東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2011年11月 アーカイブ

2011年11月03日

「教育の未来」を語り合います 11/3(祝)

※終了しました

11月3日 文化の日に「教育の未来」を語り合います。

NPO学習学協会が、NPOハロードリーム実行委員会の「夢の日ウィーク」のイベントの一環として、「教育の未来シンポジウム」を開催、NPO東京コミュニティスクール理事長である久保一之がゲストとして参加いたします。

本シンポジウムのコーディネーターである本間正人さんは本年6月に開催されたTCS公開セミナー「自和自和(じわじわ)と学ぶ」にてファシリテーターとしてご参加いただいた方です。

そして、現役の東大大学院生であると同時に、株式会社プラスティー代表取締役として経営者であり、著者でもある清水章弘さんと共に、日本の教育はどういう方向へ向かっていくのか、また、向かうべきなのか、語り合います。普通のパネルディスカッションというよりは、フロアからの発言や参加も大いにとり入れた、教育に夢が感じられる2時間になるかと思います。

開催要綱は以下の通りです。皆さま、どうぞ奮ってご参加ください。


【開催概要】(敬省略)

   日時:11月3日(木、祝)10:00-12:00(9:30開場)

   場所:あんさんぶる荻窪
        (JR中央線、地下鉄メトロ丸ノ内線「荻窪駅」西口徒歩3分)

   参加費:500円

   ゲスト:久保一之 NPO東京コミュニティスクール理事長
       清水章弘 株式会社プラスティー代表取締役

   コーディネーター: 本間正人 NPO学習学協会代表理事

   お申込みは info@learnology.co.jp まで、メールにて。
    ※お申込みは主催者宛となります。迷惑メール防止のため全角@にしています。
     お手数ですが、メール送信の際には半角@に変更してからお送りください。

【プロフィール】

清水章弘氏 
株式会社プラスティー代表取締役。1987年千葉県船橋市生まれ。
海城中学高校、東京大学教育学部を経て、東京大学大学院(教育学研究科)に進学。 海城中学高校時代に生徒会長、サッカー部、応援団長、文化祭実行委員などを経験しながら 東京大学に現役で合格。大学では体育会でホッケー部で週5日(1日5時間)練習する傍ら、 20歳で株式会社プラスティーを立ち上げる。自身の時間の使い方、学習法を体系化し、 「勉強のやり方」を教える学習コーチ事業を展開中。若手起業家としても注目を集め、2009年「NEXTENTERPRENEUR2009AWARD」優秀賞を受賞。
日本武道館で1万人の前で表彰された。現在は青森県三戸町教育委員会と連携し、 学力向上プロジェクトを行っている。著書に『習慣を変えると頭が良くなる-東大生が教える 7つの学習習慣-』『勉強がキライなあなたへ-学びを楽しむ22のレッスン-』がある。
http://www.shimizu-akihiro.com/

本間正人氏
NPO学習学協会代表理事、帝塚山学院大学客員教授、NPOハロードリーム実行委員会理事、 一般社団法人キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会理事、一般財団法人基礎力財団理事。
東京大学文学部卒業、ミネソタ大学大学院修了(成人教育学博士 Ph.D.)。
ミネソタ州政府貿易局、松下政経塾研究部門責任者などを経て、NHK教育テレビ「実践ビジネス 英会話」の講師などを歴任。「教育学」を超える「学習学」を提唱し、「研修講師塾」を主宰する。
主な著書に『笑顔のコーチング』(小巻亜矢共著、大和書房)、『できる人は1週間を「168時間」で考えている』(中経出版)、『グループ・コーチング入門』(日経文庫)、『ケーススタディで学ぶ「コーチング」に強くなる本』(PHP研究所)、『ほめ言葉ハンドブック』(共著、PHP研究所)、『私が会社を 変えるんですか?』(共著、日本能率協会)ほか多数。
http://www.learnology.co.jp/

久保 一之
大手サービス業にて、人事・財務・マーケティング・経営企画等の実践を経て、教育の国際化を推進する(株)グローバルパートナーズを起業。国際バカロレア(IB)初等教育プログラム(PYP)の導入や英語教育改革をはじめとする学校教育のコンサルティング並びに教員専門の人材紹介事業を行なう。また、小学生を対象とする全日制スクールを運営するNPO法人東京コミュニティスクールの創立者・理事長として、「探究型」の学びの開発・実践・普及活動を通じて、20年後の社会を担う子どもたちの基盤になる教育のイノベーションに取組んでいる。その他、BBT大学(ビジネス・ブレークスルー大学)准教授並びに同大学院専任講師を務めるなど、初等教育から高等教育・社会人教育まで幅広い分野で教育の実践をしている。
http://tokyocs.org/

2011年11月04日

DNAを「本質に迫る問い」で分解する(5・6年)

[5・6年生]

遺伝について子どもたちが抱いている「先行知識」がイメージマップ
で明らかになったところで、その「先行知識」を「ゆさぶる」過程に
入ります。

知ったつもりになっていること、さらに知りたいと思っていることを
ターゲットとして、「先行知識」をつき崩し、新たに構築し直さざる
を得ない状況を設定し、子どもを「ゆさぶる」。「探究教師」として
学びの場を作ってゆく上で不可欠な重要ポイントです。

イメージマップから浮かび上がったターゲットは、やはり "DNA"

先輩たちが一昨年行った、今回と同じ内容のテーマ学習で発表した
DNA の歌をなんとなく覚えていて、A T G C という4つの「塩基」で
DNA ができているらしいことを多くの子どもたちは知っていました。
しかし……「塩基」とはなんのことかさっぱり知らないし、この4つの
「塩基」が組み合わさってできた配列にどんな意味があるのかは理解
していません。

また、二重らせん構造についても、イメージマップ作りの際に、イラス
トを描いて説明してくれる子が何人か現れましたが、その絵はまちまち
で、“なんとなく”という理解のレベルでした。そして、なぜ DNA が
「1本」ではなく「2本」なのかといった「問い」を持ったことなど
ありません。所詮、浅い「興味」でしかないのです。

重要な概念(今回の場合は DNA )にターゲットを定めて追究をスタート
すると、いろいろなことの「つながり」が明らかになり、これまで持っ
ていた知識が適切に更新され、認識の変化が起き、深い理解へと到達
する!

