東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2011年07月 アーカイブ

2011年07月01日

魅力ある駄菓子屋とは?


[6年生]


駄菓子屋「だがっちゃん」は、営業2週目を迎えました。


魅力ある駄菓子屋とは?_01まず、営業してみた1週目。
オープンのめずらしさやスクール関係者(子どもたちなど)の皆さんも来てくれたことがあり、
売上げは目標を超える日々が続きました。


「だけど,だんだん売上げが落ちている。」
「宣伝の効果が無くなってきた。」
「そう、声をかけてもお店まで行ってくれなくなったんだよね。」
と、浮かれるのではなく不安に思う子どもたち。


でも、ここで、Reflectiveな時間。
「だがっちゃんはこのままでいいのかな?」


それに対し子どもたちは、
「営業日誌だけど、毎日同じことしか書くことが浮かばない。」
「だがっちゃんには、変化がない。
お客さんが飽きてきているのかな。」


そこで、問いかけ。
「そうだとしたら、お客様が喜ぶような、
わくわくする駄菓子屋にするにはどうしたらいいのだろうか?」


「んー……。」
子どもたちは悩みます。


「くじは?」
「◯◯円以上買ったら、あめをプレゼントするのは?
一日△△人来るとして、計算すると□□円かかるよ。」
「商品が大事なんじゃない?今は小さいスナックとかを売っているよ。
もっと駄菓子っぽいいろんな商品を売るべきだよ。」
「まとめ買いセットを作るのは?」


魅力ある駄菓子屋とは?_02  魅力ある駄菓子屋とは?_03
話し合いの末、くじを導入することとし、
商品の販売累計から売れ筋を見ること、
多様な商品を売ることとしました。


話し合いをしていたら、開店時間を過ぎてしまいました!
でも、急いで開店準備しよう!という時に……
「宣伝の声が小さいから大きくしてってお願いしても、変えてくれないんだよ。」
「そっちも何も変わらないじゃないか。なんで僕だけ。」
「このままじゃ開店なんてできないよ。」
「なんで、売上のことばっかり言うの?みんなが楽しんでやることも大事だと思う。」
と、社内不和が起きてなかなか開店できず、ということが……。


その翌日も、天気に恵まれず雨。
お店のその状態は成績にも影響するのか、今週は先週の半分をきる売上でした。
お客様の数も半減。


「このままだとやばいよね……。」
と、子どもたちの表情も暗くなっていきます……。


泣いても笑っても、来週は閉店をむかえます。
一社会人として、だがっちゃんという事業ができる最後の週です。
笑顔で終わることはできるのか?
お客様の笑顔を獲得することはできるのか?
残された機会を大切にして、働くことに楽しさや喜び、充実感を感じて欲しいと思います。


EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「個存個生」から「共存共生」へ

[5年生]

「放射能が恐いから、日本を捨ててどこか島へ逃げる!」
「原子力をやめて全部火力にすればいい」

当初、公言してはばからなかった子どもたち。

テレビで聞いたこと……親が話していたこと……断片的な情報が雑多に入り混じり、
もっともらしい意見を述べていただけでしたが、数週間の学びを経て、それはどうも
おかしいぞ?という「意識」は芽生えてきました。過去の先輩が学んだことをふりかえ
ったり、さまざまなデータを見比べたりしたことで、多面的に考える意義を実感し始め
たのは一歩前進です。

しかし、問題はこれからです。葛藤する2つの考えに直面したら多面的に見て判断
することが大事だと知っても、だから、自分だけでなく、みんなのことも考えようとは
思えないからです。

“balanced”なものの見方を実感したからといって、即、“responsibility”のある態度
にはつながらない……

このままでは、どんなに学びを進めても「個存個生」にとどまり、「共存共生」の探究
にはなりません。

どうしたら"I"という意識を拡張して、"We"という意識を抱くようになるか……そのため
の「仕掛け」が必要です。自分のことだけ考えていられない「仕事」とは……

「政治家」です。

そこで、子どもたちに「総理大臣候補」になってもらい、

“人々を幸福にするエネルギー政策を訴える!”

というミッションを提示しました。

日本の総理大臣はころころ代わるよね……鳩山さんはダメ、菅さんもダメ……と、ただ
「批判」だけする子どもたち。これは、無責任に発言し、愚痴るだけで、自ら行動し、変え
てゆこうという気概のない世の大人たちを鏡とした子どもの姿です。もし、今の首相が
ダメだとして、じゃあ、あなただったらどうするの?と

“perspective”+“responsibility”

という思考のサーチライトを使って考えられる人に将来なってほしい!そんな願いが
この学びには込められています。

「自分だけよければいいと考えず、みんなの幸福を考え、“こうなったらいいよね!”
という将来へのヴィジョンを“こうすれば実現できるよ!”とみんなが納得するような
根拠とともに示す政治家に“なりきって”もらいたいんだ!」

(おっちゃんのテーマだから、ただアウトプットして終わりということはないと覚悟してた
けど今回はそうきたか……)子どもたちは、“面白そう”半分、“大変そう”半分といった
複雑な表情を浮かべました。これはよいサインです。これまでもさんざんテーマ学習を
やってきましたが、ただ子どもが「やったー」と喜ぶのもダメ、「わあやだ」としか感じられ
ないものもダメ。高学年の場合は特に「つら楽しい」感じがないとうまくゆかないのです。
子どもたちは、「総理大臣になる」というアウトプットに「つら楽しい」部分を感じとった様子
なので、まずは第一段階はクリアといったところでしょうか。

次に、“リアリティと大胆さ”が両立するように

“もし総理大臣になったら”という「架空のシミュレーション」でありながら、単なる「お遊び
ごっこ」で終わらない「リアリティ」を作り出し、

テレビの情報番組で言われているような節電対策や、エネルギーに関する本や資料に
書かれている提言のコピーではなく、「大胆な発想」をするように子どもたちを導く

「制約」

を設定して、子どもたちの「探究心」に火をつけます。

制約その1 オイルショックならぬ“アトミックショック”に見舞われている日本の電力
使用のあり方を根本から見直す。このため、新たな発電手段さえ見つかれば現状通り
発電する、あるいは発電量を増やすという政策はとらない。

