニズムも同時に備わっています。先祖代々、受け継いできた性質があり、変化してきている部分もあるのです。

私たちは一人ひとりがかけがえのない存在です。同じ人間でも、誰一人として同じ人はいません。 どういう人生にしていくかも自分の意志で切り拓くことができます。また、遺伝子の解明や医療技術が進み、人為的な修正力によりあらゆることが可能になってきている今、私たちは選択する幅も広がってきています。

今回のテーマでは、過去を受け継ぎ、どう未来を創り出していくかを、様々な切り口で考え、議論を重ねていきます。自分の意志ではなく働いている遺伝と進化のメカニズムを知りながら、自らの意志でどう生きていくかを追究していきます。

AN

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2015年10月20日

「静かなともだち」〜概要〜

タイトル: 静かなともだち
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

静かなともだち、それは木の葉っぱたち。

身の回りにいつもある”葉っぱ”をじっくりとことん観察していくことで、その特徴を様々な観点で見つけていきます。

まさに「見れば見るほど見えてくる」という(Perspective)を学ぶテーマ学習の第一歩です。

そして今回のミッションのひとつは、「集めた木の葉っぱMAP」を創ること。
子どもたちはMAPを創っていく過程でじっくりと様々な手法で”葉っぱ”を観察し類似や相違、そして分類などいくつもの観点について考え話し合っていくことでしょう。

そして発見した特徴を相手に伝わる”言葉”にしていくことも大切です。
自分たちの五感を使って感じ取った特徴を言葉にし、また図鑑を使って様々な表現や分類にも触れていきます。
どんな言葉を使えば、誰にでもイメージしやすいのか、観察→表現を繰り返すことで、葉っぱの特徴を探り出していきます。

さあ「葉んてぃんぐ」へ出かけよう☆

YI

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「ゴミ・アミーゴ♪」〜概要〜

タイトル: ゴミ・アミーゴ♪
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:
情けは人のためならず

[2年生]

「情けは人のためならず」

誤用されることが大変多いのですが、「情けをかける、他人を助ける利他行動はその情けをかけた人のためではなく、まわりまわっていつか自分に報いとなって返ってくる」という、困っている人を助けてあげることを薦める意味のことわざです。

今回のテーマ、「ゴミ・アミーゴ♪」では、子どもたちが「利他行動」としてのゴミ拾いを通じて「利他行動の価値」を考えます。
「みんな」のための行動する中で、どんな「価値」を発見することができるのでしょうか。

その「価値」とは、果たして「金銭やご褒美」といった物質的なものや、「ありがとう」という言葉をかけてもらう、他人から与えられる「報い」だけでしょうか?

同じ探究領域「社会寄与」である、昨年学んだテーマ「おかげさま」では、子どもたちは見えないところでいろいろな人が支えてくれていることに気付くことができました。

今度は、支えられている自分たちが他の人に対して行う「利他行動」で、「私たちの社会」に寄与するはじめの一歩を踏み出します。

TY

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2015年10月23日

葉っぱをじっくり見てみよう!

タイトル: 静かなともだち
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

1年生の新しいテーマ学習は「静かなともだち」。静かなともだちとは”葉っぱ”のことです。
私たちの身近にある”葉っぱ”について、今まで以上にじっくり様々な観点で観察をしていくことでどんな発見があるのでしょうか?

テーマ初日、まずは子どもたちが”葉っぱ”と聞いてイメージすることをたずねてみました。
すると”赤いもみじ”が思い浮かぶ子もいれば”黄色いイチョウ”がイメージされる子もいます。

「ぼくはこういう葉っぱで、ここに透けて見える黄緑の線があるんだ。」と模造紙に絵を描きながら説明してくれます。

「私は駅から家までの道にある、こういうトゲトゲの葉っぱ!触ると痛くてね、冬も秋も夏も春も濃い緑で変わらなくて、私たちがおばあさんになっても変わらないんだよ。」

この子はこの”葉っぱ”のことを知らず知らず観察しているようです。
するとある子がこの子に触発されて言いました。

「私が知ってる葉っぱはね、こんなやきいもみたいな形で葉っぱは濃い緑色なんだけど赤紫色のつぶつぶがあるんだ。それでね、このつぶつぶを取って葉っぱを食べるとね、おいしいんだよ!甘いの!」と色や形、そしてつぶつぶがあるなどいくつもの特徴を聞かせてくれました。まさか食べてみていたとは、さすがです(笑)。

