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権利を奪う「権利」はない

タイトル:Borderless World
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:人権は自由、正義及び平和の基礎である。

[6年生]

今週も「世界人権宣言」を深く読み込みます。

先週引っかかっていた「死刑」制度について、キッズは家でも保護者の皆さんと話をしてきたようである子がクイズを作ってきました。

「もしあなたの大切な人が、殺されてしまったらどうする?」
1:許す
2:死刑にして欲しいと思う

学びを毎日まとめているジャーナルにこう書かれており、私はすかさず「許せない」と答えました。

「もし自分がその被害にあったら」
そういう視点は「人権」を見る一つの見方として重要です。

逆に「死刑」に限らず、「制度を作る側」に立った時には、「人権」を守っていくにはどのような工夫が必要なのでしょうか。

この話は、すべての条項を読み終わった後、振り返りの時に議論になりました。
それぞれが最も気になった条項を取り上げたところ、3人が30条を取り上げました。

第30条 権利を奪う「権利」はない この宣言でうたわれている自由と権利を、ほかの人の自由と権利をこわすために使ってはなりません。どんな国にも、集団にも、人にも、そのような権利はないのです。
ー世界人権宣言 第30条より


権利を奪う「権利」はないという言葉に、それ自体が「矛盾」や「食い違い」であるという意見が多くありました。

あるキッズが考えたのは、「上には上がいる」ということで、ある人の上にその人の権利を縛る人がいる、さらにその上に国があり、それぞれの上の人が下の人の権利を縛るということでした。
また別の意見によれば、「人を殺さない限りは、自由である」ということもありました。
人権は「自由」「正義」「平和」の基礎である、これが今回の中心となる概念ですが、しかし、「他の人の権利を犯さない」ということが条件として、制約としてあるのです。

そのことが、最も重要な最後の条項に書かれていたのです。

今回の学びではキッズ達から本を紹介し読みあっています。
2016_T6_G5_borderless_world_W4_01.JPG
今回キッズの方から上がってきた参考図書は、
・バリ・ライ(2015)『おいぼれミック』(岡本さゆり訳)あすなろ書房
・灰谷健次郎(1998)『兎の眼』角川文庫
・ルイス・サッカー(2006)『穴』(幸田敦子訳)講談社文庫
他多数・・・

と言った具合に、関係のある書籍を読みながら、新聞記事から関係のあるものをピックアップしながら学びが進んでいきます。
特に話題に上がってきたのは「差別」についてです。

「おいぼれミック」では「イギリス人」と「インド人」の間での人種差別と、その差別を乗り越える話が描かれていました。

話を紹介しながら、「差別」と「差別じゃないこと」の違いは何か、考えを広げます。

「差別」は「差」があるからこそ起こる。つまり、人と人とでの「違い」で分けることである。
そして、差別じゃないのはそれぞれの人の性格、例えば「人気者であるから誘おう」などということは「差別にあたらない」ということでした。

世界人権宣言の第2条にもどれば。。

第2条 差別はいやだ わたしたちはみな、意見の違いや、生まれ、男、女、宗教、人種、ことば、皮膚の色の違いによって差別されるべきではありません。また、どんな国に生きていようと、その権利にかわりはありません。

とあります。

つまり、これらの「違い」によって分けられてしまう、避けられてしまう、
そんなことが差別に当たるということです。

本にはその「差別」を超えるアイディアとして、「関わる」「相手の好きなものを理解する」などで「差別」を乗り越え、隣人の老人と仲良くなるというストーリー展開になっていました。

私たちはこれからこの、「差別」や「紛争」などを克服することをめざし、理想を掲げる「TCS人権宣言」を起草します。

私たちが守るべき人権について、私たちが守れる人権について考えてまいります。

TY

TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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