東京コミュニティスクール-探究型学習が教育の特長-全日制オルタナティブスクール(小学1年生から6年生)

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2012年02月 アーカイブ

2012年02月06日

「人の心を動かすストーリー」~概要~


[6年生]


タイトル:人の心を動かすストーリー

探究領域:意思表現



6年生にとってTCS生活の最後となるテーマ。

目標は「音楽・言語・映像を効果的に組み合わせて人の心を動かす作品をつくる」こと。
今まで、サイン・カラダ(パントマイム)・詩・編集(小冊子作成)といった、いろいろな表現方法を身につけてきた彼ら。
その集大成として、音楽・言語・映像を効果的に組み合わせた映画制作を目指します。


まず、「人の心を動かす」作品とはどういう作品かを考えることから始めます。
映画づくりの際に注目するのは、タイトルにもある“ストーリー”。
ずっと語り継がれてきた古典のストーリーを読み解くことで、
古典をベースとしたオリジナルストーリーを編み出すことに挑戦です。


映画撮影では、どう演出したらよいかが常に求められます。
それに、締切までに完成させるためには時間管理もとても大切。


さぁ、観る人の心を動かす、魅力あるオリジナル短編映画をつくるぞ!


EN


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「Dear Editor」~概要~

[5年生]

タイトル:Dear Editor
探究領域:意思表現



これからの世の中で必要とされる「学力」を測るPISAテストで重視されているのが
「リテラシー」能力です。「リテラシー」は、「読字能力」「読み書き能力」と訳されて
きましたが、PISAの求める「リテラシー」は、情報を選び、選んだ情報を解釈し、
それを自分なりに表現することをすべてひっくるめています。

今回のテーマでは、「リテラシー」力を高めるために、自ら「編集者」になります。
情報は、編集されて人に伝わり、また、人は情報を編集して認識せざるを得ない
存在です。したがって、自ら編集作業に携わり、いかに情報を選び、解釈するか
実感してみないと「リテラシー」力を磨くことはできません。

発信する意義のある情報を、責任を持って発信し、相手の心に伝わるように伝える
ために編集する作業をひたすら重ねてゆきます。

編集の達人を目指していざ学びをスタート!

RI

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「正義はどこにあるか?」~概要~

[3・4年生]

タイトル:正義はどこにあるか?
探究領域:自主自律

『我々人間は、自分たちの「正義」というものを、自分たちの道徳と照らし合わせて、
 いろいろな方向に行ったり来たりしながら模索していく存在であり、そうした
 アリストテレス的な「答えのない問い」からいつまでも逃れられない生き物である。
 しかし、私たちの生のプロセスは、その「問い」に対する「答え」を生きることに
 他ならない。だから、行ったり来たりするので良いのだ。』

「ハーバード白熱教室」におけるマイケル・サンデル教授の言葉です。

我々は普段から選択を求められる場面に多数出くわしますが、はたして
その選択に唯一無二の正解が存在するでしょうか?
子ども達がこれからの人生において「答えのない問い」に直面したときに、
悔いのない意思決定をして、自分らしい生き方を歩んでもらいたい。
今回の新テーマにはそんな思いが込められています。

自分は普段どんな判断基準で判断しているのだろうか?
その判断基準で本当によいのだろうか?
どうすれば自分は悔いのない判断ができるのか?

小さな「知の探究者」たちとともに、議論を通じて、「答えのない問い」について
考えていきたいと思います。

では、TCS流「ハンバーグ白熱教室」、いよいよ開講です!

HY

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「表裏一体」~概要~

[1・2年生]

タイトル:「表裏一体」
探究領域:共存共生

このテーマでは私たちが住んでいる地球が持つ自然の力について様々な資料を読み込みながら、自然の持つ『恵み』と『こわさ』の両面について探究していきます。


また様々な自然環境で工夫しながら生活してきた先人たちの知恵から私たちが学ぶことは何なのか?

”つながり”・”色々なものの見方”・”なぜだろう?”という3つのコンセプトをキーワードに1・2年生と一緒に考えていきます。今期最後のテーマ学習、がんばろう!!!