1年生のみんなは”葉っぱ”にたいして普段から関心もあり、このテーマではとことん”葉っぱ”について観察してみるというミッションについてもとてもワクワクしている様子。

翌日は早速近くの紅葉山公園へ葉っぱを観察しに出かけました。
その前にフィールドワークの目的である、”いろんな種類の葉っぱを集める!”ということを伝え、その際に大切にすべき3つのことをみんなで考えました。

子どもたちからすぐに出てきたのは”なるべく同じ葉っぱを取らない”ということ。
植物を大切にするということだそうです。
二つ目は”においをかぐ、みる、きく、さわる、よむ、かく”ということ。つまり色々観察してみるということです。
”みる”はじっくり形や色や模様を見て、”きく”は人の意見を聞いたり、詳しい人に話を聞き、”さわる”は手触りを確認し、”よむ”は図鑑などでその葉っぱについて調べ、”かく”はスケッチしたり、観察して気になることを書くということです。
三つ目は、”なるべく落ちた葉っぱを拾う”ということですが、子どもたちによると落ちている葉っぱの中でもきれいで元気な葉っぱを拾うことがポイントとのことでした。
これらのエッセンシャルアグリーメントを決めて、いざ公園へ出発です!

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お気に入りの葉っぱを集めてじっくりと観察。色は濃い緑で抹茶みたい!

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手触りはサラサラでザラザラ。ちょっとやわらかいけど、ザラザラしている。  

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ギザギザしててまるで鬼の角のような形!

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じっくり見ながら葉っぱの特徴を調べたり、スケッチをしたりして今まで気づかなかったことを発見していきます。
そして集めた葉っぱはスクールに戻って押葉にして保管。来週には第一弾が出来上がっていることでしょう。ワクワク♪
さあ、来週もたくさん集めるぞ〜!!

YI

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利他行動のはじめの一歩!

タイトル:ゴミ・アミーゴ♪
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:『情けは人のためならず』

[2年生]

今回のテーマ学習、タイトルは「ゴミ・アミーゴ♪」です。
ゴミと友達になる、「利他行動である”ゴミ拾い”を楽しんでやってしまおう!」という思いが込められたタイトルになっています。

「利他行動」、「人のために行動すること」と聞くと、どんなイメージをもちますか?
「利他行動」ということばは、社会心理学は行動経済学で出てくるワードで、日常あまり耳にすることがないかもしれません。

子どもたちももちろん、今回が初めてのことば、「利他行動」と聞いた時、

・今回のテーマのタイトル、活動にかけて「ゴミを拾うこと?」と答えたり、
・「みんなにキレイに過ごしてもらう」ことではないかと考えたり、
・「学んだことを行動に移すことなんじゃないか?」
とイメージを膨らませ、考えていました。

さらに今回のセントラルアイディアは

「情けは人のためならず」

で、さすが「社会寄与」のテーマ「奥が深いことば」がどんどん出てきます。
情けは人のためならず、ときくと、「情けをかけてあげることはその人自身のためにはならないからやるべきではない」という解釈をされることがありますが、実際にはむしろ奨める意味で、

「情けをかけてあげることは、その人自身のためのみならず、回り回って自分のためにもなる」
という意味から、「人のためならず」となっています。

「情け」と聞くとまさに「情けない」が浮かんできますが、
漢字成り立ち字典の「情」のページに見事に「辞書的な意味」が載っていました。

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「人を親切にすればいつかそのむくいがあるということ」

ただ、このことばを聞いただけではあまりピンとこない部分がありました。
「むくい」ってなんだろう?

