[5年生]
今年度最後のテーマ学習の探究領域は「意思表現」。多様な相手と理解し合うためにいかに自分の思いを表現したらよいかの探究です。
昨年は、似たような内容について、“メディアdeリテラシー”というタイトルで学び
を進めました。今回、“Dear Editor”と変えたのは、身につけたい力は「リテラ
シー」であり、どんな「メディア」を通じて送られたかがポイントではないと気づいた
からです。
「リテラシー」とは、字の読み書き能力を基盤として、情報を収集・選択・解釈し、
的確に言語表現できる総合的な力を言います。したがって、「リテラシー」を高め
るには、自分たちがいかに情報を「編集」して認識してしまう存在であるかを実感
し、無意識に情報を受け取ってよしとするのではなく、意識して「編集」できるよう
になる必要があります。自ら「編集者」となり、自分たちの伝えたいメッセージを
相手に伝わるように「編集」すること。そして、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌、ブログ
などさまざまなメディアによって情報を編集し、発信しているプロの「編集者」にも
訴えかけてゆくこと。そんな学びを想定して“Dear Editor”というタイトルとした
のです。
学びは、いつも通り、子どもたちの既有知識を探ることからスタートします。
「よくすること!」
今回の学びのキーワードである「編集」について知っていること、イメージしている
ことをみんなで出し合い、イメージマップを作ってゆく際に、真っ先に出てきた意見
でした。
「文のおかしいところを直す」
「字の間違いを見つける」
どうやら子どもたちは、「編集」とは、誤字脱字や文法的なミスを直す「校正」と
同じものとしてとらえていることが明らかになりました。
「じゃあ、よくするっていうのは、間違いをなくすっていうことだけかな?」
と突っ込む問いを返すと、当然ながら「それだけじゃない!」という声が上がり
ました。
「うまく伝わるように内容を変える」
「不要な部分を切りとる」
これらの意見は、テレビで出演者が「ここ編集してカットして!」と言っているのを
聞いたことがあるからというのがその根拠でした。
イメージマップが出来上がり、子どもたちの既有知識をつかんだところで、いよいよ
今回のミッション発表です。
こんにちは、みなさん。私はTCS編集室の編集長、市川力である。
今回、みなさんに追究してもらうのは、「編集者」になるということだ。
何のために編集者になるかって?
それは、みなさんにTCSの学びの魅力を世の中にアピールしてほしいからだ。
そのために「編集者」となって、素晴らしい“小冊子”を作ってもらいたい。
TCSには数々魅力があるが、なんといっても特徴は「テーマ学習」にある。
「テーマ学習」の素晴らしさを学習者の視点で訴えてほしい。
題材は今年度行った5つのテーマ学習からとること。
小冊子ができあがったら、テレビ、新聞、雑誌社、出版社などの「編集者」に送り、
日本の子どもたちの学びを変えるものだ!と強く訴えてゆきたいと考えている。
TCSのますますの発展のためにぜひみなさんの力を貸してほしい。
よろしくお願いします!
「おもしろそう」
「かっこいいの作んないとね」
例によって、ノリのよい子どもたちは、ミッションの趣旨を即座に理解してくれた
ようです。
ミッションが明らかになったら、次は、このミッションを完遂するために何をすべき
か、意義のある「問い」を立てるプロセスに入ります。子どもたちがまず思いついた
のは2つ。1つは、「よい編集、うまい編集とはどういうことか?」という「問い」、
そしてもう1つは、「どんな小冊子が魅力的か?」という「問い」でした。
編集の技術をいかに高めてゆくか、そして、小冊子というメディアの特徴を知り、
その特徴を活かして“いいもの”をどう作ってゆくか……追究の目標が明確になり
ました。
「来週から、修業だね」
「鬼デスクの登場かな……」
恐い編集長が、こんな記事じゃあダメだ!と怒鳴ってビリビリに原稿を破くという
場面を子ども達はマンガやテレビドラマで見たことがあるらしく、勝手に「編集部」
のイメージを作り出し、その気になっていきます。
次週からは、子どもたちの期待(?)に応えるべく、鬼デスクによる修業開始です。
RI
※TCS2010年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。