東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2013年01月 アーカイブ

2013年01月10日

ワークショップ1/19
『探究型』を探究する(5)

探究型学習をデザインする指導者のためのワークショップ
「探究型」を探究する (5) Attitudes


 小学生を対象とした全日制スクールを運営する東京コミュニティスクール(TCS)は、20年後の社会を担う子どもたちに相応しい学校教育のイノベーションを実現することを目的に研究・実践・普及活動をしている特定非営利活動法人(NPO)です。
 その中で、「探究型学習(inquiry-based learning)」を特長とし、世界中から新しい時代の教育として大いに注目されている国際バカロレア(IB)の初等教育プログラム(PYP: Primary Years Programme)から多くのことを学ぶとともに、それを基軸に、日本の子どものための「探究型学習」の研究・実践・普及活動を続けてきました。
 回を重ねるごとに盛況さが増している『「探究型」を探究する』シリーズの第五弾となる今回は、学びの重要な要素の一つでもある「Attitudes (態度・姿勢)」に焦点を当てます。道徳という教科の中ではなく、あるいはHidden Curriculum(隠れたカリキュラム)としてでもなく、探究の中でいかに生活や学びの態度や姿勢を子どもたちとともにShared Curriculum(共有化されたカリキュラム)として学んでいくのかについて探究し、具体的な活用方法とその意義について、体験を通じ、インタラクティブなスタイルで学んでいただきます。
 探究型学習がうまくいかなくて悩んでいる方、世界に通用するレベルの探究型学習をデザインしたい方、探究という学び方に興味のある方など、現役の教員に限らず教育に興味関心のある方であれば、どなたでも参加できます。

【テーマ】 「探究型」を探究する (5) Attitudes

【日 時】 2013年1月19日(土) 9時00分~17時00分

【会 場】 株式会社内田洋行本社 東京 ユビキタス協創広場 CANVAS 2階

東京都中央区新川2-4-7 ※会場へのアクセス

【WSリーダー】 久保 一之(くぼ かずゆき) 市川 力(いちかわ ちから)
※プロファイルは、下記をご参照ください。

【対 象】 教育関係者、一般

【定 員】 36名(要申込) 定員になり次第、締め切ります。

【参加費】 9,000円(資料代、昼食代込み)


※お申込みいただいた後、詳細のご案内メールをお送りいたします。

※キャンセルポリシーはこちら

お問合せ・お申込みは、

 東京コミュニティスクール セミナー事務局 まで

TEL:03-3313-8717  FAX:03-3313-8790
e-mail: s12#tokyocs.org

※メールアドレスの「#」を「@」に直してください

【お申込み方法】 件名を「参加希望ワークショップ0119」とし、
参加を希望するすべての方について、以下の事項をお知らせください。
    1.氏名(ふりがな)
    2.所属(勤務先会社名、学校名等)
    3.e-mailアドレス(できればPCアドレスをお願いします)
    4.日中の連絡先(緊急用)
    5.講座を知ったきっかけ(ホームページ、知人、新聞・雑誌名、SNS名等)
※2~3日中に返信がない場合は、お手数ですがお電話でのご連絡をお願いいたします。


主催: 特定非営利活動法人東京コミュニティスクール  
後援: 株式会社グローバルパートナーズ
協力: 株式会社内田洋行

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WSリーダー プロファイル

久保 一之
KAZU_casual_small.bmpNPO法人東京コミュニティスクール創立者・理事長
小学生から大学・社会人までの教育に幅広く携わる中で、探究型の学びの研究開発・実践・普及活動、学校教育の国際化支援等に特に力を入れて活動。国際バカロレアの初等教育プログラム(IB-PYP)の研究を通じて日本の小学校教育の未来像を提案している。
株式会社グローバルパートナーズ代表取締役社長、株式会社ビジネス・ブレークスルー コンサルタント、ビジネス・ブレークスルー大学 准教授・同大学院 講師。


市川 力
Riki_classroom_small_up2.jpgNPO法人東京コミュニティスクール校長
米国にて13年間日本人駐在員の子ども対象の学習塾を運営。現地の学校で行われていたプロジェクトベースの学びに触れ、『学び続ける力』を育てる教育実践に強い関心を抱く。2004年8月より東京コミュニティスクール初代校長に就任。自ら現場に立ち、初等教育における探究型学習の研究・開発・実践を行っている。主な著書は、「探究する力」(知の探究社)、「英語を子どもに教えるな」「教えない英語教育」(ともに中公新書ラクレ)。講演多数。


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会場案内
株式会社内田洋行本社 東京 ユビキタス協創広場 CANVAS 2階

住所) 東京都中央区新川2-4-7
URL) http://www.uchida.co.jp/company/showroom/canvas.html

map_CANVAS.bmp

交通のご案内(地下鉄をご利用の場合)
東京メトロ 日比谷線「八丁堀駅」下車、「A4」出口より徒歩4分
東京メトロ 日比谷線・東西線「茅場町駅」下車、「1番」出口より徒歩5分
JR京葉線「八丁堀駅」下車、「B1」出口より徒歩5分
※お車でのご来館はご遠慮ください。

2013年01月11日

冬休みに調べたこと考えたことを発表!