このことを子どもたちに実感してもらうためにDNA について徹底的に
知る学びを「仕掛け」ました。

とはいえ、ただ「追究」のための「知識」を提供すれば、知識が更新
され、認識が変化するわけではありません。そこでカギを握るのが、
「本質に迫る問い」に基づいて「知識」を獲得してゆくことです。

今回、6年間積み重ねてきた学びをふりかえる意味でも、拙著『探究
する力』で明らかにした6つの「本質に迫る問い」すべてを用いて、
DNAという概念を「分解」し、その「問い」を解き明かすのに役立つ
「資料」を集めてテキストを作り、子どもたちに渡しました。

実は、6つの「本質に迫る問い」は、IB PYP で用いられる6つのキー・
コンセプト(Form・Function・Causation・Change・Connection・
Perspective)に対応しています。これまで、子どもたちはテーマ学習の
際に、この6つのうちのいくつかを用いて「問い」を立て、追究を進め
てきました。しかし、まだまだ自分で「意識」して、この6つの「問い」
を使いこなすことはできていません。

「本質に迫る問い」による適切な「問いかけ」は、課題解明の方向性
を指し示す「サーチライト」になります。したがって、テーマ学習を
通じて子どもたちに身につけてもらいたいのは、「本質に迫る問い」
について習熟し、今後直面するさまざま課題に対処するときに、自ら
適切に「問い」を立てられる力です。

DNA はどんな構造になっているの?
DNAはどんな役割を果たしているの?
なぜ子孫を残すときにまったく同じDNAを伝達しないの?
DNAの突然変異を引き起こすメカニズムは?
DNAと進化はどうつながっているの?
双子のDNAは完全に一致するのに、同じように成長しないのはなぜ?

子どもたちに配ったテキストは、以上6つの観点から構成されています。
このようにテキストを構成することで、改めて 「本質に迫る問い」に
ついて子どもたちに「意識」してもらうとともに、何かを追究する際に、
いかにこれらの「問い」が有効かということを「体感」してもらいます。

「テキスト」を用いる学びなのですが、知識を系統的に羅列している
わけではなく、1つの「概念」を適切な「問い」によって分解し、その
「問い」に基づいて「知識」を構成してゆく流れになっているので、
個々の「知識」どうしをむすびつけるストーリーが学びを通して浮かび
上がってきます。この結果、獲得した新たな知識どうしが結びつき、
既有知識と関連づけられ、化学反応が生じ、新たな概念理解、認識変化
につながるのです。

今週と来週、このテキストを用いた学びは続きます。どんな化学反応
が起きたかについて、次週、報告したいと思います。

RI

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残した食べ物はどうなるんだろう?

[3・4年生]

先週、3・4年生は給食の食べ残し調査を行いました。実際に自分の食べ残しの重さを計測し、また全校分の総量も調査しました。
実際にその量を目の当たりにし書いてもらった感想を読むと
「もうぼくは食べ残しをしないようにしたい。」
「こんなに沢山あるとは思わなかった。」
「アフリカとか貧しい国に送ってあげたい。」など色々感じた様子でした。

今週は給食をいつも作って頂いている救世軍ブース記念病院の厨房とバックヤードと大手百貨店の食料品売り場バックヤードを見学してきました。

まず救世軍では調理や食品管理の衛生面での配慮に関する説明を受けながら厨房を見学。大変管理が行き届いた清潔な厨房でした。自分たちが頂いている給食がどこでどのように作られているのか分かって安心しました。そして調理の際に発生する生ゴミや余剰食料のストック・患者さんの食べ残しを見せて頂き、次にそれらと地域給食の食べ残しを集めるストックヤードを案内してもらいました。ここでは一日760食調理していてそこから出てくる廃棄ロスは大体一日35キロ程とのお話でした。

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最後にカフェテリアでヤクルトを頂きながら、栄養科の金子科長やいつも給食を作ってくれている女性から
「みんな給食おいしいかい?毎食100gの野菜を入れているんだよ。みんなの体には一日350gの野菜が必要ですからね。主食のお米が多いのもみんなの栄養バランスに必要なんだよ。これからも愛情込めておいしい給食を作るから残さず食べてね。」とのお話がありました。野菜が苦手な子どもたちはどう思ったかな?

翌日は某大手百貨店へ。とても広いバックヤードを丁寧に案内して頂きました。生ゴミを集積する現場、それらを粉砕する巨大なミキサーそしてコンテナに入れトラックに積むまでの流れを見学しました。コンピュータで制御されたバックヤードのシステムを見ながら「ぼくもあのコンピュータ触りたいな。」と言う子どもたち。たしかに普段入ったことがない裏方に見たことのない沢山のマシーンがあって、それだけでも子どもたちはワクワクしているようです。

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最後に子どもたちが生ゴミをどこへ捨てるのか質問したところ、三越では廃棄ロスの一部を電力用のバイオエナジーとして5年前から再利用しているとのことでした。ただゴミとして処分するだけでなくリサイクルできることも教えてもらえて良かったね。

色々な方にご協力頂き、お忙しい中現場を見学させて頂けたおかげで子どもたちの学びが広がりました。ご協力下さった皆様本当にどうもありがとうございました!

HY/YI

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“葉んてぃんぐ”して“葉っけん”!


