東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2014年07月 アーカイブ

2014年07月04日

自分にしかないSpecial

[1年生]

これまで、自分そして仲間の目に見える身体的特徴と目には見えない性格的特徴を探してきました。お互いを見合うことをしてきたわけですが、今週は、そこに親の視点を加えていくことから始めました。事前に保護者の方からアンケート協力をしていただきました。

アンケート内容はこちら
・生まれたときの時刻・体重・身長
・おなかの中にいるときの様子
・生まれたときのエピソード
・名前の由来
・生まれてから成長したと思うこと
・我が子のいいなと思うところ

アンケート用紙に記入してもらったものをもとに、おうちの方から聞いてきた話を自分の言葉でみんなに説明します。それぞれに違ったエピソードや、同じような体験など、話は盛り上がります。
「おなかの中でぐるぐるしすぎて、逆さまになっちゃった。」
「それ、同じ!」
「生まれてすぐおしゃべりしたって。」
「泣く前におしゃべりしたって、すごいね。」

全員の説明が終わり、翌日にそれぞれの名前の由来を聞いてみると、自分ではない名前の由来を説明できたり、友達の話で部分部分で覚えていることがあったり、共有できていたことがわかります。
IMGP3985.jpg生まれたときって、このくらいの重さだったんだ。

IMGP3989.jpg 生まれたときと同じ重さをペットボトルの水で確認。

赤ちゃんのときから比べると、できるようになったことはたくさんあります。 生まれたときから見てくれている親の目線を知ったあとは、自分がこれまでにできるようになったことを思い出していきました。始めはできなかったけれど、できるようになったことは、今では当たり前のように思えてしまいますが、記憶を辿ると結構でてきます。

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できるようになることは、これからもっともっと増えていくはず。
今度は、自分ができるようになりたいこと、がんばっていきたいことを書いていきました。

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様々な視点から自分や友達を見てきました。
最後に、お互いに似ているスペシャルと似てないスペシャルという視点でこれまでのことを振り返っていくと、似ているスペシャルは、好きな物や嫌いな物の一致など、同じものでも感じ方が同じであったり違っていたりすることに気づいていきました。似てないスペシャルでは、見た目の違いが意見として数多く出されていく中、一人、舌を上に上げている子がいます。何をやっているのか尋ねると、みんなが話したくて手をあげているから自分は舌をあげていると言います。誰も思いつかないことをやっている、面白いスペシャルです。次第に、内面的な特徴に視点が移っていきました。

そこで、残念そうに「オレには、面白いスペシャルないなぁ。」という子がいると、
「歩き方、面白いよ。」といいながら、その子の歩き方をまねする子が。しかも、よく特徴を捉えています。自分とは違うスペシャルは、その人にしかないスペシャルとして、一人ひとりの「特別」を出していく流れになりました。

1年生の様子を心配してか、時折、休憩中の上級生が話し合いに入ることもあります。
「〇〇は、この前のテーマ発表で黙ってしまって、緊張してたと思うけど、思い出して言えたから、Risk-takersだと思う。」
さすがは先輩。後輩のよいところをよく見ています。「Risk-takersって何?」と話が深まっていきます。

これまで自分について集めてきた記録がファイルに溜まってきました。来週からはいよいよプレゼンテーションに向けて、多くの人に伝えるための準備が始まります。

AN

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

ただいま製作中

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

今回のテーマも折り返し地点を迎えました。
製図を終えた子ども達は、まず木の切断に取りかかります。

20140704.001.jpg

先週、家の建設現場でもらってきた一畳くらいはありそうな合板。
これなら3人分の材料に切り分けられそうということで、寸法を計
測することに。

20140704.003.jpg

差し金で板に線引きし、早速、板を切り始めるのですが、思ったよ
り時間がかかります。

「なんでだろ、まだここまでしか切れてないよ。すっごい大変・・・」

クラスメイトが重しになって板を安定させたり、ノコギリの角度を
変えてみたり。
練習課題の時に使用したSPF材とは切り心地が全く異なり、ノコギ
リを通して木材の種類の違いを意識せざるを得ません。

20140704.004.jpg

3年生の女の子は細い角材を自力で丸棒にするという課題に取り組
み中。
そのためには、角材のかどをカッターナイフや小刀で削り、それを
紙ヤスリで磨き上げる必要があります。

自主的に材料を家に持ち帰り、地道かつ着実に作業を進めていた成
果もあってか、日に日に棒が丸みを帯びていく様子を見て、触って
実感する他の子ども達。

「すげーーーっ、超つるつるだ!!」
「これは良い仕事してるよ!」

クラスメイトの頑張りに刺激を受けたようで、他の子ども達の作業
にも熱が入ってきました。

20140704.002.jpg

こちらは電動ドリルで穴あけの練習中の一コマ。
隣では同学年の男の子がDIY本を参考にしながら、使い方を再確認
しています。
電動ドリルの先端に付けるビットには様々な種類があるため、板の
種類や用途に応じて、どれが適切かを使い分ける必要があるのです。

20140704.005.jpg

作業が進んでいくと、基本練習では登場しなかった工具を使う場面
も出てきます。
その一つが糸鋸です。
板を円形に切断し、ボードゲームのコマにしようと考えた女の子。

「あれっ、ちょっと刃先が線よりも内側に入っちゃった。結構難しいなあ。。」

糸鋸を触るのは初めてのようで、なかなか思い通りの曲面に切るこ
とができないようです。
こればかりは練習あるのみ!

