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憲法を守るのは誰だ

[5・6年生]

みなさんは「あたらしい憲法のはなし」という小冊子をご存知ですか。これは昭和22年に公布された日本国憲法の精神や中身をわかりやすく説明した、中学1年生社会科の教科書です(わずか5年ほどしか使われませんでしたが……)。

現在は、青空文庫となってネット上で誰でも読めますし、定価300円で小冊子として販売されています。子どもたちにとってまず衝撃的なのは、約70年前に作られた日本国憲法が「あたらしい」と表現されているところでした。そう書かれていると"じゃあ古い憲法ってなんだろう……"と考えざるを得ません。ある歴史好きの子が

「聖徳太子の十七条憲法が古いのかな……」

と答えました。おおそうきたか……では、聖徳太子の「憲法」と私たちが手にした、民主主義を保障する「憲法」とはどんな違いがあるのでしょうか。そのことを明らかにするために、「あたらしい憲法のはなし」を読み進めると、最後の最後に、憲法は最高法規であることが書かれている章がありました。そこにはこんな記述が……

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「このように大事な憲法は、天皇陛下もこれをお守りになりますし、国務大臣も、国会の議員も、裁判官も、みなこれを守ってゆく義務があるのです。」

「憲法」を守るべきは権力者であって、「国民」の基本的人権を守り、「国民」の幸せをつくりだすような国の仕事をするように取り決めたものこそ「憲法」なのだという思いがひしひしと伝わってきます。そんな「憲法」つくったのは誰なのかと言うと、上の図に表されているように「国民」であって、権力を行使するものより上位にある存在なのです。これこそ「主権在民」ということなのです。

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「この本ってすごく熱く語っているよね」
「みんながつくったんだよ、みんなのものだよって何度も何度も繰り返して書いてる」

「あたらしい憲法」がこれまでの時代にはなかったどんなに素晴らしいものなのか強調するために、小冊子の書き方が「熱い」のではないかという気づきが自ずと子どもに生まれてきます。では、「あたらしい憲法」と、民主的でない時代、封建的な時代にも存在した十七条憲法のような「法」とは何が異なるのか……さらに調べてゆくと……

いちばん上に「国王」とか「支配者」がきて、そういう権力者が「法」を決めて「人民」を支配している。ひどい場合には奴隷としている。つまり「人が人を支配する」構造になっている。しかし、今、手にしている憲法は、「法」が権力者をしばり人民を守っている。つまり「法によって支配」される世の中になっている。

権力者による支配は、孔子の言う「君子」による治政を生むことはなく、暴君による悪政につながりました。そこに立ち向かった市民は自分たちの「権利」を訴え、闘い、勝ち取った「権利」を「憲法」という形で守ろうとしたのでした。

自分たちの自由が保障され、民主的な手続きによって物事を決めてゆけるのは「憲法」のおかげであり、それがこれまでの憲法とは異なる「あたらしい」特徴なのだということが明らかになりました。

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人を殺しちゃダメだとか、貧しい人を見放さないとか、どう考えても人として守るのが当たり前だと思われる「法」を「自然法」と言います。「憲法」は「自然法」によって成立しています。すると、これまで何気なくTCSの「憲法」という言い方をしてきた、「3つの約束(自分を大切にする、人を大切にする、ものを大切にする)」がまさに「憲法」と呼ぶにふさわしいものだということがはっきりしてきました。

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TCSの憲法である「3つの約束」をふまえ、住みよいTCSをつくりだすための改革提案を民主的な手続きで決めかつ実行してゆくことこそ今回取り組むべきプロジェクトだとはっきりしてきました。

「これからは他者の意見をぼーっと聞いてられないよ」

まったくその通り。みんなの意見を聞き入れつつ、よりよいアイデアを練り上げ、それをみんなが共感してくれるような表現で伝えなければならないのですから、意見を言う方も、聞く方もこれまで以上に他者の意見をしっかり聞き取らなければなりません。

意見を口にするには、よく考えた上で責任を持って「発言」しなければならないこと。こうして熟慮の末に出された他者の意見(異見でもある……)には、よく耳を澄まし、自分の考えを見つめ直す材料とすること。こうして視野を広げ、認識を深めつつ政策を磨いてゆくトレーニングが始まりました。「発見」を自由に積み重ねてゆくのとは異なるモードで対話するデモクラシーのレッスンです。

RI

TCS2013年度探究テーマ一覧は、こちらよりご覧ください。



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