「むくい」って聞いたことがる?
と質問してみると・・・

・「例えば、悪いことをして怒られるじゃない、そうしたらその人は報いを受けて、あーこうしなきゃなと思って、その人のためになるんだよ」
・「自分が人を親切にできる人になるってことかな?」
・「救われる、運がいいことかな?」

ともやもやと考えてゆきます。

そんなもやもやをもちながら、翌日は、近くの公園に「利他行動」としてのゴミ拾いをしにゆきました。
すると・・・

・「あー!結構いっぱい落ちてるね!」
・「細かいところもよく見るとゴミが落っこちてる!」
・「なにこれーくさい、こんなものも落ちてるんだ」

とゴミを拾っているうちに周りで遊んでいた他の子どもがいつの間にか、手伝ってくれました!

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そんな他の子たちを巻き込んだ次の日は、前日の利他行動のよかったこと、もっとよくなることを振り返るところからスタートしました。

・「怪しいところは結構拾えた!」
と思いつつ・・・
・「ゴミはあるのに見逃しちゃったなぁ・・・」
と「もっとよくできるところ」を炙り出して行きます。

振り返ったら即実践だ!

ということで、早速昨日と同じ公園に利他行動に行きます。
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今回は、じっくりどこにゴミがあるかよ〜く探して、
蜘蛛の巣が張っている、小さいトンネルの中を拾ったり、
他の人が見逃したところも見逃さないように拾うことができました!

そして見てください、この昨日よりも多いゴミの量を!
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さて、スクールに戻るとまた今回の利他行動のよかったところ、もっとよくできるところを振り返ります。
・「やっぱりもっとあるんじゃないか?って思うことが大切なんじゃないか」
・「みんな遊んでて、おばさんが話をしているのに、大声だと邪魔になっちゃう、Open-mindedじゃなかったよー」
・「茂みに入れなさそうでも、もっと入ってみようとしたほうがよかったかも!これはもっとRisk-takersになれたよ。」

今回は「利他行動」とはどんなものか、考えながら実践しました。
これから、子どもたちは、「利他行動」からどんな価値を見出すことができるのでしょうか。

TY

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お金の価値

タイトル: 信じるカネ?
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。

[3・4年生]

お金からイメージすることって何?

まず、この問いかけからスタートしました。すると……当然ながら、ほしいものが買える!という答えが出てきました。さらに、お金で自分がどんなものを買ったかという話も出てきました。

一方で、

こわいもの

というイメージが強かったところが興味深い点でした。お金があることで狙われたり、場合によっては殺されたりすることがあるというのです。

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お金は、モノを得るために使える役立つものである一方、価値があるゆえに、それを不正に得るために人の心を狂わせてしまうこわいものでもある。そんなお金の探究が始まりました。

お金が昔は貝でできていたこと。お金を使う前は、物々交換していたこと。お金はそれぞれの国が発行していて、その国の特徴を表すものや偉人が印刷されていること。そして、努力の対価としてお金が支払われることといった先行知識を子どもたちは持っていました。

本人が海外旅行に行ったとき、または、お父さん、お母さんが仕事で出向いたときに手に入れた海外のコインや紙幣を持ってきてもらうと、アメリカ、イギリス、オーストラリアからスロバキア、ネパール、インド、タイ、韓国などさまざまな国のお金が集まりました。

「おっちゃん。お金はねえ偽札を作れないように絵が書いてあるんだよ」

どの国の紙幣にも共通していたのは、透かしを入れて、簡単に偽造できない特殊な工夫が施されているところでした。

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子どもたちのお金についての関心が高まってきたところで、私の財布から2つの「紙」を並べました。一方は、正真正銘の「1万円札」。もう一方は、私が紙に描いた「1万おっちゃ札」です。

「この2枚どちらも『本物』で、ニセじゃないよ。どっちがほしい?」

みんなそんなの決まってるじゃん!という顔つきで、福澤諭吉の1万円札を選びます。

「どうして?1万おっちゃも1万円札もどっちもただの紙きれじゃん。なのにどうして1万円札なの?」

さらに尋ねると、

「1万円札だったらどこでも使えるじゃん。でも、1万おっちゃは誰も受けとってくれないよ」

使える=流通できる=価値を持つ

ただの紙きれではない、紙幣として通用する「価値」というものがあるということが浮かび上がってきました。

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「どうして価値があるんだろう?」
「それは国がつくっているから」
「国がつくっているとどうして価値が出るんだろう?」
「その国が信用できるからだよ」