いよいよ残り2週間。
来週も引き続き、製作作業に没頭します。

HY

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メガネを変えてものを見る

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

シックスシンキングメガネを使ってみて、私たちは、ものの見え方に影響を与える6つの考え方があることを知りました。同じものごとを見ても、どのメガネをかけるかで全然見え方が変わってくることに気づいたわけですが、「知った」だけでなく、それを日々の生活の中で活かすことが次の段階です。

対人関係のトラブルは、スクールでの毎日の生活の中で多かれ少なかれ生じます。お互いの関係が疎遠でないからこそ、ぶつかりあいが起きるとも言えます。相手のことをなんとも思っていなかったら、いわゆる「シカト」ってやつで、無視すればいいわけですから。相手と関わりたい、一緒に何かしたいと思うからこそ、そこに摩擦は生じます。

蚕糸の森でみんなで楽しく遊びたかったのにケンカになってしまった……決して普段から対立しているわけでも、嫌っているわけでもないのに、どうして悲しい結末を迎えてしまうのだろう……

シックスシンキングメガネを使って検証してみることにしました。

IMG_0114.JPG  IMG_0115.JPG

まずケンカが起こったときの対話を分析してみました。

「最初は、ねえかくれんぼしようって○○くんが言ったんだよ!」
「それってアイデア出したからグリーンメガネだね」
「次に、そんなのつまらないって△△君が言った」
「わあ、いきなりブラックメガネだ」

こうして、何の気なしに放たれた言葉が、どんな色メガネで語られてしまったのか確かめてゆくと……せっかく誰かがグリーンメガネでアイデアを出してくれたのに、それをブラックメガネで否定したり、レッドメガネで「怒り」の気持ちをぶつけたり、せっかく6色のメガネがあるはずなのに、黒と赤(それもほとんどが「怒」!)しか使われていないことが明らかになりました。

「これじゃあダメだよねえ〜」

話している内容を色メガネの色で図式化すると、ネガティブな話し合いのパターンがくっきりと浮かび上がります。

IMG_0116.JPG  IMG_0117.JPG

「じゃあ意識してメガネの色を変えたら話し合いが変わるかな?」

今度は、建設的に話し合いが進むパターンを追究してゆきます。たたみ部屋で遊んでいたが、となりの部屋で別の学年が算数をしている。自分たちが騒ぐと迷惑になるのはわかるけれど、自分たちはフリーの時間なのだから、思いっきり遊びたい。さあどうするという流れをある子が思い立ちました。

「じゃあまずグリーンメガネで新しいアイデアを出す」
「部屋で遊んでいるから、あんまり動き回れないし、大きな声も出せないんでしょ?だったら蚕糸の森に行こうよ!」

すばらしい!ちゃんとグリーンメガネで建設的なアイデアを提案しました。

「それいいねえ!」

出されたアイデアを認める発言。これはイエローメガネでもあるし、喜ぶ気持ちを表すレッドメガネとも言えますね。いい流れになってきました。

「でもさあ、せっかく蚕糸の森に行っても、かくれんぼがいいっていうグループと川遊びがいいっていうグループでけんかしちゃったら意味ないよ」

うん、一理あるね。これはただ批判するんじゃなくて、もしかしたらよくないことがあるかも……と事前にマイナス面を指摘して、なんとか回避する道を探すきっかけをつくるいいブラックメガネの使い方じゃあないか。

「じゃあどうすればいい?」

みんなでグリーンメガネをかけてみて、アイデアを探ります。

こうして進んでいった話し合いをふりかえってみると、グリーンがいちばん目立ち、次にイエローとレッド。ブラックもあるけど、その後、ブルーやグリーンのメガネをすぐにかけて、話し合いがただネガティブモードにならないように意識していることが明らかになりました。

メガネという仕掛けを入れただけで、ものの見方を変えるように意識するようになるなんて、進めていた子どもたちにとって驚きのようでした。ただ、メガネというアイデアは決して悪くないものの、かけたり、はずしたりが面倒だという問題が浮上してきました。なんか別の方法はないかな……今こそ、authentic な課題を解決するためにグリーンメガネを使うときがやってきました。どんな方法をとるか……それは次週に持ち越しです。

RI

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人生の”苦”ってなんだろう?

[5・6年生]

今週も子どもたちは”人生楽ありゃ苦もあるさ年表”作りに励みます。
今までの人生についてはどんどん”楽”も”苦”も出てくるのですが、40年後の未来までとなるとなかなかペンが進みません。

「週末も色々考えてみたんだけどさあ、どうしても未来の”苦”が少ないんだよ。iPadをなくしたり、自転車を盗まれるようなことは思い付いたんだけど他にどんなことがありえるのかなあ?」

「ぼくもやっぱり未来の”苦”があまり思う浮かばないんだ。おじいちゃんの死を加えてみたけど他にはなかなか思い浮かばないな。」

子どもたちが共通して”苦”についてなかなかアイディアが思い浮かばないことに苦戦しています。 それもそのはずです。まだ見ぬ未来について起きてもいない苦しいことをイメージすることは大人にとっても容易ではありません。ですがこここそが、全てが順風満帆にいくことが難しいリアルな人生を描いていくためにこの年表を作っていく上で大切な部分で、その”苦”と向き合ったり、乗り越えたりしていくことでより生きることの深い喜びや楽しみを得られていくというものです。

そこで子どもたちとディスカッションを行ない、どのような”苦”が人生で考えられるだろうか話し合ってみました。
すると、
 ・知人や家族の”死”
 ・悔しい思いをすること(怒られた、勘違いされて怒られた、なぜか自分だけ言われる、やらされるなど)
 ・もの(大切な)を失くす/盗まれる
 ・肉体的に大変だったこと(虫歯、骨折、病気など)
 ・精神的に大変だったこと(いじめ、友人がいなくて寂しい、努力がなかなか実らない)
 ・失恋、挫折、因縁(例:ひき逃げされる  ・乗っていた電車が脱線するなど)といった”苦”の種類が見えてきました。
自分だけで考えてもなかなか広がらなくて苦労していたことが、みんなの知恵や知識をシェアし合い、イメージを紡ぎ合うことで何かを調べたわけでもないのに構築されていきました。

また今週は名優ジャック=レモンの遺作となった映画『モリー先生の火曜日』を見ました。スポーツジャーナリストとして有名な著者が、筋肉の萎縮する難病になった大学時代の恩師を、毎週火曜日に見舞ううちに、期せずして人生についての最終講義となった。いわば「講義録」と呼べる記録をまとめたのが、この本で、全世界でベストセラーになりました。長年会っていなかった恩師との死による別れに直面し、自分の生き方を改めて見つめ直さざるを得なくなり、どう生きてゆくべきか再考するようになってゆく流れが淡々と描かれ、深い感動へと導かれました。

