東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

ホームTCSの概要TCSの教育入学案内TCSコミュニティNPO法人東京コミュニティスクール

2011年09月 アーカイブ

2011年09月05日

「Body & Soul」~概要~


[5・6年生]


タイトル:Body & Soul

探究領域:万象究理



足が速い人と遅い人の違いって何だろう。

ボールを遠くまで投げることができる人とそうでない人とでは何が違うのだろう。

そもそも、運動神経の良い悪いってどうやって決まるものなんだろう。



みなさんも一度はそのような疑問を抱いたことがあるのではないでしょうか。



トップアスリートではない一般人の我々であっても、運動器官に関する正しい知識と意識を持ち

行動すれば、運動能力を高めることができるのではないだろうか。

そんな問題意識が今回のテーマの出発点です。



私たちはどんな仕組みで運動器官を動かしているのだろう?

どうすれば自分の体をうまく動かすことができるのだろう?

怪我や故障をすることなく運動器官を健康に使い続けるために普段から気をつけておくべきことは

何だろう?



「科学的アプローチを実践し、運動記録の自己ベストを塗り替えよう!」という掛け声のもと、

子ども達との追究が始まります。



YI/HY


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「 My Hero Story」~概要~


[3・4年生]


タイトル:My Hero Story
探究領域:意思表現

自分の思いを熱く語ることこそこのテーマ学習で目指すことです。
そのために、自分の中に伝えたい何かを持てるような「仕掛け」を
しました。それが My Hero を見つけることです。自分にとっての
あこがれであり、魅力の塊である My Hero だから、語りたくて、
語りたくてうずうずするでしょう。語りたい気持ちを前面に出しつつ、
相手の心をゆさぶる工夫として、論理的な構築とはひと味異なる
伝達形式である“ストーリー”としてまとめさせることで、新たな
「意思表現」の仕方を子どもたちに伝授します。My Hero の生き方
を調べてゆく過程の中で、My Hero の成長・変化や葛藤・苦悩と
自分の歩みとを重ね合わせる気持ちが自ずとわいてくるでしょう。
その気持ちをしっかりとらえ、ストーリーに盛り込み、これまで
気づかなかった自分の夢や希望、考えを明らかにします。こうして、
逆境におかれたとき、また、へこたれそうになったときによりどころ
となる人生モデルを形成します。

RI


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

「我感じる、ゆえに我あり」~概要~


[1・2年生]


タイトル:我感じる、ゆえに我あり
探究領域:自主自律


見る・触る・聴く・嗅ぐ・味わう。
普段でも子どもたちは、五感を使って何かしら感じながら生活しています。


でも、五感を「研ぎ澄まして」生活しているのかな?
本テーマでは、「五感を研ぎ澄まして感じる力を高めることで、今まで感じなかったことを感じる」ことを目指します。


まず、感覚の一つ一つを集中して使ってみて、
五感それぞれの働きや感覚同士の繋がりを意識することからはじめてみます。
五感を研ぎ澄ますことで、どんな発見ができるかな?
そして、五感を研ぎ澄ます前と後ではどんな変化が起きるかな?


私たちは当たり前のように五感を使っているけれど、視覚や聴覚などの感覚を持ち得ない人もいます。
もし、ある感覚を持っていないとしても、
他の感覚を研ぎ澄ませば、食事や歩行、コミュニケーションができるのだろうか?
その人の立場にたって考える、視点を変えて物事を見つめるPerspectiveな観点も持って学んでいきます。


テーマ「蚕糸の森見っけ隊」&「ありがとうにありがとう」では、自分なりの「!(発見)」をしてきた子どもたち。
今回は、感じたことを自分なりに「表現」することにも挑戦していこう!



EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2011年09月09日

ミッション・ポッシブル

[5・6年生]

身の周りにある自然や科学技術の仕組みと価値について学ぶ「万象究理」の探究。
今回のテーマでは、普段何気なく使っている自分の「からだ」に注目し、
どうすれば運動器官をうまく動かせるかという疑問に対し、科学的アプローチで迫ります。

テーマ初日、目的も告げられずに、いきなり車に乗せられた子ども達。
車で走ること15分。到着したのはODD(街)でも訪れた和田堀公園のグラウンドです。

「これから、50m走とソフトボール投げをするよ。」

「えーーーっ!」
子ども達もある程度は予想していたものの、まさか本当に走ることになるとはといった感じです。

まずは5メートルおきにコーンを置き、一人ずつ走ります。
ビデオカメラの位置は子ども達と相談の上、真横からと正面からの2方向で撮影することにしました。
今年の5・6年生は9人の大所帯。てきぱき動かないと時間ばかりが過ぎていきます。
そして、次にソフトボール投げの撮影です。
子ども達のアイデアで、投げる前にボールの握り方もビデオカメラで押さえておくことにしました。
いきなりの運動に驚いたものの、子ども達は想定外の外出を楽しんでいる様子でした。

翌日は撮影したビデオの確認から始めました。
自分の体の動かし方を客観的に見る機会はほとんどないため、みな興味津々。

「Tくんは前傾姿勢をキープして走ってるよね。」
「Mちゃんはひじを伸ばしたまま走ってるけど、曲げたらもっと早くなるんじゃない?」
「歩幅が大きく取る子もいれば、歩幅は小さくとも脚の回転が速い子もいるなあ。」

