東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2009年11月 アーカイブ

2009年11月06日

遺伝子はどうやってコピーされる?

DVD「遺伝子」を視聴した後、塩基の配列を真似た「暗号」を解読する
ゲームをやって、すっかりDNAに魅せられた子どもたち。次なる探究は
DNAを実際に自分たちの「手」で取り出して、「目」で見てみることです。

「そんなことできるの?」

それが意外にも、家庭にある器具と洗剤、アルコールを用意すれば
簡単にDNAを取り出せるのです。素材としてニワトリのレバーを使い
ました(肝臓は細胞の数が多く、DNAを多く取り出せるそうです)。

遺伝子はどうやってコピーされる?_01  遺伝子はどうやってコピーされる?_02

「このどろどろしたやつがDNA?」

ちりも積もれば山となる……髪の毛の4万分の1の細さのDNAでも
多くの細胞から取り出せばはっきりと目に見える塊となるのです。
このドロドロの綿のようなものは、たった4つの塩基がひたすら並ん
だものだ……そこに「遺伝情報」があるなんて……
子どもたちはとても不思議な感じになったようです。

遺伝子はどうやってコピーされる?_03

「DNAにある遺伝情報をどうやってコピーするのか、その仕組みを
知りたい……」

子どもたちは、DNAを目の当たりにして、先週からの「追究課題」に対する
「関心」が一層強まりました。まず、DNAの塩基の並びがすべて遺伝子
なのか?という点について調べてみると、たった2%だけが遺伝情報、
つまり「タンパク質の作り方」を表していて、残りの98%は、まだどんな
働きをするのか解明されていないことがわかりました。

「遺伝子」=「DNA」ではなく、「DNA」の中のほんの一部の、タンパク質の
作り方を示す塩基配列の部分が「遺伝子」なのだ

ということがはっきりしました。

「ということは、遺伝子の部分を見つけるのが大変だね!」

ここで子どもたちは先週、暗号解読をしたときに、どこが「意味ある情報」
の部分か探すのに苦労したことを思い出しました。すべての細胞に同じ
DNAがありながら、肝臓では肝臓の細胞となるタンパク質、心臓では心臓
皮膚では皮膚の細胞となるタンパク質が作られています。

「肝臓が心臓になったら大変だ……」

ふざけて言いながらも、もし、コピーする部分を間違えれば、そうなること
があり得ることを理解し、子どもたちは妙な心持がしたようです。どの部分
を写しとればよいか発見し、命令するタンパク質の働きがあり、見つけた
部分を写し取るために働く「酵素」というタンパク質があること。写しとられた
コピーをRNAと呼び、それが核から外に飛び出し、細胞内にあるリボゾーム
という器官にたどりつき、翻訳される。その結果、タンパク質の素材となる
アミノ酸が1つずつ集められ、つなげられ、ついに必要なタンパク質が完成
する……そんな流れを図と言葉でまとめてゆきました。

細胞という「工場」で私たちの生命を維持するためにやむことなくDNAの
一部がコピーされ、タンパク質が作られていく「流れ」が「イメージ」として
強烈に心に焼きついたところで今週の学びは終わりました。


RI

職人への道~ただいま修行中!~

今週は、いい仕事をするために、下積みとして修行です。

まずは、実際に木を切ったり、穴をあけたりと木を実際に加工してみて、
木とはどういう性質があるのかということを考えました。

とその前に・・・
先週に訪れた職人の師匠の佐藤健一さんのHPのコメントで
「型から入ることとよい」というアドバイスをいただきました。
型が決まっていることで、気持ちを切り替えるきっかけにするというものです。 
そこで、作業をする前に職人の心得を皆で唱和することにしました。

職人への道~ただいま修行中!~_01職人への道~ただいま修行中!~_02

全員で、
「ひと~つ、手を抜かない!・・・」
と大きな声を合わせて、丁寧に読み上げていきます。

そして、作業開始です。
木に触れてみて性質を調べてみます。
「木のふしの部分は、切りやすいな」
「釘を打っていたらふしが取れた」
「木を縦には切りづらいな」

職人への道~ただいま修行中!~_03職人への道~ただいま修行中!~_04

職人への道~ただいま修行中!~_05
ある子どもは木に体重をかけて
耐久性を調べてみました。
木は、しなりはしたものの、丈夫で折れません。


実際の体験から気づいたことをメモして、
次の日には木の性質についてまとめました。

それぞれ感じたことをまとめると見えてきたのは次のとおり。
①木のふしは、釘を打つには不適切。
②木目に沿っては切りづらい。
③木目に沿って長くすると木は丈夫になる。