[1・2年生]

新年最初の1週間は、子どもたちそれぞれが関心を抱いた「外来種」に
ついて、冬休みの間に調査してきたことの発表から始まりました。

「お寺に出るタヌキが花を食べちゃった写真だよ」

お寺の息子である男の子は、お寺に住みついたタヌキのことについて調べ
ました。そのタヌキを撮影した写真も持ってきてくれて、それをみんなで
のぞきこむと、

「カワイイ!」

といっせいに声があがるほど愛らしいではありませんか。

お寺にタヌキ……と言えば、證誠寺(しょうじょうじ)のタヌキばやしを
思い浮かべてしまい、何とも似つかわしいと感じてしまうのですが、元々、
このお寺にタヌキが出ることはなかったとか。確かに杉並区高円寺と言え
ば、環七も近く、マンションや商業ビル、オフィスビル、家が隙間なく立
ち並び、野原はほとんどなく、野生動物が住むのにふさわしいようには見
えません。

都市化が進んだ後でタヌキが住みついた?

つまり、この地域にとって、タヌキは自然侵入による「外来種」なのです。
これはなかなか不思議なことではありませんか。実際に杉並区は、23区の
中でもタヌキ発見率の高い地域のようで、少なくとも150頭のタヌキが生息
しているそうです。

「いろんなところに糞をするから困ってるんだ」

とその子は報告してくれます。ただ、それは人間側の事情です。タヌキには
タヌキにとっての事情があるはずでは?とゆさぶってみると、

「タヌキは雑食だから、ネズミとか以外にもゴミもあさるからなあ……」

なるほど!人間がタヌキの住みやすい環境をお膳立てしているというわけ
ですね。そんなタヌキを襲う天敵も見当たらないし、お寺には浸入しやすい
隙間がたくさんあって居場所もバッチリ。タヌキにとって「都市環境」こそ
食住完備で敵なしのパラダイスなのかもしれないということが明らかになっ
てきました。

P1030781.JPG  P1030780.JPG

さあ、今度は、東京に突如現れた熱帯からの「外来鳥」について調べてきた
子の発表です。その鳥の名は、ワカケホンセイインコ。鮮やかな緑色をした
美しい鳥です。本来は、スリランカなどに生息する鳥なのですが、なぜか
東京都市部に住みつき、活動するようになりました。この「外来種」は集団
で固まってねぐらを形成するらしく、大岡山の東京工業大学キャンパス内に
そのねぐらがあると言われています。その場所をこの子は訪れたのでした。

冬至を越えたばかりの夕刻。寒さと戦いながら、いつになったら戻ってくる
か……と待ち構えていると、もはや闇におおわれそうな5時ごろ、何百羽も
のワカケホンセイインコがいっせいにねぐらに戻ってきたそうです。

「たくさんいて、すごかったよ!」

実際に目撃したものだけが語り得る「迫真」のレポートに、その興奮が聞い
ているみんなにも伝染し、緑色の無数の点がどこからかやってきて、散らば
ったかと思うと闇の中に消えていった様子がありありと見えるような気がし
ました。

P1030777.JPG  P1030782.JPG

でも、どんな経緯で熱帯の鳥がやってきたのでしょう。質問してみると

「ペットして飼われていたのが逃げて、それが増えたんだって」

なるほど、タヌキとは違って「自分の意志(?)」ではなく、人間が海外から
持ち込んだものが逃げたり、捨てられたりした結果なのですね。

この子は、TCSのすぐ近くに事務所がある日本鳥類保護連盟でワカケホンセイ
インコを調べている方にメイルを送ってさらに調べました。すると、一時期、
東京近郊において2000羽を越え、このまま増え続けるかもしれないと警戒し
たものの、最近では、1500羽程度で落ち着いているということがわかりまし
た。また、農作物への被害も特に報告されておらず、ねぐらやエサを競合する
鳥との間で生態系のバランスを崩すほどの問題が起きてもいないようです。

東京には、ワカケホンセイインコのように、目立って生態系を壊すようなこと
はなく、なんとなくいついてしまう「帰化鳥」が他にもいるそうです。その中
で、突出して増えすぎるものが出てくると「危険外来種」に指定されるわけ
ですが、ワカケホンセイインコは、スズメやカラスとともに、東京という環境
になじみ、人々も珍しがらない存在になりつつあるようです。

「絶滅危惧種」や「外来種」の問題が、実は、自分が毎日暮らしている「身近」
なところで起きていることが、調べてみていっそう実感としてとらえ始めた
子どもたち。いよいよテーマ発表に向けて、この問題に対して、自分たちは
どうしていったらよいのか考えていきます。

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

段取り八割

[3・4年生]

今週はそれぞれ設計図をにらみながら製作作業に打ち込みました。
スケジュールを意識し、5週目最終日完成を目指してがんばっています。

木材の切断作業が成功し、まっすぐの切断面で切り終えることができた子もいれば、斜めになってしまったり、図面よりも短くなってしまった子もいます。 しかし比較的みんな、自分で引いた線通りに丁寧に切断することができたようです。
切断が終わるとサイズの微調整や仕上げのためヤスリ作業に必死になります。

「おりゃおりゃー これでもかーー!!」「負けるもんかーーー!これでもくらえーー。」

などと言いながら自分を駆り立てヤスリ作業に一生懸命になっています(笑)

切断作業がうまくいった子は木材の角を取ったり、触り心地が滑らかになるように丁寧に全体をヤスリがけしています。いい仕事してますねーー!

