タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。
「事実」を見つめる「白の帽子」、「感情的」に考える「赤の帽子」、むしろ「感情」を抑えて「コントロール」する「青の帽子」、「創造性」を働かせる「緑の帽子」、物事を「楽観的」にとらえる「黄の帽子」、そして「批判的」に見つめる「黒の帽子」
うまい具合に思考スタイルを分類しています。
先週、錯視の実験で明らかになったように、私たちの「見え方」に脳の「判断」が大きく影響を与えているのは明らかです。とするならば、この6色で表現された思考スタイルが私たちの「見え方」に関わっているはず。
いったい「見え方」がどんなふうに変わるのか考えるためにちょっと遊び!(いつも遊び!ですが……)
スポーツドリンクに「探究」というラベルを貼って、これを「探究ドリンク」と名づけて飲んでいるおっちゃんがいた。さあこのおっちゃんを白い帽子で眺めると……
「それは探究ドリンクではなくて、どこでも売っているスポーツドリンクです。それを飲むことと探究するようになるかは別ですっていうのが白!」
さっそく的確な答えが返ってきました。
「でも、赤だったら、わあ、なんか面白い!こういうのっていいよね!って盛り上がるんじゃない」
「黄色も似てるよ。探究ドリンクだと思うと気分がいいよね。なんか効くような気がするとか言いそう」
「黒は、本当はそうじゃないものをそう見せるっていうのは人をだますことにつながるんじゃないかなってなるのかも」
「緑だったら、もしみんながこれを探究ドリンクだと思って元気になるなら、飲み物だけでなく食べ物でもそうできるかなって考えるかもね」
子どもたちとワイワイ騒ぎながら遊んでいるうちに、なんとなく6色シンキングハットの意味が見えてきたようです。
そこで、課題を提示。帽子じゃ面白くないからこれをメガネに作りかえよう。題して「6色シンキングメガネ」。物の見え方を変えてしまう「変なメガネ」を作ってみようと促すと、ノリノリで作業にとりかかりました。
面白いことに、ちょうど今日みんなが着ているシャツの色がこの日のためにわざと着てきたように6色バラバラ。自分の着ているシャツの色のメガネをつくることにしました。
工作用紙に設計図を書きます。つるの長さを決めるために目と耳との距離を定規で測ってみます。一心不乱に作業に没入。みなそれぞれ形がことなる個性的なメガネができあがります。
さあ、メガネができ上がったら早速かけてみます。なかなかシュールで、スタイリッシュ。ただ、工作用紙だとうまく耳にかけられなくて不安定なのが玉にきず。でもまずはプロトタイプをつくってしまうことが大事。どこを直せばいいか見えてきます。
「このメガネさあ、形は面白いけれど、こわれやすいね」
「わあ、それ白いメガネじゃん」
だれかの思いがけない発言を、メガネの色とすかさずつなげてしまうなんてスゴイ。「事実」を発言したんだから、それは「白いメガネ」で見たもののとらえ方だというわけです。すると別の子が
「悪い部分を言ったんだから黒いメガネだと思う」
なるほど、事実の指摘ではあるけれど、ネガティヴな側面を指摘したんだから黒いメガネと言う方がいいんじゃないかという反論ですな。いやあメガネ完成早々、鋭いやりとりが始まりました。
そこで、もっと議論を面白くするために、どちらも「事実」を言っていることは間違いないのだから、黒と白の2色がなくてもどちらか1色でいいのではないかと投げかけてみました。すると、みんなそれは違うと言います。
「白はね、本当のこと。でも黒はそうじゃないことなんだよ」
「えっ?それどういうこと?」とさらに突っ込むと……
「白はね、実際にそうなっちゃってるの。当たり前ってこと。でもね、黒はもしかしたらっていう悪い予想なんだよ」
いやあ、まいった。面白いこというね。こうして語り合いながら彼らとしての「意味」を構築してゆく。教わったことを覚えるのとは正反対の知識をつくりあげるプロセスです。
白はあたりまえの事実をいう「あたりまえメガネ」。これに対して黒は、「でもさあ……もしかしたらこうかもよ」っていう言い方をして使うことが多いから「でもさあメガネ」と名づければいいというアイデアまで出てきました。こうして自分たちのものの見方に大きく影響を与える思考スタイルについての理解が深まります。いよいよ次の週は、自分がどんなメガネでものを見てしまいがちか、さらに、意識的にメガネの色を変えてものを見ることができるかに挑戦してゆきます。
RI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。
[2年生]
