東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2012年04月 アーカイブ

2012年04月09日

「I am Spercial, YOU are Special.」 ~概要~


[1・2年生]


タイトル:I am special, YOU are Special.

探究領域:自主自律



入学1年生にとっては、一番最初のテーマ学習。


「こんなものがある!」
「なぜだろう?」
「んーなんだろう(モヤモヤ)。」


こう感じるアンテナを使って(そして研ぎ澄まして)いきます。
何についてアンテナを張るかというと……自分自身についてです。


自分について全て知っていると言えるかな?どうしたら分かるかな?
自分にはどんな特徴があるかな?
他の人と自分とはどんなところが似ている?どんなところが違う?
自分のできること・やりたいこと・好きなことってなんだろう?
自分のいいところってどこだろう?
自分らしさって何だろう?


自分について、いろんな角度で観察することで今まで知らなかった自分のことをたくさん発見しよう!


EN



TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「てこでも動かない?」~概要~


[3・4・5年生]


タイトル:てこでも動かない?

探究領域:万象究理


小さな力で大きな力を生み出す……そんなことできるの?

できるのどころか、実は私たちの身の回りには、力をうまく利用できるように
工夫された道具や技術がたくさんあります。ハサミ・栓抜き・つめきり・ドア
ノブなどからエレベーター・クレーン車のようなものまで枚挙にいとまがあり
ません。

今回のテーマ学習では、こうした身の回りにある道具に隠されている「てこ」
「歯車」「滑車」「輪軸」の原理について実験を繰り返し、法則性をしっかり
理解し、計算で値を予測できるようにします。さらに、その知識を活用して、
子ども一人の出せる力で、大きな重い物を動かすプロジェクトに取り組みます。

自分たちでまずモデルを作り、シミュレーションする。その際に、計算して、
どれだけの力が発揮されるか数学的に予測し、検証する。その結果に基づいて、
装置を設計し、実際に動かす大科学実験を実施する。その後、結果を検証する
というプロセスをしっかり踏んで、プロジェクトを遂行します。

原理を知り、モデル化し、計算を通じて予測することは、物理的な力だけで
なく、社会の仕組みを動かす際に関わる重要なコンセプトです。また、子ども
たちが、「小さな力で大きな力を生むための工夫」こそ人類による技術発展
のカギであったことをぜひとも実感してほしいと願っています。

RI

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「明日天気になーれ!」~概要~


[6年生]


タイトル:明日天気になーれ!

探究領域:万象究理



天気はなぜ変わるんだろう?



みなさんも一度はそのような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。



外出、農業、洗濯、ゲリラ豪雨、猛暑・・・

私たちの日々の生活に、天気は密接に関係しています。



テレビや新聞、インターネットなどでは、

気象に関するたくさんの情報を容易に手に入れることができるようになりました。



その情報を使って、自分でも天気を予測できないだろうか。

そんな問題意識が今回のテーマの出発点です。



今回のテーマ学習では、単なる「お天気観測記録」をとるだけの活動に終わりません。

身近な現象とその背後にあるしくみや気象データの意味をしっかりと理解した上で、

気象データを解釈する力を高める探究を行います。



複数の現象やデータを分析し、統合することで天気の変化を予測でき、

備えることができると実感することを目指します。



HY



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2012年04月13日

自分についてどれだけ知っている?


[1・2年生]


タイトル:I am special. YOU are Special.

探究領域:自主自律



2012年度最初のテーマ「I am Special, YOU are Special.」が始まりました!
1年生にとっては初めてのテーマ学習です。


入学式の時の校長おっちゃんからの話。
ー「学」という漢字の冠にある「ツ」は、「すごい!」と思う『!』、「なんでだろう?」と思う『?』、「なんだろなぁ~。」と『(もやもや考える)』というアンテナを表しているんだよ。そのアンテナを大切にしてほしい。ー


子どもたちはその話を覚えていて『テーマ学習』と板書して、
「見たことある漢字ない?」とたずねると、
子どもたちは「まなぶが入ってる!」と反応。


「そう!テーマ学習では、このアンテナを使っていろんなことを発見していこう!」
今回発見していくのは、いつも会っている自分について。


「自分についてどんなこと知っている?」とたずねると、
「サッカーが好き!」
「ごはん食べる!」
「火曜に習い事がある!」
「23024円あずけてる!」
などなど、止めどなくでてきました。


「じゃあ、自分について全て知っていると思う?」
とたずねると、
「んー、今の足の速さはわからない。」
「いつ、歯が抜けるかわからない。」
と意外に自分について知らないこともあるという反応が返ってきました。
その意見に影響されてか最初「自分について全て知っている」と答えていた子も「いつ死ぬかもわからない。」と考えなおす様子も見られ。


