タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」
この問いかけから探究はスタートしました。
「わるいところを直すことでしょう」
「いらないところを削ることだよ」
「逆に、よくなることを足すんじゃないかな」
立て続けに考えが集まりました。子どもたちにとって、「編集」という言葉は、むしろ「耳慣れた言葉」のようです。
「だって、映画とかテレビとか編集するじゃん。ぼくたちだって i-pad で動画編集するしさ」
テレビを見れば、「これ編集してね!」とタレントが両手をカニのはさみのように動かして「カットして」というようなしぐさをします。都合の悪いところ、まずいところを切りとるという意味で「編集」が使われています。また、どうしたら面白い動画になるか考えてシーンを組み合わせてゆくかも「編集」だと実感しています。この場合はよりよくするために何を付け加えるかというのが「編集」です。
「編集」の意味については、すでに了解しているのですが、問題は、いかに「編集」がなされるか?ということ。そこで、こんな問いかけをしてみます。
「じゃあ、映画とかテレビとかi-padとかじゃなくて、普段、いつでも、どんな瞬間でも『編集』しているっていうことについてはどう思う?」
すると、子ども達の顔は
???
そこで、ちょっとした実験をしてみました。君たちの後ろのスペースでは、他のグループのテーマ学習が行われている。その様子を、今から5分、よく観察した後で150字以内でまとめてみようという課題を出しました。150字というとツイッターの文字サイズとほぼ同じ。とりあえずこれだけの字数があれば描写は可能なはず……ということでみな真剣に取り組み始めます。
「150字って結構長いなあ……」
「どう書こうかな……」
みな、ぶつぶつひとり言をこぼしながらも必死に書いています。さあ、書き上がったものをみんなでシェアします。
すると……
ある子は、子どもたちが楽しそうに話し合っているところを注目し、別の子は、誰かがスタッフに注意されているところを注目した。また別の子は、子どもの様子を中心に描き、また別の子は子どものまわりにいる見学している大人の様子を描いた。
「そうかみんな無意識に事実を選んじゃってるんだ」
「無意識に」というところがポイントだということに子どもたちはすぐに気づきます。スクールで子どもどうしのトラブルが起きるときはいつでも「無意識に」何かをしてしまうことが原因になっています。無意識は意識的にコントロールしにくい……だから始末におえないんだよな……ということを日頃から痛感している子どもたち。「編集する」ときも同じ。「無意識に」情報を選んで、場合によっては知らず知らず脚色して、でも、それが起こったことのすべてであるかのようにレポートしてしまう。そんな「無意識的編集」という側面について今回初めて認識したのでした。
では、私たちは無意識に編集してしまう存在なのだということを意識して、いかに編集を行ったらよいのだろう……これこそ今回の探究テーマです。
「自分が見たいことだけみないようにしなくちゃいけないよな」
「でも、どうしたらそんなことできるの……」
そこで「編集方針」を考える必要があるということを伝えます。
「ただ自分の好きなようにまとめればいいのではなく、全体としてどうしたいかという方針が必要ということ、それを決めないと本はできない」
今年も、このテーマ学習でのアウトプットは、TCSの子どもたちの書いた作文を「編集」しブラッシュアップして「作文集」をつきりあげることです。硬く言えば、TCSキッズ作文集編集委員会ということになるでしょう。
子どもの作文のどんな点をアピールしてゆくのか、対象となる読者は誰か、といったことを考えてゆく。それが編集方針を決めてゆくということです。
編集方針は、そのまま本のタイトルにもつながっていきます。また章立てや作文を紹介する順番にも関わってきます。どんな編集方針にするか……実際の編集作業は、冬休みにホームワークとなります。その前に、じっくり編集会議をして、どんな本にするか編集会議の末決定し、「方針」とし、また、どんなふうに編集作業を行うか、技術的なことも理解しないといけません。そのためにまず、来週までに、自分の作品を、自分なりに「編集」してみることからスタートしました。
簡単にサクサク「編集」のコツがつかめるわけがなく、まずは、自分がどんな書き方をしていて、どうしたらもっと面白くなりそうか考えるところから始めます。とはいえ、これだけでもとても難しいし、大変な作業です。ところが「仕事」としてやり抜くという Responsibility が子どもたちに満ち満ちていて、全然、やらされる「宿題」という感じがありません。
よいものをつくらなきゃな、そのために締め切り含め、いい加減な仕事はできないな、自分の行動がみんなに迷惑をかけることになる……プロジェクトワークのよきストレス&緊張感を抱きつつ、Dear Editor 発進です。
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」
[5年生]
「編集ってどういうことだと思う?」この問いかけから探究はスタートしました。
「わるいところを直すことでしょう」
「いらないところを削ることだよ」
「逆に、よくなることを足すんじゃないかな」
立て続けに考えが集まりました。子どもたちにとって、「編集」という言葉は、むしろ「耳慣れた言葉」のようです。
「だって、映画とかテレビとか編集するじゃん。ぼくたちだって i-pad で動画編集するしさ」
テレビを見れば、「これ編集してね!」とタレントが両手をカニのはさみのように動かして「カットして」というようなしぐさをします。都合の悪いところ、まずいところを切りとるという意味で「編集」が使われています。また、どうしたら面白い動画になるか考えてシーンを組み合わせてゆくかも「編集」だと実感しています。この場合はよりよくするために何を付け加えるかというのが「編集」です。
「編集」の意味については、すでに了解しているのですが、問題は、いかに「編集」がなされるか?ということ。そこで、こんな問いかけをしてみます。
「じゃあ、映画とかテレビとかi-padとかじゃなくて、普段、いつでも、どんな瞬間でも『編集』しているっていうことについてはどう思う?」
すると、子ども達の顔は
???
