今回のテーマ名は「身土不二」
この名前を発表すると、子どもたちの頭に?マークが・・・。
「いったいなんだろう?」「身と土が関係あるの?」
という疑問を残し、新しいテーマ学習が始まりました。
今回は「土」について探究していきます。
土について身近なものなので、知っていることとしていろいろ出てきますが、
まずは、『触ってみないと分からない。』
ということで体で思い出すことから始めました。
『近くで土ってどこにある?』
「さんしのもり!!」
すぐ近くの公園へスコップを片手に出かけました。
掘ってみると・・・
「下に行くとやわらかくなるよ」
「あっ、ミミズだ!」
「こっちにも虫がいるな」
「何かの幼虫が出てきたぞ!」
いろいろな言葉が聞こえます。
「かたいところとやわらかいところがある」
まだ9月なので蚊と格闘しながら、つちいじりをしていました。
自然は肌で感じることが大切なのです。
翌日は、土に触ってみて感じたことを出していきました。
「土の中に生きものがいた」
「下の方のやらかいところは、虫がいなかったよ」
「下の方は乾燥していた」
「上の方はかたかったな」
「カブトムシの餌は、葉っぱなんだよ、土はやわらかくないと育たないんだ!」
幼虫を実際に飼っている子はとても熱く語ります。
『じゃあ、葉っぱがいっぱいあるといい土なのだろうか?』
『植物にとっては?』
畑をやった経験のある子どもから、肥料という言葉も出てきました。
「昔は畑やっている人は、人間のうんちを肥料にしていたんだって」
「動物のフンも肥料になるんだよ」
肥料は、栄養。栄養のある土はいい土っていえるのでは?という言葉が浮かんできました。
「湿り気」「やわらかさ」「生きものがいること」「フンがいっぱいある」など、
キーワードがあがってきました。
夏休みの課題図書で「土をつくる生きものたち」という本をあらかじめ読んでもらっていたので、
イメージも湧きやすかったようです。
みんなで読み直しました。
雑木林では、土は、様々な生きものが噛み砕いていったり、フンをしたりして作り出しています。
そして、栄養を作り出していることが分かりました。土の中にいる微生物も大きく関わっています。
いろいろな生物が土を作り出していて、そこから栄養を植物に与えています。
しかし、子どもたちは実感がわかない様子です。
さて、来週は、いろいろな土を調べていく中で、いい土かということを調べていきます。
そして、実際に農業をやっている方のお話を聞きにいきます。
TK
道ばた・公園・河原・・
身の回りに普通にある「石」。
今回はその「石」がテーマです。
子ども達とはまず「岩・石・砂・泥」についてイメージしてもらいました。
「この4つの違いはなんだろう?」
「岩はゴツゴツ!」「石は岩の子ども」「砂はサラサラ」「泥はドロドロ」
「岩は山と石の合体だ!」「砂は石が少ないんだよ」「小さいって事かも」
その後、辞書で定義を調べてみました。
子ども達のなかで大きさの違いで名前がつけられているのではないか。
という事がわかってきました。
そこで、ほんとに大きさの違いだけなのか
今週は「石が少ない→砂」を蚕糸の森の色んなところで集めてきて
観察してみる事にしました。
まずは、集めてきた砂をふるいにかけます。
残ったのは礫で落ちてきたのが砂です。
アスレチック・杉十のグラウンド・和田北公園・川の中
4種類の砂を採取しました。
それではいよいよ観察です!!虫眼鏡を使ってよぉ~く観察します!
「なんかキラキラしてるのがたくさんある!!」
「色んな色のやつがあるんだね」「なんか石みたいにみえてきたぁ!」
キラキラを3つ探す子。面白い形を探す子。
子ども達はすでに砂に夢中です。
大興奮の子ども達にお気に入りの3つを選んでもらい
ノートに貼り付けて名前をつけてもらいました。
「ミニミニ富士山」「翔太」「あかちゃん」
など思いおもいの名前をつけ満足そうです。
来週はいよいよ石の調査に多摩川に出かけます!!
調査隊には石の大きさ・数・種類を調査してもらう予定です。
調査結果を乞うご期待!!
LM
「いっぱい落ちてるから、カラスとちがってすぐに見れるね。」
今回のテーマは「静かなともだち」私たちの身の回りで静かーに
生きている木々や葉や花や実。
よく観察しているとなかなか奥深いものです。
まずは、葉っぱの絵を思い出して描いてみます。
しかし・・・意外と出てこない。同じ形の大きさ違いが並びます。
「これが、世界で一番大きい葉っぱ!(15cmほど)」
では、実際に葉っぱを集めに行きましょう。
どこにたくさんありそうかな?