「じゃあ、自分について新しく知ったことがこのテーマを通して増えていくようにたくさん発見していこう!」


まずは、自分の見た目から特徴を探すことに。
自分の顔と全身を観察し、自画像を描いたり、身長など自分に関する数字を測ってみたりしました。


自分についてどれだけ知っている?01 自分についてどれだけ知っている?02


「鼻は山に見える。」
「顔がやきいもみたい。」
「まぶたを伸ばすとテントみたい。」
「身長と手を伸ばした長さは一緒だと思っていたけど、ちょっと違った。」
「わきの下がちょっと冷たい。」
などここでもたくさん発見していました。
一年生も一生懸命書いて記録しようとする姿勢がみられました。


さぁ来週もたくさん自分について発見していこう!

EN



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小さな力で大きな力


[3・4・5年生]


今回、子どもたちに「認識」してもらいたいコンセプトは、入力する
力は小さくても、ある原理を適用すれば大きな力に変えられるという
ことです。実際に学ぶ内容は、理科に属する内容。「てこ」「滑車」
「歯車」の原理を知り、それらを効果的に組み合わせると大きな力を
生むことができると実体験を通じて理解します。

まずは、mining から。子どもたちがどんな先行知識・概念を持って
いるか探ります。“小さな力で大きな力”と聴いてイメージすること、
知っていることをどんどん挙げてもらいました。

ちょっと沈黙する時間が経過した後、

「アリかな……」

誰かが自信なさげに応えます。確かに、アリは自身よりも大きいもの
を運ぶことができます。なかなか面白い!

この答えがみんなの緊張の糸をほどいたようで、堰をきったように
いろいろな意見が飛び出しました。

「スターウオーズのヨーダは小さいのに大きな者も倒せる!」

このようにアニメ・漫画・映画のキャラクターや妖怪についてイメージ
する子どもが数名現れました。

つづいて

「水は少ないと大したことないけど、津波のような大きな力も起こせる」

「砂粒は、一粒だとものすごく小ちゃいけど砂嵐になったら大きな傷を
つけられる」

小さな力でもそれが結集すると大きな力に変わるという観点が示され
ます。ネット社会においては、実際にツイッターやフェイスブック
などで民衆の意見が集約されて一つの巨大な勢力へと容易に発展して
ゆくことが実証されています。子どもたちが「小さな力で大きな力」
とたずねられて「チリも積もれば山となる」という連想をすぐにした
ことはとても興味深く感じました。

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大分、盛り上がってきたところで、ちょっと観点をズラす問いかけを
します。

「じゃあ、小さな力しか与えないんだけど大きな力を出すにはどう
したらよいだろう?」

すると、即座に

「てこを使えばいい!」
「うん、それから滑車使って引っぱり上げてもいいよね!」

という返答が……

今回やろうとする内容があっさり出てきてしまいました。

「支点、力点、作用点も知ってるよ」

なんでそんなによく知ってるのかたずねると、すでにサイエンス教室
の授業で実験したことがあったようです。テレビで、オランダの家に
は「滑車」がついていて、重い家具を運ぶことができるとか、ゲーム
の中にも「てこ」や「滑車」が出てくるとか、子どもたちから、どん
どん「てこ」や「滑車」についての知識が出てきます。

ただし、子どもたちの言うことを耳にしている限り、知識の断片が
バラバラに語られるだけで、まだうまく統合されていないことが明らか
です。

「えっとねー、長い部分で押すとね、てこは大きな力なんだよ」

原理についても、なんとなく理解している状態。体系立ってきちんと
説明できません。
そこで、今回のミッションを提示します。

「君たちのミッションは、子ども一人の力で車を動かすということだよ!」

NHK Eテレで放送中の「大科学実験」のようなミッションに子どもたちは、
ノリノリです。ただ、ここで注意しなければならないのは、" just fun ! "
という気持ちだけに支配されてしまうことです。あくまでも、目的は、
小さな力で大きな力を生み出したことを「原理」に基づいて「説明」し、
「実証」することです。そうならなければ「科学的ミッション」とは
言えません。

しかし、子どもたちもさるもの。こちらの言わんとすることを先読み
して、「なんとなく」では「ダメ」で、“きちんと”“完璧に”やったこと
を説明できるようにする!と言い出しました。

教師の期待に応えようとしていると言えばそれまでですが、テーマ学習が
何を目指すか、子どもたちが体得してきたからこそ発せられたセリフと
も言えましょう。

「“きちんと”とか“完璧に”というけどどんな説明ができるの?」

と問い返すと、「計算する」という答えが返ってきました。

どんな原理で動く仕組みなのか、どれだけの力が働くのか、「計算」で
シミュレーションして予測し、結果も、数学的に実証する……

今回、子どもたちにぜひともそうなってもらいたい姿が具体的に見えて
きました。さあ、そのために来週以降は、基本原理について“きちんと”
理解する学びを始めます。

RI

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天気って何だろう?