今回の葬式劇で自分たちが演じる50歳ころという年代と主人公たちの年齢をちょうどダブらせながら考え、仕事に燃えれば燃えるほど忙しくなり家庭やプライベートとのバランスが取れず苦悩するところについて”自分はどうなんだろう?”と思いを巡らせ考え出すきっかけとなりました。
またモリー先生の生き様とそれを送る側の気持ちを想像し、死にいく人と見送る人における”死”の捉え方の違いについても思いを馳せながらやはりどう死ぬかではなくどう生きるかこそが大切だということを感じ、より一層年表作りに熱がこもっていった4週目となりました。



YI

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2014年07月10日

プレゼンテーション7/19

TCSプレゼンテーションのご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のプレゼンテーションでは、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動を行っていきます。
※テーマごとの6週間の学びの様子は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。ぜひ、直接子どもたちの様子をご覧ください。


               記

【日時】 2014年 7月19日(土) 9:30~11:40頃 

【場所】 セシオン杉並  第九十集会室
     (東京都杉並区和泉4丁目42番5号)地図
     ※東京メトロ丸の内線「東高円寺駅」より徒歩5分     

【お申込み・お問合せ】
※一般の受付は終了致しました
 東京コミュニティスクール (担当:戸嶋・若林)
 TEL:  03-3313-8717
 e-mail: school#tokyocs.org
 ※メールアドレスは「#」を「@」に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、件名を「プレゼンテーション見学希望」とし、
   以下の事項をお知らせください。
     1.見学希望日
     2.見学希望者氏名(すべて記入ください)
     3.お子さんの現学年(保護者の方)
     4.e-mailアドレス
     5.電話番号(日中最も連絡のとりやすい番号)
     6.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     7.質問事項等(あれば)

2014年07月11日

等身大のポスター作り

[1年生]

自分のことを知ってもらうため、等身大のポスターに自分らしさを表現していきます。

RIMG7944.jpg
ARTの時間に、
3原色があれば
様々な色が作れることを知った子どもたちは、
自分の肌色作りに挑戦です。



IMGP3979.jpgみんなそれぞれ肌の色は違います。

RIMG7948.jpg肌を見ながら、近い色を目指していきます。

等身大のポスターです。
ポーズ、服装など、細部まで自分らしさにこだわります。
    RIMG7941.jpg

IMGP4002.jpg「新しいけど、この服すぐ気に入っちゃった。」

「ホースキャンプでコーチが着てた服みたいな服にしたい。」と
憧れの服を描く子もいます。
描いたり消したりの繰り返しになったり、色作りに20分くらい費やしたり、
時間をかけている分、こだわりが伝わってきます。ただ、あまりにも進まないときには、決断して進むことも必要です。
プレゼンテーションディに向けて、見通しを持ちながら進めていくことも学びのひとつになっています。

IMGP4009.jpg

これまで記録してきた自分についての情報を
改めて読み直し、自分が伝えたい内容を選んでいきます。
たくさんの人に見てもらうために、大きく書くよう心がけながら清書していきます。



外面的な体の特徴、内面的な性格、親からみた自分、仲間からみた自分、
これまでできるようになったこと、そして、これからできるようになりたいこと。
この6項目をまとめていきました。特に、自分でない視点からの自分については、今まで気がつかず、今回のテーマでの新発見となったことも多く含まれています。

IMGP4017.jpg



来週末のプレゼンテーションに作品が間に合うかどうか。
仕上がりまで、もうひとがんばりです!


AN

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トラブル発生!!

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

プレゼンテーションまで残り2週間をきりました。
子ども達は今週もひたすら製作作業に取り組みます。

必要な部品が揃わないと、次の組み立て工程に進めません。
畳部屋のあちこちからのこぎりで木材を切断する音が聞こえてきま
す。
合板をカーブ状に切るために糸鋸を使っていた女の子も、先週より
ずっと使い方に慣れてきた様子。

「ふう、今回は失敗しなかったぞ。」

部品もただ木材を切り取って終わりという訳ではありません。
この時点でささくれや毛羽立った箇所をやすりがけしとかないと、
組み立て終わってからでは手遅れの場合も。
数種類揃えた紙ヤスリを使い分けながら、丁寧に磨き上げます。

「文さん、見て見て。とりあえず遊べる状態にはなったよ!」

順調に作業が進み、とりあえずの試作品ができた子も。

「誰か、手が空いたら、俺のゲームで遊んでみてよ!」

実際に自分のおもちゃを試遊してもらうことでいろいろ見えてくる
ことがあるはず。
ユーザ視点での率直な意見をもらうため、クラスメイトに声をかけ
る場面が見られました。

周りの子ども達もそれがわかっているので、ただ面白かったという
コメントを返すのではなく、もっとより良くするためのアドバイス
という意識でフィードバックします。

「もう少し、紐がスムーズに動いてくれたらいいのになあ。」
「上級コースの方は(障害の)穴を増やして、もっと難しくした方
がスリルがあっていいと思う。」
「ボールを運ぶ箱(ゴンドラ)の部分が浮いてしまうことがあるの
で、対策が必要だね。板をもう少し斜めに立てかけてみたらどう?」

「そっかー、どうもありがとう!」

自分一人で遊んでいる分には見えてこなかった改善すべきポイント
が浮き彫りになってきました。


そんな中、4年生のある男の子にトラブル発生。

「わちゃあ。」

パチンコ玉を用いた迷路を作成していたのですが、盤の裏面に亀裂
が入ってしまったのです。

「どうしよう。もうあまり時間もないのに・・・」

とりあえず、ひびは表面ではないので、そのままにして、作業を進め
るか。
一瞬そんな考えが頭をよぎったようですが、

「やっぱり、このままだといい仕事してるとは自信を持って言えない
よなあ。」

気を取り直し、端材・廃材の中から使えそうな木材を選び、もう一度
作り直すことに。

「一部にくぎを集中して打ってしまったのも、ひび割れの原因かも。」

自身の作業をふりかえり、作業を改善する姿勢は素晴らしい!
割り箸を用いて、くぎとくぎの間隔が等しくなるよう、慎重かつ丁寧
に釘うち作業を進めます。

泣いても笑っても、残り1週間。
はたして、プレゼンテーションに間に合うようリカバリーできるでし
ょうか。

HY

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話し合いを促進するカード

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

色の違うメガネをかけただけで、とりあえず見方を変えようという意識がよびおこされることがわかりましたが、同時に、メガネだと、かけたりはずしたりが結構面倒。紙でつくったものだとその動作を繰り返すうちにすぐにボロボロになってしまう。そのうえ、顔のサイズが人それぞれなので、みんなに合うメガネというわけにはいかない。そんな欠点を乗り越えつつ、話し合いを促進するツールをつくれないかアイデアを出すことにしました。