のこぎりには縦引きと横引きがある理由があるのです。そのことを文献を読んで確かめました。


木のことに詳しくなったので、修行の次のステップは道具の使い方をマスターすること。
本日は、まっすぐ切ることを目標にひたすら木を切りました。

職人への道~ただいま修行中!~_06職人への道~ただいま修行中!~_07

まずは、職人になるための早い道のりは、「技を盗む」こと。
使い方のレクチャーを見て、コツを掴みます。
木に垂直なまっすぐな線を引いて、その線に沿って切っていきます。

始めはぎこちなく、ななめになってしまったり、曲がってしまったりとしていましたが、
すこしずつコツをつかんでいきました。しかし、まだまだ修行が必要です。
やはり、職人への道のりは遠いです。

来週もひたすらに修行に励んでいきます。


TK

お仕事インタビュー第1弾!!

ハローワーク 2週目からは、何をするかというと
実際にお話を伺うために、何人かの保護者の方に
協力していただく事にしました。

今週はエステティシャンをしているお母さんと
昭和シェルに勤めているお父さんにインタビューさせていただきました。

これまでのインタビューでは事前に質問を用意し、
一問一答式で答えていただくものでした。
しかし、今回のインタビューは少しレベルアップを図ります!
『質問の答えを聞いてそれに対してまた質問をする。』
という事です。
果たしてうまくいくのでしょうか?


”お仕事インタビュー第1弾!!_01"お仕事インタビュー第1弾!!_02

「なんでこの仕事をしようと思ったのですか?」
子ども達からの最初の質問です。

「キレイになりたくてこのお仕事したかったの。
あと女性だから結婚して子どもができても続けられるように
手に職をつける仕事をしなきゃ!と思ったの。」

「小さい頃は学校の先生になりたかったんだけど
色々と研究する事がしたくてこの会社に入ったんだ」

子ども達はメモをとっていきます。
しかし、インタビューを進めていくと
残業で家に帰るのが遅かったり、手荒れをしないようにケアしたり
穴を空けないように健康管理をしたり、時間帯が普通ではないので
友達との時間が少なくなったり・・・と非常に大変そうだと感じてきました。

そこで子ども達からは
「なんでそんなに大変なのにお仕事続けているのですか?」
という質問がでました。
それに対してお父さんお母さんからは・・
お仕事インタビュー第1弾!!_03お仕事インタビュー第1弾!!_04


「私じゃないとダメと言ってくれる人がいて、その人が笑顔になると
その周りの環境もよくなるからそのお手伝いをしてるっていう気持ちかな」

「大変だけど慣れてくると任される仕事も増えて自分から何かができるようになる。
責任は大きいけどすごくやりがいを感じるんだよ」

という答えが返ってきました。
その他にも、「なんのために仕事をしているのか?」「大変な事や楽しい事」
などたくさんインタビューをさせてもらってスクールに戻ってきました。


お仕事インタビュー第1弾!!_05
スクールに戻ってからはインタビューのふりかえりです。
「○○君のママってスゴイね!」
「○○君のパパってあんな大きい会社で働いてるんだ!」と
よくお会いする友達のお父さん・お母さんなのに
何かいつもと違ってかっこよく感じたようでした。

インタビューを終え2人には
「今自分が考える『働く』とはどういう事か?」
考えてもらう事にしました。

来週以降もインタビューがあります。
2人にとって「働く」という事がどう変わっていくのかが楽しみです。

最後に協力していただいた保護者の皆様ありがとうございました。
お仕事インタビュー第1弾!!_06お仕事インタビュー第1弾!!_07


LM

マークの良さは?

マークの良さは?_01今週は、サイン・マークのプロの作り手、デザイナー永易直樹さんのお話から始まりました。
「このマークは何?」
「走ってる!」
「これにもう一人足すと?」
「競争!」
「棒を一本足すだけで・・・」
「走っちゃだめ!」

簡単でシンプル、言葉がなくても伝えることができる。
具体的な図案を見せながら分かりやすく説明してくれました。
子ども達も楽しみながらマークの良さと、大切なことを感じられたようです。
会社のロゴの説明では、実際に永易さんが企業に対して案として出した
図案を見せていただきました。何十もの案の中からたった一つが選ばれるのです。
「どれが好き?どうして?」
子ども達はそれぞれ自分だったらどれを選ぶか考えます。
ある学校のマークとして、地球の絵が入った図案を選んだ子は、
「人にとって地球は大切だから。」とちゃんと理由を言うことができました。
しかし、実際に採用され、現在使われているマークは別の物。
「このマークは未来へと広がっていくイメージだよ。
伝えたいイメージをちゃんと伝えられるかどうかがロゴでは大切なんだよ。」