材料を図面よりも切りすぎてしまった子は、それをリカバーするために【1.小さな木片をボンドでつけて寸法を合わせる2.短くなった木材に合わせて他の木材も全て短くする3.もう一度切断し直す】 など考えられる解決策を自分で挙げて、その中から実現可能性と労力などを考えた上 【3.もう一度切断し直す】を選択し対処していました。

やはり失敗した時にこそ、学びの種が現れます。そして無事リカバー出来て満足げに次のヤスリ作業へ移っていきました。

毎日の作業が終わると子どもたちは職人日誌をつけて当日の作業内容とスケジュールとの兼ね合い、また作業中の良かった点と改善点を振り返るようにしています。
この日々の振り返りとそのシェアリングが翌日の作業に反映されていって少しずつですが着実に作業が丁寧に考えながら行われるようになってきました。

来週はいよいよ組み立てに入ります。どんな仕上がりになるか楽しみです。最後まで安全第一でがんばろう!!

YI

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理想の未来とは?


[5年生]


冬休みも明けて、本テーマも後半に突入!
「消費電力50%減で豊かに暮らす社会」の提言に向けてその内容を考えていきました。
基にしたのは、冬休み中の課題として子どもたちが書き込んできたワークシート。
このワークシートには、自分の目指す未来とは何か、電力に依存せずに豊かに生きるにはどうするかを考え書き表しました。


目指す未来というのは、約30年後に設定。
というのも、5年生は前テーマ「個の尊厳」の時に28年後までの自分の年表を書いています。
そうして自分の将来を描く経験をしていたので、未来の暮らしについてはイメージしやすかったよう。
「出勤が遅い日だったら、旦那さんと子どもを見送った後、寝て仕事に備えたり、晩ご飯を用意して出かける。」
「お店や病院など便利なものは近くにあって欲しい。」
「仕事の打ち合わせはできるだけ現地でやりたい。けれど家でも会議ができるようデジタル会議室があるんだ。」
「子どものためにできるだけ早く家に帰りたい。」
「マンションのベランダに庭があったりと、街の中にいても自然が欲しい。」
「世界との距離がすごく近くて、行きたいところにすぐ行くことができる。」
「自然が美しいところに住んでいたい。」
など、様々な理想が挙がってきました。


理想の一日の過ごし方や環境を挙げることで、自分の生活において何を重用視しているのかが見えてきたところで……
さてさて、その理想の未来というのは電力に依存せずとも実現できるのか?
「“都会の中に自然がある”“自然はほどほどに欲しい”と言ってはいるけれど、
都市開発することと、自然を残すことは両立するの?」との疑問が見えてきます。


「二酸化炭素の排出量を減らしたい。だから木を植えればいい。」
「けど、それで環境を守ることになるのかな。」
エネルギーにまつわる問題はいろんな要素が関わっていて、危険だからやめる、便利だから使う、というような単純な策では対処療法に過ぎず、根本的な解決にはならないでしょう。
そうした考えでは多くの人から共感を得る提言にはなりません。
まさにどの選択肢にも“功罪”がある葛藤の中で、決断しなければならないのです。


「原発を無くそうってデモしたりするけれど、原発を無くした後のことを考えないと、解決にならないんだと思う。」
「“なくてはならないもの”と“あった方がいいもの”がある。それをどう選べばいいのだろう。」
「楽しくやりたいと思ってもらえる政策をしたい。」
「あー、難しい……。」
と、消費電力減を前向きに捉えようとする姿勢が芽生えてきたところで今週は終わり。
開発することと自然を残すことのバランスをどうとるのか?
電力に依存せずに楽しく豊かに暮らす方法とは何か?
Creativityを発揮して、創造的なアイデアを生みだすことを期待したいと思います。


EN

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

緊張の上映会

[6年生]

冬休み明けのテーマ学習の初日。
冬休みのホームワークとして取り組んできた作品の上映会を行いま
した。

誰であれ、自分の作品を客観的に観ることは難しいもの。
作品をより良いものにするために、他人からのフィードバックを参
考にするのが狙いです。

その日たまたまスクールに遊びに来ていた卒業生の男の子も上映会
のゲストとして参加してくれることになりました。

今回の6年生が映画製作でipadを使用していることを知ると、
「卒業してまだ1年も経ってないのに、すっかり時代が変わってし
まった気がするなあ。」
「ああ、僕ももう一回撮り直したいよ・・・」
と正直な感想が漏れます。

まずはスタッフの作品を上映しました。
互いに製作段階の途中は知っているものの、どんな作品に仕上がっ
たか興味津々な様子。食い入るように作品を観ていました。

そして作品を観終えたところでふりかえりを行います。
ストーリーと演出の観点でそれぞれ「良かったところ」「改善した
方が良いところ」を挙げていきます。

自分の中でもいまいちと思っていた箇所をズバリと指摘されたり、
ある演出の工夫が予想以上に評判が良かったり。
他者の視点を取り入れることで、自己評価と他己評価のギャップ
を認識できることを実感しました。

その後、子ども達の作品を順に上映し、同様にふりかえりを行いま
した。

発表会を控えているので、作品の内容については、ここではあえて
ふれませんが、
「淡々と話が展開するのは悪くないけど、観ている人に強い印象を
与えるために、最後の場面で動きがほしい。」
「主人公の夢のシーンで冗長な箇所があるので、それをカットすれ
ば、もっとすっきりして良いと思う。」
など非常に具体的なアドバイスが出てきました。

