東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2014年09月 アーカイブ

2014年09月01日

「Be Water」〜概要〜

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

蛇口をひねれば流れ出て、極めて安価で安全な「水道水」がいつでも、どこでも飲めるような国は、日本しかないと言っても過言ではありません。アメリカやフランスといった先進国でも水道水の安全は脅かされ、水道事業は民営化され、サービスを受けられない貧困層を圧迫している現実があります。中国のように急成長を続けている人口の多い国、そして発展途上国、どの国においても、日本のように容易に水が手に入る状況ではありません。生命の源で一日たりとも欠かせない水に困っている人たちが世界中に多くいるのです。ではこの学びは水に困っている世界の人々に手をさしのべようという学びなのかというとそうではありません。むしろ、水に恵まれた国。水と近しい国、日本に生まれた私たちが「水」という存在を通じて自分たちの生き方を見つめなおすという探究です。もちろん、私たちが当たり前のように享受している水は、これからも簡単に手に入る状態を保持できるかどうかわかりません。決して無駄遣いすることなく、賢く使い、これまで通り質の高い水を生み出し続ける環境をつくりだす努力をしなければなりません。私たちは水からどんな恩恵を受け、どんな使い方をしているか、現状をしっかり把握し、どう使っていったらよいか考えます。そのうえで、津波、台風、暴風雨、土砂崩れ、川の氾濫というように水害に見舞われつつも、湿潤ゆえに豊かな緑に囲また日本の風土が私たちの生き方にどんな影響を与えてきたのか。その伝統から私たちは何を引き継ぎ、どう自分のこれからに反映してゆくか。ことわざや文学などを通じて学びます。

上善水の如し。水のように生きることがよりよい生き方につながり、それが生命の源である水とのつきあい方を変えるはず。単に貴重な水資源を大切にしようという学びでは到達しない境地を目指します。

RI

TCS2014年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。

2014年09月04日

全てのお客様に対する責任とは?

[5・6年生]

今回の5・6年生のテーマ学習は「お客様の笑顔を獲得せよ」。
このテーマでは子どもたちが社会の一員として実際に事業を行うことにチャレンジしていきます。

ということでまずはセントラルアイディアとなっている「全ての顧客に対して責任がある」とはどういうことなんだろう?ということについて子どもたちの考えを聞いてみました。
すると今まで商売をしたことがない子どもたちからは、顧客目線での意見がたくさん出てきました。

「どんな店でもそうだと思うけど値段が高すぎるとダメ。高すぎると思ったら買わないでしょ。」
「飲食店だと食中毒は気を付けないとね!」
と安全面という大切なキーワードが出てきます。
「あとね、無愛想な店員さんがいるお店はダメだね。」
「でも逆にさ、おせっかいな店員もやだよ。おれが家族で行った焼肉屋はね、店員が超なれなれしくてさ、おれ野菜あまり食べないのに”野菜食べなきゃ大きくならないよ〜”とか言って勝手にごはんにのっけて来たんだよ!!しかもさ、”君、彼女はいるの?”とか聞いてくるの!!いるわけないっしょ!」
「あと、”courtesy=礼”は大事な責任だよね。おもてなしの心。」
「”amenity=快適さ”も大事だよ!清潔なお店じゃないと。」
「サービスも大事だよね。注文を忘れたり、すごく遅く持ってこられるとまた行きたいと思わないでしょ?」
「この前、おれが大好きなラーメン屋に行った時、おいしいお店だって宣伝してることを伝えたらね、なんとギョーザをお礼にサービスしてくれたんだよ!そういう気前の良さっていいサービスだよね。また行きたくなるもん。」
などなど安全面やサービス、おもてなしの心、快適さなどこれから自分たちが事業を行っていく上で活きてくる様々なコンセプトが出てきました。

過去の卒業生たちはこのテーマ学習で駄菓子屋運営を通して学びを行なってきましたが、今回はどんな事業を行うかというところから子どもたちが考えることになっています。
そこで子どもたちにどんなコンセプトのお店にしたいか尋ねてみると、待ってましたと言わんばかりに答えが返ってきました。

「楽しくて気軽に来れる店にしたい!」
「”楽しい”って色んな”楽しさ”があると思うけどどんなイメージなの?」
「えっとね、お客さんが面白がってくれて、遊べるようなイメージかな!」
「なるほど。じゃそれってどんなお店なのかな?」
「うーーーん。できればおれの特製オムレツを作りたいんだよなー。絶対行列ができると思うよ!」
「でも調理したものを出すとなると保健所に色々確認しないといけないよ。かなりハードルは高いんじゃないかな?」と私が言いました。
「じゃ、保健所に質問しに行こうよ!」
ということで地図を片手に中野区保健所へ足を運ぶことになりました。

保健所にて色々と質問させて頂いて分かったことは、5日間以内の出店ならば調理も含めてかなり可能性があるのですが、5日間を超えると食品衛生責任者の資格を有する人が必要だったり、申請費用もかさむことが分かりました。
結果としてこのテーマでは調理を行なうことは難しいようです。

この情報を元に子どもたちはしばらく頭をグルグルさせて思いを巡らせていましたが、ある子が顔を上げてつぶやきました。

「あ!おれひらめいた!!駄菓子カフェがいいな!」
「駄菓子カフェ??」
「そう。いろんな駄菓子のセットメニューがあってドリンクもあって、それをその場でくつろいで食べれるお店。駄菓子プレートみたいな感じでさ。しかもMちゃんとルービックキューブ対決して買ったらオマケがあるとか、面白いボードゲームで遊べたり、一日一回Tくんの紙切りショーが楽しめる、みたいなイメージなんだけど!どう!?いいでしょ!?」
「それいいねーー!私も賛成!」

ということでどうやら彼らの事業は駄菓子屋カフェの方向が濃くなってきました。
さて乞うご期待です!



YI

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2014年09月05日

心に響くって何?