客観的データを用いることで、子ども達一人一人の走り方の特徴の違いが浮かび上がってきました。

続いて、ソフトボール投げの確認です。

「Kくんのボールの握り方は野球と同じなんだね。野球ボールより大きいソフトボールでは
逆に投げにくくないのかな?」
「ボールの弾道が人によって全然違う!」

走り方も投げ方も9種9様。
それぞれの違いを見比べることで、いかに速く走るか、またいかに遠くまで投げられるかを 実現するために調査すべきと思われる項目の要素が次々と挙がってきます。

そして、皆の興味関心が深まったところで、今回のミッションをホワイトボードに
大きく書き出すことに。

『自分の身体を意識して動かせば、運動能力を高めることができることを実証せよ!』

万象究理のテーマに取り組む探究者として、科学的アプローチを実践して、(運動記録の)自己記録を
塗り替えよう!の掛け声のもと、子ども達との追究が始まりました。


YI/HY

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

自分にとってのヒーロー

[3・4年生]

3年生、4年生合わせて6人の子どもたちと今回のテーマに臨みます。
これまで一度も彼らのテーマを担当したことはありません。初顔合わせ
です。とても新鮮な気持ちで子どもたちの前に立ちました。

「ヒーローってどんな人?」

初日の学びの冒頭で、この問いを発しました。いったいどんな答えが
返ってくるのか、興味津々でした。

即座に、一人の子が発言しました。

「ヒーローはね、もともと悪だったんだけどだんだんよくなった人だよ」

いきなり本質に迫る発言。ヌシらなかなかやるな……思わずほくそ笑んで
しまいました。

この発言に触発されて、一部の子だけにかたよることなくさまざまな意見
が出てきました。

「やっぱり正義の味方でしょう」
「病気は悪だから、悪と戦うお医者さんもヒーローだと思う」
「お医者さんだけでなく、病気と闘っている患者さん自身もヒーローじゃ
ないかな」

あっという間に、子どもたちの発言で黒板がいっぱいになってきました。
とても豊かなマインドマップが出来上がりつつあり、子どもたちが「ヒー
ロー」という言葉から連想するイメージが明らかになってきました。

「でもさあ……悪役がいるからヒーローが生まれるんだよね」

そんなことまで言うか……マップが広がるだけでなく、深まってきました。

「ヒーロー戦隊みたいなやつだと特殊な能力を持ってるけど、別にスゴイ
能力とかないのに立ち向かうのがヒーローだと思う」

そうだよね。うん、うん、ぼくの好きなヒーロー像もそこにあるなあと
思わず、子どもの意見に深く共感してしまいました。

こうして「ヒーロー像」がかなり明確になったところで、今回のテーマの
ミッションを明らかにしました。

“自分にとってのヒーローを選び、その魅力・素晴らしいところを明らか
にする。そして、自分の夢・希望・考えていることとのつながりを発見し、
わかったことを熱く語る”

特に大事なのは、テーマ発表時に「熱く語る」ことだと強調しました。
聞き手を自分の思いに巻き込んでしまうプレゼンテーション。その基本は、
スキル以前にまず、自分が語ろうとしているストーリーにとことんのめり
こんでいて、それを人に伝えたくて、伝えたくて、うずうずしているところ
にあります。

先に述べたマインドマップの広がりと深まりから分かるように、もともと
素晴らしい「探究心の素地」を持っている子どもたちが、これまでいま一つ
はじけ切れていませんでした。今回のテーマで探究する領域は「意思表現」。
思いを持ち、思いを伝える……そのための素材が「My Hero」です。これこそ
オイラのヒーローだ。このことについて語らせたらオイラの右に出る者は
いない。もう止めてというぐらい語って、語って、語り尽くすゼ!という
ふうに子どもたちになってもらいたい!それが今回のテーマ学習で目指す
ことです。

「よし、じゃあまずはマイヒーローを決めよう!」

まず、語り尽くしたい!と心底思える My Hero を見いださなければ追究は
始まりません。ほとんどの子が、心の中に既にマイヒーローがいたようで、
即座に名前を挙げましたが、一部の子はまだはっきりしませんでした。
まだ決まらない子には、明日までにじっくり考えてくればいいよと伝え、
もう決まっているという子には、早速、発表してもらいました。

すると……

スポーツ選手が2人、映画俳優が1人、そして誰も知らない人のいない
テレビ番組のヒーローキャラクターを挙げた子が1人。みなバラバラで
個性的な「ヒーロー」が出てきました。

1日たって……

「さあ、今日はみんなヒーローが決まったのかな?」

と軽く問いかけてみると、昨日は決めかねていた子もこっくりうなづきます。
みんなでそれぞれのヒーローを称え合い、セレブレートするために、私も
テンション highest で、それぞれのヒーローを発表してゆきます。

「Ladies and Gentlemen! Mr. ○○'s hero is △△!」

みんな思いっきり拍手をし、口笛を鳴らす者もいて、イエーと叫ぶ者も
います。

ちょっと盛り上がり過ぎてしまったのか、隣の教室の子どもが心配して
“何が起こったの?”とのぞきにきてしまいました(スミマセン……騒ぎ過ぎ
ました!)。

調べたいヒーローが決まり、いよいよ次週は、ヒーローの魅力、そして
素晴らしさについて徹底分析してゆきます。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

今まで感じなかったことを感じる


[1・2年生]


新テーマ「我感じる、ゆえに我あり」がスタートしました!

