[1・2年生]
絶滅危惧種というと、アフリカのサバンナとか、アマゾンの奥地とか、日本国内だとしても、沖縄とか、自然の多い地域の話と思ってしまい
がちです。しかし、今回の学びを通じて、子どもたちは、自分たちの
暮らしている大都会東京に、「絶滅危惧種」の問題、そして「外来種」
の侵入による「在来種」の圧迫という問題が生じていることを実感し
ました。
今回のテーマ学習のアウトプットは、自分がいちばん関心を持った、
東京23区に生息する「外来種」について、どう「生態系」に影響を及
ぼしているのか、じゃあ自分たちはどう行動したらよいのか、みんな
に訴えるポスターとしてまとめます。そして、そのポスターを用いて
テーマ発表をします。
「オオタカはさあ、絶滅危惧種なのに、東京みたいなところに増えて
いるなんて不思議だなあ」
ある子は、自分からわざわざ東京へ「外来種」としてやってきたオオ
タカの不思議に魅せられ、そのことをテーマ発表することに決め、そ
のときに用いるポスターを作り始めました。
ポスターの大きさは、模造紙の半分のサイズ。文だけでなく、プリン
トアウトした写真も効果的にはりつけて、自分の言いたいことがより
伝わるように工夫します。
読みやすい字の大きさになるように……
文をナナメって書いて見栄えが悪くならないように……
色ペンをうまく用いてカラフルにしたり……
子どもたちは、集中して作業に取り組みます。ふだんの学びのときに
は、なかなか線をまっすぐに引けなかったり、誤字脱字があっても気
にしなかったりした子も、ポスターとしてみんなに見られるという
authentic な状況になると一所懸命取り組みます。
その結果……やればできるじゃない!というスバラシイ出来映えのポス
ターが誕生しました。
ポスターの中でも、いちばんのポイントは、自分たちの身のまわりの
「生態系」に何が起こっていて、そのために何ができるのかという主張
を、インパクトある形で表現することです。そのための「仕掛け」と
して
俳句のように五・七・五のスタイルで言いたいことを端的かつキャッ
チーなフレーズでまとめる!
(もちろん子どもにはこのままの言い方はしませんが(笑))
というタスクを課しました。くどくど説明するスペースはポスターに
はないし、そもそもそんな説明の仕方は、ポスターという表現フォー
マットにふさわしくありません。子どもたちは、この「仕掛け」に乗
ってくれて、面白がりながらも、どうしたら共感されるように自分の
主張を表現できるか、必死になって考え始めました。私からのダメ出
しも受けつつ、満足できるまで考え抜いてできた力作をひとつ……
「ブルーギル天ぷらにして食べちゃうぞ」
そもそもブルーギルは、食用として期待されたにもかかわらず、その
ままにされ、不用意に川や池に放たれた結果、急速に増殖し、「在来
種」を圧迫したのでした。実際に調理してみたら美味しいという報告
もあり、だったら、ただ捕獲して殺すのではなく、みんなでおいしく
食べたらいいじゃないか、ぼくもぜひ食べてみたいんだ!という思い
があふれているではありませんか。
1年生が、単に「知識」を得ただけでなく「わがこと」として「共存
共生」について考え始める第一歩をふみだしました。
ポスターも出来上がり、後は、テーマ発表会を残すのみ。いかに自分
の言葉で、自分の思いを訴えることができるか……
説明の精度をあげるためのフィードバックとともに、自分の思いを堂
々とぶつけなさい!とエールを送ります。
RI
※TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。