[1・2年生]


テーマ「静かなともだち」第二週。


今週は、葉っぱのハント“葉んてぃんぐ”(ハンティング)から始まりました。
場所は、いつもの蚕糸の森公園。
先輩が同じテーマをやったときに作った葉っぱ標本や、
蚕糸の森公園の案内を見てみると、もっと他にも見つけていない葉っぱがありそうだ。
ということで、今まで見つけていない葉っぱをよりたくさん見つけよう!ということで、
外に繰り出しました。


“葉んてぃんぐ”して“葉っけん”!_01公園の外・内と、360度目を配らせて、葉っぱを見つけていきます。
「あった!」
「これ、前も見つけたよね?」
「あっ、(標本に載ってた)チャイニーズホーリーだ!」
「100個目の葉っぱ!」
「これ、何て言う葉っぱだろう。採っていこうよ。」
案内のある樹木だけでなく、敷地内の至るところの樹木の葉っぱを採集できました。


でも、葉っぱを見つけるだけでは、葉っぱの持つ特徴に気付くことはできません。
そこで、集めてきた葉っぱを見返し、名前の分からない葉を調べることを通して、葉っぱの形やつき方などの特徴を“葉っけん”(発見)することを試みました。


リソースとして使用したのは、「葉で見分ける樹木」図鑑。
葉っぱの形、葉っぱのつき方、葉のふちのかたち、木の種類などで樹木の種類を見ていきます。
ここで大切にしたことは、その葉っぱだと思った理由を根拠付けて述べられること。
分裂葉・不分裂葉など葉っぱの形、対生・互生といった葉っぱのつき方などの用語を確認して、グループに分かれて検索してみました。


これが、簡単そうでなかなか難しい!
グループ各々で意見が異なりました。
「ナナカマドだと思う。葉っぱがギザギザしているところが似ていると思う。」
「ムクノキだと思う。葉っぱの先が長くてとがっているから。」
「茎がトゲトゲしていないから、クサイチゴじゃないと思うな。」
「いや、僕から見たら茎がトゲトゲしているように見える。」
「じゃあ、実際に公園に見に行ってこようよ。」


1つの葉っぱを通して、いろいろな意見が出てきました。
来週も引き続き、観察&検索&議論の時間は続きます。


EN


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2011年11月11日

「知識」を得て「問い」を発する

[5・6年生]

今週は、「本質に迫る6つの問い」によって章を分けたテキストを
用いて、DNAについて学びを進めてゆきました。

たとえば Function of DNA という章では……

いったいDNAはどんな役割を果たしているのか?ということについて
「知識」を得ます。DNA の持つ遺伝情報によってタンパク質が作ら
れる……では、DNA からどうやってタンパク質が作られているのか
テキストを読みつつ理解してゆきます。

「まず、DNA がゆるんで、遺伝情報を持っている部分があらわになる。
そこに塩基がくっついて RNA ができる……」

テキストに書かれていることを改めてホワイトボードに図示しながら
まとめてゆきます。「探究教師」は、ただ子どもに任せて、自由に
学びを行わせるわけではありません。知識を伝授する授業もしっかり
行います。だからといって、「探究教師」は、「覚えろ」「写せ」と
いうふうに知識を提示しません。よき学び手としてのモデルとなり、
どう知識を獲得してゆけばよいのか、子どもたちに自らの姿勢・態度
として見せ、さらに、

“なんのためにこの知識を学んでいるんだろう?”

という子どもたちの reflective mind を喚起するのが役目です。

「なんで3つの図を書いたんだろう?」

ホワイトボードに描いた解説図を見せて、子どもたちに問いかけます。

DNA から RNA ができる……そして、RNA が細胞の中の核から抜け出て、
リボゾームに到達する……リボゾームでは、RNA 情報の読み取りが行わ
れ、その情報に基づいてアミノ酸がつながれてタンパク質ができる……
そうか、このプロセスを効果的に図示するには、
① DNA での様子 ② DNA からリボームに行く過程 そして ③リボゾーム
での様子、という3つの場面を描くとわかりやすい!

図をながめ、考えてゆくうちに、子どもたちの reflective mind が作動
し始めます。知識の提示 → 記憶 という学習を繰り返すだけなら、
自発的な学びを大きく阻害する“教わり慣れ”を促進してしまいます。
知識を咀嚼し、理解するには、自分の手で図式化してとらえることが
とても大事です。与えられた資料を読み込み、自ら内容を理解しつつ
知識を構築してゆく力をつけるためには、

どうやって図を描いたら理解しやすいだろう?
描いた図にどんな解説文を“端的に”書き添えるとよりわかりやすく
なるだろう?

という reflective mind を喚起する問いかけを行い、子どもたちと
ともにどうしたらよいかじっくり考える学びが必要なのです。

板書されたものをただ受け身で「写す」だけでは、自ら図式化できる
ようにはなりません。そこで、子どもたちが納得したところで、板書
した図は消してしまいます。「えーっ!」と子どもたちは驚きます。

A4のプロジェクトペーパー1枚をすべて使って資料から読み取った
内容を図と端的な解説文で的確にまとめるという課題に挑戦です。

「おっちゃん、DNAゆるむのはどうしてかな?」

ある子がつぶやくと、触発された別の子が

「最初に見たDVDで、マスターキー遺伝子がどの部分をゆるませるか
決めるって言ってた。だから、そのこと書き加えてもいい?」

と今読み解いている資料の内容と、これまで学んできた「知識」とを
つなげて、より豊かな図を作り出そうとしました。

スバラシイ!自律性が発揮されたことを大いに認めます。

資料を読み直し、板書された図を思い出し、悩み、工夫しながら手を
動かしながらまとめていると、子どもたちの中に「問い」がわきでて
くるようです。

「核から出てゆけるのは、核に無数の穴が開いているということ?」
「うまくリボゾームにたどりつけるなんてすごいよね」
「リボゾームの方が RNA を呼び寄せてるのかな?」
「リボゾームでコピーミスが起きたらへんなアミノ酸をつなげること
になっちゃう!」
「それが突然変異のもとかな?」
「病気かも……」

“なんとなくわかった!”で済ませてしまうのではなく、的確に図示し、
言葉で説明すると、ただ「覚えた!」では終わらず、自ずと「問い」
が生まれてくる!

