東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2016年01月 アーカイブ

2016年01月15日

起・承・転・結を考える

タイトル:表裏一体
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「禍福は糾える縄の如し」

[1・2年生]

あっという間にこのテーマももう4週目。プレゼンまで3週間となりました。
今週は冬休みのHWでそれぞれ仕上げてきた”表裏一体紙芝居”をシェアしていきました。

もちろん学んできたことを元に物語を考えてそれを紙芝居にするのは1・2年生にとって初めてのこと。
どのようなプロトタイプができあがったのでしょうか?

朝から何人もの子どもたちが紙芝居を早く見せたくて仕方がない様子で私のところへやってきました。
テーマのクラスが始まると紙芝居を取り出して嬉しそうな笑顔の子どもたち。

「ねえ、はやくみんなの紙芝居シェアしようよ!」とワクワクしている様子。

この紙芝居の制約としては①起承転結で物語を考える②自然のできごとについての禍福(こわさと恵み)が糾える縄のごとく表れていること③4枚の紙芝居を作る、ということです。

難しい課題でもまずは思考錯誤してプロトタイプをアウトプットしてみることから探究が始まります。
全員がこのHWをやってきたことがまずはナイスチャレンジ!

台風・竜巻・ゆき・地震・津波・火山・太陽についてそれぞれの紙芝居をシェアしていきました。

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一人ずつの物語を聞いた後でgood&better(良かったところと改善点)をフィードバックし合っていきます。

「ある日男の子がきれいな波を眺めていたら、500mくらいのビルのような津波がせまってきたっていう始まりはすごくいい!」
「でもその後が”みなさんは津波が起きたらどうしたらいいと思いますか?高いところに逃げましょう。”って説明みたいになってたから、紙芝居って言うより紙説明になってたよ(笑)。」
「メカニズムとかを説明したいなら登場人物たちに”津波ってどうやって起きるんだろう?”とか”津波が来たらどうしたらいいの?”とかセリフを話させるように作ったらいいんじゃない?」

2年生たちからは1年生にとって参考になるいいアイディアが出てきます。
このように”ここをこうやったらもっとよくなるよ!”というポジティブフィードバックが自然に出てくるようになってきましたね。

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起承転結の流れを意識して《①雪がつもった②雪だるま作るぞ!③スキー楽しいな!④なだれから逃げろー!》という”雪”についての紙芝居や《①海から湯気が立ってるな?②雲がたくさん集まってきたぞ!③晴れた!と思ったら”台風の目”④台風のおかげで飲み水や生活で使う水がたまった》というストーリーを構成してくる子もいれば、学んできたことを分かり易く解説するような紙芝居を作ってきた子、またとても丁寧な絵で仕上げてきたもののメカニズムだけで3枚使ってしまっていた作品もありました。

誰もがまだまだだとは思っている様子でしたが、その段階でアウトプットしてみることで具体的にどこをどう磨いていくかというアイディアが浮かんだり周囲のフィードバックをもらうことができ、”次はこうしたい!”というポイントがそれぞれに見えてきたりするものです。

さあプレゼンまではどんどん深掘りしつつ磨きをかけていくぞ〜!

YI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
 

便利と楽しさ

タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」

[3・4年生]

電気は便利。毎日の生活をしている中では欠かせないものであります。
けれども、化石燃料を資源にしているままでは、いつか尽きてしまう。
では、限りない資源はないものか。繰り返し使える資源は?

太陽、風、水、マグマの熱などのエネルギーが使えたら、枯渇問題や汚染問題は解決するのでは?
どんなふうにエネルギーを活用して電気に変換したらいいかを2つのグループに分かれて、アイデア出しをしていきました。

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「なわとびを回すほどに電気を作る、人力エネルギー。」
「運動になるし、楽しめる。」
「CO2は少なくなりそうだけど、疲れたら続かない。」

「かっこいい人と見て「キャー」と叫ぶ音エネルギーで電気を作る。モテエネルギー!」
「無駄にならずにエネルギーになる。」
「いつかフラれるから、続かないと思う。」

「体にソーラーパネルをつけて電気を作る。」
「面白そう。」
「感電しないかなぁ。」

「車を使わないで馬に乗る。ボロはバイオマス発電にする。」
「CO2も出ないし、馬とも仲良くなれる。馬が疲れちゃうけど。」

「台風の力で風力発電できるといいのに。」
「海に設置すれば、電磁波の問題もなくなるし。」
「だけど、お金がかかるみたい。」

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それぞれのアイデアにおいて、メリットとデメリットの両面を考えた上で、何が実現しそうか絞っていきます。中でも、運動エネルギーを電気に変換できたらいいのにという考えが2グループともに出てきています。動いていることが発電につながれば一石二鳥です。

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図鑑を見ると、実際に振動発電の実験が東京駅で行われていることが書いてあります。
「でも、実験で得られた電気はわずかだったって。」
サッカーのスタジアムでお客さんがとびはねる振動で発電するシステムも載っています。
「これって、モテエネルギーとちょっと似てるかも。」
「海にこんな風力発電機を設置できるんだ。凧みたい。面白い。」
自然エネルギーの実験は様々な形で行われていることを図鑑から知ることができます。

来週は、こちらの本を監修されている飯田哲也さんが所長をされている「環境エネルギー政策研究所」に行く予定です。偶然にも、知り合いを通じて研究員の方を紹介していただき、自然エネルギーの達人とお話ができる機会を得ることができました。しかも、スクールと同じ中野区で、徒歩圏内とは何かご縁がありそうな感じもします。専門家ならではの意見を聞き出すためにも、自分たちの考えを根拠に基づいて整理していきたいところです。

馬力発電も実際に行われていました。非電化工房の藤村さんがモンゴルの遊牧民の人たちにテレビと照明を馬力発電によって得られる仕組みを取り入れています。藤村さんの非電化工房にはTCSキッズの先輩たちも行ったことのある場所です。藤村さんの取り組みが見られる動画の中で、馬力発電が出てきました。非電化を楽しみ、幸せ度を上げていく。スピードや便利さを求めては節電も辛いものになってしまう。そのようなメッセージを聞き、電気に頼る考え方をどう変えていくか、変えようとしていくかがテーマ後半の鍵となってきそうです。