[6年生]

タイトル:明日天気になーれ!
探究領域:万象究理

新年度一発目のテーマが開始しました。

「天気についてどんなことを知ってる?」

まずは、子ども達の頭の中にある既有知識をイメージマップを作成しながら
明らかにしていきます。

「西東(さいとう)さん!天気は西から東に変わるって聞いたことがある。」
「くもりかな。文さんは曇り男だと言ってたし。」
「夕焼けの次の日は晴れとか言うよね。鳥が低く飛べば、雨が降るっていうのも  聞いたことがあるけど。」
「高気圧と低気圧!けど、違いがよくわかんない。。」
「雲の形っていろいろあるよね、いわし雲とか。」

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イメージマップが子ども達の言葉で次第に埋め尽くされていきます。
普段の生活でも耳にする機会が多い「天気」の話題。
聞いたことはあるけど、その仕組みや理由がよくわからないものがたくさん
あるようです。

「天気予報は普段からチェックしてるの?」

そう問いかけると、

「お母さんが毎日チェックしていて、その情報を教えてくれてる。自分では
 あんまり見ないかも。」
「自分でチェックするのは、台風の季節くらいかなぁ。台風の進路が気になるし。」

との返事。
普段の生活ではそれほど天気予報を気にしていない様子です。

授業の最後には、明日の天気を予測することにチャレンジしてみました。

「天気は西から東に変わるから、大阪や名古屋の今の天気が参考になるんじゃないかな。」

6年生の女の子の発案で、早速、一緒にウェザーニュースのサイトを確認することに
しました。
関西、中部地方の天気は、くもりや雨マークが散見されます。

「私は『くもりのち雨』に決めた!」
「僕は『くもり』にするよ。」

子ども達は自信満々の様子。さて、天気予報はあたるのでしょうか。


気になる翌日の天気は晴れ。

「昨晩は雨も風も強かったのに、なんで今日はこんなに晴れたんだろう?」

物事を当たり前と捉えるのではなく、「なんでだろう?」と不思議に思う気持ちが
探究心の原点。

わからないことは現人に聞けということで、またもや女の子の発案で気象庁の
お天気相談所に電話して質問してみることにしました。
こんなところにもフットワークの軽さが発揮されます。
テーマ学習を積み重ねることで培われてきた地力と言えるでしょう。

聞きたい内容を素早く箇条書きにまとめて、早速電話をしてみることに。

単なる当て勘ではなく、西方の天気を踏まえた予測だっただけに、それが外れた理由が
気になるところです。

質問の結果としてわかったことは、東京と長崎でだいたい半日くらいの天気の違いが
あるということ。
大阪や名古屋の天気はみるべきポイントとしては近すぎたようです。
予想した以上に天気の移り変わりは早いことに驚かされました。

「前線の関係で必ずしもそうならないこともあるけど、天気が西から東に変わるって
 いうのは基本的に間違いではないんだよ。」

天気予報の難しさと面白さに気付き始めた子どもたち。
次週はその仕組みについて学んでいきます。

HY

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2012年04月14日

2012年度GW課題図書UP

東京コミュニティスクール2012年度GW課題図書をUPしました。
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2012年度GW課題図書

2012年04月20日

自分の特徴は?


[1・2年生]


タイトル:I am special, YOU are Special.


テーマ「I am Special, YOU are Special.」第二週。
今週も自分のからだの特徴から自分発見を始めました。


まずもう一回、全身を鏡で見つめてみました。
洗面台の前に椅子を並べてその上に立ち、鏡とにらめっこ。


「足がここまで上がる!」
「骨が三角。」
「へそがソーセージみたい!」
「わたしはへそが落とし穴みたい。」
「ここにケガがある。」
「俺もここにきずがあるよ。」


と、他の子の発見にも触発されながらも気づいたことが増えていきました。


さぁ次は、“目に見えない”自分のからだの特徴を探ろう!
ということで“声”を聞いて感じたことを話し合ったり、自分がよくする動き“癖”について意見を出し合いました。