制約その2 現在の発電量を50%カットする。今のままだと原発が全停止してしまう
可能性もある。そうなるとそれだけで30%のカットを強いられる。さらに、地球温暖化
ガスのことを考えると火力にばかり頼れないし、再生可能エネルギーの開発にも時間が
かかる。となると、節電だけではどうにも対応できず、社会システム、ライフスタイルの
根本的な変革を迫る大胆な発電量カットが求められる。

制約その3 50%の発電カットをしても、耐え忍び、つらい暮らしになるわけではない
という具体的なイメージを示す。1975年の発電水準に戻せば、50%カットになるが、
昔できたから今もできる、あるいは昔に戻ればよいという発想ではダメ。

制約その4 50%カットを可能にする「根拠」は、単に荒唐無稽な発想でも、希望的な観測
でもダメ。現実的に対処可能であることを数字などの根拠とともに示す。

以上の「制約」に基づいて、「政策」をまとめ、テーマ発表会のときに、総理大臣候補
として3分間スピーチを行います。その際に、アメリカ大統領選のように、お互いの意見
について質問しあって、自分の意見の優位性を示すチャンスが与えられます。最後に、
自分の政策がどれだけ聞き手の心を打ったか知るために、テーマ発表会の聴衆に投票
してもらいます。

さあ、リトル政治家は「政策提言」へ向けて動き始めました。ひとりよがりの政策では、
みんなの共感は得られませんし、納得のいく根拠が示されなければ、信用してもらえ
ません。だからといって、夢と希望を与えない政策ではやっぱり受け入れられない
でしょう。

あと2週間、探究教師としての私の役割は、彼らが、理想を追い求める心ある政治家
として動けるように、彼らの思いを実現する「根拠」を探す「政策秘書」としての役割を
果たすことです。

リアリティかつ大胆に……

イノベーティヴな発想を生み出すべく、「チーム50%」いざ発進です!

RI

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実験ウィーク

調査隊の次の任務は、フィールドワークの振り返りで出てきた疑問、仮説の
検証です。

まず最初は、「石灰岩は削れやすく、チャートは硬い。だから石灰岩は下流にはなく、
チャートは下流にもある。」という仮説を検証するための実験です。

子ども達は、「かなづちで叩いて、割れるか調べる」という方法で実験をすることに。
実験は安全第一。場所はスクールの玄関前。
破片が飛ぶと危険なので、ゴーグルを着用し、手にしたかなづちを振りかざします。

R0010109.jpg R0010120.jpg

「カンッカンッカンッ!」周囲に音が響き渡ります。
石灰岩はあっという間に割れて、粉々になってしまいました。

同様にチャートもかなづちで叩きますが、こちらは石灰岩のようにはいきません。
「なにこれ、めちゃくちゃ硬いじゃん。。」

しばらく悪戦苦闘していると、子ども達はチャートのいろんな特徴に気づき始めました。

「見て見て。かなづちで叩くと火花が散ったよ!!」
「おっ、アスファルトに字が書けるぞー。」
「うげっ、何この匂い。鉄みたいで臭い。。。」

石の匂いをゲストにかがせて喜ぶ姿も見られました。。

本や教科書に書かれているだけではなかなか頭に入ってこない情報も、実験を通じて
「自らの体験として経験する」ことで、彼ら彼女らの理解につながっていきます。
子ども達はかなづちを持つ手をなかなか離さず、実験に熱中している様子でした。


次の実験は、「石がぶつかりあって小さくなるか」をシュミレーションするため、
缶の中にレンガを入れ、2000回振ってみることにしました。
まずは、実験用にレンガを細かく砕き、それぞれの石に番号をマジックで書き、
週明けに200回振るごとに計測をしてどう変化するか調べます。


そして、いよいよ今回のテーマも佳境へ。
「多摩川の石ってどうやってできたんだろう。」
この疑問を子ども達とともに考えていきたいと思います。


HY

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日々の中の『ありがとう』

[1・2年生]

今週はそれぞれの生活を振り返るところからまず始まりました。
朝起きてからスクールへ行き、夜寝るまでに自分がどういう行動をしているのか細かく思い出していきました。

(例)『起きる⇒歯みがき顔洗いをする⇒朝ごはんを食べる⇒新聞を取りにいく⇒トイレに行く⇒手帳を見る⇒お弁当と水筒を入れる⇒スクールへ向かう⇒スクールから帰る⇒サッカーをする⇒昼寝⇒よるごはんを食べる⇒お風呂に入る⇒テレビを見る⇒寝る』

PIC_0134.JPG

次にその一つずつの行動は自分でやっているのか誰かに手伝ってもらっているのかを確認していきました。 考えていくといくつかの行動は家族やほかの人に手伝ってもらっているということが見えてきました。 また、土日などにスクール以外で関わっている人の中で自分がお世話になっていると感じる人について思い出して書き出す作業を行いました。
『体操の先生』『サッカーのコーチ』『スクールの友達』『幼稚園のガキ大将』 『工作の先生』などなどみんな沢山の名前を聞かせてくれました。

PIC_0135.JPG

これらの作業を通して自分の生活が色々な人に助けられて成り立っているということが分かってきたようです。 当り前に思っていた日々の一つ一つの行動も“おかげさま”で成り立っていた事を感じることができたのは素敵な一歩です。

また、一週目から今週まで学んできたことの振り返りを行った際に、一週目にみんなから出てきた『ありがとう』は「公園に連れて行ってくれてありがとう。」「ゲームを買ってくれてありがとう。」「転んだ時に助けてくれてありがとう。」「遊んでくれてありがとう。」「いつも守ってくれてありがとう。」など、自分の為に何かをしてくれてありがとうだったことに気付き、また、『ありがとうを探せ』で蚕糸の森公園とニコニコロード商店街を探索した時に発見したありがとうは『掃除をしてくれてありがとう。』や『植木をしてくれてありがとう。』、『自動販売機の中身を入れ替えてくれてありがとう。』などみんなの為に何かをしてくれてありがとうであると気が付きました。

今までは直接自分の為に何かをしてくれたことに対して『ありがとう』と言っていた子どもたちが、みんなの為に(公の為に)誰かがしてくれている仕事に対してもアンテナを持ち、たくさん発見することができ、みんなの頑張りを感じました。good job!!