週の後半はフィードバックの内容をふまえ、修正作業を行いました。

今回のテーマも残すところ2週間。
人の心を動かす作品にするためにはどうしたらよいか、探究を続け
ます。

HY

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2013年01月16日

テーマ学習発表会1/25

TCSテーマ学習発表会のご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動が行われていきます。
(発表までの6週間、子どもたちが学んできた様子の詳細は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。)

テーマ学習の成果を発表するテーマ発表会では、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。(ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。
ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。


               記

【日時】 2013年1月25日(金) 9:30~11:40

     9:30〜 9:35 イントロ
     9:35〜11:35 各学年発表
    11:35〜11:40 講評

【会場】 セシオン杉並  2階 視聴覚室
     東京都杉並区梅里1丁目22−32
     (東京メトロ丸の内線「東高円寺」駅より徒歩5分、地図はこちら
     ※車でのご来場はご遠慮ください。

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール
 E-mail:school#tokyocs.org
 TEL:03-3313-8717
 ※迷惑メール防止のため、「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、
   件名に、「テーマ学習発表会参加希望」とし、
   本文に、以下の事項をお知らせください。
     1.参加者氏名(すべて記入ください)
     2.(保護者の方は)お子さんの現学年
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)


2013年01月18日

わたしたちに何ができるか?

[1・2年生]

子どもたち一人ひとりの「知識」は、冬休みのホームワークをシェア
してゆくうちに確実に広がってゆきました。

「外来種」が何らかの原因である土地に入り込むことで、その土地の
「生態系」が崩れる……たとえば、井の頭池だと、池に捨てられたバス、
ブルーギル、そしてミシシッピアカミミガメなどが、どんどん繁殖し、
在来種を食い尽くしてしまったり、あるいは、在来種のえさやすみか
を奪ってしまったりして、もともといた種が絶滅の危機にさらされて
しまいます。動物だけでなく、水中の植物にも影響を与え、池の水質
を悪化してしまうことにつながります。こうなると一つの「外来種」
が入ったせいで、多くの影響を与えてしまい、一つの「在来種」どこ
ろか、他の多くの生き物が失われてしまうことにもなりかねません。
そうなってしまうと、結局のところ、悪循環の元となった「外来種」
自身も食べるものを失い、住みにくい環境で暮らさなければならなく
なり、やがて消滅するかもしれません。

こういった負の連鎖こそ「生態系」が壊れてしまうということです。
したがって、こうならないように、生き物どうしの、食べて、食べら
れるバランスがうまくとれて、循環が維持されるように、そして、生
き物の暮らしを脅かさない自然環境を保つようにすることが大事です。

この理屈について、子どもたちに説明を求めると、自分の言葉で語れ
るようになってきていて、着実に理解が深まっていることがわかりま
す。しかし、まだまだ事実を「知った」に過ぎず、所詮「ひとごと」。
「わがこと」になっていません。「調べ学習」を超えて、自ら主体的
に考える「気づき」が、1・2年生レベルにふさわしい形で求められ
ます。

そこで、「わがこと」として考えるよう刺激する問いかけでゆさぶり
ます。

「じゃあ、わたしたちはどうしたらいいの?」

井の頭池に生息する魚のなんと90%以上が、ブルーギルになってしま
った。タマゾン川を読んで、多摩川でも、さまざまな「外来魚」が
すみついてしまい「在来魚」を圧迫している……これらの事実に強い
衝撃を受けたある子は、自分の家の近所にある池の実態について、冬
休み中に調べていました。するとやはり井の頭池と同様の実態である
ことがわかりました。

しかし、このまま手をこまねいて見ているだけでは事態は解決しませ
ん。それはわかっている……でも、じゃあいったいどうしたらよいの
だろう?と問われた子どもたちは、すぐにアイデアが頭に浮かばず、
悩みます。

この「悩む」というプロセスが大事。すぐに「解」を「見つけよう」
とするのではなく、熟考した上で自分なりの「考え」を導き出す体験
が、仮説発見力の基盤を育てます。

「全部つかまえて殺す……」

思いつきのアイデアをつぶやいてみたものの、すぐにあまりよい解決
法でないことに気づきます。しかし、このつぶやきがきっかけとなり、
他の子の思考が刺激されます。やはりブルーギルについて関心のある
子が、

「食べるっていうのはどうかな?」

と発言します。ただ捕まえて殺すのではなく「食べる」。なるほど。
当たり前の解決策にも聞こえるけれど、これだけ多く増えているなら、
私たちのお腹を満たすために有効活用するというのは決して荒唐無稽
なアイデアとは言えません。実際、ある子のホームワークによると、
そもそもブルーギルは、天皇陛下が食用のために繁殖させるという
目的でアメリカからもらったものだということもわかりました。それ
なのに、食用に活かさず、ただ生態系破壊をもたらすだけの結果に
なってしまったことを、天皇陛下ご自身が、遺憾に思われ、公式に
謝罪されたのでした。

「おいしいのかなあ……」

疑問はどんどんわき、ネットで調べてみると、ブルーギルやブラック
バスを料理して食べた人の体験レポートがどんどん出てきます。

「唐揚げにするととってもおいしいんだって!」
「白身で、くせもなくて、いける味なのか」

なるほど、フィレオフィッシュ、フィッシュ&チップスといった感じ
でいけそうか。こうなると、どんどんブルーギルを食べよう!という
アイデアは決しておかしなことではないことが明らかになりました。

外来魚を無責任に捨てるのを禁止することを徹底すると同時に、現状
を「建設的」に打開するには「食べてしまう!」というアイデアもあ
り!