おお、早くも、今回のテーマ学習のキーワードが出そろってきましたね。

価値と信用、そしてそれを生み出す存在

この3つがそろわないと「お金」とは言えないのです。

「じゃあ、1万おっちゃはまったく価値がないのかな?TCSで、これ持ってると何かがもらえるとか、交換できるとかになれば、価値でてくるんじゃないの?」

こう問いかけると、

そうか!と反応する子がいました。

「フェスタのカフェで使ったチケットと同じで、価値があると言えるんだ」
「でも、どこでも使えないよ」

そう、1万おっちゃに「価値」はあっても、それは超、超、限定的。TCS内でしか使えません。でも、狭い範囲でも、あるコミュニティに属している人どうしなら、十分に「価値」を持つし、役にも立ちます。

「こんな紙でも価値があるんだ……どうしてなんだろ……」

不思議そうにつぶやく子がいます。まったくその通り。このあたりをひもとくには、お金が生まれてきた歴史をふりかえらなければなりません。

物々交換だと不便なのは、かりに、Tシャツとミカンを交換するにしても、それぞれの価値を厳密現すわけにきません。しかし、お金は価値を数値化したものなので、細かく、はっきりと現すことが可能です。また、ミカンがほしくない人にはミカンは何の価値を持たず、別の商品に交換することが難しいですが、お金なら、どんなものでも交換できます。そのうえ、かさばらないので持ち運びも便利。ミカンはやがて腐ってしまいますが、お金は保存がききます。こんな利点があって、世の中の経済活動は、お金を媒介にすることで活発になっていったのでした。

さあ、お金の働きとその歴史について知識を得たところで、次週は、いかに「お金」の「信用」が築かれてゆくのかに注目です。

RI

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遺伝って何?

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「私たちは過去を受け継いで、未来を創り出す。」

[5・6年生]

「今度のテーマってDNAでしょ。」
「DNAって長いんでしょ。」
「長くてどこまでも続くと思う。」
「どこまでも続いたら、人間の体に納まらないよ。」
「DNAって髪の毛にあるでしょ。」
「DNAがいらなくなると髪の毛が伸びる?」
「髪の毛だけじゃなくて体の全部じゃない?」
「ぐるぐる階段になってて、赤と青になっているのをどっかで見たことある。」
「野球のDeNAとは違う?DNAのようにって何か意味がつながっているとか?」
「DNAとホルモンは同じ?」
「DNAは遺伝子がいっぱい詰まってる?」
「いや、遺伝子はDNAがいっぱい詰まってる?」
始まって早々、自然にDNAについてのprior knowledgeを語り合っています。

「ところで、テーマタイトルは何?」
「DNAじゃないの?」

今回のテーマタイトルは「似て非なるもの」。
そう伝えると、今度は親と似ているところに話が弾みます。
「僕のほっぺの膨らみはお父さんに似てる。」
「家族全員の共通点は眼鏡。立ち方は内股。」
「うちの家系は代々繋がってるわけじゃないんだよ。
途中から、入っていた人がいるから。」
「血が繋がっているってどういうこと?」
「お父さんの血がどうして自分に入るの?」
「お父さんもお母さんも目が2つで、どうして子どもは4つにならないの?」

父親の精子と母親の卵子から子どもがつくられていくことや、自分が両親と血が繋がっているということは言葉ではわかっていても、どうして2人から血を受け継ぐことが可能なのかということに疑問を持っていることが浮き出てきました。

「血って細胞なの?」
「血は設計図じゃない?」

血、細胞、DNA、遺伝、設計図・・・。
耳にしたことのある言葉が出てくることで、それぞれがどう繋がっているのか疑問が次々に出てきます。「遺伝」の字に着目して、「遺伝って伝わるってことかー。」と発言する子がいると、話題は、親と似ているところ、似てないところがあることや、似たくないところ、似ててよかったことなどに変わっていきました。