今週末には宿題として家での『ありがとう探し』をやってきてもらうことになっています。 どんな『ありがとう』を探してきてくれるか楽しみです。乞うご期待☆

YI

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2011年07月08日

だがっちゃん閉店!


[6年生]


テーマ「お客様の笑顔を獲得せよ」もいよいよ佳境。
「駄菓子屋だがっちゃん」閉店の週を迎えました。


駄菓子屋店員として働ける最後の3日間(火・水・木)。
「楽しく」「仲良く」「正確」な営業をしよう!
「がんばるぞ!オー!!」円陣を組んで開始。


3週目ともなると、開店・閉店作業も慣れて、販売・宣伝・事務と役割分担も自分たちで行うようになってきました。
「この商品の値札、そこにある?」
「これで、商品は全部かな?」
「開店まであと◯分だ!」
「じゃあ、宣伝行ってきます!」


仕入も最後です。
「あと少ししかないから、買い過ぎないようにしないと。」
「えっ、(欲しいと思っていた商品が)売っていない……。」
「こんなにたくさん要らないんだけどな……。」
「いつもの商品だけだとつまらないから、どんな商品を仕入れようかな。」
「これと、これをまとめ買いセットにしたらどうかな?」
「これで、幾らになったかな?(計算して)あともう少し買えるね。」
限られた予算と時間の中で、悩みながら仕入れました。


仕入れた商品を使って、
「このパイに、ビスケットに、ガムも入れる?」
「一個当たりの値段が○○円だから、売値は○○円ぐらいかな。」
くじを作ったり、まとめ買いセットを作ったり。
お客様からも、
「一週目より大分、店の様子が変わりましたね。」と言われ。
彼らなりに、試行錯誤している様子が見られました。


ですが……。
2日間(火・水)が過ぎた時点で、その成果を表す一つの指針である売上はいまいち。
「このままだと、在庫がたくさん残ってしまうよ……。」
仕事に対しても、
「今日は、この仕事をやりたい。」
「◯◯、これやってよ。」
「いやだよ。」
「えー、めんどくさい。」
「疲れたから休む。」
と、怠惰な一面も見え。
毎日の営業日誌も、書いて来ないことがあり。


やりたいことはやるが、そうでないことは適当にしたりさぼったりする。
それでは働いているとは言えないし、社会人とは言えない。
これでは,ただの「駄菓子屋ごっこ」にしか過ぎない。


そこで、子どもたちにこの学びを通してなって欲しい姿(Learner Profile)、
“Thinkers”
“Communicators”
“Reflective”
について話し合うことに。


「Communicatorsって、お客さんとコミュニケーションをとることかな。」
「それって、お客さんだけでなく、店員同士も?」


「すると、店員同士はCommunicateできているの?」
と投げかけると、歯切れの悪い子どもたち。


「自分は必死にやっているのに、そうじゃない人がいることで商売がうまくいかなくなるんだよ。」
「思っていることを言ってくれないと、分からないよ。」
「前は僕がいなくても開店したのに、一人だけいないと開店できないんですか?」


子どもたちも(スタッフも)開店したくてたまらない。
けれど、この行き違いのある状態では開店したくても、できない……。


開店時間が過ぎる。
「仲良くやるのって、ここでいくら話し合ってもできるものじゃなくて、
動いている中でできていくものだと思うんだよね。」
外には待っているお客さまがいることも分かり、営業する中で一致団結しようと何とか開店。


だがっちゃん閉店!最終日ということで、呼び込みに力を入れるも、
閉店30分前まで、半分くらいの在庫が残っている始末……。
「このままだとまずい。」
「何とかしないと。」


最後は、安売りを実施。
子どもたちも全員集まり、文字通り「一致団結」し、声を張り上げての宣伝をしました。
「駄菓子屋だがっちゃん、最終日です!」
「安売りしています!ぜひ来てください!」
「閉店まで残りわずかです!」
「大変お得です!」
最後の必死の追い込みが効をそうしたのか、
宅急便の方がトラックを降りてまで買いに来てくださったり、
常連さんが二度目の来店をしてくださったりと、
いろいろな人に支えられて無事閉店しました。


計算をしてみると、今までで一番の売上を計上!
子どもたちも、やりきった感を感じていたようです。
でもこれで終わりではありません。
来週はテーマ最終週。決算を行い、事業報告会に向けて準備します。


EN


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未来像を描く

[5年生]

スピーチという発表形態は初めての子どもたち。スピーチの「内容」をまとめるのに
先立って、どんなスピーチが人の心を打つのか、モデルとなるスピーチを知る必要
があります。そこで、スティーヴ=ジョブスがi-podを初めて紹介する際に行ったプレ
ゼンをYouTubeで見てもらいました。

ジョブスのスピーチについては、『ジョブス驚異のプレゼン術』という本が大ヒットした
ように、私たちがプレゼンするときに「まねる」と有効なエッセンスがつまっています。

「あなたはこう思ってるでしょ?ってなんどもなんども繰り返すよね」

ある子が、ジョブスのプレゼンの本質に迫るポイントを見事に発見しました。さすが
ジョブスマジック。英語に日本語字幕がついたスピーチを見ているのに、穏やかで
ゆっくりと、わかりやすく、最小限の言葉で説明されるジョブスのプレゼンに、子ども
たちはひきこまれ、“もう一度見たい!”と言い出し、繰り返し見てゆくうちに“まね
したいポイント”を見つけ出しました。

・これまでの製品と自分の製品との違いを比べる
・比べるときに、圧倒的に自分の製品が優れている「数字」を見せる
(“1000曲も入っちゃう”)
・相手が知りたいこと、疑問に思っていることを先回りして語る
(“バッテリーはちゃんと長時間持つのと思ってる人もいるでしょう”)
・「小さい」ということを「ポケットに入っちゃう」という言い方で表現するように聞き手
に自分が使ってるときの状態をイメージさせるように語る

まず、聴衆をつかむ語り……続いて、イメージしやすい根拠に基づき、相手の思考
の流れに沿って自分の製品の優位性をアピール……最後に、「本物」のi-podを
見せて、聴衆を「あっ!」と思わせて終わる。