後日のふりかえり。
サイン・マークについての永易さんのお話を思い出して表にまとめました。
「赤色が一番目立つ」
「会社名が長かったらロゴがあったほうが覚えてもらいやすい。」
「ロゴがあればみんなが見てくれる。」
等など子ども達はお話をしっかり覚えていて、
そこに自分の考えを足すことができています。

マークの良さは?_02

サイン・マークは大きく二つの種類に分けることができる。
と、永易さんに教えてもらいました。
標識、案内などの「ピクトグラム」
会社のマークなどの「ロゴ」
そこで、今まで集めてきたサイン・マークを
二つのグループに分けてみました。
そしてさらに「ピクトグラム」の方を仲間分けしました。
話し合いながらの作業は低学年にとっては
そう簡単なことではありません。
でも、一つ一つ経験です。


さらに子ども達が分類した「禁止」のピクトグラムの中から二つを選び、
意味を正確に読み取るために話し合いました。
一つは「禁煙」もう一つは「ポイ捨て禁止」
そして、既に使われている図案を参考にオリジナルのピクトグラムを作ります。
大切なことは「簡単」「分かりやすい」「正確に意味が伝わる」
さあ、どんなできでしょうか?来週はその発表から始まります。

マークの良さは?_03 マークの良さは?_04 マークの良さは?_05


YT

2009年11月13日

私たちは先祖からどう受け継ぐ?

RNAに転写された遺伝情報が解読されてタンパク質ができる仕組みを理解した子どもたち。今週は、DNAの全体がどう受け継がれてゆく
のか……つまり先祖の遺伝子を私たちはどのように受け継いでいる
のか追究を始めました。

「染色体ってDNAの糸の塊だよね」

「驚異の小宇宙『人体』~遺伝子~」のDVDの中で、染色体の写真は
何度もでてきたので、どんな形をしているか子どもたちはよく覚えていました。科学教材として市販されている「一家に一枚ヒトゲノムマップ」で染色体が何本あるか確認すると23組46本だとわかりました。蛇足ですが、このヒトゲノムマップは、1枚100円という安さで、なかなかの優れもの。1番染色体から23番染色体まで 1本ずつ染色体が図示されていて、どの染色体のどの部分にどんな遺伝子があるかわかります。

「9番染色体に血液型を決める遺伝子があるんだって」
「染色体の長さで番号を決めているんだね」

子どもたちは夢中になってヒトゲノムマップを読み取っていました。

私たちは先祖からどう受け継ぐ?_01

私たちは親から「染色体」を受け継いで「遺伝」していることはわかりましたが、次に知りたいのはそのメカニズムです。最初の疑問は、
なぜ23種類の染色体がペアで46本あるのかです。染色体について
説明している資料を読むと、ヒトは父親、母親それぞれから23種類ずつ染色体をもらうので46本になるのだということがわかりました。
しかし、自分が子孫に受け継ぐとき、本来、持っている46本の染色体がどうして23本になってしまうのでしょうか。次なる疑問は、染色体を「半減」するのはどうしてか……このことを知るために、人間の生命の源となる受精卵がどう形成されるかについて調べました。

私たちは先祖からどう受け継ぐ?_02

受精卵は、女性の「卵子」に男性の「精子」が結合して生じます。そのとき「卵子」も「精子」も23本しか染色体を持っていません。卵子、精子を「生殖細胞」と呼びますが、「生殖細胞」は染色体の数が23本なのです。

「2本が1本になるっていうことはまざっちゃうのかな?」

「生殖細胞」ができるときには、父親由来の染色体と母親由来の染色体
とがつぎはぎされて1本の染色体になってしまう……

「じゃあお父さんの染色体はおじいちゃんとおばあちゃんとのつぎはぎ?」

先祖の染色体がずっとつぎはぎされ続けて自分に至っているのですから
父親と母親とが合わさったものとシンプルに片づけるわけにはいかない
ことを実感しました。

「3億個もある精子の1つ1つのつぎはぎが全部違うのか……」
「卵子にたどりつけるのは3億分の1か……」
「違う精子だったら今の自分じゃないんだよね……」

なんでわざわざシャッフルして1つ1つ異なるものを作るのか?
同じものをそのまま伝えた方が楽なのに、どうして面倒で複雑な受け渡し方をするのか……

次週からは、遺伝のメカニズムについて知ったことに基づいて、「突然変異」を起こし、「進化」という「可能性」に賭けた生物の歩みについて考えてゆきます。


RI

修行の日々は続く・・・

先週に引き続き、修行の日々です。

『職人の心得』を作業前に唱和します。気持ちのよい大きな声で、毎回忘れないように確認していきました。その声はかなりの気合を感じられる威勢のよいこえです。

道具の使い方をマスターすることは職人にとっては欠かせませんが、マスターする上で道具に対しての知識というものも大切になっていきます。
その上で正しく使うことが職人への階段を登る一歩です。
両刃ののこぎりを見せて何が違うか比較したところ、
修行の日々は続く・・・_01
「あっ、刃の大きさが違う」
「何で違うんだろう?」