タイトル:心に響け
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「感情の表出と価値観の共有のために人は踊る。」

[1・2年生]

最初に、
「心に響くってどういうこと?」という問いから始めてみました。 さっそく子どもたちからは、
「驚いたり、驚かされたりしてドキドキ」
「こわいことを見たときにドキドキ」
「優しい言葉を言われて一生覚えている」というように、
さまざまな視点の「心に響く」が子どもたちの中にあり、それを共有しました。
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心が動かされた時の話が多かったので、みんなにとっての心って何?響くって何?と別々に聞いてみると、また‘心に響く’とは違った視点での言葉が出てきました。


「人の身体の中にあるもの」
「脳みそと心はつながっている」

「声は響く」
「鉄は響く」

そこから硬貨や楽器などが響くという発想につながり、スクールにあるトライアングルを響かせてみました。
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一人一人トライアングルを鳴らしてみると、音の響きを感じることができ、響く音と響かない音の違いにも気付きました。
一人の男の子は「1・2・3・4・・・」と響きを数え始め、「14秒響いたよ。」と響きの持続性にも気付きました。

また「声は響く」ってどういうこと?と聞いてみると
「部屋響くよ。」
「地下で響く。」
「TCSの玄関で響くよ。」
と返ってきました。そこで玄関に行き、

「あー」
「こんにちはー」

「響いているね。」と響きを実感しながら、満足した子どもたち。
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日々の中でも響きというのを感じていたのがわかりました。

今回のテーマタイトルは「心に響け」。

響くということはなんとなくわかったものの、心に響くとはいったいどういうことか、
今の段階では、まだモヤモヤがいっぱいです。

「「響け」ってなんか悪い感じがする。」
誰かに命令する感じに伝わっているようです。

私たちがこの6週間で目指していくことは何かというセントラルアイディアを提示すると

「漢字いっぱいだな」
「‘感’は感じるの感だからうーん」さらにモヤモヤが増えていきます。

でも ‘おどる’ということばを見つけると、それぞれが、おどりについて思うことを発言します。
の学びのアンテナを研ぎすまし、自分とつながりがあるものを即座にチャッチしている様子です。

「RPG まだ踊れるよ」
「あー、もう忘れちゃった」
RPGとは、今年の運動会のときに全員で踊ったダンスのことです。
発言ではなく、踊り出したり、曲を口ずさんだりする子もいます。
音楽を流すと、全員、体が動き出します。

終わった後は「疲れた」「でも楽しい」「もっと踊りたい」「やっぱ、踊るのなんて嫌いだよ」と思い思いの感想が出てきます。

今週は、「心に響け」「踊り」というキーワードについて、子どもたちのprior knowledgeを掘り出していきました。それぞれの思いを共有したものの、分からないことも多く、また、上記の2つの言葉が、今はまだつながっていません。


そんなこどもたちの今の思いが今後変わっていくのか、またどんな意味をもってくるのか、楽しみです。



MI

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水は生命の源

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

水のテーマ学習と言えば、著書『探究する力』でも取り上げているように定番のひとつです。一般の学校でも「水」に関する総合学習はよく行われます。その場合、「水」は貴重な資源なので大切に使おうという話だったり、上下水の仕組みがどうなっているか知る学びだったりします。途上国だけでなく先進国でも水不足が進んでおり、これから石油ではなく水を巡る「争い」が起こるという展開もあるでしょう。限られた水を有効に使うために、ハイテク技術をどう活かすかということを追究することもできます。

ただ、今回は「環境問題」としての「水」、「エネルギー問題」としての「水」、「安全保障問題」としての「水」という側面だけでなく、日本人である自分たちにとって「水」が生き方にどう影響しているかを考えます。なのでセントラルアイデアは「上善水の如し」です。えっ?何それ?と目を丸くすることなかれ。水に恵まれ、水の素晴らしさとパワー(自然災害を引き起こす荒々しさを含めて)を熟知しているわたしたちだからこそ水「を」学ぶのではなく、水「から」学ぶことがあるのではという探究に挑戦です。

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テーマ学習『食わせ者』でフードロスについて追究した子ども達は、食べ物をムダにすることは水をムダにすることになるとよく認識していました。他の国から輸入した野菜や肉などを廃棄すれば、それらの食品を育てるために用いた水をムダにするからです。「仮想水」と呼ばれている問題です。

「水は命の源なんだよね」

ちょっとかっこつけ過ぎな発言であることは否めませんが、水がないと生きていけない。だから大事。という「意識」はあるのです。ただ、大人も含めて、現代人に欠けているのは、大事・貴重だとわかっているし、「節電」のみならず「節水」機能のついた製品を用いて使用量を減らす努力をしているものの、水を獲得するのはと〜っても大変なんだ!という危機感はないということです(東日本大震災から時間がたつにつれ、電力に頼らない生活への意識がどんどん消失していることと根は共通していますね)。

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「やっぱさあ、水のリサイクルが大事だよね」

例によって「水」についての prior knowledge を探ろうとしたら、いきなり自分の家で水をきれいにできるか?ということについて子どもたちの意識が向いていることが明らかになりました。

水を浄化する手段があり、それを用いれば汚れた水を飲み水になる。「ろ過」すればいい。「沸騰」するといい。本で読んだり、テレビで見たり、どこかで聞いた知識を明らかにしてくれる子がいます。

「重いものは時間がたてば沈むからきれいになるよ」

細かい網みたいなものに水を通せばそこにひっかかってさらにキレイになる。透明でキレイな水になったら沸騰させる。するとバイキンが死ぬ。

一部の子どもが発した意見に触発されて、いろいろな考えが出てきます。

「納豆のネバネバが水をキレイにするんだよ」

テレビで見たという。最近の娯楽情報番組は、物事のプロセスを明らかにしたり、面白い発見を伝えたりするものが多い。それでもうわかった!となってしまえば問題だが、探究のきっかけにするならとても役立つ。

早速、誰かが i-pad を使って調べてみると、納豆のネバネバ成分を抽出した薬剤が浄水に役立つということがわかった。阪神淡路大震災を経験し、水不足に直面した会社経営者が、泥水や汚水を飲料水にする方法を考えた。そこでたどりついたのが、納豆のネバネバ成分によって汚れを凝集し、沈殿させるというやり方だった。