読書の時間。
電気を消して、日光のあたる窓際で読んでいる子たちがいました。
「この光で十分読める。」
「電気使わないでいられるよ。」と嬉しそうです。
1フロアだけでも消しておくことで、CO2の削減になることは計算上わかっています。
まずは、今までのように平気で電気を使わないでみる。できることを探し実行し始めています。


AN

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磨くプロセス

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5年生]

「ここのところ意味がいまひとつ通らないんだよなあ」
「どれどれ、本当だねえ。きっとこういうこと言いたいんじゃないかな」
「なるほど、そうかもね」

冬休みの間にデジタル化してきた後輩たちの「作品」をお互いに見せ合って、どんなふうに編集したか自然にシェアし始めました。

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自分だったらこう書くな……でもそうしたらぼくが書いたことになっちゃう……どうしたらその子のアイデアとからしさを残して編集できるか……悩みます。この悩みが「編集」のワザを高めてゆく原動力になります。

これまで、なんとなく書きたいように書いてきた。でも、他者の作文のときにはそうはいかない。さらに、ただ「直せば」いいんじゃない。まだうまく表現できていないだけであって、後輩達の心の中にある種にアクセスして、それを表に出さないといけない。そうでないと「編集」じゃない。

そこで、編集中の文章を「作者」に見せて、インタビューして、さらに磨いてゆくことにします。

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このフェイズが、実は、このテーマ学習のクライマックスと言えます。というのは、編集する側も編集される側も、いちばん成長するフェイズだからです。

写真を見てもらえばわかるように、後輩たちは、先輩たちが自分の作品をさらに磨いてくれたことが素直にうれしくてたまりません。だって、ただ「ここまちがってるぞ!」って直しただけじゃないんですもん。えっ、こんなふうに面白くしてくれたの!って感じてしまう手の入れ方をしているんだから。ぼく or わたしこんなこと書こうとしてたんだ!スゴイ!という自己効力感を自ずと呼びおこされ、一方で、こういうふうに書けばいいんだと知った感動にしびれてるんだなあ。

この後、アドバイスされた後輩たちは、次に「書く」学びのとき「書き方」を変えてしまうんですから、その影響力というか伝染力には恐れ入ります。先生がどんなに熱心に赤ペンを入れて添削しても、その思いが受け手に伝わらなければ、徒労に終わってしまいます。しかし、そうか、こうすればいいんだ!と理解したり、なんとかこうしたいな!という願望が芽生えれば、学んで変わっていこうスイッチが一瞬のうちに入ってしまいます。

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そして、編集する側は、面白くするために、文章構成と文章表現をどう変えてゆくか強く意識するようになり、これまでは見過ごしていたり(何度指摘されても変えられなかった悪いクセ)したことに注意が向くようになっているのです。

「同じような言葉がダブっているよね。こっちはいらないな」
「ここは『が』じゃなくて『に』でしょ」
「だれがやったのかあいまいだな。ちゃんとそれを書かないと」
「いきなり事件が次の展開に移っちゃってるよ。つなぐ事件を入れないとストーリーが流れないな」

なんかいっぱしの口をきくようになっているじゃないですか。

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しかし、まだまだ「個」で編集できる力は限られています。そこでいよいよ全員で編集会議を開いて、もっともっと磨いていきます。もちろんおっちゃんもガンガン介入します。編集の「師」としての本気の姿勢を見せつけます。

「これただ打ち込んだだけでしょ。もっとこの子のよさを引き出すためにあれこれ考えた?」
「う〜ん、ここ面白くないよねえ、もっとしゃれた表現はないかな」
「この部分、あまり直し過ぎちゃうと、あたりまえになっちゃってらしさが消えるな」

どんどん「挑発」します。もちろん、こういう厳しい指摘ができるのも、彼らがそれなりの「編集」のコツを会得しつつあるからです。いけてるなあと思う自身が芽生えてきているときだからこそ、レベルアップのための指摘をぐいぐいしてゆかなければなりませんし、それを彼らも意気に受け止めて、どんどん食いついてくるのです。

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ひとつずつ手を入れてゆき、まあこれは出版できるかなという状態のものができあがっていきます。

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どうです。編集した者と編集された者どうしの充実感が表れているでしょう。さあて、ここからが胸突き八丁。頂上が近づけば近づくほど勾配が急になる登山のようなプロセスが「編集」です。これでいいや!ではなくまだまだ!というねばりで、「価値」を高めてゆきます。

RI

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撮影開始!

タイトル: 人の心を動かすストーリー
探究領域: 意思表現
セントラルアイディア:多様な表現の組み合わせが人の心を動かす。

[6年生]

冬休みが明けて、これから撮影に入ります!
作ったマップ、絵コンテ、脚本を使って、撮影のための計画を立てていきます。

・衣装、小道具など必要なもの
・作らなければいけないもの
・シチュエーション作り
・備品の確認
・プレゼンテーションに間に合うための効率的な撮影スケジュール

その全てが表現技法とストーリーを結びつける「演出」でもあります。

また、今回のテーマ「人の心を動かすストーリー」では、出演者が「ひとり」の映画を撮影しています。
一人で何役も演じなければいけないので、「演技」にこだわらなければいけません。
声色を変えたり、喋り方のトーン、速さ、仕草、身振り手振り。。。
例を挙げればきりがありませんが、「役になりきる」ことを実践しつつも、
「他の役と同じになってはいけない」メタな視点が必要とされます。
こんなとき、撮影に使っているiPadは大変重宝します。

iPadを使えば、「撮っては確認」、「撮っては確認」
をすることができるのです。

では、計画を立てたら撮影を始めよう!
映画を撮影するプロセスでは
「BGM」
「セリフ」
「効果音」
「背景」
「小道具」

それぞれを「どのようにうまく働かせるか」が鍵になってきます。

それぞれのカットを撮りながら、はたして
「自分のイメージに合っているのか。」
「納得いくものなのか。」
「表現技法として適切なのか。」
「ストーリーは効果的に演出されているのか。」