のこぎりといっても、木目に沿って木を切っていく切る縦引き用、木目に対して直角の方向に切っていくと横引き用の刃があります。
そのことを知り、何が違うのか体感していました。切りやすいようになっており、正しく使うことに大切さを実感できました。

玄能(かなづち)に関しても、頭の部分を見ると、少し丸くなっている部分とまったいらになっている部分があります。
「なぜだろう?」という疑問が出てきて、調べました。

何のために使うのか知った後は、
のこぎりもまっすぐにきれいに切れるように、釘もまっすぐ打てるようにひたすらに練習しました。
修行の日々は続く・・・_02修行の日々は続く・・・_03

修行の日々は続く・・・_04

次の日、『仕上げをするときに木を美しくきれいにするにはどうしたらよいか?』と問いかけると、
「ヤスリを使う!」と今まで木工をやったことのある経験者から出てきました。

仕上げをするために大切なヤスリ。どれだけきれいになるかを徹底的に追究しました。

修行の日々は続く・・・_05
「ほら、つるつるなったよ」
「やればやるほどきれいになるな」

のこぎりで少し曲がってしまったものについて誤差を修正するために、平らにするためにも使います。
そこのことを想定して使ってみると大変時間がかかることが分かりました。

職人には、丁寧で確実な技術が必要です。


今週の最後には、板をまっすぐ切れるかコンテストを行いました。
一人一人、真剣に木を切っていきます。
そこでは、着実に技術が向上していることが確認できました。

さぁ、いよいよ来週から本番です。

ここ東京コミュニティスクールから、椅子の注文を受けて、その製作に取りかかります。
しっかりとした技術を発揮し、お客様の声に応えられるようなしっかりとした商品を作れるか?
職人達の挑戦が始まります。


TK

働くって・・・

今週はインタビューしてきたことをまとめていきます。


働くって・・・_01「なんでこの仕事をしようと思ったんだっけ?」
「研究の仕事がしたかったって言ってたよ」
「楽しそうだし、給料もいいっても言ってた」

「大変なのに仕事を続けてる訳は?」
「太陽電池だから売れば売るほど環境にいい事してるって感じるんだって」
「責任は重いけどやりがいがあるって」

働くって・・・_02働くって・・・_03
黒板でインタビューしてきた事の中から
ポイントとなるところをみんなでまとめなおしました。


そのあとはいよいよ写真もいれてポートフォリオにまとめていきます。
働くって・・・_04子ども達は
「でもさぁ○○君のママってすごいよね。
人の事ニコニコさせるためのお仕事ってあるんだね」
「でも大人って失敗できないから大変そう・・」
などとお互いに感じた事を話しながら作業を進めていました。


そしてこれがまとめたものです。
働くって・・・_05働くって・・・_06
そのあと、インタビューをして感じた「働く」という事はどういうことか
という事もまとめてもらいました。
女の子はエステティシャンのお母さんのインタビューから、
「人のために何かをして人を幸せにする事」と書いてくれました。
男の子は昭和シェルソーラーにお勤めのお父さんのインタビューから
「働くとは地球を大切にすることだ。」と書いてくれました。


来週も2人の保護者の方にインタビューさせていただく予定です。
今度のインタビューから子ども達は「働く」という事をどう感じてくれるのか
楽しみです。



LM

「キツネ・マーク会社」設立

「キツネ・マーク会社」設立_01

今週は「キツネ・マーク会社」を立ち上げ、
まずは3種類のピクトグラムを作り、会社内でのプレゼンを経験しました。
毎回、発表者はアピールポイントをみんなに説明し、
他の人からは質問、そして良いところと改善点を伝えるという、
TCSのいつものやり方で進めていきます。
毎回毎回、「ピクトグラムを作る時大切なこと」を
しつこく確認しながら進めていきます。
子ども達がお互いの作品に対して伝える内容も徐々に濃くなってきました。