効果的なスピーチの基本構造を子どもたちは理解しました。

相手の共感を得るスピーチの「イメージ」を持てたところで、いよいよ、肝心の「中味」
について練り上げるフェイズに入ります。

今回のスピーチの目的は、「知識の披露」ではありません。何度も繰り返し述べて
きたように、“balanced”な思考スタイルで「判断」した「考え」を示すことです。

今、どうするかだけにこだわらず、これからどうしていったらいいか、
“responsibility”
を持って示すために、みんなで目指してゆきたい「未来像」を描き、示すことです。

そのための「仕掛け」であり、「制約」が、「電力50%カット政策」なのです。

「じゃあそんな世の中はどんな世の中なのか、ジョブスみたいに聞き手がその世の
中をイメージしやすいように具体的な姿を描写してほしいんだ!」

とはいえ、50%電力カットでの充実した生活をイメージして!と言われても……
コンビ二が多すぎるからコンビ二を少なくする、朝早く起きて夜早く寝るというアイデア
から発展しません。

コンビ二に依存しなくても豊かな世の中とは?
昼間働くだけで残業のない世の中とは?

と問いかけても、イメージがすぐには広がっていかないのです。さあ、ここでなんとなく
耳にした「知識」にしばられて、大胆にイメージを広げられないならば“balanced”な
思考スタイルは発揮できません。そこで、50%電力カットによる「負の側面」を先に
考えてみるように促しました。すると……

「電気が足りなくなって、停電がしょっちゅうおきて仕事ができなくなる」
「日本の工場が海外に出ていって“空洞化”する」

予想通り、早速、テレビなどでよく言われている理由が出てきました。

「じゃあ、そうなってもいいようにするにはどうする?」

最悪な状況を「前提」として、それをどう前向きに乗り越えられるか“大胆”に考えて
みようと問いかけました。

「電気をいっぱい使ってしまうのは、“物”を“生産”するときかも。」
「“モノ”じゃなくて“アイデア”を生産するんだったら、電気はそんなにいらない。」
「アイデアを出すんだったら東京じゃなくていいし、もっと田舎でのんびりしたところの
方がいいアイデアが出そう。」
「暑い夏は、涼しいところへ移住し、寒いときは、温かいところに移住する、渡り鳥
みたいな暮らしもできるよね」
「みんなが一緒のところにいつもいなくてもアイデアの交換はできやすいもん」
「会う頻度を減らせるし、時間も融通きくようになるから料理とかにも時間とれるよね。」
「そうしたらコンビ二いらなくなるよ。」

いつもみんながいっせいに都心のオフィスに通う働き方でなくなれば、東京周辺に
固まって住むことはなくなる。そうなれば、住む場所を自然豊かなところに移せる。
家の構造にも気をつかえば、エアコンの電力量を減らせる。ただ、お互い離れたどうし
のコラボが増えるからIT機器はもっと大事になってくる。もっと省エネで蓄電力も高い
製品にする必要がある。ただ、太陽光で、個々のIT機器を充電することは可能になる
かも。働き方がフレキシブルになれば余暇が増えて、不便さを楽しむ余裕が生まれる
んじゃないか……

1ヶ所突破口が生まれると、次から次へと波及していろいろなアイデアが出てきてしまう
ので不思議です。次第に、50%電力カットでも魅力的な世の中になりそうだという具体的
なイメージが子どもたちの中にできあがってきました。

さあ、ここまでは、みんなでイメージを広げる作業をしてきましたが、最終週は、みんなで
考えたアイデアを自分なりの視点で料理し、差別化して、他者の共感を得る「未来像」
をまとめることに挑戦です。つら楽しい怒涛の1週間が始まります。

RI

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多摩川の石ってどうやってできたんだろう

今週前半は先週の実験の続きということで、「石がぶつかりあって小さくなるか」の
検証作業をおこないました。

石の硬さを考えると、テーマ学習の授業時間内ではとても結果が出そうにないので、
レンガで代替することに。まずレンガに番号を振って、計測をします。
そして、缶の中にレンガを入れ、200回振るごとに計測をしてどう変化するか調べます。

R0010123.jpg 20110705wk_03.JPG

「9番が割れちゃったよ!」
「うわっ、5mmも小さくなった!」
「表面が削れて、番号が全然見えないよ。。」

レンガが小さく丸くなっていく様子を目の当たりにし、子ども達も興奮気味。
時間の都合上、1000回で実験をストップせざるを得なくなりましたが、
子ども達はまだまだ振り足らない様子で、「放課後の時間を使ってでも缶振りしたい」という
意見も聞こえてくるくらいでした。


そして、いよいよ今回のテーマの核心である「多摩川の石はどうやってできたのか」
という謎に迫るため、1枚の資料を配りました。
その資料には、日本列島近辺の水陸分布が年代ごとに図示されており、
当時の様子について簡単な説明が書かれています。

「えーーーっ、日本列島が海に沈んでる!!」

資料を配るやいなや、子ども達からあがる驚きの声。
秩父層群が堆積した時代(3億6000万年前~2億4500万年前)には、
日本列島はほぼ全てが海の底で、逆に日本海の部分が大陸と繋がっていたのです。
現在とは全く異なる地形に子ども達は驚きを隠しきれません。

資料を使って、奥多摩の山やまや関東平野の生い立ちを時系列で追っていきます。

「多摩川で見つけたチャートや石灰岩は大昔に海底で堆積してできたものだったのかぁ。」

チャートや石灰岩の元になっているのが海の生物(放散虫、ウミユリなど)で
あることは以前に説明したので、子ども達もその事実は知っていました。
ただ、今回、なぜ奥多摩の山でチャートや石灰岩が見つかるのかという謎がやっと解け、
子ども達も大地のダイナミックな活動を意識化することができたようです。


テーマ発表会がいよいよ1週間後に迫りました。
来週は、テーマ学習の総仕上げとして、「学習ポートフォリオをわかりやすく
整理する」「石の標本の作成」の作業にあたります。
チビッ子調査隊のみんな、最後まで気を抜かないようにね!