しかし……メガネをはずした子どもたちは途端に沈黙。話し合いが進まない。先週、メガネをかけて生き生きと話し合っていたのはなんだったの?あれは「架空」の話しだからできたのか?まさにメガネマジックに過ぎなかったのか……いやあなんとも重く、沈滞したムードが続きます。

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「目に見えるってスゴイねえ……」

誰かがぼそっとつぶやきます。その意味は?と突っ込んでたずねてみると、メガネの良さは、今、こんなことを考えていますよ!とかこんなことを考えたらいいんですよ!とかいうことをはっきりみんなに見せるところだといういうのです。

「どうしてそれがいいのかねえ?」とさらにたずねてみると、みんながメガネに注目して、そのメガネについての話し合いになるからだと説明してくれます。なるほど、よく考えているねえ。あまりにスバラシイ意見を聴いてしまうと、黙っていられなくなるおっちゃん。大人気なく、子どもたちの話し合いに割り込み(まあ、これを Generator の役割です!とかっこつけて言うこともできるかもしれませんが、そんな客観的かつ冷静な判断ではなく、自分も話し合いに入りたいという衝動にかられただけです……)、

「グリーンのカードを投げこんでもいい?」

と口走ってしまいました。子どもたちは?・?・?って顔をして、私がトランプのカードを切るまねをして投げこむ身振りを眺めています。

「メガネじゃなくて、みんなに見えるモノを作ればいいんじゃないかな?」

私の言葉に触発された子が

「はい、私もグリーンのカードだよ。おっちゃん、だったらカード作ってみようか?」

その子も、見えないカードを投げ込むふりをして、話し合いを進めようとします。すると別の子が、「それいいねえ!」と言いながら、イエローのカードを投げ込んだふりをしました。

ちょっと子どもたちを誘導しすぎたかなと反省しつつも、カードというアイデアを出すところが学びの評価のポイントではないと了解していたので、停滞を打開するツールを提示してしまったわけです。

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とはいえ、「思いつき」を口にしただけなので、本当にカードで話し合いがうまく進むのかどうかまったく確信はありませんでした。とりあえず試してみないとわからないので、色カードのプロトタイプをさくっと作り、それを用いて話し合いをすることにしました。すると……

さっきまでの停滞がうそのよう。カードをうまく使いながら、さくさくと話し合いを始めるではありませんか。

「おっちゃん、これ使えるかも」

さらに、思わぬ副産物も見つかりました。どんなカードを投げこんで話し合ったか記録をとると、建設的な話し合いのパターンとそうでないパターンとが、出したカードの並び順にはっきり現れるということがわかったのです。ちなみに、左下の写真は、うまくいったときのカードの並びです。グリーンを繰り返し使い、その間にホワイトとブルーを交え、ときおりレッドをはさみこむ。つまり、この話し合いは、アイデアを次々に出してゆくように意識しつつ、そのためには、現状がどうなっているのかしっかり見つめつつ、落ち着いて物事を考えるように努め、これは面白い!と思ったときはその喜びを素直に表に出すという形になっているのです。

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6色シンキングカードを使ってどんなふうに話し合ったかまとめていると、ふと、この6色は、ラーナープロファイルのピクトグラムに用いた色と重なることがわかりました。さらには、ピクグラムに用いられた色を、シンキングカードの色に込められた色で解釈してみると、うまくラーナープロファイルを説明できることも明らかになってきました。おお、これはもっと使えるツールに化けるかも。もはや子どもの探究を完全に飛び越えて、おっちゃんの妄想がMAXになってきたのでした。

RI

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40年後の自分になりきる。

[5・6年生]

5週目となる今週は翌週に迫ったプレゼンテーションでの葬式劇をイメージし、小金井祭典の是枝さんを訪問して、私の葬儀の打ち合わせを行ないました。
まさに40年後の葬式劇の始まりです。

といのも今回の訪問はまさに40年後にタイムスリップし、2054年7月7日16時20分に私が死去した翌日、私の息子と共に元教え子の彼らに葬儀の打ち合わせに参加してもらうという設定で是枝さんのオフィスを訪ねてきました。

私は、40代になった自分の息子になりきって自分の葬儀の打ち合わせを50代になった子どもたちと共に行ないました。
子どもたちは自分たちが年表で描いた50代の自分になりきり、私の葬儀を執り行って下さる是枝さんと名刺交換を行ないました。

福岡赤十字病院の看護師、ゲーム会社の社長、小動物専門のクリニックを北海道で開業している院長、そしてインテリアデザイナー。

みんな50代になり家庭と仕事で忙しい中、ある人は飛行機でまたある人は神奈川から電車で駆けつけたとまるで演技ではないようなリアルな状況を伝えながら私の葬儀の打ち合わせに参加しました。

打ち合わせでは通常の葬儀で打ち合わせていく内容と全く同じように非常に丁寧に是枝さんが進行して下さいました。
打ち合わせを通して子どもたちは実際の葬儀ではどのようなことを決めていくのか、どのようなことに気を配っているのか、祭壇や棺の種類に骨つぼの色や料理、香典返しなど様々なことを40代になった私の息子(私扮する)と共に決めていきました。

そのようなリアリティのある打ち合わせを本当の葬儀屋さんのオフィスで礼服に身を包んだ是枝さんと行ないながら、子どもたちは人が死にいくことへのどこまでも行き届いた配慮の心や遺族のグリーフサポートへの気配りなど机上では気付き得ない学びをさせて頂きました。
またこの打ち合わせを見学という形ではなく実際の葬儀の打ち合わせに40年後の自分になりきって参加してもらうという設定で行なわせて頂いたことで年表に描いた自分たちを一層強く認識できたようです。

IMG_0978.JPGIMG_0979.JPG IMG_0981.jpg

お忙しいところ”個の尊厳”の学びに毎回ご協力下さっている是枝さん、無理なお願いをして未来劇の打ち合わせにお付き合いいただいた上オフィスの見学もさせて頂きまして本当にどうもありがとうございました。
またスタッフの皆さま心から感謝致します。

さて来週は即興劇の練習に励みます!