「キツネ・マーク会社」設立_02
分かりやすさが大切だと意識しているので、
「目立つ色を使っていていいね。」
「この花は黄色じゃなくて赤にした方が目立つんじゃない?」
「水色のお弁当箱に、泣いている顔を赤色で描いたのは、きれいだしはっきりしていいね。」 
「このタバコはちょっと分かりにくいよ。」
などどいう発言がたくさん出てきます。

      
「キツネ・マーク会社」設立_03
それから、アイディアに対する賞賛の声も!
「お弁当箱が泣いているのがいいね。」
「ミニトマトがあるとお弁当って分かっていいね。」
「禁止のマークを赤じゃなくて色々な色で塗ってあるのは、
 実験心(じっけんごころ)があっていいね。」


「キツネ・マーク会社」設立_04


丁寧に描くために、コンパスに挑戦したり、
いつもだったらフリーハンドで描いてしまうような線も、
定規を使って引くようになってきました。
低学年にとって、これらの道具はすぐに使いこなせる物では
ありませんが、「分かりやすいマークを作る」という目的のために
集中して使っていくうちにどんどん上手になります。

マークを作るときも、他の人の作品への助言も、
外でマークを探す時の視点も、色々深まってきました。
今後の「キツネ・マーク会社」の成長が楽しみです。



YT

2009年11月20日

突然変異と進化

2つの「生殖細胞」が組み合わされ「受精卵」となって「親」の「コピー」
ではなく、似ているけれど違いもある個体が生まれる……この仕組み
が「変化」とその結果生じる「多様性」の源です。

「どうしたら突然変異が起こるんだろう?」

決してまったく同じものを伝えない遺伝の仕組みを理解すると、ますます
「多様な個体」が生まれるのはなぜか知りたい気持ちが高まります。

突然変異と進化_01  突然変異と進化_02

これまで学んだことをふりかえりながら、どうなると突然変異が起こるか
子どもたちと一緒に考えてみました。するとすぐに

「遺伝子が変になること!」

という意見が飛び出しました。すかさずそれってどういうことと切り返すと

「AGCTが変わっちゃたらだめだよね」

塩基の暗号ゲームをやったことを思い出しながら、なんらかの原因で
塩基の種類が1文字でも変化すれば、突然変異が起こるかも!と思い
つく子が現れます。

「DNAの長さが変わっちゃうこともあり得るよ」

余計な塩基がくっついてしまったり、逆にあるべき塩基が欠けてしまう
こともあるというわけです。

突然変異と進化_03

すると、ある子が

「昨日、ダウン症の人のことについてテレビでやってた」

と言い出しました。その番組の中で「染色体が47本」というふうに言って
いて、染色体の数は46本のはずなのに変だなあと思ったというのです。
早速、ダウン症について調べてみると、染色体がうまく分配されないで
できた「生殖細胞」が「受精卵」となった場合に生じることがわかり、染色体
の本数も「変異」を引き起こすことを知りました。

「でもね、その人すごいんだよ」

テレビで取り上げられたダウン症の人は
並外れた書道の才能を持っているというのです。

「じゃあ、そんな才能を持たないダウン症の人はただの病気の人なの?」

あえて子どもたちを悩ませる問いかけをしました。「遺伝」には「変異」の
可能性が含まれているからこそ「多様な個体」が生まれます。それが
「進化」につながると考えられています。しかし、「進化」を「強者の生存」
という論理で単純にとらえてしまうと、病気の人はただ淘汰されてゆく存在
となってしまいます。どんな人もみなかけがえがないという言葉は気休め
に過ぎないのか……次週は「遺伝」と「進化」とのつながりについてさらに
追究します。


RI

七選組工房 始動!!

さぁ、今週はいよいよ椅子作り本番です。

七選組工房 始動!!_01
東京コミュニティスクールから正式な注文書がきました。
椅子作りを6個の注文。
ぐらぐらしない使いやすい丈夫なものという条件です。
その内容をひとつひとつ丁寧に確認していきます。
“七選組工房”いよいよ製作開始です。

修行の成果を出し、お客様の納得のいくものを作ることができるでしょうか?

