タイトル:静かなともだち
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:見れば見るほど見えてくる。
樹木の葉を集めるという条件を共有する際に、
「木がおうちになっている葉っぱを集めよう」ということになりました。
子どもたちも納得して、葉が樹木に生えているものか、草の葉っぱなのかの
区別をしてきました。外に出て観察を続けていくと、
木に巻きついた葉っぱのおうちはどこかという疑問が浮上します。
「おうちに巻きついている葉っぱもあるよ。」
「これって、草じゃないの?」
「でも、木についているからおうちみたいだよ。」
「それって、ツタだよ。」通りすがりの2年生が一言。
去年、同じテーマを経験済みであるため、自信をもって断言しています。
実際に、実物を見に行くと、木に巻きついたツタの先をたどってみると
木とは独立していることがわかります。
自分のおうちと自分がつながっていないのと同様に、
木と葉っぱはつながっているのは、正確な言い方ではないことに気づきます。
「木と葉っぱは同じ体になるのかな。」
「人間の手は取れないけど、葉っぱは落ちちゃうよ。」
「それじゃ、髪の毛?」
「白髪は栄養がないから落ちるのかな?」
葉っぱはおうちではなく体の一部である。観察を続けてきた中で気づいた発見です。
「おうちはどこ?」から「体はどうなってる?」に問いかけが
変わってきた中で、木の高い所から葉を枝ごと切り取っている人たちに
出会います。スクールに戻ってきたときに、こんな意見が出てきました。
「なんで、葉っぱを切ってるのかな。」
「あれは落葉樹だったから切らなくても自然に落ちるのに。」
「栄養がとられちゃってかわいそう。」
「でも、うちのお父さんがジャングルになっちゃうから切るって言ってた。」
「栄養のとりすぎってこと?」
こうなったら、実際に切っている人に聞くのがいちばん。
ということで、出かけてみると街路樹での作業を続けていました。
「なんで、葉っぱを切っているんですか。」との質問に、快く答えていただきました。
「この葉っぱは落葉樹だから、落ちてきた葉っぱで滑って転ばないようにしているよ。」
「春にいい葉っぱが生えてくるように、髪の毛を切る感じかな。」など、
「落葉樹」「髪の毛」と自分たちが話していたときと同じワードが出てくると、
ハッとして驚いたり、笑顔になったりして耳を傾け聞いています。
また、葉っぱが多くなりすぎて、看板が見えなくなってしまうため年に2回は切っていること も教えていただきました。
街路樹ではなく、保育園の木を切っている人にも話を聞いてみました。
すると、違う答えが返ってきます。
「木が健康になるために切っているよ。」
病気になったり、虫に食べられないようにするためだと言います。
切っている木の名前を尋ねるとマテバシイとのこと。
確かにマテバシイの葉は分厚くツヤがあり落葉樹ではないため、落ちる心配はありません。
切りたてのマテバシイの葉を枝ごともらってスクールに帰ってきました。
よく見ると、枝に小さな虫がたくさんついていることに気がつきます。
「こんなに虫がついてる!」
「見れば見るほど見えてくる!」
セントラルアイディアも口にすることが多くなってきています。
さっそく、聞いたことを確認していきます。
「木は葉っぱを切ってもらった方が健康になれるんだね。」
「風が通るし、光も通る。伸びすぎるとできなくなる。」
「人間と同じなのかな?富士山と一緒。」
富士登山のときに心得ていたことのひとつに体温調節がありました。
暑ければ脱ぎ、寒ければ切るということを徹底していたことがつながったみたいです。
「木は自分ではできないから、暑いときは風で涼しくなって、
寒いときは光であったかくなるのかな。風とか光で調節してるんだ。」
この意見にはみんな納得。「なるほどー。」と声があがります。
また、葉っぱが病気になることが子どもたちにとって驚きだったようです。
「葉っぱを切ってるおじさんたちは、木の見方だったんだ。」
人間の都合だけで切っているのではなく、木の健康のためであることがわかりました。
もらってきたマテバシイを観察していきます。
観察ポイントとして、1「見る」、2「触る」ことをしてきましたが、
3「嗅ぐ」、4「測る」も加えていきました。
細かくちぎっていくと香りが出てきます。
葉によって、匂いが異なります。
「キュウリの匂いに似てる。」
「トマトの匂いがするよ。」など、似ている匂いを考えています。
定規をつかって主脈や横幅の長さを測っていきます。
端を0に合わせることや読み方も一緒に覚えていきます。
今週からは、樹木図鑑を用いて、今まで名前のわからなかった葉っぱの名前を調べていきました。同じ葉っぱがないか、体である「木」も同じかどうか、照らし合わせてみます。
描いていく絵も始めに比べると見方がだいぶ変わってきました。
主脈や側脈以外の葉脈もよく見ると見えてきます。
葉縁にも注意をはらい、形を真似て描きます。
「できた!」と思っても、見足りないところが出てきて、
描き直すとさらによくなっていきます。
発見のつぶやきは、そのまま記録し残していきます。
スケッチやフロッタージュ、言葉での記録や測定など、
様々な角度から葉っぱを観察です。
来週は、ひとつの葉っぱの観察から、ほかの葉との比較へと視野を広げていきます。
AN
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。
