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滑車の原理はどうなっている?

[3・4・5年生]

自分の出せる力を、もっと大きくするには、変換する仕組みが
必要です。その原理を見つけ、実際に装置を作り出した男が、
なんと紀元前にいました。

その名はアルキメデス。

アルキメデスには、自分一人で大きな船を動かしたという逸話が
残っているので、それを読み聞かせました。ただ、逸話だけで、
どんな装置を使ったかまでははっきりしません。

アルキメデスは「理知の人」だから、「超能力」を使ったわけ
ではなく、そこに科学的原理があるはず……
いったいアルキメデスはどんな手を使ったのか……

子どもたちの知りたい気持ちが高まりました。その秘密を明らか
にすべく、ヒントをつかむために、椅子に座った自分を自分の力
だけで持ち上げる滑車装置を体験できる上野の国立科学博物館
を訪ねました。

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「滑車がいくつもついてる!」

装置を見た途端、子どもたちは、複数の滑車が用いられている
ことに気づきました。

まずは“やってみる!探究の「探」 responsive のフェイズです。

”かわりばんこで「滑車の椅子」に座り、本当に持ち上がるのか
確かめます。

「わあ、軽い!」

ロープをするすると引っぱることができ、それにつれて自分の
座っている椅子が浮き上がっていきます。

全員で7名しかいないうえに、平日の午後という“好条件”。
さらに、特別展示ではなく常設展示、地味なディスプレイ。
まるで、自分たちの「実験室」のように科学博物館の展示物を
利用し、じっくりと調査ができます。これぞTCSの学びの特権!

一人ひとり納得ゆくまで装置に座り、どんな感じか、いったい
どうなっているのか、とことん実感し、「身体記憶」を形成して
ゆきます。

「片手では無理だ……」

だれかの一言で、両手ではなく片手だけで持ち上げることに挑戦
してみましたが、それは誰もできませんでした。

次第に明らかになってきたことは、ある程度軽くなったものの、
「ものスゴイパワー!」になっていないことです。

この装置をそのまま真似しただけでは、子どもが車を引っ張れる
ほどのパワーにはなりそうにない……

でも、複数の滑車を使うことにカギがある……

どんな動きをするのか?

子どもたちの調査は、「自ら乗って確かめる」ことから「装置の
仕組みと動きを観察すること」に移行します。

誰かに乗ってもらい、ゆっくりロープをひっぱってもらうと……
滑車がどう動き、ロープがどう組み込まれているかよくわかります。
みんな真剣な眼差しで見つめています。しかし、どんなにじっくり
観察しても、見ただけだと「なんとなくわかった!」という印象
しか残りません。それでは、「小さな力で大きな力を生み出す
滑車装置の仕組みを正確に理解する」という「目的」を果たせない
ことを子どもたちはよく自覚していて、率先して写真とビデオ撮影
を行い、しっかり“記録”しました。

「十分な実体験」と「しっかりした記録」とがそろうと、こんな
にも素晴らしいのか!ということが、「ふりかえり」の過程でまざ
まざと現れました。

翌日とその次の日をたっぷり使って、記録した写真やビデオを何度
も見直し、「自分で自分を持ち上げる滑車装置」の仕組みについて
図解したのですが、その取り組みに集中するだけでなく、まるで
設計家のように美しくかつ正確に仕上げたことです!それも一部の
子だけではなく、みながそうなのでなおびっくりです。

「やっぱ記録しておくことだね……」
「みんなでじっくりわかりあったからよかったかも」

子どもたちは、納得できるミッションを持った上で、目的を明らか
にしてフィールドワークを行い、記録を残したからこそ、素晴ら
しいアウトプットにつながったのだということを身を持って学び
ました。

いよいよ「チーム」アルキメデスらしくなってきたと言えましょう。
次はいよいよ“数学者”として名をはせたアルキメデスのように、
私たちも原理を数学的にとらえることに挑んでいきます。

RI

TCS2012年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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