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問いを立てる

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:「私たちは過去を受け継いで、未来を創り出す。」

[5・6年生]

「とにかく知りたい!」
今週は DNAについてわかってきていることを知ることに徹しました。 なんと、子どもたちは図書館に行って、DNAや遺伝子に関する本を借りてきています。 やる気十分。でも、読もうとすると難しい言葉も多く、何が書いてあるかよくわからないのが現状です。こちらで用意した資料は、専門的な科学雑誌をテキスト化したものと、NHKスペシャルのDVD。 まずは、DVDを見てみることにしました。

IMG_0761%20%281%29.jpg 印象に残った言葉は、マスターキー遺伝子、デザイナーチャイルド。
「マスターキー遺伝子が変になっちゃうと、体が変わっちゃう。」
「デザイナーチャイルドになりたかったなー。もっと頭よくなりたかったー。」
DNAがタンパク質をつくるための設計図であることがわかり、遺伝子が変わることで、体のつくりや体質が変わってしまうことはわかりました。ただ、詳しいことは謎のままです。


IMGP6636%20%282%29.jpgテキストは以下のように章立てして、
各自がiPadで見られるように電子化したものを用意しました。
form:DNAの構造について理解する
function:DNAのはたらきについて理解する
causation:DNAが必要な理由を理解する
change:DNAの変化について理解する
connection:DNAが他に及ぼす影響について理解する
perspective:DNAを別の視点から理解する

6年間のテーマ学習の最後「エキシビジョン」では自分でテーマを選び、自分で問いを立て、追究し、自分なりの答えを見出していきます。そのときに手立てとなるのがKey Conceptsです。 Key Conceptsは日頃から使っていることもあり、こちらが意識させていることもありますが、 自らKey Conceptsを使おうというところまでには至っていません。 そろそろエキシビジョンの練習も兼ねて、自分で問いを立てて、その答えを見つける 作業をしていくことにしました。

IMGP6636%20%281%29.jpg目につくところに掲示してある「Key Concepts」。
意識して使えるようになると様々な見方ができてきます。

「今日はcausationでしょ。」
causationってどういうこと?と聞いてみると、
「なぜそうなるの?とか」と、掲示されているKey Conceptsを見ながら答えます。
今回のDNAに当てはめるとどうなる?とさらに聞いてみると、
「DNAは何をつくるの?とか・・・」
「それはタンパク質をつくるってformでやったよ。」
「なぜ?」という問いが変わってしまっています。
「そっか。それじゃあ、どういうことだろう?うーん」
疑問ならたくさん出てきても、意識して問いを立てるとなると案外難しいものです。
「なぜDNAが必要かはタンパク質をつくるためっていうのはformの章でやったから、」
「なんでひとつのDNAからいろいろな体ができるの?」
「なぜ?」という問いが出てきました。1日に1つの問いを立て、それについて書かれていることを共有していきました。

IMGP6607.jpg
DNAの設計図は全てが使われるわけではなく、どの設計図が使われるか決められていると書かれています。
「それって、マスターキー遺伝子があるからでしょ。」
「確かに。」
テキストにはマスターキー遺伝子のことは載っていませんでした。自分たちが借りてきた本の方が図がわかりやすかったり、同じことが違う言葉で書かれていたりと、資料が多数あることで、より深く理解できるようになっていきます。マスターキー遺伝子があることはDVDで見たことです。

「もう一度見てみたいなー。」
DNAの構造と働きを知ったところで、もう一回DVDを見てみることにしました。
CGでつくられた映像が印象に残っているものの、そこで何が行われていたのかまでは納得できていませんでした。

IMG_0558.jpgDNAの4種類の塩基ATGCがコピーされていきます。

IMG_0560.jpg「あ、ATGC じゃなくてAUGCになってる!」
「これがメッセンジャーRNAか。」
「実際に働いているのは、DNAじゃなくてRNAだな。」
タンパク質をつくるために、DNAがコピーされる。コピーとしてつくられるのがRNAです。全て同じにはコピーされないことはテキストから得た知識です。映像では説明のナレーションがないことでも、自分たちで補足して見ています。1回目には完全に見逃していた部分でした。

「すごいなー。」
「複雑で意味がわからなくなるよ。」

自分の意思でつくるとなると考えただけでも大変そうです。それが自分の知らないところで自分の体の中で行われている活動だと知ると、「すごい」「なんだか怖い」との声が自然と上がってきます。1回目の感想と比べてみても、2回目に見方が変わっていることがわかります。また、こうした発言が出てきたということは、それだけ彼らの理解度を物語っているようにも思えます。

「デザイナーチャイルドができるってことは、不死身の体もできちゃうの??」

来週は、残りのchange、connection、perspectiveに迫ります。
自分の体なのに、謎が多い。自分の体だから、もっと知りたい。まだまだモヤモヤは続きます。

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TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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