普段何気なく使っている五感。
1・2年生の子どもたちは、
見ることも聴くことも触り心地を感じることも、嗅ぐことも味わうこともできます。
本テーマではその五感を“意識”して使うことで、
何気ない身の回りから情報を集めたり、
今まで感じなかったことを感じることを目指していきます。


五感と聴くと、
「見る力!」
「触る!」
など、既に知っていたり、何かしらイメージを持っている様子の子どもたち。


そのイメージを深めるために
“五感で何ができるだろう?”ということについて話し合ってみました。

「休みの日にパパと映画観たんだけど、見る力使ってると思う。」
「車が来ているとかわかる。」
「◯◯の休みの日のことが、話を聴いてわかる。」
「顔が赤いから酔っぱらいだってことがわかる。」
「目が見えなかったら、料理した時に火があたっちゃうかもしれない。」
といろいろな意見が出てきました。


今まで感じなかったことを感じる中には、
「ねぇ、床から音が聴こえるよ?」
「あーほんとだ!おっちゃんの声が聴こえる!」
とスタッフも含めみんなで床に耳をあて、どんな音が聴こえるか探ってみたり。


そして、「感覚」という漢字から、
「“覚”のかんむりに“学”と同じアンテナがついている!」
と発見した子どももいました。


そこで、
「6週間の間でこのイメージマップがもっと広がるよう、
まず、各感覚の一つずつに注目してみよう!
そしてアンテナを使って今まで気付かなかったことに気付こう!」
とミッションを提示。


まずは、夏休みの課題図書にもあげられていた「見る力(視覚)」に注目してみました。
「止まっているものを見ること」と「動くものを見ること」に挑戦です。


普段から視覚を集中して使うことができているか、身近なマークを記憶をもとに正しく色塗りしてみたり、
「よく見て情報を見つける」ために子どもたちに身近な細密画「ウォーリーを探せ」のページから「どんな人がいるか」を探してみました。
東京メトロや信号など、普段から目にすることの多いマークでも、
意外と間違っていて子どもたちも驚いたと同時に「帰る時本当にそうか確認する!」と悔しそうにしていました。


「動くものを見る力(動体視力)」として、
雲がどう動いているかを観察したり、ボードに書いてある数字を一瞬で読み取ることに挑戦。
晴れ空だったので、雲も薄く見えにくかったのですが、ずーっと見ていると動いているのがわかり、
子どもたちも「あー動いたー!」
また、数字を読むのも最初は簡単そうでしたが桁数が増えるにつれて難しくなってきていたようでした。


「見る」一つとっても、いろんな不思議がある。
来週は、別の感覚に触れるとともに、五感の不思議を実感しに外に出てみよう!



EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2011年09月16日

調査種目の決定!

[5・6年生]

「いかに速く走るか」「いかに遠くまで投げるか」を実現するためには、どん
な調査ポイントがあるだろう。自分達が走ったり投げたりしているビデオ映像
を客観的に見たり、これまでに人から聞いたり、本で知った情報を元に、思い
つくままにたくさんの調査ポイントを洗い出す子ども達。
先週の大半は主にこの作業に時間を費やしました。

さて、週が明けて、一つの課題が頭をもたげてきます。
それは「どの種目を調査するか」ということが厳密にはまだ決まっていなかっ
たからです。
「走る」「投げる」はあくまで候補の一つに過ぎません。

限られた時間の中で追究をどう進めていくのか。
調査対象の種目を決めることは、追究計画を考える上で最も重要な要素の一つ
です。どの種目に取り組むかを子ども達と一緒に検討することにしました。

「50m走とソフトボール投げ以外に取り組んでみたい種目はある?」

この問いかけに、6年生の女の子から当初想定していなかった意見が返ってき
ました。

「私、走り幅跳びに興味があるんだよね。」

走り幅跳びは単に「走る」と「跳ぶ」の要素の組み合わせではなく、スピード
をいかにジャンプの力に反映するための「踏切り」も非常に重要なポイントと
なります。奥が深く、探究しがいのあるテーマだなと感じました。

他の子ども達にも自分が一番取り組んでみたい種目を聞いてみたのですが、意
見が分かれます。

(困ったな。このままでは時間ばかりが過ぎていくぞ。。。)

「やりたいのなら、どうすれば全部できるかを考えてみれば?」

その時、たまたま授業を見学されていたKAZUさんの一言が、スタッフも含めそ
の場にいたみなの視点に変化を与えてくれます。

確かに、頭で考えてばかりで立ち止まっていても、実際に身体を動かしてみな
いことには何も気付きを得ることはできません。
前回の「投げる」とは異なる種目にも挑戦してみたいという思いを子ども達も
持っており、運動の中で最も基本となる「走」をまずは追究しようということ
になりました。

無事調査対象の種目を決めた我々が次に取り組まないといけないのは、速く走
るためのコツを仕組みで理解することです。

スクールの本棚で見つけた「スポーツ動作と身体のしくみ」という本が参考に
なりそうだったので、子ども達とともに本の目次を手掛かりに、今回の追究に
関係のありそうな箇所を抜き出すことにしました。
各自、自身の担当分のページの内容をまとめてくることをホームワークにし、
翌日の発表を迎えることに。

ただ、ここでもまた問題が発生します。

今回、調べた内容は
「運動連鎖を引き出すコツ」
「運動神経がある、ないとはどういうことか」
など、知的好奇心をくすぐるものも多かったのですが、では、いざ具体的に走
りにどう取り入れたらよいのかと考えるといまいちピンとこない内容も多く。
あと、そもそも調査ポイントが多すぎて、「走る」を効率的に改善するために、
どこに的を絞ればよいのか検討がつかず。

(はて、困ったな。。)
先の見通しがはっきり立たず、モヤモヤした気持ちを抱きながら、3週目を迎
えることになりました。


YI/HY

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

My Heroはスゴイ!