HY

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家とスクールで『ありがとう探し!』

[1・2年生]

今週は、週末に『家でのありがとう探し』をやってきてもらったので、各自が発見してきた『ありがとう』をみんなに発表してもらうことから始まりました。

「おいしいごはんを作ってくれてありがとう。」
「掃除をしてくれてありがとう。」
「テレビを見せてくれてありがとう。」
「お気に入りのところに連れて行ってくれてありがとう。」
「キャッチボールをしてくれてありがとう。」
「お着替えを準備してくれてありがとう。」
「絵本を読んでくれてありがとう。」
「守ってくれてありがとう。」
「仕事をしてくれてありがとう。」など色々な「ありがとう」を発見してくれました。子どもたちの中でも「ぼくは、自分のためにしてくれてありがとうと、みんなのためにしてくれてありがとうが二つずつと見えるありがとうが2つと見えないありがとうが一つあるよ。」といった発言が多く、今までテーマ学習で学んできたことを活かしながら今回の発見をしてきていることがよく分かりました。



次に『スクールでのありがとう探し』をペアに分かれて行いました。各ペアで教室やスタッフルーム、6年生の駄菓子屋などを歩き回ったり観察してスクール内で『ありがとう』を発見し、それをみんなで共有しました。

110706_1500~002.jpg

『授業をしてくれてありがとう。』
『仕事をしてくれてありがとう。(スタッフルームにいたYさんを発見して)』
『トイレを掃除してくれてありがとう。』
『TCSをつくってくれてありがとう。』
『楽しませてくれてありがとう。』そして一番多かったのは『駄菓子屋をやってくれてありがとう。』でした。子どもたちにとって学校に駄菓子屋さんがあるなんてそれはさぞかしうれしくって最高だろうな~と納得です。この数週間いつも駄菓子屋で楽しそうにしている子どもたちを見てきたので気持ちがよく分かります。『TCSを作ってくれてありがとう。』と発表してくれた子も二人いて、どちらもTCSを作ってくれたから自分たちはTCSに入ることができて、ホースキャンプやテーマ学習などをやれている。だからありがとうなんだ、と話してくれました。子どもたちの感性は素晴らしい。

来週は感謝の伝え方にはどんな種類があるのか考え、その中で手紙にフォーカスして発表会に向けて励んでいきます。来週もがんばるぞ!!

YI

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2011年07月10日

テーマ発表会 7/16(土)

TCSテーマ学習発表会のご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動が行われていきます。
(発表までの6週間、子どもたちが学んできた様子の詳細は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。)

テーマ学習の成果を発表するテーマ発表会では、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。(ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。
ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。


               記

【日時】 2011年7月16日(土) 午前9時30分~11時30分頃
【会場】 セシオン杉並
     東京都杉並区梅里1丁目22−32
     (東京メトロ丸の内線「東高円寺」駅より徒歩5分、地図はこちら)

【スケジュール】
  9:30~ 9:35  イントロダクション
  9:35~10:05  3・4年「玉石混交」(30分)
 10:05~10:35  5年「ロストエナジー」(30分)
 10:35~10:45  休憩
 10:45~11:05  1・2年「ありがとうにありがとう」(20分)
 11:05~11:25  6年「お客様の笑顔を獲得せよ」(20分)
 11:25~11:30  総評その後片付け

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール
 E-mail:school@tokyocs.org
 TEL:03-3313-8717
 ※迷惑メール防止のため、「@」を全角にしています。お手数ですが、半角に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、
   件名に、「テーマ学習発表会参加希望」とし、
   本文に、以下の事項をお知らせください。
     1.参加者氏名(すべて記入ください)
     2.(保護者の方は)お子さんの現学年
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)


2011年07月15日

事業報告会!


[6年生]


駄菓子屋だがっちゃんが閉店し、最終週はテーマ発表会に向けて動き出しました。


最終の在庫管理表を作成したり、それを基に売上・利益等の計算をしたり、
在庫処理をしたり、オフィス(教室)が散乱していたので整理整頓したり。
ここまでの営業を振り返ると、良いことも悪いこともいろいろなことがあったことを改めて実感しました。


テーマ発表会では、今までやってきたことをストーリーで伝える「事業報告会」に挑戦します。
まず、昨年度"龍華菓子"の報告書を参考にしながら、どんな内容で報告するか考えました。


事業報告会_01「ここで載せるのは、売上のグラフかなぁ?それとも利益のグラフかなぁ」
「うちらで言うと、工夫したことって袋売りしたことかなぁ」
「Reflective、Thinkers、Communicatorsってどう表現したらいいかなぁ」


と、紙に手書きでどんなことを書くかラフ案を作成して並べながらの会議。
話し合えば話し合うほど、


「このシートって何が言いたいのかな?」
「このシートって要るかなぁ?」
「"目的"はもう少し前に持ってきたほうがいいと思う。」
「通行調査で分かったことを伝えるんであれば、もう一枚シートが要るかなぁ。」


と、どんどん変わっていき。


事業報告会_02そしてまずできたストーリーを基に報告書類作成に取り掛かりました。
今回は、パワーポイントでの発表。
子どもたち自身が慣れない手つきでパソコンを使って作業します。
ラフ案と違って、文言にも気を遣い、
「伝えたいことが端的に的確に伝えられる表現になっているか」
を一枚一枚注意しながら作成していきました。


実際に作ってみると、会議同様、


「そうしたら、この情報も必要かなぁ」
「売上のグラフを入れたいんだけど、どうしたらいい?」


このシートのメッセージと、それが前後と繋がっているかを確認しながら、
作業を進める度に内容がブラッシュアップされていきました。


そして、テーマ発表会当日。
発表前には、今まで何度もテーマ発表会をやってきたにも関わらず、
「ここのところ、うまく説明できるかなぁ……。」
「質疑応答の時に突っ込むからね、と言われたよ……。」
と緊張気味の子もいました。


事業報告会_03そして、6年生の番。
子どもたちは事業報告会に相応しく、フォーマルな格好で登場しました。
「どんな駄菓子屋にするか決めるために、通行調査やインタビュー調査を行いました。」
「そして、小中学生と大人をターゲットとしました。」
「だがっちゃんのコンセプトは"子どもが笑顔で接客するお店"です。」
「売上が下がった理由として、"商品の品数が少なかった"、"宣伝をまともにしていなかったかも"、"会議で開店時間が遅くなった"などが考えられました。」
「売上を上げるために、くじを作ったり工夫しましたが、一番効果があったと思うのは袋売りでした。」
「総売上は36,054円で、今までの駄菓子屋の記録を更新しました。」