「デボノ博士の6色シンキングハット」について聞いたことがある、知っている、あるいは使ったことがあるという人も多いでしょう。人の思考スタイルを6分類し、それぞれのスタイルに色を割り当てたもので、企業研修で、また学校の授業で、思考トレーニングのために用いられます。まるで「帽子」をかぶりかえるように思考スタイルをチェンジできるようにというアイデアです。「事実」を見つめる「白の帽子」、「感情的」に考える「赤の帽子」、むしろ「感情」を抑えて「コントロール」する「青の帽子」、「創造性」を働かせる「緑の帽子」、物事を「楽観的」にとらえる「黄の帽子」、そして「批判的」に見つめる「黒の帽子」
うまい具合に思考スタイルを分類しています。
先週、錯視の実験で明らかになったように、私たちの「見え方」に脳の「判断」が大きく影響を与えているのは明らかです。とするならば、この6色で表現された思考スタイルが私たちの「見え方」に関わっているはず。
いったい「見え方」がどんなふうに変わるのか考えるためにちょっと遊び!(いつも遊び!ですが……)
スポーツドリンクに「探究」というラベルを貼って、これを「探究ドリンク」と名づけて飲んでいるおっちゃんがいた。さあこのおっちゃんを白い帽子で眺めると……
「それは探究ドリンクではなくて、どこでも売っているスポーツドリンクです。それを飲むことと探究するようになるかは別ですっていうのが白!」
さっそく的確な答えが返ってきました。
「でも、赤だったら、わあ、なんか面白い!こういうのっていいよね!って盛り上がるんじゃない」
「黄色も似てるよ。探究ドリンクだと思うと気分がいいよね。なんか効くような気がするとか言いそう」
「黒は、本当はそうじゃないものをそう見せるっていうのは人をだますことにつながるんじゃないかなってなるのかも」
「緑だったら、もしみんながこれを探究ドリンクだと思って元気になるなら、飲み物だけでなく食べ物でもそうできるかなって考えるかもね」
子どもたちとワイワイ騒ぎながら遊んでいるうちに、なんとなく6色シンキングハットの意味が見えてきたようです。
そこで、課題を提示。帽子じゃ面白くないからこれをメガネに作りかえよう。題して「6色シンキングメガネ」。物の見え方を変えてしまう「変なメガネ」を作ってみようと促すと、ノリノリで作業にとりかかりました。
面白いことに、ちょうど今日みんなが着ているシャツの色がこの日のためにわざと着てきたように6色バラバラ。自分の着ているシャツの色のメガネをつくることにしました。
工作用紙に設計図を書きます。つるの長さを決めるために目と耳との距離を定規で測ってみます。一心不乱に作業に没入。みなそれぞれ形がことなる個性的なメガネができあがります。
さあ、メガネができ上がったら早速かけてみます。なかなかシュールで、スタイリッシュ。ただ、工作用紙だとうまく耳にかけられなくて不安定なのが玉にきず。でもまずはプロトタイプをつくってしまうことが大事。どこを直せばいいか見えてきます。
「このメガネさあ、形は面白いけれど、こわれやすいね」
「わあ、それ白いメガネじゃん」
だれかの思いがけない発言を、メガネの色とすかさずつなげてしまうなんてスゴイ。「事実」を発言したんだから、それは「白いメガネ」で見たもののとらえ方だというわけです。すると別の子が
「悪い部分を言ったんだから黒いメガネだと思う」
なるほど、事実の指摘ではあるけれど、ネガティヴな側面を指摘したんだから黒いメガネと言う方がいいんじゃないかという反論ですな。いやあメガネ完成早々、鋭いやりとりが始まりました。
そこで、もっと議論を面白くするために、どちらも「事実」を言っていることは間違いないのだから、黒と白の2色がなくてもどちらか1色でいいのではないかと投げかけてみました。すると、みんなそれは違うと言います。
「白はね、本当のこと。でも黒はそうじゃないことなんだよ」
「えっ?それどういうこと?」とさらに突っ込むと……
「白はね、実際にそうなっちゃってるの。当たり前ってこと。でもね、黒はもしかしたらっていう悪い予想なんだよ」
いやあ、まいった。面白いこというね。こうして語り合いながら彼らとしての「意味」を構築してゆく。教わったことを覚えるのとは正反対の知識をつくりあげるプロセスです。
白はあたりまえの事実をいう「あたりまえメガネ」。これに対して黒は、「でもさあ……もしかしたらこうかもよ」っていう言い方をして使うことが多いから「でもさあメガネ」と名づければいいというアイデアまで出てきました。こうして自分たちのものの見方に大きく影響を与える思考スタイルについての理解が深まります。いよいよ次の週は、自分がどんなメガネでものを見てしまいがちか、さらに、意識的にメガネの色を変えてものを見ることができるかに挑戦してゆきます。
RI
※TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。