「わがこと」として自分なりの考えを導き出したところに大きな価値
があります。あと残り1週間。発表は、これまで学んだことをポスタ
ーにして行います。「外来種に生態系を破壊させないためにわたした
ちができること」についての自分なりのアイデアをメインメッセージ
として「五・七・五」の俳句・川柳スタイルでまとめます。

さあ、もうひとふんばりです。

RI

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完成間近!!

[3・4年生]

さあ今週はいよいよ完成に向けてのラストスパート。
一生懸命ヤスリがけをした材料を組み立てていきます。
入念に図面を確認しながらビス止めする箇所に印を打ち、いざインパクトレンチを使って材料を接続します。

PIC_0409.JPG PIC_0411.JPG

PIC_0413.JPG

子ども同士で協力してお互いの材料を支え合って作業を進めますが、ビスを垂直に打ち込むことにやや苦戦の様子。力を垂直方向に加えないとビスはグラつき、まっすぐに入っていきません。

「なかなかまっすぐ入らないー。体重かけよう。」

子どもの力でインパクトレンチをしっかりと押さえるには体重を掛けることが必要なようです。

PIC_0425.JPG

苦戦しながらも方法を改善させていき、なんとか組み立てもほぼ終了。
しかし、いざ組み上がるとガタつきやバランスの問題が浮かび上がってきました。

「あれーーー、なんでこんなにガタガタするんだろう・・・ どうしてだーー?」
と悩みながらもじっくりと自分の椅子を観察、採寸して問題個所を探していきます。

「あ!分かった。この部分の取り付けが斜めだから長さがおかしくなっているんだ。うーーん。もう一回分解してやり直ししよう。」

ちょっと肩を落としながらも前向きに取り組んでいく姿勢は最早立派な仕事師です。 壁に直面した時にこそ大切な問題解決の姿勢が育まれていきますね。 何度もやり直したり、ヤスリで調整を加えながらなんとかほぼ組み立てが終了。

PIC_0415.JPG

あとは微調整して仕上げにオイルを塗れば完成です。 最後まで丁寧にいい仕事をすることができるでしょうか?来週の発表会を乞うご期待です⭐

YI

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功罪の葛藤


[5年生]


テーマ発表会を翌週に控え、各自が総理大臣候補として訴える提言内容の決定に臨みました。


先週話している中で見えて来た葛藤。
「開発したい、商業施設なども必要。でも自然もあった方がいい。」
「コツコツ節電して消費電力50%減を目指す。」
便利と環境の共存ができれば超したことは無いけれど、本当にできるの?
コツコツ節電は、今までの節電とどう違うの?
それは欲求の赴くままに電気を使ってきたマインドセットと変わらないのではないか?


「そうだよな……どうしたらいいのだろう……。」と自らの主張の矛盾に気付き悩んだ子どもたち。
『消費電力50%減』という大胆な政策を実現するために、提案も「こうあるべき」という先入観に左右されない大胆なものが求められるでしょう。
それに、きれいごとだけではなく、功罪に目を向けた内容で無ければ説得力も欠けることでしょう。


「これをする、あれをする」という発言は出てきても、どうしてそうしたいのかがなかなか見えてきません。
「なんでそうしたいの?」
「そうしたら困ることは?困る人は?反対側の共感を得る方法は?」
「そうすることでどんなコミュニティになるの?どんな社会になるの?」
と問い続けることで、
どんな社会を作りたいのかということがだんだんと見えて来ました。


今回は、スピーチ+ポスターによる発表です。
ポスターは、『目指す未来の姿』をコラージュにて表現します。

功罪の葛藤
プレゼンテーションの参考として、スティーブジョブズのプレゼン映像を鑑賞。
「出てきそうな疑問を自分から言って、その解決策を説明している。」
「データを提示している。」
「複数のものと比較している。」
「ひきつけてから、商品を見せる。」
とパクリポイントを多々発見していました。


また、試しにコラージュをやってみたり、どんな工夫ができるのか探るために幾つかの作品に触れてみました。

さぁ、来週は発表会!
スピーチ内容を練って、コラージュを創り上げ発表に挑もう!



EN

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

上映会再び

[6年生]

先週に引き続き、2回目の上映会を開催しました!
前回の上映会後のフィードバックの内容をふまえ、どんな風に作品
を修正してきたか、お互いに確認し合います。

前回、「淡々と話が展開するのは悪くないけど、観ている人に強い
印象を与えるために、最後の場面で動きがほしい。」というアドバ
イスをもらった男の子。

修正後の作品には苦心の跡が見られましたが、
「話の展開の前振りが弱いため、ラストシーンのメッセージのイン
パクトの強さが目立ち、効果的でない」という辛口の講評が。
まだまだ改善の余地がありそうです。

もう一人の女の子については、前回の上映会時点では、最後まで完
成していなかったので、どういった話の展開になるのか、私も楽し
みでした。

「前回の指摘ポイントが改善され、すっきりわかりやすくなった。」
「話の展開に意外性があって、興味をひかれた。」
とポジティブな評価が多い中、
「口頭での説明を聞けばわかるが、今のままでは伝わりにくい。伝
えたいメッセージをもう少しシンプルにした方がよい。」との意見
も。

この作品を通じて人に何を伝えたいの?
ストーリーを効果的に演出するためにどんな工夫ができるだろう?
この作品で本当に人の心を動かすことができるのか?