「でもさあ、それでも消えない化学汚染物質もあるんじゃないの?」

3・11以後、原発事故による放射能の影響をどこかで耳にしている子どもたちは、こういう点に敏感になっているのかもしれない。

蛇口から出てくる水道水やペットボトルの水は平気で飲める。お腹も痛くならない。しかし、川の水は、透明でキレイそうに見えてもちょっと飲むのはどうかと躊躇する。目に見えず、すぐには肉体的不調を起こさない「毒物(汚染物質)」もあるので、水道水やペットボトルの水が安心とは言い切れない。とはいえ、毎日、キレイな水を入手するのに苦労はしていません。この生活が当たり前になっている私たちのあり方についてふりかえる必要はありそうです。

「上善水の如し」について考える前に、まず「水があるから上善の生活ができる」ということについて考えてゆきます。

RI

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2014年09月12日

盆踊りを踊る。

タイトル:心に響け
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「感情の表出と価値観の共有のために人は踊る。」

[1・2年生]

今週の始めは日本の踊りの歴史を知るために「日本人はいつから踊っていたんだろう」と問うと

「紀元前?」
「130万年前」
など出てきました。

実際に子どもたちが大昔から人間は踊っていたと思っていたように、人間が生まれてから言葉よりも先に踊っていただろうと言われています。そして、日本の踊りの歴史では「念仏踊り」が始めだと言われています。そこから各地で発展していき、盆踊りとして今でも踊られています。
そこで日本人にとって親しみ深い盆踊りを踊ってみました。

「盆踊りを踊ったことある?」を聞いてみると2・3名のみが踊ったことあり、他は見たことはある・全くどんなものかも分からないというように子どもたちの中ではあまり親しみはないようでした。

今回は城山まつりで踊られる4つの盆踊りに焦点をあてて練習をしていきました。
1つ目は盆踊りと言えば代表的な福岡県の「炭坑節」。
2つ目は東京といえば「東京音頭」。
3つ目は東京音頭と並び人気のある「さくら音頭」。
4つ目は中野ではよく踊られている群馬県の「八木節」。

城山まつりは城山公園で開催され、この地域が一体となったお祭りです。この中野一丁目は昔は城山と呼ばれており、その名残で今でもこの地域には城山の名前が残っています。城山公園も子どもたちにとってスクールから一番近い公園ということもあり、よく利用をしています。

盆踊りは短いパターンを曲の中で繰り返していきます。したがって何度も踊っていくと全員大体はマスターすることができました。
子どもたちには一番テンポが速くのりやすいさくら音頭が人気でした。

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「さくら音頭にはどんな意味があるのだろう?」と踊りの意味を考えてみようと聞いてみると、

「桜が木の枝に咲いて、上から下まで咲いて、ひらひらひらと花びらが落ちて、下に落ちた」というストーリーを一人の女の子が話してくれました。
私はそれを聞いて子どもたちは踊りながら物語を描いているのだと思いました。

踊ったあとは「楽しい」「まだまだ踊れるよ」という意見もあれば「まだ踊るの?」「疲れたよ」という意見に分かれました。


3日目には中野駅前盆踊り大会を主催・運営もされている鳳蝶 美成(アゲハ ビジョウ)さんにお会いできる機会ができましたので踊りを学んできました。

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美しく迫力のある達人の踊りを見た子どもたちは、とても夢中な表情をしていました。ただ踊るのではなく、踊りの達人から踊りのコツを学びやっていくと、子どもたちは手を滑らかに動かし、達人をよく見て観察し達人の技を盗んでいるようでした。



テーマ外出の番外編ということで、一部の子どもたちと9月12日に城山公園で行われる城山まつりに参加をしました。
1週間前からやぐらができており、子どもたちと通るたびに「できあがってるね」などと話していて、楽しみにしていました。

当日は祭りということもあり、子どもたちは自然とテンションが高く普段とまた違った様子です
そして城山の踊りの先生のご好意もあり子どもたちはやぐらの上で踊らせて頂きました。
「始めはずっと踊るの?」などと言っている子どもたちでしたが、みんな30分以上踊り、中には1時間全て踊る子もいました。
やぐらの上はとても不思議な空間で、みんなが夢中で踊り、一体感ができていました。

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この一体感をつくるのは踊りの魅力のひとつなのでしょうか?
来週も踊りについて迫っていきたいと思います



MI

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私たちはどれだけの水を使っている?

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

New Space のプロジェクターは、性能がよいのでまるで映画館で映像を見るかのようです。『ブルーゴールド』は、ブラックゴールドと呼ばれた「石油」に代わり、これからは「水」が「資源」として大いなる価値を持ち、その争奪を巡って国際紛争が起こるかもしれないということを暗示するタイトルです。この映画では、水に恵まれない地域で、貧しい人々が一滴の水を得るのにも苦労していることが淡々と描かれます。私たち日本人が見ると、自分たちの日常とはあまりにもかけ離れた厳しい現実を否応なくつきつけられます。私たちは、疑いもなく、蛇口をひねれば、良質の水道水が手に入ると思い込んでいます。しかし、かなり汚い水でも「一滴」ずつカウントされてなけなしのお金を払わないと手に入らないという地域があるのです。

決して簡単な内容の映画ではありませんが、良質のドキュメンタリーが描き出す映像は、子ども達の心を直撃する本質的迫力を持っています。そのうえ、学校のプロジェクト学習を通じて、世界の水問題に立ち向かってゆく小学生が登場し、自分たちだったら何ができるか?という心が自ずとわいてきてしまいます。

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砂漠の広がる地域や、アフリカなどの途上国だけでなく、アメリカやフランスのような先進国でも、水道の運営が「公営」ではなく「民営」化されて、安価に高品質の水を手に入れることが難しく、文字通り「水商売」で財をなそうとする企業に、生命の源を握られているという事実はショッキング。

「こんなに簡単に水が手に入る国ないんだねえ……」

というしみじみとしたコメントが思わず出てしまうほどです。日本という国が「水」に関しては「超」がつくほど恵まれているのだ!ということを痛感することになりました。

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では、恵まれた私たちは、どれぐらいの水を用いているのか。まずは自分の足元から見つめなおします。水道局の資料には、一日当たり、平均的な家族がどれぐらいの量の水を用いているかについてのデータが書かれています。それを見れば一発でわかることですが、目的は「知識」を得ることではありません。「水」に恵まれた国に生まれ、「水」を当たり前のように使う私たちの「現状」をしっかり「認識」することこそセントラルアイデアに「肉薄」する第一歩です。「水」が「上善」である素晴らしい存在であるからこそ、さまざまな場面で私たちは「水」を用います。いかに「水」が私たちの豊かな生活で素晴らしい役割を果たしているのか……それは自分たちの毎日の生活を見れば浮かび上がってきます。