「宇宙人の声みたい。」
「鼻をつまむと声が変わったよ!」
「でも、私は鼻をつまんでも変わらないみたい。」


「すぐ走りたくなっちゃう。」
「よくおならが出ちゃう。」
「お母さんにアイス食べたいよーって文句言っちゃう。」


などなど、思わず笑えてしまうものもありつつ、たくさんの意見が出てきました。


発見したら大切なことは記録すること。
まずは言葉に出してみて、そして書いて記録するようにしています。
記録したものを壁に貼っていくと、自分について知ったことがどんどん増えていったことが目に見えてわかります。


子どもたちもそのことがうれしいのか、貼ったもの以外にもポストイットに書き込み貼り出す場面が見られました。


そうやって、身体的特徴に注目してきた子どもたち。
次は、自分にはどんな性質があるのか、自分の性格に着目してみました。


「自分はどんな性格?」
とたずねたものの、子どもたちはなかなか浮かばない様子。


そこで、“やさしい”・“照れ屋”・“おしゃべり”・“誠実”など性格をあらわす50のことばを集めた、「性格をあらわすことば集」をプレゼント!


来週は、載っていることばの意味を確認しつつ、自分の性格的特徴に迫ろう!



EN


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滑車の原理はどうなっている?

[3・4・5年生]

自分の出せる力を、もっと大きくするには、変換する仕組みが
必要です。その原理を見つけ、実際に装置を作り出した男が、
なんと紀元前にいました。

その名はアルキメデス。

アルキメデスには、自分一人で大きな船を動かしたという逸話が
残っているので、それを読み聞かせました。ただ、逸話だけで、
どんな装置を使ったかまでははっきりしません。

アルキメデスは「理知の人」だから、「超能力」を使ったわけ
ではなく、そこに科学的原理があるはず……
いったいアルキメデスはどんな手を使ったのか……

子どもたちの知りたい気持ちが高まりました。その秘密を明らか
にすべく、ヒントをつかむために、椅子に座った自分を自分の力
だけで持ち上げる滑車装置を体験できる上野の国立科学博物館
を訪ねました。

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「滑車がいくつもついてる!」

装置を見た途端、子どもたちは、複数の滑車が用いられている
ことに気づきました。

まずは“やってみる!探究の「探」 responsive のフェイズです。

”かわりばんこで「滑車の椅子」に座り、本当に持ち上がるのか
確かめます。

「わあ、軽い!」

ロープをするすると引っぱることができ、それにつれて自分の
座っている椅子が浮き上がっていきます。

全員で7名しかいないうえに、平日の午後という“好条件”。
さらに、特別展示ではなく常設展示、地味なディスプレイ。
まるで、自分たちの「実験室」のように科学博物館の展示物を
利用し、じっくりと調査ができます。これぞTCSの学びの特権!

一人ひとり納得ゆくまで装置に座り、どんな感じか、いったい
どうなっているのか、とことん実感し、「身体記憶」を形成して
ゆきます。

「片手では無理だ……」

だれかの一言で、両手ではなく片手だけで持ち上げることに挑戦
してみましたが、それは誰もできませんでした。

次第に明らかになってきたことは、ある程度軽くなったものの、
「ものスゴイパワー!」になっていないことです。

この装置をそのまま真似しただけでは、子どもが車を引っ張れる
ほどのパワーにはなりそうにない……

でも、複数の滑車を使うことにカギがある……

どんな動きをするのか?

子どもたちの調査は、「自ら乗って確かめる」ことから「装置の
仕組みと動きを観察すること」に移行します。

誰かに乗ってもらい、ゆっくりロープをひっぱってもらうと……
滑車がどう動き、ロープがどう組み込まれているかよくわかります。
みんな真剣な眼差しで見つめています。しかし、どんなにじっくり
観察しても、見ただけだと「なんとなくわかった!」という印象
しか残りません。それでは、「小さな力で大きな力を生み出す
滑車装置の仕組みを正確に理解する」という「目的」を果たせない
ことを子どもたちはよく自覚していて、率先して写真とビデオ撮影
を行い、しっかり“記録”しました。

「十分な実体験」と「しっかりした記録」とがそろうと、こんな
にも素晴らしいのか!ということが、「ふりかえり」の過程でまざ
まざと現れました。

翌日とその次の日をたっぷり使って、記録した写真やビデオを何度
も見直し、「自分で自分を持ち上げる滑車装置」の仕組みについて
図解したのですが、その取り組みに集中するだけでなく、まるで
設計家のように美しくかつ正確に仕上げたことです!それも一部の
子だけではなく、みながそうなのでなおびっくりです。

「やっぱ記録しておくことだね……」
「みんなでじっくりわかりあったからよかったかも」

子どもたちは、納得できるミッションを持った上で、目的を明らか
にしてフィールドワークを行い、記録を残したからこそ、素晴ら
しいアウトプットにつながったのだということを身を持って学び
ました。

いよいよ「チーム」アルキメデスらしくなってきたと言えましょう。
次はいよいよ“数学者”として名をはせたアルキメデスのように、
私たちも原理を数学的にとらえることに挑んでいきます。

RI

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天気はなぜ変わるの?