「親みたいにはなりたくない。」
「似ていた方が趣味とかが同じになって、話が合うからいいと思う。」
「似ててよかったところは足が速いのはお母さんが陸上の選手だったから。」
「それじゃ、お母さんが陸上やらなかったら、足速くなかったかもね。」
「そうだね。」「そうかな?」
「歯並びが悪いのが伝わった。今、矯正してる。」
「そしたら、子どもは歯並びがよくなる?」
「なるんじゃないの?」「ならないと思う。」
何が遺伝するのか、また何が遺伝と関係しているのか、これまたモヤモヤだらけになってきました。

「遺伝って何?」
「人間ってどうやって作られるの?何でできてるの?」
「何もかも知りたい!」

知りたいと思うこと、これがこれからの原動力になっていきます。来週からは、見て、聞いて、読んで、話して、書いて、出てきた疑問にとことん迫っていきます。


AN

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2015年10月30日

葉っぱの違いはどう見分けるの?

タイトル: 静かなともだち
探究領域: 万象究理
セントラルアイディア:
見れば見るほど見えてくる。

[1年生]

今週も葉っぱ集めの冒険が始まりました。
先週は緑一色に見えていた公園も上を見上げると赤くなった葉っぱがチラホラ見つかります。

「あー!!ねえ、あそこのモミジの色が変わってるよ!!なんであの枝だけ赤くなってるんだ??」

みんな一斉に上を見上げます。
すると確かに一本の枝だけ真っ赤に色づき、他の枝についている葉はまだ濃い緑色をしています。

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「あ!あっちのモミジもオレンジ色になっている葉っぱがちょっと見えるよ。みんなであっちにも行ってみようよ!」

一度色づいたモミジに気がつくと他のものも目に入りやすくなってくるのが不思議なものです。

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「このしだれモミジも薄いオレンジ色と赤が一枚の葉っぱの中にあってきれい。」

「わ!イチョウも少し黄色くなってるよ。行ってみよう!」

「うーーー。くさい〜。ギンナンのにおいだよ〜。」

上を見上げると枝にびっしりとギンナンがついていて地面にも落っこちていました。
秋が深まっていくのを日に日に感じさせてくれる美しい季節になってきました。


スクールへ戻って集めてきた葉っぱを広げてみると、大小だけでなく様々な形と色の葉っぱがとてもきれいに並びました。

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それらの葉っぱを押葉にするように新聞に挟んで重石をしておきました。

さて、いろいろな種類の葉っぱが集まりましたが名前がわかる葉っぱはたった一部にすぎません。
そこで「葉で見わける樹木図鑑」を使って葉っぱの調べ方を調べてみることに。
すると葉っぱの識別の仕方としては、”形”・”葉のつき方”・”葉のふちの形”(ギザギザしているかしていないか)・”落葉樹か常緑樹か”という4つの観点で観察していけば大体種類が分かるということが分かりました。

「この葉っぱの形は分裂しているでしょ。そして鋸歯(ギザギザ)で落ち葉にもなっていたから、うーーんと、あ!!これだ!フヨウだ!!」

と図鑑をめくって識別する男の子。

「私のは不分裂。えっとねえ、それでやっぱり鋸歯でしょ。それと、ああ落ち葉かどうかは分からないし、つき方も覚えてないなあ。ひゃあ、これだけしか分かってないとたくさんページを見てみないとだ!」

「あ!でもこれじゃない?このハート型っぽい感じはシナノキだよ!!そうだそうだ!」

図鑑によると樹木の葉は大きく分けて6つの形に分類されます。
その葉が交互についているか(互生)2〜3枚ずつ対になっているか(対生)という”葉のつき方”、それとふちの形がギザギザかそうでないかと落葉するか常緑かということで葉っぱが分類できることを知り樹木の見方が大分変わりました。
来週は葉のつき方にも着目して引き続きいろいろな種類の葉っぱを”葉ンティング”したいと思います!

YI

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人のために行動したことってある?