YI

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2014年07月18日

作品を仕上げよう!

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

今週末のプレゼンテーションデイに向けて、ラストスパートの一週
間。
工房と化した畳部屋はその熱気でエアコンも効かないほどです!

20140718.001.jpg

「何回でも遊べる迷路」を製作中の様子。
設計図の拡大コピーを合板に貼り付け、その線に沿って、釘うちを
行なっています。
クラスメイトがやってた工夫を参考にして、正確かつスピーディー
な作業を目指そうとする姿勢は良し。
ただし、作業の進捗は少し遅れ気味。
巻き返しを図るべく、ひたすら釘を打ち続けます。

20140718.004.jpg

この写真は、設計図の通り、円盤に切り取った木材に同心円状に絵
の具で色付けしているところ。
「見た目がきれいで誰でも遊べるおもちゃ」を開発コンセプトに掲
げ、マイペースにこつこつと作業を進めてきました。
部品を家に持ち帰って、丁寧に紙ヤスリで磨き上げてきた甲斐もあ
ってか、作業は極めて順調。
見た目のきれいさへのこだわりを追究してきた総仕上げとして、慎
重に色を重ねていきます。

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「すべり心地の気持ちよさを味わってほしい」とひたすら盤とコマ
のヤスリがけに励んできた男の子。
いよいよカーリングのサークル部分の線引きと色づけに取り組みま
す。
コンパスを片手に、盤に挑む視線は真剣そのもの。
これまでの苦労が水の泡にならないよう、丁寧に線を書き込みます。

20140718.003.jpg

先週発生した板割れのトラブルを乗り越え、なんとか作品が完成し、
ほっと一息ついたところ。
ここぞと言う時の集中力はさすがの一言!
出来上がった自身の作品を見つめる視線が印象的でした。

20140718.005.jpg

コリントゲームの製作に取り組んでいた男の子は、実際にクラスメイ
トに試遊してもらう中で、不具合を発見したようです。
釘が傾いている箇所があり、パチンコ玉が一定の方向に流れてしまう
というもの。これではどこに転がっていくかわからない予測不能な面
白さが半減してしまいます。
かなづちを片手に真剣な表情で釘の角度の微修正を図ります。
その姿はまるで釘師のようでした。


とりあえず、最終日の時点で、何とか全員とも、試遊できる状態の第一
次完成品をつくりあげることができました。

発表練習については、

「プレゼンでは開発コンセプトと自分の作品のこだわりを語るんでしょ。
これまでずっと考えて、作業してきたことだから、それなら練習は要ら
ないよ!」

と頼もしい返答が。

本番でその思いを熱く語ってくれることでしょう!


HY

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カードでものの見方を磨け!

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律
セントラルアイディア:私たちはみな、違う世界が見えている。

[2年生]

「探究」もトレーニングだ!

トレーニングというと、同じことを機械的に繰り返す……いわゆる「反復練習」をイメージするかもしれません。しかし、ただ同じことを繰り返すのではなく、どうしたらもっとよくなるかを自発的に考えて、改良し続けるのでなければ、真のトレーニングとは言えません。

野球で例えれば、かつての落合選手やイチローの打撃練習を思い浮かべてみるとよいでしょう。彼らは、漠然とバットを振り続けることを嫌います。一球一球、一打席一打席、自分の感覚と実際のバッティングとをしっかりモニターして、どこがよくて、どこを調整しないといけないか細かくふりかえり、改善につなげます。

「探究」も同じです。終わりなき追究のプロセスが続くからからこそ、そのプロセスが惰性で続いてしまうことのないように目を光らせなければなりません。即時フィードバックに伴う、即時改善の積み重ね。それが「探究」に伴うトレーニングです。

IMG_0359.JPG

カードを使って柔軟にものの見方を変えてゆけるようになるにはどうしたらよいか。子どもたちは、みんなで知恵を出しあって探究的トレーニングを行います。そこでぶつかった最初の壁は、

「ブルーカードがとても大事だと思うんだけど、どう使ったらいいかわかんないんだよな」

どのカードを出したらよいかはわかるのだけれど、実際にそのカードを具体的にどのように使えばいいかがピンと来ないというものでした。

話し合いの場がよくも悪くも熱くなり過ぎて、一つの見方に固まったときに冷静になるように促すのがブルーカードの重要な役割です。いきなりアイデア出してとか、現実はこうだよとか指摘されても、言われている相手は興奮しているので、聞く耳を持ちません。だからこそどう伝えたら相手によく伝わるのかわかっていないと使えないというのです。なんと本質的なポイントに気づいているのでしょう!

「手を下に向けてまあ、まあっていうのはどう?」

なるほど、それは面白い。身振りつきでまあ、まあ落ち着いて!というふうに伝えるのは大事なことですね。まずは一息ついてと諭すことは、いたずらに場をエキサイトさせないために重要です。

(でも……それだけだとまだブルーカードの役割としては足りないような)

と私は感じたのですが、子どもたちも、同じように感じていたようで、さらにどうしたらよいか考え続けています。

「考えてるだけだとアイデア出ないから、カード使って話し合いをしながらの方が思いつくよ」

ほお、スバラシイ。自律的に動いていますね。大したもんだ。子どもたちは、再び、カードを使った話し合いを始めます。ここまで何日も、既に十時間を超える話し合いを積み重ねています。にもかかわらず、飽きたり、だれたりしないで、前向きに続けています。やらされ感満載の「機械的反復練習」ではこうはいきません。自分たちが今開発中のカードを用いれば、TCSの話し合いがきっと改善できるはず……このミッションをメンバーみんなが共有しているからこそです。

話し合いはもちろん、スクールで実際に起こり、彼らが解決を迫られている authentic な問題について行なわれます。

スクールでは、学校の帰り道に買い食いをするのは禁止されています。それどころか不必要なお金を持ってくることも認められていません。しかし、ある子が、近くの自動販売機でジュースを買ってしまっただけでなく、他の子にもおごってしまったのでした。この問題を子どもたちだけで建設的に話し合い、解決してゆく上で、カードの使用がいかに有効か、子どもたちは示したいのです。そのためにカードを使った話し合いを実際にしてみます。すると……