[6年生]

テーマ第2週目。
今週からは天気が変化する仕組みについて学んでいきます。
まずは天気に影響を与えそうな要因について、事前に作成した資料を
子ども達に渡し、一緒に読み解いていくことにしました。
探究領域「万象究理」のテーマ学習では、自然科学の正確な知識を
習得することが重要になってきます。
それは、あいまいな知識をもとにいくら予測を続けても、当て勘の
レベルを超えられないからです。

ただ知識を得ることは決してテーマ学習のゴールではありません。
知識をきちんと理解したうえで、その知識を材料に自分オリジナルの
考えを構築していくことが求められるのです。

資料を通じて、風・雲・湿度・気圧・気温が天気に影響を与えることが
わかりはじめました。

「空気中には水蒸気が含まれていて、冷えることでそれが目に見える
ようになり、雲になるんだ。冷えたコップの周りに水滴がつくのも
原理としては同じことなんだよ。」

「へぇ、そうなんだ!」

身の回りにある自然の法則を地道に解明していく作業が続きます。
始まる前はお勉強チックな内容なので退屈するかなと思っていたのですが、
この6年生には心配は無用だったようです。

さて、頭の中に知識を詰め込んでも、本当の意味で理解したとはいえません。
そのためには知識と実体験を結びつける作業が必要になってきます。
そこで、天気の変化に関わる原理を確かめるため、まずは雲をつくる
実験をおこなうことにしました。

子ども達には、材料(ペットボトル、霧吹き、保存用ポンプ、線香)だけを
与えて、早速実験に取りかからせます。

「えーーー、実験の手順を教えてくれないの?」

予想通り、不満の声があがります。

実験の手順を教えて、それに忠実に作業を行えば、結果を簡単に
再現することができるでしょう。
でも大切なことは、自ら学ぼうとする姿勢を育むことなのです。

「雲をつくるためには空気を冷やさないといけないのはわかってるんだよねー。」
「このポンプを押すとペットボトルの中に空気が入れられそうだよ!
けど、それだけでは温度は下がらないもんなぁ。。」
「あと、この線香は何に使うんだろう?」

目の前にある材料をどう使えばよいか考え悩みます。
思考錯誤の結果、霧吹きでペットボトルの中の水分量を増やし、
保存用ポンプで空気を送り込むことにしました
パンパンに膨らんだペットボトルを抱え、ポンプのふたを開けると・・・

「あれ、今少し白いものが見えなかった?」

偶然にも霧状態にすることに成功しました!

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けど、子ども達は少し不満げな様子。

「うーん、まだ仕組みがよくわかんないんだよね。。」

個別の知識はあるものの、それを繋げて考えることができていないことが
わかります。

ここで少しレクチャーを行うことに。
ペットボトルの中の押し込められていた空気が急激に抜け出すことで
一気に温度が下がったのは、圧縮していた空気を無理やり広げることで
断熱膨張の状態を生み出していたことを知り、

「そっかー。断熱膨張ってこういうことだったんだ!!!」

と驚きと嬉しさが混じった声が。

身の回りにある自然の法則を少しずつ解明していくことに楽しさを
感じつつ、更に別の実験にチャレンジしていきます。

HY

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2012年04月23日

2012年度GW課題図書

【1年生】              【2・3年生】
      


【4・5年生】            【6年生】
      

2012年04月26日

~クラス名決め~

うららかな春の訪れとともに、TCSにも元気でかわいい新一年生たちが仲間入りしました。新たな年度が始まり子どもたちが最初に行うことの一つとしてクラス名決めがあります。

ただし、
 1.意味がある名前であること
 2.クラスメイト全員が納得して決めること
 3.クラスメイト全員がクラス名の意味を説明できること

この3つが、正式なクラス名として認めてもらうための条件です。

ワクワクした様子で各教室に分かれ話し合いを始める子どもたち。今年は低学年(1,2年生)、中学年(3、4年生)、高学年(5,6年生)の3クラス体制です。

それぞれの子どもから思い入れのある言葉がどんどん挙がり、チームワークや学びなど大切だと思うコンセプトも出てきます。また、目標としたい有名人の名前や数字(クラスの人数等)など様々なキーワードが黒板に書かれていきます。