ここが正念場。もう一度原点に立ち返り、発表会に向けて、表現を
磨き上げるため、修正作業を進めていきます。

HY

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2013年01月25日

ポスターで思いを表そう

[1・2年生]

絶滅危惧種というと、アフリカのサバンナとか、アマゾンの奥地とか、
日本国内だとしても、沖縄とか、自然の多い地域の話と思ってしまい
がちです。しかし、今回の学びを通じて、子どもたちは、自分たちの
暮らしている大都会東京に、「絶滅危惧種」の問題、そして「外来種」
の侵入による「在来種」の圧迫という問題が生じていることを実感し
ました。

P1030882.JPG   P1030884.JPG

今回のテーマ学習のアウトプットは、自分がいちばん関心を持った、
東京23区に生息する「外来種」について、どう「生態系」に影響を及
ぼしているのか、じゃあ自分たちはどう行動したらよいのか、みんな
に訴えるポスターとしてまとめます。そして、そのポスターを用いて
テーマ発表をします。

「オオタカはさあ、絶滅危惧種なのに、東京みたいなところに増えて
いるなんて不思議だなあ」

ある子は、自分からわざわざ東京へ「外来種」としてやってきたオオ
タカの不思議に魅せられ、そのことをテーマ発表することに決め、そ
のときに用いるポスターを作り始めました。

ポスターの大きさは、模造紙の半分のサイズ。文だけでなく、プリン
トアウトした写真も効果的にはりつけて、自分の言いたいことがより
伝わるように工夫します。

読みやすい字の大きさになるように……
文をナナメって書いて見栄えが悪くならないように……
色ペンをうまく用いてカラフルにしたり……

子どもたちは、集中して作業に取り組みます。ふだんの学びのときに
は、なかなか線をまっすぐに引けなかったり、誤字脱字があっても気
にしなかったりした子も、ポスターとしてみんなに見られるという
authentic な状況になると一所懸命取り組みます。

その結果……やればできるじゃない!というスバラシイ出来映えのポス
ターが誕生しました。

P1030852.JPG   P1030876.JPG

ポスターの中でも、いちばんのポイントは、自分たちの身のまわりの
「生態系」に何が起こっていて、そのために何ができるのかという主張
を、インパクトある形で表現することです。そのための「仕掛け」と
して

俳句のように五・七・五のスタイルで言いたいことを端的かつキャッ
チーなフレーズでまとめる!
(もちろん子どもにはこのままの言い方はしませんが(笑))

というタスクを課しました。くどくど説明するスペースはポスターに
はないし、そもそもそんな説明の仕方は、ポスターという表現フォー
マットにふさわしくありません。子どもたちは、この「仕掛け」に乗
ってくれて、面白がりながらも、どうしたら共感されるように自分の
主張を表現できるか、必死になって考え始めました。私からのダメ出
しも受けつつ、満足できるまで考え抜いてできた力作をひとつ……

「ブルーギル天ぷらにして食べちゃうぞ」

そもそもブルーギルは、食用として期待されたにもかかわらず、その
ままにされ、不用意に川や池に放たれた結果、急速に増殖し、「在来
種」を圧迫したのでした。実際に調理してみたら美味しいという報告
もあり、だったら、ただ捕獲して殺すのではなく、みんなでおいしく
食べたらいいじゃないか、ぼくもぜひ食べてみたいんだ!という思い
があふれているではありませんか。

1年生が、単に「知識」を得ただけでなく「わがこと」として「共存
共生」について考え始める第一歩をふみだしました。

P1030856.JPG   P1030881.JPG

ポスターも出来上がり、後は、テーマ発表会を残すのみ。いかに自分
の言葉で、自分の思いを訴えることができるか……

説明の精度をあげるためのフィードバックとともに、自分の思いを堂
々とぶつけなさい!とエールを送ります。

RI

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『エイリアン・パラダイス』~ふりかえり~

[1・2年生]

私たちの住む東京23区という都会にこんなにも「外来種」がいることに
オーディエンスはびっくり。タヌキやオオタカのように自ら都会に移り
住んできた「外来種」もいれば、ブルーギルやワカケホンセイインコの
ように、飼い主が不用意に捨ててしまったことがきっかけで増殖したも
のもいる。いずれにせよ人間の仕業による環境変化が「生態系」に影響
を与える要因であることを子どもたちは今回の学びで強く認識すること
になった。そのことを1・2年生なりにしっかり考え、自分の言葉でポ
スターにまとめ、それを用いて自信を持って発表することができた。ポ
スターというフォーマットで自分の主張をまとめるという挑戦は、彼ら
の表現の幅を広げるという意味でもとてもよい課題であったように思う。

さらに、オーディエンスを感動させたのは、子どもたちそれぞれが他者
の意見をふまえて自分の意見を展開し、発表していた点だった。「○○君
は、こう述べていたが、それとは別の側面があって……」「△△さんの方
法にプラスして、ぼくのやり方をつけ加えると……」というように発表
全体で一つのストーリーが構成されるように一人ひとりが意見をまとめ、
述べていたのである。一歩、発表の質があがったね!