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飲める水をトイレの水を流すのに使える……この事実ひとつとっても、『ブルーゴールド』で描かれた厳しい状況とは雲泥の差です。

「そんなきれいな水を流す必要があるのかな?」
「もともとはぼっとんトイレでしょ」
「でも、きれいな水だからトイレもにおわないんじゃない」

トイレの掃除は汚いから嫌……なんて全然言えないくらい、今のトイレは、というか日本のトイレは、本当にキレイです。(海外旅行して帰ってきたとき、成田のトイレの際立つ美しさに、ここで寝ろと言われても平気だよなといつも思っているおっちゃんです)

トイレだけで私たちはどれだけの「キレイな水」を使っているのか、調べてみようということになりました。

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水洗トイレの構造を分析し、どんなふうに流れ出るのか観察し、どうすればトイレの水の流れる量を調べられるかみんなで考えます。こんなときにすぐ i-pad を用いて写真にとって、apple TVで映して、それをもとに議論するなんて、まあ、これぞ素晴らしい IT 機器の使い方ですなあ。デジタルをアナログな学びの中で使いこなします。

流れ出てゆく水の分だけ入ってくるんだから、入ってくる水を受け止めればいい。何で受け止めたらいい……ペットボトルだと形が大きすぎて入らない……便器に流れ出る水をとらえようというアイデアは出てこないな……みんな必死になってどう測るかアイデアを出しています。

どうしたらある目的を達成できるか、そのためにどんな工夫ができるか、いろいろアイデアを出し合って考える。この頭の使い方をする「チャンス」を得ることが「探究する学び」です。

やはり、貯水タンクの体積を測るやり方が一番よさそう……しかし、まだ測り方は固まりません。どうする???それは各自のホームワークです。

今週末は、家庭で、いつ、どんな目的で水を使っているか、いったいどれぐらいの量、使っているか、自分なりのやり方で調べてくるミッションを与えました。どこまでしつこく追跡できるか、観察できるか、どんな工夫をして調べ、測定してくるか、探究 Field Work に挑戦です。

RI

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開業準備

[5・6年生]

今週は駄菓子カフェでどのような商品を扱いたいのか話し合っていく所からスタートしていきました。
商品開発会議です。
競合店の視察もかねて近所にあるコンビニを偵察。すると意外なことに数種類の駄菓子が置いてあることに気付きました。

「あ!駄菓子売ってるよ。結構あるじゃん。むむむ。これは競合だね。」
「うまい棒もある!ビッグカツもあるじゃん。」
「でも考えようによっては、駄菓子好きの人がこの近所には多いかもしれないぞ!」

さて、コンビニにも駄菓子が売られていることが分かったところでオリジナル商品の開発にむけていくつかの商品を選んでみました。

「アイスとジュースを混ぜたらどんな味になるかな?」
「ピノと合いそうなジュースはないかな?それぞれこれが合う!って思うのを選んでみよう。」
「アイスの実もジュースと合わせるとおいしいんじゃないかな?」
「よし!試してみよう。」
スクールに戻ってピノとアイスの実(グレープ味とオレンジ味)とそれぞれに選んだジュース(コーラ、三ツ矢サイダー、カルピスウォーター、オレンジジュース、ドクターペッパー)を様々に組み合わせて試食(飲)してみました。

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すると意外なことにどれも結構イケることが判明!

「あー!ピノとサイダーかなりうまい!!」
「これイケるなーー。ピノのチョコが溶けて中のアイスが混ざってフロートみたいでおいしい。」
「アイスの実とカルピスウォーターもかなりうまいぞ!」
「ドクターペッパーはちょっとなー。。。」
「オレンジジュースとピノもちょっと微妙かな。」

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頭で考えているだけでは分からない。行動して初めて分かることがたくさんありますね。

「よし。この飲み物はお店で置くことにしよう!」

翌日はお菓子問屋の下見に出発。
どんな商品を置いたらお客さんが喜んでくれるかまずは下見をしてイメージを膨らませなくてはなりません。
問屋さんでは小売りはしていないのである程度まとまった数量で購入する必要があります。

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「うまい棒は絶対置きたいんだけど30本単位で売ってるんだね。これだとたくさんの種類は買えないなぁ。」
「私は”まけんグミ”は人気があると思うんだけど100個ずつ買わなきゃいけないんだね。」

以前もテーマ学習で問屋街を見てまわったことがありますが、実際に小売りするために問屋を訪れたのは今回が初めてです。

「でも問屋さんて本当に安いんだねー。1.5ℓのサイダーが132円だって!」
「すっぱいレモンガムはおすすめだよ!3つの内1つ超すっぱいガムが入ってるから面白いでしょ!”楽しくて気軽に来れる店”っていう店のコンセプトにも合うよ!」
「うまい棒は色々あるけどまず初日はなかなか手に入らない”牛タン味”にしてみようよ!でもおいしいかどうかその前に試食しないとね!」
「グルグルゼリーも冷やして食べたらうまいんだよなー。これは大人も子どもも好きだと思うんだよな。」

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色々な駄菓子の種類や金額を記録してスクールに戻り、最初の仕入れ計画をたてて、いざ来週の開業に向けてどんな仕事があるのか一つ一つ確認していきます。
開業までやることが山積みですが大変さ以上に自分たちのお店を開くことにワクワクしている子どもたち。
開業準備は6年生の2人で進めなくてはならないので大忙しですが、どんどん役割を決めていきます。

「看板作りやメニュー作りは私がやるね!」
「じゃあおれは遊びコーナーの準備するよ。くじ引きも用意しよう。」
「あとは買い出し行くのと、テーブルとか椅子をどうするかも決めないと。」

さあ来週中に開店できるように張り切って準備を進めよう◎



YI

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2014年09月19日

踊りには意味がある。

タイトル:心に響け
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「感情の表出と価値観の共有のために人は踊る。」

[1・2年生]

このテーマも後半に入り、子どもたちの中にはプレゼンテーションデイは何をするの?踊るの?と気になっている子も出てきていました。そこで今週は、今回のプロジェクトを発表することから始めました。