報告会終了後は、質疑応答。
質疑応答の仕切りも子どもたちで行いました。
予想通り(!)鋭い質問がどんどん飛び交います。


「出資した親には配当は無いのですか?(無いなら)意義あり!」
「買いに行って、笑顔で接客された日とそうでない日がありました。
 本当にコンセプトは達成できたのでしょうか?」
「業績のそれぞれの言葉(商品原価・粗利益・販管費など)を説明してください。」
「お客様の笑顔を獲得できたと思いますか?」
「楽しんで商売できましたか?」


質問の中には、子どもたちも答えに詰まるところがあり、
自信が無いとどんどん声が小さくなり、更に突っ込まれ……。


けれど、子どもたちはたじろぎながらも、できるだけ答えようと奮起します。
「常連さんができてうれしかったけれど、新たな常連さんも獲得したかったです。」
「残っているふがしを全部買うというお客様がいて、全て売ったと思ったら一本隠れていて、チャンスを逃したと思いました。」
「楽しく営業できたと思います。」


こうして、何とか事業報告会は終了。
子どもでも容赦せず鋭く迫る――これが、TCSカルチャーの一つ。
これに耐える中でタフさを身につけていくのではと感じました。
そして、事業報告会で終わりではありません。
振り返りシートを使って、更に"Reflective"していこうと思います。


EN


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「共感」を得るスピーチ

[5年生]

これまでみんなで議論してきたことをスピーチにまとめる作業。このテーマ学習で
初めての個人作業が始まりました。3人ばらばらになって原稿を書きます。

電力50%削減という目標は同じですが、どんな政策でその目標を果たすか、どんな
根拠で聴衆の「共感」を得るか、についてそれぞれ知恵をしぼらなければなりません。

「もっと話す時間長くできないの?3分じゃあ短いよ」

うまくスピーチをまとめられず煮詰まってくると、言いがかり(?)をつけてくるのが
子どもの常。

「確かに時間が長くなれば、説明できる量が増えるだろう。でも、いろいろごちゃ
ごちゃ言って、かえって言いたいことがぼけることにもなる。3分で相手に届かない
主張をいたずらに数分伸ばして語ったところで意味はないね」

と突き放します。

と同時に、アイデアふくらませるだけふくらませて、その後、しっかりそぎ落として、
3分の主張にまとめてみよう!とアドバイスを加えます。“まず広げて!”と言われた
のだから、スピーチ時間を伸ばして!と言った子にとっては「朗報」のはずなのに……
結局、長くすることもなかなかできず、やっぱり立ち往生。簡単に増やせるのは主張の
“数”だけだったとやっと実感し始めたようです。主張ばかり増えても、意見が拡散し、
ますます言いたいことがなんだかわからなくなるだけ。“広げる”というのは、手を変え、
品を変え、さまざまな角度から根拠づけて、コアとなる“主張”の納得性を高めることだ!
と知った……ただ、それは “how”を知っただけ。どんなに “how” がわかっても肝心の
“what” が思い浮かばなければやはり先には進みません。

「森の中で暮らす……」

ある男の子は、そこから先に進まず、ペンが止まったままです。

せっかく生き方、働き方を変えるという主張が固まったのに、それをどうサポートするか
となると、「思いつき」レベルの「根拠」から発展できないのです。

スタートは思いつきでよい……では、その思いつきをどう裏づけたらいい?

いっしょに考えてゆきます。

「森で生活するっていうことは自然の中で生活するっていうこと?ただそう言われても
あまり生活がイメージできないんだけど……」
「う~ん、自然の中で働いた方がオフィスで働くよりもいいっていうこと。満員電車に
揺られて、密閉されたオフィスで働いてもいいアイデアでないと思う」
「そうか、つまりオフィスで働くということが問題なんだね」
「うん」
「じゃあ、オフィスで働くことのマイナス面と電力消費量の関係を見ていこうよ」

資源エネルギー庁が作成したエネルギー白書の中で、役立ちそうなデータを抜粋した
ものを小冊子にして渡してあったのですが、それを見てゆくと、オフィスのエネルギー
使用量がここ20年の間に2.5倍も伸びていることがわかりました。しかし、だからといって
オフィスワーカーを減らせば、電力量を大幅に減らせるとすぐに結論づけるわけには
いきません。都会のオフィスではなく、家庭または田舎で働けば、エネルギー節約と
個人の働き方の活性化との一石二鳥だ!と言える根拠が必要です。

家で働けばかえって家庭でのエネルギー使用を増やし、オフィスの分が減っても結局
相殺されるかもしれない……
田舎でどんな働き方をすればアイデアがでるのか……
仕事はアイデアを出す仕事だけなのか……

perspective を変えて自分の意見を眺め直せば、どんどん答えるべき疑問が浮かび
上がってきます。

資料を調べてみる……オフィスでは、照明、空調、熱源に7割以上もエネルギーを使って
いることがわかる……通勤にもエネルギーを使っている……工場で使われている電力量
はほとんど増えていない……家庭ではIT機器にほとんど電力を使っていない……
複数のデータが集まってきました!

さて、どんなことが言えるか???ここで必要なのは“大胆な”発想力です。それが
今回の学びのひとつの大きな柱でもあります。田舎で家庭に隣接した働き場所として
どんな環境を作れば、エネルギー節約と働き方の違いを両立できるか……常識的な
発想にとらわれず、大胆な改革案を提示して、人々の「共感」を喚起することができる
でしょうか……

ここから先、私の役目は、ひたすらよき聴き手として、どこに共感したかフィードバック
するのみです。子どもたちは、フィードバックを聴いて、もし自分の考えが通じていない
と感じたら、自力で手直ししなければなりません。何度も書き直してゆくうちに次第に、
自分の意見へのresponsibility が強まってゆきます。自分の主張として、責任を持って
書き上げたスピーチが、どこまで人々の「共感」を得るのか……後はテーマ発表会の場
でぶつけるのみです。

未来の自分たちが生きる社会をどうしてゆきたいか、総理大臣候補の決戦の日がついに
やってきました。

RI

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わかりやすい発表とは

テーマ学習もいよいよ大詰め。
今週は、発表会に向けて、「学習ポートフォリオの整理」「発表練習」「石の標本の作成」
を行いました!