職人の心得にもあるように、段取りが大切。

まずは、丁寧に図面から実際に切る線をひいていきます。
さしがねという道具の使い方は何回も練習したのでお手のものです。

図面と完成見本を比較しながら、確認していきます。

「この部分がここで・・・」
「この部分は何本あればよいんだ」

何回も引いた線が垂直かどうか、長さがあっているかどうかを何度も確認します。
なかなか単調で根気のいる作業でしたが、みんな集中して行っていました。

次には、のこぎりを使って木を切ります。
一人では力が足りなく、木が動いてしまったりするので協力が必要でした。
2人一組になって丁寧に木を切っていきます。

七選組工房 始動!!_02 七選組工房 始動!!_03

七選組工房 始動!!_04

「こうして切るとまっすぐに切れるよ」
と工夫する子が現れて、みんなにも教えていました。
両足でしっかり押さえて、のこぎりを引くときには常にずれることなく正面になるので切りやすく理にかなっています。

七選組工房 始動!!_05 七選組工房 始動!!_06


ひたすらに丁寧に切っていくその姿は、まさに職人といった感じでした。

中には、丁寧にやるもののなかなかまっすぐきれいに切ることができずに苦しんでいる子もいました。

七選組工房 始動!!_07
しかし、きれいにまっすぐと切れたときには感動の声。
製作していく過程で思いもこもっていきます。

その後、部品の長さが揃うようにしっかりとそろえ、ヤスリをかけてこれを微調整していきました。

地味な作業が続きますが、これが仕事なのです。

そんなことを感じた工房職人達でした。


TK

スゴイ!スゴイ!スゴイ!

スゴイ!スゴイ!スゴイ!_01「この駅前公園も私が設計したんだよ」
「えぇ!?」そんな話をしながらインタビューを行う事務所に到着しました。
今日はランドスケープデザイン研究を行っているところへインタビューを行いました。

スゴイ!スゴイ!スゴイ!_02まずはランドスケープデザインなんて聞いた事ないので
この質問からスタートです。
「どんな事をするんですか?」
「公園・高速・博覧会の会場・ニュータウンとか人間が住む環境を考えて
デザインする仕事だよ。新宿中央公園とか昭和記念公園・調布のICとかも
私が設計したんだよ」

これを聞いた子ども達は
自分達が遊んだり、利用した事ある場所を友達の
おじいちゃんが設計していたなんて信じられないようで
顔を見合わせて「え~!?」と驚いていました。

スゴイ!スゴイ!スゴイ!_03そのあとも設計図などをみせていただき、またビックリ!
「遊具とか噴水とかも設計してるんですか!?」
「そうだよ。だから仕事の範囲がすごく広いから大変なんだよ」
「そんな大変なお仕事をなんで続けてられるんですか?」

質問の答えからの質問も上手にできるようになってきました。

「好きだからだよ。作業するのが楽しいんだ。」
この言葉に心を打たれ、みんなで深くうなずいていました。

スゴイ!スゴイ!スゴイ!_04
その後、設計する部屋も見せてもらい、庭園を造る様子をDVDで
みせてもらい、また感動!!
「庭が出来る様子なんて初めてみた!」
「そんな風になってたんだぁ!」
初めての事ばかりでチョット興奮気味のインタビューとなりました。


スゴイ!スゴイ!スゴイ!_05
スクールに戻ってインタビューのまとめです。
「なんか好きって感じが伝わってきたよねぇ」
「子どものように木を大切にしてほしいって言ってたね」
「子どもが学べるようなチョット危険な遊具ってゆうのがいいよね」
なんて言いながらまとめていきました。


スゴイ!スゴイ!スゴイ!_06
最後に・・
インタビューをして今回感じた「働くという事」は
「環境のためにいいことをして人の役にたてるように頑張ること」です。

同じ働くでも毎回違うんだね。働くって本当に何なんだろう?
子ども達の中でその気持ちが強くなってきたようです。


LM

更に良い物を目指すぞ!

今週はお休みが多かったので、ちょっと寂しかったですが、
マーク作りは着々と進んでいます。
一つのお題に対して一つのマークを作ったから終わりではなく、
それはあくまでも一つの案として、更に良い物を目指して作る
という経験ができてきています。
2年生の男の子は、お題の「姿勢を良くしよう」のマークを
最初は自分が好きな色やデザインで作りました。
みんなにこのマークの意味を聞いてみても、ちょっと分かりにくいという意見ばかり。

更に良い物を目指すぞ!_01でも、気持ちを切り替えて、
お休みしていた1年生2人のために
もう一度作ろうと考えました。
「~しちゃだめ!」という禁止タイプにするか?
「~しよう!」という呼びかけタイプにするか?
彼は、呼びかけタイプにすると決めました。

      
スタッフと相談しながら考えたデザインを慎重に描き、
色は目立つからと、水色1色で表しました。
その結果、次の日お休み明けでスクールに来た1年生二人からも、
「姿勢を良くしよう」のマークだと分かってもらえ、評価してもらうことができました。
その体験を経て、最初に作ったマークにこだわっていた心もどこかに飛んで行ったようです。
更に良い物を目指すぞ!_02