知識を獲得するからこそ、いろいろな知識が活性化されて、新たな
「問い」が生まれてくると言ってもよいでしょう。何も材料のない
ところで、ただ、考えているだけで、意義のある「問い」は生まれ
ません。ただそうなるには、自発的に知識を獲得する作業が不可欠!
ということを子どもたちに実感してもらいました。

これで前半終了。後半は、獲得した「知識」も参照しつつ、遺伝を
引き受けつつ、どう変わっていけるのか、ディスカッションを通じて
考えを深めてゆくフェイズに入ります。

RI

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challenging

[3・4年生]

今週のテーマ学習は、先週行った見学のreflection(振り返り)からスタートしました。 週末に救世軍と大手百貨店の食品売り場バックヤードを見て分かったこと・感想について考えてきてもらい、火曜日にみんなにそれぞれの考えをシェアしてもらいました。



『救世軍の厨房は肉と野菜を調理する場所や包丁やまな板も分けられていてすごいと思った。』
『給食には野菜を毎食100gは使ってることが分かった。一日350gの野菜が必要なんだって。』
『大きなミキサーで生ゴミを細かくしてから空気を使ってそのゴミをストックヤードに送る機械がすごかった。』
『デパートで一日500kgの食べ物のゴミが出ることが分かった。ねえ、じゃあ日本全体だったらすごい量のゴミが出てるんじゃないの?どれくらいなの??やばいよーー。』
『デパートでは生ゴミの一部を電力にリサイクルしてることが分かった。』
『TCSの食べ残しは救世軍のゴミに含まれてるんだよね。』 『救世軍もデパートも一生懸命努力しているんだなと思った。』
など色々な視点での意見が出てきました。「もったいない、ムダが多すぎる」等の発言が多く、子どもたちに少しずつ問題意識が芽生え始めてきたように感じます。



翌日は問題について考えたり問いを立てるツールとしても活用できる、本テーマ学習で設定されているKey Concepts(perspective,connection,responsibility)とLearner profile(学習者像)について少し例を挙げながらみんなで考えてみました。perspective,誰か別の考えの人は?別の見方はあるかな?connection,他とどうつながっているの?私たちとどうつながっているの?responsibility,私たちはどうするの?私たちに何ができるの?私たちの責任は?などを廃棄ロスに結び付けいくつかの質問をやりとりしました。
これらを全て覚えてほしいということやすぐに使いこなしてほしいということではなく、少しずつ実際に必要な場面で使いながら、時間をかけて意味を感覚として理解していき今後個人または協同作業で問題を考えたり問いを立てる時に発想するヒント・糸口として使えるようになっていければと考えています。



今週で3週目、ちょうど折り返し地点となり子どもたちもテーマ発表が気になっているようです。今回の発表は個人ではなく3,4年生からの提言として”私たちはどのように食糧と向き合うのか?”という課題についてディスカッションをしてまとめていくことを説明しました。3,4年生にとって、みんなで議論して意見の違いを乗り越えながら協力して一つのものをまとめていくのは初めての挑戦です。どういう議論になるのでしょうか?とても楽しみです。来週も張り切っていこう!

HY/YI

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"葉っけん"し続ける

[1・2年生]

今週は、ひたすら葉っぱを見つめ続けて、 そこから分かる情報を"葉っけん(発見)"していくことで、葉っぱの名前を追究していく一週間でした。

チームごとに分かれ、葉っぱと図鑑を見続けて、植物名を探ります。 最初は、チームごとで、大きく意見が異なることが多かったのですが、 調査を重ねることで、だんだん子どもたちの間で意見が近づいていったことが印象的でした。

    

図鑑を見ていると、一見似たような葉っぱをたくさん見つけることができます。 図鑑に載っているたくさんの植物の中から、これだ!と思う植物を選ぶのですが、 「なぜ、この葉っぱはその植物だと思うのか?」 に応えるべく、子どもたちは葉っぱや図鑑から集めた情報を活かし根拠を述べていきました。

「葉っぱの幅が2mmと書いてあって、似ていると思うから。」 「色が濃い緑色のところが似ている。」 「葉っぱの分裂が9裂って図鑑に書いてあって、この葉っぱも9つに分裂しているから。」

できるだけより多くの情報を集められるよう、他の図鑑でも調べてみたり、葉っぱのつき方や実のかたちなどを調べるために蚕糸の森に観察しに行ったりしました。 そして、葉っけんしたことはシートに記録しました。

テーマ以外でも葉っぱと過ごす時間をつくろうと、アートクラスでは、スケッチや、葉っぱを使ったコラージュ、葉っぱのかたちを紙にこすり出すフロッタージュといった葉っぱづくしの作品を制作しています。

   

   

何度もスケッチを重ねることで、 「この葉っぱ、葉脈が少ないよ。」 「これは鋸歯縁だなぁ。」 と、葉っけんすることも増えてきて、スケッチの精度が上がってきたように感じます。

また、 「ここはあじさいがあるよ!」 「大きい葉っぱがある!」 「あそこには、チャイニーズホーリーがあったから、採りたいんだ!」 と、場所を変えることで、そこにある葉っぱの違いに気付くこともありました。

来週も、"葉っけん"し続けることで、どんな葉っぱか"葉んめい"(判明)させていきたいと思います。

EN

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2011年11月17日

TCSがきれいになる!(かたづけの達人)

荷物が多く、ごちゃごちゃしてきているスクールを改善すべく
かたづけ士小松易さんをお招きし「かたづけの達人」を開催いたしました。

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かたづけは大人にとっても永遠のテーマ?!
苦手意識を持っているのは子どもだけでなくスタッフも同じようです。
そんな私たちに小松さんは丁寧に基本的な知識と技術を教えてくださいました。

今回学んだかたづけの極意を実践しようと、スクール内ではかたづけプロジェクトが始動。
毎日かたづけに集中する時間を設け、子ども3チーム+スタッフチームの計4チームで3週間いかにきれいに片付けられるかを競い合います。
このようなゲーム性を取り入れてくれたことも、子どもたちの意欲につながりますね。

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さて、3週間後。
久しぶりにスクールに訪れた小松さんと、久保理事長の厳正な採点の結果、優勝チームが発表されました。
優勝チームは、かたづけだけでなく、ものが行方不明にならないような工夫が随所にされていたということが高評価につながったようです。

「きれいにすることは終わりではなく、そこがスタートなんだよ」と小松さん。大事なのは維持することなんですね。

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2011年11月18日

私たちはどう変わる?

