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水がなくなる?!

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:上善水の如し。

[3・4年生]

「Be Waterって、水のことやるんでしょ。」
テーマが水という思いはみんなが持っているようで、初回に水について知っていることを出し合うことには、何の抵抗感もない様子で始まりました。

「水は誰にでも必要なもの、生き物みんな。」
「体も水でできている。」
「水は、雨→川→海→蒸発して雲→雨ってぐるぐる回ってる。」

つまり、水は限りない資源ってこと?

3・4年生のうちの4年生たちは昨年度のテーマ学習「限りある資源、限りなき欲求」を経験しているため、「限りない」のかどうかを尋ねてみました。
すると、意見が分かれます。

「水は回ってて、それがずっと繰り返されてるからなくならないよ。」
「人口が増えていっているから、体に取り入れる水がどんどん増えて外の水はなくなると思う。」
「水にも限界があると思う。でも、「Zone」と同じで広げられるのかも。」
「砂漠の空気で水が作れるってテレビでみたよ。」
「でも、それちょっとの水しかつくれなくて数滴みたいだよ。」
「海水を飲める水にできる技術が進んでるから、水は作れるよ。だからなくならない。」

初回は子どもたちが持っている情報、prior knowledgeを引き出していきます。自分の意見と違う意見でも否定することなく、お互いに思っていることを発言していきます。特に意見が分かれるときはどっちが合ってるではなく、これから学んでいく中で全員の認識が更新されていくことを目指していきます。水が限りある資源だと話している子たちにとっても、それほど危機感は感じていないことが窺えます。

「なんで、Be Waterなの?」「水になるってこと?」
「みんなにあげる人になる?アンパンマンみたいな感じ?」

それぞれの発言を聞く中で、思いついたこと、つながったことをあげていくと話の流れはタイトルへと移っていきました。そうなると気になるのはセントラルアイディア。
「上善水の如し」という言葉を聞き、一同沈黙。
頭の上に「?」アンテナが立っている様子。
「うーん、全然わからない。」

上・善・水・ごとし、それぞれの意味はわかっても、つながらないからモヤモヤしています。そんな状態で終わった1日目でした。いったいどんなことをやるのか、水を知ることだけがテーマではないことになんとなく気づいている感じもします。

子どもたちの口にする言葉から、水は普通にあるもの、なくなるとしても遠い話であり、循環しているなら何の問題もないのではといった感覚でいることがわかりました。そこで、世界で起きている水に関する現状に目を向けていきます。

2017_1_bluegold.jpg『ブルー・ゴールド』
2008年に制作された水危機を描いたドキュメンタリーを視聴しました。
字幕の文字と映像を追いながら、わからない部分があっても何を訴えようとしているのか、自分たちなりに理解しようと見ていきます。
こんなことが起きているの!?
水戦争の現状を知り驚きます。



「50年後には水不足って、2008年に言っていることだから
自分たちが51才のときに起こるってことだ。」
「電気にも水を使ってるんだ。」
「バラ12本で120Lも使うんだ。」
「川の水が汚くて飲まなくても、それで育った植物を食べて病気になってる人がいる。」
「ダムをつくると木は育たなくなるんだ。」

人間が水利用のためにダムを作ることでの影響や人口増加による河川汚水、
生産する上で必要な水の存在、水に困っている人々が実際にいること、
その地域に井戸を掘っても地下水には限りがあるため課題が残されること、
自分たちの知らない世界が現実にあることを知り、見えない部分が見えてきます。そして、いちばんの驚きは「水戦争」でした。水(川)をめぐり国家間での争いがあり、また水が商品化されることで、買えない人は水が手に入らなくなり暴動へと発展していきます。

「たかが水で戦争が起きるなんて。」
「水だけで戦争になるんだって思った。」

私たちにとってみれば、水道の蛇口をひねれば簡単にきれいな水が手に入ります。水に困ったことがない生活を送っている立場だから出てくる発言であります。水がなくなると言われて「怖い」と思っても実感はなく、だから水を大切にしようと言っても響くところまでには至りません。

ただ、なんとも言えない複雑な思いにさせられたのも事実です。映像の中には水を売る企業側と一般市民との対立が出てきます。気持ちとして市民側だけれども、相手企業は日本でも有名な会社であり、輸入先に日本が入っているわけです。子どもたちのほどんどが飲み水はミネラルウォーター。水道水は飲まないといいます。自分たちは水の購入者であり、企業側のお客様になっていることになります。また、海水を淡水にできる技術の話も登場しますが、高額なコストがかかることなどの課題があることがわかりました。

そこで疑問となるのは、自分たちはなぜ水に困らないでいられるのかということになります。そして、水問題に関して「水が少ない国があるなら奪い合わないで水が多い国があげればいいのに。」と感想が出るように解決策があるのではないのかという思いも出てきます。

2017_1_lunch_IMGP8710.jpg「Be Water」って、
「上善水の如し」ってどういう意味?
水で争いが起きてるなんて信じられない。
日本では水問題が起きていない?



当たり前のようにある水、意識していなかった水に目を向けて自分たちがこれまで見えていなかった現実に突入していきます。


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TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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