YI

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2012年02月09日

TCSルービックキューブ杯1/24

ルービックキューブはこの冬休みの算数の課題(1~5年)でした。年明け以降、スクールでは
休み時間など、ひんぱんにキュービックを触って練習をする子ども達が多く現われ、短い間に
どんどん腕を上げる子どももいました。この日はその総決算としての決戦です。


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当日・・まずは完全1面をどれだけ早く作れるか、そのタイムトライアルに挑戦し、その後
ライトポジションの数で競いました。ライトポジションとは、正しい面に位置しているキューブ
のことで、決まった時間(今回は5分間)にいかにそれを多く作れるかで勝敗が決まります。

第1回は見事4年生のMちゃんが両レースの栄冠に!!ライトポジションでは、時間内に
見事6面全部を完成させ、9×6=54ポジションを獲得しての完全優勝を成し遂げました。
”完全1面タイムは41秒”、”ライトポジション6面完成は2分30秒”。新しいTCSレコ
ードとなりました。

Mちゃん、両種目初代Winnerおめでとう!!

TCS将棋杯1/31

子どもたちは“将棋の達人”で、上野裕和五段からたくさんの指導を受けています。日頃から
合間の時間を見つけては、対戦が繰り広げられ、“誰々に勝ったよ!”“誰々に負けちゃったー”
時折そんな会話がスクールでも聞かれます。

そしてこの日は今までの成果の腕試しとしての試合であり、また2月に開催される杉並区の
小学校将棋大会へ向けての前哨戦的なものでもありました。

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日頃の成果を発揮させるべく、まず4チームに分かれてのリーグ戦が始まりました。みんな
真剣に将棋盤と向き合っています。いつもスクール内で試合をしたりしてはいるものの、いざ
本番となるとかなり力が入ってしまうようです。。

そしてリーグ戦での勝者4人が次のトーナメントに進みました。準決勝、決勝ともなると各試
合にオーディエンスも取り巻き、会場は熱気で満ちています。

・・ついに優勝者の決定。6年生のKくんが見事優勝しました。

Kくん初代竜王おめでとう!!

2012年02月10日

自分の心を動かした作品は?


[6年生]

6年生にとってTCS生活最後のテーマ学習が始まりました!


達成目標「音楽言語映像を効果的に組み合わせて人の心を動かす作品ができる。」を提示すると、
「人の心を動かすって、どういうことかわからない。」との発言。


そこからまず、「人の心を動かす」とはどういうことか、人の心を動かす要因は何なのか探るため、
「自分の心を動かした作品とは何か?」について考えてみることにしました。


子どもたちからは、
「○○の言ったことば。『お金のことばかり考えてると、大切なことを見失うよ。』」
「遺伝のテーマで作ったDNAの歌。僕というよりもお母さんが元気づけられたみたい。」
「新幹線のCM。内容というよりも、最後の虹が広がっているシーンが良かった。」
「ドラえもんの最近の映画。いつもと違って地球のために戦うお話だった。泣いた。」
「がまくんとかえるくんのお話。『角を曲がったら』の話を真似して、あの角を曲がったら何が起きるかなぁと考えてやってみたりする。」
「本。参考になるから。」
などの意見が出てきました。


話をしていくと、人の心を動かすとはどういうことなのかという話になってきて…。


「心を動かされた作品はないと思う。」

「感動するとか泣くとかはあるけど、心が揺れる程度であって、心を動かしたとは言わないと思う。」


感動や怖いと思うだけはなのは、心を動かしたとは言わない。
けれど、映画を見て「自分もやってみよう」とか「〜〜かも」と思うような、自分の考えが覆されるようなことが心を動かされることではないかとの話になりました。


「心を動かすなんて簡単なことじゃないよね…。」
との発言。


でも、私たちが目指すことは、人の心を動かす映画づくり!!


「そんなの無理だよ…。」
と弱気な子どもたち。


ですが止まるわけにはいかない!
早速、映画づくりに不可欠なストーリーづくりから始めました。


今回、ストーリーづくりに参考にするのは古典。
ずっと受け継がれてきたお話には、現代の様々なお話にも活かされるストーリーの型が含まれています。
受け継がれるということは、何かしら人の心を動かす要素があるのではあるのではないか。
今回は、お題となる古典を読み解き、そのストーリーをベースにしてオリジナルストーリーを考えることにしました。


まず、卒業生が、古典『浦島太郎』をベースにつくった作品を見て、古典のストーリーをどう活かしているか探ってみました。
「『浦島太郎』のその後の話だ。」
「他の話はバッドエンドだけど、これはバッドエンドかな?ハッピーエンドかな?」


話し合ってきたことを参考に、
来週からは、オリジナルストーリーづくりに取り組みます!