「わかった」

突然、ある子が叫びます。

「ブルーカードは気持ちを落ち着かせることと、その後、他に考えはないかって考えを広げるときに使える!」

デボノのブルーハットはコントロールするときに使うという共通理解からスタートしました。そのときの話し合いで、相手をコントロールするのではなくて、自分をコントロールするときに用いるという重要な視点が既に初期の段階で明らかにされていました。これだけでも小学2年生の話し合いとしては大したものだと思うのですが、さらに一歩進んだ「発見」に到達してしまいました。

「誰をコントロール?」
「自分」
「では、何をコントロール?」
「気持ちと考え」

気持ちを落ち着かせるとともに、一つの視野に固まらず、多面的に考えを広げ、別のアイデアはないか探るように思考をコントロールする。それを促すのがブルーカードだというわけです。

一つ目の壁は見事に突破しましたが、さらに大きな壁が立ちはだかっています。カードを用いて「こう考えて!」と促され、発想が生まれたとしても、それが本当に意味ある発想かどうか自分自身で「評価」するということです。

「買い食いしないで済むようにスクールにお菓子とジュースをたくさん買っておけばいいんだよ」

というアイデアも、解決策の一つであることは間違いないのですが、そのアイデアが適切な解決策かどうか理性的に判断できないとダメです。その目をいかに養うかという大事なポイントが残っているのです。

しかし、これは2年生だけで解決しなければならない問題ではありません。だからこそこのカードをスクール全体での話し合い(アセンブリーのときとか)で用いて、話し合いの質を高めるために役立つツールにしよう!とテーマ発表のときに訴えたい!

6シンキングカードの有効性と使用法を、インパクトある形でシンプルにアピールする。それを目指して、彼らはさらに探究トレーニングを続けてゆきました。さあ、いったいどんな発表になるか。楽しみです。

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2014年度夏休み課題図書

  【1年生】           【2年生】
            


 【3・4年生】        【5・6年生】
      


    

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2014年度夏休み課題図書

2014年07月19日

ポスター完成!

[1年生]

全判画用紙2枚分の等身大ポスター。ようやく完成に近づいてきました。

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全身の自分を描き、その周りに自分に関する情報を記していきました。仕上げに、ポスターの白紙になっている部分を使って、自分の好きな物や得意な物の絵を添えていきました。

プレゼンテーションの日まであと2日まで迫ってきました。
ポスターを完成した子もいれば、まだ懸命に色を塗り続けている子もいます。期日までに完成が間に合わなければ、そのままを発表することも学びになります。一旦、作業を止めて、これまで見えてきた「自分」を語ってみることに。

前回のプレゼンでは、初めてということもあって、大勢の人を前に声が小さくなってしまったり、語りたいことの半分も語れなかったり、もっとこうすればよかったなと思うことがたくさん残りました。また、自分では大きな声を出したつもりでも、聴衆の方からいただいた感想の言葉から、そうではなかった事実を知ることで、「今度はもっと伝わるようにしたい!」という思いがありました。「どんなことを意識したい?」と尋ねると、「声を大きくする」「ふらふらしないで立っていたい」など、自分の直したい点が明確に出てきます。いざ、プレゼン練習に励みます。

   IMGP4032.jpg話している様子をi-Padで撮影中。

前に立つと、何から話していいかわかりません。話す順番を考えるのではなく、自分が伝えたいことを考えます。話し方や順番などは、練習するたび変わっている方が、結果的に、より自然体な語りができるようになっています。

練習を始めて、しばらくすると、こんな質問をしてくる子がいました。
「この発表、なんだか自慢みたいになっちゃうよ。」
よく聞くと、自慢は嫌だと言うのです。確かに、自分のいいと思うところを自分で話すのですから、自慢に聴こえてしまうかもしれないと思うのも無理ありません。ただ、「Specialって何?」の問いかけに対して、「いいSpecialだけではない」「嫌なSpecialもある」「内緒のSpecialもある」と言ってきた子どもたちです。「自分のいいと思うところだけじゃないSpecialも発表してみたら、自慢ではなくなるのでは?」と提案してみました。
「それじゃ、お母さんにいつも注意されてること言っちゃおう。」とニコニコして答えていました。その後の練習では、鉛筆を噛むとおいしくて、ついつい口に入れてしまうということを追加して話していました。

一方、語る練習をすることで、ポスター作りが進まなくなってしまった子がいます。
自分で時間を作るしかありません。放課後に残ったり、朝早く来てみたり、間に合わせようと必死です。プレゼン当日の朝になり、「できたよ」と言ってきたので、見てみると、ポスターに白紙の部分が目立ちます。もう時間がないと思ったのでしょうか、本当にこれで終わりなのかが、よくわからなかったので、「これで終わりでいいの?」と聞いてみると「いい。」と言います。「ここに好きな物とか描くともっとよくなるのにな。」と言うと、「じゃあ、そうする。」といって、時間ギリギリまで絵を描いていました。もっとよくしたい、最後まで諦めない性格が発揮されていました。
全員が、納得のいくまで描いたポスターを背後にして、いよいよプレゼンテーションに臨みます。

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AN

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「いい仕事してますね。」~ふりかえり~

タイトル:いい仕事してますね。
探究領域:社会寄与

[3・4年生]

これまでの椅子作りから内容を一新した今テーマ。
秋に控えるTCSフェスティバルに向け、来場者の方々に楽しく遊んでもらえるような木製の手作りおもちゃをつくるというミッションに取り組んできました。
その背景には、ものづくりの楽しさを実感し、徹底的にものを作り込んでもらいたいという2つの目標がありました。

6週間のテーマ期間の中で、子ども達を見ていて気づいたことがありました。
それは、「自分の作ったおもちゃで楽しんでもらいたい」、そのシンプルな思いが子ども達のやる気の原動力であったということです。
ユーザーを意識して仕事に取り組むことは、アウトプットの質を高めることにつながる。
言葉にすれば、ごくごく当たり前のことかもしれませんが、これこそが単なる作業と仕事を分ける大きな違いなのではないか、改めてそう感じています。