探究領域:万象究理
セントラルアイディア:見れば見るほど見えてくる。
[1年生]
テーマ学習1週目に出てきた「木は葉っぱのおうち」という発言から、樹木の葉を集めるという条件を共有する際に、
「木がおうちになっている葉っぱを集めよう」ということになりました。
子どもたちも納得して、葉が樹木に生えているものか、草の葉っぱなのかの
区別をしてきました。外に出て観察を続けていくと、
木に巻きついた葉っぱのおうちはどこかという疑問が浮上します。
「おうちに巻きついている葉っぱもあるよ。」
「これって、草じゃないの?」
「でも、木についているからおうちみたいだよ。」
「それって、ツタだよ。」通りすがりの2年生が一言。
去年、同じテーマを経験済みであるため、自信をもって断言しています。
実際に、実物を見に行くと、木に巻きついたツタの先をたどってみると
木とは独立していることがわかります。
自分のおうちと自分がつながっていないのと同様に、
木と葉っぱはつながっているのは、正確な言い方ではないことに気づきます。
「木と葉っぱは同じ体になるのかな。」
「人間の手は取れないけど、葉っぱは落ちちゃうよ。」
「それじゃ、髪の毛?」
「白髪は栄養がないから落ちるのかな?」
葉っぱはおうちではなく体の一部である。観察を続けてきた中で気づいた発見です。
「おうちはどこ?」から「体はどうなってる?」に問いかけが
変わってきた中で、木の高い所から葉を枝ごと切り取っている人たちに
出会います。スクールに戻ってきたときに、こんな意見が出てきました。
「なんで、葉っぱを切ってるのかな。」
「あれは落葉樹だったから切らなくても自然に落ちるのに。」
「栄養がとられちゃってかわいそう。」
「でも、うちのお父さんがジャングルになっちゃうから切るって言ってた。」
「栄養のとりすぎってこと?」
こうなったら、実際に切っている人に聞くのがいちばん。
ということで、出かけてみると街路樹での作業を続けていました。
「なんで、葉っぱを切っているんですか。」との質問に、快く答えていただきました。
「この葉っぱは落葉樹だから、落ちてきた葉っぱで滑って転ばないようにしているよ。」
「春にいい葉っぱが生えてくるように、髪の毛を切る感じかな。」など、
「落葉樹」「髪の毛」と自分たちが話していたときと同じワードが出てくると、
ハッとして驚いたり、笑顔になったりして耳を傾け聞いています。
また、葉っぱが多くなりすぎて、看板が見えなくなってしまうため年に2回は切っていること も教えていただきました。
街路樹ではなく、保育園の木を切っている人にも話を聞いてみました。
すると、違う答えが返ってきます。
「木が健康になるために切っているよ。」
病気になったり、虫に食べられないようにするためだと言います。
切っている木の名前を尋ねるとマテバシイとのこと。
確かにマテバシイの葉は分厚くツヤがあり落葉樹ではないため、落ちる心配はありません。
切りたてのマテバシイの葉を枝ごともらってスクールに帰ってきました。
よく見ると、枝に小さな虫がたくさんついていることに気がつきます。
「こんなに虫がついてる!」
「見れば見るほど見えてくる!」
セントラルアイディアも口にすることが多くなってきています。
さっそく、聞いたことを確認していきます。
「木は葉っぱを切ってもらった方が健康になれるんだね。」
「風が通るし、光も通る。伸びすぎるとできなくなる。」
「人間と同じなのかな?富士山と一緒。」
富士登山のときに心得ていたことのひとつに体温調節がありました。
暑ければ脱ぎ、寒ければ切るということを徹底していたことがつながったみたいです。
「木は自分ではできないから、暑いときは風で涼しくなって、
寒いときは光であったかくなるのかな。風とか光で調節してるんだ。」
この意見にはみんな納得。「なるほどー。」と声があがります。
また、葉っぱが病気になることが子どもたちにとって驚きだったようです。
「葉っぱを切ってるおじさんたちは、木の見方だったんだ。」
人間の都合だけで切っているのではなく、木の健康のためであることがわかりました。
もらってきたマテバシイを観察していきます。
観察ポイントとして、1「見る」、2「触る」ことをしてきましたが、
3「嗅ぐ」、4「測る」も加えていきました。
細かくちぎっていくと香りが出てきます。
葉によって、匂いが異なります。
「キュウリの匂いに似てる。」
「トマトの匂いがするよ。」など、似ている匂いを考えています。
定規をつかって主脈や横幅の長さを測っていきます。
端を0に合わせることや読み方も一緒に覚えていきます。
今週からは、樹木図鑑を用いて、今まで名前のわからなかった葉っぱの名前を調べていきました。同じ葉っぱがないか、体である「木」も同じかどうか、照らし合わせてみます。
描いていく絵も始めに比べると見方がだいぶ変わってきました。
主脈や側脈以外の葉脈もよく見ると見えてきます。
葉縁にも注意をはらい、形を真似て描きます。
「できた!」と思っても、見足りないところが出てきて、
描き直すとさらによくなっていきます。
発見のつぶやきは、そのまま記録し残していきます。
スケッチやフロッタージュ、言葉での記録や測定など、
様々な角度から葉っぱを観察です。
来週は、ひとつの葉っぱの観察から、ほかの葉との比較へと視野を広げていきます。
AN
※TCS2016年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。