[3・4年生]

さあ、週が明けてついに全員の My Hero が固まりました。
週末もう一度悩んで悩んだ末に、先週とは違うヒーローを選んだ子
もいましたが、それも大事な学びの過程です。なぜなら、自分が心
から語りたくなる My Hero に感情移入して初めて、自ずと自分の
生き方と対比しようという気持ちが生じるからです。本気で My Hero
と思える存在を選べないとこの学びは中途半端なものになってしまい
ます。そこで、どこまで「本気」なのか確かめるために、My Hero
についてどんなことを調べてきたか、それぞれ語ってもらいました。

「調べてきたこと全部じゃなくて、一部でいいんだよ」

と言ったにもかかわらず、みな止まらない!止まらない!熱く、とめ
どなく語り続けます。

「おっちゃんの知っている昭和のときと平成になってからは全然違う
んだよ」

登場して既に40年近くたち、いまだ人気が衰えない、ある人気キャラ
クターを選んだ子は、キャラクターの人物像が昭和と平成では大きく
異なると主張しました。昭和の場合は、悪の組織に心ならずも「改造」
されてしまうという影を引きずりつつ、その組織と闘う正義の味方です。

しかし、平成では、そんな影は微塵も見せず、その子いわく……

“チャラい”

実際に You Tube で映像を見てみると本当にチャラい。筋肉マッチョ
ではなく、ジャニーズ系のヤサなイケメンです。しかし、そんな外見
やふるまいのチャラさとは似ても似つかぬバイオリンの名手で、遊興の
あげく30万円にも達したお店の勘定を、素晴らしい演奏を披露して
支払ってしまいます。

「それにね、毎朝、植物に対してバイオリンを弾いて聞かせることを
かかさないんだよ」

面白い! 昭和の「陰」「ニヒル」「やさぐれ」とは異なった、
平成の「軽さ」「優しさ」「自然志向」と言えるようなものが見事に
ヒーローの姿に現れているではありませんか。深ぼりしてゆけばこれ
までとはちょっと異なるヒーロー像が浮き彫りになってくるなあと
感じました。

「ぼくにも話させてよ!」

他の子も語りたくて、語りたくてうずうずしていました。ある有名な
コメディー俳優をこよなく尊敬し、ほぼ「同一化」しているのでは…
というほど心酔している子は、いつもの自信のなさなど微塵も見せず、
延々と語り続けます。中でも彼が特に伝えたかったポイントは、

いかに計算し、考え抜いた上で、笑いが構築されているか

ということでした。

「今の日本のお笑いって全然面白くないよね」

これは私のセリフではありません。彼が You Tube で紹介してくれた
そのコメディー俳優の演技をみんなで見て、おかしいし、スゴいし、
大感動し、それと比べて日本のTVお笑いがいかにしょぼいか痛感した
子どものつぶやきです。

子どもたちは「おバカさ」と「真剣さ」とが表裏一体になっている
ことを知ったのでした。

「他の子がヒーロー話しているの聞いてたら、自分もそのヒーロー
のこと好きになってきちゃった」

ここが低学年(小1・小2)の「探究」と、中学年(小3・小4)の
「探究」との大きな違いです。自分の話をしたい!したい!と思うだけ
でなく、相手の話に思わず引き込まれてしまい、その結果、これまで
意識したことのない新たな発見があることに気づくのです。

個別の追究対象を持っていても、目指す方向は一緒なので、他者の考え
と参照することで、自らの考えも深まってしまうことがわかり始める……

この感覚が、今後、協働して共通のアウトプットを求めてチームで立ち
向かうときの基盤となります。

それぞれの熱い語りに酔いしれているうちに、90分の授業が終わって
しまったどころか、10分も過ぎていました。

次のステップでは 、My Hero が「ヒーロー」の名に値する“スゴい”
ところを3つ選び出し、どのような過程を経て“スゴく”なっていったか
明らかにしてゆきました。

サッカー日本代表でもある著名なJリーガーを My Hero に選んだ子は、
オフェンスもディフェンスも両方こなせるところがいちばんスゴイと
指摘しました。そこで、

「なぜそんなスゴイ部分を見せられるんだろう?」

と問いかけると、

「普通の人は後半になると体力が落ちて、オフェンスできなくなって
しまうんだけど、○○は、後半になっても体力が落ちないんだって」

と答えました。

「じゃあ、次に考えることは、それだけ強い体力をどうやって身に
つけてきたかだね。それが成長・変化に目を向けるということだよ」

と促します。すると、集めてきた資料を読み直し始め、気になる部分
を見つけ出しました。

「小さい頃からとにかくケンカばかりしていたことが関係している
ような気がする……」

確かに、ケンカによって肉体的にも精神的にもタフになり、闘争心が
育ったという予測は成り立ちます。では、どんなケンカをしていた
のか、ケンカ以外に何か強靭な体力を養うことにつながったことは
ないのか、新たな問いがどんどん生まれてきます。

資料を集めて、ただ書いてあることを読んで、面白そうなところを
漠然と書き写すことが「調べる」ことではありません。自ら立てた
問いについて、集めた資料を読み込み、答えにつながるような部分
を探し出し、得た答えからさらに新たな問いを導き出す……

このサイクルを繰り返すことが「調べる」ことなのです。

引き続き来週も、自ら本質的な問いを出しては答え、さらに新たな
問いを投げかけ、発見と理解を深め、豊かな My Hero 像を創り出し
てゆきます。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

五感を使う場面は身の回りに溢れてる


[1・2年生]