久々の3人そろってのテーマ学習の時間はやっぱり意見も活発に出て、
有意義な時間となりました。
「姿勢を良くしようマーク」のプレゼンでの様子・・・
Aさん「何で(マークが)二つあるんですか?」
発表者「こっちの方は塗り方を失敗したから、もう1枚描いた。」
Aさん「(良いところは)1回失敗して、又描いたこと。
      (改善点は)白い部分がないように塗った方がいい。」
Bくん「(良いところは)横顔の描き方がいい。
      (改善点は)鉛筆で描く時、もっとゆっくり集中して描いた方がいい。」

これは一例ですが、お互いの作品に対する質問や、
良いところ、改善点の指摘が更に深まってきています。
来週からは、ロゴ作りにも挑戦です!
更に良い物を目指すぞ!_03

YT

2009年11月27日

「適者」を生む「突然変異」

「進化とはどういうこと?」と子どもたちに尋ねると

「環境に合わせて変化すること」

という答えがすぐに返ってきました。では、環境に合う変化はどのように
生じるのか……これまで学んできたことをふりかえりながら考えてみました。

ここ2週間、じっくり追究してきたのは、わざわざ「多様な個体」が生じる
ように遺伝は仕組まれているということでした。ということは……「多様な
個体」が生じることと「環境」との間に「進化」を考える上でのヒントがある
のでは?そこで、子どもたちにアフリカ出身の黒人に多く見られる「鎌状
赤血球貧血」という遺伝病の事例を紹介しました。この病気は、赤血球が
ドーナツ状ではなく、細長い鎌のような形になってしまい、酸素を十分に
運搬することができず、成人になる前に死亡してしまうこともある重い貧血
です。これはたまたまDNAのコピーミスで生じた「突然変異」なのですが
この病気がなぜアフリカ人に生じ、さらに受け継がれているかを探ってゆくと
「環境」への適応という側面が見えてきます。

「適者」を生む「突然変異」_01  「適者」を生む「突然変異」_02

「病気のおかげで生きてゆけるんだね……」

アフリカの風土病であるマラリアは、赤血球を食い荒らすマラリヤ原虫に
よって生じます。しかし、鎌状になった赤血球ではマラリア原虫は増殖
できません。まさに「病気」が「環境への適応」、つまり生き残る道だった
のです。

「どうして鎌状の赤血球が生まれたんだろう?」

と子どもたちに問いかけると

「赤血球の形を変えれば生き残れると思ったから」

という素朴な答えが返ってきます。

「だってキリンの首が長くなったのは、長くなった方が都合がよかったから
でしょう」

子どもたちの考えは、「目的」が生じて「突然変化」が起き、徐々に
「進化」していったという発想です。

「適者」を生む「突然変異」_03  「適者」を生む「突然変異」_04

そこで

「そう、そこが問題なんだよ!じゃあさ長くなろうと思えば長くなるの?」

と切り返すと

「遺伝を自分で変えることは難しいよ」
「自分の顔は変えられない」

すぐに「意志」で「遺伝情報」を変化させるのは無理ではないかと思い当
たります。すると

「突然変異は環境の影響受けるんでしょ。紫外線とか放射能とか浴びたら
DNAが壊れるって調べたじゃん」

環境に合わせるように突然変異は起こるのだ!という反論が現れ、再び
「目的をもって進化は生じている」というアイデアに子どもたちはなびきます。

「なるほど、面白くなってきたね。でもさ、先週までみんなでやってきたこと
を思い起こしてごらんよ」

これまでさんざん考えてきたことは、「突然変異」は「偶然」起こり、「多様な
バラエティ」を作り出す仕組みが遺伝に含まれているということでした。
つまり、結果的に「環境」に合わせて「進化」したように見えても、「目的」に
合わせて「進化」したわけではない!ということなのです。この仕組みの
最大のメリットは、突然やってくる予想不可能な環境変化に対応できる
「個体」が、数多くある「バラエティ」の中に存在するということです。

今の世では単なる「病気」でも、いざという環境変化の際には「救世主」にな
るかもしれない。鎌状赤血球貧血はまさにその一例でしょう。「多様性」は
「可能性」の源であり、どんな人の「遺伝子」もかけがえのないものだという
ことをはたして実感できるか……いよいよ最終週に突入です。


RI

職人って大変だ!!

