[5・6年生]
「今回は遺伝のテーマをやるんでしょ。また替え歌をつくるの?」「遺伝は土台に過ぎない、そこからおれが決めるから〜♪」
子ども達が思わず口ずさんだこの歌。
二年前に先輩達がテーマ発表会で高らかに熱唱した"We Are The World"
の替え歌は今でも鮮烈に印象に残っているようです。
今回のテーマのタイトルである「似て非なるもの」とは、辞書的な
意味では「ちょっと見たかぎりでは似ているが、 実際は全く違う」
という意味。
「うーん、よくわかんないな。。。」
6年生の女の子はテーマのタイトルと「遺伝」や「進化」というキ
ーワードとのつながりがいまいち見えてこないという正直な感想を
漏らしました。
子ども達の表情を観察していると、頭の中のもやもやが目に見える
ようです。
過去の経験と照らし合わせると、このもやもや状態は探究を始める
上で悪くないスタートだと感じました。
わかったつもりほど視野を狭め、思考を停止してしまうことはない
からです。
「それを6週間かけて学んでいこう!で、最初にやることは・・・」
「イメージマップをつくるんでしょ!」
高学年ともなれば、テーマ学習でのお約束は知ってるぞと言わんば
かりです。
早速、「遺伝」という言葉からイメージすることを挙げていっても
らうことに。
「姉とは食べ物の好みが全然違って、不思議なんだよね。」
「活字中毒なのは祖母に似てると思うなあ。」
「肥満体質な家系なので、自分も気をつけないと思ってるんだ。」
「本音としては、性格はお父さんに、体質はお母さんに似たかった
んだけど、実際は逆なんだよね(苦笑)。」
「お金の使い方があらいところや勘が鋭いところは父親譲りかも。」
二巡目三巡目あたりまでは、「親に似ていること」という最初の意
見を皮切りに、性格や体質などについて家族と似ているところや異
なるところが次々に出てきました。
でもそれだけで終わらないのがTCSキッズの底力。
「突然変異という言葉も聞いたことがある。」
(おっ、いきなり本質をついた言葉がでてきたぞ。)
「DNAは、体をつくる設計図というイメージがあるなあ。」
「放射能浴びることで、DNAがきれてしまって病気になる、とか。」
「そうそう、DNAの形はたしかこんなだったはず!」
ある子が模造紙に絵を書き込んだのをきっかけに、他の子ども達も
それぞれ微妙に異なるDNAのイメージを形に表していきます。
たった30分強の時間で模造紙が言葉で埋め尽くされ、「遺伝」と
いう言葉を起点にイメージが膨らんでいきました。
子どもには知識がなく、大人がその知識を教えるものであるという
のが旧来の教育の考え方の主流でしたが、このイメージマップを見
てもわかるとおり、実際には子ども達はこんな豊かな先行知識を持
っているのです。
ですが、その知識は偏ったものであったり、間違っていることがあ
ることもまた事実。
現時点ではDNAという言葉は知ってるが、それがどこにあって、
どんなはたらきをしているのかまでは知らないという状況です。
まだまだ使える知識というにはほど遠いといったところでしょう。
今回の学びを通じて、子ども達がどのように成長していくのか、
新たな探究のスタートが切られました。
HY
※TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。