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ゲラができた!

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」

[5年生]

「なんかさあ自分の文の書き方まで変わってきたんだよね」

いろいろな「らしさ」を持つ、いろいろなジャンルの文章に触れ、編集してゆくうちに、だんだん自分の文章の書き方まで変化してきたというのです。それはそうでしょう。これまでは、ただ書くだけで、書いたものをふりかえるという習慣がついていませんでした。しかし、さんざん、下級生たちの作文を編集していった結果、「意識的に」編集しないではいられなくなってしまったのです。

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頭をかきむしり考え、何度も、書き手とインタビューし、みんなで読みあって、ひとつ、またひとつと作品が完成してゆきます。

並行して、プレゼンテーションデーのときに見せる、プロモーションビデオの作成も行います。本のタイトル、魅力、そして編集の工夫を訴え、読んでみたいなと思わせるビデオにしなくてはいけません。

そんな作業をしているとき、ふと、今回、行ってきた「編集」のコツについてみんなでふりかえる瞬間が生まれました。最初は、誤字脱字を直したり、句読点を入れたりというレベルだった編集も、一文一文の表現にこだわったり、文章の流れや構成まで考えられるようになりました。たった6週間でめざましい進歩です。

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「最初は、やっぱり解読が大変だったよね」

なんて書いてあるか字すら読めない。読めたとしても、話が大幅に飛んでしまったり、いきなり尻切れとんぼで終わってしまったり、いったいどんなことを言いたいのかわからない。二つの意味での解読が最初のステップでした。

解読しつつ、同時に「インタビュー」も行います。自分の解読が果たして正しいのか、どんなことを言いたかったのか、書き手に確かめます。

「インタビューって本当面白いよね。だってさ、書き手もどんなこと書きたかったのかはっきりしないって言うんだもん」

なんとなく、もやっとしたイメージで書き始めたものの、いろいろな要素がごちゃごちゃになったり、思いつかなくて、ぽっかり大きな穴が空いたままで不完全で終わっている。だから、そもそも改めてどんなこと書きたかったの?と聞かれても、なんだったっけ……ということになる。

ただ、ここからが、子どもどうしのインタビューの妙で、先輩が、じゃあこんなアイデアはどう?と投げかけると、それに触発されて「あっ、こんなこと思いついた!」と書き手がインスパイアされて、いろいろ思いつく。インタビュアーは、それを整理し、紡いでゆく役をする。相互編集によって、編集者と書き手がともに作品をつくりだしてゆき、さらには、お互いの「書く」レベルが成長してゆく。なんと素晴らしい正のスパイラルでしょう。

「あとは、ひたすら、けずって、つけたしてだよね」

小泉信三先生は、文章を書く極意を、けずって、けずって、またけずるとおっしゃいました。その域に達したとまではもちろん言えませんが、編集のコツを体得したことは間違いありません。

「でもね、つくりかえすぎちゃうのはダメなんだよ。それじゃあ、書き手のらしさが消えちゃうもん」

おっ、いっぱしの編集者のような一言じゃないですか。ただ自分の思いだけで書き換えてはならない。それでは「自分の作品」を書くことになって「編集」ではない。素直に子どもがそう思うのは、普段、大人からの、子どもの思いを無視した「編集」にさらされ、嫌気がさしているからでしょう。子どもだからキャッチできる思いを、なんとか作品に反映しようとする姿勢は、むしろ大人のプロの編集者にはできないわざと言えるかもしれません。

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こうして、度重なる残業、ホームワークを経て、なんとかプレゼンテーションデー前日に、ゲラが完成!

本当によく頑張りました。いい仕事しましたよ。

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しかし、これは最初のゲラ……「校了」ではありません。誤字も、脱字も、言葉のダブりや、文のねじれなど、細かい部分の見直しはまだまだ。そんなことは百も承知なので、プレゼンテーションデー後のふりかえりの時間には、上の写真の通り。早速、校正作業に突入です。

3月19日、卒業式の日に、みんなにお披露目&配布。時間は残り少なくなってきました。さらに、さらによい本を目指して、編集の旅は続きます。

RI

TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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