タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:上善水の如し。
水が不足しているといわれていても、ピンときません。
雨が降り、それが山を経て川や海に流れつき、蒸発して雲となり、
また雨となって繰り返される循環についての知識はあっても、
日頃の生活においては雨水を利用することも川の水を利用することもありません。
水道の水がどこからきて、どこへ行くのか。
自分たちが普段使っている水と自然の「水」
そして、水不足の「水」とどうつながっていくのか。
まずは身近に使っている水の行き先を辿っていきました。
スクールを出発して、坂を下っていきます。
“坂を下ると川がある”
「東京発見伝」のテーマ学習で歩いたときの地形感覚が活きてきます。
大久保通りを渡ると橋があります。でも、川は見当たりません。
「ここに桃園川があるんだよね。」
「川が見えるかな。」道の端にあるますの穴を覗きます。
「う・・・。すごい臭い。」
人口増加により汚染されたことは知っているため、やはりこの川は汚れてひどい状態なのかと想像しながら、神田川を目指します。
ところが、神田川の水は意外にきれい。
泥やごみは多少ありますが、
上澄みの水は透明になっています。
また、川が全面に顔を出したのに嫌な臭いは全くしません。いったいどういうことなのか、それを確かめることはできるのでしょうか。
神田川沿いを北に向かい、下落合に。
目的地の落合水再生センターに到着です。
家庭で排水された水がここに届きます。
試しに臭いを嗅いでみると、
「目が痛くなる。」
「鼻がツーンとなる。」と
桃園川緑道で嗅いだ「公衆トイレの臭い」よりも
きつい臭いと言います。
自分たちの使っている水はどこからきて、どこに行くのか。
水道の水が消毒されていることは知っているため、川からの水がダムで貯められ、浄水場できれいにされていることは想像できます。そのため、汚した水も薬による消毒できれいにされているというのが子どもたちの予想でありました。
お話の中で、水は薬品ではなく微生物によってきれいになることを聞き、
「微生物のおかげなんだね。」と見えない部分が見えてきます。
アメーバやクマムシなどの多数の微生物が汚れを食べて沈むことで上澄みの水がきれいになっていきます。
見えないけれど、無数の微生物がこの中で水の汚れを食べています。 サンプルを見せてもらったあとは、実際の現場に行ってみます。
「臭くはないけど何か臭う?」
反応槽と呼ばれる場所。微生物の臭いがします。
田んぼでも同じような臭いがするとの説明を聞き、
「あー。Tさんちの田んぼの臭いと似てる。」
サマーキャンプの田んぼが連想されます。
これで十分きれいな水ができあがり。
でも、終わりではありません。さらに砂濾過して真水にします。
水再生センターの役割は排水をきれいにして川に返すことと、雨水を管理すること。落合水再生センターでは神田川に水を放流します。
「こんなにきれいにする必要はないのだけど。」
行政で決められた神田川の水質基準を守るために、砂濾過作業をしているのはここ落合水再生センターの特徴だといいます。
必要以上にきれいにした水は透明度も高く、見た目もきれいです。ミネラルも取り除かれてしまうため、飲んでもおいしくない水だといいます。
この水で育った魚がこの前、卵を産んだそうです。
なにかモヤモヤを感じます。
見学後は、落合から妙正寺川沿いを歩きます。この川は中野再生センターから放流された水です。少ない水量ながらもきれいな川の水にカモが数羽止まっている様子が目に止まります。
桃園川の下は、今は下水道となっています。自分たちが嗅いだ臭いは汚水の臭い。一方、神田川の水は落合再生センターから出てきたきれいな水ということになります。
きれいにし過ぎているのは、汚し過ぎている反動でしょうか。
課題としては、やはり排水が通る下水道を汚さないこと。雨水が多くなれば、汚水はそのまま川に流れ出されてしまいます。また、老朽化に伴う工事が追いついていないのも現状です。
下水道管破損による事故のニュースをみると、管が汚れで細くなっている映像が出てきます。キッチンから流し出された油が管に固まってこびりついてしまうことが原因だという再生センターの人の話が思い起こされます。
TCSのキッチンの排水口を覗いてみると、すぐに異臭と固まった油が発見されます。 汚している当事者であることに気付かされます。
見えていない部分をみることで視野が広がってきています。
AN
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:上善水の如し。