子ども達の中には、木工用具を使うのは今回がほぼ初めてという子もいました。
最初は見ていてひやひやする場面もありましたが、練習を重ねていく中で、次第に道具の使い方に慣れていく様子が伝わってきました。
また今回は小刀や彫刻刀といった少し扱いの難しい道具にも挑戦しました。
危ないからと言って、道具を子ども達から遠ざけるのではなく、道具を正しく使えばこんなすごいことができる、そう実感してもらいたかったからです。

実際にできあがったおもちゃは七人七様でバラエティに富んだものになりました。
ひたすら紙ヤスリで磨き上げ滑り心地の良さを追究したり、見た目の美しさにこだわったり。
それぞれの個性が十分に発揮されていたように思います。

プレゼンテーションの試遊時間では、実際におもちゃで遊んでみた感想を数多く頂けたようです。
ものづくりにおいて最も気をつけないといけないのは、作り手の自己満足や独りよがりになってしまうこと。
ユーザーの生の声を聞くことで、これまで取り組んできたことの手応えを感じると同時に改善すべきポイントが浮き彫りになりました。

「終わりが始まり」

テーマ学習を表す際によく用いられる言葉ですが、今回のテーマはまさにそれを体現したものと言えましょう。
プレゼンテーションはあくまで第一次完成品の発表の場。
オーディエンスの方から頂いたフィードバックをもとに、夏休みの間にどれだけ作品に磨きをかけられるか、実はここからが本番なのかもしれません。

それぞれの作品が夏休みを経て、どういう風に仕上がってくるのか、今から楽しみです。

HY

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「目からうろこ」〜ふりかえり〜

タイトル:目からうろこ
探究領域:自主自律

[2年生]

自分では見えていると思っていたのに見えていないことがある。
自分の見え方と実際が違っている。
さらにさらに
自分の見え方と他の人の見え方が違っていることまである。

そんなことを錯視の実験や目の構造を知ることで実感する学びからスタートした探究。

やがて、目と脳が直結していることに気がつくと、考え方と見え方とはつながっていて影響しあっているはずということに思いが及びました。それからは、デボノの6色 Thinking ハットならぬ、6色 Thinking メガネからカードへと発展してゆきました。

状況に応じて自分のものの見え方を変えられるか。そのために6色カードがどれだけ使えるのか。ひたすら試行錯誤する日々が続きました。

どれだけ子どもたちが本気で探究していたかは、テーマ発表のときにオーディエンスからなされる質問によってわかります。そこでたじたじになるようでは、深く探究していたとは言えませんし、自律的ではなく、やらされていただけということになってしまいます。

しかし、この子たちは、突然出されたお題に対して、6色 Thinking カードを見事に使いこなして、解決してみせるという離れ業をやってのけてしまったのでした。これには保護者を始めとするオーディエンスは驚くばかり。自分ごととして探究していたことがよくわかりました。

とはいえ、探究の「終わりは始まり」。このカードを普及して、TCSでの議論の質を高めてゆくのが次なるミッションです。そのためにカードを改良し、2学期のアセンブリーから使ってゆくことを目指します。

RI

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未来の自分を演じる

[5・6年生]

さあいよいよテーマも大詰め。
先週に引き続きプレゼンテーションへ向けて葬式劇の練習に励みます。

「まずはKが葬儀の控え室でみんなより先に到着して、患者さんのリハビリテーションプランを考えているところへMが仕事の電話をしながら入ってくるのはどうかな?」

「Rは一番最後に入ってきて、雑談してから改めて名刺交換するっていうのはどうかな?今ちゃんの葬儀の打ち合わせで先週会っているけど、その時は忙しかったからゆっくり近況を話し合えてないわけだし。」

「それいいね!そうしよう!」

「近況報告って言っても限られた時間しかないから、40年後の自分たちがどんな仕事をしていて、家族はいるのか、いるならどんな関係か、どんなことで今苦労しているのか、どんな生き方をしているのかが伝わるような話を自然にしないとね。」

「じゃあまずやってみよう!やりながら直していこう!」

何度も演じては、撮影したムービーを見返して議論し、改善を加えていきます。
プレゼンテーションでは葬儀控え室での即興劇10分間と各自が弔辞を読み上げますが、弔辞は子どもたちが各自で準備をしていくので私は中身を見ずに授業では即興劇を創っていきます。

自分たちの劇を客観的に見てみると声の大きさや50代らしい振る舞いができているかなどの見た目だけでなく、年表で試行錯誤して描いてきた人生観が見えていないことやそれを表す言葉が幼いなど様々な点に気が付きます。

「看護師としてがんばっていられるのは昔から人を喜ばせるのが好きだったから。 忙しくて子どもたちとゆっくり過ごす時間が取れなくてかわいそうなこともあるけど患者さんの笑顔を見ることが私のこの仕事での喜びなのよ。でもね、一生懸命頑張っても早く亡くなってしまう患者さんもいて辛いこともあるわ。」

「小さい頃からの夢だったから、大学から北海道へ行って小動物専門病院を開いたの。 TCS卒業生のNは一緒にとなりの建物でペットホテルをやっているよ。元気にやっているよ。 昔に比べるとペットを捨てる人は減ってきたんだけどまだいなくなったわけではないんだ。家でも前に捨てられていたウサギを飼っているんだよ。65歳を過ぎたら捨てられた小動物を保護する活動をしていこうと思っているんだよ。」

できるだけ自然に10分間の制約の中で、40年後の自分たちが師の葬式の控え室で再会している場面でどんな会話をするのか考えながら即興劇を創りこんでいきます。
年表で描いたビジョンを実際に演じてみることで、まだ曖昧だった部分やもっと仕事について知りたいことなどが出てきます。そして調べ、フィードバックを語り合い、考え、演じながらだんだんと更に未来像が磨かれていき、劇にもリアリティが出てきました。

何度も修正と練習を重ね、いよいよ週末がプレゼンテーション本番。
弔辞については各自がホームワークでコツコツと準備しているようです。
さあ本番の葬式劇はどうなるのでしょうか?