私たちのプロジェクトは「TCS音頭」を創ることです。
そして、10月中旬に行うTCSフェスティバルでも披露しようということを伝えました。

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それを聞くと「えー」と驚く子もいれば、頭に「?」が浮かび、まだ何をするのかがわからない様子の子もいます。TCS音頭をいかに創っていくかが今回のミッションであり、探究の要となるわけです。

さらには、「TCSらしさ」と「礼」を踊りに表した、TCS音頭を創ろうと提示しました。
今年度は、「コイ(CARP)する学校TCS」と銘打って、Courtesy、Amenity、Resilience、Problem ownershipの4つの視点を子どもたちに意識させていきたいと考え、伝えてきています。ただ、半年が過ぎた段階で、どうもCourtesyの部分がまだまだ弱いようにも感じています。今回のテーマをとってみても、踊りの達人である先生方にお世話になったり、町内の盆踊りに参加させてもらったりと、私たちの学びは日々たくさんの人々から支えられ成り立っています。TCSらしさと礼は、表裏一体といえるでしょう。あえて最初に提示することで、これまでの学びや生活を振り返り、俯瞰する視点を持たせたいと考えました。

提示されたことを受けて、子どもたちから出てきた意見は、次のようなものでした。
「さくら音頭を入れたい。」
「ちょちょんがちょん入れたい。」
「自分の好きな動きを入れたい。」

子どもたちはまだ踊りを表面上で見ていることがわかってきます。
「TCSのここを表現したい」など意味に関する案は出てきません。
「私たちはまだ4つしか知らないから出てこないのかな。」と一人の子が言ったので、まずは、その意見に乗ることにしました。踊りの意味がよくわかるハワイのフラを取り上げてみることに。
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ハワイのフラは文字がない時代に神話や伝説を伝えるために踊られていたといいます。
よって、フラの手の動きや足の動きにはひとつひとつ意味があります。特にハンドモーションは分かりやすく、波や雨など表現にも触れていくことができました。

再び盆踊りに戻り、盆踊りの意味について話し合いました。

すると、「神様に祈るため」という発言があがりました。 それをきっかけにして、「先週盆踊りのテレビ見たよ。死んだ人の写真を背中につけて踊るの。」とアンテナが反応したように発言する子が続きます。生活の中で「踊り」を意識していることが窺えます。そのテレビ番組を見た子も見ていない子も、これまでの学びで盆踊りについてわかったことを話し合っていきました。

盆踊りは、ご先祖様を成仏させるためや帰ってきたご先祖様に楽しんでもらうための踊りだということを共有でき、子どもたちが「踊りには意味がある。」「踊りの動きにも意味がある。」と納得できた瞬間でもありました。

来週も引き続き、「踊る意味、何のために私たちは踊るのか」について追究しながら、自分たちの生活とつなげていきたいと考えています。


MI・AN

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きれいな水があふれてる?

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

週末のホームワークで、家庭で使っている水についての調査を行いました。いつ、どんな目的で、どれぐらいの量の水を用いているのか実感するためのリサーチです。

朝起きると、顔を洗って、歯を磨いて、歯を磨くときの歯ブラシをゆすいで、使ったコップも洗います。そのとき台所では、お母さんがやかんに水を入れてお湯をわかしていて、スープを作っています。食べ終わったら早速、食器を洗い、洗濯機のスイッチもオン。ただし水は昨日のお風呂の残り湯を使っています。あっ、お父さんがトイレに、妹が続いて、ぼくも続きます。3人とも大きい方だったみたいで、それを流すために水を使います。お父さんはひげをそるために、お母さんは髪を洗うために水を使います。さあ、朝だけでも結構水を使いました。でも、すべて蛇口をひねっれば、きれいな水が「ほしいだけ」流れ出てきます。

「幸せだよね〜」

映画『ブルーゴールド』で描かれた現実を知っている子ども達にとって、日本の水事情は「天国」のように思えます。

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トイレに流す水も、飲み水として問題ない。トイレも含め、家庭排水や泥水などの下水を高度処理した「再生水」も、何かあったらまずいので飲ませてはくれませんが、実際は飲んでお腹をこわすなんてことはありません。

きれいな水にあふれている日本?水には不自由しない日本?

ということで、スクールを出て「家庭外」の水を採取に出かけました。やっぱり川がいい。川と言えば、妙正寺川がすぐ近くに流れています。家が密集する都会の川と言えば、きっと汚い水に違いない……ということでロープを結んだバケツを持って出発です。都会の川は、治水工事の結果、コンクリートでばっちり護岸されている上に、ちょっと雨量が増すと一気に増水するので、深く掘りこまれています。だから下の写真のように、バケツをロープで下して水をとらなければなりません。

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無事、水の採取に成功。スクールに戻って汚れ具合を調査です。泥の塊のようなものが数片まじっているものの、無色透明。いやなニオイも一切しません。

「もっと汚いと思っていたけど、意外にきれいだね」

まったくその通り。しかし、見た目だけでは判断できないので、判定キットの薬品を用いて調べてみます。すると……

COD は「2」ぐらい。澄みきったキレイさではないものの、まあまあキレイ。清流でないと棲めないような生物を除けば、問題なく生息できるレベル。都会のど真ん中ということを考えれば十分合格です。

これには私もびっくり。水を採取した場所は、新井薬師のすぐそば。中野平和の森公園にある水再生センターで浄化された水が流されている地点からそんなに遠くない上に、下水道の整備も進み、汚れた水が垂れ流されている状態ではありません。都会の川もキレイになったのですね。(おっちゃんが子ども時代が公害がいちばんひどい時代だったのかも……としみじみ思いました……)

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都会の水はキレイになっているし、浄化技術も進んでいるし、日本については水問題なんてないんじゃないの?というムードになってくると、探究慣れしてきている彼らは、いや、そんなに簡単に済むはずはないという思いがもやもやとわいてくるようです。

水道の蛇口をひねればキレイな水が出てくるのに、なんでペットボトルの水がたくさん売られたり、ウオーターサーバーを使ったりするんだろう?
最近、ゲリラ豪雨が多くて、すぐ水があふれて、道路が冠水したりするけど、水が地面に吸い込まれないで全部、川に吸いこまれて海に流れ出ちゃうのは問題ないのか?
「水不足」になるっていうのを最近、東京では聞いたことがないけど本当に大丈夫なのか?

