[5年生]
テーマ学習の魅力についてアピールする小冊子を「編集」するには、まず「方針」を決めなくてはなりません。いったい何をキーワード
とするか……改めてマイニングマップをながめてみると、浮かび上が
ってきた言葉がありました。
それは「change」
「変わるっていうのがテーマ学習って感じなんだよね」
「やる前とやった後で変わっているしね」
「じゃあちょっと聞きたいんだけど、他の学びだってやれば変わる
んじゃないの?」
何を考えているのか、さらに明確にするための質問を投げかけます。
すると、
「テーマ以外の学びはね、変えられるって感じなんだよ」
なるほど、面白いことを言います。さらに言葉は続き、これを知れば
変わるよ!と先生から強制されて、その通りに変わらされるのがふつう
の学び。でもTCSのテーマ学習は、学びを進めてゆくうちに自分から
変わっていってしまうところがあるというのです。
「変えるじゃなくて変わる」
という学びの特徴を伝える!という編集方針が見えてきました。
「ふつうじゃないんだよ」
一人の子がつぶやくと、他の二人も即座に呼応します。
「変なんだよね」
「そうTCSの人ってみんな変だと思う」
「そうか、TCSの子の個性って“変”ってことじゃない?」
「変だから変われるっていうこと?」
「それ面白いじゃん!」
話が一気に盛り上がります。
変だから変われる!
というビッグアイデアが出現しました。これは追究に値しそうです。
そこで、深堀りするように子どもたちを促します。
すると、常識=教科書通り。それが「ふつう」。それに納得しない
のが「変」。という意見が出ます。
「それって、ただ変わったことだけ言っているひとりよがりな発想と
何が違うの?」
彼らの reflective な思考を助ける質問を投げかけます。このゆさぶり
に対して、すかさず、
「そうじゃなくて“きく”んだよ!」
という意見が飛び出しました。
(きく?聞く?話の流れとつながらないな)
と首をかしげていると、
「“聞く”じゃなくて人にたずねるって意味での“きく”だよ」
まず、自分の意見が変だなと思っても、それを出して、みんなに「きく
(たずねる)」。そうすれば、だれかがその意見に建設的な突っ込みを
いれてくれる。もし、本当にただ茶化すだけの意見を出した場合は、
みんなに否定されて終わり。でも、それ以外の「変」な意見は安心して
「きける(たずねられる)」なぜなら、お互いに「変」な意見が面白い
発想の種になるかもしれないと知っているからだ。
「変」な意見をみんなで磨いてゆくことがプロセスに入っているから、
ひとりよがりの発想には陥らないというのです。
「“ふつう”って考えないことかもね……」
痛烈な考えが発せられます。考えていけば、どんどん「変わっていく」
し、「ふつう」では気づかない「変」なことにぶちあたってしまいます。
それは頭を使っていちいち考えなければならないことだから、「ふつう」
に安住した方が楽なのに、わざわざ「変」なことを考えるのを楽しむの
がTCSの子どもたちなのだ!ということが見えてきました。
「編集方針」が見えてきたところで、次は、どう「編集」するかです。
“伝えたい”ことが見えてきても、それを“伝わる”ように発信しなければ
相手に受け取ってもらえません。この小冊子は、世にTCSの学びの意義を
訴えるために制作されます。大多数の「ふつう」の人に「変」である
ことの意義を伝えるわけですから、難事業と言えます。「ひとりよがり」
に伝えても何も伝わりません。
どんなフォーマットで伝えるか……
どんな表現が心を動かすか……
いよいよ「編集の妙」が問われるフェイズへ突入です。
RI
※TCS2011年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。