テーマ学習は、「終わりが始まり」であり、この学びをきっかけに発展
させてゆくことが求められる。特にこのテーマ学習は、今回の「気づき」
をいかに今後に活かすかが大きな意味を持つ。「外来種」の被害を解決
するには、いかに「外来種」を捕獲し、建設的に捕獲した個体を処理す
るかという問題をクリアしなければならない。ブルーギルの場合、みん
なで楽しんで釣り、おいしく食べられるなら食べてしまおう!という
子どもたちのアイデアを実際に試してみる機会をぜひ作ってゆきたい。
また、ワカケホンセイインコのように、特に「生態系」に悪影響を及ぼ
しているように見えない「外来種」については、これからも注意して
観察してゆく必要があるだろう。

「生態系」のバランスを崩さないように適度に自然に手を加えつつ生
きるにはどうするか、そんな人間の責務について考える「共存共生」
という学びの入口としてふさわしい学びとなった。

RI

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いよいよ完成!

[3・4年生]

さあいよいい今週末は発表会です。
今週の初日に椅子を仕上げるべく、最後の調整作業を一生懸命頑張ります。
先週ほぼ出来上がった椅子をヤスリがけし、オイル仕上げをかけます。今回は仕上げにオリーブオイルで磨きました。なかなかきれいなツヤが出てきます!

完成と思われたところで、自分で座ったり色々な角度から椅子を眺めて最終チェックをする子どもたち。

発表会では1.傾き2.寸法3.触り心地4.グラつきの4つの観点で椅子の仕上がりをチェックすることになっています。子どもたちはそれぞれに自主チェックを行い、不安なポイントがあると時間が許す限り最後までヤスリがけをしたり解体して傾きを調整したりとベストを尽くして頑張りました。

そうしてようやく出来上がった椅子に腰掛けながら、モノへの愛着についてみんなで話し合いました。このテーマ学習の初回に”大切にしているモノ”と”大切にしていないモノ”について考え、”大切にしている理由”についても考えてみた子どもたち。

自分たちで頑張って技術を身に付け、責任ある態度で椅子を作り上げた経験は果たして彼らの”モノへの愛着” という考えに影響を与えたのでしょうか?

テーマ発表会では”モノへの愛着”についても子どもたちが語ってくれることになっています。
乞うご期待!

YI

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『いい仕事してますね。』~ふりかえり~

[3・4年生]

スクールからそれぞれの子どもたちに正式な注文書が手渡されるところからスタートしたこの学び。注文書には期日と”図面に対して正確なもの”や”今後自分自身のスクールの椅子として完成より1年間使うこととする”という条件が記載されていました。

職人さんに道具の使い方を教わってから何度も練習し、少しずつ確かな技術を身に付けていきました。

もちろん失敗は何度もありましたが、失敗は学びにつきもの。
失敗に直面した時にそれを受け入れ、解決策を考え諦めず粘るという姿勢も少しずつ身に付いてきたようです。

そしてスケジュールを意識して作業工程をくみ、グラつかず触り心地も良い椅子を作るために奮闘しました。スケジュールから遅れてしまったら自主的に残業して追いつくために作業をしたり。何度もヤスリをかけてようやく仕上げた椅子。よくがんばった!小さな職人たち。

この椅子作りを通して、確かな技術と責任ある態度が質の高い成果を生むということを体感したようです。
そしてモノ作りに挑み、一生懸命作り上げていくことで”モノへの愛着”、そして”モノを大切にすること”についてもそれぞれに考えることができました。

発表会のスピーチではモノを大切に使うために自分がやれることとして椅子作りで身に付けた技術で壊れたものも修理していけるようにどんどん動き、モノを大切にするムードを周囲に広げたいと語ってくれていました。

これからも色々なモノ作りにチャレンジしていってほしいとですね。すでに次はどんなものを作ろうか?というイメージがどの子にもあるようです。
さあ、これから彼らの”モノを大切にする”という思いがどのように現れてくるのでしょうか?まさにここからがスタートです!


YI

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電力に依存しない豊かな生き方とは


[5年生]


テーマ発表会での演説に向けて、ラストスパートに入りました。
だけれども、自らの論理の矛盾に気付き内容が深まっていきません。
「本当にこれで『消費電力50%減』が達成できるのか?」という疑問に答えられないのです。
消費電力50%減にした際に、どんな発電方法を採用するのかにおいても決断しなければなりません。
自分の政策のテーマがやっと見えてきて、それを他者の共感を得るほどに納得性を増すにはどうしたらいいのかということに悩む一週間でした。


発表は、スピーチだけではありません。
「目指す未来の姿」を表すポスターを作成することも含まれます。
コラージュという方法を用いて、筆記具を使わず伝えたいことを表現する挑戦です。
コラージュ自体を楽しみながらも、
「これで伝わるかなぁ。」
「なんか、空白ばかりで寂しいかも。」
「文字書けないから、貼り合わせて文字にしよう!」
「レストランを横から見た写真って無いかなぁ。」
と工夫する姿が見られました。

そして迎えた本番。
「再生可能エネルギーを使用するものの、高コストである火力発電を無くすわけにはいきません。」
「再生可能エネルギーは環境には優しくても供給の不安定という問題があります。かといって危険な発電方法に頼っていくこともできません。そこで大事なことは、電力が無くても楽しく生きていけるという価値観を持つことです。」
電力に関する功罪を意識しつつどう発電するかということを主張しました。


そして、「電気が無くては不便な生活を強いられてしまうのでは?」という聴衆から芽生えるであろう思いに答えるように、電力に依存せずに豊かに暮らすための政策について各自が論じていきました。
それは、「生きていく上で何が本当に必要なのは何か、今まで必要だと思っていたものは本当に必要なのか」という価値観にも迫る内容です。


「打ち水など、地域ぐるみで電気を使わない工夫を行います。そのことは、電力削減だけでなく、住民同士のコミュニケーションを増やし楽しい生活にも繋げます。」
「コンビニや自動販売機など、買いたい時にいつでも買えるという買い物の習慣は変えるべきではないでしょうか。前もって必要だと思うものを用意しておき、コンビニなどを減らすべきだと考えます。」
候補者の演説を聞いて、有権者(オーディエンス)による投票を行いました!
その結果、「日本は明るすぎだと思います。『外は暗くても、心は明るく!』というマインドセットを持つべきです。」
と、まちづくりについて述べた候補者が一番多くの票を獲得しました!


