タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」
この問いかけから探究はスタートしました。
「わるいところを直すことでしょう」
「いらないところを削ることだよ」
「逆に、よくなることを足すんじゃないかな」
立て続けに考えが集まりました。子どもたちにとって、「編集」という言葉は、むしろ「耳慣れた言葉」のようです。
「だって、映画とかテレビとか編集するじゃん。ぼくたちだって i-pad で動画編集するしさ」
テレビを見れば、「これ編集してね!」とタレントが両手をカニのはさみのように動かして「カットして」というようなしぐさをします。都合の悪いところ、まずいところを切りとるという意味で「編集」が使われています。また、どうしたら面白い動画になるか考えてシーンを組み合わせてゆくかも「編集」だと実感しています。この場合はよりよくするために何を付け加えるかというのが「編集」です。
しかしまだ「編集」の意味の一側面しか了解していません。問題は、本やテレビの場合のみ「編集」がなされているのか?ということ。そこで、こんな問いかけをしてみます。
「じゃあ、映画とかテレビとかi-padとかじゃなくて、普段、いつでも、どんな瞬間でも『編集』しているっていうことについてはどう思う?」
すると、子ども達の顔は
???
そこで、ちょっとした実験をしてみました。君たちの後ろのスペースでは、他の学年のテーマ学習が行われている。その様子を、今から5分、よく観察した後で何を見て、どんなことを聞いたか報告してほしいという課題を出しました。……ということでみな真剣に取り組み始めます。
「どう言おうかな……」
みな、ぶつぶつひとり言をこぼしながら観察しています。あっという間に5分がたちみんなで観察したことをシェアします。
すると……
ある子は、子どもたちが楽しそうに話し合っているところを注目し、別の子は、誰かがスタッフに注意されているところを注目した。また別の子は、子どもの様子を中心に描き、また別の子は子どものまわりにいる見学している大人の様子を語った。
「そうかみんな無意識に事実を選んじゃってるんだ」
「無意識に」というところがポイントだということに子どもたちはすぐに気づきます。スクールで子どもどうしのトラブルが起きるときはいつでも「無意識に」何かをしてしまうことが原因になっています。無意識は意識的にコントロールしにくい……だから始末におえないんだよな……ということを日頃から痛感している子どもたち。「編集する」ときも同じ。「無意識に」情報を選んで、場合によっては知らず知らず脚色して、でも、それが起こったことのすべてであるかのようにレポートしてしまう。そんな「無意識的編集」という側面について今回初めて認識したのでした。
では、私たちは無意識に編集してしまう存在なのだということを意識して、いかに編集を行ったらよいのだろう……これこそ今回の探究テーマです。
「自分が見たいことだけみないようにしなくちゃいけないよな」
「でも、どうしたらそんなことできるの……」
そこで「編集方針」を考える必要があるということを伝えます。
「ただ自分の好きなようにまとめればいいのではなく、全体としてどうしたいかという共通した方針が必要ということ、それを決めないと本はできない」
今年も、このテーマ学習でのアウトプットは、TCSの子どもたちの書いた作文を「編集」しブラッシュアップして「作文集」という「本」をつくることです。
子どもの作文のどんな点をアピールしてゆくのか、対象となる読者は誰か、という「編集方針」を固めて文集をつくってゆきます。
編集方針は、そのまま本のタイトルにもつながります。また章立てや作文の紹介順にも関わってきます。今回は昨年に比べ、編集メンバーが少なく、全体の人数は多い。作業量は多いので、最初から余裕がありません。ただし、昨年と違って、最初から一人一台パソコンを持ち、打ち込みながら作業ができます。そこで早速、既にできあがって提出されている下級生の作品を、自分なりに「編集」してみることからスタートしました。
簡単にサクサク「編集」のコツがつかめるわけがなく、まずは、他者の極めて「不完全」な文章の内容をなんとか読みとって、どうしたらもっと面白くなり、伝わりやすくなるか考えるところから始めます。とはいえ、これだけでもとても難しいし、大変な作業です。ところが「仕事」としてやり抜くという Responsibility が子どもたちに満ち満ちていて、全然、やらされる感じがありません。先輩達がやってきたことをなんとなく見ていたからでしょう。遂に自分たちの「番」がまわってきたという感じです。
よいものをつくらなきゃ……そのために締め切りを含め、いい加減な仕事はできないな、自分の行動がみんなに迷惑をかけることになる……プロジェクトワークのよき緊張感を抱きつつ、Dear Editorチーム発進です。
RI
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「編集によって情報の価値は変わる。」
[5年生]
「編集ってどういうことだと思う?」この問いかけから探究はスタートしました。
「わるいところを直すことでしょう」
「いらないところを削ることだよ」
「逆に、よくなることを足すんじゃないかな」
立て続けに考えが集まりました。子どもたちにとって、「編集」という言葉は、むしろ「耳慣れた言葉」のようです。
「だって、映画とかテレビとか編集するじゃん。ぼくたちだって i-pad で動画編集するしさ」
テレビを見れば、「これ編集してね!」とタレントが両手をカニのはさみのように動かして「カットして」というようなしぐさをします。都合の悪いところ、まずいところを切りとるという意味で「編集」が使われています。また、どうしたら面白い動画になるか考えてシーンを組み合わせてゆくかも「編集」だと実感しています。この場合はよりよくするために何を付け加えるかというのが「編集」です。
しかしまだ「編集」の意味の一側面しか了解していません。問題は、本やテレビの場合のみ「編集」がなされているのか?ということ。そこで、こんな問いかけをしてみます。
「じゃあ、映画とかテレビとかi-padとかじゃなくて、普段、いつでも、どんな瞬間でも『編集』しているっていうことについてはどう思う?」
すると、子ども達の顔は
???
