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マークって何だ?

[1・2年生]

「マークについてやるんでしょ!」

学びが始まる前にどんなテーマをやるのかチェックしている子どもたち。そんな子どもの流れに乗っかって、はいそうですよ!マークについて考えてゆくけど、いったいマークってどういうものなのだろう?と学びが始まったか始まらないかのうちに prior knowledge を探ることに着手です。

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「マークってそこのゴミ箱の前にはってある燃えるゴミマークでしょ」

早速、スクール内に掲示してあるマークを指摘する子が現れます。

「蚕糸の森に行く途中に自転車は入ってはいけないってマークがあるよ」
「"止まれ"もある」

続いて交通標識が出てきます。

「ジュースの缶にもある」

なるほど細かいところにもマークはたくさん隠れていますな。

「学びのアンテナの!や?やもやもやもマークだよ」

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ほう、確かにビックリマークだし、クエスチョンマークだよね。

1・2年生の子どもたちはかなりの数のマークを知っていることが明らかになってきました。そこでちょっと perspective をゆさぶる問いかけをします。

「でもさ、学って『字』でしょ。『字』はマークではないんじゃないの?」

「……」

今まで威勢よく語っていたのに一気にし〜んとなります。

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ちょっと間を置いて、字とマークは同じなのか?違うのか?と問うてみます。するとほとんどの子が同じだと答える。

「だって漢字も絵からできたんでしょ。マークも絵じゃん」

1・2年生の習う漢字には象形文字が多い。確かに絵という意味では共通しているねえ。

「ひらがなやカタカナは漢字からつくられたって習った」

ふむ、ふむ、これも日本語の学びや書道で触れられたことですね。漢字を崩したり、分解したりして「マーク」にしたものがかなってことですか。

こうしてマークと字が同じだという意見が大多数となってきた中に、首をかしげている男の子がいます。

「ぼくはちがうと思う」

スバラシイ!みんなに流されず自分の考えを保持し、それを口に出す勇気こそ inquirers に求められる資質の一つです。理由を語ってもらうと……

「だって字は読めるけど、マークは読めないでしょ」

どうですかみなさん。本当に子どもは立派な「哲学者」だとは思いませんか。というよりも、むしろ大人の方があれこれじっくり考えようとせず、既にある解釈を早く知りたがり、鵜呑みにしてよしとするのではないでしょうか。

ある特定の読みが付随している記号である「字」と、意味を即座に喚起することを主目的とする記号である「マーク」との違いに気づく立派な「言語学者」です。子どもをなめてはいけません!

prior knowledge に基づいて語り合い、考え抜いて、子どもから「本質的な発見」が生まれたところで今回のテーマで追究することを伝えます。

・「マーク」と言っても「ピクトグラム」に焦点を当てる。
・シンプルな形と色の組み合わせでメッセージが伝わるオリジナルのピクトグラムをつくる

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そもそもピクトグラムは日本の誇るべき発明品の一つだということをご存知でしたか。約50年前、東京オリンピックで多くの外国人観光客を「お・も・て・な・し」するに当たって、言葉の壁を越えて誰でもわかるような標識として編み出されたのがピクトグラムでした(代表作は「非常口」マーク!)。こうして日本からピクトグラムは世界へと広がっていったのでした。

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さあ、じっくり思考した後は、フィールドワーク!自分たちの身のまわりにあふれる「マーク」を収集するためにスクールの周囲を探検です。

「これもマークだ!」
「こっちにもあるよ!」

交通標識はもちろんのこと、電信柱にはりつけられたさまざまな禁止マーク(いちばん多かったのは「タバコぽい捨て禁止」)、マンホールにも、マンションの入口にも、自動販売機にも、大きく目立つものから小さいものまでマークがあふれています。スクールを出て数十メートル進むのにも時間がかかるのなんの。それだけマークだらけなのです。子どもっていうのはこういう活動に無邪気に熱中します。あった!こっちもだ!とあちこち探し続け、あっという間に500を優に超えるマークが集まりました。

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フィールドワークの翌日は、デジカメで撮影した「マーク」をプロジェクターで映し出し、ふりかえりです。1枚1枚写真を見ながらどんな特徴があるかみんなで語り合っていると、気になるピクトグラムが現れました。それは「ペットボトルリサイクルマーク」でした。

周りを円のように取り囲むだんだん細くなってゆく2つの曲線。中心にペットボトルの形がうきあがって見えます。

「これって絵だけなのにわかりやすい!」
「ペットボトルをくりかえし使おうという意味が伝わってくる!」

ピクトグラムとしてなかなか優れているマークを発見しました。するとある子が、私だったらこう表現すると、自分なりのピクトグラムを描き始めました。

「ペットボトルを大切にしようという気持ちがハートマーク。黄色い三角は注意だからみんなで大切にするように注意しようっていうこと。」

なるほどねえ。素朴ながら立派なピクトグラムじゃないですか。こうなると他の子もおれはこうする!私はこういうのつくりたい!と言い出します。そうだよね。つくってみたいよね……ということでスクールにこういうピクトグラムがあったらいいよね!と思うものをホームワークで描いてくるという課題を出しました。

どんな「ピクトグラム」を子どもたちは描いてくるのでしょうか。楽しみです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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