「蚕糸!(の森公園)」
歩き始めてすぐに、
2人の顔よりもずっと大きい葉っぱに遭遇。
実際の葉っぱの世界は想像もつかないような
複雑な形、大きさ、色などにあふれています。
葉っぱを陽に透かしてみると・・・「この線(葉脈)だけ光ってるみたい!!」
「枯れないうちに家に帰ろう。」
「葉っぱは生きてるから、このままだと枯れちゃう。」
そこで、集めてきた葉っぱを押し葉にして保存することになりました。
「この厚い葉っぱも押し葉になるのかな。」「がんばれ!」
この日から毎日、間に挟んでいる吸い取り紙(新聞紙)を取り替え続けています。
次は、2日間かけて集めた葉っぱの名前を調べます。
葉っぱの写真、木につけられているプレート、本を手がかりに
確実な物に名前を記入していきます。
写真を見ながら判断しているのですが、大きさが分からないので
結構難しい作業です。しかし、かえって細かい部分にまで目を向けるという
感覚が育ってきました。そして、本を見ながら葉っぱについての色々な情報が
自然と子ども達の中に入っていきます。
「ずっと緑色っていう最強の葉っぱもあるんだ。」
そして、週末に向け、きちんと押し葉の吸い取り紙(新聞紙)を取り替えて
押し葉の出来具合に期待しつつ今週のテーマは終了です。
YT
夏休みの課題として、旅行行った先の土を取ってくることになっていたので、
『場所によって土はどんな違いがあるのだろう』
ということで、色、触った感じ、粒の大きさ、におい、水に混ぜるとどうなるかということの
違いを調査しました。
「この土には虫がいっぱいいるよ」
「水と混ざらないな」
「はっぱのようなものが浮いてきた」
違いを見ると、それぞれの土がどういう特徴を持っているか明確になってきました。
次の日には、農業をされている荻窪の武井さんという方の畑へ体験をしに行きました。
杉並区で体験農園というものを請け負って、昔から農業をやっている武井さんです。
まず挨拶をし、早速土を触らせていただきました。
「何かサラサラしているな」
「虫がいない」
「落ち葉も全然ないぞ」
『この辺りは掘ると黒い土だよ。深く掘ったら赤い土になるよ』とお話を聞き、
掘ってみたいということで、実際に畑の隅をスコップで深く掘らせてもらいました。
50cmぐらい掘ったところで
「赤い土になってきた」
「でも虫はいないな」
なんとミミズが一匹出てきただけでした。
「根っこもいっぱい出てきたぞ」
次の日、畑の体験を振り返ります。
「牛ふんとか鶏ふんを混ぜていた」
「栄養がないと育たない」
「落ち葉や木の枝がなかったよ」
「作物は、肥料で育っている」
「土ってふんなのかな?」
「虫がいた方がいい土だと思ったけど・・・」
「カブトムシにとってはいい土って落ち葉がいっぱいあってやわらかい土だ」
「でも虫がいない土でも野菜は育つ」
「いったいいい土ってどういうことなんだろ」
・・・
今まで学習してきたことと畑の体験と振り返るとよくわからなくなり、「?」が多くなりました。
そこでいったん整理をするために疑問に思ったことを意見していきました。
「落ち葉や虫たちも虫になるの?」
「土が悪いと植物はダメになるの?」
「人工のものは、土にならない?」
「土ってふんのかたまりなの?」
来週は、これらの「?」を探究していきたいと考えています。
TK
今週の2・3年生は「石の調査」です。
まずは石の採集に御嶽に向かいます。
現地での調査ポイントは3つ!
①半径2メートル以内の石の大きさ調査(20個)
②1メートル四方にある石灰石の数
③お気に入りの石を集める
石調査隊の3人は早めにお昼を済ませ、早速調査に取り掛かります。
「結構大きい石が多いなぁ」「白い石スゴイ多いよ!100個こえちゃうもん!」
「ねぇ見て!この石重い・・・!」
「この石もいぃなぁ。リボンみたい!」「この石しましま!!地層だ!地層だ!」
「これは魔法石。だって濡らすと色が出るんだよ!」
子ども達は石の持つ魅力にすでに引き込まれ、夢中で石調査を行いました。
次の日からは、スクールでの調査です。
まずは、子ども達が好きなように仲間分けをしてみました。
「つるつるグループ」と「ザラザラグループ」と触った感じでわけた子
「黒グループ」「灰色系グループ」・・と色で分けた子
「ビックリ灰色」「太陽グループ」・・とおもしろいネーミングをつけた子
1回ではなく色んな見方で分類をしてもらいました。
次の日は実は石には名前があるんだ!