テーマ「我感じる、ゆえに我あり」第二週。


今週は、五感の不思議に楽しく触れるため、多摩六都科学館見学から始まりました。


ただ出かけるのももったいない!
ということで、道中にて五感を活かすアクティビティをしてみることに。


五感を使う場面は身の回りに溢れてる_01まず、乗り換えをする新宿のど真ん中にて、アイマスクをかぶり耳すまし。
「車の音」
「階段を上ってくる人の足音」
「すずめの音」
と、いろいろな音が聴こえてきたようでした。


五感を使う場面は身の回りに溢れてる_02その後、アイマスクをしたままブラインドウォーク。
新宿の街中を目隠しした子どもたちが集団で歩いているのは異様な光景…。
歩きながら、どんな匂いがしたかたずねてみると、
「靴のにおい!」
「みそのにおい」
「鎌倉のにおい」


数十メートルの短い距離なのに、
「まだ歩くの?」
「けっこう進んだよね」
と、子どもたちにとってはとても長かったようでした。


視覚を遮断して歩いていくと、
「これ、下り坂?」
「(地面が)すべすべしている。」
「(日陰で)涼しい~」
といつもなら気にしないような周囲の変化に敏感に気付いているようでした。


五感を使う場面は身の回りに溢れてる_03  五感を使う場面は身の回りに溢れてる_04

多摩六都科学館では、
錯覚を活かした絵(トリックアート)を見たり、
マイクを通して教会やコンサートホールでの声の響きを体験してみたり、
動体視力を測るゲームをしたりと、
五感にまつわる不思議を面白く実感することができました。


電車の中では、通り過ぎる看板を見て駅名を当てるなど、
移動中も何かしらしていて、感覚を集中して使うことが多かったためか、
帰る頃には子どもたちはへとへとになっていた様子でした。


そして、今週は感じる力の一つ「聴く力」に注目しました。
テーマ以外の時間も使って、
外で聴こえた音を絵にするサウンドスケープを行いつつ、
教室の中でどんな音が聴こえるか耳を澄ませてみました。
「エアコンの音」
「ゴホンゴホン」
「歩く音(ドンドン)」


そして、COMMUNICATORとして、
ある音がどのように聴こえるか、表現することに挑戦しました。
袋を触った音、紙を握った音、米粒が流れる音……。
ビニール袋を握るという同じ音を聴いても、
「ザラザラ」
「ぐちゃぐちゃ」
「しゃかしゃかしゃかしゃか」
など多様な表現が子どもたちから出てきました。


来週は、見る・聴く力も使いつつ、
他の感覚も活かして活動しよう!



EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2011年09月22日

仮説を立てる

[5・6年生]

先週からの停滞ムードを引きずったまま、いよいよ3週目に突入です。

一体、この状況を作りだしている原因は何なのだろう。
結局のところ、行き着いたのは
 ・本やインターネットや速く走るコツはたくさん紹介されているが、その多
  くは根拠が書かれていないため、理屈がわからない
 ・速く走るコツも諸説あり、同じパート(姿勢や腕の振り方など)で異なる
  意見が見られるため、追究を進める上で、どれを拠り所にしてよいかわか
  らない
ということでした。

子ども達と話をする中で気付いたのは、子ども達は普段から速く走るためのコ
ツを自分なりに編み出しているということです。
ゴールするまで前傾姿勢をキープした方がよいとか、空気抵抗を受けなくする
ため手はパーにして指を閉じた方がよいとか。それぞれに我流の走り方を体得
しているのです。

ただ、速く走るために身体をどう動かせばよいか、その仕組みを理解せずして、
本やインターネットで紹介されている情報の受け売りでは、我流の走り方の延
長に過ぎず、今回のテーマ学習の目標を達成することができません。

(今のままでは内容が発散しすぎているし、今後どう進めていけばよいもんだろう。。)

そこで、以前に整理した調査ポイントに立ちかえり、グループごとに調べてく
る方法を取ることにしました。
まずは担当部分を個人で調べ、グループで持ち寄り、意見をまとめます。
各自が調べてきた内容で重複する箇所があれば、信頼性が高いと思われ、そこ
を突破口にするしかないと考えたからです。

 《調査ポイント》
   スタート時の姿勢
   スタート時の足の動き
   走行中の足の動き
   走行中の姿勢、目線、手足の関係
   走行中の骨・関節・筋肉の動き

翌日、各グループの発表を聞く中であることに気付きました。
それは、どの班も共通して「後ろの足をいかに速く引き付けるか」をキーポイ
ントに挙げてきていたのです。

「確かに、脚を速く回転させるためにことは重要だよね。」

そんな中、ある6年生の女の子がホームページで見つけたきてくれた資料が皆
の目に留まりました。
そこには「だれでも速く走れるポン・ピュン・ラン」という見出しが。

「ポン・ピュン・ラン」とは、自身も元陸上競技の選手で、現在福島大学教授
の川本和久先生が提唱された「正しい走り方」です。
地面からからできるだけ大きな反発エネルギーをもらい、そのエネルギーをで
きるだけ無駄にしないことを基本に掲げたこの考え方は力学の作用反作用の法
則に基づくものです。

先週の調査で、子ども達からも「作用反作用の法則」のキーワードが挙がって
いたのですが、いまいち自分達の走りに結び付けて考えることができずにいま
した。

「そういえば、腕振りも地面を強く蹴るという力を大きくさせるってあの本に
書いてあったよね。」

これまで調べてきた点の知識が段々と線になってきた瞬間です。
その後、今までの知識を総動員し、他にも姿勢などの観点も含め、自分達なり
の仮説を作り上げました。

さあ、この仮説を専門家にぶつけてみよう。
来週はいよいよ東京工業大学の丸山剛生先生の研究室を訪問します。
こうご期待!