さまざまな「疑問」が出てきました。

早くも、前半3週間終了。ここまで世界の水事情から、身近な水の現状まで、日本人にとっての水についていろいろ知ってきました。後半3週間は、これまでのリサーチをふまえて、「上善水の如し」というセントラルアイデアに肉薄する探究に没入してゆきます。

RI

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いざ開店!

[5・6年生]

今週は木曜日の開店に向けて準備を整えていきました。
宣伝方法の検討、マーケティングリサーチ、在庫管理方法の確認、看板やメニューの作成、商品の仕入れと販売価格の決定、カフェの遊びスペースのアイディアなど決めていくことはたくさんあります。

今週は5年生の男の子がお休みだったため、6年生2人での準備となります。役割分担をしながらテキパキと仕事を進めていかなくては木曜日の開業が難しくなってしまいます。

「看板とメニューは私に任せてね。」
「よし、じゃあおれはスクールの周りのマーケティングリサーチをしてくるよ。それと遊びスペースにはいくつか面白いボードゲームを準備しよう。」
「あとテーブルと椅子は家にアウトドア用のやつがあるから持ってくるよ。」
「各家庭1000円の出資金が元手になるってことは3000円使えるわけだよね。でも3000円全部を仕入れに使っちゃうと、もしも全然準備した商品の人気がなかった時に作戦変更できなくなっちゃうから少しはお金を残しておいた方がいいよね。でもいくら残せばいいかなぁ。」
「1000円残しておこうか!?2000円分仕入れたら結構選べるくらいの商品数になるし、そうしない?」

放課後は先日下見を行なった問屋へ商品の仕入れへ向かいました。
いざまとまった数の商品を仕入れるといよいよ営業が始める実感が湧いてきます。

「そうだ!準備の一つとして木曜日から駄菓子カフェを営業しますって向こう三軒両隣には挨拶に行きたいな!おれ行ってきてもいい?」

商品の販売価格を考えることも大切な学びの一つ。
近所の競合店や自分たちが知っている商品の小売り価格を参考にしながらに原価と比較してみるとどれくらいの利益率が適正なのか見えてきました。

「高すぎるとお客さんは買わないし、それじゃあ笑顔獲得できないからな。私はあまり高くしたくないな。」
「でも7円で仕入れたものを10円で売ったらなかなか利益につながらないからなぁ。20円くらいがちょうどいいんじゃないかな?駄菓子カフェだから席もあって飲み物もあるわけだから普通の小売店とまったく同じ値段じゃなくてもいいと思うんだよな。」

スクールの駐車場スペースを間借りして自分たちのお店、駄菓子カフェ”楽園”をオープンさせてもらうということもありオーナーである理事長に開業届を提出し、どんなお店にしていくのか話を聞いてもらいました。

そしていよいよ木曜日。大忙しでの開店準備となりましたがついに営業が始まります!
営業日当日の朝、6年生から他の学年の子たちに向けて話がありました。

「今日からぼくたちのテーマ学習で駄菓子カフェをオープンします。そこでみんなに相談があるんですが、ぼくたち3人でがんばって営業をしていくんだけど店番と宣伝を3人でやっていくのは実は人数が少なくてちょっときついんです。そこでもし良かったら放課後の15時半〜16時半の間に手伝ってもいいという子がいたらぜひ手伝ってもらえませんか?よろしくお願いします。」

すると多くの子どもたちが快く手伝いを希望してくれました。良き仲間に恵まれてうれしそうな6年生たち。
外にテーブルを設置し、看板を取り付け布の上に商品を並べると楽しそうなお店が出来上がりました。

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「よし!じゃ早速宣伝に行ってくるよ。まずはスクールの前で歩行者に声をかけるね。」

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手作りの宣伝用看板を首から下げて大きな声で宣伝開始です。
スクールの駐車場は入り組んでいるため通りからは見えにくいし、なにしろ引っ越してきたばかりで周囲の人たちはほとんどまだこのスクールのことをご存知ないはずです。

子どもたちはTCSを知ってもらうこと、そしてフェスティバルの宣伝も意識してこの駄菓子カフェの宣伝に相当の意気込みで臨んでいます。
私たちが動かずには誰もお店に足を運んでくれません。

14:30から15:30ころまでは事前に調べた通り人通りは少なめで子どもや若い人はほとんど通りません。

「ずっと宣伝してるんだけど誰も立ち止まってくれないよ。なかなか宣伝て難しいね。」
「今は大勢の人に向けて宣伝してるけど、ひょっとしたら一人一人の人に直接宣伝した方が良いかもしれないね。その方が立ち止まってくれるんじゃないかな?」

15:30ころから近くの専門学校や高校、小学校も終わり人通りが増えてきました。
すると子どもたちの宣伝に耳を傾け、一緒にお店まで来てくれるお客さんが一人、そしてまた一人・・・

「やった!今のお客さん4種類も買ってくれたよ!」
「飲み物の注文も入ったよ!」
「ねえねえ、TCSに興味があるお客さんがいらしてるんだけど、パンフレットをあげてもいいかな?事務所にもらいに行ってこよう!」

お客さんが来てくれると嬉しさと忙しさでハイテンションではりきりまくる子どもたち。
保護者の方々も遊び&応援に来て下さり初日はなんとか無事終了しました。

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しかし振り返ってみると、売れた商品を記録する”正”の字と現金が50円合いません。
もっと塩気のあるお菓子を増やしてほしいというお客様からのアドバイスもあり、改善の余地がたくさん見つかりました。

来週はさらに工夫を重ねてコンセプトである”楽しくて気軽に来れるお店”を目指してはりきっていきます◎



YI

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2014年09月26日

自分たちを表現する。

タイトル:心に響け
探究領域:意思表現
セントラルアイディア:「感情の表出と価値観の共有のために人は踊る。」

[1・2年生]

私たちはまだ4つしか知らないから(アイディアが)出てこないのかな。」と、TCS音頭作りに頭を悩ます子どもたち。この発言から、先週はハワイのフラを取り上げました。それを受けて、週末に意味のある踊りを見つけてきた子がいました。♪ヤーレン ソーランから始まる、今や全国に知れ渡っている「ソーラン節」です。

