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生と死と

タイトル:似て非なるもの
探究領域:自主自律

[5・6年生]

遺伝と進化に関する科学的知識を学ぶ教材として、電子テキストを
中心に活用してきた私たち。

しかし、テキストの読み込み以外にも、知識を獲得する上で有効な
手段があります。
そう、それは良質な映像作品に触れることです!
一般視聴者向けに端的でわかりやすくまとめられた内容のナレーシ
ョンと映像の視覚のインパクトの組み合わせは知識の理解を大きく
助けてくれます。
これを活用しない手はないということで、今回はNHKスペシャルの
遺伝子・DNAに関する特集の中で「老化と死の設計図」と題した回
を観ることにしました。

この番組を通じて、遺伝子研究により早老症や長寿老人の遺伝子の
特徴や活性酸素が老化を起こすことが明らかになってきたことがわ
かったのですが、その中でも子ども達の興味を最もひきつけたのは
以下のナレーションでした。

それは、
『大腸菌の生き方は、親とまったく同じ人生を歩むこと。人間は酵
母菌の生き方を選びました。親とは違う新たな人生を生きる生き方
です。』
というもの。

大腸菌は永遠に自分にコピーを作り続けることができるのだそうで
す。DNAがリング状になっていて、命の長さの終わりがありませ
ん。

それと比べて、人間のDNAはニッパーみたいなカタチをしていて、
リング状ではないため、端が存在します。
その端にあるのが命の長さを決めるテロメアという部分。
リング状じゃないからこそ、一部をほどいて、異なる二つを絡み合
わせて、それまでになかった新しい配列のDNAをつくれるように
なったのです。

新しいものをつくりだすというメカニズムを手に入れた一方で、そ
れと同時に抱えた時限爆弾。
それが、個体の「死」なのです。

子ども達はDNAがタンパク質をつくりだす設計情報を有している
ことは今回のテーマで学びましたが、実は「死」をも司る存在だっ
たことに驚きを隠せません。

ふりかえりの中でも、
「不老不死に興味はあるけど、自分がなるとなると、ちょっと・・・」
とある男の子。

「なぜそう思うの?」と返すと、

「なぜって、生き続けていたら、人生にあきそうだもん。」
「歳を取らないのは嫌だなあ。歳を重ねることでいろいろ気付くこ
とがあるし。歳を取ることは何も悪いことばかりではないと思うん
だよね。」
「人生は期限があるからこそ、有意義になるんじゃないかな。」
と次々に子ども達から意見が出てきます。

「遺伝子が違うからこそ、個性につながるとと思うんだよね。大腸
菌のように、みんな同じじゃつまんないよ。」

不老不死に興味があると言った男の子のつぶやきです。

どうして同じ人間なのに、一人一人異なる遺伝子を持つのだろう?
どうして遺伝子を全く同じようにコピーせず、わざわざ微妙に変え
るんだろう?

今回観た作品は、これらのメカニズムがいったい我々に何をもたら
すのか(どんな意味があるのか)について考え直す機会を与えてく
れました。

今週でテーマの前半が修了。
遺伝と進化に関する科学的知識を学ぶフェーズも終わり、いよいよ
来週から替え歌づくりに着手します。

どんな歌ができるか、ハラハラドキドキの後半戦です。

HY

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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