[3・4年生]
自分たちの生活では蛇口をひねればいつでも好きなだけ水を使うことができます。水が不足しているといわれていても、ピンときません。
雨が降り、それが山を経て川や海に流れつき、蒸発して雲となり、
また雨となって繰り返される循環についての知識はあっても、
日頃の生活においては雨水を利用することも川の水を利用することもありません。
水道の水がどこからきて、どこへ行くのか。
自分たちが普段使っている水と自然の「水」
そして、水不足の「水」とどうつながっていくのか。
まずは身近に使っている水の行き先を辿っていきました。
スクールを出発して、坂を下っていきます。
“坂を下ると川がある”
「東京発見伝」のテーマ学習で歩いたときの地形感覚が活きてきます。
大久保通りを渡ると橋があります。でも、川は見当たりません。
「ここに桃園川があるんだよね。」
「川が見えるかな。」道の端にあるますの穴を覗きます。
「う・・・。すごい臭い。」
人口増加により汚染されたことは知っているため、やはりこの川は汚れてひどい状態なのかと想像しながら、神田川を目指します。
ところが、神田川の水は意外にきれい。
泥やごみは多少ありますが、
上澄みの水は透明になっています。
また、川が全面に顔を出したのに嫌な臭いは全くしません。いったいどういうことなのか、それを確かめることはできるのでしょうか。
神田川沿いを北に向かい、下落合に。
目的地の落合水再生センターに到着です。
家庭で排水された水がここに届きます。
試しに臭いを嗅いでみると、
「目が痛くなる。」
「鼻がツーンとなる。」と
桃園川緑道で嗅いだ「公衆トイレの臭い」よりも
きつい臭いと言います。
自分たちの使っている水はどこからきて、どこに行くのか。
水道の水が消毒されていることは知っているため、川からの水がダムで貯められ、浄水場できれいにされていることは想像できます。そのため、汚した水も薬による消毒できれいにされているというのが子どもたちの予想でありました。
お話の中で、水は薬品ではなく微生物によってきれいになることを聞き、
「微生物のおかげなんだね。」と見えない部分が見えてきます。
アメーバやクマムシなどの多数の微生物が汚れを食べて沈むことで上澄みの水がきれいになっていきます。
見えないけれど、無数の微生物がこの中で水の汚れを食べています。 サンプルを見せてもらったあとは、実際の現場に行ってみます。
「臭くはないけど何か臭う?」
反応槽と呼ばれる場所。微生物の臭いがします。
田んぼでも同じような臭いがするとの説明を聞き、
「あー。Tさんちの田んぼの臭いと似てる。」
サマーキャンプの田んぼが連想されます。
これで十分きれいな水ができあがり。
でも、終わりではありません。さらに砂濾過して真水にします。
水再生センターの役割は排水をきれいにして川に返すことと、雨水を管理すること。落合水再生センターでは神田川に水を放流します。
「こんなにきれいにする必要はないのだけど。」
行政で決められた神田川の水質基準を守るために、砂濾過作業をしているのはここ落合水再生センターの特徴だといいます。
必要以上にきれいにした水は透明度も高く、見た目もきれいです。ミネラルも取り除かれてしまうため、飲んでもおいしくない水だといいます。
この水で育った魚がこの前、卵を産んだそうです。
なにかモヤモヤを感じます。
見学後は、落合から妙正寺川沿いを歩きます。この川は中野再生センターから放流された水です。少ない水量ながらもきれいな川の水にカモが数羽止まっている様子が目に止まります。
桃園川の下は、今は下水道となっています。自分たちが嗅いだ臭いは汚水の臭い。一方、神田川の水は落合再生センターから出てきたきれいな水ということになります。
きれいにし過ぎているのは、汚し過ぎている反動でしょうか。
課題としては、やはり排水が通る下水道を汚さないこと。雨水が多くなれば、汚水はそのまま川に流れ出されてしまいます。また、老朽化に伴う工事が追いついていないのも現状です。
下水道管破損による事故のニュースをみると、管が汚れで細くなっている映像が出てきます。キッチンから流し出された油が管に固まってこびりついてしまうことが原因だという再生センターの人の話が思い起こされます。
TCSのキッチンの排水口を覗いてみると、すぐに異臭と固まった油が発見されます。 汚している当事者であることに気付かされます。
見えていない部分をみることで視野が広がってきています。
AN
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。