を自問自答してゆく、そんな中で今作っている映画のストーリーが発展したり、イメージが磨かれてゆきます。

来週もフルで撮影で、どんどん撮影は進んで行きますが、どんな映画に仕上がるのでしょうか?
仕上がりが楽しみでなりません。

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TY

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2016年01月22日

型を学ぶ

タイトル:表裏一体
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「禍福は糾える縄の如し」

[1・2年生]

今週はそれぞれの子が週末に作り直した紙芝居をシェア。
前回の第1作目では”紙芝居”が物語調になっていない”紙説明”(子どもたちが造った言葉。「紙説明じゃつまらないよ」と不評)の作品もありましたが、今回はそれぞれの子が前回以上に起承転結を意識してそれぞれの物語を作ってきました。

登場人物にも工夫を凝らし、登場人物のセリフで恵みやこわさ、また人の知恵や工夫を表すように思考錯誤したとのこと。

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例えば《起:雪で遊んでいる》、《承:雪が降り積もってくる》、《転:スキーをしていたら雪崩が起きる!》、《結:なんとか助かった後、その土地の雪解け水で作られたおいしいおにぎりと雪の冷蔵庫で保存していた手作り味噌の味噌汁を頂く=人の知恵や工夫》
というそれぞれの場面で伝えたいコンセプト(この場合は起=恵み、承=起の発展、雪が積もりすぎる 転=雪による災害、こわさ 結=人の知恵や工夫)を本人なりに考えて作ったものもあれば、”こわさ”は伝わるが”恵み”の面が全く描かれていない作品やあまりにもストーリー展開が強引なものもありました。

そこで、もう一度”起””承””転””結”という物語構成の考え方について話し合って共通の認識を再確認しました。 

そして最終的にはこの紙芝居作りにおいては《起:ふつうの暮らし》、《承:禍=こわさ》、《人のひらめき(知恵と工夫)》、《結:伝えたいこと》を描くことになりました。

起承転結の型と同じくらい大事なのは伝える内容です。 子どもたちは別のシートを使って担当した自然の出来事について”メカニズム”、”禍=こわさ”、”福=恵み”、”人の知恵・工夫”をまとめいていますが、まだまだ情報を集める必要があるものもあります。
今まで学んできたことを起承転結の型にのせて紙芝居で表現するという チャレンジは1・2年生にとって初めてのこと。
学んだことを全て載せてしまってはまるで説明のようになってしまい、物語として面白くすることが難しいし、かと言って切り取るポイントがずれてしまってはせっかく学んできた”自然の禍福”やそこで寄り添って生きてきた”人の知恵や工夫”が伝わりきりません。

彼らにとって難易度が高いチャレンジかもしれませんが果敢にそして楽しそうに3〜4度目の再構成に向かっている姿はさすがです!

ある子は自分が担当している”太陽”の恵みとこわさについてさらに詳しく調べながらオーストラリア人の英語担当のスタッフにオーストラリアでの干ばつと水不足の経験についてインタビューをしています。

「え!!お風呂にお湯をためるのも禁止になったり、一人4分しかシャワーを浴びちゃいけないんだ〜。大変。野菜も育たなくなるし、牛や豚が食べる草も枯れちゃって育たないなんて・・・山火事も起きるし、そのままずっと雨が降らないともっと砂漠が広がっちゃうんだね。でもその分、住んでる人たちは水を大切に使っててリサイクルしたりいてるんだね。そう言えば家のお父さんもお風呂で使った水を洗濯に使ってるな・・・」

来週にはいよいよプレゼンテーション本番。
ラストスパートと粘り強さで最後まで磨いていこう!

YI

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オーナーシップ

タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」

[3・4年生]

今週は、自然エネルギーが専門分野になる「環境エネルギー政策研究所」に伺ってきました。研究員の方々の仕事の内容や、実際に活用されている、もしくは実験段階中の自然エネルギーのあり方について、現場からの声を直接聞けるまたとない機会です。

子どもたちもワクワクしている様子。
けれども、ただ行って話を伺うだけでは得られるものも少なくなってしまいます。
特に、4年生は見学先でのインタビュー経験もあるため、
「図鑑に書いてあることを聞いてもね。」とわかっている素振り。

「風力発電とか、太陽光発電はお金がかかることはわかるけど、どのくらいかかるのかな。」
「太陽エネルギーはへらないって書いてあるけど、風とか水とかはなくならないのかな。」
「ソーラーパネルは黒いものばかりなのか聞いてみたい。透明なのもあればいいのに。」
聞きたいことを整理し、いざ、出発。

研究所はビルの中の1フロアにありました。
私たちのために予め資料を用意してくださっていて、お話の中には、お金の話も出てきました。
風力発電1台は3億〜5億円。
一人では出せる金額ではないけれど、みんなで持ち寄って設置できた地域もあるといいます。大事なのはこの動きであり、こちらの研究所が始まったきっかけはデンマークのサムソ島で行われていた活動を知ったことだったそうです。島の住民一人ひとりが動いたことから、この島は自然エネルギー100%を実現させているといいます。日本でも自然エネルギーを活用したいという人たちのために協力をすることがお仕事の中心になっているそうです。

現在、日本では、海に風力発電機を設置するためにどんな装置にしたらいいか研究中であることや、地中熱を利用して暖房・冷房に代用しているコンビニがあることなど、自分たちが調べ切れていないことを聞くことができました。

IMGP7235.jpg 「窓にも貼れる透明のソーラーパネルってありますか?」の質問には、
フィルム状の太陽電池が日本で開発されているほか、さらには黒以外の色のフィルムも開発中とのこと。
「発電公園があればいいなと思っているのですが、そういうのはありますか?」と聞くと、
「それは、ぜひやりたいね。」と。まだどこにも実現していないよう。
ソーラーパネルで動くおもちゃは、その場で見せていただけました。

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何をしていいかわからなくても、まずは、こんなまちになったらいいなと考えること。一人ひとりが考えること。自分ごととしてオーナーシップをもつことを言い続けているというお話に、「プロブレム・オーナーシップ・・・」と子どもたちが反応し、つぶやきます。まさに、スクールでよく耳にする言葉。他人ごとではなく、自分ごとに捉えていきたいところです。