YI/HY

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

問い、発見して、さらに問う

[3・4年生]


問い、発見し、さらに問うというサイクルを繰り返すことが「調べる」こと。
今週は、自分たちが集めてきた資料を活用して、これこそ My Hero の魅力!
と言える部分をまとめてゆきました。

「こんなに本が集まったよ」

それぞれの子どもたちが、本、雑誌や、ウェブサイトからプリントアウトした
資料を、お父さんやお母さんの協力も得て、集めてきました。見せてもらうと
なかなか面白そうな資料ばかり。せっかくこれだけの資料を集めたからには、
それを有効に活用しないともったいない!探究するうえで必須なプロセスで
ある、資料を読み込み、自ら出した問いの答えを発見することに挑戦です。

ほとんどの資料は子ども向けには書かれていません。知らない漢字も、わから
ない言葉も満載です。そんなときは……

「おっちゃん、これなんて読むの?」
「この言葉、どういう意味?」

私に聞けばよいのです。適宜、私を「電子辞書」ならぬ「人間辞書」として
活用しつつ、子どもたちは、黙々と資料を読み進めてゆきます。My Hero に
ついてもっと知りたいという高いモチベーションがあるので、必死に読み解
こうとしています。“習ってないからわからない”という受け身の姿勢とは対極
です。

読めない漢字、わからない言葉についてはどんどんたずねなさい!……しかし!
これを私にたずねたら「バカモノ!」と怒鳴られる「発言」がありました。
それは……

「ねえ、次に何調べればいい?」
「どんなこと問いたいのかわからない」

という2つのコトバです。もし、自分が本気でその人物にほれこんでいるの
なら、知りたいことがどんどんわきあがってくるでしょう。それを調べ、
答えとなるような事柄を見つけたら、そこからさらに知りたいことが派生して
くるはずです。したがって、簡単に「何を問えばいい?」などとたずねること
はあり得ないと子どもたちに伝えました。そう言われると子どもたちは
「なるほど……」
と納得せざるを得ません。

とはいえ、問いを深めてゆくためのコツがあることも事実です。そこで、まず
思いついた「問い」をどう発展させていけばよいかについて子どもたちと一緒
に考えてゆきました。

「いったい何種類の変化球を投げられるのだろう?」

あるプロ野球のビッチャーを My Hero に選んだ子は、最初にそんな問いを抱き
ました。資料を読むと、15種類!と書いてありました。でもここからが「追究」
のスタート。この「答え」からさらに My Hero の魅力に迫る「問い」を生む
ことこそ探究です。しばらく考えた後、おもむろに

「……なんでそんなに多く投げられるようになったんだろう……」

とその子はつぶやきました。

スバラシイ!見事に問いを発展させることができました。

この問いをふまえて、さらに資料を読み込んでゆくと……特に誰かに習ったわけ
ではなく、ボールに指をかけてみて、指を動かし、どう回転させればよいか
イメージすれば、どういう風に変化するかわかるとそのピッチャーが答えている
インタビューを見つけました。やっぱり彼は天才だったということを明らかに
する事実を発掘したのです。

この事実に基づいて問いを深めてゆくようにさらに促すと、変化球の投げ方とは
違って、努力に努力を重ねていることはないのか?という“筋のいい”質問が出て
きました。天才だからすぐになんでもできちゃうというのではなく、天才ゆえに
こだわる努力もあるはず。そこに目を向けたのはとってもイイ!ということで、
さらに調べを進めてゆくと……筋力アップにこだわっていること、そのために
「食」「栄養」にかなり気をつかっていることが明らかになりました。

問いから問いを生み出して、どんどん My Hero の姿をはっきりさせてゆく感覚
が少し子どもたちにわかってきたようです。さあ、早くも3週間が終わり、いよ
いよ次週から「洗練」させてゆくフェイズに突入です。さらに「問い」の質を
上げて、引き続き「追究」です。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

意識して五感を使う


[1・2年生]


「我感じる、ゆえに我あり」第3週。
五感を意識して使うことに少しずつ慣れてきた子どもたちです。


今週は「さわる力」を研ぎ澄ますことに挑戦しました。
視覚を遮り、触覚だけで何であるか分かったり判別することができるのか、ひたすらいろんなものを触り続けました。


まず、形を切り抜いた厚紙を触って何の形か当ててみることに。
丸・三角・星などは難なく分かった子どもたちですが、ちょっと複雑な六角形になると少し悩んだようで、イメージはあるけれど、触った形を実際に書いてみると正確に書くことは難しかったようでした。


そして、わずかな違いに気付くか、粗さの異なる紙やすりの並び替えに挑戦。
枚数が少ない時はできても、6枚・8枚と枚数が増えていくにつれ正答率が下がり……。
けれど、回数を重ねるに連れて、Reflectiveが働くのか、パーフェクトは出なかったもののだんだんパーフェクトに近づいてきてはいて、子どもたちは悔しそうでした。


意識して五感を使う_01   意識して五感を使う_02

また、「触る力」のCommunicatorとなるべく、触り心地を言葉で表現してみました。
ぞうきんやほうき、モールなどスクールにあるものをアイマスクをして触ってみて、
どんな感じがするか書いてみることに。
ぞうきんを「ジュワジュワ」、保冷剤を「もやもや」、ほうきを「ざわざわ」など、普段使わない擬態語も使って、感じたものを表現する姿が見られました。


五感は予め用意されたアクティビティだけでなく、普段の活動や偶然の中でも活かせるもの。
ちょうど台風の日、外から大きな雨音が聴こえてきたことから、
「雨はどんな音がするのか?」と耳を澄まして聴いてみることに。
「ざー」「ボスボスボス」「パチンパチンパチン」「ペツペツペツ」など、
子どもたちからはいろんな音が出てきて、それを声に出して合体させて雨の音を作ってみたりしました。


来週は、また外に出て五感を使ってこようと思います。


EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2011年09月30日

「走る」=「跳ぶ」!?