という事で今度は科学的な分類を行います。
使ったのは、地学団体研究会から「河原の石のしらべ方 多摩川の石」です。
この本には実物大の石の写真と色・粒の大きさ・釘でこすった時どうなるか?
という事と、チャート式で石の見分け方ができるページがあり、
石の分類を行うにはピッタリなのです。
早速、自分達の集めた石と本を見比べて調査を行います。
「これは・・色は白っぽくて、粒は見えないし、傷がつく・・」
「石灰岩だ!!」「これは全然傷つかないよ!!」
「それは・・チャートだ!!」「これ難しそぉ・・」
子ども達は本と石を交互に見比べながら一生懸命に分類していきます。
そして集めてきた石の名前が判明!!
「この白いのは石灰岩ってゆぅのかぁ」
子ども達は自分の石の名前がわかり嬉しそう!
来週は多摩川中流の宿河原に行って調査を行います。
上流と中流ではどんな違いがあるのかな?
調査隊の調査結果が楽しみです!!
LM
今週は、課題図書を
みんなで見ることから始まりました。
先週気になっていた葉っぱの線は
「葉脈」と呼ぶことが分かりました。
子ども達は写真だと思っていたのですが、
実はこの葉っぱたちは
全て手描きで描かれています。
しかも、愛情たっぷりです。
葉脈が地図に見えて仕方がない男の子は、
「ヒイラギナンテンの葉脈は田舎の町みたい!こっちは大都会だ!」と興奮気味。
そのヒイラギナンテンをちゃんと覚えていた女の子は、
このテーマを既におこなった3年生の女の子から蚕糸の森公園の
ヒイラギナンテンの場所を教えてもらって伝えてくれました。
じゃあ、私たちもみんなが本物と間違うくらいの葉っぱの絵が
描けるかな? と、いうことでそれぞれがお気に入りの葉っぱを
選びました。
さあ、よーーく見て描きましょう。
改めて葉脈をじっくり観察してみると、色々なことに気がつきます。
「葉っぱが分かれてるのと一緒に葉脈も分かれてるよ。」
「裏から見ると、葉柄から葉脈につながってるよ。」
1枚の葉っぱの中に奥深い世界が広がっています。
子ども達も葉っぱと向き合い、対話する経験が出来ました。
今週は、押し葉を紙に貼って
自分達の図鑑を作る作業も開始です。
がんばって吸い取り紙(新聞紙)を
取り替え続けた成果あって、
いい具合に押し葉が出来上がっています。
これを透明セロファンテープで紙に貼り、
名前を記入していきます。
1年生にとっては難易度の高い作業ですが、スタッフの手も借りつつ、着々と作業は進みます。
しかし!!ここで問題発生。「名前が分からない葉っぱが多い!!」
緊急会議が開かれ、葉っぱの採集の仕方にちょっとした工夫をします。
「ぼくが葉っぱを取るよ。」
「私は名前描き。」
仕事を分担し、
本日採集した葉っぱの種類、
34種類なり!!
さあ、蚕糸の森公園には、
一体何種類の葉っぱがあるのでしょう・・・
(次週へ続く・・・)
YT
前回は、作物を育てる畑の土と生きものがいっぱいいる公園の土との差を比べることにより、
疑問が多くなりました。
そこから、具体的に疑問についてひとつひとつ探究していきます。
「落ち葉や虫も土になるの?」
「何が土にするのか?」という疑問を考えました。
「土の中に何かいるんじゃないの?」
「水分も関係あるんじゃない!」
「落ち葉とかもどれくらいでなくなるのかな?」
「確かめてみよう!」と実験を考えてすることにしました。
どのように実験すると土の働きがあるのかを話し合いました。
そして、
①土のある、なしでどうなるのか?
②虫がいる、いないのではどうなるか?
③土がしめっている、しめっていないのでどうなるのか?