そしてここからがポイント。自分のアイディアと他の子のアイディアを結びつけたり取捨選択しながら話し合って一つのクラス名をクリエイトしていく時間です。各学年共、時間を掛けて話し合いを進めた結果、なんとか決定したようです。そして朝の会で発表(プレゼンテーション)を行いました。

 RIMG1825.JPG まずは、5,6年生。上級生が発表し、お手本を示します。クラス名は、【時話夢希(とわむき)】です。

「この時間を大切に、仲間との会話を大切に夢と希望をもって。というメッセージを込めてみんなで決めました。」

続いて3・4年生。クラス名は、【エジタイン】。

RIMG1829.JPG「発見してさらに発明できるような人になりたいという思いを込めて、エジソンとアインシュタインから名前をとって決めました。」
「これにはみんな納得しているの?」
「納得しているよ。最初はアインソンやエジソンジュニアなんて候補も挙がったけど、なんかかっこよくなかったり、塾の名前みたいかなと思ってエジタインが一番いいという話になりました。」

最後は1・2年生です。クラス名は、【セブンモンスタードラゴン】。

 RIMG1860.JPG「七人組のぼくたちと、妖怪のようにしぶとく最後まで諦めないぞということと、辰年の龍のように昇っていくということでこの名前を決めました。」
「なるほどー。それで、これにはみんな納得していますか?一年生は説明できるかな?」
「納得してるよ。七人で学んでいくっていうことと最後まで諦めないっていう意味でこの名前にしたの。」
しっかりした答えをする子もいれば、「セブンとモンスターとドラゴンをつなげたんだよ。」と、かわいらしい(ややとんちんかんな?)発言もたくさんあり、和やかな発表となりました。

ルールを満たすことができず、多少時間がかかってしまったクラスもありましたが、皆の想いがこもった素敵なクラス名が揃いました。

さあ、いいチームワークを発揮して今年も思いっきり学び、そして楽しもう!!

YI

2012年04月27日

仲間・親から見た自分


[1・2年生]


タイトル:I am special, YOU are Special.


テーマ第三週。
前回の続き、性格的特徴を追うことから始めました。
といってもなかなか自分の性格が浮かばない様子を見て、ことばのプレゼント。
この中のことばを使って、自分の性格を10個のことばで表現しよう!


「かしこいってパパに言われたことあるから、これだと思う!」
「んー難しいなぁ…」
「僕と○○は、おだやかだよね?」


十個選ぶことは難しい子もいたようですが、ひとつふたつでも、これだというものが見つけられたようでした。


仲間・親から見た自分そうやって自分の特徴を発見し記録し続けた子どもたち。
その記録は模造紙にはもう貼るところはないほどいっぱいに!


今まで自分で自分に目を向け、自分について発見してきた本テーマ。
ここでちょっと視点を変えることで更に発見してみることにしました。


まず、みんなの発見を見比べてみることに。
好きな動物や、脇の温かさ、目をのばしたときの形など、比べてみると違うところや似ているところが見えてきました。


そして、もう一つ視点を変えてみることに。
自分で発見するのではなく、周りの人から発見してもらうというもの。
ということで、一番近くにいて、生まれる前から君たちのことを知っているお父さん、お母さんにインタビューしてみました!


子どもたちには内緒でアンケートをとっていたため、当日聞かされた子どもたちはびっくり!
しかもその日は参観日だったので、実際にお父さんお母さんもいるところでの発表となりました。


項目は、
・生まれた日、時間、身長、体重
・お腹の中にいる自分
・生まれた時の自分
・名前の由来
・生まれてからの成長
・いいところ


「確か○時○分に生まれたんだと思う。」
「名前の由来はね…。」


と、知っていることや予想を子どもたちが語りつつ、
インタビュー内容を読み上げると、合っていることもあれば、予想と違うこと、初めて知ったこともあって子どもたちは興奮しっぱなしでした!
生まれた様子や名前の由来へのこだわりなど、家族ごとで違ったことも興味深く、
みんなの生まれた時の身長・体重を比べると、
他の子と比べて、身長は高いけど体重が軽いなど不思議な点もありました。


どのインタビュー内容もお父さん・お母さんの愛情を感じるものでした。
そして、印象に残ったことは、自分以外のインタビュー内容にも耳を傾けて反応していたこと。


「(インタビューシートにも書いてある通り)○○くんはよく笑ってるよね。」
「そうそうこういう表情してるよね。」(と真似をしだす)


さぁこれからも自分を見つめて、自分らしさを見つけていこう!