YI

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「個の尊厳」〜ふりかえり〜

タイトル:個の尊厳
探究領域:自主自律

[5・6年生]

この6週間子どもたちは「死」と「生」という非常に難解でいてまた誰もが避けては通ることができないことについて思いを馳せてきました。

「死」とはどういうことなのか?
「死」によって私たちはどういう事態に直面するのか?
そして、「死」があるからこそ見出せる「生」の意味について考えていきました。
「死」は「生」と不可分であり、「死」を「生」の「鏡」とすることによって 生きることの意味、どう生きるのかということについてフォーカスして考えてきました。

そしていざプレゼンテーション本番。
ゲーム会社の社長になるというRくんは弔辞でゲーム会社での仕事を一生懸命やっている傍ら、小学生のころから思い描いていた子ども向けの探究塾を今もやっていると語りました。それは失敗してもチャレンジし続ける人を探究を通して増やしていきたいという思いからだそうです。

年表を書き始めた頃に私から、「まさかゲームが好きだからゲーム会社を作りたいなんて簡単に言ってるわけじゃないよね?」という挑発に対して彼はいつになく真剣な表情でこう答えていました。

「ぼくは小さい頃は難しいことや苦手なことにチャレンジできるような子ではなかったんだよ。自信も無かったしさ。 でもね、TCSに入学して変わったんだ。TCSでは色々チャレンジするでしょ? ミラクル・ハイパーステージの司会とかフェスティバルの劇とかプレゼンとかリーダーとかさ。それまでの自分は失敗したくなかったし、面倒くさそうだからチャレンジしなかった。でも今は失敗を恐れずにチャレンジすることが大事だと思っているんだ。 自分が好きで、やりたいからってゲーム会社を作るのはすごく大変なことでしょ? でも大変だと思うけど失敗してもチャレンジし続ければできるって今は思っているんだよ。だからゲーム会社を立ち上げるっていうのは簡単に思いついたわけじゃないからね。昔のおれだったらそんな難しいことにチャレンジしたいなんて思わなかったんだから。」

その話をしている彼からは夢を成し遂げる上で起きるであろうさまざまな苦労も覚悟していることが伺えました。

また北海道で小動物専門病院の院長になるというMさんは年表作りをしながら日本や北海道の犬猫病院や小動物専門病院の現状について調べ、北海道では小動物専門病院の数が圧倒的に少ないことを知りました。
また大学生になったら瀬戸内海に浮かぶ小さな”うさぎの島”と呼ばれる大久野島でボランティアをして小動物保護に対して自分ができることをしようと決心したようです。
彼女は自分の生き方について考え、その途上で浮かぶ疑問について調べつつ組み立てていくというプロセスや、また素敵な大人たちや素晴らしい作品との出会いを通して感じてきた本質的なことを弔辞で述べました。

「私は人生は自分で創り上げていくものだと思う!」と。

ともすると私たちは深く考えず消去法的に物事を選択したり、前例に習うことを選んでしまいがちですが、どんな選択をするにせよ”自分で創り上げる”という考え方が根底になくてはいけないのかもしれません。

子どもたちはこのテーマを通して一つの道を目指していく過程で起こる様々な”楽”と”苦”についても思いを馳せる大切さを学ぶことができたことでしょう。
しかし道はたった一つではありませんし、人は変わり続けていきます。
だからもし年表に描いた通りの未来にならなくても勿論いいのです。
大切なことは目標に向かって行く過程でさまざまなことが起き得るがそれでも自分らしくあり続け、Mさんが力強く言ってくれたように未来を自分たちで創り上げていってくれればと心から思います。
”個の尊厳”を抱いてこれからも羽ばたき続けよう!


YI

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2014年07月25日

「I am Special,YOU are Special.」~ふりかえり~

[1年生]

このテーマ学習を通して目指していきたいラーナープロファイルは、Communicators, Open-minded,Balancedでした。1年生の子どもたちがスクールでの生活の中から、これらを次のように言葉で説明しました。

Communicators
しゃべっていることをどんどん聴いて、心で「!」を大きくして、それでやっとしゃべれる。

Open-minded
まねして考えて、自分で面白いものをつくる。知らないことをどんどん聴いて、ピカーンってなる。

Balanced
耳とか目とか心とかを、ちょうどいいサイズにする。大きい人(年上の人)がいればバランスがとれる。

今の1年生6人は、朝の会やアセンブリなど、全体の場ではまだ自分らしさを発揮できず、誰かと同じ意見を言うことが精一杯。でも、上級生たちの言葉のやりとりを聴いている中で、話しているだけでは、聴いてもらえないこと、人の話を聴いた上で話を重ねていくこと、そして、自分でなければ言えない意見、人と違った意見が認められることを知っていきます。

といっても、実際のところ、1年生だけの授業のときなどは、自分の話がしたくて、聴いてもらいたくて、ついつい一方的になってしまい、お互い話すだけで、誰も聴いていない状態になってしまいます。話しても聴いてもらえないこと、自分も人の話を聴いていない事実を実感していく中で、上記のラーナープロファイルの説明ができるようになっていきました。聴いたことで頭の中でピカーンと「!」のアンテナが光り、自分らしい意見につながる。そうした発想は面白く、みんなも聴きたくなってくる。特に、「似ているSpecial、違うSpecial」を挙げていったとき、6人が意識して会話したことで、話が盛り上がり、それぞれの新たなSpecialを発見していくことにつながっていきました。そして、徐々に、自分以外の人のSpecialが記憶に残るようになっていきました。

「私たちは世界に一人しかいないかけがえのない存在である。」というセントラルアイディアに対しては、同じ人がどこかにはいるかもしれないと思っていた彼らでした。自分についてとことん調べ、自分と他者とがこれほど違うことを知り、「見た目が似てても、中身(心)は違う」といった発言が6週間後には出るようになっていました。

今回は、自分がSpecialだということ、それと同じく、周りのみんなもそれぞれがSpecialだということを見ていきました。そのSpecialの中には、自分の好きなものもあれば嫌いなものもあり、両方を受け入れることをしていきました。個人の大切さを感じとった上で、今後は、その好き嫌いの見方が固定してしまうのではなく、見方を変えることで感じ方が変わっていく、柔軟な物の見方へとステップアップしていってほしいと願っています。


AN

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