タイトル:ゴミ・アミーゴ♪
探究領域:社会寄与
セントラルアイディア:『情けは人のためならず』

[2年生]

先週はただ「ゴミを拾う」という利他行動にどっぷりつかってみた子どもたち
使ってみて、利他行動のイメージの芽生えがみられたところで、

「今まで人のために行動したこと、ある?」

と、今まで自分がした利他行動について振り返りました。
面白いことに、大きく分けて二種類のアイディアが出されました。

まずは、思い浮かびやすい「家族、身内」のために、行動したことが真っ先にでてきました。
例えば
・長崎で親戚のお手伝いをした
・ママにお皿洗いをしてあげた
・パンケーキを作ってあげて、お母さんの弟子みたいになった
・お風呂洗いをした
・お寺で、お茶やお弁当の準備をした
などなど、まずは「お手伝い」があげられました。でもそんなアイディアを出していくうちに・・・

・誰かが落としたパスモを拾ってあげて、届けてあげた
・体験で来た子が迷ってる時に、話を聞いてあげた
・バスでおばあさんに席を譲った
・毎日譲り合いのEnglish Weekだったけど、つかれちゃった

と、「知らない人、誰か」のために、行動したこともでてきました。

「利他行動」についてイメージを膨らませつつ、それをする「自分」と利他行動を受ける「他人」には、どんな価値があるか、

について考えながら、今週は利他行動を続けて行きます。
「利他行動」としてのゴミ拾いに熱中する子どもたち、
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気づけば、振り返りでは、
・「いやだったくさむらもはいった」
・「油断がなくなった」
・「アリの目、足をスローにすると沢山拾える」

というGoodな面と、

・「いっぱい考えるより、一個考えたらまず動くということが重要なんじゃないか」
・「もうちょっと細かく見れた」
・「ないと思い込んでしまった、でもあると思うのがいいんじゃないか」
という、自分をもっとよくすることができる、「Betterな面」について、先週よりさらに振り返りの質が高まっています。

さらに、今回は、「利他行動の自分への価値」、「利他行動の他人への価値」についても振り返っていきます。

・「いいことやったな、と気分がいい」
・「みんなにありがとうと言われて嬉しい」
・「今日自分が頑張ろうと思っていたことができた」
という、Goodな面にも繋がる「自分への価値」の発見があったり、 ・「キレイだと他の人も気分がいいんじゃないか」
・「他の人も私たちの姿を見て無意識で捨ててるんだな、と感動するんじゃないか」
・「ゴミを踏まずにすんだんじゃないか」
と、自分たちのした利他行動の成果から、「他人への価値」を考えていました。

さて、来週も引き続き「利他行動」を継続します。
さらなる新たな「利他行動の価値」を、TCSキッズは発見することができるのでしょうか?

TY

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お金の誕生

タイトル: 信じるカネ?
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:価値の移転は信頼によって成り立つ。

[3・4年生]

お金は、物と物との交換では不便なところを補うために生まれ、どんどん発達してゆきました。しかし、最初から「紙きれ」が使われていたわけではありません。そこで、「紙切れ」がお金になるまでの歴史を学んでゆきました。

物々交換から「お金」への移行は、いきなり起こったわけではありません。まず、物の中でも「必需品」が用いられるようになりました。その代表が「塩」でした。やがて「米」も使われるようになり、「米」の場合は、江戸時代の武士の給与は「米」でなされていたので、比較的最近まで「お金」と同様の働きをしていました。

確かに、これはほしくない人はいないし、備蓄しておいて損はしない物なので重宝されたでしょう。ただ、大きな欠点がありました。それは持ち運びが大変だ!ということです。

「塩やお米をずっとかついで買い物はできないもんね」

取引先まで簡単に持ち運びできて、価値のあるものとして最初に選ばれたのは「美しい貝殻」でしたが、金属を加工する技術が確立されてくると、金や銀といった稀少で、みんながほしがる物へと移行してゆきました。貨幣・コインの時代です。

「昔のお金っていうと、やっぱり小判とか金貨というイメージだもんね」

では、「貨幣」から「紙幣」へとどう移り変わってきたのか?それはなぜか?を考えます。

「なぜかはわかるよ。だって紙ならかさばらないじゃない」

カンのいい子が答えます。他の子たちもそう言われるとすぐに納得です。お財布を「紙入れ」と呼ぶように、紙に「数字」を書けばよいので、1万でも1億でも、紙に書いた「量」のお金を1枚で表すことができるのです。紙幣の最初は、「この紙はこれこれの価値があります」と保証した手紙のようなものだったのです。ただこれだとある人からある人へはよいかもしれないが、他の人へ譲るときや、お金をくずすときに厄介です。ということで、あまり大きすぎない単位で、日常持ち運びするぐらいの金額の「紙幣」がつくられるようになり、細かいはしたにはコインを当てるようになりました。

