今日の6年生のみん理では、久し振りに実験をしました。
今日のテーマは、「水溶液の性質」
酸性・アルカリ性を調べる指示薬として、最もポピュラーなのはリトマス試験紙ですが……
変化が地味ですね。
実は、劇的な色の変化を観察できる指示薬が(しかももっと身近に)あるのをご存知ですか?
紫キャベツです。
中性では紫ですが、酸性でピンク~赤、アルカリ性では青~緑~黄色、
と鮮やかに色を変えます。
紫キャベツを煮出した汁を試験管6本に用意し、強酸性から強アルカリ性まで
様々な段階を作っていきます。
操作は、「おれやる!」といつも元気なK君が手をあげてくれました。
まず6本とも塩酸を加えると、鮮やかな赤に変わります。
そこへ水酸化ナトリウム水溶液を、1本ずつ量を調節しながら加えていきます。
少し加えてピンク色。ぴったり中性になるまで入れると紫色。
「入れすぎるなよ!」「あと一滴!」との激励もむなしく……
「あー、入れすぎちゃった」
試行錯誤の末、とうとう完成!
図鑑に載っているような美しい色見本ができました。
次に、実際にこの指示薬を使って液性を調べてみます。
用意したのは、酢酸とアンモニア水。(お酢とキンカンです。笑)
それぞれ、弱酸性、弱アルカリ性とわかりました。
「炭酸って、酸だよね。強酸性?」
「それじゃ胃が溶けちゃうよ」
「胃酸は強酸だから、胃を保護するために粘液が出るようになっているね。
身体に入れていいものは弱酸性だよ」
「ふーん、そうかあ」
「蚊の毒は酸性だから、アルカリ性のアンモニア水で中和すると痒くなくなるんだよ」
日常生活の中にも、酸性・アルカリ性はあふれています。
最後に、BTB溶液でも同様に色見本を作りました。
こちらは、酸性=黄色、中性=緑色、アルカリ性=青色。
同じ黄色でも、紫キャベツとは液性が反対なので要注意です。
「ねー、これとこれ混ぜていい?」
実験終了後、決められた手順に従うだけでは飽き足らず、自分で思いついたことを
色々やってみようとする「探究心」を発揮します。
「どれに何を入れてもいいよ! ただし、入れる前に何色になるか予想してみて!」
黄色の試験管(紫キャベツ+水酸化ナトリウム)を取り出したKくん。
「これ入れていい?」と聞いてきたのは水酸化ナトリウム水溶液。
「それじゃ、何も変わらないでしょ(笑)」「そっか!」と塩酸に変更。
「それ入れたら、何色になるかな?」「んー、赤!」
「赤まで行くには……道のりは遠いよ~」「いい、赤までやる!」
数滴入れると……「あ、緑になった」「赤まで行くには、たくさん入れないとね」
真剣な顔で塩酸を加えていくKくん。
液が試験管いっぱいになる頃、「やった、赤になった!」
一方、Mさんは、2本の試験管の中身を一緒にすると、
液が多いために上下が完全に混ざらず、きれいなグラデーションになることを発見。
「この辺の色合いが好き!」
と指差して嬉しそう。さらに薬品を足したりいろいろやっているうちに……
虹のような多色グラデーションが生まれてビックリ。
よく観ると、さっき6本の試験管で作った紫キャベツ色素の色見本が、
1本の試験管の中で再現されていることを発見!
どうやら、試験管いっぱいに黄色の紫キャベツ液(=アルカリ性)が入っているところに
上から酸性の液を加えたら、試験管内で酸性~アルカリ性の様々な段階ができ、
それに応じて色が変わったようです。
これには一同感心して、「写真、撮ろうよ!」の声が上がりました。
一見、色水で遊んでいるだけに見えますが、
この“遊び”の中には、大切な要素がふんだんに含まれているのです。
酸性とアルカリ性が互いに打ち消しあう性質であって、どちらかが量的に優位になると、
液性がそちらに傾くことを目の当たりにします。
さらに、絵の具の色水と違って、混ぜたら単純に合わせた色になるわけではなく、
液性に応じて指示薬の色が変化することも実感できます。
こういう原体験こそが貴重で、「○○指示薬は、□□性で△△色」なんて“暗記”するのは
後でいいのです。
子どもたちは、偶然、紫キャベツ色素とBTB溶液の両方をまぜ合わせてしまいました。
すると、今までにない「オレンジ色」や鮮やかな「黄緑色」が誕生しました。
なるほど、酸性の時はそれぞれ赤と黄色になるから合わせてオレンジ色、
アルカリ性の時は黄色と青色だから合わせて緑色
(濃度に応じて様々なヴァリエーションの緑色)になるわけです。
えっ?指示薬を混ぜちゃって大丈夫かって?
実は、紫キャベツの色素もフラボノイド系色素の中の二種類
(アントシアニン類、フラボン類)が混ざっているらしく、
酸性~アルカリ性でアントシアニン類は赤~紫~青色に変化し、
フラボン類は無色~黄色に変化するため、
両方合わさって上記のような複雑な色変化が見られるそうです。
紫キャベツ色素+BTB溶液で、もしかしたら、よりきめ細かく液性が調べられる試薬を
発明できるかも?!
大人でもワクワクしてしまうような探究テーマです。
日頃、テーマ学習で鍛えられたTCSキッズは、与えられたものから発展して、
「こうしたらどうなる?」と自ら考え実行に移さずにはいられません。
実はそれこそが、本物の「科学する」心でしょう。
これからも、TCSの子供たちと色々な実験をしていくのが楽しみです。
今日のテーマは、「水溶液の性質」
酸性・アルカリ性を調べる指示薬として、最もポピュラーなのはリトマス試験紙ですが……
変化が地味ですね。
実は、劇的な色の変化を観察できる指示薬が(しかももっと身近に)あるのをご存知ですか?