[5・6年生]

「うわぁ、広いなー。」

大学の構内は迷子になりそうな広さ。
久々のテーマ学習での外出という要素も相まって、子ども達は興奮しっぱなし
です。
今週は、「いかに速く走るか」というメカニズムを科学的に解析するために、
バイオメカニクスを研究なさっている東京工業大学の丸山剛生先生の研究室を
訪れました。昨年の6年生が訪問して以来、約1年ぶりになります。

「みんなは現在の100mの世界記録保持者が誰か知ってるかな?」

子ども達はそんなの簡単だよといわんばかりに一斉に答えます。

「ボルト!!」

「そうだね、じゃあ早速だけど、今からボルトの走りを動画で見てみようか。
何かヒントになることがあるかもしれないよ。」

先生はおもむろにパソコンを操作しだし、ボルトがベルリンの世界陸上で世界新記録を
出した時の映像を流し始めました。それを食い入るように見る子ども達。

「すげー。。」
「ものすごい大股で走ってるよね。」
「腕のふりも速くて大きいなあ。」

次々に感想が跳び出す中、丸山先生はおっしゃいました。
「身体の個人差でトレーニングは変わってくるんだ。だから、君たちがボルトと
全く同じ走り方をしようと思っても、それは無理なんだよ。では、どうすればよいのか。
これから少し専門的な話をしていくよ。」

トップアスリートでない一般人の我々がどのように身体を使えばよいのか。
いよいよ速く走るための科学的メカニズムについての講義の始まりです。
まずは力とは物の状態を変化させるものであり、動きに勢いを生じさせると
力が大きくなることを「ニュートンの運動法則」を用いて説明してくださいました。
そして、次に作用・反作用の法則についての説明が。

話は段々専門的になっていくため、みなついていくのに必死です。

「つまるところ、上に跳ぶ力と前に進む力を合成して、いかにななめの力を
大きくするかがポイントなんだよ。それを実践したのがポン・ピュン・ラン。
聞いたことない?」

丸山先生はホワイトボードにベクトルの合成の図を書きながら、子ども達に尋ねます。

みんな、少し驚いた表情で先生の方に顔を向けます。
それもそのはず。これまで本やインターネットで調査する中、自分達なりに立てた
仮説の拠り所にしていたのがこの「ポン・ピュン・ラン」理論だったからです。

・かかとから着地するとブレーキがかかることから、足裏全体でポンと地面を蹴り、
 反作用の力を得る。
・また、後ろの脚を速く引き付けることで、前に進むための推進力が生まれる。

などの理屈が、物理の理論的裏付けを得たことですっと腹に落ちました。

「そういうことだったのかぁ。」

調査時に集めたたくさんの点の情報がやっと線になった瞬間です。

「速く走るとは、むしろ跳ぶに近いイメージなんだよ。」

丸山先生のこの一言に速く走るためのコツが凝縮されていました。

その後、帰る時間ぎりぎりまで、自分達なりに立てた仮説や記録方法についての
質問を先生にぶつけました。
専門家へのインタビューを通じて、自分達がこれまで調査してきたことが
決して的外れではなかったという自信が子ども達にも生まれたように思います。

「絶対、自己記録を更新してね!」

先生の力強い応援を背に、我々は東工大を後にしました。

さあ、いよいよ来週から、これまで本で調べたり、「現人」から学んだことに基づいて、
実践を開始です。


YI/HY

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

ストーリーで語れ!

[3・4年生]

My Hero についての本、資料を読み込み、自らの「問い」を深めて
ゆくことで、どんどん Hero 像が明らかになってきます。今週は、

「拡散」から「収束」へ転ずるフェイズ

です。

たくさん出てきた「問い」を整理して、 My Hero についての本を
まとめる作業に入ります。あこがれのヒーローについて、自ら語る
なんてこんなエキサイティングなことはありません。

「どう語ったら効果的か?」

いきなり本質に迫る問いを投げかけます。

あのね、ボクのヒーローはスゴイんだぞ!だってね……こんなところ
もあって、こんなところもあって、こんなところもあるからだよ!
って語ればよいか?いやそれではあまりに芸がない!ということは
子どもたちもよくわかっています。聞き手が

「なるほど!あなたのヒーローはスゴイね!」

と共感するような“本”をまとめたい!と子どもたちは思っています。

では、どうするか……

“何”を語るかをまず決めなければならない……ということで、本の
目次を作ることにしました。

ヒーローの魅力を伝えるには、どんな項目を選ぶべきか頭をひねり
ます。

「やっぱり、ふつうの人ではないところがヒーローなんだよね」

ある子がつぶやきます。

「じゃあ、どんなところがふつうの人と違うの?」

と問い返すと

「あきらめないところ」

と答えます。なるほど……それはいい視点です!いつ、どんな状態
に陥ったときに、“あきらめずに”乗り越えていったのか……
そこにはワクワクする物語があります。

ここで明らかになってくるのは、ヒーローとはいえ、完全無欠でも、
いつも善であるわけでも、さらには、無敵だということもないのです。
理解されなかったり、うまくいかなかったり、へこみそうになったり
ということの連続で、決して「順風満帆」に人生を歩んでいるわけ
ではないのです。

苦難をどう乗り越えたのか?
どう変化・成長していったのか?