EN


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編集って何?

[5年生]

「編集するってどういうこと?」

まずは、今回の学びの中心となるコンセプトについて子どもたちが
どんな先行知識を持っているか掘り出す作業から始めました。

「編集長」
「テレビでタレントがここ編集しとけよって言ってる」
「まとめる」
「いるところといらないところ」

すぐにいろいろな意見が出てきます。

ただ、“編集”が私たちにとってどんな深い意味を持つかについては
明らかにされません。そこで、

「どうして編集するんだろう?」

という問いかけによって、さらに子どもたちをゆさぶります。

「伝えたいことがあるからかな……」

確かにその通り!では、伝えたいことを伝えようとするプロセスに
おいて、私たちは「無意識のうちに」どんなことをしてしまっている
のだろう……

すると、実は、私たちは、意図しようとしまいとに関わらず、「何か
を選んで」伝えていることが見えてきます。

「編集しないわけにはいかないんだ……」

まさにその通り。それが今回の学びの「核心」です。

手に入れる情報は誰かによって「選ばれた」情報です。その情報も、
選んだ人の“意図”にしたがって選ばれた「ことば」や「写真」「映像」
で構成されてしまいます。さらに……その情報も、送り手の思惑に支配
されつつも、ただ受け取られるわけではなく、自分の“意図”によって
切り取って、都合のよいように受け取ってしまいます。それが「編集」
なのです。

つまり、テレビや雑誌を制作するプロだけが「編集」に携わっている
わけではなく、私たちが日々情報を得る過程すべてが「編集」である
と言っても過言ではないのです。

(ただ小冊子を作ればいいわけではない……)

今回のテーマ学習では、TCSの学びについてアピールする小冊子を作り
ます。しかし、5年間、探究する学びを積み重ねている彼らは、最終的
なアウトプットが学びの「目的」ではないことにすぐ気づきます。

知らず知らずのうちに私たちがしてしまう「編集」のプロセスを意識
して、相手に自分たちの思いをなるべく的確に伝えるにはどうしたら
よいか追究するのだ……ということがなんとなく見えてきます。

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じゃあ、TCSのテーマ学習の特徴っていったいなんだろう……
それをあぶりだすには……そう、まずはマイニング!

彼らは自発的にマップ作りを始めました。一人がファシリテーターと
してふるまい、一人が記録し、そしてもう一人が口火となる意見を言う
という形で作業開始。こうしてできあがったのが、上の写真です。
小1時間で、なんとホワイトボードの表裏を埋め尽くしました。

この間、私は、本当に何もする必要はなく、ただ放っておくだけ。
「習うより慣れろ」とはまさにこのことです。長年、このスタイルで学び
続けてきたことが、彼らの中にしみこんでいたのでした。

一人ひとりの違いを活かす……
考えることと変わることがかみあう……
楽しさでつながり学ぶ……

なかなか本質をつくポイントが掘り起こされています。う〜ん、たいした
もんだ。さすがわれら探究仲間!とちょっと親バカならぬ探究教師バカ的
発言をお許しください。

さあ、これで端緒はつかめました。
いかに広げ、深め、豊かにしていけるか……
来週が楽しみです。

RI

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「正義」って何だろう?