EN


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数学的に理解する

[3・4・5年生]

てこや滑車が、加えた力よりも大きな力を出すことが、“なんとなく”
わかり、動滑車と定滑車を組み合わせるとより効果的てあることも
“なんとなく”わかってきました。いよいよ次は、“なんとなく”の段階を
乗り越えて、アルキメデスのように現象の背後にある「原理」をつきとめ
ることです。そこで今週は、数学的な法則性を確かめるための実験を丁寧
かつ正確に行いました。

実験授業を担当している和氣さんが持ってきてくださった「滑車」を使い、
科学博物館で見て、体験した展示物のミニチュアを再現し、それを用いた
実験です。

科学博物館には2つの展示物があり、1つは、動滑車と定滑車とが1つ
ずつのものであり、もう1つは、2つずつのものでした。まず、動滑車と
定滑車が1つずつの場合、動滑車の下につけたおもりを、定滑車からたれ
さががった糸でひっぱると「予想通り」半分の力で引っ張り上げることが
できました。80グラムのおもりがその半分の重さの40グラムのおもりで
つりあったからです。

「じゃあ動滑車が2つだったらさらにその半分の20グラムだ!」

頭の回転の速い子がすぐにつぶやきます。他の子も、“なんとなく”気づ
いていたことを耳にして、一気に予想がひとつに固まります。そこで、
実験をやってみると……アタリ!20グラムです。

「動滑車の数が1つ増えると半分になるんだ」

さあ、これで数学的原理は発見!一件落着!とすませてしまうのが子ども
ならずともヒト一般の陥りやすい思考スタイルです。

数学的法則を確立するには、なぜそうなったのかという「合理的な説明」
が必要。そこまで突っ込むのが、探究する学びであり、今回の追究を通じ
て子どもたちに身につけてほしい姿勢です。

なぜ80グラムのおもりが40グラムのおもりでつりあうのか?
軽くなった40グラムはどこに消えたのか?
きちんと「説明」できないといけない……

「分散されたんじゃあ……」

うん!それはいい筋だ!しかし、あまりに言葉足らず……「分散」をキー
ワードにみんなで読み解いてゆきます。

動滑車は、2本の糸でつるされているのと同じ状況に置かれている。
したがってそれぞれの糸に力が「分散」して、かかる重さが2分の1に
なる。動滑車から定滑車へとつながっている糸にかかる重さも2分の1
になるから、定滑車から垂れている糸を引っ張り下げる重さも2分の1!

おお、大分説明が洗練されてきました。しかし、まだ大事な問題が残って
います。

“動滑車の数が1つ増えるごとに力の大きさが2分の1になってゆく……
つまり、動滑車が2個だと4分の1、3個だとさらにその2分の1で
8分の1となるのか?……

ということです。

確かに、動滑車が2個だと80グラムの4分の1の20グラムでつりあい
ました。とはいうものの……この後、単純に、8分の1、16分の1になる
と言えるのか……ここで「即断できない!」と「気づく」ことが「数学的
法則」を見つけられるかどうかの分かれ道です。

じゃあまた実験!3個の動滑車ではどうなるか?……となるのがふつうの
流れ。子どもたちもそれを期待しますが、「ちょっと待った!」をかける
のが探究学習!実験する前に自ら立てた「説明原理」によってデータを
予測してみます。

先ほどの「分散」という「説明原理」に基づいて動滑車2個使った実験
装置を改めて眺めてみると……4本の糸でつるされて「分散」されている
ことがわかります。

「そうか……じゃあ次は6分の1だ!」

もう1個動滑車をつるすと、糸は6本になるから、つるしたおもりの
重さの6分の1になる!半分、半分……となる仮説は棄却されました。

“なんとなく”からスタートし、実験しつつ予測することで「数学的根拠」
に基づいた判断ができるようになってきました。こうして「原理」をしっ
かり知ったうえで再び「現実」へと回帰!この「原理」を活かして「現実」
に子どもの力で車を引っ張る「装置」を「設計」する作業へと進んでゆき
ます。

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

風をつくれ!

