[3・4年生]
フードロスの現状を明らかにし、どう立ち向かってゆくかということについて、A3用紙1枚で簡潔にインパクトある形でまとめることにしました。今回の学びの集大成です。知ったこと、みんなで議論したことを丁寧にまとめることをここまで何度も繰り返してきたので、どんなレイアウトで、どんな内容をピックアップしてまとめるか意識しつつ、なかなかの出来のものをサクサクつくりあげてゆきました。
成長したじゃないか君たち!と目を細め、ただ見守るだけのおっちゃんであります。
これだけアウトプットをつくりこんでいると、学んだ内容について「何を」発表するかは、自ずと頭の中にしっかり構築されています。ということで、あとは「どう」発表するかを決めるだけ。ただ事項を羅列するのではなく、どんな「ストーリー」で語ると自分たちの主張が聴衆に伝わるかを吟味します。
発表者6人。ということは6つのことしか語れない。その6つをどう選ぶ?その順番はどうだと効果的?
「おっちゃんおれに言わせて!」
アイデアが生まれた子どもが前に出てきて実際に語ってみます。するとそれが見事に思考の呼び水となり……
「ああそれいいかも!」
「ちょっと待ってこうした方がもっといいよ」
「ひらめいたぞ」
入れかわり立ちかわり子どもたちが思いつきを語り合ってゆくと、「面白いストーリー」が生成されてきました。
フードロスについて学んできたことを主張する部分はすぐにできあがりましたが、問題は、この学びを経て自分たちがどんな意識を持ち、行動してゆくか1分間で語る部分です。先週、「意味のある停滞」をした部分がそこでした。
欲望を抑えるのではなく、技術の力でなんとかする(飼料にしたり、燃料にする)というやり方もあることも知っているし、フードバンクという活動があり、余剰食料を援助する仕組みがあることも知っている。でもそれよりもフードロスという現実を生み出してしまう根本にある先進国の消費者である私たちの「生き方」にフォーカスを当てたい。とはいえ、それって自分たちがまだ行っていないことを口にするからキレイゴトになってしまう……先週もこの点で悩みが頂点に達したのでした。
「吾唯足るを知るっていうことがいちばん大事だと感じたんだからそのことをストレートにぶつけようよ」
フードロス「を」どうするかではなく、フードロス「も」含め、共存共生する上で私たちに必要とされているライフスタイルを大事にしよう!と訴えかけようではないかとふんぎりをつける子が現れました。
どんなことを語ろうともキレイゴトになる……しかし、キレイゴトを語ること、そして自分からスタートする小さなことを続けて、広げてゆくしかない……それしかない……子どもたちの「決意」は固まりました。
方向性が決まると、どう語るかにひたすら没頭します。まだダメ、もっと別の言い方はないか、う〜ん気に入らない。
草稿をまとめ、何度も語ってみて、また草稿を直す。このフェーズでは、私も generator として真剣にダメ出しをします。それは子どもへのダメ出しではありません。創造の神様・語りの神様から見て恥ずかしくない、質の高いものに近づくための通過儀礼です。だからみんな必死になってへこたれずに、つくりこみ続けます。なんというスバラシイ集中力と粘りでありましょうか。
発表前日の最終下校時刻16:30まで頑張った子どもたちが去った後の教室には、この6週間の学びの足跡があふれていました。今回も話して、話して、話しつくして、考え続け、つくり続けたなあ。「つら楽しい」プロセスにひと段落つきました。
今週の全員会食でも、ほんのわずかブリが残っただけ(皮とそれにくっついたわずかな身だけ)でほぼ完食を達成。食べ残さなかったからエライではなく、食べ残しの向こう、フードロスの向こうに見える過ぎたるはなお及ばざるがごとしという生き方に近づこうという意識の芽生えが共有されつつあるのうれしいなあとおっちゃんは思うのでした。
RI
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