「いいな」を考え、行動している人たちの実践も数多く紹介していただきました。 未来を考える。それを目指してできることを考えていく。翌日、リフレクションで話題となり、発電公園を思い描き、今の自分にできることは何か、アイデアを出していきました。

「お化け屋敷を作ればいい。」
しかし、理由を聞くと「遊びたいから。」
残念ながら、説得力のある理由は出てきません。 自分がよければいいという欲求は消せないもの。
それでは人は巻き込めません。 何が目的で動くのかを明確にする必要が出てきます。
誰かがやればいいではなく、自分からやってみる。その一歩が踏み出せるかどうか。
口先だけにならない行動とは何か。自分のためではないことができるかどうか。
自分たちの欲求が優先してしまうことはわかっているため、沈黙が続きます。
彼らがそれだけ真剣に自分との欲求に向き合い、どう納めていくかを考え始めたからのようにも思えます。

「〜しないようにするとかだと楽しくないよね。幸せ度を上げないと意味がないって言っていたし。」
非電化工房の藤村さんの言葉を思い出し発言した子がいました。
欲求のためではなく、でも楽しめることって何があるだろう?
来週のプレゼンでは、自分たちのしていきたいことを提言し、多くの人を巻き込みたい。
では、どんな提言ができるか、答えのない問いに苦戦中です。

AN

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よりよい作品をつくるプロセスは終わらない……

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5年生]

「せっかくここまでよかったのに、ここで突然、終わっちゃうんもんな……」
「こうしたら面白くなるかもな」
「でも、どんどんこの子の作品ではなくなっちゃうよね」

放課後、志願残業の日々が続きます。本来、学びは、通常の学びの時間帯で終わらせるべきで、残業はもってのほかという考えもあるかもしれません。しかし、これは学びとはいえ、本物の「仕事」です。TCSキッズの文集をつくりあげるという「仕事」への責任感が、彼らを思いっきり駆り立てます。そのうえ、この「仕事」はまさにクリエイティヴなもの。ただ、だらだらやったから時間超過したわけではありません。何かをつくるとなると、こだわりが生まれます。しかし、こだわりは、なかなか形にできません。形になったかなと思うと、どこかに納得いかないところが残ります。

「まだまだだなあ……」

こうして、よりよい作品にしてゆくための終わりなきプロセスにはまりこめば、残業せざるを得ないのです。

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ひとりで考えてきたアイデアをシェアして磨く。これも「編集」の大事なプロセスです。

ある子の作文が、尻切れとんぼ。ただ、どんなふうな展開にしたいのかということがなんとなく見える手がかりはある。あたかも探偵のように、その手がかりをもとに、ホームワークで、クライマックスシーンを文章化してみました。それを聞いてもらって、さらによくしてゆこうというわけです。

「こんなふうにしてみたんだけどどうかなあ。今、読んでみるね!」

個の作業とシェアしてふりかえる作業のサイクルが「編集」には不可欠。本を「編集」するという「仕事」を通じて、本作り以外にも応用できる、アイデアの「編集」技法を学び、身につけていくよい機会になっているのです。

「ちょっと待って……今のところ意味が通らないんだけど」

「読み手」としてのチェックが入ると、「書き手」は意図を説明します。このインタラクションが、質問する方とされる方、双方の「編集力」を高めます。

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お互いに意図が伝わり合うと、ともにアイデアを出し合って、磨いてゆくプロセスが動き始めます。共創するプロセスの開始です。

このプロセスで陥るのが、TCSの探究の特徴である「つら楽しい状態」です。ただ、どちらかというと「楽しい」の方に比重が傾いています。もちろん、どこまでも、どこまでも改善したい部分がでてきて、つくっても、つくっても、なかなかこれだ!という形にならないからつらい。ど〜んと停滞し、無口・沈黙が続くときもあってつらい。でも、これは生みの苦しみのための「つらさ」。

「これだ!」

とひらめき、欠けたピースがパチンとはまる瞬間の快感。つらかったからこそそこから解放されて何かをつかんだときの充実感は、必死につくることをしない限り味わえません。

「ああ、もうこんな時間か……」

一人の作品を手直ししているだけなのに、数時間があっという間に過ぎ去ります。

編集チームは本当によく「仕事」しているなあと思います。やらされ感は微塵もない。それぞれが、自分の職務を分担し、個の作業に没頭しつつ、共創プロセスにも積極的に関わる。

「おっちゃん、文章をこれまでここまで考えて書いてなかったよ」

本気の「編集」に関わり、「編集」の大変さを実感しただけでなく、「編集」のコツを、つかみつつあるからこその一言です。

あっという間に5週間が過ぎ去り、残りは1週間しかありません。必死に作業しているし、決して手を抜いているわけではないのに、終わりません。計画を立ててコツコツやるだけでは乗り越えられない「つくる学び」の苦しみと醍醐味。「まあ、これでいっか……」ですますのが、「気持ち悪い」と思えるような学び。いつまでたっても終わらないし、やればやるほどまだまだな部分が出てくるけれど、締め切りまでに「最善の形」に持ってゆく。そんなマインドが育つのが「探究する学び」です。さあ、泣いても笑ってもあと1週間。終わらない「つら楽しい」プロセスをひたすら進むぞ!

RI

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クランクアップ!しかし本番はこれから!