ただそうはいっても「紙幣」はただの紙なので、この紙きれにどうやって信用をつけるかが課題となりました。そこで生まれたのが「金本位制」でした。日本も明治政府になって「兌換(だかん)」と言って、1円紙幣を「金」と何グラムかと交換できるようにして紙幣の「信用」を 上げようとしました。しかし、流通する紙幣の量に比べて、十分な金を保有することは大変で、金ではなく銀と交換できるようにしたりしてなんとか続けようとしましたが、世界恐慌後の1931年に金本位制は終わりました。

「紙幣だったらいくらでも刷れるけれど刷り過ぎたら意味ないもんね」

紙幣をたくさん印刷すればみんなお金持ちになってハッピー!なんてそんなわけにはいかないだろうというふうに子どもたちもなんとなく感じとっていました。子どもの直観は正しく、紙幣の流通量が増えれば、その結果、物は値上がりするし、紙幣自体の価値は下がるし、いいことがないのです。

多くの国が「金」と交換できる紙幣を維持できなかった中で、唯一、金本位制を維持した国がありました。それは世界でもっとも強いと思われた国。アメリカでした。アメリカドルは、第二次世界大戦後、ますます価値を上げ、世界を支配する通貨として君臨するかと思われました。しかし、ソ連との冷戦による軍備拡張戦争や、「世界の警察」として、各地で起こる紛争に首を突っ込んでいるうちに、国力は落ち、ついに「金本位制」を維持できなくなりました。こうして「金」の裏づけを持つ「紙幣」は世界から姿を消したのです。にもかかわらず、いまだに「紙幣」の「信用」は維持されている。では、どうやって国際間で取引きされる「紙幣」の「信用」を維持しているのでしょう?

「毎朝、テレビのニュースで1ドル何円とか1ユーロ何円とか、ただいま数値が変わりましたとか言っているのを聞いたことあるだろう」

と子どもたちに尋ねると、ああなんかあるなあ!という顔をします。どの国の通貨にどれぐらいの価値を与えるかで「交換のレート」が変わります。これを時々刻々行ってゆく制度に変わったのです。これを「変動相場制」と言います。

「ただの紙くずにしないように努力してるんだなあ……」

誰かがぽつりとつぶやきます。まったくその通り。どんなに精巧に、本物の「紙幣」をつくったところで「信用」が失われればなんの価値もありません。

「おっちゃん、紙幣とクレジットカードって何が違うの?」

おっ、ついにそこに気がつきましたね。「紙幣」がなくても「金額」の取引は可能。それが明らかなのは、いまや会社のお給料を「紙幣」の束を袋に入れて渡すところなんてほとんどないじゃないですか。

「いったいお金の数の動きってどういうことなんだろう……」

物か、コインか、紙幣か、クレジットカードかという「違い」を超えて、取引されているものはなんなのか。いったい私たちは物やお金を媒介にして、何をやりとりしているのか。ついに今回のテーマ学習の「セントラルアイデア」に迫る瞬間がやってきました。

ということで、次週は、「価値の移転」ということを考えてゆきます。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

問いを立てる

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「私たちは過去を受け継いで、未来を創り出す。」

[5・6年生]

「とにかく知りたい!」
今週は DNAについてわかってきていることを知ることに徹しました。 なんと、子どもたちは図書館に行って、DNAや遺伝子に関する本を借りてきています。 やる気十分。でも、読もうとすると難しい言葉も多く、何が書いてあるかよくわからないのが現状です。こちらで用意した資料は、専門的な科学雑誌をテキスト化したものと、NHKスペシャルのDVD。 まずは、DVDを見てみることにしました。