紫キャベツです。
中性では紫ですが、酸性でピンク~赤、アルカリ性では青~緑~黄色、
と鮮やかに色を変えます。
紫キャベツを煮出した汁を試験管6本に用意し、強酸性から強アルカリ性まで
様々な段階を作っていきます。
操作は、「おれやる!」といつも元気なK君が手をあげてくれました。
まず6本とも塩酸を加えると、鮮やかな赤に変わります。
そこへ水酸化ナトリウム水溶液を、1本ずつ量を調節しながら加えていきます。
少し加えてピンク色。ぴったり中性になるまで入れると紫色。
「入れすぎるなよ!」「あと一滴!」との激励もむなしく……
「あー、入れすぎちゃった」
試行錯誤の末、とうとう完成!
図鑑に載っているような美しい色見本ができました。
次に、実際にこの指示薬を使って液性を調べてみます。
用意したのは、酢酸とアンモニア水。(お酢とキンカンです。笑)
それぞれ、弱酸性、弱アルカリ性とわかりました。
「炭酸って、酸だよね。強酸性?」
「それじゃ胃が溶けちゃうよ」
「胃酸は強酸だから、胃を保護するために粘液が出るようになっているね。
身体に入れていいものは弱酸性だよ」
「ふーん、そうかあ」
「蚊の毒は酸性だから、アルカリ性のアンモニア水で中和すると痒くなくなるんだよ」
日常生活の中にも、酸性・アルカリ性はあふれています。
最後に、BTB溶液でも同様に色見本を作りました。
こちらは、酸性=黄色、中性=緑色、アルカリ性=青色。
同じ黄色でも、紫キャベツとは液性が反対なので要注意です。
「ねー、これとこれ混ぜていい?」
実験終了後、決められた手順に従うだけでは飽き足らず、自分で思いついたことを
色々やってみようとする「探究心」を発揮します。
「どれに何を入れてもいいよ! ただし、入れる前に何色になるか予想してみて!」
黄色の試験管(紫キャベツ+水酸化ナトリウム)を取り出したKくん。
「これ入れていい?」と聞いてきたのは水酸化ナトリウム水溶液。
「それじゃ、何も変わらないでしょ(笑)」「そっか!」と塩酸に変更。
「それ入れたら、何色になるかな?」「んー、赤!」
「赤まで行くには……道のりは遠いよ~」「いい、赤までやる!」
数滴入れると……「あ、緑になった」「赤まで行くには、たくさん入れないとね」
真剣な顔で塩酸を加えていくKくん。
液が試験管いっぱいになる頃、「やった、赤になった!」
一方、Mさんは、2本の試験管の中身を一緒にすると、
液が多いために上下が完全に混ざらず、きれいなグラデーションになることを発見。
「この辺の色合いが好き!」
と指差して嬉しそう。さらに薬品を足したりいろいろやっているうちに……
虹のような多色グラデーションが生まれてビックリ。
よく観ると、さっき6本の試験管で作った紫キャベツ色素の色見本が、
1本の試験管の中で再現されていることを発見!
どうやら、試験管いっぱいに黄色の紫キャベツ液(=アルカリ性)が入っているところに
上から酸性の液を加えたら、試験管内で酸性~アルカリ性の様々な段階ができ、
それに応じて色が変わったようです。
これには一同感心して、「写真、撮ろうよ!」の声が上がりました。
一見、色水で遊んでいるだけに見えますが、
この“遊び”の中には、大切な要素がふんだんに含まれているのです。
酸性とアルカリ性が互いに打ち消しあう性質であって、どちらかが量的に優位になると、
液性がそちらに傾くことを目の当たりにします。
さらに、絵の具の色水と違って、混ぜたら単純に合わせた色になるわけではなく、
液性に応じて指示薬の色が変化することも実感できます。
こういう原体験こそが貴重で、「○○指示薬は、□□性で△△色」なんて“暗記”するのは
後でいいのです。
子どもたちは、偶然、紫キャベツ色素とBTB溶液の両方をまぜ合わせてしまいました。
すると、今までにない「オレンジ色」や鮮やかな「黄緑色」が誕生しました。
なるほど、酸性の時はそれぞれ赤と黄色になるから合わせてオレンジ色、
アルカリ性の時は黄色と青色だから合わせて緑色
(濃度に応じて様々なヴァリエーションの緑色)になるわけです。
えっ?指示薬を混ぜちゃって大丈夫かって?
実は、紫キャベツの色素もフラボノイド系色素の中の二種類
(アントシアニン類、フラボン類)が混ざっているらしく、
酸性~アルカリ性でアントシアニン類は赤~紫~青色に変化し、
フラボン類は無色~黄色に変化するため、
両方合わさって上記のような複雑な色変化が見られるそうです。
紫キャベツ色素+BTB溶液で、もしかしたら、よりきめ細かく液性が調べられる試薬を
発明できるかも?!
大人でもワクワクしてしまうような探究テーマです。
日頃、テーマ学習で鍛えられたTCSキッズは、与えられたものから発展して、
「こうしたらどうなる?」と自ら考え実行に移さずにはいられません。
実はそれこそが、本物の「科学する」心でしょう。
これからも、TCSの子供たちと色々な実験をしていくのが楽しみです。