「ソーラン節」はもともと鰊場作業唄で漁業の際に歌われていたのもが変化し今に至っているそうです。子どもたちは「ソーラン節」という言葉を聞くと、
「幼稚園で踊ったことあるよ。」
「あ、踊ったことある!」と、口々に言いだします。

ソーラン節の映像を見てみると、
「かっこいい!」と迫力のある踊りに魅了されているようで、中には、体が自然に反応して既に踊ってしまっている子もいます。

ソーラン節の踊りは、船から網で鰊(ニシン)という魚を捕まえるときの様子を表現しています。
この踊りを発見した子は、船の上で踊ることに何かを感じとったようです。動きに意味があることまでは知らなかったようで、そのセンスに驚きです。

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映像を見た後は一つ一つの動きの意味を細かく見ていきました。
海を表した波の動作や網を引っ張る動作、網を引き上げる動作、捕まえた鰊を入れる動作を実際に踊りながら意味と動作をつなげていきました。
子どもたちなりの漁業というイメージから、意味を予想し話していました。

「ソーラン節は人が働いている姿を表現しているけど、そういう踊りって他にもあるよね?」と言ってみると、
「炭坑節!」と子どもたちは今まで学んだものから選び出します。
また、炭坑節は体にも染み付いているようで、踊って応えます。

「踊りには意味がある」ことを掴んだ子どもたち。
今度は、自分たちの生活と踊りをつなげることに挑戦です。

「私たちっていつもTCSで何している?」と問うと、
「学んでる。」
「授業してる。」
「朝の会してる。」
「PEしてる。」
そこで、自分たちの日々を身体であらわしてみることにしました。

「朝の会を身体で表すとしたらどうする?」の質問に、
「???」
漠然としすぎて、体が動きません。
全体からでは見えないときには、部分的に考えていきます。

「朝の会って何してる?」
「挨拶してる。」
「じゃあ挨拶なら表せるんじゃない?」と言うと
お辞儀の動作をしました。
「挨拶しているね。でも踊りっぽくないね。」と言うと
「こんなのもあるよ。」とバレエのお辞儀や王子様がするような丁寧なお辞儀を数人が揃って提案します。
「確かに踊りっぽいね。でもTCSの挨拶ってそういうのじゃないよね。」
「あ!こうしたら?ちょちょんがちょんと合わせるの。」と手を叩きながらお辞儀をする動作に合わせます。「それ、いいね!」と盛り上がります。

挨拶から始まり、朝の音読や語るべえ聞くぞーなどの一連の動作を考えていきました。

「踊りには意味がある」「意味のある踊りを創る」
このコンセプトが見え始めたところです。
セントラルアイディアは、
「感情の表出と価値観の共有のために人は踊る。」

さあ、TCS音頭は、どんな感情をどう表し、「TCSらしさと礼」という価値観をどう表現していくのでしょうか。そろそろ、プレゼンの日が迫ってきています。


MI・AN

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水を意識して生きる

タイトル:Be Water
探究領域:共存共生
セントラルアイディア:「上善水の如し」

[3・4年生]

今回、このテーマ学習を進めていて個人的に興味を持ったのが、氷川神社でした。きっかけは、移転した中野に集中してあったからです。調べてみると、「氷川」は、出雲の「簸川(ひかわ)」に端を発するという説と、「大宮」という地名の元になった「氷川神社」そのものを起源とするという説と2つあることがわかりました。いずれにせよ「水」に関連する神で、特に大宮氷川は、「荒川」という名のごとく「荒れる川」を恐れつつも、田畑に水を与える生命の源を祀る神社と言われています。

ということで Google Earthを使って「氷川神社」のある場所をプロットしてみたら、下図のように、見事に荒川周辺に集中していることがわかりました。それも、近くに氷川神社があるにもかかわらずつくられているということは、集落ごとに分祀して氏神としたことが明らかです。生活するために「水」を深く意識してきた先人の歩みが浮かびあがってきました。

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「ゲリラ豪雨」という言葉が日常語になり、ありあまりすぎる「水」が天から降ってきます。しかし、都市部では、建物や道路によって地表が覆われ、行き場がない大量の水によって、あっという間に冠水し、洪水が起きます。せっかく恵みの水を得ても、地下にしみこまないので、「湧水池」や「地下水」は枯渇してゆきます。なんというアンバランスでしょう。

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「昔も、今も、水では苦労してるんだね……」

ある子がつぶやきました。昔と今……変わったこととつながり。これは探究を深める上で、大事な「視点」です。それはキーコンセプトで言えば、まさに Change と Connection。そこで、 時代によってどんな「違い Change」があり、どんな「類似 Connection」があるのか考えることにしました。

たまたま、私は、「関東の地下水脈」を地図にした新聞記事をスクラップしていました。(余談・この記事は、学びを始める前から用意していたものではありません。子どもと「探究」に没頭していると、テーマ期間中に関連記事が天から「運」ばれてくるように出現するのが常なのです)

この地図を見るとすぐに、地下水脈と現在の川の流れが大きく異なる部分があることに気づきます。ふつう、大きな川の流れと地下水脈は重なるのですが、今、大きな川が流れていないのに地下水脈が集中しているところがあります。江戸時代に荒川の洪水に苦しんだ江戸の人々を救うための大規模公共事業を行い、荒川の流れを途中で遮り、バイパスとなる川を作って、利根川へ流したのです。重機のない時代に人足だけでこの工事を成し遂げるにはさまざまな困難があったことでしょう。しかし、そのおかげで江戸は守られたのです。

「今みたいなゲリラ豪雨とは別に、昔から、江戸に流れ込む川は多かったから、水害に苦しんでいたんだね」

まさにその通り。スーパー堤防をつくるかどうか、ダムをつくるかどうかの議論が今でも盛んになされており、「治水」のために何をすべきなのか考えなければならないのは、今も昔も変わらない、江戸の、いや、東京の宿命なのです。

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では、今、私たちに何ができるのか?江戸のように川の流れを変えるか、それともとっても高い堤防をつくるか、いやいや、大きなダムをつくってそこに貯めておけばよいか、考えてみます。