という条件を変えて、行うことにし、その差を見比べることで土の働きを考えます。
調べると空気もある程度通し、よさそうなので、ダンボールを使って行うことになりました。
落ち葉を敷き詰め、土をいれ・・・手作りの実験器具が完成。
果たして結果はどうなるでしょう?どうやら長い時間がかかりそうです。
「土が悪いと植物が育たないのか?」ということを深く追求していきました。
そこで『植物が育つのに必要なものは何か?』という問いかけ
に「土」「水」「太陽の光」「肥料とか栄養」
ということがすぐにあがりました。
しかし、カイワレ大根などの土を考えると「土なしでも育っている」
では、「土なしでも生きていけるのではないか」
いったいどういうことかと考えていると「そうか、水をスポンジがふくんでいるから育つんだ」
ということに気がつきました。
土の役割として「保水すること」があることが明確になってきました。
そこで、保水力を調べるための実験をし、確認をすることにし今回はそのための準備をしました。
透明プラスチックに穴をあけ、それぞれ“校庭の土”“畑の土”“公園の土”“砂場の土”を入れていきます。
次回はそれぞれの土の保水する力がどれくらいあるのかということを計量します。
保水力は土によってどのように違うのでしょうか?
TK
今週の2・3年生も「石の調査」からのスタートです。
訪れるのは中流の宿河原です。
今回の子ども達は先週とは少し違います。
1回目の石の調査を経て、「ホルンフェルスを見つけたい!」「礫岩を持って帰ろう!」
と目的意識を持って臨みました。
早速調査を始めると子ども達から疑問の声が飛びはじめます。
「ねぇ!なんか御嶽の時より小さい石ばっかりだよ!」
「石灰岩が1個もなぁい!!」「なんでだろう?」
色々と気づくことがあるようです。
スクールに戻って石の大きさの平均値をだしてみました。
すると、河原で子ども達が言っていたように御嶽と10cmほど違いがありました。
「ほら、やっぱり小さかったでしょ?」「なんでだろう?」
石の分類をしてみてもやっぱり河原で出た疑問が出てきます。
御嶽では数え切れないくらい沢山あった石灰岩がない・・
宿河原では砂岩が多かったなど、上流と中流の違いが少し明確になってきました。
そこで、この2つの疑問についてみんなで考えてみる事にしました。
①「なぜ小さい石ばかりなのか?」
→大きい石は大きすぎて運べなくて上流でストップしちゃって、小さい石はすり抜けて
下流までいけるのではないか
川で流されるうちにあたったりして小さくなるのではないか
②「なぜ石灰岩がないのだろう?」
→石灰岩は流れにくい性質なのではないか
石灰岩は削れやすいから溶けてなくなってしまうのではないか
逆にチャートは硬いから溶けずに流されてきたのではないか
さて、来週以降はこうした疑問を解決するために実験をしていきます。
実験結果が楽しみです。
LM
葉んてぃんぐをしながら、子ども達は
どんどん葉っぱの名前を覚えていきます。
歩きながらもさりげなく、
「これ、ユズリハだよね。」
「私もそう思った!」
こちらはハクウンボクの葉っぱで作ったお面です。
今週は久々の実験も体験しました。
葉んてぃんぐをしながらいつも気にしていた葉脈についてです。
「葉脈は何のためにあるんだろう?」
「水が下から葉脈に入って葉っぱが大きくなってく。」
「栄養を根から茎、茎から葉脈を伝って伸び伸び葉っぱが生きられる。」
2人の説だと水や栄養が通る道がねっこから葉脈、葉っぱの先まで
ずっと続いているということになります。
「じゃあ、どんな実験をしたらそれが確かめられるかな?」
「・・・・」
「水は見えないよねぇ。」
「ジュースをあげる!それか染めた水!」
と、いうことで赤インクで色づけた水をセロリにあげてみることにしました。
まずは、セロリを観察して絵を描きます。
そして、2人で協力して色水の準備。
さあ、「葉っぱカルタ」をしながら待ちましょう。
「葉っぱカルタ」は子ども達が蚕糸の森で葉んてぃんぐした葉っぱの写真で作ったカルタです。
似ている葉っぱをスタッフが、「兄弟だ、こっちは親戚だね。」というと、
「じゃあ、親戚で集めよう!」という言葉が。
子ども達の頭の中が自然と分類の方向に流れていきます。
しかもこのカルタの枚数はまだしばらくの間、多くなっていくのです。
はたしてどこまで葉んてぃんぐできるか!
さて、30分が経過し、いよいよセロリを切ってみることに。
ドキドキ・・・・すると、綺麗に水の通り道が赤く染まっています!
縦に切っても線が赤くなっている。
下から順に輪切りにしていくと・・・・
「ある!!」「ある!!」「ある!!」・・・
上までずっと続いています。
結局30分で葉っぱの中ほどまでたどり着いていました。
本当にちゃんと水の通り道があるんだね。
YT
平成21年8月
東京コミュニティスクール