[5・6年生]

私たちは、遺伝という生物学的仕組みを持っているおかげで、

“生き続けて”

いられます。

“生き続けて”いるということには、2つの意味合いがあります。
1つは、当然ながら、日々、私たち自身が“生き続けて”いくと
いうこと。そしてもう1つは、私たちが人類として“生き続けて”
いくことです。

このことをしっかり理解するために、DNA について

Form Function Causation Change Connection

というキー・コンセプトで分解し、学んできました。なぜ DNA は
二重らせんという Form を持っているのか? それは、まったく
同じ塩基配列の DNA を複製しやすくするため。では……どうして
まったく同じ配列のDNAが必要なのかと言えば、DNA が、どんな
「タンパク質」を作るかという遺伝情報を担っているからです!
私たちはさまざまな「細胞」の集合体で、「細胞」の構成要素は
「タンパク質」です。したがって、「タンパク質」がきちんと作ら
れないと、私たちの生命活動は続きません。つまり、死んでしまう。

なんと DNA は大事な Function を担っていることよ!

自らの体の中で四六時中行われている生命維持活動の仕組みを知り、
その根幹が DNA にあると理解し、子どもたちの「生命観」が間違い
なくぐらつきました。「心臓が動き、息をしているから生きている」
「ひとりひとりの命は尊い」という言葉ぐらいしか浮かばなかった
薄っぺらな意識がちょっとゆさぶられたのです。

私たちの体は、今、この瞬間も、細胞レベルでは誕生と死を繰り返し、
ダイナミックに動き、変化し続けている。私たちが普段「意識」して
いないだけで、実は、「生き続ける」ための中核のプロセスを担って
いるのが DNA の Funcrtion なのです。

「DNAってすごいよな……」

思わず発した子どもたちのつぶやきに驚異の念がにじみ出ていました。

しかし、話はこれだけでは終わりません。99.9% 同じでありながら、
たった0.1%の DNA の違いがあるだけで、これだけの個性、多様性が
生じているのです。このことからわかるのは、まったく同じものを
コピーし続けたり、特定のものだけを受け継がせようとするところに
遺伝の本質はないということです。常に動いているので、だんだんと
個人の DNA はほころんできます。それを必死になって直そうとする
よりも、潔く、新しい DNA を持った次世代に委ねる。これが個体の死
によって種全体が生き延びてゆくという戦略です。そのときにまったく
同じものをただ引き渡すのではなく、ちょっとずつ異なった部分を生み
出すように仕組まれている……「似て非なるもの」を残し、バラエティ
を豊富にしているからこそ、どんな事態にも対応できるような柔軟さ
が人間社会にもたらされているのです。

絶妙の Change が、DNA という生物学的仕組みによってもたらされる
のですが……今回のテーマ学習のポイントは、ここで Perspective を
変えることです。

「私たちは遺伝で受け継いだものをベースにしながらどう自らの努力
や他者との関わりによって変わっていけるのだろうか?」

生物学的要因は制約には違いないけれど、それだけに縛られない。
むしろ、生育環境、他者からの影響、そして自らの意志に基づく努力
によって大きく変わる……DNAに縛られている部分は確かにあるが、
人生を歩む上でもっと違うことが私たちを阻んでいるような気がする

これが、今週、子どもたちとのディスカッションによって明らかに
されたポイントでした。

「結局、変わろうと思うから変われるんだよね」

まさに perspective!ひとつの「認識」に固まり、柔軟に転換できない
ことが「変わり続ける」ことを妨げているのです。

「なんか宣言の続きみたいだな……」

4年生のときにやったテーマ学習とのつながりを意識する子が現れ
ました。まさにその通り。「遺伝」のもたらす生物学的影響をふまえ、
それをただ恨むのでも、否定するのでもなく、いかに柔軟な perspective
を持ち、“前向きに”どう変わり続けてゆけるか……自分なりに考え抜く。

こうして紡がれた「自分の言葉」こそ、発表に値し、また、一生持ち
続けるべき指針となるでしょう。しかし、言うは易し。行うは難し。
いよいよテーマ学習最後のヤマ場を迎えました。

RI

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3・4年生チームでディスカッション!

[3・4年生]

今週はまず廃棄ロスって本当にいけないことなのだろうか?なぜ悪いのだろうか?ということを子どもたちに問いかけ、みんなの意見を聞きました。

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それから1週目に作ったイメージマップを見ながら、子どもたちが出してくれた10個の食糧のリスクについて改めてみんなに知ってもらうためにいくつかの項目のショートムービーや映像を見ました。 その上でそれらのリスクに子どもたちにそれぞれ優先順位を付けてもらいました。あえて重要度の観点については私から制約せずに、ただ来週からこの優先順位を元にみんなで議論し自分たちにできること、他の人たちにもやってもらいたいこと、解決策などを話し合っていくことを説明しました。みんな優先順位が違いますので来週は理由をそれぞれ説明してもらい、議論をして3,4年生全体での優先順位を決めることから始まります。

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また、議論の練習としてブレインストーミングの練習を行いました。アイディアをたくさん出すためのブレスト。質より量・他の人のアイディアを否定しない・便乗奨励・面白いアイディア大歓迎というルールを説明し、ペットボトルの使用法についてアイディアを出してもらいました。