ヒーローを語る上で、この2つのポイントはぜひとも押さえておき
たいということがわかってきました。

どこがスゴイのか、そのスゴさをどうやって身につけたか、その
スゴさは簡単に身についたのか、それとも幾多の苦難を乗り越えた
のか……というふうに書くべき「項目」が「目次」として固まって
きます。

「目次」が固まれば、後は、そのことについて詳細に述べるだけ……
じゃあ、これで学びは終了?いえいえ、これからが「本番」です。

「項目」とその内容の「詳細」が固まったとしても、それをただ説明
するだけでは、聞き手をワクワクさせる「ストーリー」にはなりません。
ただ時系列的に「項目」を並べ、集めた事実を「説明」するのではなく、
「プロット」を編んでエピソードを語ってこそ「ストーリー」です。

次週は、なぜそこまで自分が My Hero にホレるのか、どんなところ
をスゴいと思っているのか語る「ストーリー」を構築してゆきます。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

五感を使って発見する


[1・2年生]


テーマ「我感じる、ゆえに我あり」も後半戦に入りました。

「五感を研ぎ澄ますことで、身の回りから情報を見つける」
ことを目指して、まずは五感の一つ一つを意識して使う経験を積み重ねていった前半。
今週はその最終節。

普段の環境と、いつもとは少し違う環境で五感を使ってみる経験を。
ということで、東京ドームシティに出かけてきました。


五感を使って発見する_01 五感を使って発見する_02


まず、シティ内にある東京ドームシティホール内を見学させていただきました!
このホールは臨場感ある音を楽しめるよう、内壁に音の反響を吸収する吸音板が使われているそうです。
子どもたちは壁の近くで手を叩いたり声を出したりして、その音が吸収吸収されることを実感しました。
その他にも客席の作り方や館内のデザイン・設計、荷物の搬入など、あらゆるところでの過ごしやすさや使いやすさを追求した工夫を見せていただきました。


五感を使って発見する_03そして、シティ内で「聴く力」を使って、どんな音があるのか音ハンティング(サウンドスケープ)をしました!
サウンドスケープをした場所は3カ所。


①遊具がある噴水前
②東京ドーム近く
③ホテル内


噴水前では、噴水の音や遊具の音、子どもの声などいろいろな音があったよう。
東京ドーム近くでは声が反響することを発見していました。
東京ドームシティとの音の響きの違いを感じていたようでした。
それに比べて、ホテル内では近くに流れていた小さな噴水の音以外に聴こえる音が少なかったようで、水の音ばかり記録しており、場所によって聴こえる音の違いを感じることができました。


五感を使って発見する_04それ以外にもシティ内にあるアトラクションも行ってみました。
3Dのアトラクションに乗ることで視覚の不思議さを感じたり、
観覧車内から高い景色を俯瞰することで、
「スカイツリーだ!」
「人がこんなにも小さく見える!」
などの発見をしたり。
フラッシュラッシュという動体視力を活かすゲームなど、楽しみながら五感を使う経験をしました。


そして、スクール内では、「味わう力」と「嗅ぐ力」を研ぎ澄ましていきました。


「嗅ぐ力」として、野菜や果物のにおいだけで何か分かるかどうか、挑戦しました。
果物といった香りが強いものだと分かるけれど、野菜となるとなかなか当てることが難しいようでした。
だいこんを「すっぱい」と表現したりしていました。


また、「味わう力」として、
濃さの違う砂糖水を飲み比べて、濃さの違いに気付くかどうかに挑戦したり、
じゃがいもを数種類用意し、同じ野菜でも味に違いがあるのか食べ比べてみました。
最初は、砂糖水の飲み比べにおいては水だけなのに砂糖が入っているように感じたり、
じゃがいもをかぼちゃと思ったりしていたようでしたが、
何回か食べることで、最終的には食べただけでじゃがいもの種類が分かるようになっていました。


4週かけて、五感の一つずつに集中してみた子どもたち。
五感すべてをみんなは使っているけれど、
もし一つの感覚を遮ったとしたらどうなるのか。
5週目からは、ある感覚を遮断して、どれだけのことができるのか、
またそれはどんな工夫でできるのかを追究します。


EN


TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

尺八に挑戦!

音楽の時間です。

都内の大学院にて音楽を学んでいる谷村大樹さんが、子どもたちに尺八を教えに来てくださいました。

「春の海」という曲の演奏を聴き、尺八の名前の起源や音の出る仕組みを習いました。

子どもたちも演奏に挑戦してみます。

SN3N0005.jpg
同じ笛でもリコーダーとはまた一味違う!

初めはなかなか音が出ませんでしたが、コツを覚え、少しずつ音が出るようになりました!

先日は、達人クラスでも雅楽家の東儀秀樹をお迎えしましたが、さまざまな日本の伝統的な楽器に触れ、演奏することで、日本の良さを知るきっかけになって欲しいと思います。

さて、谷村さんは来週も来てくださいます。
預けて帰ってくださった尺八を練習し、子どもたちはどこまで上達?しているでしょうか。
とっても楽しみです!



NPO Tokyo Community School 
特定非営利活動法人 東京コミュニティスクール 


〒164-0001 東京都中野区中野1-62-10 
TEL: 03-5989-1869  FAX: 03-5989-1649 
e-mail: school@tokyocs.org