[3・4年生]

「『正義』という言葉からイメージすることやものを挙げてみよう!」

今回のテーマ学習を通じて目指すべき学習者像、そして達成目標を子どもたちと
共有した後、この問いを発しました。
いったいどんな答えが返ってくるのか、興味津々です。

「仮面ライダー!」

一人の子の発言をきっかけに、次々に意見が出てきます。

「ヒーロー」
「ウルトラマン」
「ワンピース」
「ガンダム スーパー戦隊」
「ALSOK」
「サンデル教授」
・・・

そんな中、「悪が本当の正義なんじゃないかな?」という意見が出てきました。

「なぜそう思うの?」と問いかけると、
「悪がいないと正義が引き立たないでしょ。それに、悪が弱かったら、格好悪い。」
とのこと。

(なるほど、物事を別の視点から見た面白い意見だなあ。)

あっという間に、子ども達の発言で模造紙がいっぱいになります。
今回の学びの中心となるコンセプトについて、現時点で子ども達が持っている
先行知識やイメージが明らかになってきました。
事前に想定したとおり、具体的なヒーローものの作品が先に挙がってくる傾向が
見られます。

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イメージマップが完成したところで、子ども達の「正義」に対する固定観念を
揺さぶるため、「正義」の漢字の語源を伝えました。

日本の漢字研究の第一人者であった白石静先生の解釈によると、
「正」は城邑に向かって人が進む形で、攻める、攻めて征服するの意味で、
征のもとの字であり、征服した人々に重圧を加えて税の負担を強制することを
正当とし、正しい道理としたことが語源になっているそうです。

「正義って、立場によって見え方が変わると思わない?」
「確かに!」

達成目標で掲げているとおり、今回の学びの根幹となるのは「正義」の意味を
問い続けること。
自分にとっての「正義」とは何なのか?
今回のテーマ学習には、答えのない問いに対し、悔いのない意思決定をし、
自分らしい人生を歩んでほしいというメッセージが込められていることを
伝えました。

答えのない問いにぶつかった際に、価値観の異なる人と意見を交わし、
問題解決や意思決定をしていくこと、それが議論であり、議論をうまく進めて
いくためには基本的な技術(型)を学ぶ必要があります。
子ども達に、議論を進めていく上でのルールと意見の述べ方の基本型を提示し、
いくつか例題をだし、議論の練習を繰り返しました。

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来週からいよいよハンバーグ白熱教室が開講します。
一体どんな議論になるでしょうか。

HY

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自然のこわさとは?

[1・2年生]

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今週は新テーマの1週目なのでこのテーマのラーナープロファイル(学習者像:Knowledgeable,Thinkers,Balanced)とキーコンセプト(Causation,Connection ,Perspective)を1・2年生と共有することからスタートしました。
1・2年生にはこの言葉やその直訳を暗記してほしいということではなく、TCSの学びの中で今後も継続して使っていくコンセプトとその意味をまずは実感していってほしいと考えています。そのため、あえて英語は英語のままで使うようにしています。

またテーマ学習を楽しく学んでいくためのルールをみんなで話し合って決めました。
色々な意見が出ましたがその中でも最も大切な3つを選んで「①テーマにかんけいないことはいわない②もんくはいわない③あらそいをしない」に決めました。

いよいよ子どもたちの先行知識を探るべくイメージマップを作成しました。
1・2年生も6度目のテーマ学習となりイメージマップに慣れてきた様子で、始まるととても盛り上がりました。

今回のマップで中心にあるのは”自然のこわさ”です。このテーマ”表裏一体”では自然の持つポジティブとネガティブの良側面を探究していきます。そこでまずは子どもたちの既知の、あるいは体験したことがある”自然のこわさ”についてイメージを出してもらいました。

「やっぱり地震かなー。3・11こわかったし。ぼくは幼稚園にいる時に地震が起きたんだよ。池がね、チャポンチャポン揺れたんだよ。」
「自然には2種類あると思う。緑とか川とかいつもある自然と地震や雷みたいな自然の力とね。」
「なだれがこわい。けどなだれには水のなだれも土のなだれもあるんだよ。テレビで見たことある。」
「竜巻」
「火山と噴火。溶岩はこわいよー。ぼくは大島に行って噴火を見たことあるよ。」
「電気クラゲもこわい!」
などなど色々な彼らの認識が浮き彫りにされました。イメージマップの段階では知識の正しさは問題としません。
むしろ間違いを恐れずにどんどん自分の認識を出しやすいような雰囲気作りを心がけて行いましたが彼らは臆することなくどんどんアイディアを出してくれました。
さすがTCSキッズ!

このイメージマップを出発点に来週からは自然災害のメカニズムやその影響についてみんなで資料を読み込んでいきます!探究スタート☆

YI

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2012年02月17日

人の心を動かすストーリーとは?