そこで、ちょっとした実験をしてみました。君たちの後ろのスペースでは、他の学年のテーマ学習が行われている。その様子を、今から5分、よく観察した後で何を見て、どんなことを聞いたか報告してほしいという課題を出しました。……ということでみな真剣に取り組み始めます。
「どう言おうかな……」
みな、ぶつぶつひとり言をこぼしながら観察しています。あっという間に5分がたちみんなで観察したことをシェアします。
すると……
ある子は、子どもたちが楽しそうに話し合っているところを注目し、別の子は、誰かがスタッフに注意されているところを注目した。また別の子は、子どもの様子を中心に描き、また別の子は子どものまわりにいる見学している大人の様子を語った。
「そうかみんな無意識に事実を選んじゃってるんだ」
「無意識に」というところがポイントだということに子どもたちはすぐに気づきます。スクールで子どもどうしのトラブルが起きるときはいつでも「無意識に」何かをしてしまうことが原因になっています。無意識は意識的にコントロールしにくい……だから始末におえないんだよな……ということを日頃から痛感している子どもたち。「編集する」ときも同じ。「無意識に」情報を選んで、場合によっては知らず知らず脚色して、でも、それが起こったことのすべてであるかのようにレポートしてしまう。そんな「無意識的編集」という側面について今回初めて認識したのでした。
では、私たちは無意識に編集してしまう存在なのだということを意識して、いかに編集を行ったらよいのだろう……これこそ今回の探究テーマです。
「自分が見たいことだけみないようにしなくちゃいけないよな」
「でも、どうしたらそんなことできるの……」
そこで「編集方針」を考える必要があるということを伝えます。
「ただ自分の好きなようにまとめればいいのではなく、全体としてどうしたいかという共通した方針が必要ということ、それを決めないと本はできない」
今年も、このテーマ学習でのアウトプットは、TCSの子どもたちの書いた作文を「編集」しブラッシュアップして「作文集」という「本」をつくることです。
子どもの作文のどんな点をアピールしてゆくのか、対象となる読者は誰か、という「編集方針」を固めて文集をつくってゆきます。
編集方針は、そのまま本のタイトルにもつながります。また章立てや作文の紹介順にも関わってきます。今回は昨年に比べ、編集メンバーが少なく、全体の人数は多い。作業量は多いので、最初から余裕がありません。ただし、昨年と違って、最初から一人一台パソコンを持ち、打ち込みながら作業ができます。そこで早速、既にできあがって提出されている下級生の作品を、自分なりに「編集」してみることからスタートしました。
簡単にサクサク「編集」のコツがつかめるわけがなく、まずは、他者の極めて「不完全」な文章の内容をなんとか読みとって、どうしたらもっと面白くなり、伝わりやすくなるか考えるところから始めます。とはいえ、これだけでもとても難しいし、大変な作業です。ところが「仕事」としてやり抜くという Responsibility が子どもたちに満ち満ちていて、全然、やらされる感じがありません。先輩達がやってきたことをなんとなく見ていたからでしょう。遂に自分たちの「番」がまわってきたという感じです。
よいものをつくらなきゃ……そのために締め切りを含め、いい加減な仕事はできないな、自分の行動がみんなに迷惑をかけることになる……プロジェクトワークのよき緊張感を抱きつつ、Dear Editorチーム発進です。
RI
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。