さぁ、今週はいよいよ組み立てだといきたいところですが・・・

職人って大変だ!!_01 職人って大変だ!!_02

「まっすぐ切れない」
「ナナメになってしまった」

のこぎりを丁寧に真剣に取り組んだにも関わらず、思うようにきれいにまっすぐに切ることができませんでした。

しかし、これが現実。

何気なくやっているように見えるのこぎりでも、自分達で体験してみると職人の技のすごさを感じます。
このままでは、椅子ががたがたになってしまい、使いごごちが悪く商品になりません。

というわけで、ヤスリなどを使い、長さをそろえていく作業に追われました。

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「なかなかそろわない」
「こんなに大変なんだ」

「これぐらいでよいだろう」と思っていても、後のことを考えると手は抜けません。
線を引くときの正確さまっすぐにのこぎりで切るといったそれまでの過程のひとつひとつが大切である
ということを痛感していていた七選工房の職人たち。

職人の師匠から学んだ『段取り八割』の深い意味を実感していきました。

今週はずっと長さをそろえることに苦しみ、そして格闘をしていました。
苦労しただけに、きれいにまっすぐそろった時には喜びも大きいものです。

職人って大変だ!!_08

職人さんのすごさと大変さを肌で実感した七選工房でした。

来週はいよいよ組み立てを行っていきます。


TK

謎の人へのインタビュー

今週は以前から何をしているか疑問だった5年生の男の子の
お父さんのところへインタビューに伺いました。
子ども達は「どんな仕事かな?」「早く知りたい!」と
楽しみにしながら到着しました。


謎の人へのインタビュー_01
「どんなお仕事してるんですか?」と質問してみると
「冊子・雑誌を作っている会社でスクールのパンフレットも作ったよ」
と聞いて、子ども達は顔を見合わせて「そーなんだぁー!」
謎が解けて嬉しそうです。


謎の人へのインタビュー_02謎の人へのインタビュー_03

子ども達は今回、ある共通点をみつけました。
それは「仕事を続けている訳」の答えを聞いたときでした。
「新しい事を考えるのは大変なんだけど楽しい」
この答えに子ども達は「みんな大変だけど楽しいって言うね」と
4人の共通点も感じていました。

謎の人へのインタビュー_04謎の人へのインタビュー_05

スクールではまとめ作業に追われています。
子ども達は新聞記者になったつもりのようで、
「締め切りに間に合わなくなるなぁ!!」
「新聞記者って大変だなぁ」などと言いながらまとめていきます。


謎の人へのインタビュー_06
そんな作業の途中で、自分のお父さん・お母さんの話になりました。
女の子は自分のお母さんにもなんでそのお仕事をしていたのか質問をしたら、
「人の役に立つお仕事がしたかったし、子どもの頃から植物が好きだから」
と、答えをもらい「それで、家に植物が沢山あるんだぁ!って思ったの」と
嬉しそうに話してくれました。
すると男の子は「お母さんは主婦は大変だ!って言ってたよ」と言うと
「じゃぁなんでやってるのかな?」と質問がとび、「僕が辞めないでって言ってるの」
すると、「じゃぁ○○君が頑張れる源なんだね」


インタビューをするうちに自分のお母さんやお父さんの事も
気になってきたようです。
女の子はあまりにも忙しそうなお父さんに
「なんでそんなに忙しいのに仕事してるの?」と聞いてみる!
と張り切っていました。


来週からはいよいよまとめの段階に入っていきます。



LM

新プロジェクト発動!

新プロジェクト発動!_01
今週は、前回来ていただいたマーク作りのプロ、
永易直樹さんに又来ていただきました。

「このMは上が丸くなってるのはどうして?」
「山みたいだから」
「柔らかい感じが出ていいね!」
子どもが作った「自分のマーク」を見ながらの
永易さんとの会話です。


      
このマークを作るときにMの形についてスタッフからの
アドバイスはありましたが、「山みたいだから」選んでいたとはこの質問で初めて知りました。

「黄色は活発な感じが出るし、青色と黄色はお互いにはっきりするから目立っていいね。」
色も、もちろんこの子が選んだのですが、意図せず(?)
この子らしさが表現されたマークとなりました。

新プロジェクト発動!_02

車が好きで、ハンドルの真ん中に自分の頭文字をデザインし、
印象的なマークを作った子もいます。
「車が好きってすぐ分かるね。このEnjoyっていう文字がいいよね!」

みんなが作ったマークを見ながら色々話し合った後は、
永易さんを交え、いただいたアドバイスを活かしながら、
みんなでマークを作ってみることにしました。

新プロジェクト発動!_03  新プロジェクト発動!_04

永易さんには子ども達の表現したい気持ちを受け止めつつ、
アドバイスをいただき、子ども達それぞれが、
よりみんなに伝わりやすいマークを描く経験ができました。

そして・・・来週からはTCSの新しいマークを作ろうということで、
「キツネ・マーク会社」がチームでこのプロジェクトに取り組むこととなりました。
今まで学んだことを全てここで生かしていこう!


YT




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