[6年生]


映画づくりの要となる、ストーリーづくりにとりかかりました。


今回、私たちがベースとする古典は「さるかに合戦」。
かにがさるにだまされることから、かにの仲間がさるを退治するというお話です。

お話を読んでいる中で、
「“(芽をださないと)ちょんぎるぞ”ってかにが歌うのも残酷のような。」
「さるかに合戦の“その前”の話はどうかな?」
「これさ、柿の種とおにぎりがわざとセッティングされていたものだったらどうなんだろう?」
と、感想や想像を口にしていた子ども達。


ですが、ストーリーを実際に考えるとなると、難しかったようで……。
その後、各自で考えてきたストーリーの草案をみんなでシェアしましたが、
起承転結まで考えられた子もいれば、
「こういうものが書きたい。」というイメージで止まっている子もいました。


そして、考えてきたストーリーが「人の心を動かすのか」と考えたとき、

「心を動かすとまではいかないよ…。」

「さるかに合戦の話のどこが心を動かすのかな…。」

来週も、
どうしたら心を動かした作品になるのか、どこまでの作品になれば心を動かしたと言えるのか、
妥協せずに取り組んでいこう!

EN


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編集方針を固める

[5年生]

テーマ学習の魅力についてアピールする小冊子を「編集」するには、
まず「方針」を決めなくてはなりません。いったい何をキーワード
とするか……改めてマイニングマップをながめてみると、浮かび上が
ってきた言葉がありました。

それは「change」

「変わるっていうのがテーマ学習って感じなんだよね」
「やる前とやった後で変わっているしね」

「じゃあちょっと聞きたいんだけど、他の学びだってやれば変わる
んじゃないの?」

何を考えているのか、さらに明確にするための質問を投げかけます。
すると、

「テーマ以外の学びはね、変えられるって感じなんだよ」

なるほど、面白いことを言います。さらに言葉は続き、これを知れば
変わるよ!と先生から強制されて、その通りに変わらされるのがふつう
の学び。でもTCSのテーマ学習は、学びを進めてゆくうちに自分から
変わっていってしまうところがあるというのです。

「変えるじゃなくて変わる」

という学びの特徴を伝える!という編集方針が見えてきました。

「ふつうじゃないんだよ」

一人の子がつぶやくと、他の二人も即座に呼応します。

「変なんだよね」
「そうTCSの人ってみんな変だと思う」

「そうか、TCSの子の個性って“変”ってことじゃない?」

「変だから変われるっていうこと?」
「それ面白いじゃん!」

話が一気に盛り上がります。

変だから変われる!

というビッグアイデアが出現しました。これは追究に値しそうです。
そこで、深堀りするように子どもたちを促します。

すると、常識=教科書通り。それが「ふつう」。それに納得しない
のが「変」。という意見が出ます。

「それって、ただ変わったことだけ言っているひとりよがりな発想と
何が違うの?」

彼らの reflective な思考を助ける質問を投げかけます。このゆさぶり
に対して、すかさず、

「そうじゃなくて“きく”んだよ!」

という意見が飛び出しました。

(きく?聞く?話の流れとつながらないな)

と首をかしげていると、

「“聞く”じゃなくて人にたずねるって意味での“きく”だよ」

まず、自分の意見が変だなと思っても、それを出して、みんなに「きく
(たずねる)」。そうすれば、だれかがその意見に建設的な突っ込みを
いれてくれる。もし、本当にただ茶化すだけの意見を出した場合は、
みんなに否定されて終わり。でも、それ以外の「変」な意見は安心して
「きける(たずねられる)」なぜなら、お互いに「変」な意見が面白い
発想の種になるかもしれないと知っているからだ。

「変」な意見をみんなで磨いてゆくことがプロセスに入っているから、
ひとりよがりの発想には陥らないというのです。

「“ふつう”って考えないことかもね……」

痛烈な考えが発せられます。考えていけば、どんどん「変わっていく」
し、「ふつう」では気づかない「変」なことにぶちあたってしまいます。
それは頭を使っていちいち考えなければならないことだから、「ふつう」
に安住した方が楽なのに、わざわざ「変」なことを考えるのを楽しむの
がTCSの子どもたちなのだ!ということが見えてきました。