タイトル: 人の心を動かすストーリー
探究領域: 意思表現
セントラルアイディア:多様な表現の組み合わせが人の心を動かす。

[6年生]

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今週も先週に引き続いて撮影尽くし。演技や周囲の環境の確認をしながら、絵コンテで描いたカットを撮り進めてゆきます。


映像作品で利用されるワンカットでは、「映像上の工夫」、つまり「絵」の工夫が必要となります。
そして、その「絵」を左右するのが、役者自身の「外見(装飾・衣装)」と、「背景」です。

特にこの「背景」が曲者で、例えば夜のシーンを昼間に撮ろうとした場合には、窓に目張りをして、光が漏れ入らないようにしなくてはなりません。
また、背景に関係ないものが映っても全てが台無しになってしまいます。
実際に演じている役者の方にばかり目が行きがちですが、そういった背景の細かい部分、
「何が映っているか」、「どのような光を使ってどう映るか」を意識して撮影することが必要となります。


さらに、役者は一人、でも一人4役も5役もこなすためには、
・声のトーン
・仕草
・外見

の三つに気を配らなければなりません。
ただし、それを「小手先」に演じても観客にその「小手先感」は伝わってしまいます。
それぞれのキャラクターの背景には、どのようなストーリーがあり、キャラクターたちが一つの映画に集結することによって、結実します。
演じるまえにも、細かくキャラクターは何歳で、どんな背景があり、ここにどんな気持ちできているか、確認をしてから始めると、そうしないのに比べて演技は段違いに変わってきます。
本物の役者は、その「役作り」で役になりきり、見るものをあっと驚かせ、感動を与えることができます。

「映画」には脚本があり、その脚本にそって撮影が進んで行きます。
「セリフ」や「話の大筋」については監督や演出家が決めるのですが、役者の一挙手一投足にまで規定をすることはできません。
ここが、面白いところ。「役者の役作り」と「監督のイメージ」が撮影を繰り返していく中でも、だんだんと近づいてきて、映画に使われるシーンが撮られてゆきます。
役者と監督が同じ人の場合には、撮ってすぐに確認することのできるiPadは本当に便利で、撮影をして、その場でどんな映像が取れたか確認をして、何度も何度も自分のイメージと近い映像が撮れるまで撮り続けます。

そして、無事にクランクアップ!必要となる映像は全て撮り終えました。
来週からは編集作業へとうつります。
撮影した映像の組み合わせ、BGMの挿入を通して、どのようにストーリーを「演出」するのか、探究してゆきます。
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TY

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2016年01月23日

プレゼンテーション1/29

TCSプレゼンテーションのご案内

東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

テーマ学習の成果を発表するプレゼンテーションでは、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。 (ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

TCSの子どもたちが、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか、ぜひ直接その様子を見に来てください。

               記

【日時】 2016年1月29日(金) 9:45~12:00頃 

【場所】 東京コミュニティスクール 校舎
     (東京都中野区中野1-62-10)地図
     ※JR・東京メトロ「中野駅南口」より徒歩9分     
     ※車・自転車でのご来校はご遠慮ください。
【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール(担当:永易・若林)
 TEL:  03-5989-1869
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。

     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2016年01月26日

2016年度インターン生募集

2016年度の教育インターン生を募集しています。
詳細は、募集要項をご覧ください。
2016年度 教育インターン生募集

2016年01月29日

物語を磨く

タイトル:表裏一体
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「禍福は糾える縄の如し」

[1・2年生]

いよいよ金曜日に迫ったプレゼンテーションに向けてアウトプットの紙芝居を磨いていきます。

ストーリーの大筋はどの子もできていますが、起承転結で伝えたいことが絞られ過ぎていてせっかく学んできたことが表現されていなかったり承から転へのつながりが強引だったりします。
いつも悩むのは限られた時間の中でギリギリまで磨き続けつつもどのタイミングで最終アウトプット製作にとりかかるかという見極めです。

「水の国日本っていう”起”はいいと思うけど”承”で伝える水や台風のこわさが土砂崩れだけでいいのかな?”転”で表す”人のひらめき”って護岸工事や堤防の技術を長年に渡る台風との関係で高めていったってことだけで十分?人の知恵や工夫には”備える”と”活かす”があったじゃない?”活かす”っていう知恵については伝えなくていいの?」

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「雪のこわさは屋根から雪が落ちてくるっていうこの絵だけでいいのかな?雪国の人の知恵は味噌汁だけ?どういう知恵があって、なぜその中から味噌汁を選んでこの場面を描いたの?」

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このようなやり取りを私と子どもたち、子どもたち同士でも何度となく行いながらそれぞれの物語を磨いていきました。

プレゼンテーションでは大きな声で、聞き取りやすい発音とスピード、登場人物になりきってさらに場面によった声色を使いながらお客さんを引き込むような読み方を意識して臨みます。

前日の時点ではそれぞれに読むペースや声の大きさ、感情の込め方や声の抑揚など課題が残りましたが、自分の課題を意識して家でも練習するとのこと。
いよいよプレゼンテーション本番が楽しみです!!

YI

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「表裏一体」〜ふりかえり〜

タイトル:表裏一体
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「禍福は糾える縄の如し」

[1・2年生]

今回は前半1年生、後半2年生に分けて一人ずつ仕上げた紙芝居をオーディエンスに向けてプレゼンしていきました。

まずは大きな声で堂々と発表するということを意識した上で、お客さんに伝わるような読み方とはどんな読み方なのかみんなで考えていきました。

自然界の出来事の表と裏。
つまり人間から言えば”こわさ”と”恵み”の両方が”禍福は糾える縄の如し”ということわざの通り糾える縄のように私たちの住む地球で起こっています。
そこで人間はそれらに活かされるだけでなくむしろ活かして知恵を磨いてきたという面もあります。

例えば火山の熱を活用した地熱発電や温泉、また雪を利用してスキーや雪室、保存食なども人の知恵と工夫と言えるでしょう。
そのような自然と人間の関係を紙芝居で描いた伝えることだできるかというのが私たちのミッションです。

今回は雪・地震・津波・台風・火山・太陽・川についての紙芝居となりました。
起・承・転・結の物語の型を学び、4枚の紙芝居で作った作品はそれぞれの工夫が見られオーディエンスの方からもたくさんのフィードバックを頂きました。

「日本は島国で地震や津波、火山、台風から逃れられないけど工夫して暮らしているのが伝わってきた。」
「セリフに感情がこもっていた。」
「実際に体験した人にインタビューしてお話を聞いたらさらにいいのでは?」
「登場人物たちが本当に会話しているみたいだった。」
「1年生の視点と感性もすばらしいいが、2年生はさらに”備え”や”エネルギー利用”まで考えがいっている。」

