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ディベートで考える

タイトル: 治の力
探究領域: 社会寄与
セントラルアイディア:私たちは私たちを私たちのために治めている。

[5・6年生]

ディベートとは、ジャッジを納得させるための討論ゲーム

話し合い・討論と言えば、自分の意見・考えと相手の意見・考えをぶつけて、どっちの方がよいか決めるものと思っていた子どもたち。しかし、第三者が判断しなくてはいけないという今までとはまったく勝手が違うことへの挑戦です。

そこで、まず、ディベートの形から学ぶことからスタートです。

論題は、必ず「イエス」か「ノー」で答えられるものです。ただ、自分が「イエス」側になるか「ノー」側になるかは、じゃんけんで決めます。つまり、もともと持っている自分の主義主張で立場を決められません。偶然、割りふられた立場に合わせて考えなければならないのです。


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「やってみないとピンとこないなあ……」

そこで、論題を出して考えてみることにしました。論題は、

「監視カメラを町中に設置すべきだ」

ということにしました。そしてじゃんけん……

「わあ、賛成になっちゃったよ」

自分の思いとは逆の立場になり、はやくも戸惑います。

立場が決まったら、次に考えなければならないのは、なぜそう考えられるか?という理由です。どうして監視カメラを町中に設置すべきなのか……真っ先に思い浮かぶこととしてある子が挙げたのは「犯罪を減らすのに役立つ」ということ。最近、ニュースで当たり前のように防犯カメラの映像が流され、犯人検挙につながっているような印象があります。ただ、それが本当なのか。根拠を示さなければなりません。

「根拠ってなんだろう……」

犯罪を減らしていると言える根拠とは……そう、証拠となるデータがほしい。これをディベートでは「引用」と言います。監視カメラの数の増加と犯罪検挙率との間に相関関係がある。または、監視カメラによって検挙された例を述べる必要があります。そして、どのように監視カメラを増やし、その結果、どんなよいことが起こるか考えます。こうして自分の立場が理由と根拠によって補強されれば説得力が増します。

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今のは「賛成」側の立論。では、「反対」の場合はどう立論するのでしょう。「賛成」側が、理由と根拠を言わなければならないのに対し、「反対」側は、基本的に「賛成」側が挙げた理由と根拠についての不備を突きます。「賛成」側の意見に対して「反対」側が質問します。

「監視カメラという呼び名が示すように、防犯よりも監視の方が主目的になってしまうのでは。個人のプライバシーを侵害するんじゃないか」

課題図書『夏の庭』で、少年たちが死にそうなおじいさんを見張るシーンがあり、「プライバシーの侵害」という言葉が出てきたのをしっかり覚えていました。

すると、賛成側は、監視カメラがプライバシーの侵害にならないという理由を示さないといけません。

「ううん……」

すぐに意見が出てきません。しかし、ここからがディベートの真骨頂。やりこめられた!と落ち込む必要はなく、「ちょっと考えてみます」と返せばよいのです。「反対」側の指摘は、ギフト=贈り物。自分の立場を補強するためのヒントをもらったということ。ということで、この後、質問されたことをふまえつつ、立論し直します。

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こうして磨かれていった「立論」をジャッジとなる「聴衆」が聞いて、どちらがよいか決める討論ゲームがディベートです。

これまで、言いっぱなしだったり、なんとなくもっともらしいことを言っていたりすればごまかせたことが、ごまかせなくなった。こりゃあ大変だ!でも、これができないようじゃ、民主的判断なんてできないよな……

ディベートというフォーマットにのっとって、自らの考えを吟味し、磨いてゆく苦闘のプロセスを歩み始めました。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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