都会にたくさん雨が降って困るんだから、上流のダムは関係ないから却下。スーパー堤防という発想は、流れこむ水の量を考えて、地下に広大な調整池をつくったり、今の善福寺・妙正寺川・神田川のように、深く掘り込んで、コンクリートで塗固めた、無機的な水路(川の情緒などどこにもない……)をつくるという発想に通じるものがあります。

「地面にしみこまず、ただ流れてゆく水をどうするか?」
「地面にしみこまないなら、どこかにしみこませればいい」
「ぼくたちはきれいな水使い過ぎ!トイレや、もしかしたら風呂だったら雨水でも全然いけるかも」
「だったら雨水使おう」
「雨水貯めればいいじゃん」

なんて考えが盛り上がってくるのを見透かしたように、私の家のポストに入れられたかのようなDMチラシをみんなに見せます。

「やっぱりこういうのあるんだね」

自治体によっては設置費用の半額以上も補助してくれるようです。

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雨のもたらす大量の水をいかにコントロールするかという点では、今も昔も Change していない。しかし、昔と大きく Change したのは「都市化」したことだ。この前提から発想すると、家でできる解決策も考えてみなければならない。「デング熱」騒ぎを巻き起こした蚊は水たまりから発生する。つくばいみたいなものをたくさん作って雨水をためても、蚊の大量発生を招くかも……でも、うまく雨水をタンクに貯めれば、いろいろ利点がありそう……

これまで自分の生活に関係なさそうだった「水」「雨」そしてそれらがもたらす「現象」を意識すると、もう前とは同じように世の中は見えなくなります。これが「探究マインド」というものです。

「水を意識して生きる」という「意識」の芽生えです。

RI

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自分たちにできることは何か?

[5・6年生]

今週もはりきって営業に臨んでいきます。
初日のお客様の声を反映し、もう少し塩気の駄菓子を増やしたり商品の種類も少し変えて全体的に数も増やすことにしました。
“楽しくて気軽に来れるお店”というコンセプトを目指すにはお客様の立場に立って考えることが何より大切です。

「先週は遊びのブースにボードゲームを置いただけだったから、あまり楽しいお店にはなってなかったな。今日はおれくじ引きを作るね。3点以上お買い上げの人にはくじ引きしてもらってさ、当たりが出たら40円以内の品物をプレゼントするって考えなんだ。」
「それいいねぇ!じゃよろしくね。私はメニューと在庫表を準備しないと。」
「それから引越の挨拶の時に行った近所の保育園にも宣伝させてもらいに行ってこようと思ってるんだ。」

14時30分に開店すると大きな声で宣伝を始める子どもたち。

「今日もお客さんたくさん来てくれるといいなぁ。」
「駄菓子カフェをやっていまーーーす!色々な駄菓子を置いてます。飲み物もあるのでその場で食べてゆっくりしていってもらえまーす!どうぞいらしてくださーーい!」

島忠ホームズ前の交差点や中野ゼロホール前、そしてスクール前の道を行ったり来たりして街行く人たちに宣伝をしていきます。

「こんにちは!ぼくたちの学校の学びで駄菓子カフェをやっているんです。飲み物もあるのでゆっくりくつろいでいって頂けます。もしお時間あったらぜひいらしてください!」
「あら、駄菓子やさん!?いいわねぇ。どこでやっているの?」
「あ!すぐそこなんです。どうぞついてきてください!」

Rくんが満面の笑みでお客様をご案内して戻ってきました。

「まあ、こんなところでお店をやっているなんて知らなかったわ。ここは学校って言ってたかしら?」
「そうなんです。9月にここに引っ越して来た学校なんです。ぼくたちは6年生で、学校の学びで今週、来週の火・水・木の14時30分から17時までこの駄菓子カフェをやっているんです。」
「へえ。それはいいわねえ。どうもありがとう。じゃ、これとこれを頂いていくわね。」
「あ!どうもありがとうございます!あの一応飲み物もあって、おすすめはカルピスかコーラにアイスのピノを入れたカルピノとピノコーラフロートなんですけど。」
「あらそうなの。ありがとうね。でも今日はいいわ。また来ますね。」
「はい。どうもありがとうございました!またいらしてください。」

商品が売れること以上に宣伝に興味を持ってくれた方がお店に来て喜んで帰ってくれることが たまらなく嬉しそうな子どもたち。宣伝にも一層熱が増していきます。

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二人でローテーションしながら店番と宣伝に一生懸命になっているとあっと言う間に15時半。
ここからは他の学年の子たちがボランティアで加勢してくれます!
3・4年生を中心に手伝いの子どもたちもやる気満々。なんて頼もしいことでしょう。

4年生の男の子が言いました。

「ねえ!保育園に宣伝行くんでしょ?おれ挨拶回りの時に園長先生にご挨拶したから一緒に行きたい!」
「うん。ありがとう!じゃ今から一緒に行こうよ。チラシに案内書いたからさ、それ持っていこう!じゃ行ってきまーす!」

他の手伝いの子たちにも宣伝をお願いする場所を伝えます。

「あのね、島忠前の交差点とゼロホールの前で宣伝してくれる?ゼロホールより駅の方に行くと遠すぎるし、スクールの場所も説明しづらいかもしれないから遠くは行かないでね。高校生も下校し始めてるし、小学生たちも家に帰って出かけ始めてるから交差点前も結構たくさん人がいるはずだよ。」と6年生のMちゃん。

保育園に宣伝へ行った二人が戻ってくると、園長先生が保護者の方たちに案内をしておいて下さるとのこと。

他の学年の子どもたちの素晴らしい協力もあってたくさんの地元の方がお店に足を運んで下さいました。

毎日足を運んでくれる近所の小学生たちもTCSに興味を持ってくれているようでフェスティバルの案内をするとぜひ遊びに来たいとのこと。

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またお客さまの中にはスクールに興味をお持ちの方も何人かいらっしゃったのでスクールのパンフレットを置いたり、卒業生たちが作ったスクール紹介の小冊子をお店に置くことにしました。

来週もまた少し商品のバリエーションを変えてお客様が楽しんでくれるお店を目指します。
子どもたちは4週目を終えて少しずつ商売の大変さとそれ以上の楽しさを味わっているようです。
翌週もお客様の笑顔を獲得するぞ〜◎



YI

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