そこで、ちょっとした実験をしてみました。君たちの後ろのスペースでは、他のグループのテーマ学習が行われている。その様子を、今から5分、よく観察した後で150字以内でまとめてみようという課題を出しました。150字というとツイッターの文字サイズとほぼ同じ。とりあえずこれだけの字数があれば描写は可能なはず……ということでみな真剣に取り組み始めます。
「150字って結構長いなあ……」
「どう書こうかな……」
みな、ぶつぶつひとり言をこぼしながらも必死に書いています。さあ、書き上がったものをみんなでシェアします。
すると……
ある子は、子どもたちが楽しそうに話し合っているところを注目し、別の子は、誰かがスタッフに注意されているところを注目した。また別の子は、子どもの様子を中心に描き、また別の子は子どものまわりにいる見学している大人の様子を描いた。
「そうかみんな無意識に事実を選んじゃってるんだ」
「無意識に」というところがポイントだということに子どもたちはすぐに気づきます。スクールで子どもどうしのトラブルが起きるときはいつでも「無意識に」何かをしてしまうことが原因になっています。無意識は意識的にコントロールしにくい……だから始末におえないんだよな……ということを日頃から痛感している子どもたち。「編集する」ときも同じ。「無意識に」情報を選んで、場合によっては知らず知らず脚色して、でも、それが起こったことのすべてであるかのようにレポートしてしまう。そんな「無意識的編集」という側面について今回初めて認識したのでした。
では、私たちは無意識に編集してしまう存在なのだということを意識して、いかに編集を行ったらよいのだろう……これこそ今回の探究テーマです。
「自分が見たいことだけみないようにしなくちゃいけないよな」
「でも、どうしたらそんなことできるの……」
そこで「編集方針」を考える必要があるということを伝えます。
「ただ自分の好きなようにまとめればいいのではなく、全体としてどうしたいかという方針が必要ということ、それを決めないと本はできない」
今年も、このテーマ学習でのアウトプットは、TCSの子どもたちの書いた作文を「編集」しブラッシュアップして「作文集」をつきりあげることです。硬く言えば、TCSキッズ作文集編集委員会ということになるでしょう。
子どもの作文のどんな点をアピールしてゆくのか、対象となる読者は誰か、といったことを考えてゆく。それが編集方針を決めてゆくということです。
編集方針は、そのまま本のタイトルにもつながっていきます。また章立てや作文を紹介する順番にも関わってきます。どんな編集方針にするか……実際の編集作業は、冬休みにホームワークとなります。その前に、じっくり編集会議をして、どんな本にするか編集会議の末決定し、「方針」とし、また、どんなふうに編集作業を行うか、技術的なことも理解しないといけません。そのためにまず、来週までに、自分の作品を、自分なりに「編集」してみることからスタートしました。
簡単にサクサク「編集」のコツがつかめるわけがなく、まずは、自分がどんな書き方をしていて、どうしたらもっと面白くなりそうか考えるところから始めます。とはいえ、これだけでもとても難しいし、大変な作業です。ところが「仕事」としてやり抜くという Responsibility が子どもたちに満ち満ちていて、全然、やらされる「宿題」という感じがありません。
よいものをつくらなきゃな、そのために締め切り含め、いい加減な仕事はできないな、自分の行動がみんなに迷惑をかけることになる……プロジェクトワークのよきストレス&緊張感を抱きつつ、Dear Editor 発進です。
RI
※TCS2015年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。