IMG_0761%20%281%29.jpg 印象に残った言葉は、マスターキー遺伝子、デザイナーチャイルド。
「マスターキー遺伝子が変になっちゃうと、体が変わっちゃう。」
「デザイナーチャイルドになりたかったなー。もっと頭よくなりたかったー。」
DNAがタンパク質をつくるための設計図であることがわかり、遺伝子が変わることで、体のつくりや体質が変わってしまうことはわかりました。ただ、詳しいことは謎のままです。


IMGP6636%20%282%29.jpgテキストは以下のように章立てして、
各自がiPadで見られるように電子化したものを用意しました。
form:DNAの構造について理解する
function:DNAのはたらきについて理解する
causation:DNAが必要な理由を理解する
change:DNAの変化について理解する
connection:DNAが他に及ぼす影響について理解する
perspective:DNAを別の視点から理解する

6年間のテーマ学習の最後「エキシビジョン」では自分でテーマを選び、自分で問いを立て、追究し、自分なりの答えを見出していきます。そのときに手立てとなるのがKey Conceptsです。 Key Conceptsは日頃から使っていることもあり、こちらが意識させていることもありますが、 自らKey Conceptsを使おうというところまでには至っていません。 そろそろエキシビジョンの練習も兼ねて、自分で問いを立てて、その答えを見つける 作業をしていくことにしました。

IMGP6636%20%281%29.jpg目につくところに掲示してある「Key Concepts」。
意識して使えるようになると様々な見方ができてきます。

「今日はcausationでしょ。」
causationってどういうこと?と聞いてみると、
「なぜそうなるの?とか」と、掲示されているKey Conceptsを見ながら答えます。
今回のDNAに当てはめるとどうなる?とさらに聞いてみると、
「DNAは何をつくるの?とか・・・」
「それはタンパク質をつくるってformでやったよ。」
「なぜ?」という問いが変わってしまっています。
「そっか。それじゃあ、どういうことだろう?うーん」
疑問ならたくさん出てきても、意識して問いを立てるとなると案外難しいものです。
「なぜDNAが必要かはタンパク質をつくるためっていうのはformの章でやったから、」
「なんでひとつのDNAからいろいろな体ができるの?」
「なぜ?」という問いが出てきました。1日に1つの問いを立て、それについて書かれていることを共有していきました。

IMGP6607.jpg
DNAの設計図は全てが使われるわけではなく、どの設計図が使われるか決められていると書かれています。
「それって、マスターキー遺伝子があるからでしょ。」
「確かに。」
テキストにはマスターキー遺伝子のことは載っていませんでした。自分たちが借りてきた本の方が図がわかりやすかったり、同じことが違う言葉で書かれていたりと、資料が多数あることで、より深く理解できるようになっていきます。マスターキー遺伝子があることはDVDで見たことです。

「もう一度見てみたいなー。」
DNAの構造と働きを知ったところで、もう一回DVDを見てみることにしました。
CGでつくられた映像が印象に残っているものの、そこで何が行われていたのかまでは納得できていませんでした。

IMG_0558.jpgDNAの4種類の塩基ATGCがコピーされていきます。

IMG_0560.jpg「あ、ATGC じゃなくてAUGCになってる!」
「これがメッセンジャーRNAか。」
「実際に働いているのは、DNAじゃなくてRNAだな。」
タンパク質をつくるために、DNAがコピーされる。コピーとしてつくられるのがRNAです。全て同じにはコピーされないことはテキストから得た知識です。映像では説明のナレーションがないことでも、自分たちで補足して見ています。1回目には完全に見逃していた部分でした。

「すごいなー。」
「複雑で意味がわからなくなるよ。」

自分の意思でつくるとなると考えただけでも大変そうです。それが自分の知らないところで自分の体の中で行われている活動だと知ると、「すごい」「なんだか怖い」との声が自然と上がってきます。1回目の感想と比べてみても、2回目に見方が変わっていることがわかります。また、こうした発言が出てきたということは、それだけ彼らの理解度を物語っているようにも思えます。

「デザイナーチャイルドができるってことは、不死身の体もできちゃうの??」

来週は、残りのchange、connection、perspectiveに迫ります。
自分の体なのに、謎が多い。自分の体だから、もっと知りたい。まだまだモヤモヤは続きます。

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