まずは、学習ポートフォリオの整理にとりかかります。
ただ、3・4年生にとってポートフォリオ型の発表は今回が初めてということで、
子ども達も勝手がわからない様子。。
そこで、実物を見せながら、わかりやすいポートフォリオを作成するためには、
「学習記録を無造作にファイルに閉じるだけでなく、情報を整理し、資料を配置し直す
必要があること」を伝えました。
また、情報の整理の基礎を学んでもらうために、今回は私の方でまとめシートの
フォーマットを決めて、そこにこれまで学んできた内容をホームワークで書き写してもらう
方法を取ることに。

「おーっ、ポートフォリオファイルが埋まってきたぞ。」

ファイルが充実していくのを目の当たりにし、子ども達も満足気です。


次は、いよいよ発表の練習。
これまで学んできたこと全てをダラダラと話していては、聞き手を飽き飽きさせるだけ。
限られた時間の中で、いかに、学んできたことの概要をさらりと伝え、かつ自分オリジナル
の意見を述べるかが聞き手を引き付ける鍵になってきます。

「うまく説明できるかなぁ。。」
「4分間も話せないよ。。」

少しレベルの高い要求に、子ども達は自信なさ気な様子。

そこで、ホワイトボードにシンプルなフレームワークを例示し、しつこく何度も繰り返し、
「発表の流れ」を意識化させます。

 起:テーマ学習の目的
 承:テーマ学習での発見、疑問
 転:発見や疑問を解決するために具体的に何をしてきたのか
 結:聞き手に一番伝えたいメッセージ

「発表の流れを意識する」ことは高学年になるにつれより一層求められる力ですが、
今回のテーマ学習の発表はその良い練習の機会になることでしょう。


そして、最後は標本作成です。
何かの形に見立てて石を配置する子、大きさ順に石を並べる子・・・
石の並べ方にも個性が表れます。

ポートフォリオの整理と発表練習に手間取ったため、標本作成は発表会前日の
最終コマぎりぎりまで作業するような状況でしたが、何とか無事(?)完成し、
子ども達もふーっと一息。
途中、準備が間に合わないのではと不安がよぎるほど、子ども達も私もドキドキしっぱなし
の一週間でした。


さあ、いよいよ発表会本番!
練習の成果は発揮できたでしょうか。


HY

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テーマ発表に向けて

[1・2年生]

今週でこのテーマも大詰めを迎えました。
みんな週末に行われる発表会に向けて最後の仕上げに奮闘しています。 今まで『ありがとうアンケート』や『ありがとうを探せ』などの活動を通して自分たちの『ありがとう』の幅を広げてきた子どもたち。

最後の課題は、テーマをやってきたから気付くことができたいくつもの『ありがとう』の中から、一番伝えたい人を一人選んで感謝の手紙を心をこめて書くことです。

ほとんどの子がまだまだ書くことに慣れていない中、手紙を書いて気持ちを伝えるというのは高いハードルでもあります。しかし、自分が知っている言葉を駆使しながら伝えたい気持ちを一生懸命手紙に綴っていきました。

何度もやり直し、そして清書をしていき遂に完成!!!

そして発表会ではみなさんの前でその手紙を発表します。
上手に感謝の気持ちを伝えることが出来るのでしょうか???乞うご期待です☆

YI

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2011年07月16日

2011年度夏休み課題図書

―みん日(読む)―

【1年生】               【 2・3年生】
       

【4・5年生】           



―テーマ―

【1・2年生】             【3・4年生】
       

【5・6年生】




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お客様の笑顔を獲得せよ~ふりかえり~


[6年生]


テーマ発表会では、いろいろと質問されて、
子どもたちにとっては、
「どんどん突っ込まれてきつかった……」
と大変だった様子。


「お客様の笑顔を獲得したとは言えないけど、できたかなと思うことはあった。」
「稼げばいいってものでもなくて、利益ばっかり見るのは何か違う気がしているんだけど。」
実際に6週間の間では試行錯誤する様子が見えていた。
人数が多い中で協力してやろうという姿勢が見えた。
事業計画・報告書の内容をしっかりと考えていた。
売上目標は達成したものの、それで満足はしていない。
駄菓子屋を成功させようと、真剣な姿も見られた。


ただ常に、
「お客様の笑顔を獲得できているか?」を考えて営業できていただろうか。
ただ物を売ればよいのではなく、
誰かに駄菓子屋を経営することでお客様に喜んでいただき、
またそのことが自分自身の心の喜びになることがあったのだろうか。


「事業は、社会や人々の幸せのために行い、その実現に向けて仕事をすることは大いなる喜びである」
という達成目標。
これは、社会に寄与するはず大人にも共通する大切な気付きであり、
この実感を得ることは簡単ではないであろう。


今まで働いたこともなく、
接客されて喜んだ経験ももしかしたら無い子どもたちには難しかったかもしれません。


自分が客となった時に、また来たいお店とそうでないお店があると思います。
また来たいと思う要素は、
安い、おいしいものが食べられる、便利な場所にある、知っている人が働いている、珍しいものが売っている、おまけがつく、楽しいお話が聞ける……
と多々あるであろう。


今回のだがっちゃんで考えたとき、
量販店ほど安くは売れない、
駅から離れている、
一度に仕入れられる商品には限りがある、と優位な点は少ないかもしれない。


仕事とは何だろう?
何のために働くのだろう?
お金をもらうとはどういうこと?