オーディエンスの方から気づかせてもらった視点と合わせて自分たちでもこの学びをgood&betterで振り返り、それぞれに次のプレゼンに向けて課題を挙げていきました。

共存共生の探究の入り口として私たちが暮らしている自然界の禍福とそこに生きてきた人の知恵、また"起・承・転・結"の物語の”型”に触れた1・2年生たち。これからますます世界が広がっていくのが楽しみです。

YI

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今、自分たちにできること

タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」

[3・4年生]

いよいよ、週末はプレゼンテーションです。
今、自分たちにできることは何か。グループ内で話し合って決めていきます。

IMGP7257.jpg「大人になったら、電気をもっと使うようになると思うから、子どものうちはもっと外に出て遊びたいな。」
「部屋の中でも電気を使わない遊びを考えればいい。」
「朝は電気をつけなくても太陽の光が当たれば大丈夫だからつけなければいいんじゃない?」


「でも、朝でも光が入らない部屋があるよ。」
「電気つけないと本とかは読めないよ。」
「あと、太陽出る時間を待たないといけない。」

問題点も考えた上で、ひとつのグループでは「太陽の光を浴びよう!」という提言に固まっていきました。説得力を持ったプレゼンをするために、具体的なデータを用いていきます。これまで見てきた様々なグラフや数値を見直しながら、自分たちの説明に必要な資料を1つ見つけ出すことを条件にしてみました。各自で1つ選び、そこからみんなでどれがいいのかを選んでいく中で、何が適している資料か、何を自分たちは語りたいのかを突き詰めていきます。

もうひとつのグループでは、「必要のない電気を使わないようにしよう」という提言を出してきました。そもそも、なぜそんなに電気を余計に使ってしまっているの?と聞いてみると、
「あるから使っちゃうんじゃない?」という意見が出てきました。
あるから使ってしまう。それだけ電気を当たり前に使えてしまう状況にあるというのも、ひとつの見方です。では、なぜそんなに電気があふれているのかとなると、やはり電気は便利だということに行き着きます。ならば、使うだけでなくて作ればいいと、 発電公園というアイディアがこれまでに出てきたわけです。

そうすると、自然エネルギーによる発電公園を作るために、今できることを考えていった方が、「使わないようにしよう」と我慢するような提言よりもポジティブです。
「みんなでお金出し合ったら風力発電作れるってYさんが言ってたから、本当に発電公園を作れるかも。」
環境エネルギー政策研究所にいったときに聞いた話が思い出されてきます。
「でも、人にお金を出してもらうって難しいって言ってた。」
お金を出す価値があると思ってもらえるかどうか。これは前回のテーマで出てきた「価値の移転」の話そのものです。

IMGP7296.jpg 「信頼ってことかぁ。」
信頼される人になるために、今できることはないだろうか。
話がまとまらず、グループ内の集中力が切れてきました。自分が話したいことをあちこちで同時に話しているので、話し合いが成立しません。


まずは、話し合いができるようにならないことには信頼は生まれないのでは?話をするけれども、特定の人にしか話しかけられないうちは協力して何かをしようとすることはできない。そう全員が実感すると、「いろんな人と会話をしよう!」という提言に変わっていきました。

それぞれグループごとに模造紙1枚でプレゼン内容をまとめていきました。
提言タイトル・それが必要な根拠・説明に適した資料・提言の魅力と課題を書くこと、 そして、その枠組みは統一していきました。どんな発表にするかイメージしながら作業を進めています。

IMGP7305%20%282%29.jpg   IMGP7303%20%281%29.jpg
模造紙が仕上がっても、プレゼン内容と合わせて変えた方がいいところは修正していきました。
もっと磨いた方がいい。そう言って、当日の朝も早く集まって練習しようと意気込みは十分です。

AN

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ゲラができた!

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5年生]

「なんかさあ自分の文の書き方まで変わってきたんだよね」

いろいろな「らしさ」を持つ、いろいろなジャンルの文章に触れ、編集してゆくうちに、だんだん自分の文章の書き方まで変化してきたというのです。それはそうでしょう。これまでは、ただ書くだけで、書いたものをふりかえるという習慣がついていませんでした。しかし、さんざん、下級生たちの作文を編集していった結果、「意識的に」編集しないではいられなくなってしまったのです。

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頭をかきむしり考え、何度も、書き手とインタビューし、みんなで読みあって、ひとつ、またひとつと作品が完成してゆきます。

並行して、プレゼンテーションデーのときに見せる、プロモーションビデオの作成も行います。本のタイトル、魅力、そして編集の工夫を訴え、読んでみたいなと思わせるビデオにしなくてはいけません。

そんな作業をしているとき、ふと、今回、行ってきた「編集」のコツについてみんなでふりかえる瞬間が生まれました。最初は、誤字脱字を直したり、句読点を入れたりというレベルだった編集も、一文一文の表現にこだわったり、文章の流れや構成まで考えられるようになりました。たった6週間でめざましい進歩です。

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「最初は、やっぱり解読が大変だったよね」

なんて書いてあるか字すら読めない。読めたとしても、話が大幅に飛んでしまったり、いきなり尻切れとんぼで終わってしまったり、いったいどんなことを言いたいのかわからない。二つの意味での解読が最初のステップでした。

解読しつつ、同時に「インタビュー」も行います。自分の解読が果たして正しいのか、どんなことを言いたかったのか、書き手に確かめます。

「インタビューって本当面白いよね。だってさ、書き手もどんなこと書きたかったのかはっきりしないって言うんだもん」

なんとなく、もやっとしたイメージで書き始めたものの、いろいろな要素がごちゃごちゃになったり、思いつかなくて、ぽっかり大きな穴が空いたままで不完全で終わっている。だから、そもそも改めてどんなこと書きたかったの?と聞かれても、なんだったっけ……ということになる。

ただ、ここからが、子どもどうしのインタビューの妙で、先輩が、じゃあこんなアイデアはどう?と投げかけると、それに触発されて「あっ、こんなこと思いついた!」と書き手がインスパイアされて、いろいろ思いつく。インタビュアーは、それを整理し、紡いでゆく役をする。相互編集によって、編集者と書き手がともに作品をつくりだしてゆき、さらには、お互いの「書く」レベルが成長してゆく。なんと素晴らしい正のスパイラルでしょう。