そして、大事な振り返り。
振り返りシートを読む中で、気持ちは伝わったものの多くの人を納得させることの難しさが見えてきました。
子どもたちも、具体性や実現可能性が,納得させるために必要であることを実感した様子。


「功罪があるのは電気以外のことでもあるんだと思う。」
「みんなの政策(知恵)を合わせればもっといいものになると思う。」
これからの世の中を背負っていかなければならない子どもたち。
今回の学びがその一歩として、人ごとでなく社会のために動く一歩になることを期待します。


EN

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『ロストエナジー』~ふりかえり~


[5年生]


「功罪の葛藤の中で私たちは正解の無い決断を引き受けて生きている」
というセントラルアイデアのもと行った6週間の学び。


「電気がないと辛い」という価値観に縛られていることにも気付いた彼ら。
そこで電気に依存しないでも豊かに生きている人の価値観に触れ、「もしかしたら思い込んでいるだけで、何かが無い中でも楽しく生きることはできるのかも」と揺れ動かされたようでした。


衆議院選挙が行われたというグッドタイミングは、エネルギー問題について各観点からの主張に触れる良い機会にもなったでしょう。
「原発なんてありえない、想定外では片付けられない。」などという既有の思いがある中で、
「でもなぜ賛成する人がいるのだろう?」という考えが芽生え、
「一方的に決めつけるわけにはいかない」という功罪の意識が出てきました。


そのように別観点から考察するPerspectiveは出てきたけれども、
「じゃあ自分はどうするのか」というResponsibilityがここから出てくることを期待します。
それがなくては、無責任な評論家に過ぎないからです。
これからの世の中を背負っていかなければならない彼ら……
それも引き受けなければならない、という表現の方が正しいかもしれません。
今回の学びを一歩とし、社会の重要な一員として今後どう生きていくかを葛藤しつつ決断していって欲しいと願います。


EN

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苦心の末に

[6年生]

まだまだ先だと思っていた発表会もいよいよ金曜に迫ってきました。

子ども達は最後の追い込みに余念がありません。
作品を修正し、他の人のフィードバックをもらい、また修正を重ね
るの繰り返し。
詩の推敲作業のように、表現に磨きをかけていきます。

そんな中、最後まで手こずったのはタイトル決め。
伝えたいテーマと作品の雰囲気に合っていて、なおかつそれを切れ
の良い言葉でどう表すかに子ども達も頭を悩ませます。

作品を語る上で外せないキーワードをいくつか出してみて、それら
を組み合わせみたり、表現を英語に変えてみたり。しっくりくる表
現を探します。

当初想定していた以上に時間がかかりましたが、最後の最後で本当
に納得がいくタイトルを決めることができ、子ども達からも嬉しそ
うな笑顔が。これでついに作品の完成です!

最後に自分の作品を「ストーリー」「演出」の観点で自己評価して
もらうことにしました。

IMG_2629.JPG

男の子からは「やりきったので悔いはない」という感想が。
自分の考えやアイデアを一つの作品に仕上げたというという満足感
は何事にも代え難い自信につながるのでしょう。

いよいよテーマ発表会。
オーディエンスの反応が気になります。

HY

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『人の心を動かすストーリー』~ふりかえり~

[6年生]

皆が待ちに待った上映会。オーディエンスの反応は上々でした。
6週間かけて練り上げられたストーリーや演出は、見事、観客を作
品の世界に引き込みました。

オーディエンスからは、
「二人の思いが伝わってきたし、何よりも作品のテーマそのものが
素晴らしい。」
「伝えたい気持ちや思いがあってはじめて作品が成立することがわ
かった。」
といった共感の声も寄せられました。

実際に感動で涙を流されていた方がいらっしゃったり、映画を撮影
してみたくなったというコメントも多数頂きました。

「人の心を動かすストーリーをつくる」という目標はひとまず達成
できたのではないでしょうか。

子ども達は自分たちの作品がオーディエンスの目にどう映るのか不
安もあったようですが、上映会での観客の反応をみて少しほっとし
た様子でした
一つの作品を作り上げたという満足感は後からじわじわ湧いてきた
ようです。

ただ、今回の映画製作は6年生ふたりの課題をさらに浮き彫りにし
ました。

アウトプットだけ見れば、おそらく同世代の子に比べ相当ハイレベ
ルですが、器用さが目立ち、自分のできる範囲できれいにまとめが
ちなふたりの特徴が作品にも反映されており、作品自体がこじんま
りした印象を与えていたことは否めません。

自分の殻をぶち破って、もっと大胆に、もっとはちゃめちゃな作品
をつくってほしい。
その目標に達するまでには至りませんでした。

6年生にとって残るテーマはエキシビションのみ。
これまでスクールで学んできたことの集大成となります。
私も一緒になって"growth mindset"でチャレンジしたいと思います!

HY

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