そういったことを考え続け、
日々の営業を常に試行錯誤して改善する中で、
お客様の笑顔を獲得するために必死になって動くことが必要だったのでしょう。
本テーマでの体験からどれだけ経験に繋げていくかが今後の鍵です。


発表会ででてきた意見を参考に、
この利益をどのように使うのか、話し合っていきたいと思います。


EN


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ロストエナジー~ふりかえり~

[5年生]

「バブルのときは今より40%も消費電力量が少なかったのです。私たちは
いつの間にか電力を使い過ぎる生活に慣れてしまったのではないでしょうか。
今こそ生き方、働き方を見つめ直す時期ではないでしょうか。」

「原発を止めても原発のゴミはなくなりません。まず、核のゴミを自ら引き受ける
ことからスタートし、覚悟を示しましょう。」

「私たちは今こそものづくりからアイデア大国へと変わりましょう。エネルギーを
使わないアイデアを開発することに力を注ぎましょう。」

3人の候補者は、50%消費電力量をカットしても豊かに明るく暮らせる世の中を
作るためにどうしたらよいか、具体策を堂々と述べました。

いつもは自分の考えを堂々と語る男の子がいつになく緊張したのか、たどたどしく
なったり、具体例をいくつも挙げて理路整然と語る女の子が、着実に聴衆の心を
つかんでいったり、放射性廃棄物の問題に正面からぶつかっていこうという表明を
した男の子が意外に支持を集めたり、三者三様のアイデアを提示し、聴衆である
大人を真剣にさせる、とても興味深い「スピーチ」となりました。

選挙の結果、知財立国を目指すという女の子のスピーチがもっとも「共感」を得て
当選しましたが、それでも過半数には届かず。生き方・働き方を変えるという主張、
そして原発の処理に覚悟を持って当たるという主張も一定層の支持を集めました。

ふりかえりシートには、どこに共感し、どうすればもっとよくなるかということを自由に
記述してもらう欄を設けました。リフレクションの際に、それをみんなで読んでいき
ましたが、真剣に書かれた大人たちの意見を目のあたりにして、子どもたちは、
自分たちのスピーチの「重さ」を改めて認識したようです。そして、自分の主張の
受け取られ方も人それぞれで、肯定的にとらえてくれる人もいれば、否定的に
とらえる人もいて、さまざまな考えを持つ人々が集まっている社会の中で、意見を
まとめていくことがいかに難しいか実感したのではないでしょうか。

これまで、何度も何度も繰り返し述べてきたように、今回の学びで目指したことは、
エネルギー問題についての知識を増やして、もっともらしい提言をまとめることでは
ありませんでした。不測の事態に直面した時に、「○○は××だ」と自分の見解に
しばられて言い切ってしまうのではなく、perspective を変えて、balanced な判断を
すること。そして、その判断に responsibility を持つことを学んでほしかったのです。

「この学びを始めるまでは、原発はただ嫌だ、怖いとだけ思っていたけど、自分で
スピーチをまとめてみてどうすれば原発のない世の中を実現できるか考えるように
なった。」

「原発のせいで放射能がまき散らされたいうことばかり考えていたけど、原子力に
頼って便利に暮らしてきたことをふりかえらないといけないと思うようになった。」

「原発がないと世の中が成り立っていかないと決めつけないで、生き方や考え方を
変えればどうにかなる!と考えられるようになった」

ふりかえりを終えて、子どもたちが素直に口にした感想です。まだまだ、balanced
とは言い難い状態の子どもたちですが、この学びを通じて、少なくとも、いざという時に、
ある見方だけで決めつけて判断してはいけない、そうでない見方もあるかもしれない
と考える必要がある!という意識は確実に芽生えたと言えましょう。

RI

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玉石混交~ふりかえり~

[3・4年生]

今回のテーマ学習では「見える(触れる)ものから、その背後にある見えない仕組みを合理的に推測できるようになる」ことを目標に掲げていました。

低学年から高学年になるつれ、テーマ学習で取り扱う内容は抽象度を増していきます。
そのため、中学年において「from tangible to intangible」な学びに触れることは、その橋渡しをする上で非常に重要な役割を果たすと考えているからです。

授業を進める上では、「安全かつ正確に」「論理的に考える」の2点に重きを置いていました。

フィールドワークや実験は楽しく、学びも多い反面、ルールを守らないと怪我につながる恐れがあります。
調査隊の一員として責任持った行動をすること、そして決められたルールと手順に従い、正確にデータを取得することの重要性を口酸っぱく伝えることで、子ども達も作業に集中して取り組んでくれていました。

また、突飛な空想ではなく合理的な仮説を立て、そしてその仮説に対して実験と検証を繰り返すというプロセスを踏むことで、「論理的に考える」とは一体どういうことなのかを身をもって体験してもらうことができました。

「これまでほとんど石の種類を意識することはなく、大きさや形の違いがあるなというくらいの印象しかなかった。けど、今回のテーマ学習で、石にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴を知ることができ、楽しかった。」
「別の川にフィールドワークに行って、ぜひ多摩川の石と比べてみたい。」
「今度は石を使ったアート作品に取り組みたい。」

ふりかえりで出てきた子ども達からの素直な感想です。
石には子ども達を魅了する何か不思議な力があることを私自身も実感しました。

テーマ学習を通じて、発表会を終えたから終わりなのではなく、その後もそのテーマへの興味関心が持続するような探究心を育んでいけたらと思います。


HY

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2011年07月22日

ありがとうにありがとう~ふりかえり

7月16日はいよいよテーマ発表会です。何度も書き直しながら一生懸命心を込めて書いた手紙をみんなの前で発表します。



感謝の手紙を心を込めて人前で読むということはそんなに簡単なことではありません。 1年生にとっては自分で手紙を書き上げ、それを人前で朗読するということ自体大きなチャレンジです。 大きな声でハキハキと心を込めて読む練習を何度も何度も行いました。 一生懸命練習している内に自分が書いた手紙を全て覚えてしまう子もいるくらいみんなよく頑張りました。



テーマ発表会直前に風邪が流行ってしまい十分に練習が出来ない子もいて、とうとう一名は発表会にも参加することができませんでした。とてもよく頑張り、素晴らしい手紙を書いていた子なので残念でしたがまだまだこれからチャンスはいくらでもあります。



みんなそれぞれに家族やスクール近くの公園の管理人さん、親戚のおばさんに宛てた手紙を立派に披露してくれました。



感謝の気持ちというのは幸せに生きていく上でとても大切な気持ちです。ありがたいことに気付いたらその思いを何らかの表現で伝える。そうすることで「ありがとう」と言った方も言われた方も感謝の気持ちを感じるものです。その連鎖が風通しの良い雰囲気や尊敬し合える関係の根底を作っていく大きな要素ではないでしょうか。

このテーマ学習では、自分は誰か(何か)のおかげで生きていることに気付き、感謝の気持ちを伝えるようになるということを目的としてやってきました。

1,2年生もこれから日々の生活で色々な「ありがとう」に気付き、伝えられる人になっていってもらいたいです。

[1・2年生]



YI

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