「編集方針」が見えてきたところで、次は、どう「編集」するかです。
“伝えたい”ことが見えてきても、それを“伝わる”ように発信しなければ
相手に受け取ってもらえません。この小冊子は、世にTCSの学びの意義を
訴えるために制作されます。大多数の「ふつう」の人に「変」である
ことの意義を伝えるわけですから、難事業と言えます。「ひとりよがり」
に伝えても何も伝わりません。

どんなフォーマットで伝えるか……
どんな表現が心を動かすか……

いよいよ「編集の妙」が問われるフェイズへ突入です。

RI

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ハンバーグ白熱教室開講!

[3・4年生]

先週、議論を進めていく上でのルールと意見の述べ方の基本型を学んだ子ども達。
いよいよ、今週から計6題のテーマについて議論を交わしていきます。
ハーバード白熱教室ならぬ、TCS流ハンバーグ白熱教室の開講です。

記念すべき第一回目のお題は「お金を拾ったら、警察に届ける?届けない?」。

下校中に道端で百円玉を拾ったが、周囲に人はおらず、近くに交番も
見当たらない中で、あなたならそのお金を警察に届けるかどうかという内容で
子ども達に問いかけます。

お題の内容を聞いた途端、子ども達の目が輝きだし、途端にその場の雰囲気が
熱を帯びるのが伝わってきました。みんな、自分の意見を言いたくて言いたくて
仕方がない様子です。

「議論の時間は後でとるから、まずはワークシートに議論前の自分の意見
(どちらの立場を取るかとその理由)を書いてね。」

「こんなの簡単だよ。」と短時間でさっさと書き上げる子もいれば、
難しい顔をしながらどちらの立場を取るか悩んでいる感じの子も。
身近な「正解のない問い」に真剣に取り組んでいる様子が伺えます。

ワークシートを一通り書き終えたところで、各自の意見を発表してもらうことに
しました。

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「絶対に届けない。だって落とした人が悪いじゃん。自業自得だよ!」
「僕も多分届けないと思う。交番が遠くて、面倒くさそうだし。」
「私も届けないよ。拾ったら、自分の物になるじゃん。ラッキー♪」
「えっ、みんな届けないの??お金を落とした人にとってはその百円が
大切かもしれないし、拾ったままだと自分がもやもやした気分になるから。。」
などなど。文字通り、六者六様の意見が飛び出します。

今回、議論では必ずどちらかの立場を取らなければいけないという制約事項を
設けました。
どちらの立場でもない、新たな立場の意見は認めないということです。
これにより、たとえ立場が同じだったとしても、その理由が異なるというケースが
生まれやすくなると考えたのですが、早速、その効果が現れたようです。

じゃあ、皆の意見が出揃ったら、それで終わり・・・な訳がありません。
追加条件を次々に出すことで、さらに子ども達を悩ませます。

「他人が見てたら、先ほどの自分の意見は変わるかな?」
「拾った金額が千円札、一万円札のように大きかったら、どうだろう?
 もし十円玉だったら?」
「親がめちゃくちゃ厳しくて、ばれたら叱られるかもしれないとしたら?」

状況に応じて自分の意見がどう変わるか、問いを繰り返していくことで、
自身がどんな判断基準で判断しているのかが段々と浮き彫りになってきました。

白熱した議論を終え、再びワークシートに意見を記入する子ども達。
議論を通じて、意見が変わった子も見受けられました。

「最初は一円も見逃すな!と思っていたけど、自分は警察ではないんだから、
 そんなにきっちりしなくていいやって思うようになった。」
「落とした人が可哀想になってきた。交番に届けたら、元に戻るかもしれないし。」

ふりかえりでは、例を交えながら、自分の意見の根底にある判断基準は
いったい何なのかについて、客観的なアドバイスをしました。

・自分がやりたいことをする(自己)
・親の意見に影響されやすい(親)
・他人の目を気にする(他人)
・ルールを守ろうとする(決まり)
・実質的に意味があることを優先する(実利)
・モラルを大事にする(道徳)

「こんなこと、あんまり意識したことなかったなぁ。」

自分の判断基準を認識し、その判断基準の是非を自分なりに考える。
まだ、そのスタート地点に立ったばかりです。

HY

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地震はどうして起こる?