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さすが子どもの頭は柔軟ですね。次から次へと思いつかないようなアイディアが出てきて、みんな手を上げっぱなしです。「ペットボトルロケットを作る。」「中に米を入れて楽器にする。マラカス!」「キャップを転がして競争する。」「ボトルに小さな穴を開けてシャワーにする。」「ペットボトルでロケットランチャー。」「中におもりを入れてボーリングにする。」などなど。みんなアイディアを出すことをとても楽しんでいます。他にも沢山のアイディアが飛び出てきました。次にそれらを話し合いながら近いものに並べなおしてもらいグルーピングしました。これとこれは近いけどこれはちょっと違うんじゃない?など意見を交換し合いながら分類作業を行い、「工作島」「音楽島」「ゲーム島」「武器島」「涼しい島」「ロケット島」「キャップ島」「水島」「食べ物島」にまとまりました。たくさん出したアイディアをこうやって整理することで見易く分類することができ、チームで共通の認識を持つことができます。 来週からはブレインストーミングも活用しながらいよいよテーマの主題についてディスカッションが始まります。来週もがんばろう!

HY/YI

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悩める“葉っぱの葉んべつ(判別)”


[1・2年生]


悩める“葉っぱの葉んべつ(判別)”01今週も“葉っぱの葉っけん(発見)”は続きます。
2週間ほど、図鑑を見つめ続けているのに「飽きた」と言わない子どもたち。
回数を重ねることで、葉っぱの検索にも慣れてきて、
葉っぱを観察して得られる情報から、合致する図鑑の情報を探り、“葉っぱの葉んべつ(判別)”を目指す姿が見られました。


常に、
「なぜ、その植物だと言えるの?」
「かたちが似ているというけれど、どんなところが似ているの?」
「他に似ている葉っぱはないのかな?」
と葉っぱを見わけた根拠を問いかけ続けているので、
子どもたちも当てずっぽに予想してはならないと承知しているよう。
スタッフからの質問にも
「3裂のところが似ているから。」
「先がくぼんでいるところが似ているから。」
と、できるだけ根拠に基づいて説明しようとしていました。


悩める“葉っぱの葉んべつ(判別)”02   悩める“葉っぱの葉んべつ(判別)”03

そして、葉っけんしたことを記録するシートには、自分たちの出した根拠が分かるように記そうとしていました。
最初は、
「全部書くの大変だよ。これは、○○(ペアを組んだ子)の意見だから書かなくてもいいよね?」
とたずねてきていた子も、自分たちが出した意見をできるだけ残そうと記録に取り組むようになったと思います。


先週までは、ペアを組み全ペアで同じ葉っぱを一つずつ調べていましたが、今週は各ペアで葉っぱを分担して調べてみることに。
検索結果の発表では、
「葉っぱの長さが(図鑑に書いてある長さと)違うって言っていたところが気になるなぁ。」
「かたちが違うように見える。」
「うん、納得!」
と、他のペアが担当した葉っぱの判別にも興味を示していました。


また、発表した後に自分の意見に自信を持てなくなった子がいたら、
みんなで調べてみたりと、興味を持って調べる姿が見られたことが印象的でした。
ある葉っぱでは、最初『ユズリハ』だと思い発表したのですが、葉の先が丸いところで「違うかも……」と不安げに。
そこで、みんなで図鑑を見てみることに。
いつも使っている図鑑だけでなく、その他の図鑑も使ってみました。


悩める“葉っぱの葉んべつ(判別)”04「これ(葉のつき方が)互性かな、対性かなぁ。」
「全縁(ふちがギザギザしていない)だよね?」
「落葉樹のところも見てみる。」。


すると、『サルスベリ』の可能性が出てきました。
「先がとんがっている葉っぱと、丸くなっている葉っぱがあるんだって。」
「見に行こうよ!」
ということになり、マップで場所を確認して蚕糸の森へ!


「ここだよ!」
ちょっと見ぬ間に葉っぱは、色を変え枯れつつありました。
「葉っぱはとんがっているものと、丸いものがある!」
「サルスベリって他のところにもあったよね。」
ということで、この木とサルスベリが似ているか、サルスベリのある場所まで行くと……。


「なんか、似てない……。」
「木のスベスベしているところが似ていないよ。」
「サルスベリじゃない気がする。」
なんと、振り出しに戻ってしまいました!
スクールに帰った後も、図鑑を睨み、『マルバハギ』という候補が挙がったものの決定打にはならず……。
これらの私たちの迷いも、“葉っぱ葉かせ(博士)”に鑑定してもらおう。


来週からは発表に向けて、集めた葉っぱを“葉んわけ(班分け)”し、オリジナルの葉っぱマップづくりに取り掛かります!


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TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2011年11月21日

【JustGiving】チャレンジを
応援してください!

TCSを応援してくれるチャレンジが、新たにひとつスタートしました。

【チャレンジ名】長距離走が苦手な11歳の挑戦!毎日2キロメートル走ります。

【URL】 http://justgiving.jp/c/7525

【目標金額】  111,111円

皆さまからのご支援、応援コメントは、チャレンジャーにとって大きな励みとなります。

ぜひJustGivingにログインしていただき、ご支援、応援コメントをいただけますよう
お願いいたします。
※上記URLより、ログイン後の画面から、上記のチャレンジ名をクリックすると、コメントができる画面に移動します。

皆さまのご協力、ご支援をどうぞ宜しくお願いいたします。

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JustGivingとは?
http://justgiving.jp/about/justgiving
インターネットを活用した世界最大級のファンドレイジング・サイトで、2001年に英国で生まれました。何かにチャレンジすることで、支援したい団体のために寄付をすることができます。世の中を変えたい個人が、支援したいNPOを選び、寄付を集めることができます。 サービス開始から、世界では延べ1,200万人が利用、9,000以上の団体に対して、1,000億円超の寄付が集まっています。日本では、2010年3月よりサービスを展開しています。
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2011年11月25日

「遺伝」の歌が完成したぞ!