「あとは、ひたすら、けずって、つけたしてだよね」

小泉信三先生は、文章を書く極意を、けずって、けずって、またけずるとおっしゃいました。その域に達したとまではもちろん言えませんが、編集のコツを体得したことは間違いありません。

「でもね、つくりかえすぎちゃうのはダメなんだよ。それじゃあ、書き手のらしさが消えちゃうもん」

おっ、いっぱしの編集者のような一言じゃないですか。ただ自分の思いだけで書き換えてはならない。それでは「自分の作品」を書くことになって「編集」ではない。素直に子どもがそう思うのは、普段、大人からの、子どもの思いを無視した「編集」にさらされ、嫌気がさしているからでしょう。子どもだからキャッチできる思いを、なんとか作品に反映しようとする姿勢は、むしろ大人のプロの編集者にはできないわざと言えるかもしれません。

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こうして、度重なる残業、ホームワークを経て、なんとかプレゼンテーションデー前日に、ゲラが完成!

本当によく頑張りました。いい仕事しましたよ。

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しかし、これは最初のゲラ……「校了」ではありません。誤字も、脱字も、言葉のダブりや、文のねじれなど、細かい部分の見直しはまだまだ。そんなことは百も承知なので、プレゼンテーションデー後のふりかえりの時間には、上の写真の通り。早速、校正作業に突入です。

3月19日、卒業式の日に、みんなにお披露目&配布。時間は残り少なくなってきました。さらに、さらによい本を目指して、編集の旅は続きます。

RI

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映像編集の面白さ

タイトル: 人の心を動かすストーリー
探究領域: 意思表現
セントラルアイディア:多様な表現の組み合わせが人の心を動かす。

[6年生]

さて、先週クランクアップはしたものの、細かい調整・編集作業を行っていきます。
とったシーンとシーンをつないで、足りないシーンはないか、確認していく。
たった、5分〜8分の映像だったとしても、シーン数は80シーンにも登りました。

今回の編集のポイントは、
・「シーンの順序とつなぎ」
・「BGM」
・「効果音」

の三つです。
それぞれについて細かく見ていきましょう。

1. シーンの順序とつなぎ
シーンとシーンは絵コンテを元にしてつなげてゆきます。
話の展開にそって、「つなぎ」を作っていくのですが、
例えば、左から右に、もしくは右から左へと前のシーンと新しいシーンがある線を境にして入れ替わる「スライド」のつなぎ方は、「場面が大きく変わる」ことを知らせる役割を果たします。
それに対して、だんだんと次のシーンへと画像が薄くなりながら転換してゆく「ディゾルブ」は、シーンがすぐに変わりつつも、緩やかな変化であるため、視点を転換したい場合に利用することができます。
「スライド」ほどではないが、「視点の転換」に一呼吸置きたい、そんなときは一度暗転させ、暗い画面から次のシーンにつなぐ「フェード」もあります。
それぞれの「つなぎ」方というのは、映像に「間」を効果的に作る助けになり、ストーリーを展開させていく上では重要なファクターとなります。

特に、映像編集では、この「つなぎ」によってできる「間」をつくる作業とも言えるのです。

2. BGM
序盤に展開した映画分析から、「セリフのないシーン」に「BGM」を使うと効果的に作品を演出できる、ということがわかりました。
今回は、特に最も重要なシーンで、「歌詞付きの曲」とクライマックスシーンでは「歌詞なしの曲」をBGMに利用しました。
この「歌詞のありなし」にはどのような違いがあるかというと、クライマックスシーンでは、映画の終わり、そして主人公の成長を象徴する重要な「セリフ」が出てきます。
この「セリフ」と被らないように、歌詞なしの曲を選びました。

それとは対照的に、最も重要なシーンでは、「歌詞付きの曲」を使うことで、曲のメロディ、歌詞とシーンで展開される主人公とその行動がマッチするように演出しようと試みました。
BGMも映画にとっては重要な要素ではあるのですが、使い方に工夫が必要で、下手をすると逆効果になってしまう場合もあるのです。

3. 効果音
効果音は、今回、シーンを撮影しながら、音を録音しつつ行ってきました。
最終的に「音のボリュームが足りない」場合や、「いまいち」な場合には、音量の調節を行ったり、撮影・録音しなおしたりと、いかにして「デフォルメしつつも自然なシーン」をつくることができるか、ということへの挑戦でもありました。

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映画の準備は万端です!
さて、緊張のプレゼンテーションデイ、「人の心を動かすストーリー」は聴衆の心を動かすことができるのでしょうか?

TY

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「人の心を動かすストーリー」〜ふりかえり〜

タイトル: 人の心を動かすストーリー
探究領域: 意思表現
セントラルアイディア:多様な表現の組み合わせが人の心を動かす。

[6年生]

テーマ「人の心を動かすストーリー」では、たった一人の6年生が「自分のみが出演する」映画を創りあげることにチャレンジしました。

・映像作品で用いられている様々な表現技法
・人の心を動かすストーリーを、その方程式を元に考える
・ストーリーを効果的に演出するために編集して編集し尽くす

この三つの流れを経て、「映画」という形に人の心を動かすストーリーが昇華しました。



今回のストーリー、「Dr. Stupid」ですが、テーマがややわかりにくい映画に仕上がりました。
これも、総監督本人の希望で「可能な限りメタファーな映画を作りたい」
ということから、直接的に映画のメッセージを伝えるのではなく、すべての映画を見通してはじめて、その映画のメッセージが伝わる、ストーリーを作ることに挑戦していました。

振り返りシートへ、「はじめは訳がわからなかったが、見ていく中で、最終的にメッセージが伝わってきた」というフィードバックがあり、この目論見も、達成することができたのではないか、と考えています。