[1・2年生]

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今週は”地震”のメカニズムやその与える影響について映像を見たり資料をじっくり読み込みながら新たな知識を学んでいきました。

”地震”について本テーマのキーコンセプトのCausation(なぜ?どうして?)Perspective(他の見方は?)Connection(どうつながっているのか?)の切り口から考えていきます。

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一人ずつ順番に資料を音読しながら地震が起こる原因について学んでいきます。
「なにが原因で地震は起こるの?」
「プレートってなんだろう?」
「世界のどんなところで地震が起きるんだろう?日本ではどうだろう?」

などの観点でじっくりと資料を読み進め、また地球内部の構造について図鑑のスケッチを行いました。

日本にはプレートと活断層が多く、世界的にも地震大国であること、また世界中様々なところで地震が起こる可能性はあることなど今まで知らなかったことも含めて少しずつ分かってきました。
そして一方で被害を与えるほどの地震はそれほど多くは無いことや地震による恩恵もあるらしいということについても見え始めてきました。

地震によって現在の地球の起伏や地形が生み出され、また地震を起こす地球内部のエネルギーがあるからこそ生命溢れる美しい惑星になっていることを知り、
「これは地震のいい面だー!」
と新たな発見を喜ぶ子どもたち。
来週も引き続き自然の”こわさ”と”恵み”について探究するぞー☆  

YI

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2012年02月23日

”将棋の達人”最終日

上野裕和五段による“将棋の達人”の最終日がやってきました。今までの成果の腕試しとして上野五段が全員と対局をしてくださいました。 対局方法は大きく分けて2種類。その1つが“飛車角金銀ゲーム”、そしてもう1種類は12枚落ちや10枚落ちというハンディキャップ(駒落ち)をもらっての対戦です。
クラスは1-3年クラスと4-6年生クラスの授業がそれぞれ行われました。

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いよいよ対局です。みんなを相手に上野五段が次々に手を打って行きます。 「早ーい!」驚きの声があがりました。 少し経つと「飛車・角・金・銀ゲーム」で上野五段を負かす子ども達が次々と出てきました。「わーい勝ったあー!!」嬉しそうな声が響きます。

対戦終了後上野五段が何かを準備されています。そうです、日本将棋連盟の正式な認定証を1人1人に発行してくださるのです。「12面落ちでだいぶいい対戦をしたよね。○級です。」「負けましたと言えるようになり素晴らしかったね。」などコメントを添えて手渡してくださいました。
子ども達の中には認定証を手に取り、感慨深くじっと見つめている子どもや、嬉しそうに自慢しあう姿なども見られました。

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最後は子ども達から「ありがとうございました!」とお礼の挨拶をして最終授業を終えました。上野五段、ご指導本当に有難うございました!!


2012年02月26日

杉並区小学校将棋団体戦に出場!

「将棋の達人」授業最終日の3日後、杉並区小学校将棋団体戦が開催され、全部で18チームの参加がありました。そしてTCSからは選抜チームと有志チームの合計2チームが参戦したのです。
当日まずは予選が行われ、次にリーグ戦が行われました。リーグ戦は予選結果を基に上位から王将、飛車、角行、金将、銀将の5つに分かれて行われ、子ども達は静かな雰囲気のなか、集中して試合に取り組んでいました。また途中にはプロ棋士による指導対局も行われました。

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予選では強豪チームの実力を直接肌で感じることができました。 相手の実力を認めつつも、途中で投げ出してしまわず、最後まで諦めずに戦う姿勢が素晴らしかったです。

そしてリーグ戦では粘り強く勝ちにこだわり、選抜チームが金将リーグ(予選4位グループ)で優勝、有志チームが銀将リーグ(予選5位グループ)の準優勝という成果をあげました。
また緊迫した試合の後には対戦相手と楽しそうに交流する様子が見られました。子ども達にとってとても良い経験になったのではないでしょうか。

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賞状や記念品をいただき、最後にTCS参加者全員で記念撮影!!ナイスファイト、おつかれさま!!



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