[5・6年生]

今回のテーマ発表のスタイルは、「歌」です。それも往年のあの名曲に
乗せた「替え歌」を作ります。その曲とは、We are the world です。

なぜ発表スタイルが「歌」?それも「We are the world」?と思うかも
しれません。しかし……自らの人生への「認識」を豊かにしてゆく学びが
自主自律という探究領域なので、調べたこと、学んだことをただ発表する
というやり方では、ちょっとインパクトに欠けます。そこで、選んだメデ
ィアが「歌」だったわけです。

DNAという先天的・生物学的要因に強い影響を受けながらも、自らの努力、
そして周囲の人々との支え合いによってわたしたちは変われる!

というコンセプトをどこまで“わがこと”として受けとめたか。さらには、
その思いをみんなにどう伝えるか……それを We are the world の替え歌で
示すのです。

替え歌を作るには、まず本歌を知らなければなりません。早速、You Tube
で視聴します。

「あっ、この歌、聴いたことある!」

大半の子は、サビの部分をどこかで耳にしたことがありました。

「マイケル=ジャクソンが突然入ってきた」

なんとかマイケルだけは分かっても、ライオネル=リッチー、レイ=チャー
ルズ、ブルース=スプリングスティーンといったスター達を子どもたちは
知りません。ところが……スターのオーラがすべての人々にあふれていて、
子どもたちは「タダ者」ではないことを肌で感じとり、画面に釘づけです。

「この人、好きなように歌ってる!」
「なんか個性的だよね」

We are the world は、単純な曲なのに、いや、単純な曲ゆえに、それぞれの
歌い手の思いがストレートに伝わってきます。ただうまく歌おう、音程を
合わそうなどという歌手は一人たりとも現れません。ほんのわずかなフレー
ズでありながら、自分のスタイルを前面に出して、自らの思いをダイナミッ
クに表現しています。

「We are DNA ……っいう感じかな?」

この画像の迫力に触発されたのか、早速、サビの部分の替え歌を歌い始める
子が現れます。いいですねえ、このノリのよさ。

ただ詩を作るだけではない、ただ歌うだけでもない。ほんのわずかな歌詞の
中に自分たちの思いをどう凝縮し、表現するか……

子どもたちの探究がスタートしました。

個人パートの部分は、それぞれの思いを自由にぶつけるとして、問題は、
何度も繰り返し出てくるサビの部分の歌詞です。この部分をみんなで意見を
出し合いながら、一つのメッセージとしてまとめることができるか……
ただ発散するだけではなく、思考を収束させて、意義のあるアイデアとして
まとめあげられるか……いよいよこの学びのクライマックスです。

大事なことは reflective & thinkers

これまでの学びをふりかえり、いったいどんなことを理解したか。これから
どう行動すればよいか。それを実感できているか。個人的な見解ではなく
聴衆の共感を呼ぶメッセージとなるか。そんな評価基準を明確にし、歌詞の
アイデアを煮つめてゆきました。

「DNAがないと生きられないからDNAに縛られているというのはちょっと
言い過ぎだな」
「うん、そうだね。タンパク質を作るからぼくたちは生きられるもんね」
「それにね、DNAが異なるから、個性が生まれて、個性が違うから、みんな
が豊かになると思う」
「それいいねえ」
「私たちは異なる。異なるからこそ変われる!ってどう?」
「あっそれ私も考えてた!」
「えっ?おれも同じこと思ったんだけど」
「スゴイ!一緒になった!」

これまで発散することは得意でも、それぞれの意見を出発点にして、建設的
に融合し、一つの意見に収束してゆくことができなかった彼らが、今回の
テーマで一つ壁を乗り越えました。

「うそみたい。ちゃんと歌詞ができた!」

予定調和でもなく、誰かに合わせたのでもなく、コミュニケーションの連鎖
によって見事にみんなの思いを形にした「歌」が生まれました。

RI

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☆discussion☆

[3・4年生]

今週は”食糧とどのように向き合っていくのか?”というテーマについて子どもたちからの提言をまとめるためにディスカッションを行いました。
このテーマ学習の冒頭で子どもたちと食糧のリスクについてイメージマップを作った際に子どもから出てきた10コのリスク(菌・天気・災害・温暖化・放射能・廃棄ロス・戦争・日本沈没・人口増加・風評被害)について先週優先順位を付け、順位の高いもの数個について議論を始めていきました。というのも優先順位を決めるディスカッションの際にリスクの要因を考えたところ、自然によるものと人によるものがあるという話になりました。
そして自然が起因しているリスクについてはなかなか私たちの努力が未然防止や状況改善につながることができないという意見にまとまったからです。

子どもたちが選んだ”廃棄ロス””災害””放射能”の中からまずは”災害”について議論を始めました。
災害が起こす食糧の問題はさまざまありますが真っ先に子どもから出てきたのは地震です。スクールでも防災について何度も話し合いをしていることもあり、これについては子どもの関心も高いようです。

「食糧を備蓄する。」
「防災バッグを準備する。」
「昔の防空壕を再利用する。」
「シェルターみたいなのをつくる。」などなど他にも色んなアイディアが出ましたが、私が「でもここにあるアイディアって君たちだけでできるの?」と言うと「大人にやってもらう。」と答えが返ってきました。
それに対して私が「でもそれじゃ3・4年生のできる解決策って言えないんじゃない?なにか子どもたちで災害が生み出す食のリスクに対してその状況を良くするとか事前に防ぐ案ってないのかな?」と問いかけました。すると「木に登る。」・・・「流されそうになったら木につかまる。」・・・という意見が出てそこで止まってしまいました。子どもたちは「もう考えても出てこないよ。これしかできないと思う。」と言いました。災害についても事後でできることはあるとしても未然に防ぐ策や子どもができる対策が少ないことが分かりました。もちろん安全対策という意味で子どもたちがたくさんのアイディアを出してくれたことは素晴らしいこと。実際大人でも”う~ん”と唸ってしまうような難しい内容ですが、考え方の練習も含めて自分とのつながり・自分たちが出来ることという部分に重きを置いてこのディスカッションを進めています。
次に放射能についても議論を交わしましたがこれについても似たような結果となりました。

