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自分にとってのヒーロー

[3・4年生]

3年生、4年生合わせて6人の子どもたちと今回のテーマに臨みます。
これまで一度も彼らのテーマを担当したことはありません。初顔合わせ
です。とても新鮮な気持ちで子どもたちの前に立ちました。

「ヒーローってどんな人?」

初日の学びの冒頭で、この問いを発しました。いったいどんな答えが
返ってくるのか、興味津々でした。

即座に、一人の子が発言しました。

「ヒーローはね、もともと悪だったんだけどだんだんよくなった人だよ」

いきなり本質に迫る発言。ヌシらなかなかやるな……思わずほくそ笑んで
しまいました。

この発言に触発されて、一部の子だけにかたよることなくさまざまな意見
が出てきました。

「やっぱり正義の味方でしょう」
「病気は悪だから、悪と戦うお医者さんもヒーローだと思う」
「お医者さんだけでなく、病気と闘っている患者さん自身もヒーローじゃ
ないかな」

あっという間に、子どもたちの発言で黒板がいっぱいになってきました。
とても豊かなマインドマップが出来上がりつつあり、子どもたちが「ヒー
ロー」という言葉から連想するイメージが明らかになってきました。

「でもさあ……悪役がいるからヒーローが生まれるんだよね」

そんなことまで言うか……マップが広がるだけでなく、深まってきました。

「ヒーロー戦隊みたいなやつだと特殊な能力を持ってるけど、別にスゴイ
能力とかないのに立ち向かうのがヒーローだと思う」

そうだよね。うん、うん、ぼくの好きなヒーロー像もそこにあるなあと
思わず、子どもの意見に深く共感してしまいました。

こうして「ヒーロー像」がかなり明確になったところで、今回のテーマの
ミッションを明らかにしました。

“自分にとってのヒーローを選び、その魅力・素晴らしいところを明らか
にする。そして、自分の夢・希望・考えていることとのつながりを発見し、
わかったことを熱く語る”

特に大事なのは、テーマ発表時に「熱く語る」ことだと強調しました。
聞き手を自分の思いに巻き込んでしまうプレゼンテーション。その基本は、
スキル以前にまず、自分が語ろうとしているストーリーにとことんのめり
こんでいて、それを人に伝えたくて、伝えたくて、うずうずしているところ
にあります。

先に述べたマインドマップの広がりと深まりから分かるように、もともと
素晴らしい「探究心の素地」を持っている子どもたちが、これまでいま一つ
はじけ切れていませんでした。今回のテーマで探究する領域は「意思表現」。
思いを持ち、思いを伝える……そのための素材が「My Hero」です。これこそ
オイラのヒーローだ。このことについて語らせたらオイラの右に出る者は
いない。もう止めてというぐらい語って、語って、語り尽くすゼ!という
ふうに子どもたちになってもらいたい!それが今回のテーマ学習で目指す
ことです。

「よし、じゃあまずはマイヒーローを決めよう!」

まず、語り尽くしたい!と心底思える My Hero を見いださなければ追究は
始まりません。ほとんどの子が、心の中に既にマイヒーローがいたようで、
即座に名前を挙げましたが、一部の子はまだはっきりしませんでした。
まだ決まらない子には、明日までにじっくり考えてくればいいよと伝え、
もう決まっているという子には、早速、発表してもらいました。

すると……

スポーツ選手が2人、映画俳優が1人、そして誰も知らない人のいない
テレビ番組のヒーローキャラクターを挙げた子が1人。みなバラバラで
個性的な「ヒーロー」が出てきました。

1日たって……

「さあ、今日はみんなヒーローが決まったのかな?」

と軽く問いかけてみると、昨日は決めかねていた子もこっくりうなづきます。
みんなでそれぞれのヒーローを称え合い、セレブレートするために、私も
テンション highest で、それぞれのヒーローを発表してゆきます。

「Ladies and Gentlemen! Mr. ○○'s hero is △△!」

みんな思いっきり拍手をし、口笛を鳴らす者もいて、イエーと叫ぶ者も
います。

ちょっと盛り上がり過ぎてしまったのか、隣の教室の子どもが心配して
“何が起こったの?”とのぞきにきてしまいました(スミマセン……騒ぎ過ぎ
ました!)。

調べたいヒーローが決まり、いよいよ次週は、ヒーローの魅力、そして
素晴らしさについて徹底分析してゆきます。

RI

TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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