また、多くの聴衆から「面白かった」というフィードバックをいただきました。
単純に複雑難解かつシリアスな映画でメッセージを伝えるのではなく、「ギャグ」や「アイロニー」を含んだ映画に仕上げることによって、「ギャグで楽しませる部分」、「ストーリーとメッセージで楽しませる部分」の二つの側面から、攻め、幅広い年齢層、特に小学校低学年から大人まで楽しむことのできる映画と仕上がったのではないでしょうか。


また、「一見ではわかりにくい」ストーリーとなっているところが、特に悩ましい部分です。
「わかりやすいストーリー」と「奥の深いストーリー」はなかなか共存させることが難しく、「人の心を動かす」という意味も多様です。

本テーマの参考文献でもあった「表現の技術」では、簡単に要約すると下記のような記述がされています。

「感動させる」には、まず「驚き」が重要であり、驚きが人の感情を動かすきっかけになる。
「お涙頂戴」な場面で泣かせることは、共感を得られるようなシーンを作成すれば良いだけで、安易で簡単だ。しかし、「笑い」をとるほうがよほど難しい。

「お涙頂戴」という要素も「笑い」という要素もそれぞれ含めつつ、全体のストーリーにまとめあげた本作品では、彼の「処女作」という点では、様々な試行が凝らされた映画となり、「議論を巻き起こす」ことのできる映画なのかもしれません。

さて、6年生もあと残すところ「エキシビジョン」のみです。
今回一人で人の心を動かすストーリー作りのプロジェクトを経て、個人探究ではどのように学び、どのような発表を見せてくれるのでしょうか?

TY

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2016年01月30日

「限りある資源、限りなき欲求」~ふりかえり~

タイトル:限りある資源、限りなき欲求
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。」

[3・4年生]

子どもたちが考え出した提言は次の2つでした。
「晴れた日は外に行こう!」
「いろんな人と会話をしよう!」

一見、単純なことにも思えますが、彼らが限りある資源の実態を知り、抱えている問題を自分たちごととして捉えた表れだと評価しております。
どちらの提言も、第一線で活躍してされている現人(専門家)のいる現場に出向き、そこで伺った話が大きく影響しています。地球上にある資源は使ってしまえばなくなる「限りある資源」に対して、太陽からのエネルギーは減らないものと言っても過言ではありません。風力や水力も太陽があるから存在するものと考えると太陽のパワーは絶大なるものになります。太陽のすごさを語っていただいたことで、数ある自然エネルギーの中でもやはり「太陽」をもっと利用したいという気持ちが子どもたちの中に生まれてきたように感じます。

また、自然エネルギーを活用したくても何から始めていいのかわからない人をサポートしていることや自分たちで動いていこうという姿勢を広げていきたいと熱く語っていただきました。いかに、自分ごととして捉える「オーナーシップ」が必要だということがひしひしと伝わってきました。子どもたちも同じように感じ取ったのではないでしょうか。だからこそ、一方的でない、ぐるぐると巡る会話ができるようになることで、将来自分たちが電気を作る生活も夢ではないと思うようになったのではないでしょうか。また、彼らは「電気の無駄遣いはしないようにしたい」という気持ちを変えたわけではありません。自分たちが会話のできる人をなぜ目指していくのかを振り返ったときに、日頃の電気の使い方も見直すようになると仮説を立てたのでした。プレゼンでは自分たちにとって電気が便利なものであること、世界でみると日本は電気消費量が多いということ、誰もが使いたい資源が少なくなると争いが起こるということを説明していきました。

地球資源の持続可能性は人間の選択に委ねられている。これは資源に限らずいえるものかもしれません。自分たちの行動が様々な方向につながっているというものの見方をこれからも持ち続けていきたいものです。

AN

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「Dear Editor」~ふりかえり~

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5年生]

なんとかゲラづくりが終わり、とりあえず Dear Editor のテーマ学習は終わりました。このテーマ学習の醍醐味は、なんといっても、子どもどうしの「相互編集」です。ちょっと年が離れ、なんとなく力をつけてきた先輩と、まだまだの後輩がペアになることで、お互いが刺激され、成長するのです。

昨年は、編集される側で、なかなかひどい(笑)文章を書いていた子が、編集されて、作品をよくしてもらった体験をベースに、自分も後輩たちの作品を、強い責任感を持ってよくしてやろうと臨みます。また、後輩たちは、自分たちの思いをくみとってもらいながら、ああ、こういうことを書きたかったんだ!と気づき、書く自信とコツを少しずつ身につけてゆきます。これぞヴィゴツキーの「発達の再近接領域」の姿そのもの。先輩達の自然なひっぱりによって、後輩達は、持っている力をさらに伸ばし、新しい力をつけてゆきます。

「読みやすくて」「論理的な」文章を生み出すことだけが「編集」ではありません。「編集方針」が、完全にひとりよがりではなく、文章表現の基礎を身につけつつも、大胆に、面白いと思ったことを書きなぐる!というところにあれば、身だしなみのきれいな木になるように剪定しても意味がありません。ちょっと不格好でも、なんとなくゴツゴツ感があっても、面白さとらしさを残すことが子どもの本の編集です。

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こうしてできあがった本に、子ども達がつけたタイトルは

こどもの「じ」

この本の題名の「じ」には三つの意味があります。私たちが作った、この本の題名の「じ」には三つの意味があります。

一つ目は「自」。 自和自和の「自」。だから、じわじわと考えて書きます。自然の「自」。だから、自然に思いついたことを生き生き書きます。自由の「自」。だから、自由に、思う存分発想を広げて書きます。そして、「自」発的の「自」。自分から書きたくて、書きたくてたまらない作品を書きます。

二つ目は「地」。「らしさ」と「強み」という「地」。だから、個性という「地」をさらけだして書きます。

三つ目は「字」。もちろん、これは文字の字。字を書いて表現するのですが、字によって思いを表すには、学びのアンテナをすべてフル活用しないといけません。「学」と「字」という漢字を見比べてみて下さい。「学」の三つのアンテナがすべて集まってひとつになると「字」の一本アンテナになるでしょう。

子どもが「字」を書いて、「地」をいかし「自」由に、「自」に、じわじわ、「自」発的に表現した面白作品の数々を集めたのが、この「こどものじ」です。

発売日は 3月19日。楽しみにお待ち下さい。

RI

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