そして子どもたちもなにか解決策が考えられそうだと言っている”廃棄ロス”についてのディスカッションを始めました。解決策を考えるのであれば、まずはその原因を考えてみよう!ということになり”廃棄ロス”の原因・理由をみんなで考えました。

「食べ残しが多い。」「ぜいたくのしすぎ。」「食わず嫌い」「買いすぎて余る。」「食べれず捨てる。」「アフリカのことを考えていない。」などの意見が出てきました。
これらは確かに自分にも当てはまることがあります。きっとこれらについての行動案や解決策も出てくるのではないでしょうか。今週はここまでとなりましたが、来週はいよいよテーマ発表です。3・4年生からの提言をまとめるべくディスカッションもラストスパートしなくては!!さあ来週もはりきっていこう☆

HY/YI

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葉っぱの“葉んわけ(班分け)”


[1・2年生]


葉っぱの“葉んわけ(班分け)”01今まで学んできたことを使って、アウトプットを作る段階に入りました。
集めた葉っぱを分類してマップを作ります。
先輩の作ったマップも参考にしながら、名前や図鑑の分類に惑わされず自分たちなりの葉っぱの“葉んわけ(班分け)”に挑戦することにしました!

早速70枚ちかくある葉っぱを広げ、子どもたちは“似てる”葉っぱ同士でグルーピングしていきます。

葉っぱの“葉んわけ(班分け)”02「これ(複数枚の葉っぱ)、一緒(のグループ)でいい?」
「○○(くん)はどう思う?」
「反対する理由は何?」
と、話し合う経験を少なからず積み重ねてきたためか、
以前より他者を意識してグループワークができつつあると感じました。
(しかし、まだ「反対!」と頭ごなしに否定してしまうこともあるので、そこはこれからの課題だと思います。)


子どもたち同士のやりとりを見ていると、分類する基準が様々ある様子。
みんなで分類しようと話し合いを続ける子どもたちですがみんなが納得いく分類をするのはそう簡単ではないようです。
子どもたちに「どうして(似ていると選んだ葉っぱは)似ていると思ったの?」とたずねると、
大きさ、はば、長さ、葉脈の形、色などいろいろな基準が出てきました。
試しに、基準を限定して分類してみましたが、
「どうも、うまくいかない。」
「難しいなぁ……。」
と子どもたち。


葉っぱの“葉んわけ(班分け)”03煮詰まったときは、一度休憩。
時間を置いて、再度“近い”か“遠い”かで分類してみました。
「これとこれは近いと思う!」
「この葉脈が膨らんでいるところが、マツの葉っぱと似ているから近くなると思う。」
「その葉っぱはこのグループにも近いよ。」


グループにするだけでなく、グループ同士の位置まで、重視しながらマッピング。
「一番遠いものはどれとどれだと思う?」と問うと、
「大きい葉っぱと小さい葉っぱ。」
「手のようなかたちと細長いかたち。」と子どもたち。


「なるほど。その二つ要素も活かしてマップを完成させよう!」ということになりました。
クラス後、「あの分け方でよかったのかなぁ。」と振り返るTくんのことば。
スタッフである私自身も、
「どういう分類が考えられるのかなぁ。このマップから何が見えてくるのかなぁ。」
と子どもと一緒に悩んでいます……。


来週は、いよいよテーマ発表会。
葉っぱマップを完成させて、発表に臨むぞ!



EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

テーマ学習発表会12/1

TCSテーマ学習発表会のご案内


東京コミュニティスクール(TCS)のテーマ学習では、1年間に6つの探究領域を学びます。ひとつの探究領域のもとでクラス毎にテーマが設定され、約6週間単位で活動が行われていきます。
(発表までの6週間、子どもたちが学んできた様子の詳細は、探究テーマ一覧表よりご覧ください。)

テーマ学習の成果を発表するテーマ発表会では、保護者だけでなく、一般の方々にも参加していただける機会になっています。(ご希望の方は、下記要領にてお申込みください。)

子どもたちは、どのようなプロセスで、どのようなことを学んでいるのか・・・。
ぜひ、直接子どもたちの様子を見に来てください。


               記

【日時】 2011年12月1日(木) 午前9時15分~12時00分頃
【会場】 セシオン杉並  2階 視聴覚室
     東京都杉並区梅里1丁目22−32
     (東京メトロ丸の内線「東高円寺」駅より徒歩5分、地図はこちら)

【スケジュール】

    9:30     開場
10:00~10:05  イントロダクション
10:05~10:35  1・2年生「静かなともだち」
10:35~11:05  3・4年生「食わせ者」
11:05~11:15  休憩
11:15~11:45  5・6年生「似て非なるもの」
11:45~11:50  総評

【お申込み・お問合せ】
 東京コミュニティスクール
 E-mail:school@tokyocs.org
 TEL:03-3313-8717
 ※迷惑メール防止のため、「@」を全角にしています。お手数ですが、半角に変更してから送信してください。

  お申込みの際は、
   件名に、「テーマ学習発表会参加希望」とし、
   本文に、以下の事項をお知らせください。
     1.参加者氏名(すべて記入ください)
     2.(保護者の方は)お子さんの現学年
     3.E-mailアドレス
     4.電話番号(最も連絡のとりやすい番号)
     5.TCSを知った経緯(知人、ネット検索、新聞名・雑誌名など)
     6.質問事項等(あれば)





NPO Tokyo Community School 
特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール 


〒164-0001 東京都中野区中野1-62-10 
TEL: 03-5989-1869  FAX: 03-5989-1649 
e-mail: school@tokyocs.org