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人の心を動かす

タイトル:詩人の旅
探究領域:意思表現

[3・4年生]

詩のメモをつくる……声に出して読んでみる……聴いてもらう……どんなイメージを抱いたかフィードバックをもらう……そしてまた書く。そんなサイクルに子どもたちは没頭しています。

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今回、「詩」をつくることで目指すのは、直接的に、いわゆる「国語力」と呼ばれているものを伸ばすためではありません。「詩」が担っている「声」と「文字」とをつなぐ特性を通じて、メディアとしての「詩」が、人と人とをつなぐ役割を実感するのが目的です。

そもそもことばは、ヒトの「声」と不可分なので、頭の中だけで知的に処理するというアプローチを許しません。「身体性」を解放し、ことばを発した自分と発せられたことばを受けとめた相手との間に心の振動という共鳴を引き起こすものです。そんなことが実際に起こるのか、それによって人と人とのつながり、そして自分の意識にどんな変化が起こるのかを、子どもたちは追究しています。

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スクールにはほぼ日替わりでさまざまなバックグラウンドを持った見学者が来ます。その人たちは、いわゆる「一見(いちげん)さん」。したがって、子どもたちのことを知りません。今はそれが好都合。自分たちのキャラに頼ることはできず、つくりだした「詩」の力を試すことができるからです。

「すみません。ぼくたちの詩の判定をしてください」

子どもたちは、プレゼンテーションデー当日と同様のスタイルで、見学者に自分たちの詩を評価してもらうように頼みました。もちろん見学者はそんな面白い誘いを断ろうはずがありません。さあ、真剣勝負の始まり。このシリアスさこそただ楽しいのではない、探究ならではの hard fun の真髄です。

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対戦相手と勝負するわけですが、子どもたちの意識はまったくそこには向いていません。ことばと声と必要最低限の身体表現で、いかに自分の世界を相手に見せ、魅せることができるか。その一点に集中し、演じています。いっぱしのパフォーマーになっちゃっているじゃありませんか。

パフォーマンスが終わり、審査タイム。

「うん、困った。選べない……」
「こりゃあまいったなあ」

息もつけずにじっと見入っていた大人の審査員が本気で頭を抱えています。いやあまったく審査員泣かせ。あまりにも子どもの表現レベルが高く、いいか悪いかではもちろん選びようがありません。となると、あとはどれだけ自分の心に迫ってきたかしか評価基準はないのです。ということは問われるのは、子どもたちだけでなく、受けとめる方の感性。選んだ後は、しっかりフィードバックを子どもたちに返さなければなりません。それが子どもたちのさらなる探究の原動力となり、タネとなるのですから、うかつなことは言えません。

すべての対戦が終わったとき、ぐったりしていたのは審査員でした。本当に、お疲れさま。そしてありがとうございました。

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価値あるフィードバックをもらった彼らは、さっそく修正に入ります。今学期から一人一台ずつ持つようになった i-pad が大活躍。お互いのパフォーマンスを動画機能で撮影し、それをもとにどうしたらいいかふりかえります。いやあこういうことを自然に始めてしまうのがデジタルネイティブな世代なんですかね。「もっとゆっくり」って言われても自分ではどうゆっくりすればいいのかわからなかったのに、IT 機器の特性をしっかり活かして学びにつなげています。「ひとのふりみて」ではなく「自分のふりみてわがふり直せる」ようになったのです。こりゃあスバラシイ!

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後は、満を持してプレゼンテーションデーを迎えるばかり。さらに子どもたちの探究度はアップする一方です。

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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