[6年生]

テーマ第3週目。

今週も先週に引き続き、天気の変化に関わる原理を理解するため、
実験に取り組みます。
理科(実験)の時間も使わせて頂き、風をつくる実験に挑戦しました。

空気の性質を知り、その流れが風であることを理解した子ども達。
「風をつくれ!」のミッションのもと、実験に取り掛かります。

こちら側で用意した材料は水槽、ラップ、線香、ホッカイロなど。

「風を起こすためには、冷たい空気と温かい空気を作らないといけないんだよな。」
「ホッカイロは使えそうだよね。キッチンの冷蔵庫の中に使えるものが
 ないか見てくる!」

フットワーク軽く、早速、冷蔵庫から紙箱入りバターを持って帰ってきました。

「線香の煙が漏れないよう、水槽の上にはラップをしっかりしないとね。」
「バターの位置はどこがいいだろう?上空の気温が低いということは、
 水槽の上の方にぶら下げた方がよいのかな?」

最終的に水槽の片側にホッカイロ、もう一方に紙箱入りバター、真ん中に線香と
いう配置に。
実験方法を説明する資料を渡さなかったにも関わらず、自分たちの頭で考えながら、
いろいろ試してみようとする姿勢はTCSキッズならではといえるでしょう。

20120423wk_1.JPG
しかし、実験をしてみると、バター側に煙が移動し、下がっていく様子は
見られるものの、その煙がホッカイロ側になかなか流れ込んできません。

「なんか、微妙だね。。」
「ホッカイロが温まるのに時間がかかるからなのかなぁ。」

もっと温冷差をはっきりさせた方がよいと考えた子ども達は、再びキッチンへ
向かい、お湯を入れた魔法瓶と保冷剤を持ってきました。
湯気が邪魔して線香の煙が見えなくならないよう、お湯が入っている容器を
ラップする工夫を行い、再度実験開始。

20120423wk_2.JPG
しばらくすると、煙がゆっくりと対流していきます。
その様子を見て、
「大成功!」
「なんだ、雲の実験に比べて簡単だったね。」
と子ども達。

しかし、これで終わらないのがTCS流です。

「じゃあ、次は実際に太陽光を使って再現させてみようよ。」と問いかけます。

「うーーん、困ったな。。」
てっきり、これで実験が終わりと思っていた子ども達は予想外の展開に
びっくりした様子。

そんな中、こちらが用意した材料から使えそうなものはないか探し、
黒い紙と白い布を発見しました。

「黒色は光を吸収するって聞いたことがあるし、これでいけるかも!」

教室を飛び出し、スクールの玄関前に水槽を設置します。
しかし、天気はあいにくの薄曇り。

「こんな天気でも大丈夫かなぁ。」

そんな心配をよそに、煙は見事に対流します。
太陽光の力に驚きを隠せない子ども達に最後の指令です。

「じゃあ、水と土を使って海と陸の状態を再現してみよう。」

今回の実験にあたり、ホームページでも事例を調べましたが、太陽光/土/水を
用いたケースは見かけませんでした。おそらく、限られた時間の中で早く結果を
出すためには、卓上ライトや黒い紙を使った実験に留まってしまうのでしょう。
ただ、我々としては、実験を単なる楽しいだけの疑似体験に終わらせず、
できるだけ現実に近い状況を再現してみることで、知識と実体験を
より強く結び付けることができるはずと考え、今回の実験を試してみることに
したのです。

20120423wk_3.JPG
子ども達は紙パックを二皿用意し、それぞれに水道水と土を入れました。
もしかしたら日本初の実験事例かもということもあり、子ども達だけでなく
スタッフもハラハラ&ドキドキ。

で、実験結果はというと、

「水側に煙は行くんだけど、なかなか土側に煙が流れ込んでいかないなぁ。」
「水がある片側だけで、煙が対流してるみたい。」

なかなか思い通りの結果になりません。
その日は終業の時間がきてしまったので、日を改めて再チャレンジすることに
なりました。


そして、翌々日のピーカンのお天気の日に再実験を行いました。

「わぁ、すごい。煙の塊が動いているのがよくわかる!!」
「土でも再現できるもんなんだなぁ。」

実験は大成功です。

20120423wk_4.JPG 20120423wk_5.JPG
その後、教室に戻り、実験のふりかえりをおこないました。
実験の手順を、図を用いながらまとめ、どうして風が起こったのかを
自分の言葉で説明します。

今回は様々なパターンの実験を行い、しつこく、粘り強く取り組んできました。
簡単にわかったと思わせてしまっては、追究がそこでストップするからです。
子ども達も弱音を吐かず、よく食らい着いてきてくれました。


いよいよ、テーマも折り返し地点。
GW明けは、天気を予測するにあたり、天気図をどう読み解いていくのかを
学んでいきます。

HY

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